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JP4989493B2 - 分子内プローブによる核酸配列の検出方法 - Google Patents

分子内プローブによる核酸配列の検出方法

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Description

本発明は、核酸配列を検出する方法に関する。また、本発明は、核酸の解析方法、特に遺伝子の解析方法に関する。
1988年に、ライゲース酵素の特異性を用いた核酸の変異を検出する方法がサイエンス誌に発表された(Landegren, Science, 26;241(4869):1077-80,(1988))。この方法は、それまで使われていたPCRによる変異検出方法、即ち、変異に相補な配列を3’端にもつプライマー(即ち、Sequence Specific Primer)を用いたPCRによる変異検出方法よりも、反応条件の設定が容易である。このため、当該方法の工程に続いて耐熱性リガーゼを用いるLCR(即ち、Ligase Chain Reaction)や、BaranyらによるLDR(即ち、Ligase Detection Reaction)などの方法が、当該方法を発展させた方法として開発されている(特表2000−511060号公報)。また、ライゲースによる分子認識は、変異に相補な塩基を3’端に有する2つのプローブの連結によって行われる。そして特にこの方法は、1塩基変異の検出に用いられることが多い。
ヒトのSNP(即ち、Single Nucleotide Polymorphism;1塩基多型)は、数百塩基に1つ程度の頻度で見られる遺伝子多型である。この変異は、コーディングリージョン、ノンコーディングリージョンを問わず、広くゲノム上に散在しており、塩基の置換のみならず挿入(インサーション)や欠失(デリション)としても見られる。また、ヒトゲノムの大きさは30億塩基対であるから、1000塩基に1カ所の頻度であっても300万のSNPが存在することになる。このような膨大な数のSNPの中から医学的に有用なものを見つけることは容易ではない。今のところ1つの薬剤や疾病の感受性と関係のあるSNPセットは、この約300万カ所のうち、多くて数百カ所、或いは数十カ所程度であると考えられている。例えばロシュ社は、薬剤代謝蛋白であるシトクロームP450のSNPタイピング用マイクロアレイを提供している。このアレイの場合では、遺伝子CYP2D6については29カ所、遺伝子CYP2C19については2カ所のアレルがタイピングできるように設計されており、合計31カ所のアレルについてのタイピングがなされる。このようなことからも、診断を行うために、何万カ所、または何千カ所のアレルをタイピングする必要はなさそうである。即ち、現実的には、数十カ所、多くて百数十カ所程度のSNPのタイピングが必要であろうと考えられる。
しかしながら、この程度のタイピングを行うにしても、従来のサンガー法を使うとすれば、反応のための試薬や装置に掛かるコストが高く、その上、1回の反応でほぼ1変異しか検出できない。また、反応の特異性やシグナルが低い場合には、結果として得られる波形から必ずしもSNPが読みとれるとも限らない。このような状況では、上述のようなタイピングを行うためには、サンガー法では、検出しようとする対象の数が多すぎる。当該タイピングのためのそのほかの方法としては、例えば、実験手順のよりシンプルなSSCP(即ち、Single Strand Conformation Polymorphism)法、SSP-PCR(即ち、Sequence Specific Primers -PCR)法、蛍光TaqManプローブによるリアルタイムPCR法などの適用が考えられる。しかしながら、これらの方法であっても、実用化には問題が残る。即ち、SNP検査を実用化するには、多くのSNPの型を安価に決定できる方法が求められている。現在、世界中で、取り分け、ポリメラーゼの分子認識を利用した方法や、先に述べたリガーゼの分子認識を利用した方法を基本にした方法の開発が盛んに行われている。
