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JP4994167B2 - 歯科麻酔用注射器 - Google Patents

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JP4994167B2
JP4994167B2 JP2007245340A JP2007245340A JP4994167B2 JP 4994167 B2 JP4994167 B2 JP 4994167B2 JP 2007245340 A JP2007245340 A JP 2007245340A JP 2007245340 A JP2007245340 A JP 2007245340A JP 4994167 B2 JP4994167 B2 JP 4994167B2
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Description

本発明は、歯肉等の注射部位に注射針を刺入して麻酔薬を注入するための歯科麻酔用注射器に関するものである。
従来、この種の歯科麻酔用注射器としては、特許文献1に記載されたものが知られている。
この特許文献1に係る注射器は、麻酔薬の注入当初は注入速度を増加させ、所定期間経過後は一定の注入速度となるように駆動モータを駆動する点を主な特徴としており、麻酔薬の注入速度を制御することで注入時の痛みを軽減させている。また、注射針の針先のブレを減少させる構造や、注入時にメロディ音を流すための回路を備えることにより、患者の苦痛や恐怖感を一層緩和するように配慮している。
特開2004−130005号公報(段落[0055]〜[0068]、図3,図8等)
ここで、発明者の鋭意研究によれば、患者が感じる痛みは、麻酔薬の注入速度だけでなく、注射部位への注射針の刺入速度や刺入距離、刺入圧力等も大きく影響している。
すなわち、現状では、歯科医師等の施療者が、その感覚や経験に基づいて注射針を適宜な速度や圧力で所定距離だけ歯肉に刺入して麻酔薬を注入しているが、施療者の技量によっては、注射針の刺入時に患者に多大な苦痛を与えてしまう場合があり、これらの苦痛をできるだけ緩和、軽減することが望まれていた。
そこで、本発明の解決課題は、注射針の刺入速度や刺入距離等を最適に制御可能として患者の苦痛や負担を最小限にとどめた歯科麻酔用注射器を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、注射部位に麻酔液を注入する注射針を、ハンドピースに備えてなる歯科麻酔用注射器において、
注射針を前記ハンドピースの先端部から前進、後退させる動力源としての駆動モータと、
注射部位への注射針の刺入速度を検出する速度検出手段と、
注射針の位置を検出する位置検出手段と、
注射針に加わる圧力を検出する圧力検出手段と、
前記速度検出手段により得た刺入速度検出値が刺入速度設定値に一致し、かつ、前記位置検出手段により得た位置検出値が注射針の移動距離設定値に対応するように、前記駆動モータを制御して注射針の刺入速度及び移動距離を制御する制御手段と、
を備えたものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載した歯科麻酔用注射器において、
前記速度検出手段が、前記駆動モータの回転速度を検出するエンコーダを備えたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載した歯科麻酔用注射器において、
前記位置検出手段が、前記ハンドピースに対する注射針の位置を可変抵抗により検出する位置センサを備えたことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載した歯科麻酔用注射器において、
前記制御手段は、圧力検出手段により検出した圧力が設定範囲を超えた場合に、前記駆動モータの回転を停止させることを特徴とする。
本発明によれば、注射針を注射部位に刺入する際の刺入速度や刺入距離を、予め設定した最適値に制御することができる。このため、施療者の感覚や経験、技量に左右されず、常に患者にとって痛みの少ない刺入速度や刺入距離のもとで麻酔薬を注射することが可能である。
