JP4910729B2 - 炭素繊維前駆体繊維の製造方法、炭素繊維およびその製造方法 - Google Patents
炭素繊維前駆体繊維の製造方法、炭素繊維およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4910729B2 JP4910729B2 JP2007020581A JP2007020581A JP4910729B2 JP 4910729 B2 JP4910729 B2 JP 4910729B2 JP 2007020581 A JP2007020581 A JP 2007020581A JP 2007020581 A JP2007020581 A JP 2007020581A JP 4910729 B2 JP4910729 B2 JP 4910729B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon fiber
- fiber
- spinning
- producing
- pan
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Artificial Filaments (AREA)
- Inorganic Fibers (AREA)
Description
単糸内部のボイドへの油剤の侵入を少なくしたアクリル繊維を焼成することにより、高品位な炭素繊維を得る技術が開示されている。これによると、焼成時に発生する膠着数は少なくなっているものの、炭素繊維の緻密性向上効果はみられない(特許文献7参照)。
また、上記の目的を達成するために、本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法は次の構成を有する。すなわち、前記の炭素繊維前駆体繊維製造用PAN系重合体溶液を乾湿式紡糸する、炭素繊維前駆体繊維の製造方法であって、乾湿式紡糸するに際し、紡糸ドラフトを12〜100の範囲とする炭素繊維前駆体繊維の製造方法である。
共重合比率(モル/g)=(多官能性単量体の共重合量(モル部)/100)/多官能性単量体を含まない以外は同じ条件で作製した重合体の重量平均分子量(g/モル)
本発明で好適に用いられるPAN系重合体の組成としては、共重合成分として、上述した多官能性単量体の他に、ANと共重合可能な他の単量体をAN100モル部あたり5モル部以下なら共重合させてもよいが、他の共重合成分量が多くなるほど共重合部分での熱分解による分子断裂が顕著となり、得られる炭素繊維の引張強度が低下する。
紡糸ドラフト=(凝固糸の巻き取り速度)/(吐出線速度)
上記の紡糸ドラフトを高めることは、生産性を向上させるだけでなく、前駆体繊維の緻密性向上への寄与も大きい。紡糸ドラフトを高める程、前記したようにエアーギャップで延伸されるため、凝固浴に進入する前に細化して繊維表層と繊維中心部の物理的距離が短くなり、効率よく凝固促進成分と溶媒の交換が行うことが出来る。また、繊維の細径化への寄与も大きい。紡糸ドラフトが12を超えない場合、PAN系繊維の単繊維繊度を1.5デシテックス(以下、dtexと表記)以下にするためには乾熱延伸工程もしくは蒸気延伸工程が必要となり、本発明の効果である高品位なPAN系繊維を得ることが困難である。したがって生産性・緻密性向上の観点から紡糸ドラフトは高ければ高いほど好ましいが、口金面で糸切れが発生することが多くなるため、現実的には100以下である。吐出線速度は、0.1〜30m/分であることが好ましい。吐出線速度が0.1m/分を下回ると、生産性が落ちる。一方、吐出線速度が30m/分を超えると、凝固浴の液面揺れが顕著になり、得られる繊度にムラが生じやすい。
極限粘度 :1.8
重合体濃度 :20重量%
一般に、溶液紡糸では、凝固浴中の凝固促進成分の割合を減らし、溶媒量を増やしていくと、臨界濃度で可紡性は極小値となり、重合体が凝集できる限界濃度まで溶媒を増やすと可紡性は極めて高まり、その濃度を超えると繊維を形成しなくなる。しかしながら、上述のとおり、凝固浴中の溶媒濃度を上げると入念な水洗工程が必要となるため、溶媒濃度は低いことが好ましい。臨界濃度は従来から十分に検討されており、溶媒/凝固促進成分がジメチルホルムアミド/水のときは76重量%であり、ジメチルアセトアミド/水のときは79重量%であり、ジメチルスルホキシド/水のときは70重量%である。そのため、ジメチルスルホキシド/水のときに好ましい凝固浴中のジメチルスルホキシド濃度は49重量%以下であり、より好ましくは14重量以上42重量%以下となる。
y<−14,000Lc−17,250+0.6YM2・・・(1)式
(Lcは広角X線回折の炭素網面の(002)面に対する回折の半価幅より求めた結晶サイズ〔nm〕、YMは炭素繊維の引張弾性率〔GPa〕)
引張弾性率が295GPaのときの結晶サイズLcと、小角X線散乱強度積算値yの関係をグラフに表すと図1のようになる。(1)式は、グラフ中の直線より下の領域を示している。
溶液温度35℃に保温されたPAN系重合体溶液0.1mlを同軸且つ垂直に配置された一対の直径4mmの円形プレート間(ギャップ2mm)に封入し、上方のプレートを31.5m/分の速度で18mm垂直に引き上げそのまま保持した時、プレート引き上げ終了直後からフィラメントの破断までの時間を測定する。
