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JP5098949B2 - 電子カメラおよび画像処理プログラム - Google Patents

電子カメラおよび画像処理プログラム Download PDF

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JP5098949B2
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Description

本発明は、電子カメラおよび画像処理プログラムに関する。
一般に、動いている被写体(動体)を連続して撮影し、1枚の画像を得る多重露光技術が知られている。例えば、多重露光の方法として、暗室などでカメラのシャッターを開放状態にしておき、ストロボ光を一定間隔で閃光させながら動体を撮影する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第2769701号公報
上記従来技術では、暗室など特殊な撮影条件で行わなければならず、容易に動体の合成画像を作成することができないという問題があった。
本発明の目的は、容易に動体の時間変化による動きを1枚の画像の中に合成記録することができる電子カメラおよび画像処理プログラムを提供することである。
本発明に係る電子カメラは、略同一画角で複数枚の画像を連写する撮影部と、前記撮影部が連写した複数枚の画像を一時的に記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された複数枚の画像から動体を検出する動体検出部と、前記動体検出部が検出した動体情報に応じて、撮影画像を所定の分割領域に分割する領域分割部と、前記複数枚の画像のそれぞれにおいて、前記領域分割部が分割した分割領域毎に、前記動体検出部が検出した動体を含む動体画像の分割領域であるか動体を含まない静止体画像の分割領域であるかを判別する領域判別部と、前記複数枚の画像における同一の前記分割領域毎に1つの動体画像の分割領域または静止画像の分割領域を選択する際に、動体画像の分割領域を静止画像の分割領域に優先して選択する画像選択部と、前記画像選択部が選択した動体画像の分割領域と静止画像の分割領域を組み合わせて1枚の画像を生成する画像合成部とを備えることを特徴とする。
また、好ましくは、前記画像選択部は、前記複数枚の画像の中の同一位置の分割領域に動体画像の分割領域が複数枚ある場合は、連写撮影した最後の画像から動体画像の分割領域を選択することを特徴とする。
また、好ましくは、前記領域分割部は、前記動体検出部が検出した動体情報のうち動体のサイズと移動速度の少なくとも1つの条件に応じて、前記所定の分割領域の大きさを可変することを特徴とする。
また、好ましくは、前記画像選択部は、前記静止体画像が同一の分割領域に複数枚存在する場合に、前記複数枚の静止体画像の焦点状態を評価して、最も焦点状態の良い静止画像を選択することを特徴とする。
また、好ましくは、前記動体検出部は、時間的に前後する画像の差分が閾値以上のものを動体として検出することを特徴とする。
また、好ましくは、前記動体検出部は、時間的に前後する画像の差分が閾値以上の領域を動体候補領域として検出し、さらに前記動体候補領域のサイズおよび移動速度の少なくとも1つの条件が閾値以上のものを動体として検出することを特徴とする。
また、好ましくは、前記差分の閾値,前記動体候補領域のサイズおよび移動速度の閾値の少なくとも1つの条件を可変する閾値変更部を更に設けたことを特徴とする。
また、好ましくは、動体画像を選択する時間的順序を設定する順序設定部を更に設け、前記画像選択部は、前記複数枚の画像の中の同一位置の分割領域に動体画像の分割領域が複数枚ある場合は、前記順序設定部で設定された時間的順序に応じて動体画像を選択することを特徴とする。
