JP4994167B2 - 歯科麻酔用注射器 - Google Patents
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Description
この特許文献1に係る注射器は、麻酔薬の注入当初は注入速度を増加させ、所定期間経過後は一定の注入速度となるように駆動モータを駆動する点を主な特徴としており、麻酔薬の注入速度を制御することで注入時の痛みを軽減させている。また、注射針の針先のブレを減少させる構造や、注入時にメロディ音を流すための回路を備えることにより、患者の苦痛や恐怖感を一層緩和するように配慮している。
すなわち、現状では、歯科医師等の施療者が、その感覚や経験に基づいて注射針を適宜な速度や圧力で所定距離だけ歯肉に刺入して麻酔薬を注入しているが、施療者の技量によっては、注射針の刺入時に患者に多大な苦痛を与えてしまう場合があり、これらの苦痛をできるだけ緩和、軽減することが望まれていた。
注射針を前記ハンドピースの先端部から前進、後退させる動力源としての駆動モータと、
注射部位への注射針の刺入速度を検出する速度検出手段と、
注射針の位置を検出する位置検出手段と、
注射針に加わる圧力を検出する圧力検出手段と、
前記速度検出手段により得た刺入速度検出値が刺入速度設定値に一致し、かつ、前記位置検出手段により得た位置検出値が注射針の移動距離設定値に対応するように、前記駆動モータを制御して注射針の刺入速度及び移動距離を制御する制御手段と、
を備えたものである。
前記速度検出手段が、前記駆動モータの回転速度を検出するエンコーダを備えたことを特徴とする。
前記位置検出手段が、前記ハンドピースに対する注射針の位置を可変抵抗により検出する位置センサを備えたことを特徴とする。
前記制御手段は、圧力検出手段により検出した圧力が設定範囲を超えた場合に、前記駆動モータの回転を停止させることを特徴とする。
また、刺入圧力が設定範囲を超えるような場合も患者の苦痛は著しいものであるが、この圧力異常を検出して刺入動作を直ちに停止することにより、苦痛を迅速に除去することができる。
まず、図1はこの実施形態に係る歯科麻酔用注射器の全体構成を示している。図1において、1は注射針や駆動モータ等が内蔵されたハンドピース、2は注射針の刺入速度や刺入距離等の設定値に基づいて前記駆動モータを制御すると共に、注射針に供給する麻酔薬の供給動作を制御し、かつ、各種の表示、警報動作等を行うコントロールユニット、3は麻酔薬を注射針に供給するチューブ、4はハンドピース1とコントロールユニット2との間の配線コードが収容されたケーブル、5は麻酔薬入りのカートリッジを保持するカートリッジホルダである。
駆動モータ102のハウジング内部には、後述するように駆動モータ102の回転速度を検出するためのパルスエンコーダが設けられている。
このナット104は、いわゆる送りネジ作用によって前記リードネジ103の回転運動を直線運動に変換するためのものであり、図2(b)に示すように、円筒状の本体スリーブ105の溝105aに配置される回り止めネジ106を荷重センサ保持部104aにネジ止めすることで、ナット104の回転が阻止されている。
ナット104及び荷重センサ107と同軸上に、有底円筒状のスライドシャフト108が配置されており、その底部フランジ108aの端面は、詳しくは図3に示す如く、荷重センサ107の歪みゲージからなる受圧部107bを圧接している。
また、図2(b)に示すように、底部フランジ108aは、荷重センサ保持部104aに対して、回り止めピン109により回転不能に保持されている。
114は、スライドシャフト108を包囲するように、ボールガイドホルダ113の軸方向ほぼ前半部に装着された円筒状のシャフトスリーブである。
また、図2(b)に示す如く、荷重センサ保持部104aの外周面には、位置センサ115が一体的に連結されている。この位置センサ115については、図7を参照しつつ後述するが、可動ピン端子115a(図7参照)が荷重センサ保持部104aに連結されて一体的に移動するものであり、荷重センサ保持部104aの位置に応じた抵抗値(電圧値)を可動ピン端子115aから検出可能な可変抵抗を構成している。すなわち、位置センサ115は、ハンドピース1の本体ケース101に対する荷重センサ保持部104aの軸方向に沿った位置、言い換えれば、注射針120の軸方向に沿った位置を検出するためのものである。
