JP5028731B2 - ハロゲン化アルコ−ルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化ケトンおよび該ハロゲン化ケトンの水和物から選ばれる少なくとも1種の化合物を還元してハロゲン化アルコ−ルを製造する方法に関する。さらに詳しくは、特定の2種の元素を必須とする触媒の存在下で還元反応を行い、ハロゲン化アルコールを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化アルコ−ルは、各種有機化合物の合成原料等として有用な化合物である。特に1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オ−ル(以下、HFIPと略記する)は、溶媒、界面活性剤、乳化剤、および麻酔剤等の医農薬の合成中間体、等として有用な化合物である。
【0003】
従来、ハロゲン化アルコールの製法としては、ハロゲン化ケトンを還元する方法が知られている。ここで、原料物質であるハロゲン化ケトンには、水と反応してハロゲン化ケトン水和物を形成するものがある。例えばヘキサフルオロアセトン(以下、HFAと略記する)は、水と接触させると、HFA水和物が容易に得られることが知られている。HFA水和物は、CF3C(OH)2CF3・nH2O(n≧0)で表されるジオ−ル構造を有する化合物と考えられており(特開昭60−69047号公報)、1水和物(n=0)や3水和物(n=2)として安定に存在することが知られている。これらの水和物は、水に容易に溶解し、また該水和物は水溶液中でも安定に存在し得る。
【0004】
ハロゲン化ケトンやハロゲン化ケトン水和物を還元して対応するハロゲン化アルコ−ルを製造する方法としては、(1)金属銅および酸化クロムを含む触媒の存在下、気相で、HFAを還元する方法(特公昭39−8210号公報)、(2)パラジウム/アルミナ触媒の存在下、気相で、HFAを還元する方法(米国特許第3468964号)、(3)パラジウム/炭素触媒の存在下、気相で、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラフルオロアセトン、クロロペンタフルオロアセトンまたはHFAを還元する方法(特公昭48−21925号公報)、(4)ニッケル触媒の存在下、気相で、HFAを還元する方法(特開昭56−139433号公報)、(5)パラジウム−炭素触媒の存在下、液相で、HFA水和物を還元する方法(特公昭61−25694号公報)等が知られている。
【0005】
しかし、上記の製法にはつぎの欠点がある。すなわち、ハロゲン化ケトンやハロゲン化ケトン水和物中には、その製造工程において副生する塩化水素、フッ化水素等の酸性化合物が含まれており、これらは、触媒を失活させる原因物質である。そのため、ハロゲン化ケトンやハロゲン化ケトン水和物は、還元工程を行う前に高純度に精製する必要があった。そしてこの製法には複雑な工程と多額の費用が必要であった。
また、高純度に精製したハロゲン化ケトンやハロゲン化ケトン水和物を用いても、還元反応によって、塩化水素、フッ化水素、有機酸等の酸性化合物が副生する問題がある。そのため、前記(1)〜(5)のいずれの方法においても、使用する触媒が該酸性化合物により失活して、ハロゲン化アルコ−ルの収率が低下する問題があった。
一方、酸性化合物による触媒失活を抑制するため、受酸剤としての水酸化アルミニウムや水酸化ナトリウムを添加する方法も提案されている(特開平4−10456号公報)。しかし、受酸剤の効果は不充分であり、また、受酸剤を多量に添加した場合には、原料が過水素分解されて、ハロゲン化アルコ−ルの収率を低下させる問題が認められた。
【0006】
また、前記方法のうち、気相で還元反応を行う(1)〜(4)の方法では、触媒層に熱点が形成されて触媒層温度が上昇する問題がある。触媒層温度の上昇は活性成分である金属微粒子の凝集(シンタリング)や結晶状態の変化等を起こし、これにより触媒が失活してハロゲン化アルコ−ルの収率の低下を招く問題が認められた。
特に、(1)および(3)の方法では、触媒の還元能が低く、150℃を越える高い反応温度を必要とするため、酸性化合物の生成と触媒層温度の上昇が著しく、触媒が早期に失活してハロゲン化アルコ−ルの収率が大きく低下する問題が認められた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の課題を解決して、長期の反応を行った場合においてもハロゲン化アルコールを継続して高収率で得る製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、以下の製造方法を提供する。
