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JP4911524B2 - 2足歩行ロボット - Google Patents

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JP4911524B2 JP2007274845A JP2007274845A JP4911524B2 JP 4911524 B2 JP4911524 B2 JP 4911524B2 JP 2007274845 A JP2007274845 A JP 2007274845A JP 2007274845 A JP2007274845 A JP 2007274845A JP 4911524 B2 JP4911524 B2 JP 4911524B2
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Description

本発明は、胴体部と左右一対の脚部とを備える2足歩行ロボットに関する。
この種の2足歩行ロボットにおいて、各脚部は、胴体部に股関節部を介して連結される大腿リンクと、大腿リンクの下端に膝関節部を介して連結される下腿リンクと、下腿リンクの下端に足首関節部を介して連結される足平部とで構成される。そして、従来、各脚部の下腿リンクと足平部とを足首関節部から離れた部分で連結する直動アクチュエータを設けて、直動アクチュエータの伸縮動作により足平部を下腿リンクに対し足首関節部を中心にして揺動させるようにした2足歩行ロボットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このもので直動アクチュエータは、下腿リンクの後側に下腿リンクと平行に配置されている。そのため、直動アクチュエータの伸縮力は膝関節部と足首関節部とを結ぶ結線に平行な線上に作用する。
ところで、階段歩行時には、膝関節部の屈曲角度が大きくなり、階段面に接地する足平部に対し下腿リンクが大きく前傾する。そして、階段を上るためには、直動アクチュエータにより足平部に足首関節部を中心にした前下がり(つま先下がり)方向の大きなモーメントを付与する必要がある。
ここで、足平部へのモーメントの付与に寄与するのは、直動アクチュエータの伸縮力のうち足平部(接地面)に直交する方向の成分だけである。上記従来例のように直動アクチュエータの伸縮力を膝関節部と足首関節部とを結ぶ結線に平行な線上に作用させたのでは、階段歩行時に上記結線、即ち、伸縮力の作用線が足平部に対し大きく前傾するために、直動アクチュエータの伸縮力のうち足平部に直交する方向の成分は僅かになってしまう。従って、足平部に直動アクチュエータで効率良くモーメントを付与できなくなり、階段上りに必要な所要のモーメントを付与するには、直動アクチュエータを高出力の大型のものにせざるを得なくなる。
特開2004−202676号公報(図1、図2)
本発明は、以上の点に鑑み、直動アクチュエータを大型化せずに所要のモーメントを足平部に付与できるようにした2足歩行ロボットを提供することをその課題としている。
上記課題を解決するために、本発明は、胴体部と左右一対の脚部とを備え、各脚部は、胴体部に股関節部を介して連結される大腿リンクと、大腿リンクの下端に膝関節部を介して連結される下腿リンクと、下腿リンクの下端に足首関節部を介して連結される足平部とで構成される2足歩行ロボットであって、各脚部の下腿リンクと足平部とを足首関節部から離れた部分で連結する直動アクチュエータを備え、直動アクチュエータの伸縮動作により足平部を下腿リンクに対し足首関節部を中心にして揺動させるようにしたものにおいて、直動アクチュエータは、該直動アクチュエータの伸縮力が膝関節部と足首関節部とを結ぶ結線に対し後傾した線上に作用するように配置されることを特徴とする。
