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JP4900598B2 - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電解コンデンサおよびその製造方法に関し、特に陽極箔とこれに対向する陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子内に電解質を含浸した電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
図9は従来の電解コンデンサの断面正面図であり、図10は従来の電解コンデンサを構成するコンデンサ素子の分解斜視図である(たとえば特許文献1参照)。
コンデンサ素子101は、図10に示すように、リードタブ端子106を介して陽極リード線7が取り付けられた陽極箔102と、別のリードタブ端子106を介して陰極リード線8が取り付けられた陰極箔103とを、セパレータ紙104を介して円筒状に巻回し、外周の巻止めテープ105により巻き止めることにより形成される。そして、こうしたコンデンサ素子101内に電解質を形成させ、図9に示すように、有底筒状のアルミニウム製のケース109に収納して、ケース109の開口端部を封口部材である封止用ゴム130で封止することによって従来の電解コンデンサが作製される。なお、封止用ゴム130には、陽極リード107および陰極リード108にそれぞれ接続されたリードタブ端子106を引き出すための貫通孔130aが形成されている。また、封止用ゴム130は、ケース109の開口端部に横絞り加工とカール加工を施すことにより固定されている。
特開平8−153654号公報
一般に電解コンデンサの信頼性劣化の抑制にはその封止状態の維持が重要である。しかしながら、上記構成の従来の電解コンデンサでは、高温環境下で放置した場合、封口部材である封止用ゴム130が収縮して、封止用ゴム130とリードタブ端子106との界面や、封止用ゴム130とケース109との界面に隙間ができて外部から水分などがコンデンサ素子101の内部に浸入したりすることがある。また、封止用ゴム130自体が裂化して、その裂け目を介して水分などが透過し、コンデンサ素子101の内部に水分などが浸入することがある。このように封止用ゴム130の封止性が損なわれコンデンサ素子101の内部に水分などが浸入すると、電解質が劣化し、静電容量の減少などの電気特性の低下を招くことになり、電解コンデンサの信頼性が劣化する。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐熱性に優れ、封口部材の封止性の劣化を抑制することが可能な電解コンデンサおよびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る電解コンデンサは、リードタブ端子を介して金属製のリード線と接続されているコンデンサ素子を収納する金属製のケースの開口端部に封口部材を装着して封止する電解コンデンサにおいて、封口部材は、少なくとも2つの貫通孔を有するベース板と、2つの貫通孔を有する弾性体からなる絶縁部材を有し、ベース板の貫通孔には、絶縁部材が挿入され、該絶縁部材の貫通孔には、リードタブ端子が接続され、絶縁部材とベース板の接触部周辺にくぼみ部が形成され、ベース板の少なくとも一方の面には、溝状の凹部が設けられ、ベース板の周縁部は、ケースの開口端部と共にケースに対して外側に巻き締め加工されていることを特徴とする。
本発明によれば、耐熱性に優れ、封口部材の封止性の劣化を抑制することが可能な電解コンデンサおよびその製造方法が提供される。
以下、本発明を具現化した実施形態について図面に基づいて説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る封口部材を備えた電解コンデンサの構成を示す概略断面図であり、図2は同電解コンデンサを構成するコンデンサ素子の分解斜視図である。図3は封口部材を構成するベース板の概略平面図であり、図4は封口部材を構成する絶縁部材の概略斜視図である。なお、図1〜図4におけるすべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