【0009】
1.第一成分として9および10族元素から選ばれる少なくとも1種の元素と、第二成分として11族元素から選ばれる少なくとも1種の元素とを含む触媒の存在下に、R1COR2で表されるハロゲン化ケトンおよび該ハロゲン化ケトンの水和物から選ばれる少なくとも1種の原料化合物を還元剤の作用のもとに反応させることを特徴とするR3CHOHR4で表されるハロゲン化アルコ−ルの製造方法。ここで、R1およびR2はそれぞれ独立に、フッ素原子を必須とする少なくとも1種のハロゲン原子が結合した炭素数1〜40のハロゲン化アルキル基を示し、R3はR1に対応し、R4はR2に対応し、それぞれ、R1およびR2と同一の基、または、R1およびR2が、それぞれ塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれる1種以上のハロゲン原子を有する基である場合には、該ハロゲン原子の1つ以上が水素原子に置換されていてもよい。
【0010】
2.原料化合物がCF3COCF3およびその水和物から選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、ハロゲン化アルコールが(CF3)2CHOHである上記製造方法。
3.還元剤が水素である上記製造方法。
4.原料化合物に対して化学量論量以上の水素を用いる上記製造方法。
5.触媒における第一成分がPd、Co、Ni、Ru、Rh、IrおよびPtからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、第二成分がCu、AgおよびAuからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記製造方法。
6.触媒における第一成分がPdであり、第二成分がAuである上記製造方法。
7.触媒における第二成分の量が、第一成分と第二成分の合計質量に対して0.01〜90質量%である上記製造方法。
8.触媒が、活性炭上、アルミナ担体上、またはジルコニア担体上に、第一成分および第二成分が担持された触媒である上記製造方法。
9.受酸剤を用いずに反応を行う上記製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明においては、第一成分としての周期表の8〜10族から選ばれる元素および第二成分としての周期表の11族元素を含む触媒を用いることが特徴の一つである。第一成分である周期表の8〜10族元素としては、例えば、Pd、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Ir、Pt等が好ましく、特にPd、Rh、Ir、Ptが好ましい。周期表の8〜10族元素は、還元能の高い活性成分である。
第二成分である周期表の11族元素としては、Cu、AgおよびAuから選択され、特にAuが好ましい。第二成分は、第一成分を触媒中に高分散化させる効果や、安定化させる効果を有する。第一成分が高分散化、安定化されると、(a)活性点の数と活性が増加して触媒の還元能が向上するため、150℃以下の低い反応温度でも還元反応が進行し、高い収率と長期の触媒寿命でハロゲン化アルコ−ルを得ることができる。また、(b)金属微粒子の凝集(シンタリング)が抑制されるため、耐熱性が向上し、触媒層温度が上昇しても触媒失活が起こりにくい。さらに、(c)触媒表面が常に高い還元状態に保たれるため、被毒物質である塩化水素、フッ化水素等の酸性化合物が、触媒表面へ吸着するのを抑制し、高い収率と長期の触媒寿命でハロゲン化アルコ−ルを得ることができる。それに加えて、原料のハロゲン化ケトンやハロゲン化ケトン水和物を高純度に精製するための複雑な工程が不要となる、等の利点がある。
第二成分の第一成分に対する量は、第一成分を高分散化、安定化させる効果の点で0.01〜90質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜50質量%、特に好ましくは、0.1〜30質量%である。
【0012】
本発明において用いられる触媒は、上記第一成分と上記第二成分を含むものであればよく、通常は第一成分と第二成分とが担体上に担持された触媒であるのが好ましい。担体としては、例えば、活性炭、アルミナ、ジルコニア等が好適であり、特に活性炭が好ましい。活性炭は、木材、木炭、果実ガラ、ヤシガラ、泥炭、亜炭、または石炭などの原料から調製したものを使用でき、鉱物質原料よりも植物質原料が好ましく、特にヤシガラ活性炭が最適である。ヤシガラ活性炭は、他の活性炭に比べて表面積が大きく、シリカ等の不純物が少なく、耐酸性が高いため、活性と耐久性に優れると考えられる。また、活性炭の灰分は0.01〜20質量%が好ましい。
