JP5019104B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
例えば下記特許文献1では、操舵部材と転舵機構との間に配置された伝達機構と、この伝達機構を介して操舵部材と転舵機構とを機械的に連結することができるクラッチとを備えるステアバイワイヤ式の車両用操舵装置が開示されている。この車両用操舵装置では、例えば転舵機構に異常が発生したときに、操舵部材と転舵機構とを機械的に連結するようになっている。
なお、上記において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用操舵装置1の概略構成を示す模式図である。また、図2は、車両用操舵装置1に備えられた伝達機構4の模式的な断面図である。
図1を参照して、本実施形態に係る車両用操舵装置1は、ステアバイワイヤモードとパワーステアリングモードとの切り換えが可能な車両用操舵装置であり、操舵部材としてのステアリングホイール2と、転舵機構としてのラックアンドピニオン機構3と、操舵部材および転舵機構を機械的に連結するための伝達機構4および連結機構5とを備えている。
ラックアンドピニオン機構3は、車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸12と、ラック軸12に形成されたラック13に噛み合うピニオン14が一端に形成されたピニオン軸15と、ラック軸12に同軸的に連結され、当該ラック軸12に転舵力を付与するための転舵アクチュエータ16とを含む。
連結機構5は、互いに対向する第1の部材20と第2の部材21とを含む。第1の部材20は、ステアリングシャフト6の他端(ステアリングホイール2が連結された端部と反対側の端部)に一体回転可能に連結されている。また、第2の部材21は、伝達機構4と連動する回転軸22に一体回転可能に連結されている。これら第1の部材20および第2の部材21がECU10の制御により互いに連結されることで、ステアリングシャフト6と回転軸22とが一体回転可能に連結される。連結機構5としては、例えば、電磁クラッチ、摩擦クラッチ、噛み合いクラッチ等が挙げられる。
一対のケーブル23は、それぞれ、例えば合成樹脂等の可撓性のある材料で形成されたアウターチューブ28と、アウターチューブ28内を移動可能に挿通する例えば金属製ワイヤーからなるインナーケーブル29とを有する。各ケーブル23のアウターチューブ28の一端は、第1のケーシング24に連結されており、他端は第2のケーシング26に連結されている。また、各ケーブル23のインナーケーブル29の一端は、第1のプーリ25に連結されており、他端は第2のプーリ27に連結されている。各ケーブル23のインナーケーブル29は、互いに逆向きに第1のプーリ25の外周に巻きつけられている。同様に、各ケーブル23のインナーケーブル29は、互いに逆向きに第2のプーリ27の外周に巻きつけられている。
ステアリングシャフト6と回転軸22とが連結された状態で、ステアリングホイール2が操舵されると、ステアリングシャフト6および回転軸22とともに第1のプーリ25が回転する。このとき、一方のインナーケーブル29の一端側が第1のプーリ25に巻き取られ、当該一方のインナーケーブル29の他端側が第2のプーリ27から巻き出される。これにより、第1のプーリ25の回転が第2のプーリ27に伝達され、第2のプーリ27がピニオン軸15とともに回転する。そして、このピニオン軸15の回転は、ラック13およびピニオン14によってラック軸12の対応する軸方向への移動に変換され、転舵輪7が転舵される。
図3は、車両用操舵装置1の制御モードを説明するための図である。
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る車両用操舵装置1は、3つの制御モードを有している。すなわち、ステアリングホイール2とラックアンドピニオン機構3とが機械的に連結されていない状態で転舵輪7の転舵が行われる上記ステアバイワイヤモード(以下、「SBWモード」という。)と、ステアリングホイール2とラックアンドピニオン機構3とが機械的に連結された状態で転舵輪7の転舵が行われる上記パワーステアリングモード(以下、「EPSモード」という。)と、SBWモードおよびEPSモードの一方から他方への移行期間での制御モードである移行モードとを有している。
図4は、SBWモードにおける車両用操舵装置1の制御フローである。
図1および図4を参照して、SBWモードでは、ステアリングホイール2とラックアンドピニオン機構3とが機械的に連結されていない状態で、ステアリングホイール2が操舵される。ステアリングホイール2が操舵されると、ステアリングホイール2の操舵角および操舵トルクがそれぞれ操舵角センサ8およびトルクセンサ9によって検出される。またこのとき、車速センサ30によって車速が検出される。そして、これら操舵角、操舵トルクおよび車速等の検出値は、ステップS1において、ECU10に入力される。ECU10は、この入力された検出値に基づいて反力用モータ11および転舵用モータ19を制御する。
一方、ECU10は、ステップS3において、上記操舵角等に基づいて反力用モータ11を反力制御する。これにより、反力用モータ11からステアリングホイール2に操舵反力が付与され、EPSモードでの操舵フィーリングと同様の操舵フィーリングが運転者に付与される。
図1および図5を参照して、EPSモードでは、ステアリングホイール2とラックアンドピニオン機構3とが、ステアリングシャフト6、伝達機構4および連結機構5によって機械的に連結された状態で、ステアリングホイール2が操舵される。そして、ステアリングホイール2が操舵されると、上述のSBWモードと同様に、ステアリングホイール2の操舵角、操舵トルクおよび車速がそれぞれ対応するセンサ8,9,30によって検出され、これらの検出値が、ステップS11において、ECU10に入力される。
