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JP5074214B2 - 引込機構 - Google Patents

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Description

本発明は、固定体に対する可動体の移動操作を助ける引込機構のうち、ストライカー及びキャッチャー並びに可動体の移動過程で付勢力を蓄積する付勢手段を備え、ストライカーとキャッチャーとが係合した状態で付勢手段に蓄積された付勢力により可動体を引き込むようにした引込機構に関する。
図11は特許文献1に開示の引込機構を示し、(a)は不図示の引出体の引込位置、(b)は引出位置での模式図である。符号50は本体側壁、55は引出体側の駆動ピン、60は本体側壁と引出体との間に配置された傾斜部分、符号65はばねである。本体側壁50には、前後方向へ延びる真っ直ぐな部分51a及び弓形部分51bからなる案内トラック51が設けられている。傾斜部分60は、上解放したスロット61及び該スロット61の前側から延びている斜めの側壁62を有し、ボルト63,63を案内トラック51に嵌合している。ばね65は、本体側壁に一端を係止し、他端を傾斜部分60に係止した状態で、引出体が引込位置から引出位置へ移動される過程で付勢力を蓄積する。
そして、引出体が引出方向へ移動されるときは、傾斜部分60が案内トラックの真っ直ぐな部分51aに沿って動かされた後、弓形部分51bで前方へ傾斜され、かつ駆動ピン55がスロット61から斜めの側壁62の方へ動く。これにより、引出体は、ばね65の付勢力に抗して引出位置に係止されるとともに、後方へ押されることで駆動ピン55を斜めの壁部62からスロット61に戻した後、ばね65に蓄積された付勢力で引き込まれる。
特公平5−023763号公報
上記した従来構造では、例えば、引出体が引出位置から引込方向へはほぼ全て自動で摺動されるが、その分だけ引込位置から引出方向へは強い引き操作力が必要となり使い勝手が悪くなる。また、引出体をばね65の付勢力に抗して係止するロック機構として、駆動ピン55を傾斜部分60の前傾斜によりスロット61から抜け出るようにし、斜めの側壁62に係合するため、係合力が弱く、振動等によって係止解除される虞がある。しかも、従来構造では、引出体の積載量や収納荷重の変化により、傾斜部分60と駆動ピン55の相対位置のずれが発生し正常に作動しなくなるという虞もあった。
本発明の目的は、可動体を途中から付勢力で引き込む引込機構として、該可動体を勢いよく押し込めるときの跳ね返りを防いだり可動体の不完全な押入状態の発生を防ぐ上で好適であり、特に、係合関連部材同士の相対位置が変化しても該変化を吸収して良好な作動を保ち、それにより誤作動の発生を防いで信頼性を向上することにある。
上記した目的を達成するため請求項1の本発明は、固定体及び該固定体に移動可能に支持される可動体のいずれか一方に設けられたストライカーと、他方に設けられて前記可動体の所定の移動位置にて前記ストライカーと係脱可能に係合するキャッチャーと、前記可動体の移動過程で付勢力を蓄積可能な付勢手段とを備え、前記ストライカーと前記キャッチャーとが係合した状態で前記付勢手段に蓄積された付勢力により前記可動体を引き込む引込機構において、前記固定体及び可動体の一方に取り付けられて前記ストライカーを前記付勢手段と共に配置しているケースと、前記固定体及び可動体の他方に取り付けられて前記キャッチャーを上下方向に移動可能に支持している保持部材と、前記ケースに設けられたガイド溝、及び前記キャッチャーに設けられて前記ガイド溝を摺動する突起からなり、前記ストライカーと前記キャッチャーとの相対位置を規制して前記相対位置が変化したときにその変化を、前記キャッチャーを前記保持部材に対し所定寸法だけ上下動して吸収し前記突起を前記ガイド溝に嵌合可能にするガイド手段とを有していることを特徴としている。