本発明によれば、階段歩行時に膝関節部と足首関節部とを結ぶ結線が足平部に対し大きく前傾しても、この結線に対し後傾した線上に直動アクチュエータの伸縮力が作用するため、伸縮力のベクトルと足平部に直交する方向との成す角度は直角に近くなる。従って、直動アクチュエータの伸縮力の足平部に直交する方向の成分が大きくなり、足平部に効率良くモーメントが付与される。その結果、直動アクチュエータを高出力の大型のものにしなくても、階段上りに必要な所要のモーメントを足平部に付与することができるようになり、直動アクチュエータの小型軽量化、省電力化を図れる。
ところで、直動アクチュエータの下腿リンクに対する連結部を上記結線よりも前方に位置させると共に、この連結部より前方に直動アクチュエータの足平部に対する連結部を位置させ、或いは、直動アクチュエータの足平部に対する連結部を上記結線より後方に位置させると共に、この連結部より後方に直動アクチュエータの下腿リンクに対する連結部を位置させることも可能である。然し、これでは、直動アクチュエータが下腿リンクの前側や後側に大きく張り出してしまい、脚部のスマートさが損なわれてしまう。
これに対し、直動アクチュエータの下腿リンクに対する連結部が上記結線よりも後方に位置し、直動アクチュエータの足平部に対する連結部が上記結線よりも前方に位置するように構成すれば、下腿リンクの前後への直動アクチュエータの張り出し量が小さくなり、脚部がスマートになって、人間型のプロフィールに近付けることができる。
また、この場合、直動アクチュエータは、電動モータ及び該電動モータにより回転駆動されるナット部材を備える駆動ユニットと、ナット部材に保持されるボールを介して該ナット部材に螺合するねじ軸とから成るボールねじ機構で構成され、駆動ユニットに下腿リンクに対する連結部が設けられ、ねじ軸の下端に足平部に対する連結部が設けられることが望ましい。これによれば、直動アクチュエータのうちで大きな重量を占める駆動ユニットが上方位置、即ち、膝関節部に近い位置に配置されることになる。そのため、膝関節部回りの慣性モーメントを低減して、運動性能(歩行速度、応答性)を向上させることができる。
図1乃至図4は本発明の実施形態の2足歩行ロボットを示している。この2足歩行ロボットは、胴体部1と左右一対の脚部2,2とを備えている。胴体部1は胴体フレーム3を備えており、この胴体フレーム1上にコントロールボックス4が搭載されている。また、胴体フレーム3には、上下方向の軸(Z軸)回りに旋回自在な左右一対の旋回枠5,5が設けられており、各旋回枠5に左右の各脚部2が連結されている。
各脚部2は、胴体部1の各旋回枠5の下端に股関節部6を介して連結される大腿リンク7と、大腿リンク7の下端に膝関節部8を介して連結される下腿リンク9と、下腿リンク9の下端に足首関節部10を介して連結される足平部11とで構成されている。
股関節部6は、Z軸に直交する横方向の軸(Y1軸)と前後方向の軸(X1軸)との2軸回りの回転自由度を持つ2軸ジョイントで構成される。従って、大腿リンク7は旋回枠5に対しY1軸を中心にして前後方向に揺動自在で、且つ、X1軸を中心にして横方向に揺動自在である。股関節部6には、大腿リンク7のY1軸回りとX1軸回りの揺動角度を検出するエンコーダ6a,6bが設けられている。
膝関節部8は、横方向の軸(Y2軸)回りの回転自由度を持つ1軸ジョイントで構成される。従って、下腿リンク9は大腿リンク7に対しY2軸を中心にして前後方向に揺動自在である。膝関節部8には、下腿リンク9のY2軸回りの揺動角度を検出するエンコーダ8aが設けられている。
足首関節部10は、横方向の軸(Y3軸)とこれに直交する前後方向の軸(X3軸)との2軸回りの回転自由度を持つ2軸ジョイントで構成されている。従って、足平部11は下腿リンク9に対しY3軸を中心にして上下方向に揺動自在で、且つ、X3軸を中心にして横方向に揺動である。足首関節部10には、足平部11のY3軸回りとX3軸回りの揺動角度を検出するエンコーダ10a,10bが設けられている。
また、本実施形態の2足歩行ロボットには、胴体フレーム3と各旋回枠5とをZ軸から離れた部分で連結する第1直動アクチュエータ12と、各旋回枠5と各脚部2の大腿リンク7とを股関節部6から離れた部分で連結する左右一対の第2直動アクチュエータ12,12と、各脚部2の大腿リンク7と下腿リンク9とを膝関節部8から離れた部分で連結する第3直動アクチュエータ12と、各脚部2の下腿リンク9と足平部11とを足首関節部10から離れた部分で連結する左右一対の第4直動アクチュエータ12,12とが設けられている。
