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JP5014178B2 - ガスメータ - Google Patents

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JP5014178B2 JP2008013635A JP2008013635A JP5014178B2 JP 5014178 B2 JP5014178 B2 JP 5014178B2 JP 2008013635 A JP2008013635 A JP 2008013635A JP 2008013635 A JP2008013635 A JP 2008013635A JP 5014178 B2 JP5014178 B2 JP 5014178B2
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Description

本発明は、ダストから流量センサを保護しながら被測定ガスの流量を高精度に信頼性良く計測することのできる簡易な構造のガスメータに関する。
熱式の流量センサを用いたガスメータにおいて、その検出感度を高めて微少流量を検出するべく、流量センサを壁面に取り付けた流路の内部を、その流体通流方向に沿って複数の平行な微小流路に区画することで上記壁面位置での流速を高めることや、その流路の途中にノズル部を設けることで該ノズル部での流速を高めることが提唱されている(例えば特許文献1,2を参照)。
特開平4−69521号公報 特開平11−173896号公報
しかしながら上述したようにして微少流量に対する検出感度を高くした場合、これに伴って大流量に対する検出感度も高くなるので、大流量の通流時には流量センサの出力が飽和し、その計測ができなくなると言う問題がある。これ故、例えば最大計測流量が30,000[L/h]程度のガスメータにおいて、5[L/h]程度の微少な漏れ流量までを精度良く検出することが困難であった。
一方、検出精度を高めるには、被測定ガスに混入した異物(ダスト)の流量センサの付着を防止することが重要である。そこで従来より被測定ガスの流路にダスト除去フィルタを介挿することが種々試みられている。しかしながら被測定ガスの供給圧が2kPa程度の低圧ガスメータにおいて許容される圧力損失は高々200Pa程度であり、圧力損失の大きいダスト除去フィルタを設けるには問題がある。特にダスト捕捉率の高い、いわゆる目の細かいダスト除去フィルタは、その圧力損失が大きいので、上述した低圧のガスメータに組み込むことが甚だ困難であった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、被測定ガスに混入した異物(ダスト)から流量センサを保護しながら、例えばガス漏れ等の微少流量からガスの通常使用状態における大流量までを簡易に、精度良く、且つ信頼性良く検出することのできる簡易な構造のガスメータを提供することにある。
具体的には本発明は、例えば5[L/h]程度の微少な漏れ流量から30,000[L/h]程度の大流量までを計測し得るように構成したガスメータであって、特にダストから流量センサを確実に保護しながら、流量計測の信頼性とその計測精度の向上を図ることのできる簡易な構成のガスメータを提供することを目的としている。
上述した目的を達成するべく本発明に係るガスメータは、
<a> 被測定ガスを通流する主流路の流路断面を流路方向に沿って平行に区画して並列に設けられ、ガス流量に応じて前記被測定ガスを分流して通流する第1、第2および第3の流路と、
<b> 上記第1の流路に設けられた流量計測用の流量センサ、および前記第2の流路に設けられた漏れ流量計測用の流量センサと、
<c> 前記第1および第2の流路の一端側またはその両端にそれぞれ設けられた整流用フィルタと、
<d> 前記第1の流路の一端側またはその両端に設けられて前記被測定ガスに混入した異物を捕捉して前記第1の流路への異物の流入を阻止する異物除去フィルタと
を具備したことを特徴としている。
ちなみに前記第3の流路は、前記第1および第2の流路よりも流路断面積の小さい複数の平行に設けられた微細流路の集合体からなり、前記第1および第2の流路に比較して分流量が大で、前記主流路を通流する被測定ガスの殆どを通流するものであって、