第1実施形態の電解コンデンサでは、コンデンサ素子1として、図2に示すように、誘電体皮膜(図示せず)を形成した陽極箔2とこれに対向する陰極箔3とをセパレータ紙4を介して巻回したものを採用している。陽極箔2にはリードタブ端子6を介して陽極リード線7が引き出され、陰極箔3には別のリードタブ端子6を介して陰極リード線8が引き出されている。そして、図1に示すように、こうしたコンデンサ素子1内に電解質を形成し、このコンデンサ素子1を有底筒状の金属製のケース9に収納し、このケース9の開口端部に封口部材を装着している。
封口部材は、貫通孔10aを有する金属製のベース板10と、この貫通孔10aに挿入された絶縁部材11と、を有して構成されている。そして、この封口部材には、貫通孔10a内の絶縁部材11を貫通して金属製のリードタブ端子6が設けられている。ベース板10の周縁部はケース9の開口端部と共に該ケース9の外側方向に巻き締めされている。また、絶縁部材11には、ベース板10により締め付けられて、ベース板10との接触部に沿って側壁がくぼんだ領域11cが形成されている。
具体的な電解コンデンサの構成は以下の通りである。
陽極箔2には、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用を有する金属からなる箔
が採用され、箔表面の粗面化のためのエッチング処理および箔表面への誘電体皮膜形成のための化成処理が施されている。そして、陽極箔2の上縁に金属製のリードタブ端子6を介して陽極リード線7が接続されている。
陰極箔3としては、陽極箔2と同じ弁作用を有する金属からなる箔が採用される。そして、陰極箔3には、金属製のリードタブ端子6を介して陰極リード線8が接続されている。
コンデンサ素子1は、陽極箔2と、これに対向する陰極箔3とを絶縁体などからなるセパレータ紙4を介して円筒状に巻回し、外周の巻止めテープ5により巻き止めることにより構成される。
電解質としては、無機酸、有機酸またはこれらの塩を含む電解液や、固体電解質を用いることができる。固体電解質は、具体的には二酸化マンガンや、TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)錯塩、導電性高分子などがあるが、導電性が良好な導電性高分子、特にチオフェンまたはその誘導体からなる導電性高分子であることが望ましい。上記から選ばれる電解質を含浸、塗布などの周知の方法でコンデンサ素子1内に形成させる。
金属製のケース9には、通常、成形加工が容易なアルミニウム板などで有底筒状に形成されたアルミニウム製のケースが採用される。前記ケース9内にコンデンサ素子1を収納固定し、封口部材をこのケース9の開口端部に装着して封止している。なお、金属製のケース9として、アルミニウム以外に、ステンレス、銅、鉄、真鍮などの金属からなるケースを採用してもよいし、あるいはこれらの合金からなるケースを採用してもよい。
ベース板10の材料は、特に限定されるものではないが、加工のしやすさの面から、ケース9と同じアルミニウム製のベース板であることが好ましい。ベース板10が絶縁材料からなる場合、絶縁部材11は必ずとも必要としないが、後に述べるように封止性の向上のためには、備えられていることが好ましい。
ベース板10には、貫通孔10aが所定の位置に、且つ、所定の間隔で形成されている。また、図3に示すように、ベース板10の内面側(コンデンサ素子1側)となる面には、それぞれの貫通孔10aにつながる凹部10bが形成されていることが好ましい。こうした凹部10bは、各貫通孔10aを中心にして十文字状に配置され、詳細は製造方法の項目で説明するが、製造過程で変形して潰れた状態となっている。該凹部10bの形状は、ここでは十文字形にしたが、その形状は、下記に述べる巻き締め時にベース板10の周縁から中心方向に向かって均等に力が加わるように設けられていること、及び2つの貫通孔10a間の距離が実質的に変わらないことを前提として、種々の応用が可能である。たとえば、凹部10bとして、図8(A)のような貫通孔10aとベース板10の周縁を直線で結ぶような凹みの形状だけでなく、図8(B)並びに(C)のような曲線状や同心円状の凹みを含む形状としてもよい。
また、ベース板10の貫通孔10aの数は、2つ以上であればよく、その数および径については特に限定されない。たとえば、リードタブ端子6を挿入する2つの貫通孔10aの他に幾つかの貫通孔10aを設け、該貫通孔10aにポッチを形成し、座板を設けなくても自立する形状をしていてもよい。