本発明に係る画像処理プログラムは、略同一画角で連写された複数枚の画像が記憶された記憶媒体から画像データを読み出して画像処理を行うコンピュータの画像処理プログラムであって、前記複数枚の画像から動体を検出する動体検出手順と、前記動体検出手順が検出した動体情報に応じて、撮影画像を所定の分割領域に分割する領域分割手順と、前記複数枚の画像のそれぞれにおいて、前記領域分割手順が分割した分割画像毎に、前記動体検出手順が検出した動体を含む動体画像の分割領域であるか動体を含まない静止画像の分割領域であるかを判別する領域判別手順と、前記複数枚の画像における同一の前記分割領域毎に1つの動体画像の分割領域または静止画像の分割領域を選択する際に、動体画像の分割領域を静止画像の分割領域に優先して選択する画像選択手順と、前記画像選択手順が選択した動体画像の分割領域と静止画像の分割領域を組み合わせて1枚の画像を生成する画像合成手順とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、画質の劣化が少なく、動体の時間変化による動きを1枚の画像の中に連続して撮影することができる。
以下、本発明に係る電子カメラおよび画像処理プログラムに関する実施形態について図面を用いて詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電子カメラ101の構成を示すブロック図である。電子カメラ101は、レンズ光学系102と、メカニカルシャッタ103と、撮像素子104と、AFE(アナログフロントエンド)105と、A/D変換部106と、画像バッファ107と、画像処理部108と、制御部109と、表示部110と、記憶部111と、操作部112とで構成される。
尚、本実施形態に係る電子カメラ101は、操作部112に含まれるレリーズボタンの押下毎に1枚の画像を撮影する「通常撮影モード」以外に、1回のレリーズボタンの押下で時間的に連続した複数枚の画像を撮影する「連写撮影モード」を有する。さらに、本実施形態に係る電子カメラ101は、「連写撮影モード」で連続撮影した複数枚の画像から動体領域を抽出して合成する「多重露光撮影モード」を有する。
図1において、レンズ光学系102に入射された被写体光は、メカニカルシャッタ103を介して撮像素子104の受光面に入射される。尚、レンズ光学系102は、ズームレンズやフォーカスレンズなどのレンズ機構や絞り102aなどを含む。
撮像素子104は、受光面に二次元状に配置された光電変換部を有し、受光面に入射された被写体光をその光量に応じた電気信号に変換してAFE105に出力する。
AFE105は、撮像素子104から出力される電気信号のノイズ除去や増幅などを行った後、A/D変換部106に出力する。
A/D変換部106は、AFE105から出力される電気信号をデジタルの画像データに変換し、変換した画像データを画像バッファ107に一時的に記憶する。尚、画像バッファ107は、連写撮影された複数の画像データも記憶する。
画像処理部108は、制御部109の指令に応じて、画像バッファ107に一時的に記憶された画像データのホワイトバランス処理や色補間処理などを行う。
このようにして、通常撮影モードや連写撮影モードの場合は、レリーズボタンが押下されると、撮影された画像データは画像バッファ107に一時的に記憶され、画像処理部108で画像処理され、制御部109を介して記憶部111に保存される。尚、記憶部111は、電子カメラ101に内蔵の不揮発性メモリであってもよいし、電子カメラ101に着脱可能なメモリカードであっても構わない。また、記憶部111に保存されている撮影済みの画像データや画像バッファ107に一時的に記憶されている画像データは、制御部109の指令に応じて、表示部110に表示される。
次に、制御部109の動作について説明する。尚、制御部109は、内部に予め記憶されているプログラムに従って動作する。図1において、制御部109は、レンズ制御部121と、絞り制御部122と、シャッタ制御部123と、AF(自動焦点)制御部124と、AE(自動露光)制御部125と、手振れ検出部126と、動体検出部127と、領域分割部128と、領域判別部129と、画像選択部130と、画像合成部131とで構成される。尚、本実施形態では説明が分かり易いように、レンズ制御部121,絞り制御部122,シャッタ制御部123,AF制御部124,AE制御部125,手振れ検出部126,動体検出部127,領域分割部128,領域判別部129,画像選択部130,画像合成部131は、制御部109に含めて描いてあるが、制御部109とは別のハードウェア回路で構成しても構わない。或いは、動体検出部127,領域分割部128,領域判別部129,画像選択部130,画像合成部131は、画像処理部108に含めても構わないし、いくつかのブロックを統合しても構わない。