前記第3の流路に比較して流路断面積が微小な前記第1および第2の流路は、前記主流路を通流する被測定ガスの流量が少ないときには前記第3の流路との間での分流比が高くなり、前記主流路を通流する被測定ガスの流量が多いときには前記第3の流路との間での分流比が低くなるものとして構成される。
また前記第2の流路は、被測定ガスの流れに対する助走区間を確保した後にその流路断面積を絞り込んだ幅狭部を備え、この幅狭部に流量センサを組み込んだ流路構造を有する。即ち、前記第2の流路は、上記助走区間に流れ込んだ被測定ガスを前記幅狭部に導くことでその流速を高め、これによって上記被測定ガスが微少量であってもその流量を確実に検出し得るように構成される。このガス漏れ計測用の第2の流路については、前述した異物除去フィルタを設けない方が好ましく、換言すれば流量計測に供される前記第1の流路にだけ異物除去フィルタを設けることが好ましい。
尚、前記第1および第2の流路、ならびに前記第3の流路を形成する複数の微細流路については、例えば前記主流路の流路方向に沿って設けられた複数の隔壁体により該主流路の流路断面を区画して形成すれば良い。
上述した基本構成のガスメータによれば、流量計測に供される第1の流路にだけ異物除去フィルタを設けているので、第1の流路に設けられた流量センサの検出特性が異物の付着によって変化することがない。しかも前記流量センサが設けられる第1および第2の流路は、前記主流路を通流する被測定ガスの流量が少ないときには第3の流路との分流比が高くなって微少流量の被測定ガスをより多く通流し、また前記主流路を通流する被測定ガスの流量が多いときには第3の流路との分流比が低くなって大流量の被測定ガスの通流を抑える。従ってこのように作用する第1および第2の流路のそれぞれに流量センサを設けることで、ガス漏れ等の微少流量からガスの通常使用状態における大流量までを広範囲に亘って簡易に、精度良く計測することが可能となる。
また流量計測に供される第1の流路および漏れ流量の検出に供される第2の流路の各流路断面積が前記第3の流路の流路断面積に比較して十分に狭く、これによって分流量の大きい第3の流路に被測定ガスの殆どが通流するので、圧力損失の問題を招来することなく第1の流路に異物除去フィルタを組み込むことができる。従って常にクリーンな状態で精度良く被測定ガスの流量を計測することが可能となる。
尚、第2の流路については、漏れ流量の有無が検出できれば十分であり、上述した異物除去フィルタを設けてその計測精度を高める必要がない。従って第1の流路に設けた異物除去フィルタの存在によって圧力損失が高まり、これが災いしてガス漏れに起因する微少流量の被測定ガスが第2の流路に流入し難くなることがない。この結果、第1の流路において被測定ガスの流量を信頼性良く高精度に検出しながら、第2の流路において微少流量のガス漏れを確実に検出することが可能となる。
また上記構成によれば、第3の流路の存在と相俟って前記第1および第2の流路にそれぞれ組み込まれた流量センサを飽和させることなく、微少流量から大流量までを一括して広範囲に検出することが可能となる。
尚、前記第2の流路については、前記被測定ガスの流れに対する助走区間を確保した後、その流路断面積を絞り込む幅狭部を設けておき、この幅狭部に前記流量センサを組み込むようにすれば、第2の流路に導かれた微少流量の流速を上記幅狭部において早めることができる。この結果、流量センサによる検出感度を実質的に高めることができるので、微少流量を容易に検出することが可能となる。特に上記幅狭部は大流量に対する流路抵抗としても作用するので、前述した第3の流路との間での分流比を受動的に変化させる上でも有効に作用する。
以下、図面を参照して本発明に係るガスメータについて説明する。
このガスメータは、例えば被測定ガスの質量流量を検出する熱式流量センサを用いて構成される。特に図示しないが上記熱式流量センサは、例えばシリコン基板やガラス基板上に形成した肉薄のダイヤフラム上に、発熱抵抗素子を間にして流体の通流方向に一対の感温抵抗素子を設けたものからなり、そのセンサ面に沿って通流する流体による該センサ面近傍の温度分布の変化から上記流体の流量(流速)を検出するように構成される。