第一成分の、担体に対する担持量は、触媒の還元能と経済性の点で0.01〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは、0.5〜5質量%である。
【0013】
触媒の調製法は特に限定されず、特開平1−319438号公報に記載されているような通常の貴金属触媒の調製法が適用可能であり、例えば8〜10族の金属塩と11族の金属塩とを担体に担持させた後乾燥させる等の方法が挙げられる。ここで、8〜10族の金属塩としては、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、塩化白金酸、塩化ロジウム、塩化イリジウム、硫酸ロジウム等が挙げられ、11族の金属塩としては、硫酸銅、塩化金酸、硫酸銀等が挙げられる。なお、該方法においては、担体に担持した金属塩の少なくとも一部は還元するのが好ましい。
【0014】
本発明における触媒の具体例としては、後述する実施例に記載する触媒の他、Rh−Co−Cu/活性炭(C)(RhとCoとCuとを活性炭に坦持させた触媒、以下同様の意味である。)、Rh−Co−Ag/C、Rh−Co−Au/C、Pt−Au/C、Pd−Ni−Cu/C、Pd−Ni−Ag/C、Pd−Ni−Au/C、Ru−Au/C、Pd−Cu/Al2O3、Pd−Ag/Al2O3、Pd−Au/Al2O3、Pd−Pt−Au/Al2O3、Pd−Rh−Au/Al2O3、Pd−Ir−Au/Al2O3、Rh−Ag/Al2O3、Rh−Au/Al2O3、Rh−Co−Cu/Al2O3、Rh−Co−Ag/Al2O3、Rh−Co−Au/Al2O3、Pt−Au/Al2O3、Pd−Ni−Cu/Al2O3、Pd−Ni−Ag/Al2O3、Pd−Ni−Au/Al2O3、Ru−Au/Al2O3、Pd−Cu/ZrO2、Pd−Ag/ZrO2、Pd−Au/ZrO2、Pd−Pt−Au/ZrO2、Pd−Rh−Au/ZrO2、Pd−Ir−Au/ZrO2、Rh−Ag/ZrO2、Rh−Au/ZrO2、Rh−Co−Cu/ZrO2、Rh−Co−Ag/ZrO2、Rh−Co−Au/ZrO2、Pt−Au/ZrO2、Pd−Ni−Cu/ZrO2、Pd−Ni−Ag/ZrO2、Pd−Ni−Au/ZrO2、Ru−Au/ZrO2等が挙げられる。
これらの触媒は、本発明の反応を長時間実施しても、ほとんど失活することなく、繰り返し使用でき、耐久性にすぐれた触媒である。さらに、本発明の方法においては、該触媒を使用することにより、受酸剤等を使用しなくても、優れた反応成績が維持されうる。
【0015】
本発明においては、上記触媒の存在下に還元反応を行う。還元剤を作用させる反応の形態は、気相法または液相法であるのが好ましく、原料と触媒を接触させうる方法であれば、特に限定されない。このうち、気相法では、触媒を充填した固定床や流動床の反応器に原料を連続的に導入する方法等が、液相法では、触媒を充填した耐圧容器にバッチまたは連続で原料を導入する方法等が好適に用いられる。
【0016】
本発明の原料化合物としては、R1COR2(ただし、R1およびR2は、それぞれ独立に、フッ素原子を必須とする少なくとも1種のハロゲン原子が結合した炭素数1〜40のハロゲン化アルキル基を示す。)で表されるハロゲン化ケトンまたはその水和物である。R1およびR2の炭素数はそれぞれ1〜10が好ましく、1〜3が特に好ましい。ハロゲン化アルキル基の構造は限定されず、直鎖構造または分岐構造であるのが好ましい。
ハロゲン化アルキル基は、アルキル基の水素原子の1個以上が、フッ素原子を必須とするハロゲン原子によって置換された基であり、該ハロゲン化アルキル基中には水素原子が存在していてもよく、または存在しなくても(すなわち、ペルハロゲン化アルキル基であっても)よい。ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子としては1種であっても2種以上であってもよく、フッ素原子のみ、またはフッ素原子と塩素原子であるのが好ましい。
ハロゲン化ケトンの具体例としては、CF3COCF3、CF3COCHF2、CF3COCH2F、CF3COCH3、CF3COCF2Cl、CF3COCFCl2、CF3COCH2Cl、CF3COCHCl2、CF3COCCl3、CF2ClCOCF2Cl等が挙げられる。