これに対し、請求項2の発明は、上記発明と「・・・おいて」までを同じくし、前記固定体に上下方向に移動可能に取り付けられて前記ストライカーを前記付勢手段と共に配置しているケースと、前記可動体に取り付けられて前記キャッチャーを支持している保持部材と、前記ケースに設けられたガイド溝、及び前記キャッチャーに設けられて前記ガイド溝を摺動する突起からなり、前記ストライカーと前記キャッチャーとの相対位置を規制して前記相対位置が変化したときにその変化を、前記ストライカーを前記固定体に対し前記ケースを介して所定寸法だけ上下動して吸収し前記突起を前記ガイド溝に嵌合可能にするガイド手段とを有していることを特徴とする。
以上の本発明において、固定体は引出体用収納本体や引戸用枠本体などが含まれる。可動体は、引出体や引戸などであり、固定体に対し往復移動される関係であればよい。ストライカー及びキャッチャーは、固定体と可動体とに対応して設けられて、固定体に対する可動体の所定の移動位置(例えば、可動体が引出体であれば、該引出体の押入途中)で係合して、付勢手段に蓄積された付勢力により可動体を引込可能にする関係であればよい。具体例としては、特許文献1の構造であれば駆動ピンがキャッチャーに相当し、傾斜部分がストライカーに相当する。
以上の各発明は次のように具体化されることがより好ましい。すなわち、前記ガイド溝は、溝出入口部分を他の溝部分よりも上下間隔を大きく形成している構成である(請求項3)。
請求項1の発明では、例えば、可動体が引出体であれば該引出体に収納される物品荷重の変化等に起因して、ストライカーとキャッチャーとの相対的な位置を変位ないしは変化したとしても、ストライカーとキャッチャーとがガイド手段の変化吸収作用により正規位置に修正されて係合可能となる。これにより、引込機構としては、相対的な位置ずれに起因した作動不良を確実に阻止でき、それにより品質及び信頼性を向上できる。
同時に、ストライカーが付勢手段と共にケースに配設されてユニット化され、キャッチャーが保持部材に支持されてユニット化されているため、何れもが取扱性及び固定体や可動体への取付性等に優れている。また、キャッチャーを保持部材に対し所定寸法だけ移動可能に支持しているため、該許容された移動範囲内で位置を変更してストライカーに対して最適位置に調整できる。また、キャッチャーが固定体側に付設されたケースのガイド溝に対し突起を嵌合した状態で摺動されるためストライカーに対する安定した係合を維持できる。
これに対し、請求項2の発明では、請求項1のキャッチャーを保持部材に対し所定寸法だけ移動可能に支持している構成に代えて、ストライカーが固定体に対しケースを介して所定寸法だけ移動可能に取り付けられるため、該許容された移動範囲内で位置を変更してキャッチャーに対して最適位置に調整できる。
請求項3の発明では、形態の例で述べると、突起がガイド溝のうち上下間隔を大きくした幅広の溝出入口部分で受け入れられて幅細の溝部分に移行されるためキャッチャーとストライカーとの溝幅方向の上下位置が変化していても効率よく修正できる。
本発明の形態例を図面を参照しながら説明する。図1はストライカー組立体とキャッチャー組立体との関係を示し、図2〜図4はストライカー組立体の構成及び作動特徴を示し、図5はキャッチャー組立体の構成及び作動特徴を示し、図6〜図9は使用例を示し、図10は変形例を示している。なお、各図では作図上一部を省略している。以下の説明では、機構特徴、ストライカー組立体、キャッチャー組立体、使用例、作動、変形例の順に詳述する。
(機構特徴)形態の引込機構は、例えば、用途が引出体8を収納本体9に出し入れる場合であれば、収納本体9及び該収納本体9に移動可能に支持される引出体8のいずれか一方に設けられるストライカー組立体Aを構成しているストライカー33と、他方に設けられて引出体8の所定の移動位置にてストライカー33と係脱可能に係合するキャッチャー組立体Bを構成しているキャッチャー5と、引出体8の移動過程で付勢力を蓄積可能な付勢手段であるコイルばねSとを備え、ストライカー33とキャッチャー5とが係合した状態でコイルばねSに蓄積された付勢力により引出体8を引き込むものである。工夫点は、特にストライカー35とキャッチャー5との相対位置を規制するガイド手段7を有し、ストライカー35とキャッチャー5とが引出体8の積載荷重の大小などで前記相対位置を変化したときガイド手段7によりその変化を吸収して係合可能となるようにしたものである。
