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JP5095591B2 - 真空バルブ - Google Patents

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Description

本発明は、軸方向と平行な磁界を増大し得る接離自在の一対の接点を有する真空バルブに関する。
従来、この種の真空バルブは、接離自在の接点と、接点間に軸方向と平行な磁界を発生させるコイル電極とを備え、遮断特性の向上が図られている。更には、接点の背面のコイル電極内にリング状の磁性体を配置し、磁界を更に増大させたものが知られている。軸方向と平行な磁界は、接点間で発生するアークを拡散し、遮断特性を向上させる。(例えば、特許文献1参照。)。
特開平6−150786号公報 (第3ページ、図1)
上記の従来の真空バルブにおいては、次のような問題がある。リング状の磁性体は、多くの場合、太径の棒状の素材を所定の長さに切断し、内周と外周とを所定の大きさに切削加工する方法がとられる。このため、加工作業に多大の時間を要するとともに、内周部分の材料が無駄なものとなる。
また、リング状の磁性体内では、コイル電極を通電し軸方向と平行な磁界を発生させると、磁界の変化を打ち消す向きに起電力が発生し、円周方向の渦電流が流れる。渦電流は、コイル電極で発生させる軸方向と平行な磁界を低減させる作用をする。
渦電流防止対策として、磁性体の円周方向の一部を切断し開放させる方法があるが、磁性体内部の残留応力も開放され、変形が起きる。磁性体が変形すると所定の磁界が得られ難くなり、また、修正加工をする場合には高度な追加加工が必要となる。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、磁性体の加工作業を容易とし、磁界の発生を安定させ、軸方向と平行な磁界を増大し得る真空バルブを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の真空バルブは、接離自在の一対の接点と、前記接点間に軸方向と平行な磁界を発生させるコイル電極とを具備した真空バルブであって、前記接点の背面に複数の棒状の磁性体を所定の間隔で円周方向に配置したことを特徴とする。
本発明によれば、軸方向と平行な磁界を発生させるコイル電極の空間部に、複数の棒状の磁性体を円周方向に所定の間隔で配置しているので、磁性体の加工性を容易とすることができ、また磁性体内での渦電流の発生が極めて小さく、軸方向と平行な磁界を増大させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
先ず、本発明の実施例1に係る真空バルブを図1、図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1に係る真空バルブの接点の構成を示す断面図、図2は、本発明の実施例1に係る真空バルブの接点を接点側から見た図である。なお、一対の接点のうち、一方の接点を用いて説明する。
図1に示すように、通電軸1端には、電気銅などからなるカップ状のコイル電極2の外側底部が固着されている。コイル電極2の開口部には、銅合金からなる円板状の接点3が固着されている。コイル電極2の内部となる空間部2aには、コイル電極2や接点3よりも電気抵抗の高い例えばステンレスからなるリング状の補強部材4が略中心部にろう付けなどで固着され、接点3の機械的な補強が行われている。
コイル電極2の空間部2aの底面部2bと接点3間には、複数の円柱状の磁性体5がろう付けなどで固着されている。磁性体5は、図2に示すように、互いが所定の間隔を保って円周方向に配置されるとともに、空間部2aの内周側面および補強部材4の外周側面とも所定の間隔を保って配置されている。なお、コイル電極2の外周部2cには、図1に二点鎖線で示すように、軸方向を斜めに横切る複数本のスリット6が設けられ、軸方向と平行な磁界を発生できるようになっている。
これにより、個々の磁性体5では、コイル電極2で磁界の変化が起きても、従来のようなリング状ではなく小径の円柱状であるので、渦電流の発生が極めて小さくなる。また、互いの磁性体5間、磁性体5と外周部2cの内周側面間、および磁性体5と補強部材4の外周側面間で所定の間隔を保っているので、個々の磁性体5による磁界が安定する。即ち、接点3の円周方向の全体に亘って磁性体5による安定した磁界が加わるようになるので、軸方向と平行な磁界を増大させることができる。
なお、磁性体5は、空間部2aに複数配置できるような小径の棒状の素材を所定の長さに切断し、外周を所定の大きさに切削加工すればよいので、材料の無駄が省け、加工作業が容易となる。