撮影者は、操作部112の操作ボタン(電源ボタン、レリーズボタン、ズームボタン、撮影モード選択ボタン、カーソルボタンなど)を操作して、電子カメラ101を操作する。操作部112の操作情報は制御部109に入力され、制御部109はその操作情報に応じて電子カメラ101の各部の動作を制御する。
例えば、制御部109は、操作部112のズームボタンの操作に応じて、レンズ制御部121を介してレンズ光学系102のズームレンズの位置を移動させる。同様に、制御部109は、絞り制御部122を介してレンズ光学系102の絞り102aの絞り値を調節する。また、制御部109は、シャッタ制御部123を介して、シャッタ速度に応じてメカシャッタ103を開閉する。
AF制御部124は、画像バッファ107に取り込まれた画像の所定位置(AF測定位置)において山登り方式などの焦点検出方式によってデフォーカス量を算出し、焦点位置を求める。制御部109は、AF制御部124が求めた焦点位置に合うように、レンズ制御部121を介してレンズ光学系102のフォーカスレンズの位置を調節する。
AE制御部125は、画像バッファ107に取り込まれた画像の所定位置(AE測光位置)において測光を行う。制御部109は、AE制御部125が求めた測光値に応じて、適正露光になるように、絞り102aの絞り値やメカニカルシャッタ103のシャッタ速度などを決定し、絞り制御部122やシャッタ制御部123に指令する。尚、本実施形態に係る電子カメラ101では、メカニカルシャッタ103を用いているが、メカニカルシャッタ103を開放状態にして、撮像素子104の露光時間によってシャッタ速度を制御する電子シャッタを用いても構わない。
ここで、本実施形態では、電子カメラ101が「多重露光撮影モード」に設定されている場合は、連写撮影の最初の画像を撮影する時の絞り102aの絞り値やメカニカルシャッタ103のシャッタ速度、或いはAFE105に設定される撮影感度や、フォーカスレンズの位置などの撮影条件は、同じ条件に固定される。
手振れ検出部126は、電子カメラ101の筐体の動きを検出する加速度センサを有し、レリーズボタン押下時の手振れの有無や手振れの度合いを検出する。
動体検出部127は、電子カメラ101が「多重露光撮影モード」に設定されている場合に、時間的に前後して撮影される2枚の画像間の差分を取る。例えば、図2に示したように、連写撮影される画像201と画像202の差分を取った後、引き続き画像202と画像203の差分を取る。ここで、差分を取る場合、2枚の画像の同じ位置の画素の輝度差の絶対値を差分値とし、全画素のそれぞれについて差分値を計算する。そして、差分値が予め設定された閾値以上の画素を判別し、これらの画素を多く含む一塊の領域を動体領域として検出する。また、動体領域を構成する画素数に応じて動体領域のサイズも検出する。さらに、時間的に連続する2枚の画像間の動体領域の特徴点の移動距離と撮影間隔によって動体領域の移動速度も検出する。
このようにして求めた動体領域のサイズや移動速度を用いて、最終的な動体領域を決定する。例えば、差分で検出した動体領域を動体領域候補として検出し、この動体領域候補が予め設定した所定のサイズ(閾値)以上の大きさで、且つ予め設定した所定の移動速度(閾値)以上の速さで移動している場合に最終的な動体領域として検出する。或いは、動体領域のサイズまたは移動速度の少なくとも1つの条件を用いて最終的な動体領域を検出しても構わないし、差分だけで検出した動体領域候補を動体領域としても構わない。尚、本実施形態では、動体領域の検出方法として差分を取る方法について説明したが、動画撮影で利用される動きベクトルを用いて動体領域の検出を行っても構わない。特に動きベクトルを用いる場合は移動速度も同時に求めることができる。或いは、これら以外の方法で動体検出を行っても構わない。