例えば、リガーゼを用いた分子認識を利用するユニークな方法として、アフィメトリックス(Affymetrix)社のMIP(即ち、Molecular Inversion Probe)法がある(特表2004−528016号公報)。この方法は、閉環プローブとギャップライゲーション法により、プローブ合成コストを下げ、反応効率を高めたタグによるマルチプレックスタイピング法(Hardenbol, P. et al., Nat. Biotechnol. 21, 673-678 (2003)、Hardenbol, P. et al., Genome Res. 15, 269-675 (2005))である。また、PCRに代わる核酸増幅方法として魅力的なYale大のLizardiの開発したRCA(即ち、Rolling Circle Amplification)法は、環状になったDNAをプライマーから鎖置換型のポリメラーゼにより連続的に合成し続ける方法である(特表2001−519172号公報)。この増幅法のテンプレートは環状でなければならない。従って、それに応じて1本鎖プローブの末端が標的にハイブリダイズし、リガーゼにより閉環されるような南京錠プローブ(即ち、padlock probe)が開発され、これによる検出法が出願されている(特表2002−503948号公報)。日本においては、アイシンコスモスが3重鎖形成や、特異的なハイブリダイゼーションを促進するタンパク質RecAを併用した南京錠プローブ法を出願している(特開平9−220099号公報)。また南京錠プローブはRCA法に限らず、他の方法にも利用されている(特表2001−514483号公報、特許第3085409号公報、特許第3590633号公報)。
南京錠プローブによるゲノム核酸の変異検出においては、PCRなどで増幅した核酸試料またはゲノム核酸そのものを含む反応液に対して、プローブ核酸を大過剰に加えて連結反応を行う。このような反応を行うためには、PCR用のプライマーの他に、検出用のプローブを合成する必要がある。また、プローブ核酸を大過剰に加えることによって、非特異な反応も起き易くなる。更に、検出対象配列の付近で核酸が2次構造をとるような場合には、南京錠プローブが対象にハイブリダイズする効率が低下し、そのために検出が達成されないことがある。
何れの上述した従来の方法であっても、例えば、プローブの連結反応によって核酸を検出するときには、核酸試料に対して大過剰のプローブ核酸を加えなくてはならない。従って、そのためにコストがかかり、非特異反応も起きやすい。
本発明の1つの目的は、非特異反応が生じにくく、大過剰のプローブ核酸を加えなくてもよく、低コストで実行することの可能な核酸配列を検出するための手段を提供することである。
以上の目的を達するための手段は以下の通りである。即ち、
(1) 以下を具備する核酸配列検出方法;
(a)核酸試料を準備すること;
(b)前記核酸試料に含まれる当該検出部位の3’側に位置する第1の核酸配列に相補的な配列を含む第1の分子内検出配列と、当該検出部位の5’側に位置する第2の核酸配列に相補的な配列を含む第2の分子内検出配列を準備すること、ここで、第1の分子内検出配列の3’端と第2の分子内検出配列の5’端の少なくとも一方が核酸と結合が可能なように修飾されている;
(c)前記核酸試料をテンプレートに3’末端に第1の分子内検出配列を、5’末端に第2の分子内検出配列を付与した当該検出部位の配列を含む検出鎖を合成すること;
(d)前記検出鎖について、第1の核酸配列と第1の分子内検出配列との間、および第2の核酸配列と第2の分子内検出配列との間の2箇所で分子内ハイブリダイズがなされること;
(e)第1の分子内検出配列の3’端と第2の分子内検出配列の5’端を直接または間接的に連結すること;
(f)(e)の連結することにより環状構造体を得ること;
(g)前記環状構造体を検出する、または前記環状構造体の連結の有無の検出を行うこと。
(2) (1)に記載の核酸配列検出方法であって、(d)における分子内ハイブリダイゼーションによって、ダンベル構造体が形成され、(e)における連結が、当該ダンベル構造体の5’端と3’端の連結が、ライゲーションおよびギャップライゲーションからなる群より選択される手段により行われる方法。
(3) (2)に記載の核酸配列検出方法であって、前記ダンベル構造体の形成と(e)における連結が、予め設定された熱サイクリング条件下での熱サイクリングの実施と共に行われる方法。
(4) (1)〜(3)の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、(c)の付与することが、少なくとも一組のプライマーを用いたPCRおよびギャップライゲーション、並びに制限酵素切断に続く少なくとも一組のアダプターを用いたアダプタライゲーションからなる群より選択された手段により行われる方法。
