JP4903100B2 - 導波管形電力合成分配器およびそれを用いたアレーアンテナ装置 - Google Patents
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Description
図8は従来の導波管形電力合成分配器に適用されるショートスロット形の導波管形の方向性結合器(たとえば、非特許文献1参照)の構成を示す3面図(平面図および側面図)である。
方形状の結合孔63は、方形導波管61、62の向かい合う面を結合している。
ショートスロット形の導波管形の方向性結合器64は、方形導波管61、62と、結合孔63と、入出力端子(第1および第2の入力端子P1、P4、ならびに、第1および第2の出力端子P2、P3)とにより構成されている。
いま、ある周波数帯の電波が、方形導波管基本モード(方形導波管TE10モード)として、第1の入力端子P1から入力されたとすると、この入射電波は、方形導波管61を伝播し、結合孔63により結ばれている方形導波管61、62の区間に入る。
このとき、上記2つのモードの電界は、第1の入力端子P1側では相加され、第2の入力端子P4側では相殺されるように分布するので、第2の入力端子P4側へ逃げる電力は、非常に少ない。
また、この場合、ミリ波帯用アレーアンテナ装置の給電回路部では、導波管径が小さくなるので、加工誤差の影響を受けやすくなり、所望の使用帯域おいて良好な分配特性を得ることが困難になるという課題があった。
また、加工誤差による性能劣化を軽減させた導波管形電力合成分配器を得ることを目的とする。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係る導波管形電力合成分配器の構成を示す3面図(平面図および側面図)である。また、図2は単一溝形の円形導波管の円偏波発生器を示す平面図および側面図であり、図1の導波管形電力合成分配器における動作原理を説明するための図である。
また、方形導波管1、2および結合孔3は、それぞれ、前述(図8参照)の方形導波管61、62および結合孔63に対応している。
方形状の結合孔3は、方形導波管1、2の向かい合う面を結合している。また、円柱状の整合素子4は、方形導波管1、2および結合孔3内に設けられている。
第1の半円形導波管6は、方向性結合器5の方形導波管1に接続されており、水平方向の側面に溝が設けられている。この結果、溝の隣接部には突部6aが形成されている。
第2の円形導波管7は、方向性結合器5の方形導波管2に接続されており、天頂方向の側面に溝が設けられて突部7aが形成されるとともに、第1の半円形導波管6と同じ直径および管軸長を有する。
第2の方形導波管9は、第2の半円形導波管7に接続されており、方形導波管1と同じ開口径を有するとともに、第1の方形導波管8と同じ管軸長を有している。
方向性結合器5は、第1および第2の入出力端子P1〜P4を有し、第1および第2の方形導波管8、9は、出力端子P5、P6を有している。
また、第2の半円形導波管は、第2の出力端子に接続され、第2の方形導波管9は、第2の半円形導波管7に接続されている。
また、第2の半円形導波管7は、第1の半円形導波管6と同じ直径および管軸長を有するとともに、天頂方向の側面に溝が設けられて突部7aが形成されている。第2の方形導波管9は、第2の出力端子P3と同じ開口径を有するとともに、第1の方形導波管8と同じ管軸長を有する。
前述と同様に、ある周波数帯の電波が、方形導波管基本モード(方形導波管TE10モード)として、第1の入力端子P1から入力されたとすると、この入射電波は、方形導波管1を伝播し、結合孔3により結ばれている方形導波管1、2の区間に入る。
実際には、図1に示すように、広帯域にわたって所望の結合度と良好な反射特性を維持するために、整合素子4が設けられる。
これにより、第1および第2の方形導波管8、9の出力端子P5、P6から出力される電波の位相を同相にすることができる。
また、各半円形導波管6、7の管軸長は、使用周波数帯の中心周波数における各半円形導波管6、7の管内波長の約1/2に設定されている。これにより、反射特性の劣化を防止することができる。
以下、側溝11の中心(図2内の破線参照)を通る平面に対して、45度傾いた直線偏波を成す円形導波管の基本モード(TE11モード)の電波が、入力端子P7から入力された場合について説明する。
方向性結合器5は、互いの幅の狭い面が向かい合うように並べられるとともに、互いの管軸が平行となるように並べられた方形導波管1、2と、方形導波管1、2の向かい合う面を結ぶ方形状の結合孔3と、方形導波管1、2および結合孔3内に設けられた円柱状の整合素子4と、から構成されている。