多官能性単量体を含まない以外は測定しようとする重合体と同じ条件で重合体を作製し、その重合体を用いる。その濃度が0.1重量%となるように、ジメチルホルムアミド(0.01N−塩化リチウム添加)に溶解し、検体溶液を得る。得られた検体溶液について、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、単にGPCという)装置を用いて、次の条件で測定したGPC曲線より、分子量分布曲線を求め、Mwを算出する。
流速 :1ml/分
温度 :40℃
試料濾過 :メンブレンフィルター(0.5μmカット)
注入量 :0.1ml
検出器 :示差屈折率検出器
なお、Mwは、分子量が異なる分子量既知の単分散ポリスチレンを少なくとも3種類用いて、溶出時間―分子量の検量線を作成し、該検量線上において、該当する溶出時間に対応する分子量を読み取ることにより求める。
なお、本実施例では、GPC装置として(株)島津製作所製CLASS−LC10を、カラムとして東ソー(株)製TSK−GEL−α―M(×2)を、ジメチルホルムアミドおよび塩化リチウムとして和光純薬工業(株)製を、メンブレンフィルターとしてミリポアコーポレーション製0.5μ−FHLP FILTERを、示差屈折率検出器として(株)島津製作所製RID−10AVを、検量線作成用の単分散ポリスチレンとして、分子量184000、427000、791000、1300000のものを、それぞれ用いた。ここで得られた多官能性単量体を含まない以外は同じ条件で作製した重合体の重量平均分子量と多官能性単量体の共重合量から以下の式で求める。共重合量は、共重合されているかに関わらず使用した量を用いる。共重合比率(モル/g)=(多官能性単量体の共重合量(モル部)/100)/多官能性単量体を含まない以外は同じ条件で作製した重合体の重量平均分子量(g/モル)
<重合体溶液の重合体濃度> あらかじめ計量したPAN系重合体溶液を水中に細く垂らすことにより、直径1mm以下の線状組織を得る。その後、90℃の温度の熱水中で2時間脱溶媒して、120℃の温度で2時間乾燥させた後、線状組織を計量した。次式を用いて、紡糸溶液の重合体濃度(重量%)を求めた。
重合体濃度=(乾燥後の線状組織重量)/(脱溶媒前の重合体溶液重量)×100 <重合体溶液の粘度>
B型粘度計として(株)東京計器製B8L型粘度計を用い、ローターNo.4を使用し、PAN系重合体溶液粘度が0〜1,000ポイズの範囲は、ローター回転数6r.p.m.で、また粘度が1,000〜10,000ポイズの範囲は、ローター回転数0.6r.p.m.で、いずれも45℃の温度におけるPAN系重合体溶液の粘度を測定した。
検査項目は、6000フィラメントの繊維束を1m/分の速度で走行させながら毛玉・毛羽の個数を数え、五段階評価した。評価基準は、下記のとおりである。
・等級1:繊維300m中、1個以内
・等級2:繊維300m中、2〜5個
・等級3:繊維300m中、6〜10個
・等級4:繊維300m中、11〜15個
・等級5:繊維300m中、16個以上。
検査項目は、焼成後、表面処理・サイジング処理前に24000フィラメントの繊維束を1m/分の速度で走行させながら毛玉・毛羽の個数を数え、五段階評価した。評価基準は、下記のとおりである。
・等級1:繊維30m中、1個以内
・等級2:繊維30m中、2〜5個
・等級3:繊維30m中、6〜10個
・等級4:繊維30m中、11〜15個
・等級5:繊維30m中、16個以上。
繊維束を40mm長に切断し、40mgを精秤採取する。試料繊維軸が正確に平行になるように、揃えた後、試料調整用治具を用いて幅2mmの厚さが均一な試料繊維束に整える。薄いコロジオンを含浸させて形態がくずれないように固定した後、繊維軸がX線スリットの長手方向と平行になるようにセットし、炭素繊維軸と垂直方向の散乱を計測する。
繊維束を40mm長に切断して、20mgを精秤して採取し、試料繊維軸が正確に平行になるようにそろえた後、試料調整用治具を用いて幅1mmの厚さが均一な試料繊維束に整える。薄いコロジオン液を含浸させて形態が崩れないように固定した後、広角X線回折測定試料台に固定する。装置には(株)リガク社製4036A2型X線発生装置使用し、X線源としてNiフィルターで単色化されたCuKα線を用い、2θ=26°付近に観察される面指数(002)のピークについて、下記(2)式により算出した値を面間隔dとする。
d=λ/(2 sinθ) …(2)
ここで、λ:X線の波長(この場合0.15418nm)、θ:回折角を言う。
また、ここで、結晶サイズLcとは、X線回折により次のとおり求められる結晶サイズ(nm)を言う。X線源として、Niフィルターで単色化されたCuKα線を用い、2θ=26°付近に観察される面指数(002)のピークを赤道方向にスキャンして得られたピークからその半価幅を求め、下記(3)式により算出した値を結晶サイズLcとする。
Lc=λ/(β0 cos θ) …(3)
ここで、λ:X線の波長(この場合0.15418nm)、θ:回折角、β0 :真の半価幅を言う。なお、β0 は下記(4)式により算出される値を用いる。
β0 =(βe 2 −βl 2 )1/2 …(4)
ここで、βe :見かけの半価幅、βl :装置定数((株)リガク社製4036A2型X線発生装置を出力35kV、15mAで使用した場合、1.05×10-2rad)を言う。