こうしたベース板10の周縁部はケース9の開口端部と共に巻き締めされ、図1に示すような巻き締め部12を構成し、ケース9の開口端部を封止している。絶縁部材11を備えている場合、貫通孔10aの径の縮小に伴い、図1に示すように前記絶縁部材11はく
ぼんだ領域11cを形成する。これにより、絶縁部材11がない時に比べ、コンデンサ素子1の封止性が向上する。また、この巻き締めの際には、ケース9の開口部が内径方向に狭くなるようにケース9の開口端部近傍に対して横絞りが施され、巻き締めによる貫通孔10aの径の縮小を増強している。なお、ベース板10の凹部10bは、外面側に形成してもよく、あるいは内面側と外面側の両方に形成してもよい。
絶縁部材11には、弾性体、なかでも耐熱性や密封性の比較的高い材料である、シリコンゴム(SR)、フッ素ゴム(FR)、エチレンプロピレンゴム(EPT)、ハイパイロンゴム(CSM)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)などの絶縁ゴムが用いられる。絶縁部材11は、図4に示すように、ベース板10の貫通孔10aに対応する位置(2箇所)に所定の突出部(リードタブ端子6を挿入するための貫通孔11aを有する突出部)11bが設けられた状態に成形されている。そして、こうした絶縁部材11の各貫通孔11aにはリードタブ端子6が挿入され、この絶縁部材11の突出部11bは内面側(コンデンサ素子1側)からベース板10の貫通孔10aに挿入されている。また、図1に示すように、絶縁部材11には、ベース板10により締め付けられて、ベース板10との接触部に沿って側壁が環状にくぼんだ領域11cが形成されている。また、ベース板10に取り付けられた絶縁部材11はベース板10の内面側(コンデンサ素子1側)になる面全体を被覆して設置されている。
なお、コンデンサ素子1は本発明の「コンデンサ素子」、リードタブ端子6は本発明の「リードタブ端子」、陽極リード線7および陰極リード線8は本発明の「金属製のリード線」、ケース9は本発明の「ケース」、封口部材は本発明の「封口部材」、ベース板10は本発明の「ベース板」、貫通孔10aは本発明の「ベース板の貫通孔」、絶縁部材11は本発明の「絶縁部材」、貫通孔11aは本発明の「絶縁部材の貫通孔」、及びくぼんだ領域11cは本発明の「くぼみ部」の一例である。
(製造方法)
次に、図1に示す本発明の第1実施形態に係る電解コンデンサの製造方法について説明する。
(工程1)粗面化のためのエッチング処理および誘電体皮膜形成のための化成処理を施した弁作用金属からなる箔を陽極箔2とし、この陽極箔2に対向する陰極箔3とをセパレータ紙4を介して円筒状に巻き取ったコンデンサ素子1を形成する(素子形成工程:ステップ1)。陽極箔2および陰極箔3にはそれぞれリードタブ端子6を介して陽極リード線7および陰極リード線8を取り付けている。なお、コンデンサ素子1には、陽極箔2の端面に誘電体皮膜を形成するとともに、陽極箔2の巻回時に剥離した誘電体皮膜を再形成するために、切り口化成と熱処理を施し、陽極箔2の誘電体皮膜を強化している。
(工程2)導電性高分子となる単量体と酸化剤を混合した化学重合液を用意する。そして、コンデンサ素子1をこの化学重合液に浸漬した後、熱処理を施すことによりコンデンサ素子1の内部に導電性高分子層を電解質として形成する(素子形成工程:ステップ2)。
(工程3)貫通孔10aを有するアルミニウム製のベース板10を用意する。この貫通孔10aには、図5に示すように、ベース板10の内面側(コンデンサ素子1側)となる面にそれぞれの貫通孔10aにつながる凹部10bを形成している。こうした凹部10bは各貫通孔10aを中心にして十文字状に配置している。次に、先の図4に示したように、ベース板10の貫通孔10aに対応する位置に所定の突出部(リードタブ端子6を挿入するための貫通孔11aを有する突出部)11bが設けられた絶縁部材11を用意する。そして、この絶縁部材11の貫通孔11aに対してコンデンサ素子1側となる面の方向か
らリードタブ端子6を挿入する(封止工程の絶縁部材挿入工程)。その後、リードタブ端子6が挿入された絶縁部材11の突出部11bをベース板10の貫通孔10aに挿入する(封止工程のベース板挿入工程)。このようにして、コンデンサ素子1に本発明の封口部材を取り付ける。