(ストライカー組立体)この組立体Aは、図1〜図4に示されるように、概略矩形状のケース1と、ケース1に摺動可能に配置されているスライダー2と、スライダー2に連結されているアーム3と、上記したコイルばねSと、スライダー2及びアーム3の移動を制動する制動手段6とを備えている。このうち、制動手段6は、ピストン式ダンパー34及び回転式ダンパー37で構成されている。ピストン式ダンパー34は、シリンダー35及び該シリンダーに緩やかに出没されるピストンロッド36を有し、ピストンロッド36がシリンダー35に対し緩やかに駆動する構成である。回転式ダンパー37は、ケース38と、該ケース内の作動油等で制動される軸及び該軸に装着されたギア39を有している構成である。但し、制動手段6は省略したり、ダンパー34,35の一方だけ使用したり、逆にダンパー37を複数用いることも可能である。
ケース1は、前後方向に細長くなっており、内空間が正面10及び背面11と、上下面12,13と、一端面14とで概略区画されており、他端面を開口している。正面10には、ピストン式ダンパーのシリンダー35を係合規制する支持溝10aと、ダンパー用取付孔10cと、アーム3の対応部と嵌合するガイド孔15とが設けられている。取付孔10cには、ダンパー37がそのケース38を係合固定した状態に取り付けられる。ガイド孔15は、一端面14の手前から水平に延びる水平孔15a及び該水平孔の端部から下へ折れ曲がった係止孔15bを有している。正面10及び背面11には、スライダー2をガイドするガイド孔10b,11bが対向して設けられている。背面11には、ガイド孔11b以外に、凹状格納部11aと、ガイド孔15と対向する箇所を欠如した略矩形の開口部11cと、開口部11cの下内面に突出したばね用掛止部18とが設けられている。格納部11aには、ダンパー34がそのシリンダー35を係合固定した状態に取り付けられる。
上面12には、略中間から一端面14側に向けて延びている断面コ形状のガイド溝16が設けられている。このガイド溝16は、上面12に立設された縦壁17aと、該縦壁17aに突設されて上面12と対向している横壁17bと、一端面14側あって横壁17b及び上面12の各端部を接続している立壁17cとで区画されている。また、溝出入口部分16aは、それよりも奥側の溝部分16bよりも幅広つまり上下間隔が大きく形成されている。更に、溝出入口部分16aにおいて、上面12及び横壁17bの対向部は溝部分16bに近づくほど上下間隔を狭くなるテーパー面となっている。符号19は上面12、下面13、横壁17bに突設された孔付きの取付部である。
スライダー2は、全体が両側面20及び上下面21,22並びに対向した端面23で概略区画される細長い板状をなし、両側面20にそれぞれ突設されてケース側ガイド孔10b,11bに嵌合する複数の凸部24と、一方の端面23から他方の途中に向けて延設されて上記ピストンロッド36を挿通する挿通孔25と、両側面20に開設されて挿通孔25の先端を横切っている係止用小開口26と、上面21にあって一方端面23より他方の少し手前まで連続して設けられたラック27及びラック27と端面23の間に立設された略U形支持部28とを有している。
アーム3は、一端部30がスライダー側支持部28に回動自在に枢支され、他端部32がガイド孔15に嵌合される軸部31b(図1を参照)を突設している。すなわち、一端部30は、略コ形をなし、該コ形の両片部間に設けられた連結軸31aを有し、スライダー側の支持部28に対し該連結軸31aをU形内に嵌合した状態で連結される。他端部32は、側面に突出した前記軸部31bと、軸部31bの先端に一回り径大でガイド孔15から抜けないようにする鍔部32aと、鍔部32aの外面に突出したストライカー33とを同軸線上に形成している。また、一端部30の手前には、ばね用掛止部3aが下向きに突設されている。