図6を参照して、SBWモードからEPSモードに移行する場合、移行の前提として、EPSモードへの移行が必要であるか否かがECU10によって判断される(ステップS21)。例えば、転舵アクチュエータ16やストロークセンサ18等に異常が発生している場合には、EPSモードへの移行が必要であると判断され(Yes)、ステップS22において、連結機構5を連結させるための連結信号(切り換え信号)がECU10から出力される。一方、ECU10においてEPSモードへの移行が不要であると判断された場合(Noの場合)には、EPSモードへの移行が必要であるか否かの判断が所定の周期で繰り返される。
すなわち、連結信号の出力と同時に、操舵反力(反力用モータ11の発生反力)が、例えば連結信号出力時のステアリングホイール2の操舵角や転舵輪7の転舵角、車速などの値から予想される連結完了時の操舵反力(路面から受ける反力)に漸次近づくように反力用モータ11が制御される。
図8を参照して、EPSモードからSBWモードに移行する場合、移行の前提として、SBWモードへの移行が必要であるか否かがECU10によって判断される(ステップS31)。例えば、車速と舵角から目標ヨーレートを演算し、ヨーレートセンサ33(図1参照)により検出された実測ヨーレートとの偏差が所定の閾値を超えたときにSBWモードに移行させ、車両姿勢の安定化を行う場合には、SBWモードへの移行が必要であると判断され(Yes)、ステップS32において、連結機構5による連結を解除させるための連結解除信号(切り換え信号)がECU10から出力される。一方、ECU10においてSBWモードへの移行が不要であると判断された場合(Noの場合)には、SBWモードへの移行が必要であるか否かの判断が所定の周期で繰り返される。
すなわち、連結解除信号の出力と同時に、操舵反力(ここでは、路面から受ける反力と反力用モータ11から受ける操舵補助力との差)が、例えば連結解除信号出力時におけるステアリングホイール2の操舵角や転舵輪7の転舵角、車速などの値から設定される連結解除完了時の操舵反力(反力用モータ11からの発生反力)に漸次近づくように反力用モータ11が制御される。
一方、連結機構5による連結解除が完了すると、ステアリングホイール2に付与されていた路面からの反力が急峻になくなり、ステアリングホイール2には反力用モータ11からの反力が入力される(図9では、操舵反力の値がRT13となる)。したがって、従来の車両用操舵装置であれば連結解除と同時に体感上の操舵反力に大きな変動が生ずることになる。しかしながら、本実施形態に係る車両用操舵装置1では、移行モードにおいて、ステアリングホイール2に加わる操舵反力が、予め設定された連結解除完了時の操舵反力に漸次近づくように反力用モータ11が制御されている。したがって、上記連結解除の前後における体感上のトルク変動幅が小さくなっている(図9では、操舵反力RT13と操舵反力RT11との差になっている)。これにより、運転者は、連結機構5による連結解除の前後であっても、操舵フィーリングに違和感を抱くことなくステアリングホイール2を操舵することができる。
図10は、本発明の他の実施形態に係る車両用操舵装置1aの概略構成を示す模式図である。この図10において、上述の図1および図2に示された各部と同等の構成部分については、図1および図2と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
伝達シャフト31の一端は連結機構5の第2の部材21に連結され、他端は自在継手32を介してピニオン軸15に連結されている。伝達シャフト31は、連結機構5の第1の部材20と第2の部材21とが連結された状態で、ステアリングホイール2の回転をピニオン軸15に伝達することができる。
Claims (2)
- 操舵部材に連結された第1の回転部材と、
転舵機構に連結された第2の回転部材と、
第1の回転部材および第2の回転部材を連結する連結状態とその連結を解除する連結解除状態を切り換える切り換え部材と、
操舵部材に操舵反力を与えるための反力アクチュエータと、
上記連結解除状態で転舵機構を駆動する転舵アクチュエータと、
転舵アクチュエータ、反力アクチュエータおよび切り換え部材を制御する制御部と、を備え、
この制御部は、上記連結解除状態で、転舵アクチュエータを転舵制御するとともに反力アクチュエータを反力制御するステアバイワイヤモードと、上記連結状態で、転舵アクチュエータおよび反力アクチュエータの少なくとも一方をアシスト手段として操舵補助制御を行うパワーステアリングモードと、ステアバイワイヤモードおよびパワーステアリングモードの一方から他方への移行期間に反力アクチュエータを反力制御する移行モードとを有し、
上記移行モードでは、切り換え部材への切り換え信号の出力に応じて反力アクチュエータの発生反力を、予め設定された切り換え完了時の反力に漸次近づけるように反力アクチュエータが制御されるようにしてあることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、上記制御部は、転舵状態を検出する転舵状態検出手段または転舵アクチュエータの異常発生に応じて、ステアバイワイヤモードから移行モードを介してパワーステアリングモードに移行するようにされており、
パワーステアリングモードに移行するための移行モードでは、切り換え部材への切り換え信号の出力に応じて反力アクチュエータの発生反力を、予め設定された切り換え完了時の反力に漸次増加するように反力アクチュエータが制御されるようにしてあることを特徴とする車両用操舵装置。
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