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JP4923475B2 - 車両走行制御装置および車両走行制御方法 - Google Patents

車両走行制御装置および車両走行制御方法 Download PDF

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JP4923475B2 JP2005231238A JP2005231238A JP4923475B2 JP 4923475 B2 JP4923475 B2 JP 4923475B2 JP 2005231238 A JP2005231238 A JP 2005231238A JP 2005231238 A JP2005231238 A JP 2005231238A JP 4923475 B2 JP4923475 B2 JP 4923475B2
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Description

本発明は、車両の安定した走行を実現するための走行制御装置、特に、コーナでの走行時に車両の安定した走行を実現するための走行制御装置および車両走行制御方法に関する。
旋回走行する車両の運動状態(路面の摩擦係数、横加速度、車速等)および運転操作から安全車速を算出し、当該車両がこの安全車速を超えようとすると、自動制動システムが作動して自動的に安全車速以下まで減速し、スピンおよびドリフアウト、或いは、横転等を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。この提案では、路面の状況に応じて適切なタイヤのグリップを確保するだけでなく車体の過大なロールを抑えて常に車両の旋回挙動を安定化することができる。従って、重心位置の高い大型車両に適用した場合にも旋回時に車体のロールが不所望に大きくならない自動減速制御装置が実現できるとされている。
特開平10−278762(段落0002〜段落0008、図3、図4、図5)
上掲の従来の技術によれば、自動的に安全車速以下に減速するように制御されるため、オーバスピードを抑制する効果は大きい。一方、この制御が行われているときに操舵を行ったような場合には、車両に装備された制御システムにおけるヨーモーメントを制御するシステム(サブシステム)も併せ作動する蓋然性が高い。このようにオーバスピードを抑制するシステムとヨーモーメントを制御するシステムとが併せ作動する場合には、別段の対応を俟たねば制御の干渉を生じる懸念がある。
他方、このような干渉を回避するために一方のシステム(サブシステム)が作動しているときには他方についてはその作動を禁止するといった方策を採用した場合には、禁止された方のシステムによる制御は実行されなくなって、それによる効果も無くなってしまうといった問題が残る。上掲の従来の技術は、もとより上記のような制御の干渉を生じる懸念を払拭することを技術課題としているものではなく、従って、上述のような干渉を回避するに際しての技術課題とその解決手段については別段の提案がなされていない。
本発明は上述のような状況に鑑みてなされたものであり、その目的はオーバスピードを抑制するシステムとヨーモーメントを制御するシステムとが併せ作動するような場合においても所要の減速度を保ちつつ車両の挙動を適切に制御して、車両のスタビリティを確保することができるようにした車両走行制御装置および車両走行制御方法を提供することを目的としている。
前記課題を解決する本願発明の一つの態様は次のような装置である
車両の挙動を制御する車両挙動制御装置と、コーナでのオーバスピード量を推定し前記車両の速度を抑制するオーバスピード抑制装置と、前記車両挙動制御装置および前記オーバスピード抑制装置の双方を含む前記車両の複数の制御装置を統括的に制御するシステムコントローラとを備えた車両走行制御装置であって、
前記システムコントローラは、前記車両の環境や挙動が特定の状態にあることが認識された場合を除き、前記オーバスピード抑制装置による速度抑制に係る減速度を保持するように制御を行い、
前記車両の環境や挙動が当該特定の状態にあることの認識を、スピン方向に車両挙動が出ているという第1の条件、道路形状がバンクになっているという第2の条件、車両が後退しているという第3の条件、ヨーモーメントの制御によって車両の回頭性を向上させる回頭性向上制御モードにあるという第4の条件、前記車両挙動制御装置が道路上でレーン維持をするためのレーン維持モードにあるという第5の条件、車両の速度が既定の最低速度未満であるという第6の条件のうちの少なくとも何れかの条件への該当の有無を判断して該判断の結果が否定的であることにより形成し、
前記オーバスピード抑制装置が作動したときには、前記車両挙動制御装置の作動しきい値を当該車両挙動制御を行うシステムが介入し易い方向へ変更することを特徴とする車両走行制御装置。
本発明によれば、車両挙動制御装置とオーバスピード抑制装置とが共に作動したときには、所定の条件に合致する場合を除き、オーバスピード抑制装置による速度抑制に係る減速度を保持するように制御がおこなわれるため、一定の減速度を保ちながら車両の挙動制御が行われ得るため、車両のスタビリティを確保しつつ減速を行うことが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。尚、以下に参照する図においては、便宜上、説明の主題となる要部は適宜誇張し、要部以外については適宜簡略化し乃至省略されている。
図1は、本発明の装置を搭載した車両における構成の概要を表す模式図である。参照符号100は車両全体を表し、この車両100には、装備された各種の制御装置を統括的に制御するシステムコントローラとしての機能部を含む制御コントローラ110が設けられている。この制御コントローラ110はマイクロプロセッサを主体に構成されている。ブレーキ制御ユニット120は前側の左右の車輪10FL,10FRと後側の左右の車輪10RL,10RRに対し制動をかけるように構成されている。尚、ブレーキ制御ユニット120は車両100の運転者による操作とは独立に各車輪10FL,10FR,10RL,10RRに対し制動をかけ且つその加減を各別に調節可能なように構成されている。
車両100に作用するヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ130が設けられ、このヨーレイトセンサ130による検出出力は制御コントローラ110に供給されるように構成されている。前側の左右の車輪10FL,10FRに各対応して車輪の回転に対応したパルス信号を生成してこの信号を外部に伝送する車輪速パルス発信器141,142が設けられ、また、後側の左右の車輪10RL,10RRに対応して、同様に、車輪速パルス発信器143,144が設けられている。これら車輪速パルス発信器141,142,143,144の出力は何れも制御コントローラ110に供給される。