以上のスライダー2及びアーム3並びにコイルばねSは、次のような手順にてケース1に組み込まれる。まず、スライダー2は、ケース1に対して一端面14と対向している他端面の開口からケース内に入れられるとともに、両側の凸部24がガイド孔10b,11bに嵌合されることで該ガイド孔に沿って水平に摺動される。この場合、格納部11a内に装着されているダンパー側ピストンロッド36は、スライダー側挿入孔25に挿入され、かつ、小開口26に突出している先端にキャップ状の止め具36aが装着されることでスライダー2に連結される。また、取付孔10cに装着されているダンパー37は、ギア39がスライダー側のラック27と噛み合わせられる。このため、スライダー2は、ピストン式ダンパー34及び回転式ダンパー37により制動されながら摺動されることになる。
また、アーム3は、図4のごとく一端部30の連結軸31aがスライダー側の支持部28に嵌合され、かつ、他端部32の軸部31bがガイド孔15に挿通された状態でケース1内に組み込まれる。その際、他端部32は、径大の鍔部32aが水平孔15aの端部に少し大きく設けられた逃げ孔を利用してガイド孔15に挿通されることで、ケース1に対し抜け止め状態に配置される。この状態ではストライカー33がガイド孔15から水平に突出されている。次に、コイルばねSは、一端がケース側掛止部18に係止され、他端がアーム側掛止部3aにが係止される。これにより、ストライカー組立体Aが完成される。
(キャッチャー組立体)この組立体Bは、図1及び図5に示されるように、概略板状の保持部材4と、保持部材4に所定上下寸法だけ移動可能に支持されたキャッチャー5とを備えている。このうち、保持部材4は、背面側に設けられた上下に長い矩形の凹部40と、凹部40内の上下部及び左右部を除いて表裏貫通した矩形の開口41と、凹部40内の上一側部分を欠如し凹部40内から外へ通じている逃げ部42と、複数箇所に設けられた取付孔43とを有している。
キャッチャー5は、凹部40に対応した板部50と、板部50の表面側に突設されて開口41から正面側に突出配置される上保持部51及び下係合部52と、上保持部51に上下動可能に組み込まれた爪部材45とを有している。板部50は、一方側面の上側に上記したガイド溝16に嵌合する突起53を形成しており、凹部40内に上下方向へ移動可能に配置されたとき、突起53も逃げ部42から外へ突出した状態で上下動される。上保持部51及び下係合部52は、開口41から板部50の正面側へ上下動可能に突出された状態で、上保持部51の両外側面に設けられた爪55を介して抜け止めされる。下係合部52は、下に行くほど低くなるテーパーに形成されて、上記係止状態のストライカー33に当たったとき、キャッチャー組立体Bの前進移動によってストライカー33を前記テーパー作用により係止孔15bより水平孔15aに逃がす。
これに対し、上保持部51は、突出先端側が下部及び端面の一部54を開口した空洞部となっている。そして、該空洞部には、両内側面に爪部材45を案内するガイドリブ56が対向して設けられている。すなわち、爪部材45は、図5(b),(d)のごとく、先端が傾斜面に形成されるとともに、両側に設けられた縦溝45aと、上側に突設された弾性片部46を有している。そして、爪部材45は、各縦溝45aを対応するガイドリブ56に嵌合し、かつ、片部46を前記空洞部の内上面に当接した状態に配置されることにより、通常は片部46を介して同図の突出状態に付勢されている。上向きの応力を受けると、片部46の弾性力に抗して没方向へ一旦逃げた後、応力がなくなると再び突出状態となる。