(5) (1)〜(4)の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、(f)の環状構造体を得ることの後に、更に、閉館しなかった核酸を酵素により消化することを具備する方法。
(6) (1)〜(5)の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、(g)における目的の核酸配列の検出を行うことが、DNAマイクロアレイ、蛍光ビーズ、電気泳動および質量分析からなる群より選択された手段により、当該環状構造体を検出することによって行われる方法。
(7) (1)〜(5)の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、(g)における目的の核酸配列の検出を行うことが、当該環状構造体の連結部の形成を検出可能なプライマーを用いる伸長反応を利用して得られた増幅産物を検出することによって当該環状構造を検出することにより行われる方法。
(8) (1)〜(7)の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、前記第2の分子内検出配列の5’端がリン酸化されている方法。
(9) (1)〜(8)の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、前記第2の分子内検出配列の3’端にプライマー配列が含まれ、第1の分子内検出配列の5’端がリン酸化されている方法。
(10) (1)〜(9)の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、(f)の連結が化学的結合および生化学的結合からなる群より選択される手段により達成される方法。
(11) (10)に記載の核酸配列検出方法であって、前記化学的結合が、光により媒介される反応を介して行われる方法。
(12) (10)に記載の核酸配列検出方法であって、前記生化学的結合が、酵素により媒介される反応を介して行われる方法。
(13) (1)〜(12)の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、当該第1の分子内検出配列が、当該3’側に位置する第1の核酸配列に相補的な配列に加えて更に、当該検出部位における検出対象に関する情報を反映するように予め設計されて割り当てられたタグ配列を含む、および/または当該第2の分子内検出配列が、当該検出部位の5’側に位置する第2の核酸配列に相補的な配列に加えて更に、当該検出部位における検出対象に関する情報を反映するように予め設計されて割り当てられたタグ配列を含む方法。
(14) (1)〜(13)の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、当該核酸配列検出が、SNP検出、発現計測、メチル化検出、並びに欠失、挿入、置換およびマイクロサテライトの検出からなる群より選択される方法。
(15) 核酸試料に含まれる検出部位よりも3’側に位置する第1の核酸配列に相補的な配列を含む第1の分子内検出配列と、当該検出部位よりも5’側に位置する第2の核酸配列に相補的な配列を含む第2の分子内検出配列と、ここで、第1の分子内検出配列の3’端の核酸と第2の分子内検出配列の5’端核酸の少なくとも一方が、互いに結合可能なように修飾されている分子内検出配列。
(16) (1)〜(15)の何れか1項に記載の方法に用いる、酵素と、核酸と、基質とバッファ、検出用マイクロアレイの何れか、もしくは全てからなる試薬を含む検出キット。
本発明の更なる目的は、反応効率および検出感度が高く、少量の検体で容易に検出を行える核酸の解析方法を提供することである。
以上の目的を達するための手段は以下の通りである。即ち、
(1)核酸の変異を解析する方法であって、以下を具備する方法:
(a)被検核酸に相補な複製鎖を合成し、複製鎖上に検出する変異に相補なまたは変異の周辺に相補な配列を複製鎖の両末端に付加すること、
ここで、これら相補な配列は異なり、複製鎖上において変異に対してそれが存在する末端と変異の間、または末端と変異の間で変異も含む位置にハイブリダイズするように位置が選ばれており;
(b)1本鎖の複製鎖に、少なくとも2ヶ所の屈曲部分をもつ分子内構造を形成させること;