ハンドルSWの操舵角を検出する舵角センサ150が設けられ、この舵角センサ150の出力も制御コントローラ110に供給される。また、エンジンのスロットルを調節するエンジンスロットル制御ユニット160が設けられ、このエンジンスロットル制御ユニット160は制御コントローラ110と信号の授受を行って、車両100の運転者による操作とは独立にスロットルの調節動作を行うことも可能なように構成されている。
更に、車両100に作用する横加速度を検出する横加速度センサ170が設けられ、この横加速度センサ170による検出出力も制御コントローラ110に供給されるように構成されている。
上述した車輪速パルス発信器141,142,143,144の出力の現在値に基づいて当該現在時点での車速が認識され、ヨーレイトセンサ130および横加速度センサ170による検出値に基づいて車両100の挙動が検出され、更には、エンジンスロットル制御ユニット160で認識されるエンジンのスロットルの状態やブレーキ制御ユニット120で認識される制動の状態や舵角センサ150によって検出される舵角等々に基づいて、路面の摩擦係数や、現在時点以降における車両100の挙動についての予測が行われる。
尚、図示は省略しているが、固体撮像素子を利用した一乃至複数の視覚センサを用いても、例えば、白線検知出力に基づくレーンキープ動作などを行うことを条件として考慮し、或いはまた、路面の状況を判定する等して、種々の条件での車両100の挙動を推定するように構成することも考えられる。上記に代表的に僅かな例を示したように、車両100の挙動を検出し乃至は推定するための手段は想定した仕様に適合するように適切に設計すればよい。
図2は、本発明の実施の形態における作用の概要を説明するためのフローチャートである。尚、このフローチャートに表された処理手順は、或る時点を時間の起算点としたときの状況に符合するものであるが、このチャート自体はそれを参照して本実施の形態における主要な構成要素(その機能)を説明することを主眼として便宜的に描かれたものであり、時間の起算点を上記と異にする場合には処理の順序については必ずしも図示の順に従うものではなくシステムコントローラによる統括的な制御の下で適切な作動のタイミングが計られる。
ステップS201はオーバスピード抑制制御処理であり、制御コントローラ110(システムコントローラ)におけるこの処理を実行するための機能部、および、この機能を営むための検出部ならびにこの機能に基づく指令に応動する制動制御に係る該当装置の各部が本実施の形態の構成要素たるオーバスピード抑制装置を構成している。
このステップS201のオーバスピード抑制制御処理では、既述のような方法によるなどして車両100の挙動を検出乃至は推定して、車両100の運転者の仮想ラインを予測し(例えば、操舵角や車両の速度から推定される、当該運転者による操作の傾向や現在時点に到るまでの車両の移動軌跡に基づいて、現在時点以降における車両の走行状態を推定して)、或る所定値以上の横加速度が発生すると推定されたときには、オーバスピード量が過大になるものと判定して、減速するか乃至は加速の抑制を行う。
次いで、ステップS202では、車両挙動制御処理を実行する。制御コントローラ110(システムコントローラ)におけるこの処理を実行するための機能部、および、この機能を営むための検出部ならびにこの機能に基づく指令に応動する制動制御に係る該当装置の各部が本実施の形態の構成要素たる車両挙動制御装置を構成している。このステップS202において、後述する目標ヨーレイトとヨーレイトセンサ130で検出される実ヨーレイトに基づいて車両100のヨーレイトが制御される。
次いで、ステップS203では、車両100の挙動乃至オーバスピード抑制に係って適切な制御が行われるための各種の信号が出力される。即ち、上述のオーバスピード抑制制御処理および車両挙動制御において算出された制御目標値に基づいて、エンジンスロットル制御ユニット160に供給する制御目標値、ブレーキ制御ユニット120に供給する制御目標値が各出力されるための処理が実行される。このステップS203の処理も、主として、制御コントローラ110(システムコントローラ)におけるこの処理を実行するための機能部によって賄われる。
図3は、図2を参照して説明したオーバスピード抑制制御処理(ステップS201)の詳細を表すフローチャートである。換言すれば、このフローチャートが上述したオーバスピード抑制装置が営む機能を表している。図3において、最初のステップS301は、ヨーレイト算出処理である。この処理機能も、制御コントローラ110(システムコントローラ)におけるこの処理を実行するための機能部(ヨーレイト算出部)によって賄われる。このステップS301における処理の形態については、図4を参照して後述する。
次いで、ステップS302では、横加速度制限値算出処理が実行される。この横加速度制限値算出処理に係る機能も、制御コントローラ110(システムコントローラ)におけるこの処理を実行するための機能部(横加速度制限値算出部)によって賄われる。このステップS302では、当初における横加速度制限値YはYg*=Ygaと設定する。ここに、Ygaは、或る所定の値に設定される目標横加速度であり、例えば、0.45Gなる値が選択され得る。尚、このYgaは、車両100の挙動状況や運転者のアクセルの操作状況、或いはまた、勾配等の道路形状に応じて適宜の値を選択し得る。
更に次のステップS303では、目標車速v*を算出する処理を実行する。この目標車速算出処理に係る機能も、制御コントローラ110(システムコントローラ)におけるこの処理を実行するための機能部(目標車速算出部)によって賄われるが、このステップS303における処理の形態については、図5を参照して後述する。
更にステップS304では、目標減速度算出処理を実行する。この目標車速算出処理に係る機能も、制御コントローラ110(システムコントローラ)におけるこの処理を実行するための機能部(目標減速度算出部)によって賄われる。
図4は、図3のステップS301のヨーレイト算出処理について説明するための概念図である。このステップS301では、ステップS303での目標車速を求めるために、オーバスピード抑制装置としての機能部によってヨーレイト値を算出する。先ず舵角センサ150によって検出された舵角の値と車輪速パルス発信器141,142,143,144の出力に基づいて算出される車両速度から、運転者の意図するヨーレイトを推定する(ヨーレイト推定処理部YRP)。
次いで、ヨーレイトセンサ130から得られたヨーレイトの値と上述のヨーレイトの推定値との、夫々の絶対値についてセレクトハイ処理を実行する(絶対値のセレクトハイ処理部SHA)。ここでのセレクトハイ処理(絶対値のセレクトハイ処理部SHAでの処理)は、この処理に供される一方のデータである舵角と車両速度との双方を勘案して算出されるヨーレイト推定値(ヨーレイト推定処理部YRP)の方が、このセレクトハイ処理に供される他方のデータであるヨーレイトセンサ130による検出値よりも早く、運転者の意図する車両運行におけるヨーレイトに合致し現在時点以降の車両の状況をよく反映するものとして検出されることになる。絶対値のセレクトハイ処理部SHAの出力がヨーレイトセレクト値ψ*として得られる。