JIS R7601(1986)「樹脂含浸ストランド試験法」に従って求める。測定する炭素繊維の樹脂含浸ストランドは、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部)を、炭素繊維または黒鉛化繊維に含浸させ、130℃の温度で30分で硬化させて作製する。また、炭素繊維のストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値を引張強度とする。なお、本実施例では、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートとして、ユニオンカーバイド(株)製“ベークライト”(登録商標)ERL4221を用いた。
[実施例1〜8] 表1に示した組成からなる共重合成分を、ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法により、アゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてラジカル重合した。なお、実施例8においては、カルボキシエチルアクリレートとMg(OH)2を良く混合した後、共重合成分として用いた。PAN系重合体溶液を表1に示すように調製した。得られたPAN系重合体溶液を、目開き0.5μmのフィルター通過後、40℃の温度で、孔数6,000、口金孔径0.15mmの紡糸口金を用い、一旦空気中に吐出し、約2mmの空間を通過させた後、3℃の温度にコントロールした20重量%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により紡糸し凝固糸条とした。このときの吐出線速度は10m/分で一定とし、凝固糸の巻取り速度を変更することで限界紡糸ドラフトの測定を行った。また、吐出線速度10m/分、紡糸ドラフト12の条件で凝固糸条を得た。
PAN系重合体の共重合成分を表3、4、5に示すように変更した他は、実施例1と同様にしてPAN系重合溶液を調製した。実施例1と同様にして、伸長時破断時間と限界紡糸ドラフトを測定した結果を表3、4、5に示す。いずれの実施例も、長い伸長時破断時間と高い限界紡糸ドラフトの値を示した。[実施例21]
実施例2で得られた前駆体繊維を、240〜260℃の温度の温度分布を有する空気中において延伸比1.3で延伸しながらで100分間耐炎化処理し、耐炎化繊維を得た。続いて、得られた耐炎化繊維を300〜700℃の温度の温度分布を有する窒素雰囲気中において、延伸比1.2で延伸しながら予備炭化処理を行い、さらに最高温度1,400℃の窒素雰囲気中において、延伸比を0.96に設定して炭化処理を行い、連続した炭素繊維を得た。この炭素繊維について得られた物性(引張弾性率、小角X線散乱強度、結晶サイズLc)を表6に示すとともに図1にプロットした。
耐炎化延伸比を1.5に変更した他は、実施例21と同様にして炭素繊維を得た。この炭素繊維について得られた物性(引張弾性率、小角X線散乱強度、結晶サイズLc)を表6に示すとともに図1にプロットした。
ドラフトを20に変更した以外は、実施例2と同様にして炭素繊維を得た。この炭素繊維について得られた物性(引張弾性率、小角X線散乱強度、結晶サイズLc)を表6に示すとともに図1にプロットした。
PAN系重合体の共重合成分を表1のように変更した他は、実施例1と同様にしてPAN系重合溶液を調製した。また、紡糸ドラフトを3とし、浴中延伸倍率を表2のようにし、浴中延伸糸を表2に示すような水蒸気延伸倍率で加圧水蒸気延伸した他は、実施例1と同様にして、製糸、焼成および評価を行なった。比較例1〜4は、紡糸ドラフトを3に下げて、それ以降の延伸倍率を限界近くまで上げたため、糸切れが発生し製糸の工程安定性が悪かった。また、得られた前駆体繊維の品位も悪かった。得られた前駆体繊維を実施例1と同様に焼成して炭素繊維を得ようとしたところ、前駆体繊維の品位が悪かったため、焼成工程で毛羽が多く糸切れが発生した。比較例1の前駆体繊維を焼成した炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、引張強度は5.0GPaであり、引張弾性率は295GPaであった。この炭素繊維について得られた物性(引張弾性率、小角X線散乱強度、結晶サイズLc)を表6に示すとともに図1にプロットした。
PAN系重合体の共重合成分を表1のように変更した他は、実施例1と同様にしてPAN系重合溶液を調製した。実施例1と同様にして、伸長時破断時間と限界紡糸ドラフトを測定した結果を表1に示す。得られたPAN系重合体溶液を、目開き0.5μmのフィルター通過後、40℃の温度で、孔数6,000、口金孔径0.10mmの紡糸口金を用い、60℃の温度にコントロールした60重量%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に吐出する湿式紡糸法により紡糸し、吐出線速度は10m/分、紡糸ドラフト0.8の条件で凝固糸条を得た。浴中延伸倍率を表2のようにし、浴中延伸糸を表2に示すような水蒸気延伸倍率で加圧水蒸気延伸した他は、比較例1と同様にして炭素繊維を得た。この炭素繊維について得られた物性(引張弾性率、小角X線散乱強度、結晶サイズLc)を表6に示すとともに図1にプロットした。凝固時の繊維径が太いため、得られた炭素繊維の緻密性は低かった。
比較例1と同様にしてPAN系重合溶液を調製した。また、浴中延伸糸を表2に示すような乾熱延伸倍率で延伸し、耐炎化延伸比を1.7倍にした他は、比較例1と同様にして炭素繊維を得た。この炭素繊維について得られた物性(引張弾性率、小角X線散乱強度、結晶サイズLc)を表6に示すとともに図1にプロットした。