(c)解析しようとする変異が存在したとき、核酸モノマー、または変異に相違な核酸を介して、または直接に、前記構造をなす複製鎖の末端同士が、酸素反応または化学反応により共有結合で連結されて閉環核酸分子を形成すること;
(d)前記閉環核酸分子の連結された部分を含む配列、またはその相補鎖配列、または両方の配列を合成すること;および
(e)合成した前記閉環核酸分子の連結された部分を含む配列、またはその相補鎖配列の存在を検出することで核酸の変異を解析すること。
(2)前項(1)に記載の核酸の変異を解析する方法であって、以下を具備する方法:
(a)被検核酸を、増幅可能な条件下で第1の増幅を行うこと、
ここで、使用されるプライマーは、前記被検核酸の当該変異の配列を含む配列を増幅するための第1のプライマーと第2のプライマーからなり、
第1のプライマーは、被検核酸のうちの検出されるべき変異を含み得る、第2のプライマーの伸長鎖となる第2の1本鎖の当該変異の3’側の配列と、または当該変異を含む3’側の配列と相同な配列からなる第1のプローブ配列を当該第1のプライマーの5’端側に含み、更に第2の1本鎖における当該変異部位に対して、第2の1本鎖において前記第1のプローブ配列と対応する配列より3’側の一部の配列に相補な配列からなる第1のプライミング配列を当該第1のプライマーの3’端に含み;および
第2のプライマーは、第1のプライマーの伸長鎖となる第1の1本鎖の当該変異の3’側の配列の一部と相同な配列からなる第2のプローブ配列を当該第2のプライマーの5’端側に含み、更に、第1の1本鎖の当該変異部位に対して、第1の1本鎖において前記第2のプローブ配列と対応する配列より3’側の一部の配列に相補な配列からなる第2のプライミング配列を当該第2のプライマーの3’端に含み、更に第2のプライマーの5’端末はリン酸化されている:
(b)第1の増幅により得られた第1の増幅産物を1本鎖化すること;
(c)前記1本鎖化した第1の増幅産物に分子内構造を形成させて、閉環反応し、閉環核酸分子を得ること;
(d)得られた閉環核酸分子を、増幅可能な条件下で、第2の増幅を行い、当該閉環核酸分子に含まれる検出されるべき変異と、同閉環核酸分子に含まれる少なくとも前記第1および第2のプローブ配列に由来する配列とを、同時に含む第2の増幅産物を得ること;および
(e)得られた第2の増幅産物を検出して、当該被検核酸における検出されるべき変異を解析すること。
(3)前項(2)に記載の核酸の変異を解析する方法であって、前記(a)の第1の増幅の後に、第1の増幅産物の3’末端に付加された塩基を除去してその末端を平滑化することを、更に具備する方法。
(4)前項(1)から(3)の何れか1項に記載の方法であって、更に、前記閉環核酸分子以外の直鎖核酸分子の完全分解または部分分解をすることを具備する方法。
(5)前項(1)から(4)の何れか1項に記載の方法であって、更に、第1のプライマーおよび第2のプライマーが、それらの前記プライミング配列とプローブ配列の間に、識別および/または増幅のために利用可能な人工設計配列を有する方法。
(6)前項(1)から(5)の何れか1項に記載の方法であって、第1のプライマーおよび第2のプライマーがそれらの前記プライミング配列とプローブ配列の間に人工設計配列を有し、前記人工設計配列が、検出しようとする変異に対応する、または共通化した1または1種類以上の配列であり、変異部位毎に第2のプライマーがあり、当該変異部位の変異種の第1のプライマーであり、それらプライマーが異なる人工設計配列を備え、複数の変異を同時に検出し解析する方法。
(7)前項(1)から(6)の何れか1項に記載の方法であって、第1のプライマーおよび第2のプライマーがそれらの前記プライミング配列とプローブ配列の間に人工設計配列を有し、これらを用いて第1の増幅を行い、得られた第1の増幅産物について第2の増幅を行った後に、前記プローブ配列および人工設計配列を検出し、それによって得られた情報を基に核酸の変異を解析する方法。
(8)前項(1)から(7)の何れか1項に記載の方法であって、第1の増幅産物に含まれる当該検出されるべき変異を含む1本鎖核酸において、当該変異部位またはそれに隣接する位置に対して、前記1本鎖核酸の3’と5’末端が分子内でハイブリダイズすることによって分子内構造が形成され、その末端環のギャップまたはニックが、その分子内構造における当該変異部位の隣接部、または当該変異部位を含む変異部位付近の位置に存在する方法。