領域分割部128は、撮影画像を所定の分割領域に分割する。例えば、図3に示したように、電子カメラ101で風景301の撮影画角302の部分を撮影する場合、撮影画角302で撮影される画像Pを複数の分割領域に分割する。図3の例では、横方向に4分割、縦方向に3分割された合計12個の分割領域に分けられる。尚、図3において、P(1,1)からP(3,4)はそれぞれ分割領域を示している。ここで、領域分割部128は、動体のサイズや移動速度に応じて分割領域のサイズの目安を決定する。例えば、動体のサイズに対して移動速度が遅い場合は、重複部分が多いので分割領域のサイズを小さくする。また、動体のサイズに対して移動速度が速い場合は、重複部分が少ないので分割領域のサイズを比較的大きくする。尚、いずれの場合でも、分割領域のサイズは小さい方が動体部分を忠実に抽出できるが、分割領域を小さくし過ぎると分割領域の数が多くなるので領域毎に静止画像であるか動体画像であるかを判別する領域判別部129,画像選択部130および画像合成部131の処理量が増加する。そこで、領域分割部128は、制御部109の処理速度と撮影する画像の解像度とから最適な分割領域のサイズを決定するようにしても構わない。或いは、設定メニューで撮影者が自由に変更できるようにしても構わない。このようにして、制御部109の領域分割部128は、撮影画像を分割する分割領域のサイズ(または数)を決定する。
領域判別部129は、分割領域毎に動体画像であるか静止画像であるかを判定する。例えば、図4(a)の画像P1の場合は、分割領域P1(2,1)と分割領域P1(2,2)と分割領域P1(3,1)と分割領域P1(3,2)とには、動体303が含まれているので、これらの分割領域は動体画像と判定する。逆に、分割領域P1(1,1)と分割領域P1(1,2)と分割領域P1(1,3)と分割領域P1(1,4)と、分割領域P1(2,3)と分割領域P1(2,4)と、分割領域P1(3,3)と分割領域P1(3,4)とには、動体303が含まれていないので、これらの分割領域は静止画像と判定する。尚、領域判別部129の判定の前に、動体検出部127は、例えば時間的に前後して撮影された画像P1と画像P2との差分を取って、動体303を動体領域として認識しているものとする。
次に、画像P1に続いて撮影された図4(b)の画像P2の場合、領域判別部129は、分割領域P2(2,2)と分割領域P2(2,3)と分割領域P2(3,2)と分割領域P2(3,3)とに動体303が含まれているので、これらの分割領域は動体画像と判定する。逆に、分割領域P2(1,1)と分割領域P2(1,2)と分割領域P2(1,3)と分割領域P2(1,4)と、分割領域P2(2,1)と分割領域P2(2,4)と、分割領域P2(3,1)と分割領域P2(3,4)とには、動体303が含まれていないので、これらの分割領域は静止画像と判定する。
同様に、画像P2に続いて撮影された図4(c)の画像P3の場合、領域判別部129は、分割領域P3(2,3)と分割領域P3(2,4)と分割領域P3(3,3)と分割領域P3(3,4)とに動体303が含まれているので、これらの分割領域は動体画像と判定する。逆に、分割領域P3(1,1)と分割領域P3(1,2)と分割領域P3(1,3)と分割領域P3(1,4)と、分割領域P3(2,1)と分割領域P3(2,2)と、分割領域P3(3,1)と分割領域P3(3,2)とには、動体303が含まれていないので、これらの分割領域は静止画像と判定する。
画像選択部130は、領域判別部129が動体画像と判定した分割領域を画像P1,画像P2および画像P3のそれぞれから抽出する。例えば、先に説明した図4の例の場合、画像P1と画像P2と画像P3のそれぞれにおいて領域判別部129が動体画像と判定した分割領域は、各分割領域の(n,m)を座標とすると、座標(2,1),座標(2,2),座標(2,3),(2,4),座標(3,1),座標(3,2),座標(3,3),座標(3,4)の8つの位置の分割領域となる。
一方、画像選択部130は、領域判別部129が動体画像と判定しなかった分割領域に複数枚の静止画像が存在する場合は、分割領域毎に最適な1枚の静止画像を選択する。例えば、先に説明した図4の例の場合、画像P1と画像P2と画像P3のそれぞれにおいて領域判別部129が動体画像と判定しなかった分割領域は、座標(1,1),座標(1,2),座標(1,3),座標(1,4)の4つの位置の分割領域となる。これらの分割領域には、画像P1と画像P2と画像P3における静止画像の分割領域が重複して存在しているので、画像選択部130は、各分割領域毎に最適な1枚の静止画像を選択する。尚、静止画像の選択基準として、例えば、コントラストや画像圧縮処理した時のデータ量、或いは撮影画像毎に手振れ検出部126の手振れ度合いなどで評価する。何れの方法を用いた場合でも、最もフォーカス状態が良い(フォーカスが一番合っていると思われる)画像を選択する。ここで、コントラストによる評価方法は、例えば、画素間の差分値を積算した値が最も大きい画像を最もフォーカス状態が良い画像であると判断する。また、画像圧縮処理した時のデータ量による評価方法は、JPEG規格などによる同じ画像圧縮方法で画像データを圧縮した時のデータ量が最も大きいものが最もフォーカス状態が良い画像であると判断する。或いは、手振れ度合いによる評価方法は、手振れ検出部126で検出した手振れ度合いが最も小さいもの(手振れが少ないもの)が最もフォーカス状態が良い画像であると判断する。