比較例1で得た前駆体繊維を焼成する際、耐炎化繊維比重がそれぞれ1.47g/cm3、1.20g/cm3まで加熱したところで耐炎化を終了した他は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。この炭素繊維について得られた物性(引張弾性率、小角X線散乱強度、結晶サイズLc)を表6に示すとともに図1にプロットした。耐炎化繊維比重が低いほど、小角X線散乱強度は小さくなるが、Lcが大きくなり、(1)式を満たすものではなかった。
比較例1で得た耐炎化繊維を焼成する際、耐炎化繊維束約20mを黒鉛製円筒に巻き付け、繊維束の両端を黒鉛製円筒に縛って緊張状態とした後、ハステロイ−Xを材質としたオートクレーブ中に設置、窒素置換し、初圧(加熱前の圧力)をボンベ圧の130kg/cm2・Gとした。そして終圧(加熱終了時の圧力)を300kg/cm2・Gとして、昇温速度5℃/分で室温から650℃まで加熱し、10分間保持した。昇温過程でオートクレーブ内の不活性ガスあるいは生成した低沸点化合物が膨張して圧力が増加し、温度450℃で300kg/cm2・Gとなるが、300kg/cm2・Gを越す場合はガスをリークして一定圧力とした。炭化繊維は、黒鉛製円筒に巻いたまま、さらに常圧下、窒素雰囲気中で1450℃まで加熱し、炭素繊維とした。この炭素繊維について得られた物性(引張弾性率、小角X線散乱強度、結晶サイズLc)を表6に示すとともに図1にプロットした。小角X線散乱強度は小さくなるが、Lcが大きくなり、(1)式を満たすものではなかった。
実施例2で得られた前駆体繊維を、240〜260℃の温度の温度分布を有する空気中において延伸比1.5で延伸しながらで100分間耐炎化処理し、耐炎化繊維を得た。続いて、得られた耐炎化繊維を300〜700℃の温度の温度分布を有する窒素雰囲気中において、延伸比1.2で延伸しながら予備炭化処理を行い、さらに最高温度1,600℃の窒素雰囲気中において、延伸比を0.98に設定して炭化処理を行い、連続した炭素繊維を得た。この炭素繊維について得られた物性(引張弾性率、小角X線散乱強度、結晶サイズLc)を表6に示すとともに図2にプロットした。
実施例2で得られた炭素繊維を、最高温度1,950℃の窒素雰囲気中において、延伸比を1.0に設定して炭化処理を行い、連続した炭素繊維を得た。この炭素繊維について得られた物性(引張弾性率、小角X線散乱強度、結晶サイズLc)を表6に示すとともに図2にプロットした。
比較例1で得られた炭素繊維を、最高温度1,950℃の窒素雰囲気中において、延伸比を1.0に設定して炭化処理を行い、連続した炭素繊維を得た。この炭素繊維について得られた物性(引張弾性率、小角X線散乱強度、結晶サイズLc)を表6に示すとともに図2にプロットした。
比較例6で得られた炭素繊維を、最高温度1,950℃の窒素雰囲気中において、延伸比を1.0に設定して炭化処理を行い、連続した炭素繊維を得た。この炭素繊維について得られた物性(引張弾性率、小角X線散乱強度、結晶サイズLc)を表6に示すとともに図2にプロットした。
Claims (6)
- アクリロニトリル100モル部に対して、複数個のラジカル反応性基を含有する単量体を0.001〜1モル部共重合してなるポリアクリロニトリル系重合体が溶媒に溶解してなり、明細書中に規定する伸長時破断時間が20秒以上である、炭素繊維前駆体繊維製造用ポリアクリロニトリル系重合体溶液を乾湿式紡糸する炭素繊維前駆体繊維の製造方法であって、乾湿式紡糸するに際し、紡糸ドラフトを12〜100の範囲とする炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
- 前記重合体溶液は、その重合体濃度が15〜25重量%であり、その45℃の温度における粘度が300〜1,000ポイズである、請求項1に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
- 用いる口金は、その孔径が0.05〜0.18mm以下である、請求項1または2に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
- 用いる凝固浴は、アクリロニトリル系重合体の溶媒と凝固促進成分の混合物であって、かつ臨界濃度の0.7倍以下の溶媒を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって得られた炭素繊維前駆体繊維を、200〜300℃の温度の空気中において耐炎化処理した後、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、次いで1,000〜3,000℃の温度の不活性雰囲気中において炭化処理する、炭素繊維の製造方法。
- 請求項5に記載の製造方法によって得られた炭素繊維であって、その引張弾性率が290GPa以上であり、明細書中に規定する小角X線散乱強度の0.5〜5°までの積算値yが、下記の(1)式の関係を満たす炭素繊維。
y<−14,000Lc−17,250+0.6YM2・・・(1)式
(Lcは広角X線回折の炭素網面の(002)面に対する回折の半価幅より求めた結晶サイズ[nm]、YMは炭素繊維の引張弾性率[GPa])
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007020581A JP4910729B2 (ja) | 2006-07-10 | 2007-01-31 | 炭素繊維前駆体繊維の製造方法、炭素繊維およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006188942 | 2006-07-10 | ||