旋回枠5は、第1直動アクチュエータ12の伸縮動作によりZ軸回りに旋回動作される。大腿リンク7は、一対の第2直動アクチュエータ12,12を共に伸張又は収縮動作させることにより股関節部6のY1軸を中心にして前後方向に揺動され、両第2直動アクチュエータ12,12の一方を伸張動作させると共に他方を収縮動作させることにより股関節部6のX1軸を中心にして横方向に揺動される。下腿リンク9は、第3直動アクチュエータ12の伸縮動作により膝関節部8のY2軸を中心にして前後方向に揺動される。足平部11は、一対の第4直動アクチュエータ12,12を共に伸張又は収縮動作させることにより足首関節部10のY3軸を中心にして上下方向に揺動され、両第4直動アクチュエータ12,12の一方を伸張動作させると共に他方を収縮動作させることにより足首関節部10のX3軸を中心にして横方向に揺動される。
第1乃至第4の各直動アクチュエータ12,12,12,12は、図5に示す如く、電動モータ13及び該電動モータ13により回転駆動されるナット部材14を備える駆動ユニット15と、ナット部材14に保持されるボール14aを介して該ナット部材14に螺合するねじ軸16とから成るボールねじ機構で構成される。そして、ナット部材14の回転に伴うねじ軸16の軸方向移動で各直動アクチュエータ12,12,12,12が伸縮動作する。ねじ軸16は、外周面にねじ溝を形成した本体部16aと、本体部16aの軸方向一端にジョイント部16bを介して連結したロッド部16cとで構成されている。尚、図5は第4直動アクチュエータ12を示しているが、他の直動アクチュエータ12,12,12も同様の構造になっている。
駆動ユニット15は、電動モータ13を搭載するマウントフレーム17を備え、このマウントフレーム17に、ナット部材14を回転自在に収納する筒状のナットケース18が電動モータ13と平行に並設されている。ナット部材14は、ナットケース18内に一対のアンギュラベアリング19,19を介して軸支されている。そして、マウントフレーム17から突出する電動モータ13の出力軸13aに駆動プーリ13bを連結すると共に、マウントフレーム17から突出するナット部材14の端部に従動プーリ14bを連結し、両プーリ13b,14bにベルト13cを巻き掛けして、電動モータ13によりベルト13cを介してナット部材14が回転駆動されるようにしている。
また、ナットケース18には、ナット部材14の中心軸線に直交する孔軸を持つ孔18aが形成されている。そして、ナットケース18がこの孔18aに装着したベアリング18bにおいて後述する支軸18cに揺動自在に軸支されるようにしている。
第1直動アクチュエータ12の駆動ユニット15は、胴体フレーム3にナットケース18においてZ軸に平行な揺動軸線(Za軸)回りに揺動自在に連結される。即ち、胴体フレーム3にZa軸上に位置する支軸18cを取付けて、この支軸18cにナットケース18をベアリング18bを介して揺動自在に軸支させている。この場合、Za軸はナット部材14の中心軸線に直交することになる。また、第1直動アクチュエータ12のねじ軸16は、旋回枠5にロッド部16cにおいてZ軸に平行な揺動軸線(Zb軸)回りに揺動自在に連結されている。
各第2直動アクチュエータ12の駆動ユニット15は、旋回枠5にナットケース18において股関節部6のY1軸に平行な揺動軸線(Y1a軸)とこれに直交する揺動軸線(X1a軸)との2つの軸線回りに揺動自在に連結される。具体的には、旋回枠5にY1a軸回りに回転自在なジョイント部材12aを軸着し、このジョイント部材12aにX1a軸上に位置する支軸18cを取付けて、この支軸18cにナットケース18をベアリング18bを介して揺動自在に軸支させている。この場合、X1a軸はナット部材18の中心軸線に直交し、Y1a軸もナット部材18の中心軸線に直交する。また、各第2直動アクチュエータ12のねじ軸16は、股関節部6の後方に位置する大腿リンク7の上端部にロッド部16cにおいてY1軸に平行な揺動軸線(Y1b軸)とこれに直交する揺動軸線(X1b軸)との2つの軸線回りに揺動自在に連結される。具体的には、ロッド部16cがY1b軸とX1b軸との2軸回りの回転自由度を持つ2軸ジョイント12bを介して大腿リンク7の上端部に連結される。