(9)前項(8)に記載の方法であって、前記分子内構造の当該変異部位と隣接塩基の間にニックが存在し、そこにリガーゼを作用させることによって閉環核酸分子が形成される方法。
(10)前項(8)に記載の方法であって、前記分子内構造にギャップがあり、ポリメラーゼによる相補鎖合成とリガーゼによる連結によって閉環核酸分子が形成される方法。
(11)前項(1)から(8)の何れか1項に記載の方法であって、前記ギャップが、前記第1の鎖の当該変異部位と変異部位に隣接する配列の相補配列、または当該変異部位の相補配列とからなるギャップ配列からなり、前記第1のプライマーが、前記第1の1本鎖の当該変異部位の5’側に存在する連続する配列の一部と相補な配列からなる第1のプローブ配列を当該第1のプライマーの5’端側に含み、前記第2のプライマーが、前記第2の1本鎖における当該変異部位に対応する部位の5’側に近接して連続する配列の一部と相補的な第2のプローブ配列を当該第2のプライマーの5’側に含み、前記第1および第2のプライマーを用いて第1の増幅を行った後、前記ギャップ配列の塩基配列を有しその5’末端がリン酸化された核酸断片の存在下で、リガーゼを作用させることによって閉環核酸分子が形成される方法。
(12)前項(11)に記載の方法であって、当該検出されるべき変異が一塩基変異である方法。
(13)前項(1)から(9)の何れか1項に記載の方法であって、ここで検出する変異が一塩基変異であり、前記第1のプライマーが、前記第1の1本鎖の当該変異塩基および当該変異塩基の3’側に存在する連続する配列の一部と相同な配列からなる第1のプローブ配列を当該第1のプライマーの5’端側に含み、前記第2のプライマーが、前記第2の1本鎖における当該変塩基の3’側に隣接する配列の一部と相同な第2のプローブ配列を当該第2のプライマーの5’側に含む方法。
(14)前項(1)から(13)の何れか1項に記載の方法であって、更に、以下を具備する方法:
前記第2の増幅において使用される第1のプライマーが、識別可能な第1の化学標識物質を有し、第2のプライマーが識別可能な第2の化学標識物質を有すること;
得られた第2の増幅産物を、前記第1の化学標識物質に対する抗体を具備する第1の粒子と、前記第2の化学標識物質に対する抗体を具備する第2の粒子と反応させること;
前記反応によって生じる粒子の凝集を検出して、当該被検核酸における検出されるべき変異を解析すること。
(15)前項(1)から(13)の何れか1項に記載の方法であって、更に以下を具備する方法:
前記第2の増幅において、予め蛍光色素標識された第1および/または第2のプライマーを用いること;
得られた第2の増幅産物を、当該第2の増幅産物を捕捉するためのプローブを具備する核酸マイクロアレイに対して、ハイブリダイズさせること;および
前記核酸マイクロアレイ上で前記蛍光色素標識由来の蛍光色素を検出して、当該被検核酸における検出されるべき変異を解析すること。
(16)前項(6)から(15)の何れか1項に記載の方法であって、更に以下を具備する方法;
同一変異部位で観察される得る変異型と、識別可能な複数の蛍光色素とを対応付けるように、予め、前記人工設計配列の選択を行うこと;
前記人工設計配列の配列設計が、同一変異部位で観察され得る複数の変異型を有する変異核酸が、予め用意されたマイクロアレイに固定された同一のプローブにハイブリダイズするように反応されること;および
上記のように選択され設計され、且つ蛍光色素により標識された人工設計配列を、核酸マイクロアレイ上で多色検出して、当該被検核酸における検出されるべき変異を解析すること。
(17)前項(6)から(15)の何れか1項に記載の方法であって、更に以下を具備する方法:
前記第2の増幅において、予め蛍光色素標識された第1および/または第2のプライマーを用いること;
得られた第2増幅産物を、蛍光で識別可能な粒子であり、且つ粒子毎に1種類の人工設計配列を捕捉するためのプローブを有する蛍光粒子とハイブリダイズすること;
前記蛍光粒子と当該第2増幅産物からの蛍光に関する情報を基に当該被検核酸における検出されるべき変異を解析すること。
(18)前項(17)に記載の方法であって、前記蛍光粒子が蛍光色素を含むビーズおよび量子ドットまたは複数種類の量子ドットを含むビーズからなる群より選択される方法。
(19)核酸変異を解析する方法であって、以下を具備する方法;
(a)被検核酸を、増幅可能な条件下で第1の増幅を行うこと、