一方で、路面摩擦係数の小さい、所謂低μ路などにおいては、ハンドルSTWを余り切らず舵角が小さい状態でヨーレイトが増加する方向に車両挙動が発生する場合がある。これがスロースピンモードと通称される現象である。このような状況にあるときに、ヨーレイトセンサ130の検出値に依拠して制御コントローラ110による制御を介入させることにより車両100を減速させることができる。
図5は、図3のステップS303の目標車速算出処理について説明するための概念図である。目標車速v*は、ステップS301のヨーレイト算出処理において算出されたヨーレイトセレクト値ψ*、ステップS302の横加速度制限値算出処理で算出された横加速度制限値Yg*、および、路面μ推定値μより、v*=μ×Yg*/ψ*として算出される。この演算式より判読されるとおり、目標車速v*は路面μが低いほど小さな値をとる。また、横加速度制限値Yg*が小さいほど目標車速v*は小さな値をとる。更に、ヨーレイトセレクト値ψ*が大きい値をとるほど目標車速v*は小さな値をとる。
上述のステップS304における処理の内容は次のようなものである。
Xg*=K×Δv/Δt……(1)(Xg*が目標減速度であり、この値が正であるとき減速がかかる)
ここに、Δv=v−v*であり、vは車両の速度、v*は目標車速、Δtは速度に係る偏差を零にするまでの或る有限の時間、Kは所定値をとるゲインである。演算式(1)に表されたとおり、目標減速度Xg*は、車速vとステップS303で算出された目標車速v*との差Δvを速度に係る偏差を零にするまでの或る有限の時間Δtで割り算した値に或るゲインKを掛けた値である。従って、車速vと目標車速v*との差(偏差)Δvが正の方向に大きくなる程、目標減速度Xg*は正の方向に大きくなる。
上記の演算式(1)に替えて、次の演算式(2)を適用してもよい。即ち:
Xg*=(K1×Δv+K2×dΔv)/Δt……(2)
ここに、Δv=v−v*であり、dΔv=Δv−Δvz(if Δv>0)、vは車両の速度、v*は目標車速、ΔvzはΔvの過去値、Δtは速度に係る偏差を零にするまでの或る有限の時間、K1およびK2は各所定値をとるゲインである。演算式(2)に表されたとおり、ここでの目標減速度Xg*は、速度偏差の差分をも考慮して算出される。これにより、速い操舵を行った場合にも、すばやく減速を行う方向に目標減速度Xg*が算出されるため、減速動作に係る応答性に優れた制御系が実現されることになる。
以上、図3、図4、および、図5を参照して説明したオーバスピード抑制装置(それが営む機能)について付言すれば、目標車速v*を算出するについては、舵角センサ150によって検出された舵角と車輪速パルス発信器141,142,143,144の出力に基づいて算出される車両速度から求まるヨーレイト推定値ψ*に依拠しており、このヨーレイト推定値ψ*はその値如何に運転者の意思が反映されたヨーレイトであると言うことができる。
従って、車両がその進路を曲げるときに必ず発生することになるヨーレイトの値には運転者の意図した車両の走行軌跡、或いは、運転の傾向に応じて推定される進路のとり方(仮想ライン)が反映されてくることになる。上述したオーバスピード抑制装置では、このような関係に着眼して、現時時点以降の車両の仮想ラインを予測することが可能になり、今後のオーバスピード量を推定して適切な減速を行うことが可能になる。
図6は、図2の車両出力制御(車両出力制御部の機能、ステップS203)の内容を表すフローチャートである。先ず、車両出力制御に必要な変数である、上述の図3におけるステップS304で算出した目標減速度Xg*、および、運転者のアクセル操作に相応したスロットル開度Acc_bsを読込む(ステップS601)。尚、このスロットル開度Acc_bsは上述のように運転者の操作によるものに替えて、車間制御や速度制御を行うためのシステム(Adaptive Cruise ControlまたはASCDとして知られているもの)によって、自動的にアクセルを制御するシステムにおけるスロットル開度を適用してもよい。
以下の説明においては、このスロットル開度Acc_bsは、ベーススロットル開度と称する。次のステップS602で実行する目標減速度補正処理は本実施形態における特徴の一つである。この処理については、図7を参照して詳述する。ステップS602に次ぐステップS603では、図3におけるステップS304で算出した目標減速度Xg*が正の値をとるか否かが判定され、正であると判定されたときには、オーバースピード抑制装置が介入したことを表すフラグをONにする(ステップS604)。
このように、目標減速度Xg*が正の値をとる場合には、車両を減速させるために、スロットル制御およびブレーキ制御を実行する。即ち、ステップS604に次いで、ステップS605としてスロットル制御が実行され、これと共に、ステップS606としてブレーキ制御が実行される。ステップS605のスロットル制御では、目標スロットル開度Accを、毎回のサンプリング周期毎に、ΔAdnだけ減少させる。
ステップS605に次いで、毎回、目標スロットル開度Accが負になったか否かが判定され(ステップS607)、負になったと判定されたときには、目標スロットル開度Accを0とする(ステップS608)。即ち、目標スロットル開度Accを毎回のサンプリング周期毎に、ΔAdnだけ減少させていき、その下限値を0にしている。尚、この下限値は必ずしも0に限られるものではなく、適切な或る所定値を当ててもよい。
一方、上述のステップS603で、図3におけるステップS304で算出した目標減速度Xg*が0乃至負であると判定されたときには、ステップS650に移行してフラグが立っているか否かが判定される。最初は、即ち、フラグの初期値はOFFであるため、ステップS651に移行し、目標スロットル開度Accをベーススロットル開度Acc_bsとする。
上述のステップS651に至る動作においては、オーバースピード抑制装置は介入せず、車両出力部では、既述のベーススロットル開度Acc_bsを目標値として出力している。
次に、目標減速度Xg*が正(減速側)の状態から負の状態(加速側)に転じた場合について説明する。ステップS650でフラグが立っている(ONである)ということは、一度目標減速度Xg*が正(減速側)になったことを意味している。この場合には、次のステップS661に移行する。ステップS661ではブレーキ制御(車両速度減少側)を行い、次のステップS662でブレーキ制御が終了したか否かが判断される。ステップS662でブレーキ制御が終了したと判断されたときには、ステップS663に移行してスロットルのリカバを行う。
このステップS663では、目標スロットル開度Accから、毎回のサンプリング周期毎に、ΔAu pだけ目標スロットル開度を上げていく。ステップS662でブレーキ制御が終了していないとき、および、ステップS663の処理を行ったときには、次いで、ステップS664に移行する。このステップS664でスロットルのリカバが終了したか否かが判断され、リカバが終了したと判断されたときに、フラグをOFFにし、スロットルのリカバが未だ終了していないと判断されたときには、スロットルのリカバを継続する。