このようにして、画像選択部130は、動体画像の分割領域と、動体を含まない静止画像の分割領域とを選択し、図3に示した12個の分割領域の全てに対応する動体画像または静止画像が確定する。但し、この段階では、動体を含まない静止画像だけの分割領域は1つだけの静止画像が選択されたが、動体画像の分割領域は、同じ位置の分割領域に重複して存在している。例えば、図4(a)の画像P1において動体画像と判定された分割領域は、座標(2,1),座標(2,2),座標(3,1),座標(3,2)の4つの位置の分割領域であるが、図4(b)の画像P2において動体画像と判定された分割領域は、座標(2,2),座標(2,3),座標(3,2),座標(3,3)の4つの位置の分割領域なので、画像P1と画像P2とにおいて、座標(2,2)と座標(3,2)の2つの位置の分割領域が重複して選択されている。同様に、図4(b)の画像P2と図4(c)の画像P3とにおいて、座標(2,3)と座標(3,3)の2つの位置の分割領域が重複して選択されている。ここで、本実施形態では、重複する動体画像の分割領域を重ねる順番が予め設定されているものとする。尚、設定方法は、表示部110にメニュー画面を表示して、撮影者が操作部112の操作ボタンを操作して設定する。例えば、「時系列降順」または「時系列昇順」などの選択項目をメニュー画面に表示して、操作部112のカーソルボタンで選択する。設定内容は記憶部111などに保存される。図5(a)の場合は、「時系列昇順」に動体画像の分割領域を選択して合成した場合の例で、時間的に後で撮影された動体画像の分割領域が優先して選択されている。この場合は、図5(b)に示すように、時間的に一番古い動体画像の分割領域P1(2,1)と分割領域P1(2,2)と分割領域P1(3,1)と分割領域P1(3,2)の4つの分割領域において、分割領域P1(2,2)と分割領域P1(3,2)は画像P1より時間的に新しい画像P2の分割領域P2(2,2)と分割領域P2(3,2)が上になる。同様に、画像P2の分割領域P2(2,3)と分割領域P2(3,3)は、画像P2より時間的に新しい画像P3の分割領域P3(2,3)と分割領域P3(3,3)が上になる。尚、上記の説明では分かり易いように、上に重ねていくような表現を用いたが、実際の処理では、画像選択部130は一番上になる分割領域を予め各分割領域毎に1つずつ選択しておく。
尚、本実施形態では、分割領域毎に複数の静止画像の中から最適な1枚の静止画像を選択し、或いは分割領域毎に複数の動体画像の中から記録する順番に応じて1枚の動体画像を選択するようにしたが、単純に連写撮影された最後の画像を選択するようにしても構わない。この場合は、動体画像の分割領域と静止画像の分割領域とを分けた後、同じ位置の分割領域毎に最後に撮影された動体画像または静止画像をそれぞれ選択する。尚、この時、複数枚の画像における同一の分割領域毎に1つの動体画像の分割領域または静止画像の分割領域を選択する際に、動体画像の分割領域を静止画像の分割領域に優先して選択する。このように、処理を単純化することによって処理が簡単になり高速に処理することができる。
画像合成部131は、画像選択部130が選択したそれぞれの分割領域に対応する動体画像または静止画像をパッチワーク状に組み合わせて合成し、図5(a)に示すような1枚の撮影画像Paを作成する。作成された撮影画像Paは、表示部110に表示されると共に、記憶部111に保存される。このようにして、動体303の動きを多重露光したように合成した画像を得ることができる。
次に、本実施形態に係る電子カメラ101が「多重露光撮影モード」に設定されている場合の動作について、図6のフローチャートを用いて詳しく説明する。尚、図6のフローチャートは、制御部109の内部に予め組み込まれたプログラムに従って動作する。以下、電子カメラ101の動作について順に説明する。
