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JP4995383B2 - 高融点、高沸点ポリイソシアナト類の精製方法 - Google Patents

高融点、高沸点ポリイソシアナト類の精製方法 Download PDF

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忠信 小林
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Nippon Soda Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高沸点、高融点のポリイソシアナト類の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高融点、高沸点なポリイソシアナト類として、例えば 3、3’−ジメチルビフエニ−ル−4、4’−ジイソシアナトを例示することができるが、このものの製造は、モノクロルべンゼン、ジクロルベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素溶媒中、 3、3−ジメチル−4、4−ジアミノビフエ二−ル塩酸塩とホスゲンを反応させ、さらに減圧蒸留することによって製造されていた。このようなポリイソシアナト類は、その構造から、高温で分解ハルツ化しやすいことが知られており、したがって、高真空、低温下で蒸留精製操作が行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、大量スケールで蒸留精製を行う場合、真空度にも限界があり、なるべく低温で蒸留を行おうとすると蒸留精製に長時間を有し、かなりの残渣が残り、収率が低いという問題があった。更に、このものは高融点、高沸点で昇華性なので減圧蒸留中に真空系配管や塔内で固化閉塞したり、蒸留缶中で重合ハルツ化したりして安全、安定な操業が困難で、しかも好収率で得量することが極めて難しい問題があった。
本発明は高融点、高沸点な物質であるポリイソシアナト類を安全で、かつ安定して好収率で得られる精製方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、蒸留工程において、蒸留缶への加熱温度を低く抑えることより、多少高温でもすばやく蒸留することで長時間の熱虐待を抑えることの方が、分解を抑えて残渣を少なくするためには効果的であることを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)高融点、高沸点ポリイソシアナト類を、反応粗生成物から減圧蒸留によって精製する方法おいて、ポリイソシアナト類が分解しない温度範囲の高温で、かつ留分を損失なく留出させることのできる短時間で本留分を減圧蒸留することを特徴とする精製方法に関し、
(2)本留分を減圧蒸留する際、精留塔をポリイソシアナト類が分解しない温度範囲で加熱しながら蒸留することを特徴とする(1)に記載の精製方法、及び
(3)ポリイソシアナト類が、炭化水素基で置換されていてもよいビフェニル骨格上にイソシアナト基を有する化合物である(1)または(2)に記載の精製方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
【0007】
本発明の精製方法が適用されるポリイソシアナト類は、高沸点、高融点のポリイソシアナト類であれば特に制限されないが、融点が100℃以上、沸点が200℃以上であるポリイソシアナト類に適用するのが好ましく、さらに昇華性の化合物に好ましく適用することができる。
【0008】
このようなポリイソシアナト類として具体的には、炭化水素基で置換されていてもよいビフェニル骨格上にイソシアナト基を有する化合物を例示することができ、例えば、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアナト等を例示することができる。
【0009】
本発明の方法に使用される蒸留装置は特に限定されず、具体的には、精留塔、及び撹拌機、残渣抜き出し弁付き蒸留缶および留出ライン、溶媒補集用ブラインコンデンサ−、留分の受槽を2以上、蒸留槽ジャケットの油加熱器、高真空蒸留用ポンプ等の装置からなる。高沸点、高融点の化合物を蒸留するため、各装置を接続するラインは全て保温材等で保温するのが好ましい。各留分の受槽にはさらに水冷もしくはブライン冷却のトラップを設けるのが好ましい。また、精留塔には、高温でしかも短時間で損失なく留分を蒸発缶内から留出させるために、すばやく加熱できる装置を、例えば、油加熱用ジャケット及び加熱器を備えているものが好ましい。