第3直動アクチュエータ12の駆動ユニット15は、大腿リンク7の上部にナットケース18において膝関節部8のY2軸に平行な揺動軸線(Y2a軸)回りに揺動自在に連結される。具体的には、大腿リンク7の上部にY2a軸上に位置する支軸18cを取付けて、この支軸18cにナットケース18をベアリング18bを介して揺動自在に軸支させている。この場合、Y2a軸はナット部材14の中心軸線に直交することになる。また、第3直動アクチュエータ12のねじ軸16は、膝関節部8の上方に延出した下腿リンク9の上端部にロッド部16cにおいてY2軸に平行な揺動軸線(Y2b軸)回りに揺動自在に連結される。具体的には、ロッド部16cがY2b軸回りの回転自由度を持つ1軸ジョイント12bを介して下腿リンク9の上端部に連結される。
各第4直動アクチュエータ12の駆動ユニット15は、下腿リンク9の上部にナットケース18において足首関節部10のY3軸に平行な揺動軸線(Y3a軸)とこれに直交する揺動軸線(X3a軸)との2つの軸線回りに揺動自在に連結される。具体的には、下腿リンク9の上部にY3a軸回りに回転自在なジョイント部材12aを軸着し、このジョイント部材12aにX3a軸上に位置する支軸18cを取付けて、この支軸18cにナットケース18をベアリング18bを介して揺動自在に軸支させている。この場合、X3a軸はナット部材18の中心軸線に直交し、Y3a軸もナット部材18の中心軸線に直交する。また、各第4直動アクチュエータ12のねじ軸16は、足平部11にロッド部16cにおいてY3軸に平行な揺動軸線(Y3b軸)とこれに直交する揺動軸線(X3b軸)との2つの軸線回りに揺動自在に連結される。具体的には、ロッド部16cがY3b軸とX3b軸との2軸の回転自由度を持つ2軸ジョイント12bを介して足平部11に連結される。
また、各第4直動アクチュエータ12は、該各第4直動アクチュエータ12の伸縮力が膝関節部8のY2軸と足首関節部10のY3軸とを結ぶ結線L1に対し後傾した線L2上に作用するように配置される。具体的には、各第4直動アクチュエータ12の下腿リンク9に対する連結部であるY3a軸を上記結線L1より後方に位置させ、各第4直動アクチュエータ12の足平部11に対する連結部であるY3b軸を上記結線L1よりも前方に位置させている。ここで、第4直動アクチュエータ12の伸縮力は矢状面においてY3a軸とY3b軸とを結ぶ線上に作用するから、Y3a軸とY3b軸とを上記に如く位置させることにより、第4直動アクチュエータ12の伸縮力の作用線L2は上記結線L1に対し後傾する。
尚、各脚部2の一対の第4直動アクチュエータ12,12のうち下腿リンク9の横方向外側に配置される第4直動アクチュエータ12の駆動ユニット15は、ナットケース18の横方向外側に電動モータ13が位置する姿勢になっているが、下腿リンク9の横方向内側に配置される第4直動アクチュエータ12の駆動ユニット15は、他の脚部2の下腿リンク9の横方向内側に配置される第4直動アクチュエータ12の駆動ユニット15との干渉を回避するため、ナットケース18の前側に電動モータ13が位置する姿勢になっている。
ところで、下腿駆動用の第3直動アクチュエータ12と足平駆動用の第4直動アクチュエータ12とを、夫々、電動モータと該モータで回転駆動されるねじ軸とを備える駆動ユニットと、ねじ軸に螺合するナット部材を有するスライダとから成るボールねじ機構で構成することも考えられる。然し、このものでは、スライダを案内するためのガイドレールを取付けた重量の重い上下方向に長手のガイドフレームが必要になり、このガイドフレームの影響で直動アクチュエータの重心位置が駆動ユニットの上端からかなり下方に離れる。従って、大腿リンク7や下腿リンク9に駆動ユニットをその上端が各リンク7,9の上端の関節部(股関節部6や膝関節部8)と同等高さになるように連結しても、駆動ユニットの重心と各リンク7,9の上端の関節部との間の距離が長くなる。しかも、直動アクチュエータの重量がガイドフレームの影響で重くなるため、大腿リンク7の股関節部6回りの慣性モーメントや下腿リンク9の膝関節部8回りの慣性モーメントが大きくなってしまう。