図1は本発明に係るガスメータの基本的な構成を説明する為の図である。このガスメータは、図1に示すように被測定ガスを通流する主流路1の途中に上記被測定ガスを分流して通流する第1、第2および第3の流路2,3,4を並列に設けて構成される。特に第3の流路4は、主流路1を通流する被測定ガスの殆どを通流させるべく、前記第1および第2の各流路2,3に比較して流路断面積の大なるものとして形成されている。具体的には第1および第2の流路2,3は、主流路1の略5%の流路断面積を有する流路としてそれぞれ形成され、これに対して第3の流路4は主流路1の略90%の流路断面積を有する流路として形成されている。
尚、前記第3の流路4は、後述するように第1および第2の流路2,3の各流路断面積よりも狭い、例えば半分程度の流路断面積を有する複数の微細流路の集合体として実現されている。そして第3の流路4の被測定ガスに対する流路抵抗R3は、微少流量に対しては前記第1および第2の流路2,3の各流路抵抗R1,R2よりも高く、流量が増大するに伴って前記第1および第2の流路2,3の流路抵抗R1,R2と前記第3の流路4の流路抵抗R3との差が低減するものとなっている。
即ち、前記第1、第2の流路2,3および前記第3の流路4は、主流路1を通流する被測定ガスの流量(流速)Vに応じてその流路抵抗R1,R2,R3を受動的に変化させ、これによって被測定ガスに対する上記各流路2,3,4間での分流比を変化させるものからなる。これらの第1、第2および第3の流路2,3,4は、等価的には図2に示すような抵抗回路をなす。そして前記第1、第2および第3の流路2,3,4の各流路抵抗R1,R2,R3は、主流路1を通流する被測定ガスの流量(流速)Vに応じて、例えば図3に示すように受動的に変化する。これによって前記記第1、第2および第3の流路2,3,4は、上記各流路抵抗R1,R2,R3に応じて被測定ガスを流量I1,I2,I3に分流してそれぞれ通流し、その分流比[I1/(I1+I2+I3)],[I2/(I1+I2+I3)]が図4に示すように前記流体の流量(流速)Vにより変化する流路構造をなす。
そしてこのような流路構造を有するガスメータの上述した第1および第2の流路2,3に前述した熱式流量センサ5,6がそれぞれ組み込まれる。特に後述するように第1の流路2に組み込まれる熱式流量センサ5は流量計測用のセンサとして用いられ、また第2の流路3に組み込まれる熱式流量センサ6は後述するように漏れ検出用のセンサとして用いられる。
ちなみに前述した第1、第2および第3の流路2,3,4は、例えば主流路1を形成する配管の内部空間を流路方向に延びる隔壁体を用いて区画することにより流路断面積の異なる空間(流路)として形成される。このような第1、第2および第3の流路2,3,4の各流路抵抗R1,R2,R3は、その流路断面積の違いや、配管の内部における層流の速度分布の違い、更には隔壁体の壁面による流速勾配の変化等により、前記配管(主流路1)を通流する被測定ガスの流量(流速)Vにより異なる変化を呈する。
具体的には前記配管(主流路1)を通流する被測定ガスの流量(流速)Vが少ない場合には、流路断面積の大きい第1および第2の流路2,3の流路抵抗R1,R2は、流路断面積の小さい微細流路のまとまりによって形成された第3の流路4の流路抵抗R3よりも小さい。従って微少流量の被測定ガスは、専ら、第1および第2の流路2,3に流れ込む。しかし上記流量(流速)Vが増加すると、これに伴って配管および隔壁体の壁面と被測定ガスとの接触抵抗に起因する速度勾配が増大し、流路断面積の小さい複数の微小流路が形成した第3の流路4の流路抵抗R3に打ち勝って第3の流路4に被測定ガスが流れ込むことになる。即ち、流量に応じて第1〜第3の流路2,3,4の各流路抵抗R1,R2,R3が受動的に変化する。この結果、配管(主流路1)を通流する被測定ガスの流量(流速)Vが増大するに従って前記第3の流路4に比較して前記第1および第2の流路2,3に被測定ガスが流れ難くなり、第3の流路4との間の分流比が変化することになる。
従って第1および第2の流路2,3にそれぞれ流量センサ5,6を設けておけば、主流路1を通流する被測定ガスの流量(流速)Vが微少である場合には、その流量が第1および第2の流路2,3と第3の流路4との流路断面積に応じて分流されるだけなので、上記各流量センサ5,6にて上記微少流量を確実に検出することができる。また主流路1を通流する被測定ガスの流量(流速)Vが増大した場合には、第1および第2の流路2,3の各流路抵抗R1,R2の増大に伴って第1および第2の流路2,3と第3の流路4との間における分流比が変化し、第1および第2の流路2,3をそれぞれ通流する被測定ガスの流量の増大が抑制されるので、前記各流量センサ5,6を飽和させることなく、その流量を確実に検出することが可能となる。