このリップガード121は、シャフトスリーブ114の先端部に対して軸方向に若干移動可能であると共に、軸を中心として回動可能であり、前後方向の位置と斜めにカットされた先端縁121aの向きを調整できるようになっている。これにより、注射針120の長さのバラツキや歯肉の接触面に応じてリップガード121の最適な位置や向きを得ることができる。
なお、図5は使用状態における主要部の説明図であり、リップガード121の先端縁121aが歯肉T1の側面に接触するように当てがって使用される。
また、スライドシャフト108、注射針ホルダ118、チューブホルダ119及び注射針120も一体的に連結されているため、注射針120はスライドシャフト108の動きに合わせて軸方向に前進、後退することになる。
すなわち、注射針120を歯肉T1に刺入して麻酔薬を注入する際には、駆動モータ102を正転させれば注射針120がリップガード121の先端縁121aから突出して歯肉T1内に刺入され、この状態で麻酔液を注入した後は、駆動モータ102を逆転させれば注射針120を先端縁121aの内側に後退させることができる。
図において、コントロールユニット2内のユニット本体208は、1チップマイコン201を備えている。このマイコン201には、ヒューズ202及び電源スイッチ203を介してスイッチング電源204が接続されている。
更に、マイコン201には、ハンドピース1側の動作表示ランプ117が接続されていると共に、麻酔薬をチューブ3を介して注射針120に供給するためのポンプ、カートリッジ等を含む麻酔薬供給部209が接続されている。
麻酔薬の注入速度については、例えば低速、中速、高速の3段階で設定可能であるが、この注入速度の制御方法は本発明の要旨ではないため、説明を省略する。
具体的には、荷重センサ保持部104aの外周面に固着された可動ピン端子115aが荷重センサ保持部104aと一体的に移動することにより、端子e,g間と端子g,f間の抵抗値の比を変化させて端子gの電圧を変化させる。この電圧を検出することで、ハンドピース1の本体ケース101に対する荷重センサ保持部104a、つまり注射針120の位置を検出するものである。
図8において、速度・距離制御部221には、速度検出部205の出力信号、位置センサ115による注射針120の位置検出値、刺入速度設定値、注射針120の移動距離(助走距離と刺入距離との和)設定値、並びに、後述する刺入圧力検出部222からの異常停止信号が入力されている。この速度・距離制御部221は、速度検出部205から出力される速度検出値が刺入速度設定値に一致し、かつ、注射針120の位置検出値が移動距離設定値に対応して決まる注射針120の位置設定値に一致するように、モータ制御部206に対する制御指令を生成して出力する。また、上記異常停止信号に応じて駆動モータ102を停止させるような異常停止指令を生成して出力する。
モータ制御部206は、これらの入力信号に基づいて駆動モータ102の駆動(正逆転)及び停止を制御する。
電源の投入後に、麻酔薬の注入速度、注入量等を設定し、次に注射針120の移動距離(助走距離及び刺入距離)、刺入速度をコントロールユニット2側で前記速度・距離制御部221に設定する。
更に、リップガード121を回動または前後に移動させてその位置を調整する。その際、前述した位置合わせ用スケール121bを用いて、注射針120の先端を原点位置に合わせる。
そして、麻酔薬カートリッジを装填したカートリッジホルダ5をコントロールユニット2に取り付ける。
また、エア抜きを終了したらモータ制御部206により駆動モータ2を逆転させ、注射針120の先端を原点位置から助走距離だけ後退させて待機する。
これにより、注射施療を行うための準備作業が終了することになる。
この状態でハンドピース1の操作スイッチ116をオンし、麻酔薬を、麻酔薬供給部209からチューブ3を介して注射針120に供給する。この麻酔薬の供給開始と同時にモータ制御部206から駆動モータ102へ正転指令が送られるので、駆動モータ102が正転してリードネジ103、ナット104、スライドシャフト108等を介し注射針120が直線移動を開始する。
ここで、図9は、注射針120の移動距離に応じた荷重センサ107の出力信号を麻酔薬供給期間と共に示した図であり、注射針120が助走距離の移動を開始した時点以後、麻酔薬が注射針120に供給される。このため、注射針120が歯肉T1に刺入されていない助走期間も麻酔薬が供給されることになるが、前述の如く注射針120の中心軸孔は小径であるため表面張力がはたらき、また、助走距離自体がごく短いため、麻酔薬がこぼれ落ちるおそれはない。