また、刺入圧力が設定範囲を超えるような場合も患者の苦痛は著しいものであるが、この圧力異常を検出して刺入動作を直ちに停止することにより、苦痛を迅速に除去することができる。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1はこの実施形態に係る歯科麻酔用注射器の全体構成を示している。図1において、1は注射針や駆動モータ等が内蔵されたハンドピース、2は注射針の刺入速度や刺入距離等の設定値に基づいて前記駆動モータを制御すると共に、注射針に供給する麻酔薬の供給動作を制御し、かつ、各種の表示、警報動作等を行うコントロールユニット、3は麻酔薬を注射針に供給するチューブ、4はハンドピース1とコントロールユニット2との間の配線コードが収容されたケーブル、5は麻酔薬入りのカートリッジを保持するカートリッジホルダである。
次に、図2(a),(b)の断面図及び図3の拡大断面図に基づいて、ハンドピース1の内部構造を説明する。ここで、図2(a)はハンドピース1の側面断面図、図2(b)は平面断面図、図3は図2(a)の主要部の拡大断面図である。
これらの図において、本体ケース101には駆動モータ102が内蔵されており、その駆動軸にはリードネジ103が固着されている。リードネジ103の軸方向端部には、ネジ部103aが同軸上に形成され、このネジ部103aの周囲にはナット104が螺着されている。
駆動モータ102のハウジング内部には、後述するように駆動モータ102の回転速度を検出するためのパルスエンコーダが設けられている。
ナット104は、側面から見てほぼH形に形成され、ハンドピース1の先端側の軸方向端部104には、凹部状の荷重センサ保持部104aが設けられている。
このナット104は、いわゆる送りネジ作用によって前記リードネジ103の回転運動を直線運動に変換するためのものであり、図2(b)に示すように、円筒状の本体スリーブ105の溝105aに配置される回り止めネジ106を荷重センサ保持部104aにネジ止めすることで、ナット104の回転が阻止されている。
荷重センサ保持部104aの底部には、荷重センサ107が配置されている。107aは荷重センサ107のリード線である。ここで、荷重センサ107は、周知のように歪みゲージを有するロードセル等によって構成されている。
ナット104及び荷重センサ107と同軸上に、有底円筒状のスライドシャフト108が配置されており、その底部フランジ108aの端面は、詳しくは図3に示す如く、荷重センサ107の歪みゲージからなる受圧部107bを圧接している。
また、図2(b)に示すように、底部フランジ108aは、荷重センサ保持部104aに対して、回り止めピン109により回転不能に保持されている。
スライドシャフト108の外周面には円筒状のボールガイド110が装着されており、スライドシャフト108及びボールガイド110は、止めバネ111,112により軸方向の移動距離が規制されている。なお、113はボールガイド110の外周面を包囲するボールガイドホルダであり、その軸方向両端部の内周面には前記止めバネ111,112が配置されている。
114は、スライドシャフト108を包囲するように、ボールガイドホルダ113の軸方向ほぼ前半部に装着された円筒状のシャフトスリーブである。
図2(a)に示すように、本体スリーブ105の外周面の一部には、操作スイッチ116及び動作表示ランプ117が配置されている。
また、図2(b)に示す如く、荷重センサ保持部104aの外周面には、位置センサ115が一体的に連結されている。この位置センサ115については、図7を参照しつつ後述するが、可動ピン端子115a(図7参照)が荷重センサ保持部104aに連結されて一体的に移動するものであり、荷重センサ保持部104aの位置に応じた抵抗値(電圧値)を可動ピン端子115aから検出可能な可変抵抗を構成している。すなわち、位置センサ115は、ハンドピース1の本体ケース101に対する荷重センサ保持部104aの軸方向に沿った位置、言い換えれば、注射針120の軸方向に沿った位置を検出するためのものである。
スライドシャフト108の先端部には注射針ホルダ118が固着されており、この注射針ホルダ118の中心軸上には、チューブホルダ119を介して注射針120が保持されている。なお、チューブホルダ119の後端部には麻酔薬を供給するチューブ3が取り付けられていると共に、チューブホルダ119の前端部には注射針120が取り付けられており、麻酔薬がチューブ3からチューブホルダ119の内部を介して注射針120の中心軸孔に供給されるようになっている。