これに対し、本実施形態では、各直動アクチュエータ12、12の駆動ユニット15に電動モータ13により回転駆動されるナット部材14を設け、ナット部材14の回転によりこれに螺合するねじ軸16を進退させるようにしているため、上述したスライダを案内するためのガイドレールを取付けた重量の重い上下方向に長手のガイドフレームが不要になる。その結果、各直動アクチュエータ12、12の重心位置が駆動ユニット15の上端に近付き、大腿リンク7や下腿リンク9の上端の関節部(股関節部6や膝関節部8)と各直動アクチュエータ12、12の重心との間の距離を短縮することができる。しかも、重量物たるガイドフレームが不要になることで各直動アクチュエータ12、12の重量が軽くなるため、大腿リンク7や下腿リンク9の上端の関節部回りの慣性モーメントを低減することができ、2足歩行ロボットの歩行速度や応答性等の運動性能が向上する。
尚、各直動アクチュエータ12、12の駆動ユニット15にナット部材14を設ける場合、駆動ユニット15の大腿リンク7や下腿リンク9に対する揺動軸線がナット部材14の中心軸線に直交する線からオフセットしていると、ねじ軸16の進退動作に伴い駆動ユニット15がねじ軸16の軸線からオフセットした揺動軸線回りに揺動することになって、ねじ軸16に曲げ荷重が作用する。そして、曲げ荷重を吸収するために、ナット部材14をリニヤガイドによりフローティング支持することが必要になる。これに対し、本実施形態では、各直動アクチュエータ12、12の駆動ユニット15の大腿リンク7や下腿リンク9に対する揺動軸線(Y2a軸、Y3a軸、X3a軸)がナット部材14の中心軸線に直交するため、ねじ軸16に曲げ荷重は作用せず、リニヤガイドが不要になる。従って、その分各直動アクチュエータ12、12が軽量になり、大腿リンク7や下腿リンク9の慣性モーメントが低減される。
また、各直動アクチュエータ12、12の駆動ユニット15にナット部材14を設ける場合、電動モータ13の真下にナットケースを配置して、このナットケース内にナット部材を回転自在に収納することも可能である。然し、これでは駆動ユニット15の上下方向長さが長くなってしまい、その分各直動アクチュエータ12、12の重心位置が低くなる。これに対し、本実施形態の如くナットケース18を電動モータ13に並設すれば、駆動ユニット15の上下方向長さが短くなり、その分各直動アクチュエータ12、12の重心位置が高くなる。これにより、大腿リンク7や下腿リンク9の慣性モーメントを一層低減できる。
ところで、階段歩行時には、図6に示す如く、膝関節部8の屈曲角度が大きくなり、階段面に接地する足平部11に対し下腿リンク9が大きく前傾する。そして、階段を上るためには、第4直動アクチュエータ12により足平部11に足首関節部10を中心にした前下がり(つま先下がり)方向の大きなモーメントを付与する必要がある。
ここで、足平部11へのモーメントの付与に寄与するのは、第4直動アクチュエータ12の伸縮力のうち足平部11(接地面)に直交する方向の成分だけである。この場合、第4直動アクチュエータ12の伸縮力を膝関節部8と足首関節部10とを結ぶ結線L1に平行な線上に作用させたのでは、階段歩行時に上記結線L1、即ち、伸縮力の作用線が足平部11に対し大きく前傾するために、第4直動アクチュエータ12の伸縮力のうち足平部11に直交する方向の成分は僅かになってしまう。従って、足平部11に第4直動アクチュエータ12で効率良くモーメントを付与できなくなる。その結果、階段上りに必要な所要のモーメントを付与するには、第4直動アクチュエータ12を高出力の大型のものにせざるを得なくなる。