(ステップS101)撮影者は、電子カメラ101の操作部112に含まれる電源ボタンを押して電源をONする。この状態で、電子カメラ101は、レンズ光学系102を介して撮像素子104で撮影するプレビュー画像を表示部110に表示する。撮影者は、このプレビュー画像を見ながら撮影画角や被写体を確認する。尚、プレビュー画像を撮影している時は、メカニカルシャッタ103は常に開放状態になっており、電子シャッタによる撮影が行われる。また、プレビュー画像の撮影中、AF制御部124は、予め設定された所定位置で焦点位置を求め、レンズ制御部121を介してレンズ光学系102のフォーカスレンズの位置を常に調節している。同様に、AE制御部125は、適正露光になるように、露光時間を常に調節している。
(ステップS102)制御部109は、撮影者が電子カメラ101の操作部112に含まれるレリーズボタンを押下したか否かを判別する。レリーズボタンが押下された場合はステップS103に進み、レリーズボタンが押下されていない場合はステップS102の処理を繰り返す。
(ステップS103)制御部109は、シャッタ制御部123に指令して、予め設定された所定枚数の連写撮影を行う。尚、連写撮影は、メカニカルシャッタ103を開閉して撮影しても構わないし、プレビュー画像のように撮像素子104の露光時間を調節する電子シャッタで撮影しても構わない。但し、連写撮影している間は、AF制御部124やAE制御部125は動作を一時的に停止し、固定の露出条件、フォーカス位置でほぼ同じ撮影画角(略同一の撮影画角)で撮影される。
(ステップS104)制御部109は、連写撮影された複数枚の撮影画像を画像バッファ107に一時的に記憶する。
(ステップS105)制御部109の動体検出部127は、図2で説明したように、時間的に前後して撮影される2枚の画像間の差分を算出する。
(ステップS106)制御部109の動体検出部127は、先に説明したように、動体領域を構成する画素数に応じて動体領域のサイズや移動速度を求めて動体領域の検出を行う。
(ステップS107)制御部109の領域分割部128は、動体領域のサイズや移動速度に応じて、撮影画像を分割する分割領域のサイズ(または数)を決定し設定する。
(ステップS108)制御部109の領域判別部129は、ステップS107で領域分割部128が分割した分割領域毎に動体画像であるか静止画像であるかを判定し、連続して撮影された各画像の分割領域毎に判定結果を対応させて画像バッファ107または記憶部111に一時的に記憶しておく。
(ステップS109)制御部109の画像選択部130は、全ての分割領域に対応する1枚の静止画像または動体画像を選択する。例えば、図4(a)の画像P1と、図4(b)の画像P2と、図4(c)の画像P3とを用いる場合、分割領域の座標(1,1)の位置には、分割領域P1(1,1),分割領域P2(1,1),分割領域P3(1,1)のいずれかの静止画像を選択する。選択方法は、先に説明したように、例えばコントラストを評価して最もフォーカス状態が良い画像を選択する。同様に、分割領域の座標(1,1)から座標(4,4)までの各位置に最適な画像を選択する。尚、図4の場合は、分割領域の座標(1,1),座標(1,2),座標(1,3)および座標(1,4)の位置には静止画像が選択され、これ以外の分割領域の位置には動体画像が選択される。尚、この時、先に説明したように、動体画像の分割領域は、予め設定された順番に従って選択される。例えば、図7(a)の画像Pbは「時系列昇順」に動体画像の分割領域を重ね合わせた場合の例で、時間的に後で撮影された動体画像の分割領域が優先して選択され、上になるように合成される。これに対して、図7(b)の画像Pcは「時系列降順」に動体画像の分割領域を重ね合わせた場合の例で、時間的に前に撮影された動体画像の分割領域が優先して選択され、上になるように合成される。
(ステップS110)制御部109の画像合成部131は、ステップS109で選択した各分割領域に対応する1枚の静止画像または動体画像をパッチワーク状に組み合わせて合成し、図8(a)に示すような1枚の撮影画像Pdを作成する。ここで、先に説明した分割領域のサイズが大きい場合と小さい場合の違いについて説明する。図8(a)の画像Pdは大きな12個の分割領域に分けられているが、図8(b)の画像Peは432個(横24×縦18)の小さな分割領域に分けられている。図8(a)の画像Pdは、点線円351,352の重なり部分で動体303が途切れており、違和感のある合成画像になっているが、図8(b)の画像Peは、分割領域が小さいので動体303の重なりに違和感がなく、きれいな合成画像が得られる。