また、良好な反射特性と、優れた低損失性と、高いアイソレーション特性とを、同時に実現することができる。
さらに、第1の出力端子P2側に付く第1の方形導波管8の物理長と、第2の出力端子P3側に付く第2の方形導波管9の物理長と、を揃えて設計することができるので、アレーアンテナ装置の給電回路部に用いる場合には、給電回路全体の設計および形状が簡素になり、給電回路の低コスト化および小形化を実現することができる。
なお、上記実施の形態1(図1)では、方向性結合器5の第1および第2の出力端子P2、P3に、第1および第2の半円形導波管6、7を接続したが、図3のように、第3および第4の方形導波管26、27を接続してもよい。
図3はこの発明の実施の形態2に係る導波管形電力合成分配器の構成を示す3面図(平面図および側面図)である。また、図4は溝形正方形導波管の円偏波発生器を示す平面図および側面図であり、図3の導波管形電力合成分配器における動作原理を説明するための図である。
第4の方形導波管27に接続された第2の方形導波管29は、方向性結合器5の方形導波管2(第2の出力端子P3)と同じ開口径を有するとともに、第1の方形導波管28と同じ管軸長を有する。
第3の方形導波管26は、自身の管内波長相当の管軸長を有するとともに、水平方向の側面に溝(突部26a)が設けられ、第4の方形導波管27は、第3の方形導波管26と同じ直径および管軸長を有するとともに、天頂方向の側面に溝(突部27a)が設けられている。
図4は溝形正方形導波管の円偏波発生器の構成を示す平面図および側面図である。
図4において、溝形正方形導波管の円偏波発生器は、正方形導波管30と、正方形導波管30の側面に設けられた側溝31と、正方形導波管30の入出力端子P7、P8とを備えている。
また、この発明の実施の形態2に係る導波管形電力合成分配器によれば、位相補正回路(第3および第4の方形導波管26、27)を方形導波管で構成することができるので、前述の実施の形態1の場合と比較して、加工が容易となる。
なお、上記実施の形態1、2(図1、3)では、位相補正回路として、溝付きの導波管6、7、26、27を用いたが、図5に示すように、複数のアイリス40a、41aを有する第1および第2の方形導波管40、41を用いてもよい。
第1の方形導波管40は、たとえば前述(図3)の第3および第1の方形導波管26、28に対応する。
また、第2の方形導波管41は、たとえば前述(図3)の第4および第2の方形導波管27、29に対応する。
第1および第2の方形導波管40、41は、出力端子P5、P6を有する。
また、第2の方形導波管41は、第1の方形導波管40と同じ開口径および管軸長を有するとともに、水平方向の側面に周期的に並設され、かつ中央部が両端部よりも長い形状を有する複数のアイリス41aが設けられている。
いま、ある周波数帯の電波が、方形導波管基本モード(方形導波管TE10モード)として、第1の入力端子P1から入力されたとすると、この入射電波は、方向性結合器5の方形導波管1を伝播し、結合孔3により結ばれている方形導波管1、2の区間に入る。
結合孔3により結ばれている区間は、幅の広い(方形導波管1の約2倍の幅を有する)方形導波管となっているので、TE10モードとTE20モードとが励振される。
また、TE10モードおよびTE20モードは、上記幅の広い方形導波管区間を伝送するが、その際、位相速度の違いから相互に干渉を起こす。たとえば、2つのモードが90度位相差になると、第1および第2の出力端子P2、P3に等しい電力が伝送されて、方向性結合器として動作することになる。実際には、広帯域にわたって、所望の結合度と良好な反射特性を維持するために、整合素子4が設けられる。
これにより、出力端子P5、P6から出力される電波の位相は同相となる。なお、第1および第2の方形導波管40、41は、同一でコルゲート形の正方形導波管の円偏波発生器を、水平面および垂直面で各々半割りした構造を有している。
ここで、左右対称面(図6内の縦方向の破線参照)に対して、45度傾いた直線偏波を成す電波が、入力端子P7から入力された場合、アイリス43の影響により、左右対称面(破線)に対して、水平な偏波成分と垂直な偏波成分との間で通過位相差が生じる。このとき、アイリス43の寸法諸元が適切に設計されていれば、出力端子P8から出力される基本モードの電波は、所望の周波数帯において円偏波となる。