これに対し、本実施形態では、階段歩行時に膝関節部8と足首関節部10とを結ぶ結線L1が足平部11に対し大きく前傾しても、この結線L1に対し後傾した線L2上に第4直動アクチュエータ12の伸縮力が作用するため、伸縮力の作用線L2と足平部11に直交する方向との成す角度は直角に近くなる。従って、第4直動アクチュエータ12の伸縮力の足平部11に直交する方向の成分が大きくなり、足平部11に効率良くモーメントが付与される。その結果、第4直動アクチュエータ12を高出力の大型のものにしなくても、階段上りに必要な所要のモーメントを足平部11に付与することができるようになる。そのため、第4直動アクチュエータ12を小型軽量化して、下腿リンク9の慣性モーメントを一層低減でき、更に省電力化も図ることができる。
ところで、第4直動アクチュエータ12の下腿リンク9に対する連結部たるY3a軸を上記結線L1よりも前方に位置させると共に、Y3a軸より前方に第4直動アクチュエータ12の足平部11に対する連結部たるY3b軸を位置させ、或いは、Y3b軸を上記結線L1より後方に位置させると共に、Y3b軸より後方にY3a軸を位置させて、第4直動アクチュエータ12の伸縮力の作用線を上記結線L1に対し後傾させることも可能である。然し、これでは、第4直動アクチュエータ12が下腿リンク9の前側や後側に大きく張り出してしまい、脚部2のスマートさが損なわれてしまう。
これに対し、本実施形態の如くY3a軸を上記結線L1よりも後方に位置させると共に、Y3b軸を上記結線L1よりも前方に位置させれば、下腿リンク9の前後への第4直動アクチュエータ12の張り出し量が小さくなり、脚部2がスマートになる。これにより脚部2を人間型のプロフィールに近付けることができる。
また、本実施形態では、各直動アクチュエータ12,12,12,12の駆動ユニット15の小型軽量化のため、ナット部材14やその支持構造にも工夫を施している。以下、この点について詳述する。
ナット部材14は、図5に示す如く、ボール14aを保持するナット本体部141と、ナット本体部141より外径が小さい軸方向両端の軸部142,143とを有しており、両軸部142,143を一対のアンギュラベアリング19,19により軸支すると共に、軸方向一端の軸部142に従動プーリ14bを連結している。尚、この軸部142は、ナット本体部141にドグ部を介して連結されるもので、ナット本体部141とは別体であるが、ナット本体部141に一体成形することも可能である。
ところで、各アンギュラベアリング19を、その内輪19aの端面がナット本体部141と各軸部142,143との間の段差に当接するように配置することも可能であるが、これでは以下の不具合を生ずる。即ち、組立時に、軸方向一端側のアンギュラベアリング19を軸方向他端側のアンギュラベアリング19に向けて締め付ける際、ナット本体部141に締め付け力が作用してしまう。そして、ナット本体部141の圧縮変形によりボール14aが円滑に動かなくなって、フリクションロスが増大してしまう。
この場合、本実施形態のナット本体部141の外側に余肉を付けて、この余肉部分に締め付け力が作用するように構成することも考えられる。ここで、軸部142,143の外径が本実施形態と同様であると、ナット本体部141のボール14aを保持する部分にも締め付け力が作用してしまうため、軸部142,143の外径を本実施形態のナット本体部141の外径以上にすることが必要になる。その結果、アンギュラベアリング19も大径になり、必然的にアンギュラベアリング19を収納するナットケース18も大径になり、駆動ユニット15を小型軽量化することが困難になる。
そこで、本実施形態では、上記の如く一対のアンギュラベアリング19,19で軸支するナット部材14の両端の軸部142,143をナット本体部141より小径にすると共に、両アンギュラベアリング19,19の内輪19a,19a間に特殊な形状の第1カラー20を介設して、ナット本体部141に締め付け力が作用することを防止している。即ち、第1カラー20は、ナット本体部141に外挿される円筒部20aと、円筒部20aの軸方向両端に設けられ、ナット本体部141と各軸部142,143との間の段差と各アンギュラベアリング19の内輪19aとの間に入り込んで内輪に当接する一対の環状板部20b,20bとを有する。尚、ナット本体部141と各軸部142,143との間の段差と各環状板部20bとの間には僅かなクリアランスが生ずるようにしている。また、両環状板部20b,20bが円筒部20aと一体であると、第1カラー20をナット部材14に装着できなくなるため、少なくとも一方の環状板部20bは円筒部20aから分離自在とする。本実施形態では、両環状板部20b,20bを共に円筒部20aから分離自在としている。