(使用例)図6(及び図1中、右上に示された部分)は以上の引込機構を引出体8の引き込みに適用した一例である。この配置では、ストライカー組立体Aが収納本体9の内側面に取り付けられるとともに、キャッチャー組立体Bが引出体8の後端面8bに取り付けられている。この場合、ストライカー組立体Aは、上記したケース側取付部19及びねじ等を使用して固着される。キャッチャー組立体Bは、上記した取付孔43及びねじ等を使用して固着されるが、その際、突起53がストライカー組立体Aのガイド溝16に対応して、引出体8の側面8aから突出するよう位置決めされる。なお、他の配置としては、ストライカー組立体Aを引出体8側に取り付け、それに対応してキャッチャー組立体Bを収納本体9側に取り付けることも可能である。また、ストライカー組立体A及びキャッチャー組立体Bは、可動体を2組使用して引き込むこともあるが、そのような場合、引出体8であればもう一方は上記形態に対し左右対称形となる。
(作動)以上の引込機構の作動を図3と図4、及び図7〜図9を参照しながら詳述する。なお、図7〜図9では、図6の使用例を想定して主な作動を示したものであり、各部材の関係を明らかにするため簡略化したり模式化されている。
(1)まず、ストライカー組立体Aの作動を明らかにする。この組立体Aは、コイルばねSが図3のごとく付勢力を蓄積した付勢力蓄積状態と、コイルばねSが図4のごとく付勢力を解放した付勢力解放状態との間で切り換えられる。この引込機構では、付勢力蓄積状態において、コイルばねSはアーム3の摺動を介して付勢力を最大まで蓄積している。アーム3は軸部31bを係止孔15bに係止している。ダンパー34はピストンロッド36がシリンダー35から大きく引き出されている。そして、この付勢力蓄積状態から、軸部31bが係止孔15bから係止解除されて水平孔15aに逃がされると、ストライカー33、アーム3、スライダー2がコイルばねSの付勢力で一体として水平孔15aに沿って摺動される。この係止解除は、後述するようにストライカー33に対するキャッチャー組立体B(のキャッチャー5)の係合を伴って行われる。係止解除されると、キャッチャー組立体Bは、ストライカー33とキャッチャー5との係合状態を保ってアーム3と連動して摺動、つまり上記各ダンパー34,37で制動されながら自動的に引き込まれることになる。この引込機構では、付勢力解放状態において、コイルばねSはアーム3の摺動を介して付勢力を解放ないしは付勢力を最小にしている。アーム3は軸部31bを水平孔15aの適宜な箇所に配置している。ダンパー34はピストンロッド36をシリンダー35に最も没した状態となっている。
(2)図7は、キャッチャー組立体Bがストライカー組立体Aに係合する前段階で、互いの位置関係をガイド手段7により矯正する変化吸収作動を示している。これは、上記図6の使用例だと、例えば、引出体8の積載量や収納荷重の変化により、キャッチャー組立体Bのキャッチャー5とストライカー組立体Aのストライカー33との相対位置が変化し、キャッチャー5とストライカー33とが正常に係合されなくという問題をガイド手段7により解消するものである。すなわち、このガイド手段7は、図7(b)のごとくキャッチャー組立体Bがストライカー組立体Aに接近されると、(ア)キャッチャー側の突起53がケース1のガイド溝16に対し嵌合した状態で摺動されることからキャッチャー5(下係合部52と爪部材45)とストライカー33とが正確に位置出しされること、(イ)突起53がガイド溝16のうち幅広の溝出入口部分16aで受け入れられて幅細の溝部分16bにセンタリングされながら移行されることからキャッチャー5(下係合部52と爪部材45)とストライカー33との溝幅方向の位置(つまり上下位置)が変化していても効率よく修正されること、(ウ)キャッチャー5(下係合部52と爪部材45)が保持部材5に対し所定寸法だけ移動可能に支持されていることから該許容された移動範囲内で位置を変更してストライカー33に対して最適位置に調整されること、それらの作動により前記相対位置の変化を効率よく確実に吸収し誤作動をなくする。