ハロゲン化ケトンの入手方法としては、特に限定されず、たとえば、公知の方法によって製造したハロゲン化ケトンが挙げられる。また、ハロゲン化ケトンのうちR1およびR2がペルフルオロ化された基であるハロゲン化ケトンは、部分フッ素化されたエステル化合物を液相フッ素化法によりペルフルオロエステル化合物とし、つぎにエステル結合を分解することによっても製造できる。
また、本発明の原料化合物は、前記ハロゲン化ケトンの水和物であってもよい。該水和物は、ハロゲン化ケトンを水に吸収または水と接触させることで容易に得られる。ハロゲン化ケトンの水和物としては、CF3C(OH)2CF3で表される1水和物、CF3C(OH)2CF3・2H2Oで表される3水和物等が挙げられる。なお、水和物は、原料段階において水和物でないものが、反応系中の水分等によって水和物に変化して形成する場合もありうる。
【0017】
還元剤を作用させるときに用いる還元剤と原料化合物の割合は、特に限定されない。還元剤としては水素(H2)が好ましい。還元剤として水素を使用する場合には、原料化合物に対する水素量は化学量論量以上であるのが好ましく、より好ましくは1.2〜10倍モル、特に好ましくは1.5〜5倍モルにするのが反応活性、触媒耐久性、生成物回収の点で好ましい。
【0018】
還元剤を作用させる際の反応圧力は、常圧、または加圧が好ましいが、減圧であってもよい。また、反応温度は、低すぎると反応速度が遅くなり、ハロゲン化アルコ−ルの収率が低くなり、高すぎると酸性化合物の生成や触媒層温度の上昇にともなう触媒劣化が起こるため、反応温度は30〜450℃が好ましく、より好ましくは50〜200℃、特に好ましくは70〜150℃である。
また、気相法で反応を行う場合には、原料と生成物が反応器内で気体であり続ける反応温度と圧力を用いるのが好ましい。また、気相法における触媒に対する接触時間は、0.1〜1000秒が好ましく、より好ましくは1〜100秒、特に好ましくは5〜20秒である。
【0019】
本発明の反応では、ハロゲン化ケトンまたはその水和物のカルボニル基の還元反応が起こる。また、水和する水の脱離や、水和する水との結合の切断がおこる。そして、R3CHOHR4で表されるハロゲン化アルコールが生成する。ここで、R3はR1に対応する基、R4はR2に対応する基である。ハロゲン化ケトンまたはその水和物中のハロゲン原子がフッ素のみである場合には、R3およびR4は、それぞれR1およびR2と同一の基である。一方、R1およびR2がそれぞれハロゲン原子として、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子から選ばれる1種以上のハロゲン原子を含む基である場合、本発明の反応によって、該ハロゲン原子の1つ以上が水素原子に置換されてもよい。該場合においては、R3およびR4は、それぞれR1およびR2のフッ素原子以外のハロゲン原子の一部が水素原子に置換された基となりうる。ハロゲン化ケトンまたはその水和物がフッ素原子以外のハロゲン原子を有する場合、ハロゲン化アルコールは2種以上の混合物として生成しうる。ハロゲン化アルコールが2種以上生成した場合には必要に応じて、これらを分離するのが好ましい。
ハロゲン化アルコールの具体例としは、CF3CH(OH)CF3,CHF2CH(OH)CF3,CHF2CH(OH)CHF2,CF2ClCH(OH)CF3、CF2ClCH(OH)CF2Cl、CH3CH(OH)CF3などが挙げられる。これらのハロゲン化アルコールは、溶媒として、界面活性剤、乳化剤、医薬の原料、各種有機合成中間体として有用な化合物である。
【0020】
【実施例】
以下に本発明の具体的態様を実施例および比較例により説明するが、本発明は必ずしもこれに限定されない。
【0021】
[調製例1]
ヤシガラ活性炭を純水中に浸漬し細孔内部まで水を含浸させた。これに塩化パラジウムと硫酸銅をPdとCuの質量比換算で9:1の割合で溶解した水溶液を活性炭の質量に対する金属成分の全質量が0.5%となる量まで少しずつ滴下してイオン成分を活性炭に吸着させた。さらに純水を用いて洗浄した後、150℃で5時間乾燥した。次に窒素中550℃で4時間乾燥した後、水素を導入し、5時間、250℃に保持して還元して、触媒(Pd−Cu/C触媒)を得た。
【0022】
[調製例2]
調製例1における塩化パラジウムと硫酸銅を、硫酸パラジウムと硫酸銀をPd:Ag=9:1(換算質量比)に変更すること以外は調整例1と同様に行い、触媒(Pd−Ag/C触媒)を得た。
【0023】
[調製例3]
