JP5075614B2 - 含フッ素化合物及びその製造方法 - Google Patents
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(1)−CH含有化合物中の−CH部分をフッ素化する方法において、フッ素化の過程で選択的に水素原子を残存させた含フッ素化合物を製造する方法であって、含フッ素スルホン酸エステルRF’1SO2OCH2RF’2(RF’1、RF’2は、フッ素化アルキル基を示し、水素を含んでいてもよい。)をフッ素化して、含フッ素スルホン酸エステル化合物RF1SO2OCHFRF2(RF1、RF2は、ペルフルオロアルキル基を示す。)へ選択的に変換する工程、を含むことを特徴とする含フッ素化合物の製造方法。
(2)上記含フッ素スルホン酸エステルRF’1SO2OCH2RF’2が、ペルフルオロスルホン酸ハライドRF’1SO2X(RF’1:フッ素化アルキル基、X:F、Cl)とα−ジヒドロフルオロアルコールRF’2CH2OH(RF’2:フッ素化アルキル基)とを反応させて合成した、含フッ素スルホン酸エステルである、前記(1)に記載の含フッ素化合物の製造方法。
(3)上記含フッ素スルホン酸エステルRF’1SO2OCH2RF’2のRF’1及び/又はRF’2が、C1〜12のフッ素化アルキル基である、前記(1)又は(2)に記載の含フッ素化合物の製造方法。
(4)前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法によりフッ素化の過程で選択的に水素原子を残存させて合成した含フッ素スルホン酸エステルRF1SO2OCHFRF2を、アルコラートRO−M(Rは、アルキル基、Mは、金属を示す。)と反応させて、含フッ素ケタールRF2C(OR)2Hに変換して含フッ素ケタール化合物RF2C(OR)2Hを製造することを特徴とする含フッ素化合物の製造方法。
(5)上記選択的な変換反応の過程で、同時に副生するRF1SO3M(Mは、金属を示す。)を回収、再使用する、前記(4)に記載の方法。
(6)一般式RF1SO2OCHFRF2(RF1、RF2は、ペルフルオロアルキル基を示す。)で表される含フッ素スルホン酸エステル化合物。
(7)一般式RF2C(OR)2H(RF2は、ペルフルオロアルキル基を示し、Rは、アルキル基を示す。)で表される含フッ素ケタール化合物。
(8)前記(7)に記載の含フッ素ケタールRF2C(OR)2Hからなることを特徴とする環境負荷を低減させた含フッ素系溶媒。
本発明は、−CH含有化合物中の−CH部分をフッ素化する方法において、フッ素化の過程で選択的に水素原子を残存させた含フッ素化合物を製造する方法であって、含フッ素スルホン酸エステルRF’1SO2OCH2RF’2(RF’1、RF’2は、フッ素化アルキル基を示し、水素を含んでいてもよい。)をフッ素化して含フッ素スルホン酸エステル化合物RF1SO2OCHFRF2(RF1、RF2は、ペルフルオロアルキル基を示す。)へ選択的に変換する工程、を含むことを特徴とするものである。
(1)液相でのフッ素ガスによるスルホン酸エステルのフッ素化のプロセスにおいて、水素原子を1ヶ残存させた含フッ素スルホン酸エステル化合物RF1SO2OCHFRF2を選択的に合成し、提供することができる。
(2)上記含フッ素スルホン酸エステル化合物RF1SO2OCHFRF2は、水素原子を残存させたことで、従来のペルフルオロ化合物と異なり、−CHに起因する反応性を有することから、各種誘導体合成原料やフッ素化合物合成のビルディングブロック等として有用である。
(3)上記含フッ素スルホン酸エステルから含フッ素ケタールRF2C(OR)2Hを合成し、提供することができる。
(4)上記含フッ素ケタールは、水素原子を残存させたことで、水素原子のすべてをFに変換した従来製品と比べて、環境負荷を低減させた環境に優しい含フッ素系の溶媒として有用である。
(5)上記含フッ素ケタールの合成と同時に副生するRF1SO3Mを回収し、再利用することが可能であり、当該プロセスを付加することで、上記含フッ素スルホン酸エステル化合物の製造工程を連続プロセスとして構築することが可能である。
機械式撹拌機(撹拌羽根)、還流冷却器を備えたフラスコに、塩化メチレン200ml、炭酸カリウム62.2g(0.45mol)及びトリフルオロエタノール60g(0.6ml)を仕込み、撹拌しながら浴によって−15℃に冷却した。ペルフルオロブタンスルホニルクロライド96g(0.3ml)を、ロートから反応器に内温−12℃以下を保つように30分かけて滴下した。
