JP5092865B2 - スローアウェイチップ - Google Patents
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Description
本発明は、多角形平板状をなすチップ本体と、該チップ本体の少なくとも一の多角形面に設けられたすくい面と、前記すくい面の角部に設けられたコーナ部と、前記すくい面の辺稜部に設けられた前記コーナ部に交差する少なくとも一対の切れ刃とを有するスローアウェイチップであって、前記コーナ部近傍のすくい面上に、前記コーナ部から離間するに従い該コーナ部の二等分線方向に漸次隆起するブレーカ突起を備え、前記ブレーカ突起が、前記二等分線に沿った断面において略凸円弧状をなす前頂部と、前記二等分線に直交する断面において略凹円弧状をなす凹部を有する側部とを備えることを特徴とするスローアウェイチップを提供する。
さらに、前記ブレーカ突起の側部に、コーナ部の二等分線に直交する断面において略凹円弧状をなす凹部が形成されているので、この凹部に切削油剤が流れ込むことで、ブレーカ突起の側部との接触による切りくずの凝着も抑制できる。
これにより、切りくずの詰まりに起因して切削時にかかる負荷が増大することによる刃部の損傷やびびり振動の発生を防止できるとともに、切りくずの凝着に起因して切りくずのカール形状や排出方向が不安定になることによる工作物への切りくずの巻き付き、噛み込み、刃部の欠損等を防止できる。
その結果、送り量や切込みを変化させることで切りくずとブレーカ突起との接触箇所が変動する場合であっても、安定して切屑処理性に優れ、高精度の仕上げ面品位を得ることができ、工具寿命が向上する。
また、前記凹部の前記二等分線に直交する断面がなす凹曲線の曲率半径が、0.2mm以上10.0mm以下であることが好ましい。このようにすることで、高切込み時の切りくずの凝着を効果的に防止できる。
本実施形態に係るスローアウェイチップのチップ本体1は、図1および図2に示されるように、超硬合金、サーメット、セラミックス、ダイヤモンド焼結体、立方晶窒化ホウ素(cBN)焼結体等から構成され、図1に示されるように、例えば、上面視において頂角が55°の略菱形平板状をなし、この略菱形状をなす上面に設けられたすくい面2と、このすくい面2の頂角となる2つの鋭角な角部の夫々に設けられたコーナ部3と、このコーナ部3に交差するすくい面2の辺稜部に設けられた一対の切れ刃4と、すくい面2と交差する側面に設けられ逃げ面5と、この逃げ面5と交差する下面に設けられた着座面6と、中央部に設けられた上下面に貫通する取付穴7とから構成される。
前記前頂部11は、図4(a)および図5(a)に示されるように、コーナ部3の二等分線Lに直交する断面において略直線状をなす平坦面11aから構成されており、この平坦面11aは、コーナ部3の二等分線Lに沿った断面において略凸円弧状をなすように形成されている。この平坦面11aから構成される前頂部11のコーナ部3の二等分線Lに沿った断面がなす凸曲線の曲率半径Rは、例えば、コーナ部3近傍における曲率半径R1は0.5mmと小さく、コーナ部3から離間した位置における曲率半径R2はそれより大きく5.0mmに設定されている。つまり、この前頂部11は、コーナ部近傍においては曲率が大きく急な傾斜で立ち上がり、コーナ部3から離間するほど曲率が小さく緩やかな傾斜で隆起するように形成されている。また、この平坦面11aのコーナ部3の二等分線Lに直交する方向の幅Wは、例えば、0.08mmに設定されている。なお、この平坦面11aの両端には、側部12とのつなぎ目を滑らかにすべく、コーナ部3の二等分線Lに直交する断面において略凸円弧状をなす凸曲面が設けられている。
前記主切れ刃(横切れ刃)4aおよび副切れ刃(前切れ刃)4bは、前記コーナ部3を含んでコーナ部3から離間するに従いチップ本体1の厚さ方向下方に傾斜している。例えば、この切れ刃4の傾き角λは、例えば8°に設定され、コーナ部3から連なって略円弧状に傾斜するように形成されている。
前記逃げ面5には、例えば7°の正の逃げ角αが付され、ポジティブチップを構成している。
本実施形態に係るスローアウェイチップによれば、コーナ部3近傍のすくい面2上に、コーナ部3から離間するに従いコーナ部3の二等分線方向に漸次隆起するブレーカ突起10を備えているので、このブレーカ突起10がチップブレーカとして機能して、切削に伴って工作物から分離して流出した切りくずが、ブレーカ突起10に突き当たって拘束されることで切りくずがカールさせられて細かく分断されることになる。
また、チップ本体の辺稜部につながるすくい面2に傾斜面2aを備えるため、切削抵抗が低減される。また、この傾斜面2aにより切りくずがブレーカ突起10に誘導されることになるので、切りくずを確実にブレーカ突起10に接触させて拘束できる。
また、切りくずの凝着に起因して切りくずのカール形状や排出方向が不安定になることがなく、切屑排出性が安定するため、切りくずが長く延び出て工作物へ巻き付いたり噛み込んだりして刃部の欠損等を引き起こすことを防止できる。
その結果、送り量や切込みを変化させることにより、切りくずとブレーカ突起との接触箇所が変動する場合であっても、安定して切屑処理性に優れ、長期にわたって高精度の仕上げ面粗さ、寸法精度等を得ることができ、工具寿命に優れる。
しかも、この前頂部11は、コーナ部3の二等分線Lに直交する断面において略直線状をなす平坦面11aを備えているので、低切込みや低送り時の幅が狭く厚みが薄い拘束し難い切りくずであっても、コーナ部3にきわめて近い位置に配置された平坦面11aで確実に捉えて拘束することができる。また、切りくずが平坦面11aで拘束されることにより、切りくずの排出方向が安定する。