(3)図8は、キャッチャー組立体Bがストライカー組立体Aに係合して付勢力により引き込まれるときの引出体等の可動体の引込作動を示している。すなわち、この引込機構では、キャッチャー組立体Bが図8(a)のごとくストライカー組立体Aに接近されると、まず、キャッチャー5の爪部材45が上記した片部46の付勢に抗して上へ動いてストライカー33を通過し、同時にストライカー33が下係合部52(のテーパー形状)により上又は斜め上方向へ押されることで係止孔15bから水平孔15bに逃がされて係止解除される。この係止解除により、キャッチャー組立体Bは、図8(b)のごとくキャッチャー5(下係合部52と爪部材45)とストライカー33との係合を保って、アーム3及びスライダー2がコイルばねSの付勢力により摺動され、その摺動に連動して引き込まれることになる。これは、上記図6の使用例だと、引出体8が押し入れられる途中からコイルばねSに蓄積された付勢力により自動的に最終の押入位置まで(制動手段6により制動されながら)引き込まれるようにし、それにより引出体8を勢いよく押し込めるときの跳ね返りを防いだり引出体8の不完全な押入状態の発生を防ぐ。
(4)図9は、上記した引出体8等の可動体が図8(b)の引き込まれた状態から再び引き出し方向へ移動されて前記係合を解除するときの作動を示している。すなわち、この引込機構では、キャッチャー組立体Bが再び図9(a)のごとくストライカー組立体Aから離れる方向へ移動される過程において、まず、ストライカー33がキャッチャー5(下係合部52と爪部材45)と係合した状態で、水平孔15bから一段低くなった係止孔15a上にくると、爪部材45で押されて係止孔15aに入って係止され、その後、キャッチャー組立体Bは図9(b)のごとくキャッチャー5(下係合部52と爪部材45)がストライカー33との係合を解除し、単独で操作方向へ移動されることになる。また、この引出機構では、ストライカー33がキャッチャー5(下係合部52と爪部材45)と係合した状態で、キャッチャー組立体Bが引出体8等の引き出し操作により図8(b)から図9(a)の箇所まで移動されると、ストライカー33つまりアーム3及びスライダー2も連動して同方向へ移動されるためコイルばねSに付勢力を蓄積することになる。この付勢力蓄積は、キャッチャー組立体Bのキャッチャー5がストライカー33と係合解除されるまでである。
(変形例)図10は上記引込機構の変形例を示している。この変形例は、ストライカー33が収納本体9等の固定体に対しケース1を介して所定寸法だけ移動可能に取り付けるようにした構成である。この説明では、上記形態と同一部材及び作用的に同じ部位に同じ符号を付し、重複した記載を極力省く。この引出機構は、上記形態に対してストライカー組立体Aを構成しているケース1の取付部を変更したものである。この取付部190は、ケース1の複数箇所に設けられており、それらはねじ等の止め具Mを差し込む孔190aが幅より上下寸法を大きくした長孔に形成されている。そして、この引出機構では、ストライカー組立体Aが収納本体9の内側面に対し上下に長い孔190aに止め具Mを差し込んで取り付けられることで、ストライカー33がケース1を介して孔190aの長さに比例した寸法だけ移動可能になる。これにより、上記したガイド手段7としては、仮に、キャッチャー組立体Bのキャッチャー5を簡略化して保持部材4に一体に形成しても、ストライカー33がケース1を介して前記許容された移動範囲内で位置を変更してキャッチャー5に対して最適位置に調整できる。
なお、本発明の引込機構は、請求項1で特定される構成を実質的に備えておればよく、細部は必要に応じて種々変更したり展開可能なものである。
発明形態の引込機構を構成しているストライカー組立体とキャッチャー組立体との関係を示す概略斜視図である。 上記ストライカー組立体の構成部材を示す概略分解図である。 上記ストライカー組立体を付勢力蓄積状態で示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。 上記ストライカー組立体を付勢力解放状態で示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。 上記キャッチャー組立体を示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は右側面図、(e)は左側面図である。 