以上、図6を参照して説明した実施の形態によれば、目標減速度Xg*が正(減速側)の状態から負の状態(加速側)に転じたときには、ブレーキ制御およびスロットル制御を適切に行って、スロットルのリカバを行うことができる。また、運転者がアクセル操作を行っているときにも、スロットルをΔAup刻みで徐々に増加させることにより、唐突感を覚えさせることのない円滑な加速制御が行われ得る。
図7は目標減速度の補正動作に関するフローチャートである。夫々後述する、リバースフラグR_flag(ステップS701)、緊急判断フラグEmg_f(ステップS702)、バンク判断フラグBank_f(ステップS703)、ヨーモーメント制御フラグEsp_on(ステップS704)、レーン維持制御フラグLkp_on(ステップS705)が夫々読み込まれ、乃至は、認識され、これら各フラグの状態に基づいて目標減速度Xg*の補正処理(ステップS706)が実行される。
ここに、リバースフラグR_flagは、車両が後退していることが検出されたときに立つ(“ON”になる)ように設定されたフラグ、緊急回避判断フラグEmg_fは、目標ヨーレイトと実ヨーレイトとの偏差に基づいて判断されるフラグであって実ヨーレイトの方が大きい場合に(即ち、スピン方向に車両挙動が出ている場合)にこのフラグが“ON”になる。バンク判断フラグBank_fは、道路形状がバンクになっていることが検出されたときにこのフラグが“ON”になる。
また、ヨーモーメント制御フラグEsp_on(ステップS704)はヨーモーメントの制御によって、車両の回頭性を向上させる回頭性向上制御モードが実行されているときにはフラグを立て(“ON”になる)、他方、ヨーモーメントの制御によって、車両のスピンを防止するスピン防止制御モードが実行されているときにはフラグ立てないで、ヨーモーメントの制御が、回頭性向上制御モードか、或いは、スピン防止制御モードかの、何れで実行されているかを表すフラグである(回頭性向上のための制御については、本出願人が先に提案した技術が特開2005−153716号公報にも開示される)。
更に、レーン維持制御フラグLkp_on(ステップS705)は、例えば、図示は省略された、体撮像素子を用いた一乃至複数の視覚センサによる白線検知出力に基づいて車両挙動制御装置が道路上でレーン維持をするためのレーン維持モードでの制御を実行しているときに立つフラグである。
図8および図9は、図7における目標減速度Xg*の補正処理(ステップS706)における処理の詳細を表すフローチャートである。先ず、図8のステップS801で図7のステップS702で読込んだ緊急回避判断フラグEmg_fが立っているか否かが判断され、フラグが立っていないと判断されたときには、次いで、図7のステップS703で読込んだバンク判断フラグBank_fが立っているか否かが判断される(ステップS802)。
このステップS802でフラグが立っていないと判断されたときには、更に、図7のステップS701で読込んだリバースフラグR_flagが立っているか否かが判断される(ステップS803)。このステップS803でフラグが立っていないと判断されたときには、図7のステップS704で読込んだヨーモーメント制御フラグEsp_onが立っているか否かが判断される(ステップS804)。
既述のとおり、ヨーモーメント制御フラグEsp_onが立っているということは、ヨーモーメントの制御によって、車両の回頭性を向上させる回頭性向上制御モードが実行されていることを意味し、他方、このヨーモーメント制御フラグEsp_onが立っていなければ、車両のスピンを防止するスピン防止制御モードが実行されていることを意味している。
このステップS804でフラグが立っていないと判断されたときには、更に、図7のステップS705で読込んだレーン維持制御フラグLkp_onが立っているか否かが判断される(ステップS805)。このステップS805でフラグが立っていないと判断されたときには、車両の速度vが所定の最低速度VMIN未満であるか否かが判断される(ステップS806)。このステップS805での判断結果が否定的であるときには、図9のステップS901に移行する。
一方、上述のステップS801での緊急回避判断フラグEmg_f、ステップS802でのバンク判断フラグBank_f、ステップS803でのリバースフラグR_flag、ステップS804でのヨーモーメント制御フラグEsp_on、および、ステップS805でのレーン維持制御フラグLkp_onのうちの何れかのフラグが立っていると判断されたとき、または、ステップS806での判断結果が肯定的であるという何れかの条件に該当しているときには、ステップS807の処理に移行する。このステップS807は、オーバスピード抑制装置による減速を禁止する処理である。
即ち、目標減速度Xg*を零に設定し、オーバスピード抑制装置による減速を一度禁止したことを表すものとして設定したフラグF_corn_STPを立て、且つ、所定の値までの計数を行うように設定されたカウンタCnt_STPの値をハンチングを防止するために適合するべく選定した計数値HOJI_STPにする。次いで、既に適用した目標減速度の値である目標減速度前回値Xg*_zlを目標減速度Xg*として(ステップS80)処理を終了する。
図8のフローチャートにおける「A」以降の処理については図9に示されている。図9において、オーバスピード抑制装置による減速を一度禁止したことを表すものとして設定したフラグF_corn_STPが立っているか否かが判断される(ステップS901)。このステップS901でフラグF_corn_STPが立っていると判断されたときには、次いで、ヨーモーメントの制御が継続中であることを表すヨーモーメント制御フラグEsp_on(ステップS704)が立っているか否かが判断され(ステップS902)、このステップS902でフラグが立っていると判断されたときには、次の、ステップS903に移行する。
ステップS903では既述の図8のステップS805と同様、オーバスピード抑制装置による減速を禁止する処理である。即ち、目標減速度Xg*を零に設定し、オーバスピード抑制装置による減速を一度禁止したことを表すものとして設定したフラグF_corn_STPを立て、且つ、所定の値までの計数を行うように設定されたカウンタCnt_STPの値をハンチングを防止するに適合するべく選定した計数値HOJI_STPにする。
次いで、本図9の「B」の表記で接続された既述の図8のステップS806に移行し、その後、処理を終了する。
一方、ステップS901でオーバスピード抑制装置による減速を一度禁止したことを表すものとして設定したフラグF_corn_STPが立っていないと判断されたときには、次いで、ヨーモーメントの制御が継続中であることを表すヨーモーメント制御フラグEsp_onが立っているか否かが判断され(ステップS904)、このステップS904でフラグが立っていると判断されたときには、次の、ステップS905に移行する。
ステップS905では、目標減速度Xg*が目標減速度前回値Xg*_zlを上回っているか否かが判断され、目標減速度Xg*が目標減速度前回値Xg*_zlを上回っていると判断されたときには、次のステップS906の処理に移行する。ステップS906の処理はオーバスピード抑制装置による減速度を保持するというものである。即ち、目標減速度Xg*を目標減速度前回値Xg*_zlに維持する。