検出した刺入圧力が設定範囲を超えた場合(例えば、注射針120の移動距離設定値や刺入した部位が不適切であって、注射針120の先端が歯の根元に当たったような場合)には、刺入圧力検出部222からの異常停止信号により速度・距離制御部221を介して駆動モータ102の回転を停止し、同時に、表示・警報出力部223の動作により異常表示、警報を行う。
なお、注射針120の停止後も、麻酔薬は継続的に注入されている。
そして、カートリッジ内の麻酔薬の全量を注入したら、これを適宜な手段により検出して麻酔薬供給部209の動作を停止する。同時に、表示・警報出力部223の動作により、麻酔薬の全量を注入したことを音声等により施療者に知らせる。
その後、駆動モータ102の正逆転を制御して注射針120を図6の原点位置に戻す。この原点位置への復帰動作は、図示されていない原点復帰スイッチをオンしてモータ制御部206を制御することにより実行される。
なお、この実施形態では、ハンドピース1を軽量にして操作性を向上させるためにコントロールユニット2やカートリッジホルダ5を別個に形成しているが、コントロールユニット2やカートリッジホルダ5の軽量化、小型化が可能であれば、これらの両方あるいは一方を一体的に備えたハンドピースを形成しても良い。
2:コントロールユニット
3:チューブ
4:ケーブル
5:カートリッジホルダ
6:フットスイッチ
101:本体ケース
102:駆動モータ
102A:パルスエンコーダ
103:リードネジ
103a:ネジ部
104:ナット
104a:荷重センサ保持部
105:本体スリーブ
105a:溝
106:回り止めネジ
107:荷重センサ
107a:リード線
107b:受圧部
108:スライドシャフト
108a:底部フランジ
109:回り止めピン
110:ボールガイド
111,112:止めバネ
113:ボールガイドホルダ
114:シャフトスリーブ
115:位置センサ
115a:可動ピン端子
116:操作スイッチ
117:動作表示ランプ
118:注射針ホルダ
119:チューブホルダ
120:注射針
121:リップガード
121a:先端縁
121b:位置合わせ用スケール
201:1チップマイコン
202:ヒューズ
203:電源スイッチ
204:スイッチング電源
205:速度検出部
206:モータ制御部
207:荷重アンプ
208:ユニット本体
209:麻酔薬供給部
210:切換スイッチ
211:パイロットランプ
212:動作表示ランプ
221:速度・距離制御部
222:刺入圧力検出部
223:表示・警報出力部
T1:歯肉
Claims (4)
- 注射部位に麻酔液を注入する注射針を、ハンドピースに備えてなる歯科麻酔用注射器において、
注射針を前記ハンドピースの先端部から前進、後退させる動力源としての駆動モータと、
注射部位への注射針の刺入速度を検出する速度検出手段と、
注射針の位置を検出する位置検出手段と、
注射針に加わる圧力を検出する圧力検出手段と、
前記速度検出手段により得た刺入速度検出値が刺入速度設定値に一致し、かつ、前記位置検出手段により得た位置検出値が注射針の移動距離設定値に対応するように、前記駆動モータを制御して注射針の刺入速度及び移動距離を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする歯科麻酔用注射器。 - 請求項1に記載した歯科麻酔用注射器において、
前記速度検出手段は、
前記駆動モータの回転速度を検出するエンコーダを備えたことを特徴とする歯科麻酔用注射器。 - 請求項1または2に記載した歯科麻酔用注射器において、
前記位置検出手段は、前記ハンドピースに対する注射針の位置を可変抵抗により検出する位置センサを備えたことを特徴とする歯科麻酔用注射器。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載した歯科麻酔用注射器において、
前記制御手段は、前記圧力検出手段により検出した圧力が設定範囲を超えた場合に、前記駆動モータの回転を停止させることを特徴とする歯科麻酔用注射器。
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