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JP4910534B2 - 送風機羽根車 - Google Patents

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Description

本発明は、低騒音で風量性能に優れた厚肉の送風機羽根車に関するものである。
従来のこの種の送風機羽根車について、図16から図19を用いて説明する。
図16は、従来の送風機羽根車の斜視図、図17は、同送風機羽根車のブレードの平面図、図18は、図17のA−A断面図、図19は、図17のB−B断面図である。
図16から図18において、送風機羽根車2(以下、「羽根車2」という)は、略円柱上のハブ部3にブレード4が備えられている。そして、ブレード4の負圧面側に、所定のエグリ1が薄肉で設けてある。羽根車2のハブ部3にモーターシャフト(図示せず)を固定し、適切なケーシング(図示せず)に納め、モーター(図示せず)により矢印の方向に回転させることで送風作用を生じる。この時、空気は、ブレード4の前縁部5より侵入し後縁6より流出する。そこで、前記負圧面側のエグリ1には、図17、図18に示すように3方にテーパ部15、16を設けてあるので、エグリ1形状がスムースになり、ブレード4の負圧面側に特徴的な剥離を助長させず、その結果、騒音が増加することは非常に少ない。そのため、厚肉の翼型の低騒音効果をそのまま維持できる(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−189985号公報
上記従来の送風機羽根車のエグリの効果は、軽量化には役立つことができる。しかし、厚肉の翼型の送風機羽根車の低騒音効果及び風量性能向上の効果を減退することになる。すなわち、負圧面側にエグリを入れる場合、多少の剥離の助長を招き、それにより乱流が発生して風量性能の劣化に繋がる。また、乱流騒音により、若干の騒音増加となる。さらに、この技術のみではブレードのチップ部(外周部)の肉厚が大きいため、生産性(樹脂成形)が劣化するという課題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、風量性能及び低騒音化を確保し、安定した生産が可能で、軽量化を図った送風機羽根車を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の送風機羽根車は、ハブ部と、前記ハブ部の周囲に放射状に延設した翼型の複数枚のブレードからなり、前記ブレードの前縁形状を確保して、前記ブレードの表面における風の流れに沿うように複数の溝部を設け、前記溝部間に形成される凸部の先端の表面形状を、翼型の表面形状としたもので、ブレードの厚肉翼形の前縁形状を確保することにより前縁の剥離を抑制することができ、また各溝部の間の凸部表面が翼型面を形成するため風量性能及び低騒音化を確保することができる。また、ブレード表面における風の流れに沿うように、複数の溝部を設けることにより、薄肉の成形方法で生産可能となり安定した生産が可能となり、さらに、ブレードのほぼ全域に亘って溝部、すなわち薄肉で成形されているため、ブレード単体の軽量化を図ることもできる。
本発明の送風機羽根車は、風量性能及び低騒音化を確保しながら、安定した生産が可能
で、さらに軽量化を図ることができる。
第1の発明は、ハブ部と、前記ハブ部の周囲に放射状に延設した翼型の複数枚のブレードからなり、前記ブレードの前縁形状を確保して、前記ブレードの表面における風の流れに沿うように複数の溝部を設け、前記溝部間に形成される凸部の先端の表面形状を、翼型の表面形状とし、前記複数の溝部、等流量分割線またはブレードの回転中心の同心円に沿って形成するものであって、ブレードの回転中心の同心円に沿った溝部を、前記ブレードのチップ部の近傍に配置して、等流量分割線に沿った溝部を、ハブ部の近傍に配置したもので、ブレードの厚肉翼形の前縁形状を確保することにより前縁の剥離を抑制することができ、また各溝部の間の凸部表面が翼型面を形成するため風量性能及び低騒音化を確保することができる。また、ブレード表面における風の流れに沿うように、複数の溝部を設けることにより、薄肉の成形方法で生産可能となり安定した生産が可能となり、さらに、ブレードのほぼ全域に亘って溝部、すなわち薄肉で成形されているため、ブレード単体の軽量化を図ることもできる。また、ブレードの形状規定の延長で溝部の形状を規定することになり、また送風性能が劣化することなく、溝部の設計が容易になり生産性の向上に繋がる。
の発明は、特に、第1のいずれか一つの発明のブレードのチップ部(外周ライン)を、前記ブレードの回転中心の同心円より外側に突出させて凸形状としたもので、外側からの吸い込み流量を増加させることになり送風性能の向上となる。
の発明は、特に、第1または2のいずれか一つの発明のブレードの前縁のチップ部(外周ライン)に、略三角形の補助翼を配置するもので、外周部での翼面の性能を向上させることになり、送風性能の向上となる。
の発明は、特に、第1〜のいずれか一つの発明のブレードを2枚以上設けたもので、送風機羽根車の軽量化が図れ、ファン効率の向上に繋がる。
の発明は、特に、第1〜のいずれか一つの発明のブレードの圧力面及び負圧面の両面に溝部を設け、前記負圧面側の溝部を前記圧力面側のそれより大きく設定したもので、送風機羽根車の軽量化が図れると同時に高効率化が図れる。
の発明は、特に、第1〜のいずれか一つの発明のブレードの最大肉厚部を、前縁部から弦長の30%以下の位置になるように設定したもので、低騒音化が図れる。
の発明は、特に、第1〜のいずれか一つの発明のブレードのそり高さ位置を、前縁部から弦長の60%以上になるようにしたもので、ファン効率が向上する。
の発明は、特に、第1〜のいずれか一つの発明の溝部の幅を、前縁部から後縁に向けて徐々に拡大させたもので、送風性能を劣化させることなく送風機羽根車の軽量化が図れる。
の発明は、特に、第1〜のいずれか一つの発明の隣り合う溝部間の幅を、ブレードのチップ部からハブ部側に向けて徐々に拡大させたもので、送風性能を劣化させることなく送風機羽根車の軽量化が図れる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
参考例1)
図1は、参考例1の形態における送風機羽根車の斜視図、図2は、同送風機羽根車の平面図、図3は、図2のC−C断面図である。
送風機羽根車2(以下、「羽根車2」という)は、略円柱または円錐台上のハブ部3と、ハブ部3に放射状に延設されたブレード4から構成されている。そして、ブレード4の前縁部5の形状を確保して、ブレード4の負圧面に風の流れ(流線)に沿うように複数の溝部7が設けられている。
そして、各溝部7間の凸部8の形状を翼型表面形状にすることにより、風量性能及び低騒音化を確保することができる。複数の溝部7を設けることにより、薄肉の成形方法で生産可能となり安定した生産が可能となる。また、ブレード4のほぼ全域に亘って溝部7、すなわち薄肉で成形されているため、ブレード4単体の軽量化を図ることもできる。しかも、風の流れ(流線)に沿うように設けられた溝部7の底部に負圧域(低圧域)が形成され後縁剥離を抑制することになり、低騒音化を助長することになる。
また、参考例1では、ブレード4の前縁部5のチップ部12(外周ライン)に、略三角形の補助翼10を配置しており、これにより、ブレード4の外周部での翼面の性能を向上させることになり、送風性能の向上となる。また、補助翼10の負圧面側にも溝部7が延設されており、吸い込み流れがさらに助長される。
参考例2)
図4は、参考例2の形態における送風機羽根車の斜視図、図5は、同送風機羽根車の平面図を示したものである。なお、上記参考例と同一部分については、同一符号を用いて、その説明を省略する。
参考例における羽根車2は、略円柱または円錐台上のハブ部3にブレード4が備えら
れ、ブレード4の前縁部5の形状を確保して、ブレード4の負圧面に等流量線に沿った溝部7、またはブレード4の回転中心と同心円の溝部7を設けたものである。これによって、送風性能が劣化することなく、溝7の設計が非常に容易になるものである。
(実施の形態
図6は、本発明の第の実施の形態における送風機羽根車の斜視図、図7は、同送風機羽根車の平面図である。なお、上記参考例と同一部分については、同一符号を用いて、その説明を省略する。
本実施の形態における羽根車2は、略円柱または円錐台上のハブ部3にブレード4が備えられている。そして、ブレード4の前縁部5の形状を確保して、ブレード4の負圧面のチップ部12付近に、ブレード4の回転中心と同心円の溝部7を設け、またブレード4の負圧面のハブ部3付近に等流量線に沿った溝部7を設けたものである。これによって、送風性能が劣化することなく、溝部7の設計が容易になり生産性の向上に繋がる。
(実施の形態
図8は、本発明の第の実施の形態における送風機羽根車の平面図である。なお、上記実施の形態および上記参考例と同一部分については、同一符号を用いて、その説明を省略する。
本実施の形態における羽根車2は、ブレード4のチップ部12(外周ライン)を、回転中心の同心円より外側に突出させて凸形状9としたものである。これによって、外周からの吸い込み流れが促進され、送風性能が向上する。また、ブレード4のチップ部12(外周ライン)を回転中心の同心円より外側の領域の負圧面側に、溝部7が設けられており吸い込み流れが助長される。
(実施の形態
図9は、本発明の第の実施の形態における送風機羽根車の斜視図、図10は、同送風機羽根車の平面図である。なお、上記実施の形態および上記参考例と同一部分については、同一符号を用いて、その説明を省略する。
本実施の形態における羽根車2は、ハブ部3と2枚のブレード4とで構成されたもので、それにより軽量化が図れ、ファン効率の向上が図れる。
(実施の形態
図11は、本発明の第の実施の形態における送風機羽根車のブレードの断面図(断面部は、図2のC−Cと同じ)である。なお、上記実施の形態および上記参考例と同一部分については、同一符号を用いて、その説明を省略する。
本実施の形態における羽根車2は、ブレード4の前縁部5の形状を確保して、ブレード4の負圧面と圧力面に溝部7a、7bを設け、圧力面側の溝部7bを負圧面側の溝部7aより小さくしたもので、これにより、送風性能が劣化することなく、より軽量化が図れる。
(実施の形態
図12は、本発明の第の実施の形態における送風機羽根車のブレードの断面図(断面部は、図2のD−D)である。なお、上記実施の形態および上記参考例と同一部分については、同一符号を用いて、その説明を省略する。
本実施の形態における羽根車2は、図12に示すように、ブレード4の肉厚分布において、最大肉厚位置を、前縁部5から30%以下になるように配置したものである。すなわち、弦長L、最大肉厚位置L1として、L1/L = 0.15 < 0.3としたもので、この形状により、ブレード4の前縁剥離を抑制して送風性能の向上となる。
(実施の形態
図13は、本発明の第の実施の形態における送風機羽根車のブレードの断面図(断面部は、図2のE−E)である。なお、上記実施の形態および上記参考例と同一部分については、同一符号を用いて、その説明を省略する。
本実施の形態における羽根車2は、図13に示すように、ブレード4のそり高さ位置を、前縁部5から60%以上に配置したものある。すなわち、弦長L、最大肉厚位置L1として、L1/L = 0.63 > 0.6としたもので、この形状により、ブレード4の後縁剥離を抑制して乱流騒音の低騒音化を図ることができる。
(実施の形態
図14は、本発明の第の実施の形態における送風機羽根車のブレードの平面図である。なお、上記実施の形態および上記参考例と同一部分については、同一符号を用いて、その説明を省略する。
本実施の形態における羽根車2は、図14に示すように、ブレード4に配置された溝部
7の幅を、前縁部5から後縁6に向けて徐々に拡大させたもので、これにより、送風性能を劣化させることなく、より軽量化が図れる。
(実施の形態
図15は、本発明の第の実施の形態における送風機羽根車の平面図である。なお、上記実施の形態および上記参考例と同一部分については、同一符号を用いて、その説明を省略する。
本実施の形態における羽根車2は、図15に示すように、ブレード4に配置された隣り合う溝部7間の幅a、bを、チップ部12(外周部)からハブ3(内周部)に向けて徐々に拡大させたもので、送風性能を劣化させることなく、より軽量化が図れる。
以上のように、本発明にかかる送風機羽根車は、風量性能及び低騒音化を確保しながら、安定した生産が可能で、さらに軽量化を図ることができるもので、空気調和機、送風機、空気清浄機など、送風機羽根車を用いる各種機器に適用できる。
参考例1における送風機羽根車の斜視図 同送風機羽根車の平面図 図2のC−C断面図 参考例2における送風機羽根車の斜視図 同送風機羽根車の平面図 本発明の実施の形態における送風機羽根車の斜視図 同送風機羽根車の平面図 本発明の実施の形態における送風機羽根車の平面図 本発明の実施の形態における送風機羽根車の斜視図 同送風機羽根車の平面図 本発明の実施の形態における送風機羽根車のブレードの断面図(断面部は、図2のC−Cと同じ) 本発明の実施の形態における送風機羽根車のブレードの断面図(断面部は、図2のD−D) 本発明の実施の形態における送風機羽根車のブレードの断面図(断面部は、図2のE−E) 本発明の実施の形態における送風機羽根車のブレードの平面図 本発明の実施の形態における送風機羽根車の平面図 従来の送風機羽根車の斜視図 同送風機羽根車のブレードの平面図 図17のA−A断面図 図17のB−B断面図
符号の説明
2 送風機羽根車(羽根車)
3 ハブ部
4 ブレード
5 前縁部
6 後縁
7、7a、7b 溝部
8 凸部

Claims (9)

  1. ハブ部と、前記ハブ部の周囲に放射状に延設した翼型の複数枚のブレードからなり、前記ブレードの前縁形状を確保して、前記ブレードの表面における風の流れに沿うように複数の溝部を設け、前記溝部間に形成される凸部の先端の表面形状を、翼型の表面形状とし、前記複数の溝部、等流量分割線またはブレードの回転中心の同心円に沿って形成するものであって、ブレードの回転中心の同心円に沿った溝部を、前記ブレードのチップ部の近傍に配置して、等流量分割線に沿った溝部を、ハブ部の近傍に配置したことを特徴とする送風機羽根車。
  2. ブレードのチップ部(外周ライン)を、前記ブレードの回転中心の同心円より外側に突出させて凸形状としたことを特徴とする請求項1に記載の送風機羽根車。
  3. ブレードの前縁のチップ部(外周ライン)に、略三角形の補助翼を配置することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の送風機羽根車。
  4. ブレードを2枚以上設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の送風機羽根車。
  5. ブレードの圧力面及び負圧面の両面に溝部を設け、前記負圧面側の溝部を前記圧力面側のそれより大きく設定したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の送風機羽根車。
  6. ブレードの最大肉厚部を、前縁部から弦長の30%以下の位置になるように設定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の送風機羽根車。
  7. ブレードのそり高さ位置を、前縁部から弦長の60%以上になるようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の送風機羽根車。
  8. 溝部の幅を、前縁部から後縁に向けて徐々に拡大させたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の送風機羽根車。
  9. 隣り合う溝部間の幅を、ブレードのチップ部からハブ部側に向けて徐々に拡大させたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の送風機羽根車。
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