上述のステップS904〜ステップS906によって、オーバスピード抑制のための減速度を保持しつつ、ヨーモーメント制御を行うことができる。また、このように減速度を保持することによって車両のリア側のスタビリティを確保でき、ヨーモーメント制御との干渉を防止することができる。ステップS906の後、本図9の「B」の表記で接続された既述の図8のステップS806に移行し、その後、処理を終了する。
一方、ステップS905で、目標減速度Xg*が目標減速度前回値Xg*_zlを上回ってはいないと判断されたときにも、「B」の表記で接続された図8のステップS806に移行し、その後、処理を終了する。
他方、ステップS904、および、既述のステップS902でヨーモーメントの制御が継続中であることを表すヨーモーメント制御フラグEsp_onが立ってないと判断されたときには、次いで、オーバスピード抑制装置による減速を一度禁止したことを表すものとして設定したフラグF_corn_STPが立っているか否かが判断される(ステップS907)。このステップS907でフラグが立っていると判断されたときには、次の、ステップS908に移行する。
このステップS908では、既述のように設定されたカウンタCnt_STPの値、即ち、ハンチングを防止するに適合するべく選定した(当初の)計数値HOJI_STPの値を、毎回のサンプリング周期毎に、1カウント減算する。この減算は、次のステップS909でカウンタCnt_STPの値が負になったと判断されるまで繰り返され、この繰り返しの期間中、ステップS906と同様に、オーバスピード抑制装置による減速度が保持される。即ち、目標減速度Xg*が目標減速度前回値Xg*_zlに維持される(ステップS910)。
ステップS909でカウンタCnt_STPの値が負になったと判断されるに到ると、オーバスピード抑制装置による減速を一度禁止したことを表すものとして設定した既述のフラグF_corn_STPをOFFにして、「B」の表記で接続された図8のステップS80に移行し、その後、処理を終了する。
本発明の実施の形態の装置では、基本的な考え方として、目標ヨーレイトと実ヨーレイトとの偏差である目標ヨーレイト偏差と、目標ヨーレイト偏差しきい値とに基づいて、車両挙動制御装置の介入、終了が行なわれる。
図10は、レーンチェンジを行なった場合の目標ヨーレイトψ’*、および、実ヨーレイトψ’、ならびに、目標ヨーレイト偏差絶対値|Δψ’*|の時系列での推移の様子を相互に対照して表わした特性図である。
図11は、目標ヨーレイト偏差しきい値基準値|Δψ’0|の、車速に対応してとる(設定される)値の一例を示す特性図である。この例では、車速が高いほど目標ヨーレイト偏差しきい値基準値|Δψ’0|が小さくなる値となる。これにより、車速が相対的に低速である領域ほど目標ヨーレイト偏差が相対的に多目に出ることが許容され、相対的に低速域ほど車両挙動制御装置の介入が抑制される傾向を呈するようになるため、運転者が自己の意に反して車両の挙動に対して規制がかかるといったような違和感を覚え難いといった作用がある。
図12は、オーバスピード抑制装置が介入した後に補正される目標ヨーレイト偏差しきい値|Δψ’|の、車速に対応した値を表す特性図である。図示のように、目標ヨーレイト偏差しきい値基準値|Δψ’0|に対して、目標ヨーレイト偏差しきい値|Δψ’|が、全車速域で、相対的に小さくなるように(小さくなる度合いは、低速域において相対的に大きくなるように)補正を行なっている。この図12の例では、オーバスピード抑制装置が介入した後、車両挙動制御装置が早期に介入する方向へ補正することが可能となり、スタビリティを保ちつつ減速することができる。
図13は、目標ヨーレイト偏差しきい値をオーバスピード抑制装置の介入に関係して補正する場合の処理を表すフローチャートである。上述の目標ヨーレイト偏差しきい値基準値|Δψ’0|、および、オーバスピード抑制装置が介入したことを表すフラグの状態(オーバスピード抑制装置介入フラグ)を取得する(ステップS1301)。次いで、フラグが立っているか(ONであるか)否かが判断され(ステップS1302)、フラグが立っていれば、ある所定の値α(但し、α>1)で目標ヨーレイト偏差しきい値基準値|Δψ’0|を除した(即ち、1/αなるゲインを乗じた)値を目標ヨーレイト偏差しきい値|Δψ’|とする(ステップS1303)。
一方、ステップS1302でフラグが立っていないと判断されたときには、目標ヨーレイト偏差しきい値基準値|Δψ’0|を目標ヨーレイト偏差しきい値|Δψ’|とする(ステップS1304)。図13を参照して説明したように、本例の装置では、オーバスピード抑制装置が作動したときには、車両挙動制御装置の作動しきい値をシステムが介入し易い方向へ変更する(即ち、しきい値を小さくする)ことによって車両挙動制御装置が早期に介入する方向へ目標ヨーレイト偏差しきい値|Δψ’|を補正することが可能となり、スタビリティを保ちつつ減速することができる。尚、目標ヨーレイト偏差しきい値|Δψ’|の補正の仕方としては、上述のようにあるゲインで乗算すること以外にも、マップ(乃至テーブル参照)などによって小さくするように補正してもよい。
図14は、車両挙動制御装置の作動を表すフローチャートである。目標ヨーレイト偏差絶対値|Δψ’*|、および、目標ヨーレイト偏差しきい値|Δψ’|を取得し(ステップS1401)、|Δψ’*|と|Δψ’|との値を比較する(ステップS1402)。目標ヨーレイト偏差絶対値|Δψ’*|が目標ヨーレイト偏差しきい値|Δψ’|を上回っていれば、車両挙動制御装置が介入し(ステップS1403)、他方、目標ヨーレイト偏差絶対値|Δψ’*|が目標ヨーレイト偏差しきい値|Δψ’|以下であれば、車両挙動制御装置はそれによる制御(介入)を終了する(ステップS1404)。
以上、本願にて提案の技術思想の構成とその作用について、その実施の形態との対応関係を表すための参照符合乃至図面番号(代表的なもの)を伴って、次に列記する。
(1)車両の挙動を制御する車両挙動制御装置(車両の複数の制御装置を統括的に制御するシステムコントローラとしての制御コントローラ110の該当機能部、および、その他の関連部)と、コーナでのオーバスピード量を推定し前記車両の速度を抑制するオーバスピード抑制装置と、前記車両挙動制御装置および前記オーバスピード抑制装置(車両の複数の制御装置を統括的に制御するシステムコントローラとしての該当機能部、および、その他の関連部)の双方を含む前記車両の複数の制御装置を統括的に制御するシステムコントローラ(制御コントローラ110)とを備えた車両走行制御装置であって、
前記システムコントローラは、前記車両の環境や挙動が特定の状態にあることが認識された場合を除き、前記オーバスピード抑制装置による速度抑制に係る減速度を保持するように制御を行うと共に、