(工程4)有底筒状に形成されたアルミニウム製のケース9を用意する。そして、このケース9内にコンデンサ素子1を収納し固定する(収納工程)。
(工程5)ケース9の開口端部にベース板10を配置し、ケース9の開口部が内径方向に狭くなるようにケース9の開口端部近傍に対して横絞りしながら、ベース板10の周縁部とケース9の開口端部とを巻き締めする(封止工程の巻き締め工程)。これにより巻き締め部12が形成される。この際、横絞りと巻き締め時の物理的応力により金属製のベース板10が収縮し、凹部10bが変形して潰れるため、ベース板10は図5に示した状態から図3に示した状態に変化する。これに伴い、ベース板10の貫通孔10aの径が縮小し、この貫通孔10aに挿入された絶縁部材11が締め付けられることになる。この締め付けにより絶縁部材11にはベース板10との接触部に沿って側壁が環状にくぼんだ領域11cが形成される。このようにして、封口部材によりコンデンサ素子1をケース9内に封止する。
以上の工程を経て、第1実施形態に係る封口部材を備えた電解コンデンサが製造される。
(第2実施形態)
図6は本発明の第2実施形態に係る封口部材を備えた電解コンデンサの構成を示す概略断面図である。図7は封口部材を構成する絶縁部材の概略斜視図である。第1実施形態と異なる箇所は、封口部材を構成する絶縁部材21をベース板10の貫通孔10aに対応してそれぞれ設けたことである。それ以外については第1実施形態と同様である。
第2実施形態の電解コンデンサでは、図6に示すように、封口部材は、2箇所に貫通孔10aを有する金属製のベース板10と、貫通孔10aごとに対応して挿入された絶縁部材21と、貫通孔10aごとに絶縁部材21を介して挿入された金属製のリードタブ端子6と、を有して構成されている。そして、ベース板10の周縁部はケース9の開口端部と巻き締めされて巻き締め部12が形成され、各絶縁部材21には、ベース板10により締め付けられて、ベース板10との接触部に沿って側壁が環状にくぼんだ領域21cが形成されている。
具体的には、絶縁部材21は先の絶縁部材11と同様の絶縁ゴムが採用される。絶縁部材21は、図7に示すように、ベース板10の貫通孔10aに挿入される突出部(リードタブ端子6を挿入するための貫通孔21aを有する突出部)21bが設けられた状態に成形されている。そして、それぞれの絶縁部材21の貫通孔21aにはリードタブ端子6が挿入され、こうした絶縁部材21の突出部21bはコンデンサ素子1側からベース板10の貫通孔10aに挿入されている。また、各絶縁部材21には、ベース板10により締め付けられて、ベース板10との接触部に沿って側壁が環状にくぼんだ領域21cが形成されている。また、第2実施形態では、絶縁部材21はベース板10のコンデンサ素子1側を部分的に被覆して形成されている。なお、絶縁部材21は本発明の「絶縁部材」、貫通孔21aは本発明の「絶縁部材の貫通孔」、及びくぼんだ領域21cは本発明の「くぼみ部」の一例である。
また、こうした第2実施形態に係る封口部材を備えた電解コンデンサは、封口部材を構成する絶縁部材21を採用することにより、第1実施形態と同様の製造方法(工程1〜工程5)を経て容易に製造することができる。
以下の実施例では、上述の実施形態に対応した電解コンデンサを作製し、特性評価を行った。また、比較例では、従来の封口部材を備える電解コンデンサを作製し、特性評価を行った。
(実施例1)
実施例1では、第1実施形態に対応した電解コンデンサとして、上述の各工程(工程1〜工程5)を経て電解コンデンサAを作製した。
(工程1A)粗面化のためのエッチング処理および誘電体皮膜形成のための化成処理(印加電圧5V)を施したアルミニウム箔を陽極箔2とし、この陽極箔2に対向する陰極箔3とをセパレータ紙4を介して円筒状に巻き取ってコンデンサ素子1を形成する。陽極箔2および陰極箔3にはそれぞれリードタブ端子6を介して陽極リード線7および陰極リード線8が取り付けている。その後、コンデンサ素子1には切り口化成処理と260℃の熱処理を施す。
(工程2A)3,4−エチレンジオキシチオフェンの単量体と酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸第ニ鉄ブチルアルコールとを適量ずつ混合した化学重合液を用意する。そして、コンデンサ素子1をこの化学重合液に浸漬した後、100℃よりやや高めの温度で熱処理することにより、コンデンサ素子1の両極電極箔間に3,4−エチレンジオキシチオフェンからなる導電性高分子層を電解質として形成する。