上記実施例1の真空バルブによれば、接点3の背面となるコイル電極2の空間部2aに、複数の円柱状の磁性体5を円周方向に所定の間隔を保って配置しているので、コイル電極2で磁界の変化があっても磁性体5内での渦電流の発生は極めて小さく、コイル電極2で発生させる軸方向と平行な磁界を増大させることができる。
上記実施例1では、磁性体5を円柱状で説明したが、素材が断面多角形状や断面楕円状で製造されているものなら、その形状を保ったものでも、渦電流の発生を抑え、軸方向と平行な磁界を増大させることができる。ここでは、これらの形状を単に棒状と定義する。
次に、本発明の実施例2に係る真空バルブを図3を参照して説明する。図3は、本発明の実施例2に係る真空バルブの接点の構成を示す断面図である。なお、この実施例2が実施例1と異なる点は、磁性体の形状である。図3において、実施例1と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図3に示すように、コイル電極2の底面部2bに固着される磁性体5の端部を半球部5aとしている。また、円錐状部などとしてもよい。即ち、磁性体5は、底面部2bに点接触し固着されている。
上記実施例2の真空バルブによれば、実施例1による効果のほかに、コイル電極2の底面部2bに固着される磁性体5端部を点接触で固着しているので、接触抵抗が増大し、磁性体5へ分流する電流を抑制することができ、磁性体5の磁界を安定したものにすることができる。
上記実施例2では、底面部2bに接触する磁性体5を点接触で説明したが、接点3側を含めた少なくとも一方端を点接触とすることにより、磁性体5へ分流する電流を抑制することができる。
また、磁性体5を素材が露出する裸の状態で説明したが、磁性体5の表面を、例えばセラミックスなどの絶縁材料で被覆すれば、磁性体5へ分流する電流を更に抑制することができる。
次に、本発明の実施例3に係る真空バルブを図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施例3に係る真空バルブの接点の構成を示す断面図である。なお、この実施例3が実施例2と異なる点は、磁性体の長さを短くしたことである。図4において、実施例2と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図4に示すように、磁性体5の軸方向の長さを実施例2よりも短くし、底面部2bと所定のギャップが保たれるようにしている。また、補強部材4を胴体部4aと、胴体部4aよりも外径の大きい鍔部4bとで構成し、鍔部4bの円周方向に設けた複数の取付穴に磁性体5の一方端をろう付けなどで固着している。
上記実施例3の真空バルブによれば、実施例2による効果のほかに、磁性体5を底面部2bと非接触としているので、磁性体5へ分流する電流を更に抑制できる。また、接点3を面積の大きい鍔部4bで支持固定するため、接点3の変形を抑制することができる。
上記実施例3では、鍔部4bを接点3側に配置して説明したが、コイル電極2の底面部2b側にも鍔部を設け、この鍔部に磁性体5を固着し、接点3側を非接触としてもよい。
本発明の実施例1に係る真空バルブの接点の構成を示す断面図。 本発明の実施例1に係る真空バルブの接点を接点側から見た図。 本発明の実施例2に係る真空バルブの接点の構成を示す断面図。 本発明の実施例3に係る真空バルブの接点の構成を示す断面図。
符号の説明
1 通電軸
2 コイル電極
2a 空間部
2b 底面部
2c 外周部
3 接点
4 補強部材
4a 胴体部
4b 鍔部
5 磁性体
5a 半球部
6 スリット

Claims (5)

  1. 接離自在の一対の接点と、
    前記接点間に軸方向と平行な磁界を発生させるコイル電極とを具備した真空バルブであって、
    前記接点の背面に複数の棒状の磁性体を所定の間隔で円周方向に配置したことを特徴とする真空バルブ。
  2. 前記磁性体を前記接点と前記コイル電極の底面部間に設け、少なくとも一方端を点接触としたことを特徴とする請求項1に記載の真空バルブ。
  3. 前記磁性体を前記接点と前記コイル電極の底面部間に設け、少なくとも一方端を非接触としたことを特徴とする請求項1に記載の真空バルブ。
  4. 前記接点と前記コイル電極の底面部間に、少なくとも前記接点側に鍔部を有する補強部材を設けるとともに、前記鍔部に前記磁性体を固着したことを特徴とする請求項3に記載の真空バルブ。
  5. 前記磁性体を絶縁材料で被覆したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の真空バルブ。
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