前記オーバスピード抑制装置が作動したときには、前記車両挙動制御装置の作動しきい値を当該車両挙動制御を行うシステムが介入し易い方向へ変更し(図13のフローチャート、ステップS1302→ステップS1303)、
前記特定の状態は、スピン方向に車両挙動が出ているという第1の条件、道路形状がバンクになっているという第2の条件、車両が後退しているという第3の条件、ヨーモーメントの制御によって車両の回頭性を向上させる回頭性向上制御モードにあるという第4の条件、前記車両挙動制御装置が道路上でレーン維持をするためのレーン維持モードにあるという第5の条件、車両の速度が既定の最低速度未満であるという第6の条件のうちの少なくとも何れかの条件(図8のフローチャート)であることを特徴とする車両走行制御装置。
上記(1)の車両走行制御装置によれば、所定の条件に合致する場合を除き、オーバスピード抑制装置による速度抑制に係る減速度を保持するように制御がおこなわれるため、一定の減速度を保ちながら車両の挙動制御が行われ得るため、車両のスタビリティを確保しつつ減速を行うことが可能になる。
(2)前記車両挙動制御装置は、前記車両のヨーモーメントに関して車両の挙動を制御する制御モード(図7、ステップS704)を有するように構成されていることを特徴とする(1)の車両走行制御装置。
上記(2)の車両走行制御装置によれば、車両挙動制御装置は車両のヨーモーメントに関して車両の挙動を制御するが、車両挙動制御装置の制御モードであるヨーモーメント制御と、オーバスピード抑制装置が同時に作動した場合、上記(1)の通り、オーバスピード抑制装置による減速度を保持するため、オーバスピードを抑制するための減速度を保ちつつ、車両ヨーモーメントを制御することができ、車両のスタビリティを確保しつつ、減速することが可能となる。
(3)前記車両挙動制御装置は、前記車両のヨーモーメントに関して車両の挙動を制御することによって、前記車両のスピンを防止するスピン防止制御モード(図7、ステップS704;図8、ステップS805でNoのとき)を有するように構成されていることを特徴とする(1)の車両走行制御装置。
上記(3)の車両走行制御装置によれば、車両挙動制御装置の制御モードであるヨーモーメント制御は、スピンを防止するための制御であるため、ヨーモーメント制御とオーバスピード抑制装置が同時に作動した場合、上記(1)の通り、オーバスピード抑制装置による減速度を保持するため、オーバスピードを抑制するための減速度を保ちつつ、車両ヨーモーメントを制御することができ、車両のスタビリティを確保しつつ、減速することが可能となる。
(4) 前記特定の状態は前記第4の条件であり、
前記車両挙動制御装置は、前記車両のヨーモーメントに関して車両の挙動を制御するこ
とよって車両の回頭性を向上させる回頭性向上制御モードを有するように構成されており
、前記車両挙動制御装置におけるヨーモーメントに関する車両の挙動の制御が前記回頭性
向上制御モードで実行され且つ前記オーバスピード抑制装置における前記車両の速度抑制
制御が共に実行されるときには、前記システムコントローラは前記オーバスピード抑制装
置による速度抑制に係る減速度を保持しないように制御することを特徴とする(1)の車両走行制御装置。
上記(4)の車両走行制御装置によれば、車両挙動制御装置の制御モードであるヨーモーメント制御が、回頭性を向上させる回頭性向上制御モードで実行される場合は、ヨーモーメント制御とオーバスピード抑制装置が同時に作動した場合、オーバスピード抑制装置の減速度を保持しないため、車両の回頭性を向上しつつ、目標の減速度を達成することが可能となる。
(5)前記オーバスピード抑制装置は、前記車両の速度抑制制御に係って現在時点で算出した減速度が、当該保持している減速度より小さいときには(図9のステップS905で、判断がNoのとき)、オーバスピード抑制装置による前記車両の速度抑制制御に適用する減速度の値を減少させる(図8のステップS808)ことを特徴とする(1)の車両走行制御装置。
上記(5)の車両走行制御装置によれば、オーバスピード抑制装置による減速度が、保持された減速度より小さい場合は、オーバスピード抑制装置による減速度を減少させるため、ドライバに失速感といった違和感を与えることなく、減速を行なうことが可能となる。
(6)前記オーバスピード抑制装置(図3)は、前記車両の舵角および車両速度に基づいて得たヨーレイト推定値と、ヨーレイトセンサから得たヨーレイト検出値との両値に係るセレクトハイ処理によりヨーレイトセレクト値を算定するヨーレイトセレクト値算定部(ステップS301)と、前記車両の車速制限をするための横加速度制限値を算出する横加速度制限値算出手段(ステップS302)と、前記ヨーレイトセレクト値算定部によって算出されたヨーレイトセレクト値と、前記横加速度制限値算出手段によって算出された横加速度制限値と、前記車両の走行路面の路面μ推定値とに基づいて目標車速を算定する目標車速算定部(ステップS303)と、前記目標車速算定部によって算定された目標車速及び前記車両速度に依拠して前記車両に係る目標減速度を算出する目標減速度算出部(ステップS304)と、を備えていることを特徴とする(1)の車両走行制御装置。
上記(6)の車両走行制御装置によれば、運転者の仮想ライン(運転の傾向に応じて推定される進路のとり方)を予測することが可能となり、今後発生しるオーバスピード量を推定し適度な適切を行なうことが可能になる。
)前記システムコントローラは、前記車両挙動制御装置による制御が一旦終了したときには、所定の時間が経過する間は制御量を一定に保持した後、前記オーバスピード抑制装置による制御が行われる状態に復帰するように制御モードの切り替えを制御することを特徴とする(1)に記載の車両走行制御装置。
上記()の車両走行制御装置によれば、車両挙動制御装置が終了した後、ある所定時間ホールドした後に上記オーバスピード抑制装置を復帰する(図9、ステップS902→ステップS907→ステップS908〜ステップS911)ため、オーバスピード抑制装置の目標減速度のハンチングを防止することが可能となり、ドライバに違和感を与えることなく減速することが可能となる。
前記車両挙動制御装置は、前記車両のヨーモーメントに依拠して車両の挙動を制御するように構成され、前記システムコントローラは、前記車両挙動制御装置が道路上でレーン維持をするためのレーン維持モード(図7、ステップS705)での制御を実行しているときには(図8、ステップS805でYesのとき)、前記オーバスピード抑制装置による速度抑制の制御を禁止するように制御する(ステップS807)ことを特徴とする(1)の車両走行制御装置。
上記()の車両走行制御装置によれば、ヨーモーメントを制御するための車両挙動制御装置が、車線に対するレーン維持をするための制御である場合は、上記オーバスピード抑制装置による減速制御を保持しないため、レーンを維持しつつ、オーバスピードを抑制することができる。