この際、第1の流路2に設ける流量センサ5として、大流量を高精度に検出し得る高速流量センサを用い、また第2の流路3に設ける流量センサ6として微少流量を高精度に検出し得る低速流量センサを用いれば、これらの流量センサ5,6を併用することで微少流量から大流量までを広範囲に亘って計測することが可能となる。尚、第2の流路3の途中に、その管径(流路断面積)を絞り込んだ幅狭部(ノズル部)を設けておけば、第2の流路3に入り込んだ被測定ガスは該第2の流路3内を圧縮されながら通流し、流速が高められた状態で前述した幅狭部を通過することになる。この結果、第2の流路3を通流する被測定ガスの流量(流速)を、見掛け上、前記幅狭部(ノズル部)において高くすることが可能となる。従って上述した流路構造の第2の流路3における幅狭部(ノズル部)に流量センサ6を設けておけば、微少な漏れ流量であってもこれを高感度に検出することが可能となる。
またこのような流路構造であれば、従来技術のように流路の長手方向に沿って異なる流量域を設けることなく、前記流量センサ5,6を流路方向の位置を揃えて設けることが可能である。この為、従来においては計測流量域毎に必要な流路長さが異なり、大流量域と小流量域それぞれに対してその長手方向に沿って設けることが必要であったが、本願発明では異なる流量域を設けるに際し、例えば各流量センサを流路方向の位置を揃えて設けることができるので、流量域に必要な流路長さが一つで済む。これ故、従来技術に比べて流路長さの長大化を招来することがなく、ガスメータの小型化を図ることが容易である。
このように本発明に係るガスメータは、基本的には微少流量の通流時と大流量の通流時とでその分流比が受動的に変化する第1、第2および第3の流路2,3,4の内、微少流量時に分流比が高くなり、大流量時に分流比が低くなる第1および第2の流路2,3に流量センサ5,6をそれぞれ組み込むことで、該流量センサ5,6にて微少流量から大流量までを一貫して検出し得るようにしている。特に第2の流路3に、その流速を高める幅狭部(ノズル部)を設け、この幅狭部(ノズル部)に流速センサ6を設けることで微少な漏れ流量を高感度に検出するものとなっている。
具体的には微少流量の殆どを流量センサ5,6が設けられた第1および第2の流路2,3に導くことで実質的にその流速(見掛け上の流量)を高くし、これによって微少流量を確実に検出し得るようにしている。一方、大流量に対しては上記流量センサ5,6が設けられた第1および第2の流路2,3にそれぞれ導かれる流量を抑えることでその流速の増大を抑え、これによって前記流量センサ5,6を飽和させることなくその流量検出を行わせるものとなっている。従って本発明に係るガスメータによれば、例えば配管のひび割れや傷に起因するガス漏れによる5[L/h]程度の微少流量から、通常のガス使用状態おける最大30,000[L/h]程度の大流量までを、流量センサ5,6にて一貫して計測することが可能となる。特に第1の流路2に、通常のガス使用状態おける流量を高精度に検出し得る大流量用の流量センサ5を設けておけば、前述した流量センサ6の検出精度が大流量時に粗くなることを補うことが可能となるので、実用上、問題なくガス流量の計測を行うことが可能となる。
また従来のように大流量域と小流量域とを長手方向に沿って個別に設けることなく、前記流量センサ5,6を流路周面の同一周方向に設け、定められた流路長において大流量域と小流量域とをそれぞれ形成している。従って大流量計測領域と小流量計測領域とをそれぞれ形成するに必要な流路長さを共通化することができる。故にガスメータを小型化できる構成とすることができる。
さて基本的には上述した如く構成されるガスメータにおいて、本発明が特徴とするところは前述した如く主流路1をその流路方向に沿って区画して構成されて流量センサ5,6が組み込まれる第1および第2の流路2,3の内、流量計測に用いる第1の流路2の一端側またはその両端にだけ、前記被測定ガスに混入した異物を捕捉して前記流量計測路への異物の流入を阻止する異物除去フィルタ7を設けたことを特徴としている。換言すれば第1の流路2にだけ異物除去フィルタ7を設け、漏れ流量の検出に用いる第2の流路3および主流路1を通流する被測定ガスの主たる流路をなす第3の流路4には異物除去フィルタ7を設けないことで、異物除去フィルタ7に起因する圧力損失増大を最小限に抑えたことを特徴としている。