調製例1における塩化パラジウムと硫酸銅を、塩化パラジウムと塩化金酸をPd:Au=9:1(換算質量比)に変更し、調製例1における乾燥温度550℃を500℃に変更すること以外は調整例1と同様に行い、触媒(Pd−Au/C触媒)を得た。
【0024】
[調製例4]
調製例1における塩化パラジウムと硫酸銅を、塩化パラジウム、塩化白金酸、および、塩化金酸をPd:Pt:Au=90:2:8(換算質量比)に変更し、調製例1における乾燥温度550℃を500℃に変更すること以外は調整例1と同様に行い、触媒(Pd−Pt−Au/C触媒)を得た。
【0025】
[調製例5]
調製例1における塩化パラジウムと硫酸銅を、塩化パラジウム、塩化ロジウム、および、塩化金酸をPd:Rh:Au=90:1:9(換算質量比)に変更し、調製例1における乾燥温度550℃を500℃に変更すること以外は調整例1と同様に行い、触媒(Pd−Rh−Au/C触媒)を得た。
【0026】
[調製例6]
調製例1における塩化パラジウムと硫酸銅を、塩化パラジウム、塩化イリジウム、および、塩化金酸をPd:Ir:Au=90:1:9(換算質量比)に変更し、調製例1における乾燥温度(550℃)を500℃に、還元温度(250℃)を300℃に変更すること以外は調整例1と同様に行い、触媒(Pd−Ir−Au/C触媒)を得た。
【0027】
[調製例7]
調製例1における塩化パラジウムと硫酸銅を、硫酸ロジウムと硫酸銀をRh:Ag=9:1(換算質量比)に変更し、調製例1における還元温度(250℃)を300℃に変更すること以外は調整例1と同様に行い、触媒(Rh−Ag/C触媒)を得た。
【0028】
[調製例8]
調製例1における塩化パラジウムと硫酸銅を、塩化ロジウムと塩化金酸をRh:Au=9:1(換算質量比)に変更し、調製例1における還元温度(250℃)を300℃に変更すること以外は調整例1と同様に行い、触媒(Rh−Au/C触媒)を得た。
【0029】
[実施例1〜8]
調製例1〜8において調製した触媒100mlを、それぞれ内径16mm、長さ1mのインコネル600製反応管に充填してオイルバスで加熱し、これに水素とHFAを導入して、表1に示す反応条件で還元反応を行った。100時間反応後の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
[実施例9〜11]
調製例1〜3において調製した触媒100mlを、それぞれ内径16mm、長さ1mのインコネル600製反応管に充填してオイルバスで加熱し、これに水素と1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラフルオロアセトンを導入して表2に示す反応条件で還元反応を行った。100時間反応後の結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
[実施例12〜14]
調製例1〜3において調製した触媒100mlを、それぞれ内径16mm、長さ1mのインコネル600製反応管に充填してオイルバスで加熱し、これに水素とクロロペンタフルオロアセトンを導入して表3に示す反応条件で還元反応を行った。100時間反応後の結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
[比較例1]
0.5%Pd/アルミナ触媒(日本エンゲルハルド社製、100ml)を、内径16mm、長さ1mのインコネル600製反応管に充填して水素を導入し、300℃で5時間保持して還元した。次いで、これに水素とHFAを導入して、表5に示す反応条件で反応を行った。100時間反応後の結果を表4に示す。
【0036】
[比較例2]
還元ニッケル触媒(Ni:45〜47%,Cr:2〜3%,Cu:2〜3%,ケイソウ土:27〜29%,黒鉛:4〜5%、日揮化学社製)100mlを、内径16mm、長さ1mのインコネル600製反応管に充填して水素を導入し、300℃で5時間保持して還元した。次いで、これに水素とHFAを導入して表5に示す反応条件で反応を行った。100時間反応後の結果を表4に示す。
【0037】
[比較例3]
2%Pd/活性炭触媒(日本エンゲルハルド社製、100ml)を、内径16mm、長さ1mのインコネル600製反応管に充填して水素を導入し、300℃で5時間保持して還元した。次いで、これに水素とHFAを導入して表5に示す反応条件で反応を行った。100時間反応後の結果を表4に示す。
【0038】
[比較例4]