(工程3A)先の工程3で示したベース板として、肉厚が約200μm厚であり、純度99.0%のアルミニウム製のベース板10を用意する。ここで、ベース板10には、所定の2箇所に貫通孔10aを形成するとともに、ベース板10の内面側(コンデンサ素子1側)となる面にそれぞれの貫通孔10aにつながる凹部(幅:数百μmの、深さ:板厚の半分〜2/3程度)10bを十文字状に形成している。さらに、ベース板10の貫通孔10aに対応する位置に所定の突出部(リードタブ端子6を挿入するための貫通孔11aを有する突出部)11bが設けられたブチルゴムからなる絶縁部材11を用意する。そして、この絶縁部材11の突出部11bを内面側(コンデンサ素子1側)となる面の方向からベース板10の貫通孔10aに挿入する。その後、同じ方向から絶縁部材11の貫通孔11aに対してリードタブ端子6を挿入する。これにより、コンデンサ素子1に本発明の封口部材を取り付ける。
(工程4A)先の工程4で説明した有底筒状のケースとして、肉厚が約300μm厚であり、純度99.0%のアルミニウム製のケース9を用意する。そして、このケース9内にコンデンサ素子1を収納し固定する。
(工程5A)ケース9の開口端部にベース板10を配置し、ケース9の開口部が内径方向に狭くなるようにケース9の開口端部近傍に対して横絞りしながら、ベース板10の周縁部とケース9の開口端部とを二重巻き締めする。これにより、巻き締め部12を形成するとともに、ベース板10との接触部に沿って絶縁部材11の側壁がくぼんだ領域11cを形成する。このようにして、本発明の封口部材によりコンデンサ素子1をケース9内に封止する。
以上のようにして、実施例1における電解コンデンサAが作製される。
(実施例2)
実施例2では、第2実施形態に対応した電解コンデンサとして、工程3Aにおける一体的な絶縁部材11に代えて、貫通孔10aに対して個別の絶縁部材21を採用した点を除いて実施例1と同じ条件および方法で電解コンデンサBを作製した。
(比較例)
比較例では、封口部材として、図8に示した従来の封止用ゴム130を採用し、ケース9の開口部端に横絞り加工とカール加工を施すことにより封止固定した点を除いて実施例1と同じ条件および方法で電解コンデンサXを作製した。
(評価)
各電解コンデンサについて静電容量(C)および等価直列抵抗(ESR)を評価した。静電容量は各電解コンデンサに対して120Hzの交流定格電圧を印加して測定し、等価直列抵抗は各電解コンデンサに対して100kHzの交流定格電圧を印加して測定した。また、各評価は、初期状態(高温負荷試験前)と、高温負荷試験として電解コンデンサを150℃に保持した恒温槽中で3000時間経過した後に行った。
表1に静電容量および等価直列抵抗の評価結果を示す。なお、各特性値は試料数各30個についての平均である。
静電容量変化率および等価直列抵抗変化率は、高温負荷試験前後での各特性値を用いて、以下の式(1)および式(2)により算出される。
静電容量変化率(%)=(高温負荷試験前後での静電容量差ΔC/高温負荷試験前の静電容量C)×100 ・・・(1)
等価直列抵抗変化率(倍)=(高温負荷試験後の等価直列抵抗/高温負荷試験前の等価直列抵抗) ・・・(2)
Figure 0004900598
表1に示すように、実施例1(電解コンデンサA)および実施例2(電解コンデンサB)においては、従来例(電解コンデンサX)に比べて、高温負荷試験による静電容量や等価直列抵抗の変化(劣化)が小さく抑制されている。これは、本発明の封口構造により電解コンデンサの封止性の劣化が防止され、コンデンサ素子内部への水分などの浸入を阻止できているためと推察される。
また、実施例1(電解コンデンサA)においては、実施例2(電解コンデンサB)に比べて、高温負荷試験による静電容量の劣化がさらに小さく抑制されている。これは、封口部材におけるベース板のコンデンサ素子側になる面全体を絶縁部材で被覆したことで、高温負荷試験時の熱負荷によるベース板の変形が生じにくくなり、ベース板と絶縁部材との間での密着性の劣化が抑制されたためと推察される。
上述の実施形態の電解コンデンサおよびその製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態に係る電解コンデンサの封口構造によれば、従来の絶縁部材(封止用ゴム)のみによる封口構造に比べ、封口部材に占める絶縁部材の割合が減少するので、絶縁部材の変質劣化や収縮に起因する大気中からの水分などの透過や、絶縁部材とケースとの接触部からの水分などの浸入が低減され、電解コンデンサの封止性の劣化を抑制することができる。
(2)ベース板10により締め付けられ、ベース板10との接触部に沿って形成されたくぼんだ領域11c(くぼんだ領域21c)により、ベース板10と絶縁部材11(絶縁部材21)との間での位置ずれが生じにくくなり、ベース板10と絶縁部材11(絶縁部材21)との間の密着性が向上する。このため、封口部材の封止性が改善され、熱負荷による電解コンデンサの信頼性劣化を抑制することができる。
(3)封口部材の金属製のベース板10とケース9との接合を巻き締め構造(巻き締め部12)としたことで、従来の絶縁部材(封止用ゴム)のみによる封口構造に比べ、絶縁部材11(絶縁部材21)とケース9との接触部からの水分などの浸入が低減され、電解コンデンサの封止性の劣化を抑制することができる。
(4)本実施形態に係る電解コンデンサでは、熱負荷によりコンデンサ素子1に含浸させた電解液に起因してガスが発生して内圧が上昇することがあるため、本実施形態の封口構造による封止性劣化の抑制効果をさらに効果的に享受することができる。
(5)封口部材におけるベース板10のコンデンサ素子1側となる面を絶縁部材11(絶縁部材21)でさらに被覆したことで、熱負荷によりコンデンサ素子1から発生するガスにより内圧が高まり、その内圧によりベース板10の貫通孔10aから絶縁部材11(絶縁部材21)が外側に飛び出すことが抑制される。この結果、電解コンデンサの耐熱信頼性を向上させることができる。
(6)第1実施形態(たとえば、実施例1)のように、封口部材におけるベース板10のコンデンサ素子1側になる面全体を絶縁部材11で被覆したことで、封口部材の強度が高まり、熱負荷が加わる場合にコンデンサ素子1から発生するガスにより内圧が高まりベース板10が変形することが抑止される。また、使用環境下での断続的な熱負荷によってベース板10が膨張・収縮を繰り返すことも抑制される。このため、ベース板10と絶縁部材11との間での密着性の低下が抑制され、電解コンデンサの封止性劣化をさらに抑制することができる。
(7)本実施形態の製造方法によれば、上記(1)〜(6)に記載のような好適な電解コンデンサを製造することができる。
(8)本実施形態の製造方法によれば、ベース板10の周縁部とケース9の開口端部とを巻き締めすることにより貫通孔10aの径を縮小させて封止するようにしたことで、ベース板10により貫通孔10aに挿入された絶縁部材11(絶縁部材21)が締め付けられ、ベース板10と絶縁部材11(絶縁部材21)との間や、絶縁部材11(絶縁部材21)とリードタブ端子6との間の密着性を向上させることができる。このため、封口部材の封止性劣化が抑制された電解コンデンサを提供することができる。
(9)ベース板10の周縁部とケース9の開口端部とを巻き締めにより封止したことで、従来の絶縁部材(封止用ゴム)のみを用いて封止する場合に比べて、少なくともケース9と封口部材との間の密着性が向上し、封止性劣化がさらに抑制された電解コンデンサを製造することができる。
(10)ベース板10の周縁部とケース9の開口端部とを巻き締めにより封止したこと
で、従来の溶接法を用いて封止する場合に比べて、接合材料の組み合わせを考慮する必要がなくなり、封止性劣化が抑制された電解コンデンサを低コストで製造することができる。
(11)本実施形態の電解コンデンサでは、熱負荷によりコンデンサ素子1に含浸させた電解質に起因してガスが発生して内圧が上昇することがあるため、本製造方法によれば、封止性劣化の抑制効果をより効果的に享受することができる電解コンデンサを製造することができる。
(12)本実施形態の製造方法によれば、ベース板10の凹部10bを変形させつつ行う巻き締め時の物理的応力により、ベース板10の凹部10bとつながる貫通孔10aの径が縮小するので、ベース板10によりこの貫通孔10aに挿入された絶縁部材11(絶縁部材21)が締め付けられる。この結果、ベース板10と絶縁部材11(絶縁部材21)との間や、絶縁部材11(絶縁部材21)とリードタブ端子6との間の密着性が向上するので、封口部材の封止性劣化が抑制された電解コンデンサを提供することができる。