(ステップS111)制御部109は、ステップ110で作成された撮影画像Paを、撮影者の操作に応じて表示部110に表示したり、記憶部111に保存する。
(ステップS112)「多重露光撮影モード」における撮影処理を終了する。
尚、本実施形態では、説明を分かり易くするために、撮影画像の中に1つの動体しか存在しない場合について説明したが、複数の動体が存在しても構わない。この場合は、動体検出部127は、先に説明したように動体領域のサイズや移動速度によって、複数の動体を検出する。そして、同様に、検出した動体が含まれる分割領域を動体画像として抽出し、先に説明した1つの動体の場合と同様に合成する。
このように、本実施形態に係る電子カメラ101は、画質の劣化が少なく、動体の時間変化による動きを1枚の画像の中に連続して記録することができる。特に、従来技術では、暗室など特殊な撮影条件で多重露光を行わなければならず、また自然光の下で多重露光によって撮影する場合は、動体領域または動体が含まれない領域のいずれかの露光条件が最適でなくなってしまい、合成された画像の画質が劣化してしまうという問題があったが、本実施形態に係る電子カメラ101は、暗室など特殊な撮影条件で行う必要がなく、自然光の下で多重露光撮影を実現することができる。さらに、動体領域および静止画領域のいずれの領域においても適切な露光条件で撮影された画像を用いて合成するので、高画質な多重露光画像を得ることができる。
尚、本実施形態では、連写撮影された全ての画像を用いるようにしたが、動体検出部127が求めた動体部分の移動速度に応じて、画像選択部130が選択する動体画像を間引いても構わない。例えば図4の場合、画像P1と画像P2と画像P3の3つの画像からそれぞれ動体画像の分割領域を選択したが、画像P2を間引いて、画像P1と画像P3の2つの画像からのみ動体画像の分割領域を選択する。このような間引き処理は、動体の移動速度が連写速度に対して遅い場合に効果的である。この場合、例えば、画像選択部130は、動体検出部127が求めた動体部分の移動速度が連写速度に対して速い場合は間引き数を多くし、動体部分の移動速度が連写速度に対して遅い場合は間引き数を少なくする。
また、図6のフローチャートにおいて、ステップS101からステップS104の連写撮影の処理を除くステップS105以降の処理を、パソコンなどのコンピュータで実行する画像処理プログラムとしても構わない。この場合は、連写撮影した複数枚の画像が記憶部111に相当するメモリカードに保存されているものとし、そのメモリカードをパソコンに装着して、図6のフローチャートのステップS105以降の画像処理プログラムを実行する。尚、この場合、パソコンの画像処理プログラムは、ステップS105の処理において、メモリカードに保存されている連写撮影された画像データを撮影順に読み出して差分を算出する。
このようにして、パソコンなどのコンピュータで実行する画像処理プログラムの場合でも、電子カメラ101と同様の効果を得ることができる。尚、画像処理プログラムは、CDなどの記憶媒体に記憶した状態で提供しても構わないし、インターネットなどの通信媒体を介して電子的に配布するようにしても構わない。
本実施形態に係る電子カメラ101のブロック図である。 連写撮影画像の差分を説明するための補助図である。 分割領域を説明するための補助図である。 動体領域の判定を説明するための補助図である。 画像合成を説明するための補助図である。 本実施形態に係る電子カメラ101の処理を示すフローチャートである。 合成例を示す補助図である。 分割領域のサイズによる違いを説明するための補助図である。
符号の説明
101・・・カメラ 102・・・レンズ光学系
103・・・メカニカルシャッタ 104・・・撮像素子
105・・・AFE 106・・・A/D変換部
107・・・画像バッファ 108・・・画像処理部
109・・・制御部 110・・・表示部
111・・・記憶部 112・・・操作部
121・・・レンズ制御部 122・・・絞り制御部
123・・・シャッタ制御部 124・・・AF制御部
125・・・AE制御部 126・・・手振れ検出部
127・・・動体検出部 128・・・領域分割部
129・・・領域判別部 130・・・画像選択部
131・・・画像合成部

Claims (9)