そして異物除去フィルタ7により第1の流路2内への異物(塵埃)の侵入を防ぐことで該第1の流路2に設けられた流量センサ4の性能劣化を防止し、これによってその計測精度を保証し、一方、第2および第3の流路3,4については異物除去フィルタ7の影響を受けることなく被測定ガスがそのまま流れ込むようにすることで、微少量のガス漏れを確実に検出し得るようにし、また圧力損失の問題を招来することなく被測定ガスが通流するようにしたことを特徴としている。
ちなみに第2の流路3には異物除去フィルタ7が設けられないので、第2の流路3内に異物(塵埃)が侵入して流量センサ6の表面に付着し、これによって流量センサ6の検出精度が多少劣化する虞がある。しかし被検出ガスの第2の流路3へ流れ込み自体が異物除去フィルタ7によって妨げられることがないので、微少流量のガス漏れを確実に検出することが可能となる。しかもガス漏れの検出は、微少量のガスが流れているか否かが検出できれば十分であり、敢えてその流量がどの程度であるかを検出する必要がないので、流量センサ6の表面への異物(塵埃)の付着による検出精度の劣化が殆ど問題となることはない。従ってこの点でも第2の流路3に対しては異物除去フィルタ7を設けないようにし、微少流量のガスが確実に流れ込むようにすることが好ましい。
また主流路1の流路断面積の殆どを占める第3の流路4にも異物除去フィルタ7が設けられないので、主流路1を通流する被測定ガスは異物除去フィルタ7による圧力損失の影響を受けることなく第3の流路4を通流する。従って被測定ガスの供給圧が2kPa程度の低圧ガスメータにおいて許容される圧力損失が高々200Pa程度であっても、その許容圧力損失の範囲内にて被測定ガスを安定に通流することが可能である。故に上記構成によれば、例えば30,000[L/h]程度の大流量の被測定ガスを通流する低圧のガスメータにおいて、その計測精度を十分に高めると共に、5[L/h]程度の微少なガス漏れを確実に検出することが可能となる。
図5は上述した如く構成した本発明の一実施形態に係るガスメータの流路構造を、その流体通流方向に分解して模式的に示す図であり、また図6はその要部の断面構造を模式的に示す図である。
このガスメータは、矩形状の流路断面を有する配管11(主流路1)の内部空間を、その流路断面方向に複数の微小な流路に区画して設けられた格子体12を主体として構成される。上記格子体12は、配管11の流体通流方向に沿って平行に設けられた複数の板状の隔壁体を格子状に組み合わせて構成される。特にこの実施形態で用いられる格子体12は、例えば後述するように流量センサが組み込まれるセンサ格子体12aと、このセンサ格子体12aの上流側に設けられる第1および第2の前格子体12b,12c、および上記センサ格子体12aの下流側に設けられる第1および第2の後格子体12d,12eとからなる。
ちなみにこれらの格子体12(12a,12b〜12e)は、例えば略正方形の流路断面形状をなす複数(多数)の微小流路13をマトリックス状に配列形成すると共に、略長方形の流路断面形状をなし、上記微小流路13の略2倍の流路断面積をなす2つの微小流路14を形成したものからなる。これらの2つの微小流路14は、例えば格子体12の辺部において、隣接する2つの微小流路13を区画する板状の隔壁体を部分的に取り除くことによって形成される。そしてこれらの格子体12(12a,12b〜12e)は、図9に示すように各格子体12(12a,12b〜12e)の間にメッシュ体(金網)15(15a,15b,15c,15d)をそれぞれ挟み込んで流体の通流方向に重ね合わせられて、流体の通流方向に連なる複数の流路を形成する。尚、上記各メッシュ体(金網)15は、専ら、前述した格子体12を通して通流する流体を整流する整流フィルタとしての役割を担う。
ちなみに格子体12(12a,12b〜12e)により区画された上記複数(多数)の微小流路13は、個別には前述した微小流路14よりも流路断面積が半分と小さいが、これらのまとまりとして捉えることで、全体的には被測定ガスの殆どを通流する総流路断面積の大きな流路(第3の流路4)を形成していると看做し得る。また2つの微小流路14(14a,14b)は、流量センサ16(16a,16b)がそれぞれ組み込まれて前述した第1および第2の流路2,3として用いられる。