(13)ベース板10に貫通孔10aにつながる凹部10bを設けたことで、巻き締めの際に貫通孔10aの縮小をより制御よく行うことができる。このため、封止性劣化が抑制された電解コンデンサを安定して製造することができる。
(14)横絞りを行いつつ巻き締めて巻き締め構造(巻き締め部12)を形成したことで、横絞りと巻き締め時の物理的応力により金属製のベース板10がさらに確実に収縮させることができる。この結果、上記(7)〜(13)の効果をより確実に享受することができ、封口部材の封止性劣化が抑制された電解コンデンサを安定して製造することができる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
上記第1実施形態では、封口部材におけるベース板のコンデンサ素子側になる面全体を絶縁部材で被覆した例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、絶縁部材をさらにケースに接するように設け、絶縁部材が接するケースの側面に横絞りを施して絶縁部材を固定するようにしてもよい。このようにすることで、絶縁部材によりその分封止性が向上するので、電解コンデンサ全体の封止性が向上した状態で、熱負荷による電解コンデンサの封止性劣化を抑制することができる。
上記実施形態では、絶縁部材として突出部を有する絶縁ゴムを採用した例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、チューブのような円筒状の絶縁ゴムを採用してもよい。この場合、上記(5)および(6)以外の効果を享受することができる。
上記実施形態では、必要に応じて、封口部材による封止後に、電解コンデンサの上部にプラスチック製の座板を取り付け、陽極リード線および陰極リード線を電極端子としてプレス加工・折り曲げを施してもよい。こうした場合にも上記効果を享受することができる。
上記実施形態では、ベース板に設ける凹部を、各貫通孔を中心にして十文字状に配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。十文字状に設けた凹部は貫通孔を全体的に縮小させるには単純で効果的であるが、図8に示したように、凹部は横絞りおよび巻き締めの際に貫通孔を縮小させるように配置されていればよい。
本発明の第1実施形態に係る電解コンデンサの構成を示す概略断面図。 本発明の第1実施形態に係る電解コンデンサを構成するコンデンサ素子の分解斜視図。 第1実施形態の封口部材を構成するベース板の概略平面図。 第1実施形態の封口部材を構成する絶縁部材の概略斜視図。 第1実施形態の封口部材を構成するベース板の製造過程における概略平面図。 本発明の第2実施形態に係る電解コンデンサの構成を示す概略断面図。 第1実施形態の封口部材を構成する絶縁部材の概略斜視図。 (A)〜(C)本発明のベース板の凹部の形状例を示す図。 従来の電解コンデンサの構成を示す概略断面図。 従来の電解コンデンサを構成するコンデンサ素子の分解斜視図。
符号の説明
1 コンデンサ素子、2 陽極箔、3 陰極箔、4 セパレータ紙、5 巻止めテープ、6 リードタブ端子、7 陽極リード線、8 陰極リード線、9 ケース、10 ベース板、10a 貫通孔、10b 凹部、11絶縁部材、11a 貫通孔、11b 突出部、11c くぼんだ領域、12 巻き締め部。

Claims (1)

  1. リードタブ端子を介して金属製のリード線と接続されているコンデンサ素子を収納する金属製のケースの開口端部に封口部材を装着して封止する電解コンデンサにおいて、
    前記封口部材は、少なくとも2つの貫通孔を有するベース板と、2つの貫通孔を有する弾性体からなる絶縁部材を有し、
    前記ベース板の貫通孔には、前記絶縁部材が挿入され、該絶縁部材の貫通孔には、前記リードタブ端子が挿入され、
    前記絶縁部材と前記ベース板の接触部周辺にくぼみ部が形成され
    前記ベース板の少なくとも一方の面には、溝状の凹部が設けられ、
    前記ベース板の周縁部は、前記ケースの開口端部と共に前記ケースに対して外側に巻き締め加工されていることを特徴とする電解コンデンサ。
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