JP2006188942 | 2006-07-10 | ||
JP2007020581A JP4910729B2 (ja) | 2006-07-10 | 2007-01-31 | 炭素繊維前駆体繊維の製造方法、炭素繊維およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008038327A JP2008038327A (ja) | 2008-02-21 |
JP4910729B2 true JP4910729B2 (ja) | 2012-04-04 |
Family
ID=39173683
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007020581A Expired - Fee Related JP4910729B2 (ja) | 2006-07-10 | 2007-01-31 | 炭素繊維前駆体繊維の製造方法、炭素繊維およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4910729B2 (ja) |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5141591B2 (ja) * | 2008-02-22 | 2013-02-13 | 東レ株式会社 | 炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 |
MX2010010887A (es) * | 2008-04-11 | 2010-11-26 | Toray Industries | Fibra precursora de fibra de carbono, fibra de carbono, y procesos para la produccion de la misma. |
JP5151809B2 (ja) * | 2008-08-27 | 2013-02-27 | 東レ株式会社 | 炭素繊維前駆体繊維の製造方法 |
JP5109936B2 (ja) * | 2008-11-10 | 2012-12-26 | 東レ株式会社 | 炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維の製造方法 |
JP5540676B2 (ja) * | 2009-03-31 | 2014-07-02 | 東レ株式会社 | 炭素繊維前駆体繊維とその製造方法および炭素繊維の製造方法 |
KR101037115B1 (ko) | 2009-04-14 | 2011-05-26 | 주식회사 효성 | 탄소섬유용 아크릴로니트릴계 전구체 섬유 제조를 위한 용액중합 방법 |
WO2011065568A1 (ja) * | 2009-11-30 | 2011-06-03 | 富士フイルム株式会社 | 絶縁性樹脂、絶縁性樹脂層形成用組成物、積層体、表面金属膜材料の作製方法、金属パターン材料の作製方法、配線基板の作製方法、電子部品、及び、半導体素子 |
JP5642378B2 (ja) * | 2009-11-30 | 2014-12-17 | 富士フイルム株式会社 | 絶縁性樹脂、絶縁性樹脂層形成用組成物、積層体、表面金属膜材料の作製方法、金属パターン材料の作製方法、配線基板の作製方法、電子部品、半導体素子 |
KR101276469B1 (ko) | 2009-12-31 | 2013-06-19 | 주식회사 효성 | 탄소섬유용 폴리아크릴로니트릴계 전구체 섬유의 제조방법 |
JP2017020142A (ja) * | 2015-07-14 | 2017-01-26 | 三菱レイヨン株式会社 | 炭素繊維とその製造方法 |
CN114457449B (zh) * | 2020-11-10 | 2024-01-30 | 中国石油化工股份有限公司 | 高性能聚丙烯腈前驱体纤维及其制备方法和应用 |
WO2024122529A1 (ja) * | 2022-12-07 | 2024-06-13 | 帝人株式会社 | 炭素繊維及びその製造方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02289121A (ja) * | 1989-02-17 | 1990-11-29 | Toray Ind Inc | 炭素繊維の製造方法 |
JPH0827619A (ja) * | 1994-05-10 | 1996-01-30 | Toray Ind Inc | 炭素繊維用アクリル系プリカーサーおよび炭素繊維の製造方法 |
JPH11107034A (ja) * | 1997-10-03 | 1999-04-20 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 湿熱特性の優れたアクリル繊維及びその製造方法 |
JPH11152619A (ja) * | 1997-11-14 | 1999-06-08 | Toho Rayon Co Ltd | 乾湿式紡糸の糸立て方法 |
-
2007
- 2007-01-31 JP JP2007020581A patent/JP4910729B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008038327A (ja) | 2008-02-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4910729B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維の製造方法、炭素繊維およびその製造方法 | |