尚、正方形状をなす前記微小流路13の流路断面積は、例えば前記配管11(主流路1)の流路断面積の2.5%程度として設定され、また長方形状をなす前記微少流路14の流路断面積は、前記配管11(主流路1)の流路断面積の5.0%程度として設定される。そして複数の微小流路13のまとまりとして形成される第3の量路4の流路断面積は前記配管11(主流路1)の流路断面積の90%程度を占め、配管11(主流路1)を通流する被測定ガスの殆どを通流する。換言すれば2つの微小流路14a,14bには、それぞれ配管11(主流路1)を通流する被測定ガスの5%程度だけが通流するように設定されている。
特にセンサ格子体12aに形成された2つの微小流路14の一方には、図6に示すようにその流路の略中間位置にノズル19が設けられており、流路断面積が部分的に絞り込まれている。このノズル19が設けられた微少流路14aはガス漏れを検出する為の前述した第2の流路3として用いられ、上記ノズル19にて流路断面積を絞り込んだ位置に低速用流量センサ16aが組み込まれる。またノズル19を設けていない他方の微少流路14bは大流量検出用(流量計測用)の前述した第1の流路2として用いられ、その略中間位置には高速用流量センサ16bが組み込まれる。ちなみにこれらの2つの微小流路14a,14bは、前述した微小流路13のまとまりによって形成される第3の流路から切り離された流路として看做すことで、前述した流量に応じて分流比が変化する流路として捉えることもできる。
そして更に上記流量計測用の微小流路14bの両端には、該微小流路14b内への異物の侵入を防ぐ為のダストフィルタ18a,18b(異物除去フィルタ7)がそれぞれ設けられる。このダストフィルタ18a,18bは、いわゆる目の細かいメッシュ体であって、例えば前述した整流用のメッシュ体(金網)15(15a,15b,15c,15d)が50メッシュ程度である場合には、被計測ガスに混入した異物(塵埃)の除去作用を呈する100メッシュ程度のメッシュ体(金網)からなる。即ち、被計測ガスに含まれる異物(塵埃)であって、微小流路14b(第1の流路2)に組み込まれる高速用流量センサ16bにダメージを与える虞のある上記異物(塵埃)の大きさを考慮した場合、100メッシュ程度の粗さの金網や、畳み折りした金網、或いはポリエチレンやポリプロピレン等を用いたメッシュ体をダストフィルタ18a,18bとして組み込むようにすれば良い。尚、更に集塵効果の高い、いわゆるHEPAフィルタ等をダストフィルタ18a,18bとして用いることも勿論可能である。
但し、ダストフィルタ18a,18bを設けることによって、またその目(メッシュ)が細かくなる程、該ダストフィルタ18a,18bでの圧力損失が増えることが否めない。従って微小流路14bに組み込まれる高速用流量センサ16bに要求される最小検出流量を配慮し、その検出感度を確保し得る範囲において前記ダストフィルタ18a,18bのメッシュ粗さを設定する必要があることは言うまでもない。しかしダストフィルタ18a,18bによって多少の圧力損失が生じたとしても、微小流路14b(第1の流路2)を通流する被計測ガス自体が、前述した流路断面積の比率からその全体の5%程度に抑えられるので全体的には上記圧力損失が殆ど問題となることはない。
尚、上述したようにダストフィルタ18a,18bとしてメッシュ状のものを用いる場合には、このダストフィルタ18a,18bによって被計測ガスに対する整流効果も期待できるので、当該ダストフィルタ18a,18bを設けた部分については前述した整流用のメッシュ体(金網)15を省略することも可能である。
これに対して微少流量(漏れ流量)検出用の微小流路14aには、敢えて上述したダストフィルタ18a,18bを組み込む必要はなく、むしろ前述したようにダストフィルタ18a,18bを設けない方が好ましい。即ち、微少流量(漏れ流量)検出用の微小流路14aに組み込まれる流量センサ16aは、被計測ガスの通流を検出できればその目的を達し、流量そのものを精度良く計測する必要がないので前述した不純物の付着が大きな問題となる虞がない。従ってガス流量を精度良く検出する必要性がなく、漏れ流量を確実に検出すると言う観点から、上記微小流路14にはダストフィルタ18a,18bを設けない方が好ましい。