真空ポンプは高真空用のものであれば特に限定されないが、ハックパックポンプといわれるワンス・スルー・オイル方式真空ポンプを好ましく用いることができる。また、溶媒留去用に、エゼクターポンプを併用するのが好ましい。
【0010】
蒸留操作として、まず、エゼクターポンプ等を用いて中程度の真空度、比較的低温で溶媒等の低沸点成分を留去した後、その後高真空ポンプに運転を切換え、高真空状態にするとともに、さらに高温に徐々に加熱し、冷却コンデンサーに連結されている初留受槽に溶媒の残りと別の低沸点成分を留去し、さらに必要に応じて、本留分が留出するまでの間の留分を別にとり、その後本留分を留去する。
【0011】
本留分を留去する際には、なるべく高真空状態を保ちながら、ポリイソシアナト類が分解しない温度範囲のなるべく上限の温度で、留分を損失なく留出させることのできる短時間で留出させるのが好ましい。このため、精留塔を、ポリイソシアナト類が分解しない温度範囲で、加熱しながら蒸留するのが好ましい。
具体的にポリイソシアナト類として、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアナトを800〜1000kg蒸留する場合において、本留分を蒸留缶温度190〜240℃、真空度0.1〜0.3kPaで、10時間程度で蒸留するのが好ましく、この際、精留塔を210〜230℃に加熱するのが好ましい。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0012】
【実施例】
実施例1
ポリイソシアナト類として、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアナト(TODI)を具体例にあげて蒸留操作を説明する。
TODIの製造方法として、具体的には、モノクロロベンゼン(MCB)中、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル塩酸塩(TODA塩酸塩)を加熱条件下、ホスゲンを反応させる方法を例示することができる。
反応終了後、MCBを約20〜30容量%含有するまで、反応液を濃縮した。あらかじめ蒸留缶、初留受槽、コンデンサ−をエゼクタ−ポンプで約12〜16kPaに減圧し、濃縮反応液を蒸留缶に減圧移送した。
【0013】
蒸発缶の油加熱器の設定温度を210℃にし、攪拌しながら、エゼクターポンプを用いて真空度を11kPaより徐々にあげて、3kPaまで吸引し、反応濃縮液中の残MCBを初留受槽に留出させる。真空度3kPa以上、蒸留缶温度110℃になった時点で、他の留分受槽も真空吸引を開始し、全系の真空度を1kPa以下にした。
【0014】
蒸留缶下温度が約150℃になった時点で、ハックパックポンプに運転を切換え、蒸留缶温度が195℃、真空度が、0.2kPaの時点で留出する留分を中留分として分取した。さらに、真空度を0.1kPaとし、5時間を要して240℃まで昇温させ、その際に留出する留分を本留分とした。本留分を分取する際、精留塔の加熱用ジャケットに油が通液され、約1時間で油が230℃まで昇温し、同温度に保ちながら蒸留を行った。TODAを基準として収率90%であり、残渣は、蒸留前の重量に対して3重量%であった。
【0015】
比較例1
本留分を分取する際、蒸留缶温度を195℃から昇温せずに蒸留を行ったところ、本留分の留出に15時間かかり、その後昇温しても残渣がかなり見られ、収率も83%と低下した。
【0016】
比較例2
本留分を分取する際、精留塔を加熱しない以外実施例1と同様に蒸留を行ったところ、蒸留に時間がかかり、本留分の留出に16.5時間かかり、 そのため、かなりの残渣が見られ、収率も80%と低下した。
【0017】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明の蒸留操作を行うことにより、ポリイソシアナト類の分解を防止し、蒸留残渣を少なくすることができ、収率を向上させることができる。ポリイソシアナト類は、ポリウレタンの有用な原料であることから、本発明の産業上の利用価値は高いといえる。

Claims (2)

  1. 温度190〜240℃の蒸留缶と、温度210〜230℃に加熱された精留塔とを用いて、
    3,3’−メチル−4,4’−ジイソサナトビフェニルを含有する反応粗生成物減圧蒸留して、3,3’−メチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニルを留出させることを特徴とする精製方法。
  2. 減圧蒸留における真空度が0.1〜0.3kPaである、請求項1に記載の精製方法。
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