KR101146843B1 (ko) | 탄소 섬유 전구체 섬유 및 탄소 섬유와 그 제조 방법 | |
WO2008047745A1 (fr) | Polymère de polyacrylonitrile, procédé de production du polymère, procédé de production d'une fibre de précurseur pour fibre de carbone, fibre de carbone et procédé de production de la fibre de carbone | |
WO2007069511A1 (ja) | 炭素繊維、炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法、および、炭素繊維の製造方法 | |
JP5691366B2 (ja) | 炭素繊維の製造方法 | |
JP4924469B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 | |
JP2008308776A (ja) | ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法、炭素繊維の製造方法、および炭素繊維 | |
JP5434187B2 (ja) | ポリアクリロニトリル系連続炭素繊維束およびその製造方法 | |
JP5109936B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維の製造方法 | |
WO2020090597A1 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 | |
JP5151809B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維の製造方法 | |
JP2009079343A (ja) | 炭素繊維用前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 | |
JP5066952B2 (ja) | ポリアクリロニトリル系重合体組成物の製造方法、および炭素繊維の製造方法 | |
JP4983709B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 | |
JP5504678B2 (ja) | ポリアクリロニトリル系重合体溶液と炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維の製造方法 | |
JP5146004B2 (ja) | ポリアクリロニトリル系重合体組成物および炭素繊維の製造方法 | |
JP5146394B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維の製造方法および炭素繊維の製造方法 | |
JP2007321267A (ja) | ポリアクリロニトリル系繊維および炭素繊維の製造方法 | |
JP2010031418A (ja) | 炭素繊維前駆体繊維の製造方法 | |
JP2008308777A (ja) | 炭素繊維、炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法 | |
JP4957634B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維の製造方法ならびに炭素繊維束およびその製造方法 | |
JP5141591B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 | |
KR102197333B1 (ko) | 폴리아크릴로니트릴계 내염화 섬유, 탄소섬유 및 그의 제조방법 | |
JP7343538B2 (ja) | 炭素繊維及びその製造方法 | |
JP2011213774A (ja) | 炭素繊維製造用ポリアクリロニトリルおよびポリアクリロニトリル系前駆体繊維および炭素繊維の製造方法。 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100122 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110602 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110614 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110719 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111220 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120102 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150127 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |