JP4904777B2 - フィルム巻き取り用の圧接ローラ、フィルムの巻取装置およびフィルムロール体の製造方法 - Google Patents
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Description
1.0×10 −6 ≦Sum((A×d)/(π×D 2 ×L))≦1.0×10 −4 (8)
ここで、A:任意の1個の前記凹部の表面積
D:前記ローラ外周面の直径
L:前記ローラの有効面長
d:前記凹部が形成されているローラ外周面上の仮想的な円周線から直線Wまでの垂線の長さ={D−√(D 2 ―W 2 )}/2
W:ローラ外周面上の前記凹部の回転方向における長さ
を表す。また、Sum()は前記ローラの有効外周面内における、すべての前記凹部についての総和を表す。
また、前記各凹部は、ローラ回転軸方向に連続または不連続に延在する形状を有するものであることを特徴とするローラも好ましい。
ここで、A:任意の1個の前記凹部の表面積
l:当該凹部の主軸の長さ
θ:前記ローラの回転軸に垂直な軸と前記主軸とが成す角度
D:前記ローラ外周面の直径
L:前記ローラの有効面長
を表す。また、Sum()は前記ローラの有効外周面内における、すべての前記凹部についての総和を表す。
まず、本発明において、ローラ外周面には上記式(1)を満足する凹部が形成される。ここで上記式(1)について詳細に説明する。図2はローラ外周面に任意の形状の凹部が形成されたローラの概略正面図である。図2において、ローラ5外周面6上に設けられた任意の1個の凹部に対して、前記凹部の表面積をA、当該凹部の主軸の長さをl、前記ローラの回転方向と前記主軸とが成す角度をθ、前記ローラ外周面の直径をD、前記ローラの有効面長をLと定義する。ここで、凹部の表面積とは、上記ローラを平面に展開した外周面における凹部の開口部の面積をいい、ローラ回転方向とは、前記平面に展開した外周面の回転軸方向に直交する軸をいう。また、主軸とは、前記平面に展開した外周面における凹部の重心を通る軸のうち、前記凹部を形成する輪郭線上の任意の点から前記軸に下ろした垂線の中で最長となる線の長さが、最も短くなる時の軸をいい、主軸の長さlとは、前記軸と前記輪郭線とが交差する点のうち最も離れた2点を結ぶ線の長さをいう。また、凹部の形状が正多角形または円形の場合、角度θは90°とする。また、θの角度単位はdegであり、0〜90°の範囲で表す。また、ローラ外周面の直径Dについては、ローラ回転軸方向の有効面長Lにわたり、最大の値をいう。また、有効面長Lは、ローラの外周面において、ローラの目的に応じた使用形態で使用したときに対象物と接触する可能性のあるローラ軸方向における最大長さをいう。上記式(1)は、ローラがフィルムロール体等の対象物に接触して回転したとき、ローラ外周面に形成された凹部がローラの回転軸方向に作用する成分の総和をローラ外周面の表面積(凹部を含む)で除した値であり、この値が350mmより小さくなるようにローラ外周面に凹部を形成することが好ましい。
ここで、P i はSum((A×d)/(π×D 2 ×L i ))を表し、L i は、前記各領域における前記ローラの有効面長を表す。また、Sum()は前記ローラの有効外周面内におけるi番目の前記各領域における前記凹部についての総和を表す。また、Aはその領域内での前記凹部の表面積を表す。
また、上記式(3)の意味するところは、ローラ回転軸方向における空気噛み込み量を概略均一に分布させるということであり、これにより、ローラ外周面に形成する凹部の空気噛み込みパラメータPについて、ローラ回転軸方向に均一にせしめることができる。つまりローラ回転軸方向におけるPの値のばらつきを20%以内とすることで、実質的にフィルムロール体層間の空気噛み込み量は均一となる。もちろん、ばらつきは小さいほど良い。
ここで、P i (i=1,2,・・・10)は空気噛み込みパラメータであり、Sum((A×d)/(π×D 2 ×L i ))を表す。L i (i=1,2,・・・10)=L/10は、前記各領域の中でローラ回転方向の両端部の領域P 1 、P 10 を除いた領域の前記ローラの有効面長を表す。また、Sum()は前記ローラの有効外周面内におけるi番目の前記各領域における前記凹部についての総和を表す。
また、上記式(4)の意味するところは、ローラ回転軸方向において両端部を除く領域において、空気噛み込み量に強い相関を持つ式(4)の値を1.0×10−8以上1.0×10−2以下に制御することで、実質的に適正な空気噛み込み量を得ることができることを示している。
上記式(2)(5)(6)における凹部の開口幅Wについてさらに詳細に説明する。まず、ローラの回転軸に対し垂直な平面で切断したときの凹部断面は、ローラ表面の材質や加工方法によって、多くは図4(A)〜(C)のいずれかのような断面形状となる。また、凹部の角は機械加工やサンドペーパ等により面取りや丸め加工を施す場合がある。いずれの形状の場合でも、凹部の開口幅Wは、上記断面において、凹部が形成されていない場合における仮想的な円周線9’から現実の凹部表面が0.05mm以上ローラの径方向に後退した点を境界とし、凹部の両側の境界点の周の直線距離により定義される。なお、凹部の表面積を定める際の開口部の内外の境界も同様に定める。
ここでlogはe=2.71828…を底とする自然対数である。なお、式(5)(6)(7)における角度単位はradとする。
図9に示したスリッタを用いてフィルムをスリットし、本発明のフィルムの巻き取り用圧接ローラをスリッタ32の圧接ローラ37として性能を評価した結果について説明する。フィルムは厚み50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用い、幅1500mmとなるようにスリットし、巻取速度を200m/分、巻長を6000mとしてガラス繊維強化樹脂製のコアにフィルムロール体として巻き取った。巻取条件は、いずれも圧接ローラをフィルムロール体に押し付ける圧力を200N/m、フィルムに付与する張力を300N/mとした。また、圧接ローラの外径Dを150mm、有効面長を1750mm、表面材料を硬度が50°のクロロプレンとしたものを使用した。圧接ローラの形態としては図6に示す形状であり、個数(条数)は45個であり、θを90°、凹部の回転方向の幅Wは2mm、凹部の深さは0.5mmであった。また、フィルムとの静摩擦係数は0.3であった。
[参考例1]
個数を20個、θを88°、Wを1.8mmにした以外は実施例1と全く同じ圧接ローラを用いて実施例1と同様の方法で圧接ローラの評価を行った。結果を表1の中に記載した。
[参考例2]
個数を60個、θを85°、Wを2.5mmにした以外は実施例1と全く同じ圧接ローラを用いて実施例1と同様の方法で圧接ローラの評価を行った。結果を表1の中に記載した。
[参考例3]
個数を30個、θを60°、Wを2.3mmにした以外は実施例1と全く同じ圧接ローラを用いて実施例1と同様の方法で圧接ローラの評価を行った。結果を表1の中に記載した。
[実施例5]
個数を75個、Wを3mmにした以外は実施例1と全く同じ圧接ローラを用いて実施例1と同様の方法で圧接ローラの評価を行った。結果を表1の中に記載した。
[実施例6]
Dを80mm、個数を60個にした以外は実施例1と全く同じ圧接ローラを用いて実施例1と同様の方法で圧接ローラの評価を行った。結果を表1の中に記載した。
[参考例4]
圧接ローラの形態としては、図7に示す形状とし、θを90°、回転方向の幅Wが6mm、回転軸方向の長さを100mmとした凹部を286個形成し、千鳥状に配置した。その他は実施例1と全く同じ圧接ローラを用いて実施例1と同様の方法で圧接ローラの評価を行う。予想される結果は表1の中に記載したとおり実施例1と同じかそれ以上のものである。
[参考例5]
圧接ローラの形態としては、図8に示す形状とし、回転方向の幅Wが2mmとなる円形の凹部を45765個形成し、千鳥状に配置した。θは90°とする。その他は実施例1と全く同じ圧接ローラを用いて実施例1と同様の方法で圧接ローラの評価をう。予想される結果は表1の中に記載したとおり実施例1と同じかそれ以上のものである。
[比較例1]
ローラ外周に溝を形成しない以外は実施例1と全く同じ圧接ローラを用いて実施例1と同様の方法で圧接ローラの評価を行った。結果を表2の中に記載した。
[比較例2]
ローラ外周の溝形状が螺旋状である図1の形態の圧接ローラを用いて、条数を1、θを1.5°、回転方向の幅Wが76.4mmとなるように溝を形成した以外は実施例1と全く同じ圧接ローラを用いて実施例1と同様の方法で圧接ローラの評価を行った。結果を表2の中に記載した。
[比較例3]
個数を100、θを60°、回転方向の幅Wが2.3mmとなるように溝を形成した以外は実施例1と全く同じ圧接ローラを用いて実施例1と同様の方法で圧接ローラの評価を行った。結果を表2の中に記載した。
[比較例4]
Dを80mm、個数を60、θを75°、回転方向の幅Wが2.1mmとなるように溝を形成した以外は実施例1と全く同じ圧接ローラを用いて実施例1と同様の方法で圧接ローラの評価を行った。結果を表2の中に記載した。
2 ローラ外周面
3 溝
4 芯金
5 圧接ローラ
6 ローラ外周面
7 凹部
8 芯金
9 ローラ外周面
9′ 仮想外周面
10 錘
11 プラスチックフィルム
12 荷重計
13 圧接ローラ
14 ローラ外周面
15 凹部
16 芯金
17 圧接ローラ
18 ローラ外周面
19 長穴状凹部
20 芯金
21 圧接ローラ
22 ローラ外周面
23 円形状凹部
24 芯金
25 プラスチックフィルム
26 口金
27 冷却ドラム
28 延伸装置
29 搬送ローラ
30 ワインダ
31 フィルムロール中間製品
32 スリッタ
33 搬送ローラ
34 カッター
35 フィルムロール
36 圧接ローラ
37 圧接ローラ
38 スリッタ
39 搬送ローラ
40 受け刃ローラ
41 カッター
42 フィルムロール
43 圧接ローラ
A 任意の1個の凹部の表面積
l 凹部の主軸長さ
θ ローラ回転軸に垂直な軸と主軸との成す角度
D ローラ外径
W ローラ回転方向における凹部の幅
d 仮想外周面から直線Wまでの垂線の距離
a 凹部を形成する点
b 凹部を形成する他点
δ フィルムの圧接ローラへの巻き付け角度
Claims (5)
- 外周面に複数の凹部が形成されたローラであって、前記各凹部は、ローラ回転軸方向に連続に延在する形状を有するものであり、かつ前記各凹部が式(8)を満足することを特徴とするフィルム巻き取り用の圧接ローラ。
1.0×10 −6 ≦Sum((A×d)/(π×D 2 ×L))≦1.0×10 −4 (8)
ここで、A:任意の1個の前記凹部の表面積
D:前記ローラ外周面の直径
L:前記ローラの有効面長
d:前記凹部が形成されているローラ外周面上の仮想的な円周線から直線Wまでの垂線の長さ={D−√(D 2 ―W 2 )}/2
W:ローラ外周面上の前記凹部の回転方向における長さ
を表す。また、Sum()は前記ローラの有効外周面内における、すべての前記凹部についての総和を表す。 - 請求項1に記載のフィルム巻き取り用の圧接ローラであって、前記各凹部が式(5)を満足することを特徴とするフィルム巻き取り用の圧接ローラ。
0.998×sin−1(W/D)≦W/D≦0.999999×sin−1(W/D) (5) - フィルムを巻き取る巻取コアを回転可能に保持するチャックと、前記チャックを回転駆動する駆動設備と、前記チャックに保持された巻取コアに対して付勢された回転可能な圧接ローラとを備えたフィルムの巻取装置であって、前記圧接ローラとして請求項1または2に記載のフィルム巻き取り用の圧接ローラを備えたことを特徴とするフィルムの巻取装置。
- 前記巻取コアを2本以上備え、前記圧接ローラ1本に対して前記巻取コアの2本以上を圧接するよう構成されたことを特徴とする請求項3に記載のフィルムの巻取装置。
- 請求項3または4に記載のフィルムの巻取装置を用いて、フィルムを巻取コアに巻き取ることを特徴とするフィルムロール体の製造方法。
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