ここで、使用されるプライマーは、前記被検核酸に当該変異の配列を含む配列を増幅するための第1のプライマーと第2のプライマーからなり;
第1のプライマーは、被検核酸のうちの検出されるべき変異を含み得る、第2のプライマーの伸長鎖となる第2の1本鎖の当該変異の3’側の配列、または当該変異を含む3’側の配列と相同な配列からなる第1のプローブ配列を当該第1のプライマーの5’端側に含み、更に第2の1本鎖における当該変異部位に対して、第2の1本鎖において前記第1のプローブ配列と対応する配列より3’側の一部の配列に相補な配列からなる第1のプライミング配列を当該第1のプライマーの3’端に含み;および
第2のプライマーは、第1のプライマーの伸長鎖となる第1の1本鎖の当該変異の3’側の配列の一部と相同な配列からなる第2のプローブ配列を当該第2のプライマーの5’端側に含み、更に第1の1本鎖の当該変異部位に対して、第1の1本鎖において前記第2のプローブ配列と相同な配列より3’側の一部の配列に相補な配列からなる第2のプライミング配列を当該第2のプライマーの3’端に含み、更に第2のプライマーの5’端末がリン酸化されている;
(b)第1の増幅により得られた第1の増幅産物を1本鎖化すること;
(c)前記1本鎖化した第1の増幅産物に分子内構造を形成させて、閉環反応し閉環核酸分子を得ること;
(d)得られた閉環核酸分子と非閉環直鎖核酸分子のコンホーメーションの相違を検出することによって、当該被検核酸における検出されるべき変異を解析すること。
(20)前項(19)に記載の方法であって、前記閉環核酸分子と非閉環直鎖核酸分子のコンホーメーションの相違の検出が電気泳動法によって行われる方法。
(21)前項(1)から(20)の何れか1項に記載の方法であって、前記増幅法がPCR法である方法。
(22)前項(21)に記載の方法であって、第2の増幅法が非対称PCRである方法。
(23)前項(1)から(22)の何れか1項に記載の方法を実施するためのアッセイキットであって、プライマーセット、酵素、基質、緩衝剤、標識物質、プローブおよび/または核酸マイクロアレイを具備するアッセイキット。
(24)前項(23)に記載のアッセイキットであって、更に蛍光粒子を具備するアッセイキット。
本発明の更なる目的は、プローブの連結反応により核酸を検出するとき、被検核酸に対して大過剰のプローブ核酸を加える必要のない方法を提供することである。
以上の目的を達するための手段は以下の通りである。即ち、
(1) 以下を具備する核酸配列検出方法;
(a)核酸試料を準備すること;
(b)前記核酸試料に含まれる当該検出部位の3’側に位置する第1の核酸配列に相補的な配列を含みかつその5’側に第1の核酸配列よりも3’側にハイブリダイズするプライマー配列を含む第1の検出鎖合成核酸と、当該検出部位の5’側に位置する第2の核酸配列に相補的な配列を含みかつその3’側に相補鎖合成阻害構造を含み、更にその3’側に第2の核酸配列よりも5’側にハイブリダイズするオリゴ核酸配列を含む第2の検出鎖合成核酸を準備すること、
ここで、第1の検出鎖合成核酸の5’端の核酸と第2の検出鎖合成核酸の5’端の核酸の少なくとも一方が、核酸と結合が可能なように修飾されている;
(c)第1の検出鎖合成核酸のプライマー配列と第2の検出鎖合成核酸のオリゴ核酸配列とを前記核酸試料にハイブリダイズさせ、第2の検出鎖合成核酸で相補鎖の伸長反応をし、第1の検出鎖合成核酸の5’端で連結反応することにより、検出鎖を合成すること;
(d)前記検出鎖について、第1の核酸配列と第1の検出鎖合成核酸との間、および第2の核酸配列と第2の検出鎖合成核酸との間の2箇所で分子内ハイブリダイズがなされること;
(e)検出鎖の第1の検出鎖合成核酸の3’端と第2の検出鎖合成核酸の5’端を連結閉環することによって環状構造体を得ること;
(f)前記環状構造体の連結部を含む配列を増幅すること;
(g)(f)の増幅により得られた増幅産物を検出することによって、前記核酸試料における検出部位の配列の検出を行うこと:
(2) (1)に記載の核酸配列検出方法であって、(e)における連結閉環が、ライゲーションおよびギャップライゲーションからなる群より選択される手段により行われる方法。
(3) (2)に記載の方法であって、分子内ハイブリダイゼーションと連結閉環する工程が、予め設定された熱サイクリング条件下での熱サイクリングの実施と共に行われる方法:
(4) (1)〜(3)の何れか1項に記載の方法であって、更に、前記連結閉環した後に、連結閉環していない核酸を消化することを具備する方法:
(5) (1)〜(4)の何れか1項に記載の方法であって、(f)の増幅工程が連結部を含んだ産物を生成するPCRである方法:
(6) (1)〜(4)の何れか1項に記載の方法であって、(f)の増幅工程が連結部を含んだ産物を生成する、RNAポリメラーゼのインビトロ転写によるRNA合成である方法:
(7) (1)〜(6)の何れか1項に記載の方法であって、前記結合可能なような修飾が、核酸のリン酸化である方法:
(8) (1)〜(7)の何れか1項に記載の方法であって、(g)の工程が増幅産物とDNAマクロアレイとのハイブリダイゼーションを検出することで行われる方法。
(9) (1)〜(7)の何れか1項に記載の方法であって、(g)の工程が増幅産物とのハイブリダイゼーションと、検出可能な標識を備えた核酸のその増幅産物へのハイブリダイゼーションと、その検出可能な標識を検出して間接的に増幅産物を検出することで行われる方法:
(10) (1)〜(9)の何れか1項の方法に用いる検出キットであって、酵素と、核酸と、基質と、バッファ、検出用マイクロアレイの何れか、もしくは全てからなる試薬を含む検出キット:
である。
図1は、本発明の概要を示す図である。 図2は、本発明の1態様を示す図である。 図3は、本発明の1態様を示す図である。 図4は、本発明の1態様を示す図である。 図5は、本発明の1態様を示す図である。 図6は、本発明の1態様を示す図である。 図7は、本発明の1態様を示す図である。 図8は、本発明の1態様を示す図である。 図9は、本発明の1態様を示す図である。 図10は、本発明の1態様を示す図である。 図11は、本発明の1態様を示す図である。 図12は、本発明の1態様を示す図である。 図13は、本発明の1態様を示す図である。 図14は、本発明の1態様を示す図である。 図15は、本発明の1態様の例を示す図である。 図16は、本発明の1態様の例を示す図である。 図17は、本発明の1態様の例を示す図である。 図18は、本発明の1態様の例を示す図である。 図19は、本発明の1態様の例を示す図である。 図20は、本発明の1態様の例を示す図である。 図21は、本発明の1態様の例を示す図である。 図22は、本発明の1態様の例を示す図である。 図23は、本発明の1態様の例を示す図である。 図24は、本発明の1態様の例を示す図である。 図25は、本発明の1態様の例を示す図である。 図26は、本発明の1態様の例を示す図である。 図27は、本発明の1態様の例を示す図である。 図28は、本発明の1態様を示す模式図である。 図29は、本発明の1態様を示す模式図である。 図30は、本発明の1態様を示す模式図である。 図31は、本発明の1態様を示す模式図である。 図32は、本発明の1態様を示す模式図である。 図33は、タイピング結果を示すグラフである。
I.分子内配列検出反応を利用する核酸配列検出方法
1.用語の説明
ここで使用される「核酸」の語は、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、mRNA、全RNA、hnRNA、合成RNAを含む全てのDNA及びRNAを意味するものとする。
ここで使用される「遺伝子」の語には、ゲノムに含まれるコーディングリージョンおよびノンコーディングリージョンの両方が含まれるものとする。
また、本発明の1態様に従うと、核酸配列検出方法が提供されるが、検出される核酸は、目的とする特定の配列、または何れかの遺伝子変異に関連する核酸であればよい。また、本発明に従う核酸配列検出方法では、これに限定されるものではないが、例えば、遺伝子の変異などの解析および/または検出および/または発現解析することが可能であってよい。また、本発明の方法に従うと、遺伝子変異解析に限らず、あらゆる核酸の解析および/または検出に好ましく利用されてよい。
ここで使用される「変異」の語は、これに限定するものではないが、SNPおよびマイクロサテライト配列などの繰り返し配列などを含む遺伝子多型、塩基の挿入、欠失および/または置換、並びにそれらの組み合わせ、ゲノムのメチル化などを示す。
ここで使用される「検出部位よりも5’側」および「検出部位の3’側」とは、当該変異部位およびその5’側または3’側の数塩基、例えば、1、2、3、4および5塩基などを指してもよく、更に、当該変異部位を除く当該変異部位よりも5’側または3’側の数塩基、例えば、1、2、3、4および5塩基などを指してもよいが、塩基の数は上記に限るものではなく、或いは6、7、8、9または10塩基などであってもよい。また更に、検出部位に含まれる核酸配列、例えば、当該変異部位などを含んでもよく、当該部位の当該変異部位のみが含まれてもよい。