ここで、軸方向一端側(マウントフレーム17側)のアンギュラベアリング19の外輪19bは、ナットケース18にマウントフレーム17をボルト止めすることで、マウントフレーム17により軸方向他端側に締め付けられる。この際、締め付け力は該ベアリング19のベアリング球19cと内輪19aと第1カラー20の軸方向一端の環状板部20bと円筒部20aと軸方向他端の環状板部20bとを介して軸方向他端側のアンギュラベアリング19の内輪19aに伝達される。そして、軸方向他端側のアンギュラベアリング19の外輪19bが該ベアリング19の内輪19aからベアリング球19cを介して伝達される押圧力によりナットケース18の軸方向他端の肩部18dにシールリング18eを介して押し付けられる。これにより両アンギュラベアリング19,19がナットケース18内に軸方向に不動に保持され、各直動アクチュエータ12,12,12,12の伸縮動作によりナット部材14に作用するスラスト反力を両アンギュラベアリング19,19で受けられるようになる。
また、組立時に軸方向一端側のアンギュラベアリング19に加える締め付け力は上記の如く第1カラー20を介して軸方向他端側のアンギュラベアリング19に伝達されるため、ナット本体部141に締め付け力は作用しない。従って、ナット本体部141の外径をボール14aの保持に必要な必要最小限の寸法に設定し、これより軸部142,143の外径を小さくしても、締め付け力によりボール14aの動きの円滑性が損なわれて、フリクションロスが増大するといった不具合は生じない。そして、軸部142,143の小径化でアンギュラベアリング19も小径化できる。その結果、ナットケース18を小径化して、駆動ユニット15の小型軽量化を図ることができる。
尚、軸方向他端側のアンギュラベアリング19の外輪19bがナットケース18の軸方向他端の肩部18dに押し付けられる前に、ナットケース18の軸方向一端にマウントフレーム17が当接して締め付け不能になることを防止するため、寸法公差を考慮して、組立状態でナットケース18の軸方向一端とマウントフレーム17との間に若干のクリアランスが生ずるようにしている。そのため、軸方向一端側のアンギュラベアリング19の外輪19bを軸方向にいくらでも締め上げられるようになり、アンギュラベアリング19の与圧量が過大になって、フリクショントルクが大きくなる虞がある。
そこで、本実施形態では、両アンギュラベアリング19,19の外輪19b,19b間に第1カラー20と同一軸長の円筒状の第2カラー21を介設している。これによれば、軸方向一端側のアンギュラベアリング19の外輪19bが軸方向に過度に締め上げられることを第2カラー21により防止できる。
但し、第1カラー20の軸長と第2カラー21の軸長とにミクロンオーダの差を生じても、アンギュラベアリング19の与圧量に大きな影響が及ぶ。そこで、図7に示す如く治具100上に第1と第2の両カラー20,21をセットして、両カラー20,21を同時に平面研削し、両カラー20,21の軸長を正確に一致させるようにしている。
ここで、第1カラー20の各環状板部20bの軸方向外方を向く面の内周部には、径方向内方に向けて軸方向内方に傾斜するテーパー部20cが形成されている。また、治具100は、治具本体101と、治具本体101にマグネットチャック等により取付け自在な押え治具102とを備えている。押え治具102は、雌ねじ部103aを有する下半部103と雄ねじ部104aを有する上半部104とで構成されている。上下の各半部103,104の端部外周には第1カラー20の各環状板部20bのテーパー部20cに対応するテーパー部103b,104bが形成されている。