これにより、低切込み領域、すなわち、取り代の小さな加工部位での切りくずの拘束力に優れ、仕上げ切削を行う場合において良好な切屑処理性を得ることができる。
さらに、この低い位置に設けられた主切れ刃(横切れ刃)4aにつながる傾斜面2aから隆起するブレーカ突起10については、その側部12における傾斜面2aと隣接する底部から頂部13までの高さが、着座面6と平行に形成される場合と比べて高くなる。換言すると、主切れ刃(横切れ刃)4aの傾斜に伴い、ブレーカ突起10の側部12の面積が広くなる。したがって、ブレーカ突起10の剛性を維持しつつ、コーナ部3から離間するほど凹部12aを大きく形成したり、深く形成したりすることができる。その結果、コーナ部3から離間した位置におけるブレーカ突起10の側部に接触するような幅の広い切りくずや厚みの厚い切りくずであっても、大きく深く形成された凹部12aに切削油剤が効果的に流れ込むことにより、切りくずの凝着を抑制することができる。
これにより、高切込み領域、すなわち、取り代の大きな加工部位での切りくずの拘束力に優れ、粗切削を行う場合において良好な切屑処理性を得ることができる。
これにより、切りくずが分断されにくい低送り加工を行う場合においても、安定して良好な切屑排出性を得ることができる。
また、本実施形態においては、平坦面11aの幅Wを0.08mmとしたが、これに代えて、他の任意の幅に設定することができる。この平坦面11aの幅Wは、0.05mm以上0.5mm以下の範囲内で設定されることが好ましい。0.05mmより小さいと、低切込みや低送り時の幅が狭く厚みが薄い切りくずを十分に拘束できないおそれがあるからである。0.5mmより大きいと、切りくずとの接触面積が大きくなり、凝着抑制効果が損なわれるおそれがあるからである。
また、本実施形態においては、コーナ部3から離間する方向に延びる凹部12a全体を同じ曲率半径rとし、コーナ部3に近いほど浅くコーナ部3から離間するほど深くなるように形成することとしたが、これに代えて、凹部12aの曲率半径rを変化させて、コーナ部3へ近づくに従い曲率半径rを小さく、コーナ部3から離間するに従い曲率半径rを大きく設定し、コーナ部3に近いほど深くコーナ部3から離間するほど浅くなるように形成することにしてもよい。
また、本実施形態においては、切れ刃4の傾き角λを8°としたが、これに代えて、他の任意の傾き角λとすることができる。この切れ刃4の傾き角λは、切屑排出性向上の観点から、5°以上20°以下の範囲内で設定されることが好ましい。5°より小さいと、切りくずの横向きカール促進の効果が小さく、排出性向上の効果が得られないおそれがあるからである。20°より大きいと、刃先強度が低下し高切込みや高送り時に刃部の欠損を生じるおそれがあるからである。
また、本実施形態においては、すくい角γを10°としたが、これに代えて、他の任意のすくい角γとすることができる。このすくい角γは、3°以上20°以下の範囲内で設定されることが好ましい。3°より小さいと、切削抵抗の低減が図れないおそれがあるからである。20°より大きいと切れ刃4の強度が維持できなくなるおそれがあるからである。
また、本実施形態においては、チップ本体1を略菱形の平板状としたが、これに代えて三角形、四角形、六角形等の他の任意の形状とすることができる。
2 すくい面
2a 傾斜面
3 コーナ部
4 切れ刃
10 ブレーカ突起
11 前頂部
11a 平坦面
12 側部
12a 凹部
L 二等分線
R 前頂部の曲率半径
r 凹部の曲率半径
W 平坦面の幅
Claims (7)
- 多角形平板状をなすチップ本体と、該チップ本体の少なくとも一の多角形面に設けられたすくい面と、前記すくい面の角部に設けられたコーナ部と、前記すくい面の辺稜部に設けられた前記コーナ部に交差する少なくとも一対の切れ刃とを有するスローアウェイチップであって、
前記コーナ部近傍のすくい面上に、前記コーナ部から離間するに従い該コーナ部の二等分線方向に漸次隆起するブレーカ突起を備え、
前記ブレーカ突起は、曲率の異なる複数の曲面が滑らかにつながり、全体として外方に突な形状であって、且つ前記二等分線に沿った断面において、前記曲面は前記すくい面につながるものから順に曲率半径が大きくなる前頂部と、前記二等分線に直交する断面において略凹円弧状をなす凹部を有する側部とを備えることを特徴とするスローアウェイチップ。 - 前記すくい面に対向する方向から見たとき、前記前頂部が一定の幅を有する帯状であることを特徴とする請求項1記載のスローアウェイチップ。
- 前記一対の切れ刃が前記コーナ部から遠ざかるにつれて前記チップ本体の厚さ方向下方に向かって傾斜することを特徴とする請求項2記載のスローアウェイチップ。
- 前記一対の切れ刃に隣接して、前記チップ本体の厚さ方向下方に向かって傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項3記載のスローアウェイチップ。
- 前記凹部の曲率半径が前記コーナ部から遠ざかるにしたがって大きくなることを特徴とする請求項4記載のスローアウェイチップ。
- 前記傾斜面に隣接して、前記チップ本体の厚さ方向に垂直に延びる平坦面が形成されることを特徴とする請求項4に記載のスローアウェイチップ。
- 平面視したとき、前記切れ刃から前記側部の立ち上がり始めの位置までの距離が、前記コーナ部から離れた位置ほど長くなっていることを特徴とする請求項1記載のスローアウェイチップ。
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