ストライカー組立体とキャッチャー組立体との配置例を示し、(a)は上から見た模式図、(b)は(a)の状態を側面から見た模式図である。 上記引込機構のガイド作動を示し、(a)はキャッチャー組立体とストライカー組立体との関係を示す模式図、(b)はガイド手段の作動を示す模式図である。 上記引込機構の引き込みを示し、(a)は係合時の状態を示す模式図、(b)は引き込み時の状態を示す模式図である。 上記引込機構の付勢力蓄積を示し、(a)は付勢力蓄積完了時の状態を示す模式図、(b)は係合解除後の状態を示す模式図である。 (a)と(b)は上記引込機構の変形例を図6に対応して示す図である。 特許文献1の引込機構を説明するための参考図である。
A…ストライカー組立体
B…キャッチャー組立体
1…ケース(10は正面、11は背面、12と13は上下面)
2…スライダー(20は側面、21と22は上下面、23は端面、24は凸部)
3…アーム(30は一端部、32は他端部、31aは連結軸、31bは軸部)
4…保持部材(40は凹部、41は開口)
5…キャッチャー(50は板部、51は上保持部、52は下保持部、45は爪部材)
6…制動手段(60はピストン式ダンパー、65は回転式ダンパー)
7…ガイド手段
8…引出体(可動体)
9…収納本体(固定体)
16…ガイド溝(16aは溝出入口部、16bは他の溝部分)
15…ガイド孔(15aは水平孔、係止孔15b)
33…ストライカー
53…突起
S…コイルばね(付勢手段)
M…止め具

Claims (3)

  1. 固定体及び該固定体に移動可能に支持される可動体のいずれか一方に設けられたストライカーと、他方に設けられて前記可動体の所定の移動位置にて前記ストライカーと係脱可能に係合するキャッチャーと、前記可動体の移動過程で付勢力を蓄積可能な付勢手段とを備え、前記ストライカーと前記キャッチャーとが係合した状態で前記付勢手段に蓄積された付勢力により前記可動体を引き込む引込機構において、
    前記固定体及び可動体の一方に取り付けられて前記ストライカーを前記付勢手段と共に配置しているケースと、
    前記固定体及び可動体の他方に取り付けられて前記キャッチャーを上下方向に移動可能に支持している保持部材と、
    前記ケースに設けられたガイド溝、及び前記キャッチャーに設けられて前記ガイド溝を摺動する突起からなり、前記ストライカーと前記キャッチャーとの相対位置を規制して前記相対位置が変化したときにその変化を、前記キャッチャーを前記保持部材に対し所定寸法だけ上下動して吸収し前記突起を前記ガイド溝に嵌合可能にするガイド手段とを有していることを特徴とする引込機構。
  2. 固定体及び該固定体に移動可能に支持される可動体のいずれか一方に設けられたストライカーと、他方に設けられて前記可動体の所定の移動位置にて前記ストライカーと係脱可能に係合するキャッチャーと、前記可動体の移動過程で付勢力を蓄積可能な付勢手段とを備え、前記ストライカーと前記キャッチャーとが係合した状態で前記付勢手段に蓄積された付勢力により前記可動体を引き込む引込機構において、
    前記固定体に上下方向に移動可能に取り付けられて前記ストライカーを前記付勢手段と共に配置しているケースと、
    前記可動体に取り付けられて前記キャッチャーを支持している保持部材と、
    前記ケースに設けられたガイド溝、及び前記キャッチャーに設けられて前記ガイド溝を摺動する突起からなり、前記ストライカーと前記キャッチャーとの相対位置を規制して前記相対位置変化したときその変化を、前記ストライカーを前記固定体に対し前記ケースを介して所定寸法だけ上下動して吸収し前記突起を前記ガイド溝に嵌合可能にするガイド手段とを有していることを特徴とする引込機構。
  3. 前記ガイド溝は、溝出入口部分を他の溝部分よりも上下間隔を大きく形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の引込機構。
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