注射針ホルダ118はシャフトスリーブ114の内部において、スライドシャフト108に連動して軸方向に移動可能であり、シャフトスリーブ114の先端部の外周面には、リップガード121が圧入されている。
このリップガード121は、シャフトスリーブ114の先端部に対して軸方向に若干移動可能であると共に、軸を中心として回動可能であり、前後方向の位置と斜めにカットされた先端縁121aの向きを調整できるようになっている。これにより、注射針120の長さのバラツキや歯肉の接触面に応じてリップガード121の最適な位置や向きを得ることができる。
ここで、図4はリップガード121の外観図である。リップガード121の先端部外周面には、3本の線(円弧)からなる位置合わせ用スケール121bが刻印されている。このスケール121bは、先端縁121aから突出する注射針120の先端を例えば3本の線のうち中央の線に合わせることにより、注射針120の原点位置を位置決めするためのものである。
なお、図5は使用状態における主要部の説明図であり、リップガード121の先端縁121aが歯肉T1の側面に接触するように当てがって使用される。
ハンドピース1は以上のように構成されており、駆動モータ102を回転させるとリードネジ103が回転し、その回転運動がナット104によって軸方向の直線運動に変換される。ナット104、荷重センサ107及びスライドシャフト108は軸方向に一体的に連結されているので、ナット104の直線運動はスライドシャフト108に伝達される。
また、スライドシャフト108、注射針ホルダ118、チューブホルダ119及び注射針120も一体的に連結されているため、注射針120はスライドシャフト108の動きに合わせて軸方向に前進、後退することになる。
駆動モータ102は、印加電圧の極性を逆にすれば逆回転するようになっており、駆動モータ102の正転時に注射針120が図2の左方向へ移動するとすれば、駆動モータ102の逆転時には、ナット104が正転時とは逆方向に移動するので、注射針120は図2の右方向へ移動する。
すなわち、注射針120を歯肉T1に刺入して麻酔薬を注入する際には、駆動モータ102を正転させれば注射針120がリップガード121の先端縁121aから突出して歯肉T1内に刺入され、この状態で麻酔液を注入した後は、駆動モータ102を逆転させれば注射針120を先端縁121aの内側に後退させることができる。
なお、図6は注射針120の移動状態を示している。この実施形態において、注射針120の先端がリップガード121の先端縁121aにある位置を原点位置(図6の中段の位置)とすると、注射針120の先端がリップガード121の内部にある状態から、注射針120の先端が原点位置に達するまでの移動距離(いわゆる助走距離)を例えば0〜2mm程度に設定し、注射針120の先端が原点位置から移動(突出)する距離(いわゆる刺入距離)を最大5mm程度に設定可能としている。
次に、図7は本実施形態の全体構成を示すブロック図である。
図において、コントロールユニット2内のユニット本体208は、1チップマイコン201を備えている。このマイコン201には、ヒューズ202及び電源スイッチ203を介してスイッチング電源204が接続されている。
上記マイコン201には、ハンドピース1内の駆動モータ102を制御するためのモータ制御部206と、駆動モータ102に設けられたパルスエンコーダ102Aの出力信号を処理して駆動モータ102の回転速度、すなわち注射針120の移動速度を検出するための速度検出部205と、荷重センサ107の出力信号を増幅する荷重アンプ207とが接続されている。また、前述した位置センサ115もマイコン201に接続されている。
更に、マイコン201には、ハンドピース1側の動作表示ランプ117が接続されていると共に、麻酔薬をチューブ3を介して注射針120に供給するためのポンプ、カートリッジ等を含む麻酔薬供給部209が接続されている。
なお、図において、6はフットスイッチ、210は自動操作・手動操作の切換スイッチ、211はパイロットランプ、212は動作表示ランプである。切換スイッチ210は、注射針120の刺入速度の制御を後述の如く自動的に行うか、あるいは従来のように人為的に行うか等を切り換えるためのスイッチである。
上記マイコン201は、周知のようにCPU、メモリ、入出力インターフェース等を1チップ上に実装してなるものであり、荷重センサ107、位置センサ115等の出力信号に基づいて駆動モータ102の速度制御や麻酔薬供給部209の駆動制御等を行うプログラムや、麻酔薬の注入圧力及び注入量、注射針120の刺入圧力等を表示するための表示プログラム、麻酔薬の注入圧力や注射針120の刺入圧力が設定範囲を超えた場合に警報を発するための警報プログラム、更に、システム全体の動作を制御するためのプログラムに従って動作するように構成されている。
なお、マイコン201には、注射針120の移動距離(前述した図6における助走距離と刺入距離との和)、刺入速度、麻酔薬の注入速度、注入量等を設定可能である。また、上記助走距離及び刺入距離、並びに刺入速度は、予め設定された複数の値から選択したり、任意の値に設定することが可能となっている。
麻酔薬の注入速度については、例えば低速、中速、高速の3段階で設定可能であるが、この注入速度の制御方法は本発明の要旨ではないため、説明を省略する。
一方、ハンドピース1内の各構成要素には前記同様の番号を付してあるが、パルスエンコーダ102Aは、駆動モータ102の回転速度、すなわち注射針120の移動速度を検出するために回転速度に比例した数のパルス信号を発生するように構成されている。パルスエンコーダ102Aの端子a,bはパルス出力端子、c,dは電源端子である。
位置センサ115は、前述のように軸方向に沿って移動する荷重センサ保持部104aの位置を検出するものであり、端子e,fは電圧印加端子、端子gは位置検出信号出力端子である。
具体的には、荷重センサ保持部104aの外周面に固着された可動ピン端子115aが荷重センサ保持部104aと一体的に移動することにより、端子e,g間と端子g,f間の抵抗値の比を変化させて端子gの電圧を変化させる。この電圧を検出することで、ハンドピース1の本体ケース101に対する荷重センサ保持部104a、つまり注射針120の位置を検出するものである。
また、荷重センサ107は、前記受圧部107bとしての歪みゲージを一辺に備えたブリッジを構成しており、端子h,iは電圧印加端子、j,kは荷重検出信号出力端子である。上記荷重センサ107によれば、受圧部107bに加わる荷重に比例した電圧が出力端子j,kから出力される。
図8は、コントロールユニット2(ユニット本体208)の主要部を示す機能ブロック図であり、主としてマイコン201の機能のうち本発明に関連する部分を抜き出して示したものである。
図8において、速度・距離制御部221には、速度検出部205の出力信号、位置センサ115による注射針120の位置検出値、刺入速度設定値、注射針120の移動距離(助走距離と刺入距離との和)設定値、並びに、後述する刺入圧力検出部222からの異常停止信号が入力されている。この速度・距離制御部221は、速度検出部205から出力される速度検出値が刺入速度設定値に一致し、かつ、注射針120の位置検出値が移動距離設定値に対応して決まる注射針120の位置設定値に一致するように、モータ制御部206に対する制御指令を生成して出力する。また、上記異常停止信号に応じて駆動モータ102を停止させるような異常停止指令を生成して出力する。
モータ制御部206は、これらの入力信号に基づいて駆動モータ102の駆動(正逆転)及び停止を制御する。
刺入圧力検出部222には、荷重アンプ207の出力信号が入力されており、この出力信号に基づいて歯肉T1に対する注射針120の刺入圧力を検出するように構成されている。検出された刺入圧力は、表示・警報出力部223を介してディジタル表示器等に表示される。また、刺入圧力検出値が設定値を超えた場合には、前述した異常停止信号を生成して速度・距離制御部221に出力すると共に、表示・警報出力部223を介して図7の動作表示ランプ117,212を点滅させたり、警報用の間欠音を発生させるように構成されている。
なお、この実施形態では、麻酔薬の注入速度や速度変化のモード(パターン)を複数段階に設定可能であり、また、注入圧力表示や注入圧力異常表示、警報等が可能であるが、これらを実現するための制御手段等については説明を省略する。
次いで、本実施形態に係る注射器の使用方法について、順次説明する。
電源の投入後に、麻酔薬の注入速度、注入量等を設定し、次に注射針120の移動距離(助走距離及び刺入距離)、刺入速度をコントロールユニット2側で前記速度・距離制御部221に設定する。
その後、ハンドピース1のチューブホルダ119にチューブ3をセットすると共に、リップガード121を外して注射針120をセットする。
更に、リップガード121を回動または前後に移動させてその位置を調整する。その際、前述した位置合わせ用スケール121bを用いて、注射針120の先端を原点位置に合わせる。
そして、麻酔薬カートリッジを装填したカートリッジホルダ5をコントロールユニット2に取り付ける。
次に、コントロールユニット2に設けられたエア抜きスイッチ(図示せず)をオンして麻酔薬供給部209を動作させ、麻酔薬をチューブ3内に送ってチューブ3及び注射針120内のエアを抜く。この時、注射針120の中心軸孔は小径であり、その先端まで達した麻酔薬には表面張力が働くので、麻酔薬がこぼれ落ちるおそれはない。
また、エア抜きを終了したらモータ制御部206により駆動モータ2を逆転させ、注射針120の先端を原点位置から助走距離だけ後退させて待機する。
これにより、注射施療を行うための準備作業が終了することになる。
実際に注射施療を行う場合には、リップガード121の向きを調整し、注射部位である歯肉T1に当てがう。
この状態でハンドピース1の操作スイッチ116をオンし、麻酔薬を、麻酔薬供給部209からチューブ3を介して注射針120に供給する。この麻酔薬の供給開始と同時にモータ制御部206から駆動モータ102へ正転指令が送られるので、駆動モータ102が正転してリードネジ103、ナット104、スライドシャフト108等を介し注射針120が直線移動を開始する。
このとき、速度検出部205による速度検出値が刺入速度設定値に一致するように駆動モータ102を速度制御することにより、注射針120は、刺入速度設定値に従って移動することになる。従って、刺入速度設定値を適切な値に設定することにより、患者にとって苦痛の少ない速度による注射針120の刺入が可能になる。
注射針120は、前述したように助走距離を移動し、その後、連続して刺入距離を移動することにより、歯肉T1に刺入される。
ここで、図9は、注射針120の移動距離に応じた荷重センサ107の出力信号を麻酔薬供給期間と共に示した図であり、注射針120が助走距離の移動を開始した時点以後、麻酔薬が注射針120に供給される。このため、注射針120が歯肉T1に刺入されていない助走期間も麻酔薬が供給されることになるが、前述の如く注射針120の中心軸孔は小径であるため表面張力がはたらき、また、助走距離自体がごく短いため、麻酔薬がこぼれ落ちるおそれはない。
注射針120は刺入距離を移動しながら歯肉T1に麻酔薬を注入していくが、この間、図9に示す如く、荷重センサ107には歯肉T1からの反力(荷重)が注射針120、スライドシャフト108等を介して加わるので、この反力が刺入圧力として刺入圧力検出部222により検出される。
検出した刺入圧力が設定範囲を超えた場合(例えば、注射針120の移動距離設定値や刺入した部位が不適切であって、注射針120の先端が歯の根元に当たったような場合)には、刺入圧力検出部222からの異常停止信号により速度・距離制御部221を介して駆動モータ102の回転を停止し、同時に、表示・警報出力部223の動作により異常表示、警報を行う。
この間、位置センサ115によって注射針120の位置が検出されており、その位置(移動距離)が移動距離設定値に対応する値に達した時点で速度・距離制御部221が駆動モータ102の回転を停止させ、注射針120の移動を停止させる。また、表示・警報出力部223の動作により、注射針120が停止したことを音声等により施療者に知らせる。
なお、注射針120の停止後も、麻酔薬は継続的に注入されている。
そして、カートリッジ内の麻酔薬の全量を注入したら、これを適宜な手段により検出して麻酔薬供給部209の動作を停止する。同時に、表示・警報出力部223の動作により、麻酔薬の全量を注入したことを音声等により施療者に知らせる。
次に、注射針120を歯肉T1から静かに抜き取ることにより、ハンドピース1を注射部位から外す。ここで、駆動モータ102を逆転させて注射針120を歯肉T1から抜き取っても良い。
その後、駆動モータ102の正逆転を制御して注射針120を図6の原点位置に戻す。この原点位置への復帰動作は、図示されていない原点復帰スイッチをオンしてモータ制御部206を制御することにより実行される。
以上のように本実施形態によれば、注射針120の刺入速度や刺入距離を、患者にとって痛みの少ない最適値に予め設定しておけば、施療者の感覚や経験、技量に左右されることなく、注射針120の刺入速度や刺入距離を常に上記最適値に制御しながら麻酔薬を注射することができる。
なお、この実施形態では、ハンドピース1を軽量にして操作性を向上させるためにコントロールユニット2やカートリッジホルダ5を別個に形成しているが、コントロールユニット2やカートリッジホルダ5の軽量化、小型化が可能であれば、これらの両方あるいは一方を一体的に備えたハンドピースを形成しても良い。
本発明の実施形態の全体構成を示す外観図である。 図1におけるハンドピースの内部構造を示す断面図である。 図2(a)の主要部の拡大図である。 リップガードの外観図である。 使用状態における主要部の説明図である。 注射針の移動状態を示す図である。 実施形態の全体構成を示すブロック図である。 図7におけるコントロールユニットの主要部を示す機能ブロック図である。 注射針の移動距離に応じた荷重センサ出力信号の説明図である。
符号の説明
1:ハンドピース
2:コントロールユニット
3:チューブ
4:ケーブル
5:カートリッジホルダ
6:フットスイッチ
101:本体ケース
102:駆動モータ
102A:パルスエンコーダ
103:リードネジ
103a:ネジ部
104:ナット
104a:荷重センサ保持部
105:本体スリーブ
105a:溝
106:回り止めネジ
107:荷重センサ
107a:リード線
107b:受圧部
108:スライドシャフト
108a:底部フランジ
109:回り止めピン
110:ボールガイド
111,112:止めバネ
113:ボールガイドホルダ
114:シャフトスリーブ
115:位置センサ
115a:可動ピン端子
116:操作スイッチ
117:動作表示ランプ
118:注射針ホルダ
119:チューブホルダ
120:注射針
121:リップガード
121a:先端縁
121b:位置合わせ用スケール
201:1チップマイコン
202:ヒューズ
203:電源スイッチ
204:スイッチング電源
205:速度検出部
206:モータ制御部
207:荷重アンプ
208:ユニット本体
209:麻酔薬供給部
210:切換スイッチ
211:パイロットランプ
212:動作表示ランプ
221:速度・距離制御部
222:刺入圧力検出部
223:表示・警報出力部
T1:歯肉

Claims (4)

  1. 注射部位に麻酔液を注入する注射針を、ハンドピースに備えてなる歯科麻酔用注射器において、
    注射針を前記ハンドピースの先端部から前進、後退させる動力源としての駆動モータと、
    注射部位への注射針の刺入速度を検出する速度検出手段と、
    注射針の位置を検出する位置検出手段と、
    注射針に加わる圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記速度検出手段により得た刺入速度検出値が刺入速度設定値に一致し、かつ、前記位置検出手段により得た位置検出値が注射針の移動距離設定値に対応するように、前記駆動モータを制御して注射針の刺入速度及び移動距離を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする歯科麻酔用注射器。
  2. 請求項1に記載した歯科麻酔用注射器において、
    前記速度検出手段は、
    前記駆動モータの回転速度を検出するエンコーダを備えたことを特徴とする歯科麻酔用注射器。
  3. 請求項1または2に記載した歯科麻酔用注射器において、
    前記位置検出手段は、前記ハンドピースに対する注射針の位置を可変抵抗により検出する位置センサを備えたことを特徴とする歯科麻酔用注射器。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載した歯科麻酔用注射器において、
    前記制御手段は、前記圧力検出手段により検出した圧力が設定範囲を超えた場合に、前記駆動モータの回転を停止させることを特徴とする歯科麻酔用注射器。
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