車両の挙動を制御する車両挙動制御装置と、コーナでのオーバスピード量を推定し前記車両の速度を抑制するオーバスピード抑制装置と、前記車両挙動制御装置および前記オーバスピード抑制装置の双方を含む前記車両の複数の制御装置を統括的に制御するシステムコントローラとを備えた車両走行制御装置であって、前記オーバスピード抑制装置は、前記車両の挙動を検出する車両挙動検出手段と、前記車両挙動検出手段による検出出力に基づいて現在時点よりも後の時点で発生する可能性があるヨーレイトを推定し該推定に基づいて目標ヨーレイト値を算出する目標ヨーレイト算出手段と、前記車両の車速制限をするための横加速度制限値を算出する横加速度制限値算出手段と、前記横加速度制限値算出手段によって算出された横加速度制限値と前記目標ヨーレイト算出手段によって算出された目標ヨーレイト値とに基づいて前記車両に係る目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、前記目標減速度算出手段によって算出された目標減速度を達成するために運転者による操作とは別に自動的に前記車両を減速させる調節動作を行なう減速調節装置と、を備え、
前記システムコントローラは、スピン方向に車両挙動が出ているという第1の条件、道路形状がバンクになっているという第2の条件、車両が後退しているという第3の条件、ヨーモーメントの制御によって車両の回頭性を向上させる回頭性向上制御モードにあるという第4の条件、前記車両挙動制御装置が道路上でレーン維持をするためのレーン維持モードにあるという第5の条件、車両の速度が既定の最低速度未満であるという第6の条件の各条件への該当の有無を判断し(図8のフローチャート)、前記各条件のうちの何れかの条件に該当しているときには前記オーバスピード抑制装置による速度抑制の制御を一旦禁止するように制御し、且つ、前記各条件のうちの何れの条件にも該当せず速度抑制の制御を一旦禁止する制御を実行しない場合に前記車両挙動制御装置によるヨーモーメントの制御が継続中で前記目標減速度算出手段により現在算出された目標減速度の値が前回算出された値を上回っている第一の状況、および、前記車両挙動制御装置によるヨーモーメントの制御が休止中であるときに前記各条件のうちの何れか一の条件に該当して速度抑制の制御を一旦禁止して以降に前記減速調節装置による調節動作に係るハンチングの抑制を要しない第二の状況との両状況のうちの何れかの状況においては、前記オーバスピード抑制装置による速度抑制の制御を維持するように制御する(図9のフローチャート)ことを特徴とする車両走行制御装置
10)車両のヨーモーメントに関して車両の挙動を制御する車両挙動制御モードと、コーナでのオーバスピード量を推定し前記車両の速度を抑制するオーバスピード抑制モードと、前記車両挙動制御モードおよび前記オーバスピード抑制モードの双方を含む前記車両の複数の制御モードを統括的に制御するようにした車両走行制御方法であって、
前記車両の環境や挙動が特定の状態にあることが認識された場合を除き、前記オーバスピード抑制装置による速度抑制に係る減速度を保持するように制御を行うと共に、
前記オーバスピード抑制装置が作動したときには、前記車両挙動制御装置の作動しきい値を当該車両挙動制御を行うシステムが介入し易い方向へ変更し、
前記特定の状態は、スピン方向に車両挙動が出ているという第1の条件、道路形状がバンクになっているという第2の条件、車両が後退しているという第3の条件、ヨーモーメントの制御によって車両の回頭性を向上させる回頭性向上制御モードにあるという第4の条件、前記車両挙動制御装置が道路上でレーン維持をするためのレーン維持モードにあるという第5の条件、車両の速度が既定の最低速度未満であるという第6の条件のうちの少なくとも何れかの条件であることを特徴とする車両走行制御方法。
上記(10)の車両走行制御装置によれば、所定の条件に合致する場合を除き、オーバスピード抑制装置による速度抑制に係る減速度を保持するように制御がおこなわれるため、一定の減速度を保ちながら車両の挙動制御が行われ得るため、車両のスタビリティを確保しつつ減速を行うことが可能になる。
本発明の装置を搭載した車両における構成の概要を表す模式図である。 本発明の実施の形態における作用の概要を説明するためのフローチャートである。 図2のオーバスピード抑制制御処理の詳細を表すフローチャートである。 図3のフローチャート中におけるヨーレイト算出処理のステップについて説明するための概念図である。 図3のフローチャート中における目標車速算出処理のステップについて説明するための概念図である。 図2の車両出力制御の内容を表すフローチャートである。 目標減速度の補正動作に関するフローチャートである。 図7のフローチャートにおける目標減速度の補正処理の詳細を表すフローチャート(部分)である。 図7のフローチャートにおける目標減速度の補正処理の詳細を表すフローチャート(部分)である。 レーンチェンジを行なった場合の目標ヨーレイトψ’*、および、実ヨーレイトψ’、ならびに、目標ヨーレイト偏差絶対値|Δψ’*|の時系列での推移の様子を相互に対照して表わした特性図である。 目標ヨーレイト偏差しきい値基準値|Δψ’0|の、車速に対応してとる(設定される)値の一例を示す特性図である。 オーバスピード抑制装置が介入した後に補正される目標ヨーレイト偏差しきい値|Δψ’|の、車速に対応した値を表す特性図である。 目標ヨーレイト偏差しきい値をオーバスピード抑制装置の介入に関係して補正する場合の処理を表すフローチャートである。 車両挙動制御装置の作動を表すフローチャートである。
符号の説明
100…車両 110…制御コントローラ(システムコントローラ) 120…ブレーキ制御ユニット 130…ヨーレイトセンサ 141,142,143,144,…車輪速パルス発信器 150…舵角センサ 160…エンジン制御ユニット 170…横加速度センサ

Claims (10)

  1. 車両の挙動を制御する車両挙動制御装置と、コーナでのオーバスピード量を推定し前記車両の速度を抑制するオーバスピード抑制装置と、前記車両挙動制御装置および前記オーバスピード抑制装置の双方を含む前記車両の複数の制御装置を統括的に制御するシステムコントローラとを備えた車両走行制御装置であって、
    前記システムコントローラは、前記車両の環境や挙動が特定の状態にあることが認識された場合を除き、前記オーバスピード抑制装置による速度抑制に係る減速度を保持するように制御を行うと共に、
    前記オーバスピード抑制装置が作動したときには、前記車両挙動制御装置の作動しきい値を当該車両挙動制御を行うシステムが介入し易い方向へ変更し、
    前記特定の状態は、スピン方向に車両挙動が出ているという第1の条件、道路形状がバンクになっているという第2の条件、車両が後退しているという第3の条件、ヨーモーメントの制御によって車両の回頭性を向上させる回頭性向上制御モードにあるという第4の条件、前記車両挙動制御装置が道路上でレーン維持をするためのレーン維持モードにあるという第5の条件、車両の速度が既定の最低速度未満であるという第6の条件のうちの少なくとも何れかの条件であることを特徴とする車両走行制御装置。
  2. 前記車両挙動制御装置は、前記車両のヨーモーメントに関して車両の挙動を制御する制
    御モードを有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両走行制御
    装置。