また上述した如く格子体12を用いて流路を区画した流路構造を有するガスメータによれば、第3の流路4を形成する複数の微小流路13の各流路断面積が、流量センサ16a,16bが組み込まれる2つの微小流路14に比較して狭く、その流路抵抗が大きいので、配管11を通流する被計測ガスが微少流量である場合には、その被計測ガスは主として流路抵抗の小さい2つの微小流路14に流れ込む。そして配管11を通流する被計測ガスの流量が増大するに従って前記微小流路13の流路抵抗に打ち勝って該微小流路13にも上記被計測ガスが流れ込むようになる。
この結果、ガス流量の増大に伴って前記微小流路13に流れ込むガス流量と、微小流路14a,14bに流れ込むガス流量との分流比が変化する。そして流量センサ16a,16bが設けられた微小流路14a,14bを通流する被計測ガスの流量は、その流量の増大に伴って次第に抑制されることになる。従って微小流路14a,14bにそれぞれ設けられた流量センサ16a,16bの微少流量に対する検出感度を高くし、また大流量の通流時には微小流路14a,14bに分流されて流れ込む流量を抑制することができるので、上記流量センサ16a,16bの飽和を抑えながら流量検出を行わせることが可能となる。
また上記流路構造を有するガスメータにおいては、前述したように低速用流量センサ16aが組み込まれる一方の微小流路14の略中央位置には、その流路断面積を絞り込んだノズル部19が設けられている。そしてこのノズル部19が設けられたセンサ格子体12aの上流側に設けられた前記第1および第2の前格子体12b,12cは、微小流路14aに流れ込む被計測ガスに対する助走区間を形成しており、この助走区間に流れ込んだ被計測ガスの全てを前記ノズル部19に送り込むものとなっている。この結果、微小流路14に流れ込んだ被計測ガスは、前記ノズル部19による流路断面積の絞り込みによってその流速が高められので、該微小流路14aのノズル部19に設けられた低速用流量センサ16aは、より高精度に微少流量を検出することが可能となる。特に上記低速用流量センサ16aは、ノズル部19を形成していない他方の微小流路14bに設けられた高速用流量センサ16bよりも高感度に微少流量を検出することが可能となる。
そして高速用流量センサ16bが組み込まれる他方の微小流路14bの両端には前述したダストフィルタ18a,18b(異物除去フィルタ7)が設けられており、該微小流路14b内への異物(塵埃)の侵入が阻止されている。従って高速用流量センサ16bへの異物(ダスト;塵埃)の付着を効果的に防止することができるので、該高速用流量センサ16bでの流量計測信頼性を安定的に確保して高精度な流量計測を行うことが可能となる。
特に上記流路構造のガスメータによれば、第1および第2の流路2,3(微小流路14a,14b)の総流路断面積に比較して第3の流路4(複数の微小流路13の集まり)の総流路断面積が広いので被測定ガスの殆どが第3の流路4を通流し、被測定ガスの高々数%程度だけが第1の流路2(微小流路14b)を通流する。従って前述した如く異物除去フィルタ7(ダストフィルタ18a,18b)を設けたとしても、その存在が圧力損失の増大を招来することが殆どない。換言すれば圧力損失の問題を招来することなくダストフィルタ18a,18bを設けて流量センサ16bを異物(ダスト)から保護することができる。従って、例えば被測定ガスの供給圧が2kPa程度であり、許容される圧力損失が高々200Pa程度の低圧ガスメータであっても、ダストフィルタ18a,18bを用いて流量センサを簡易にして効果的に保護することが可能となる。
尚、図7は格子体12の長さ(流路長)の違いによって変化するセンサ出力特性を示している。この実験データから格子体12の長さを長くする程、ノズル部19での圧損の影響を受け難くなり、センサ出力を高め得ることが判る。この現象は、格子体12により区画された微小流路13,14の流路長が長い程、特にノズル部19の上流側の助走区間が長い程、流体(ガス)の圧縮性により、主流路を通流する流量の変化に比較して微小流路14に流れ込む流量がさほど大きく変化しない為であると考えられる。従って微小流路14aでの助走区間を或る程度長く確保し、その流路抵抗を安定化するべく格子体12aの長さを長くした方が微小流路13,14間での分流比を、ノズル部19の存在に拘わりなく、配管11を通流する流体の流量(流速)に応じて変化させることが可能となるので、微少流量を高感度に検出する上で非常に好ましいと言える。