合成した化合物について、GC−MS、NMR及びIR分析を行った。GC−MSは、島津QP−5050Aを使用し、イオン化は電子衝撃法70eVで行って、測定した。NMRは、JEOL JMN−GSX270を用い、1Hは、270MHzで、標準物質としてTMSを用いて、19Fは、254MHzで標準物質としてCCl3Fを用いて測定した。IRは、日本分光FT/IR−4100でkBrを用いて測定した。確認データとして、図1に、それらの分析データを示す。
ガス出入り口、原料投入口、その間にNaFペレット充填管及び反応液返送配管を設置した0℃と−78℃の2段のコンデンサー、フッ素樹脂被覆撹拌子、外部温度調節器を備えた300ml容量のフッ素樹脂PFA製の反応器に、ペルフルオロヘキサン200mlを仕込み、N2ガスを、2.4L/Hrで1時間、液中に吹き込んだ。
実施例1と同様の組合せの装置を用い、塩化メチレン30ml、炭酸カリウム10.36g(75mmol)及びn−ペンタフルオロプロパノール11.25g(75mmol)を仕込み、冷却温度を−20℃にして、ペルフルオロブタンスルホニルクロライドを15.92g(50mmol)滴下し、滴下時の内温−18℃以下で30分間、その後、0℃まで1時間、更に、0℃で17時間、反応させた。実施例1と同様の後処理を行い、減圧蒸留によって、59〜60℃/20mmHgの留分を分画し、目的化合物19.15gを得た。ガスクロ純度は99.9%、収率は89%であった。確認データとして、実施例1と同様の測定装置及び方法を用いて行ったGC−MS、NMR及びIR分析による分析データを図3に示す。
20%−F2/80%−N2ガスを1.5L/Hr、ノナフルオロブタンスルホン酸n−ペンタフルオロプロピルエステル8.64g(20mmol)、ヘキサフルオロベンゼン0.56g(3mmol)、20%−F2/80%−N2ガスを1.5L/Hrのまま1時間とした他は、実施例2と同様に反応させた。反応液を蒸留して濃縮し、更に、残液を減圧蒸留し、57〜60℃/40mmHgの留分を分画し、目的化合物4.80gを得た。そのガスクロ純度は97.8%、収率は52%であった。確認データとして、実施例1と同様の測定装置及び方法を用いて行ったGC−MS、NMR及びIR分析による分析データを図4に示す。
ペルフルオロヘキサン30ml、炭酸カリウム12.42g(90mmol)、n−ヘプタフルオロブタノール18g(90mmol)、ノナフルオロブタンスルホニルクロライドを19.11g(60mmol)とした他は、実施例3と同様に反応を行った。次いで、減圧蒸留によって72℃/20mmHgの留分を分画し、目的化合物27.05gを得た。そのガスクロ純度は99.9%、収率は93%であった。確認データとして実施例1と同様の測定装置及び方法を用いて行ったGC−MS、NMR及びIR分析による分析データを図5に示す。
20%−F2/80%−N2ガスを1.74L/Hr、ノナフルオロブタンスルホン酸n−ヘプタフルオロブチルエステル9.64g(20mmol)とした他は、実施例2と同様に反応させた。次いで、反応液を蒸留して濃縮し、更に、残液を減圧蒸留し、61〜63℃/20mmHgの留分を分画し、目的化合物4.95gを得た。そのガスクロ純度は98.9%、収率は49%であった。確認データとして、実施例1と同様の測定装置及び方法を用いて行ったGC−MS、NMR及びIR分析による分析データを図6に示す。
ペルフルオロヘキサン100ml、炭酸カリウム62.19g(45mol)、トリフルオロエタノール60g(0.6mol)、トリデカフルオロヘキサンスルホニルフルオリドを120.6g(0.3mol)とし、滴下温度を−30℃として1時間、−30℃から室温まで4時間、50℃で4時間、反応させた他は、実施例3と同様に反応を行った。次いで、反応液をロータリーエバポレーターで濃縮し、更に、残液を減圧蒸留し、76℃/16mmHgの留分を分画し、目的化合物119.5gを得た。そのガスクロ純度は96.8%、収率は80%であった。確認データとして、実施例1と同様の測定装置及び方法を用いて行ったGC−MS、NMR及びIR分析による分析データを図7に示す。
20%−F2/80%−N2ガスを1.8L/Hr、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸トリフルオロエチルエステルを9.64g(20mmol)とし、導入時間を3時間とした他は、実施例2と同様に反応させた。次いで、反応液を蒸留して濃縮し、更に、残液を減圧蒸留し、66℃/20mmHgの留分を分画し目的化合物4.38gを得た。そのガスクロ純度は97.4%、収率は43%であった。確認データとして、実施例1と同様の測定装置及び方法を用いて行ったGC−MS、NMR及びIR分析による分析データを図8に示す。