銅−酸化クロム触媒(CuO:44〜46%,Cr2O3:43〜44%,MnO2:4〜5%)100mlを、内径16mm、長さ1mのインコネル600製反応管に充填して水素を導入し、300℃で5時間保持して還元した。次いで、これに水素とHFAを導入して表5に示す反応条件で反応を行った。100時間反応後の結果を表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】
[実施例15〜17、比較例5]
CF3COCF3を3倍モル以上の水に吸収させ、これを蒸留することでCF3C(OH)2CF3・2H2Oの共沸混合物(沸点:105〜106℃)を得た。次に、2Lの容量を有するハステロイ製の加圧撹拌式オートクレーブ中に、調製例1〜3において調製した触媒(10g、実施例15〜17)または2%Pd/活性炭触媒(日本エンゲルハルド社製)(10g、比較例5)と、上記調製したCF3C(OH)2CF3・2H2O(1000g)をそれぞれ仕込み、水素で容器内を置換した後、0.5MPa(ゲージ圧)に加圧して、表4に示す反応温度で反応を行った。5時間反応させた後に触媒を、フィルタ−によって反応物と濾別し、同様の反応を10回繰り返した。10回目の反応終了後の結果を表5に示す。
【0041】
【表5】
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の2種の元素を必須とする触媒を用いてHFA等のハロゲン化ケトンまたはHFA水和物等のハロゲン化ケトンの水和物の還元反応を行うことにより、高い転化率および高い選択率で目的とするハロゲン化アルコールを得ることができる。また、本発明の反応は長時間継続させた場合にも高い転化率および高い選択率が維持できる工業的にすぐれた方法である。また、用いた触媒はくり返し用いることができ、かつ、くり返し用いても良好な反応成績が維持される利点がある。よって、本発明の方法によれば、触媒を長期に用いながら、ハロゲン化アルコ−ルを高収率で得ることができ、受酸剤等を使用しなくても、良好な反応成績を維持することができる。
Claims (9)
- 第一成分として9および10族元素から選ばれる少なくとも1種の元素と、第二成分として11族元素から選ばれる少なくとも1種の元素とを含む触媒の存在下に、R1COR2で表されるハロゲン化ケトンおよび該ハロゲン化ケトンの水和物から選ばれる少なくとも1種の原料化合物を還元剤の作用のもとに反応させることを特徴とするR3CHOHR4で表されるハロゲン化アルコ−ルの製造方法。
ここで、R1およびR2はそれぞれ独立に、フッ素原子を必須とする少なくとも1種のハロゲン原子が結合した炭素数1〜40のハロゲン化アルキル基を示し、R3はR1に対応し、R4はR2に対応し、それぞれ、R1およびR2と同一の基、または、R1およびR2が、それぞれ塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれる1種以上のハロゲン原子を有する基である場合には、該ハロゲン原子の1つ以上が水素原子に置換されていてもよい。 - 原料化合物がCF3COCF3およびその水和物から選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、ハロゲン化アルコールが(CF3)2CHOHである請求項1に記載の製造方法。
- 還元剤が水素である請求項1または2に記載の製造方法。
- 原料化合物に対して化学量論量以上の水素を用いる請求項3に記載の製造方法。
- 触媒における第一成分がPd、Co、Ni、Ru、Rh、IrおよびPtからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、第二成分がCu、AgおよびAuからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 触媒における第一成分がPdであり、第二成分がAuである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 触媒における第二成分の量が、第一成分と第二成分の合計質量に対して0.01〜90質量%である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 触媒が、活性炭上、アルミナ担体上、またはジルコニア担体上に、第一成分および第二成分が担持された触媒である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
- 受酸剤を用いずに反応を行う請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
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