  3. 前記車両挙動制御装置は、前記車両のヨーモーメントに関して車両の挙動を制御するこ
    とによって、前記車両のスピンを防止するスピン防止制御モードを有するように構成され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の車両走行制御装置。
  4. 前記特定の状態は前記第4の条件であり、
    前記車両挙動制御装置は、前記車両のヨーモーメントに関して車両の挙動を制御するこ
    とよって車両の回頭性を向上させる回頭性向上制御モードを有するように構成されており
    、前記車両挙動制御装置におけるヨーモーメントに関する車両の挙動の制御が前記回頭性
    向上制御モードで実行され且つ前記オーバスピード抑制装置における前記車両の速度抑制
    制御が共に実行されるときには、前記システムコントローラは前記オーバスピード抑制装
    置による速度抑制に係る減速度を保持しないように制御することを特徴とする請求項1に
    記載の車両走行制御装置。
  5. 前記オーバスピード抑制装置は、前記車両の速度抑制制御に係って現在時点で算出した
    減速度が、当該保持している減速度より小さいときには、オーバスピード抑制装置による
    前記車両の速度抑制制御に適用する減速度の値を減少させることを特徴とする請求項1に
    記載の車両走行制御装置。
  6. 前記オーバスピード抑制装置は、
    前記車両の舵角および車両速度に基づいて得たヨーレイト推定値と、ヨーレイトセンサから得たヨーレイト検出値との両値に係るセレクトハイ処理によりヨーレイトセレクト値を算定するヨーレイトセレクト値算定部と、
    前記車両の車速制限をするための横加速度制限値を算出する横加速度制限値算出手段と、
    前記ヨーレイトセレクト値算定部によって算出されたヨーレイトセレクト値と、前記横加速度制限値算出手段によって算出された横加速度制限値と、前記車両の走行路面の路面μ推定値とに基づいて目標車速を算定する目標車速算定部と、
    前記目標車速算定部によって算定された目標車速及び前記車両速度に依拠して前記車両に係る目標減速度を算出する目標減速度算出部と、
    を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両走行制御装置
  7. 前記システムコントローラは、前記車両挙動制御装置による制御が一旦終了したときには、所定の時間が経過する間は制御量を一定に保持した後、前記オーバスピード抑制装置による制御が行われる状態に復帰するように制御モードの切り替えを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両走行制御装置。
  8. 前記車両挙動制御装置は、前記車両のヨーモーメントに依拠して車両の挙動を制御するように構成され、前記システムコントローラは、前記車両挙動制御装置が道路上でレーン維持をするためのレーン維持モードでの制御を実行しているときには、前記オーバスピード抑制装置による速度抑制の制御を禁止するように制御することを特徴とする請求項1に記載の車両走行制御装置。
  9. 車両の挙動を制御する車両挙動制御装置と、コーナでのオーバスピード量を推定し前記車両の速度を抑制するオーバスピード抑制装置と、前記車両挙動制御装置および前記オーバスピード抑制装置の双方を含む前記車両の複数の制御装置を統括的に制御するシステムコントローラとを備えた車両走行制御装置であって、
    前記オーバスピード抑制装置は、前記車両の挙動を検出する車両挙動検出手段と、前記
    車両挙動検出手段による検出出力に基づいて現在時点よりも後の時点で発生する可能性が
    あるヨーレイトを推定し該推定に基づいて目標ヨーレイト値を算出する目標ヨーレイト算
    出手段と、前記車両の車速制限をするための横加速度制限値を算出する横加速度制限値算
    出手段と、前記横加速度制限値算出手段によって算出された横加速度制限値と前記目標ヨ
    ーレイト算出手段によって算出された目標ヨーレイト値とに基づいて前記車両に係る目標
    減速度を算出する目標減速度算出手段と、前記目標減速度算出手段によって算出された目
    標減速度を達成するために運転者による操作とは別に自動的に前記車両を減速させる調節
    動作を行なう減速調節装置と、を備え、
    前記システムコントローラは、スピン方向に車両挙動が出ているという第1の条件、道路形状がバンクになっているという第2の条件、車両が後退しているという第3の条件、ヨーモーメントの制御によって車両の回頭性を向上させる回頭性向上制御モードにあるという第4の条件、前記車両挙動制御装置が道路上でレーン維持をするためのレーン維持モードにあるという第5の条件、車両の速度が既定の最低速度未満であるという第6の条件の各条件への該当の有無を判断し、前記各条件のうちの何れかの条件に該当しているときには前記オーバスピード抑制装置による速度抑制の制御を一旦禁止するように制御し、且つ、前記各条件のうちの何れの条件にも該当せず速度抑制の制御を一旦禁止する制御を実行しない場合に前記車両挙動制御装置によるヨーモーメントの制御が継続中で前記目標減速度算出手段により現在算出された目標減速度の値が前回算出された値を上回っている第一の状況、および、前記車両挙動制御装置によるヨーモーメントの制御が休止中であるときに前記各条件のうちの何れか一の条件に該当して速度抑制の制御を一旦禁止して以降に前記減速調節装置による調節動作に係るハンチングの抑制を要しない第二の状況との両状況のうちの何れかの状況においては、前記オーバスピード抑制装置による速度抑制の制御を維持するように制御することを特徴とする車両走行制御装置。
  10. 車両のヨーモーメントに関して車両の挙動を制御する車両挙動制御モードと、コーナでのオーバスピード量を推定し前記車両の速度を抑制するオーバスピード抑制モードと、前記車両挙動制御モードおよび前記オーバスピード抑制モードの双方を含む前記車両の複数の制御モードを統括的に制御するようにした車両走行制御方法であって、
    前記車両の環境や挙動が特定の状態にあることが認識された場合を除き、前記オーバスピード抑制装置による速度抑制に係る減速度を保持するように制御を行うと共に、
    前記オーバスピード抑制装置が作動したときには、前記車両挙動制御装置の作動しきい値を当該車両挙動制御を行うシステムが介入し易い方向へ変更し、
    前記特定の状態は、スピン方向に車両挙動が出ているという第1の条件、道路形状がバンクになっているという第2の条件、車両が後退しているという第3の条件、ヨーモーメントの制御によって車両の回頭性を向上させる回頭性向上制御モードにあるという第4の条件、前記車両挙動制御装置が道路上でレーン維持をするためのレーン維持モードにあるという第5の条件、車両の速度が既定の最低速度未満であるという第6の条件のうちの少なくとも何れかの条件であることを特徴とする車両走行制御方法。
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