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば漏れ流量検出用の流量センサ16aと、流量計測用の流量センサ16bとを必ずしも並べて配置する必要はなく、図8に示すようにその流路方向の異なる位置にそれぞれ設けることも可能である。また第1および第2の流路2,3と第3の流路4との流路断面積の比については、計測仕様等に応じて定めれば良いものであり、また流体の種別によって異なる粘性等に応じて定めるようにしても良い。また実施形態においては、センサ格子体12aの上流側と下流側とにそれぞれ格子体を設け、流体通流方向に対称な流路構造としている。このような対称な流路構造は、流体の通流方向が正逆に反転する可能性があることを配慮したものであるが、流体の通流方向が一元的に決定されるような場合には、センサ格子体12aの上流側にだけ格子体12b,12cを設けるようにしても良い。またこのようにして格子体12により形成する流路の長さも、その仕様に応じて定めれば良いものである。
前述したメッシュ体7,15,17としては、金網のみならず、ハニカム構造体やパンチングメタルのようなものであっても良い。更に前述した格子体12は、矩形状の流路断面を形成するものに代えて、いわゆるハニカム型の六角形状の流路断面や三角形状の流路断面を形成するものであっても良い。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明に係るガスメータの基本構成を示す図。 図1に示すガスメータの流路構造を等価的に示す図。 図1に示すガスメータの第1および第2の流路の流量に対する流路抵抗の変化特性を示す図。 図1に示すガスメータにおける第1および第2の流路間の分流比の変化を示す図。 本発明の一実施形態に係るガスメータの流路構造を、その流体通流方向に分解して模式的に示す図。 図5に示すガスメータにおける流路の要部の断面構造を模式的に示す図。 格子体の長さの違いによって変化するセンサ出力特性を示す図。 本発明の別の実施形態に係るガスメータの要部の断面構造を模式的に示す図。
符号の説明
1 主流路
2 第1の流路(流量計測用)
3 第2の流路(漏れ検出用)
4 第3の流路
5,6 流量センサ
11 配管
12 格子体
13,14 微小流路
15 メッシュ体(金網)
16a 低速用流量センサ(漏れ検出用)
16b 高速用流量センサ(流量計測用)
17 メッシュ体(金網)
17a メッシュ欠損部
18a,18b ダストフィルタ(異物除去フィルタ)

Claims (4)

  1. 被測定ガスを通流する主流路の流路断面を流路方向に沿って平行に区画して並列に設けられ、ガス流量に応じて前記被測定ガスを分流して通流する第1、第2および第3の流路と、
    上記第1の流路に設けられた流量計測用の流量センサ、および前記第2の流路に設けられた漏れ流量計測用の流量センサと、
    前記第1および第2の流路の一端側またはその両端にそれぞれ設けられた整流用フィルタと、
    前記第1の流路の一端側またはその両端に設けられて前記被測定ガスに混入した異物を捕捉して前記第1の流路への異物の流入を阻止する異物除去フィルタと
    を具備したことを特徴とするガスメータ。
  2. 前記第3の流路は、前記第1および第2の流路よりも流路断面積の小さい複数の平行に設けられた微細流路の集合体からなり、前記第1および第2の流路に比較して分流量が大なるものであって、
    前記第3の流路に比較して流路断面積が微小な前記第1および第2の流路は、前記主流路を通流する被測定ガスの流量が少ないときには前記第3の流路との間での分流比が高くなり、前記主流路を通流する被測定ガスの流量が多いときには前記第3の流路との間での分流比が低くなるものである請求項1に記載のガスメータ。
  3. 前記第2の流路は、被測定ガスの流れに対する助走区間を確保した後にその流路断面積を絞り込んだ幅狭部を備え、この幅狭部に流量センサを組み込んだ流路構造を有する請求項1に記載のガスメータ。
  4. 前記第1および第2の流路、ならびに前記第3の流路を形成する複数の微細流路は、前記主流路の流路方向に沿って設けられた複数の隔壁体により該主流路の流路断面を区画して形成されるものである請求項1に記載のガスメータ。
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