  1. 略同一画角で複数枚の画像を連写する撮影部と、
    前記撮影部が連写した複数枚の画像を一時的に記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された複数枚の画像から動体を検出する動体検出部と、
    前記動体検出部が検出した動体情報に応じて、撮影画像を所定の分割領域に分割する領域分割部と、
    前記複数枚の画像のそれぞれにおいて、前記領域分割部が分割した分割領域毎に、前記動体検出部が検出した動体を含む動体画像の分割領域であるか動体を含まない静止体画像の分割領域であるかを判別する領域判別部と、
    前記複数枚の画像における同一の前記分割領域毎に1つの動体画像の分割領域または静止画像の分割領域を選択する際に、動体画像の分割領域を静止画像の分割領域に優先して選択する画像選択部と、
    前記画像選択部が選択した動体画像の分割領域と静止画像の分割領域を組み合わせて1枚の画像を生成する画像合成部と
    を備えることを特徴とする電子カメラ。
  2. 請求項1に記載の電子カメラにおいて、
    前記画像選択部は、前記複数枚の画像の中の同一位置の分割領域に動体画像の分割領域が複数枚ある場合は、連写撮影した最後の画像から動体画像の分割領域を選択する
    ことを特徴とする電子カメラ。
  3. 請求項1または2に記載の電子カメラにおいて、
    前記領域分割部は、前記動体検出部が検出した動体情報のうち動体のサイズと移動速度の少なくとも1つの条件に応じて、前記所定の分割領域の大きさを可変する
    ことを特徴とする電子カメラ。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
    前記画像選択部は、前記静止体画像が同一の分割領域に複数枚存在する場合に、前記複数枚の静止体画像の焦点状態を評価して、最も焦点状態の良い静止画像を選択する
    ことを特徴とする電子カメラ。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
    前記動体検出部は、時間的に前後する画像の差分が閾値以上のものを動体として検出する
    ことを特徴とする電子カメラ。
  6. 請求項5に記載の電子カメラにおいて、
    前記動体検出部は、時間的に前後する画像の差分が閾値以上の領域を動体候補領域として検出し、さらに前記動体候補領域のサイズおよび移動速度の少なくとも1つの条件が閾値以上のものを動体として検出する
    ことを特徴とする電子カメラ。
  7. 請求項6に記載の電子カメラにおいて、
    前記差分の閾値,前記動体候補領域のサイズおよび移動速度の閾値の少なくとも1つの条件を可変する閾値変更部を更に設けた
    ことを特徴とする電子カメラ。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
    動体画像を選択する時間的順序を設定する順序設定部を更に設け、
    前記画像選択部は、前記複数枚の画像の中の同一位置の分割領域に動体画像の分割領域が複数枚ある場合は、前記順序設定部で設定された時間的順序に応じて動体画像を選択する
    ことを特徴とする電子カメラ。
  9. 略同一画角で連写された複数枚の画像が記憶された記憶媒体から画像データを読み出して画像処理を行うコンピュータの画像処理プログラムであって、
    前記複数枚の画像から動体を検出する動体検出手順と、
    前記動体検出手順が検出した動体情報に応じて、撮影画像を所定の分割領域に分割する領域分割手順と、
    前記複数枚の画像のそれぞれにおいて、前記領域分割手順が分割した分割画像毎に、前記動体検出手順が検出した動体を含む動体画像の分割領域であるか動体を含まない静止画像の分割領域であるかを判別する領域判別手順と、
    前記複数枚の画像における同一の前記分割領域毎に1つの動体画像の分割領域または静止画像の分割領域を選択する際に、動体画像の分割領域を静止画像の分割領域に優先して選択する画像選択手順と、
    前記画像選択手順が選択した動体画像の分割領域と静止画像の分割領域を組み合わせて1枚の画像を生成する画像合成手順と
    を備えることを特徴とする画像処理プログラム。
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