ヘプタデカフルオロオクタンスルホニルフルオリドを150.6g(0.3mol)とした他は、実施例7と同様に反応及び処理を行った。次いで、減圧蒸留し、92〜93℃/10mmHgの留分を分画し、目的化合物139.6gを得た。常温でワックス状白色固体であり、そのガスクロ純度は95.2%、収率80%であった。確認データとして、実施例1と同様の測定装置及び方法を用いて行ったGC−MS、NMR及びIR分析による分析データを図9に示す。
ペルフルオロオクタンスルホン酸トリフルオロエチルエステル11.64g(20mmol)とし、導入時間を3.5時間とした他は、実施例8と同様に反応させた。次いで、反応液をロータリーエバポレーターで濃縮し、更に、残液を減圧蒸留し、80〜81℃/10mmHgの留分を分画し、目的化合物5.86g得た。そのガスクロ純度は98.5%、収率は48%であった。確認データとして、実施例1と同様の測定装置及び方法を用いて行ったGC−MS、NMR及びIR分析による分析データを図10に示す。
フッ素樹脂被覆撹拌子を入れ、窒素置換した100mlの反応容器にペルフルオロブタンスルホン酸テトラフルオロエチルエステル12g(30mmol)、脱水メタノール24mlを入れ、−20℃に冷却した。28%−ナトリウムメチラート/メタノール溶液13.89gを滴下ロートに取り、−15℃以下で2時間かけて加えた後、2時間をかけて室温にし、氷水を加え、塩化メチレンで抽出した。
溶媒を脱水エタノール2ml、20%−ナトリウムエチラート/エタノール溶液1.36g(0.4mmol)に替えた他は、実施例11と同様に行った。確認データとして、実施例1と同様の測定装置及び方法を用いて行ったGC−MS、及びNMR分析による分析データを以下に示す。
GC−MS:m/z(EI+) 29(100%)、47(72)、75(28)、103(28)、31(24)
1H−NMR(溶媒CDCl3) δ(ppm) 4.6(q,1H)、3.7(m,4H)、1.2(t,3H×2)
19F−NMR(溶媒CDCl3) δ(ppm) −81.2(d,3F)
Claims (8)
- −CH含有化合物中の−CH部分をフッ素化する方法において、フッ素化の過程で選択的に水素原子を残存させた含フッ素化合物を製造する方法であって、含フッ素スルホン酸エステルRF’1SO2OCH2RF’2(RF’1、RF’2は、フッ素化アルキル基を示し、水素を含んでいてもよい。)をフッ素化して、含フッ素スルホン酸エステル化合物RF1SO2OCHFRF2(RF1、RF2は、ペルフルオロアルキル基を示す。)へ選択的に変換する工程、を含むことを特徴とする含フッ素化合物の製造方法。
- 上記含フッ素スルホン酸エステルRF’1SO2OCH2RF’2が、ペルフルオロスルホン酸ハライドRF’1SO2X(RF’1:フッ素化アルキル基、X:F、Cl)とα−ジヒドロフルオロアルコールRF’2CH2OH(RF’2:フッ素化アルキル基)とを反応させて合成した、含フッ素スルホン酸エステルである、請求項1に記載の含フッ素化合物の製造方法。
- 上記含フッ素スルホン酸エステルRF’1SO2OCH2RF’2のRF’1及び/又はRF’2が、C1〜12のフッ素化アルキル基である、請求項1又は2に記載の含フッ素化合物の製造方法。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の方法によりフッ素化の過程で選択的に水素原子を残存させて合成した含フッ素スルホン酸エステルRF1SO2OCHFRF2を、アルコラートRO−M(Rは、アルキル基、Mは、金属を示す。)と反応させて、含フッ素ケタールRF2C(OR)2Hに変換して含フッ素ケタール化合物RF2C(OR)2Hを製造することを特徴とする含フッ素化合物の製造方法。
- 上記選択的な変換反応の過程で、同時に副生するRF1SO3M(Mは、金属を示す。)を回収、再使用する、請求項4に記載の方法。
- 一般式RF1SO2OCHFRF2(RF1、RF2は、ペルフルオロアルキル基を示す。)で表される含フッ素スルホン酸エステル化合物。
- 一般式RF2C(OR)2H(RF2は、ペルフルオロアルキル基を示し、Rは、アルキル基を示す。)で表される含フッ素ケタール化合物。
- 請求項7に記載の含フッ素ケタールRF2C(OR)2Hからなることを特徴とする環境負荷を低減させた含フッ素系溶媒。
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