また、良好な反射特性と、優れた低損失性と、高いアイソレーション特性と、を同時に実現することができる。
なお、上記実施の形態1〜3では、アレーアンテナ装置の構成について言及しなかったが、図7に示すように、複数の導波管形電力合成分配器47を用いてアレーアンテナ給電回路48とし、アレーアンテナ装置を構成してもよい。
図7はこの発明の実施の形態4に係るアレーアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。
アレーアンテナ給電回路48は、入力端子P9を有し、複数の高周波モジュール(複数の移相器45および複数の増幅器46)を介して、複数の素子アンテナ44に接続されている。
入力端子P9は、ラダー接続された複数の導波管形電力合成分配器47のうちの、最上段側の導波管形電力合成分配器47に接続されている。
複数の導波管形電力合成分配器47は、複数の高周波モジュールに電力を分配するか、または、複数の高周波モジュールから出力される電力を合成する。
したがって、アレーアンテナ給電回路48の広帯域化、高性能化、小形化および低コスト化を実現することができる。
Claims (7)
- 開口径の等しい方形導波管からなり第1および第2の入力端子と第1および第2の出力端子とを有するとともに、前記第1の入力端子から入力された信号を前記第1および第2の出力端子から出力する導波管形の方向性結合器と、
前記第1の出力端子に接続された第1の半円形導波管と、
前記第1の半円形導波管に接続された第1の方形導波管と、
前記第2の出力端子に接続された第2の半円形導波管と、
前記第2の半円形導波管に接続された第2の方形導波管とを備え
前記第1の半円形導波管は、水平方向の側面に溝が設けられ、
前記第1の方形導波管は、前記第1の出力端子と同じ開口径を有し、
前記第2の半円形導波管は、前記第1の半円形導波管と同じ直径および管軸長を有するとともに、天頂方向の側面に溝が設けられ、
前記第2の方形導波管は、前記第2の出力端子と同じ開口径を有するとともに、前記第1の方形導波管と同じ管軸長を有することを特徴とする導波管形電力合成分配器。 - 前記方向性結合器は、
平行に並べられ、かつ同じ開口径を有する2つの方形導波管と、
前記2つの方形導波管の間を結び、かつ、前記2つの方形導波管の管軸長の約1/4の管軸長を有する複数の方形分岐導波管群と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の導波管形電力合成分配器。 - 前記方向性結合器は、
平行に並べられ、かつ同じ開口径を有する2つの方形導波管と、
前記2つの方形導波管の間を結ぶ1つの方形結合孔と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の導波管形電力合成分配器。 - 前記方向性結合器は、
平行に並べられ、かつ同じ開口径を有する2つの方形導波管と、
前記2つの方形導波管の間を結ぶ複数の円形結合孔群または方形結合孔群と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の導波管形電力合成分配器。 - 前記方向性結合器は、
ある角度で立体的に交差するよう並べられ、かつ同じ開口径を有する2つの方形導波管と、
前記2つの方形導波管の間を結ぶ1つの円形結合孔と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の導波管形電力合成分配器。 - 前記方向性結合器は、
90度の角度で立体的に交差するよう並べられ、かつ同じ開口径を有する2つの方形導波管と、
前記2つの方形導波管の間を結ぶ1つまたは2つの十字形結合孔と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の導波管形電力合成分配器。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の導波管形電力合成分配器を複数個用いたアレーアンテナ装置であって、
複数の素子アンテナと、
前記複数の素子アンテナに接続された複数の高周波モジュールとを備え、
前記複数の高周波モジュールは、移相器または増幅器により構成され、
前記複数の導波管形電力合成分配器は、前記複数の高周波モジュールに電力を分配するか、または、前記複数の高周波モジュールから出力される電力を合成することを特徴とするアレーアンテナ装置。
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