平面研削に際しては、第1カラー20の一方の環状板部20bをそのテーパー部20cが押え治具102の下半部103のテーパー部103bに係合するように治具本体101に載置し、その上に第1カラー20の円筒部20aと他方の環状板部20bとを載せる。次に、押え治具102の上半部104を下半部103に螺合させる。これにより、上半部104のテーパー部104bが他方の環状板部20bのテーパー部20cに係合して、一方の環状板部20bと円筒部20aと他方の環状板部20bとから成る第1カラー20が下半部103と上半部104との間に挟まれた状態で治具本体101上に固定される。次に、治具本体101上に第1カラー20を囲うようにして第2カラー21を載置し、第1カラー20の上方の環状板部20bの上面と第2カラー21の上端面とを同時に平面研削する。
このように環状板部20bにテーパー部20cを形成することで、テーパー部20cが押え治具102の係合部になり、第1カラー20と第2カラー21の同時平面研削が可能になる。尚、本実施形態では、第1カラー20の両環状板部20b,20bにテーパー部20cを形成したが、押え治具102の下半部103が治具本体101に強固に固定されるものであれば、平面研削する上方の環状板部20bと押え治具102の上半部104のみにテーパー部20c,104bを形成してもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、足首関節部10を足平部11の上下方向と横方向の揺動を許容する2軸ジョイントで構成したが、足平部11の上下方向の揺動のみを許容する1軸ジョイントで足首関節部10を構成することも可能である。この場合、足平駆動用の第4直動アクチュエータ12は1個でよい。
本発明の実施形態の2足歩行ロボットの斜め後方から見た斜視図。 実施形態の2足歩行ロボットの正面図。 実施形態の2足歩行ロボットの背面図。 実施形態の2足歩行ロボットの側面図。 図2のV−V線拡大切断面図。 実施形態の2足歩行ロボットの階段歩行時の脚部の状態を示す側面図。 実施形態の2足歩行ロボットに搭載した直動アクチュエータが具備するナットケース内に設けられる第1と第2の両カラーの平面研削時の状態を示す断面図。
符号の説明
1…胴体部、2…脚部、6…股関節部、7…大腿リンク、8…膝関節部、9…下腿リンク、10…足首関節部、11…足平部、12…第4直動アクチュエータ(足平駆動用の直動アクチュエータ)、13…電動モータ、14…ナット部材、14a…ボール、15…駆動ユニット、16…ねじ軸、L1…膝関節部と足首関節部との結線、L2…第4直動アクチュエータの伸縮力の作用線、Y3a…第4直動アクチュエータの下腿リンクに対する連結部、Y3b…第4直動アクチュエータの足平部に対する連結部。

Claims (3)

  1. 胴体部と左右一対の脚部とを備え、各脚部は、胴体部に股関節部を介して連結される大腿リンクと、大腿リンクの下端に膝関節部を介して連結される下腿リンクと、下腿リンクの下端に足首関節部を介して連結される足平部とで構成される2足歩行ロボットであって、
    各脚部の下腿リンクと足平部とを足首関節部から離れた部分で連結する直動アクチュエータを備え、直動アクチュエータの伸縮動作により足平部を下腿リンクに対し足首関節部を中心にして揺動させるようにしたものにおいて、
    直動アクチュエータは、該直動アクチュエータの伸縮力が膝関節部と足首関節部とを結ぶ結線に対し後傾した線上に作用するように配置されることを特徴とする2足歩行ロボット。
  2. 請求項1記載の2足歩行ロボットであって、
    前記直動アクチュエータの前記下腿リンクに対する連結部は前記結線よりも後方に位置し、前記各直動アクチュエータの前記足平部に対する連結部は前記結線よりも前方に位置することを特徴とする2足歩行ロボット。
  3. 請求項2記載の2足歩行ロボットであって、
    前記直動アクチュエータは、電動モータ及び該電動モータにより回転駆動されるナット部材を備える駆動ユニットと、ナット部材に保持されるボールを介して該ナット部材に螺合するねじ軸とから成るボールねじ機構で構成され、
    駆動ユニットに前記下腿リンクに対する連結部が設けられ、ねじ軸の下端に前記足平部に対する連結部が設けられることを特徴とする2足歩行ロボット。
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