ここで使用される「第1の分子内検出配列の3’端と第2の分子内検出配列の5’端の少なくとも一方が核酸と結合が可能なように修飾されている」または「互いに結合可能なように修飾されている」とは、核酸の3’末端と5’末端を、それ自体公知の化学的または生化学的な手段によって結合することが可能なように修飾されていることをいう。これに限定されるものではないが、例えば、そのような結合可能な修飾は、5’へのリン酸基の付与、または特許3753942号にあるような、5位炭素に置換ビニル基をもった光感受性のあるピリミジン塩基の5’末端への付与である。後者は、光化学反応により可逆的な核酸の連結が可能である。
ここで使用される「検出鎖」とは、核酸試料の3’端および5’端にそれぞれ「分子内検出配列」が結合された配列をいう。当該検出鎖は、本発明に従って、分子内反応を生ずる核酸分子である。
2.発明の概要
本発明に従うと、次のような工程を含む核酸配列検出方法が提供される:
(1)検出鎖の合成反応
(2)分子内検出反応
(3)直鎖消化反応
(4)増幅反応
(5)検出反応
である。
本発明に従う検出鎖の合成は、核酸試料の3’および5’端に分子内検出配列を結合する反応である。
本発明に従う分子内検出反応とは、分子内検出配列に含まれる検出部位の3’および5’側に位置する配列に相補的な配列と、当該3’および5’側の配列を分子内ハイブリダイズする反応と、その後の環状構造体を合成する反応である。
本発明に従う直鎖消化反応は、任意の反応であり、行っても行わずともよいが、行った方が最終的により安定した結果を得ることが可能である。この直鎖消化反応は、環状構造体を形成しなかった分子内検出配列や試料に含まれる核酸を消化する反応である。
本発明に従う、増幅反応は、任意の反応であり、当該環状構造体自体を検出する場合、例えば、電気泳動および質量分析法などにより検出する場合には行わずともよい。他の場合、例えば、連結部位の付近を増幅することにより、当該環状構造を形成するための連結が達成されたか否かを検出する場合には、当該連結部位の付近を増幅すればよい。この場合、当該連結部位の相補配列である検出部位の配列は、増幅されないことが望ましい。そのために、当該環状構造を任意に切断してから増幅を行ってもよい。
本発明の1態様に従うと、以下を具備する核酸配列検出方法;即ち、
(a)核酸試料を準備すること;
(b)前記核酸試料に含まれる当該検出部位よりも5’側に位置する第1の核酸配列に相補的な配列を含む第1の分子内検出配列と、当該検出部位よりも3’側に位置する第2の核酸配列に相補的な配列を含む第2の分子内検出配列を準備すること、ここで、第1の分子内検出配列の5’端の核酸と第2の分子内検出配列の3’端核酸の少なくとも一方が、互いに結合可能なように修飾されている;
(c)前記核酸試料の5’末端に第1の分子内検出配列を、3’末端に第2の分子内検出配列を付与することにより、検出鎖を得ること;
(d)前記検出鎖について、第1の核酸配列と第1の分子内検出配列との間、および第2の核酸配列と第2の分子内検出配列との間の2箇所で分子内ハイブリダイズがなされること;
(e)第1の分子内検出配列の5’端と第2の分子内検出配列の3’端を連結すること;
(f)(e)の連結することにより環状構造体を得ること;
(g)前記環状構造体から、前記核酸試料における目的の核酸配列の検出を行うこと;
を具備する方法が提供される。
このような本発明に従う1態様について、図1を用いて説明する。まず、検出しようとする検出部位2を含む核酸試料1を準備する(図1、1A)。
次に、核酸試料1に対して、第1の分子内検出配列5および第2の分子内検出配列6を付与し(図1、1B)、検出鎖7を得る(図1、1C)。ここで、第1の分子内検出配列5は、当該被検部位2の3’側に位置する第1の核酸配列3に相補的な核酸を含む。また、第2の分子内検出配列6は、当該被検部位2の5’側に位置する第2の核酸配列4に相補的な核酸を含む。当該付与は、これに限定されるものではないが、例えば、少なくとも一組のプライマーを用いたPCR、片鎖ギャップライゲーション、並びに少なくとも一組のアダプターを用いたアダプタライゲーションなどにより行ってよい。ここで、第1の核酸配列3に相補的な第1の分子内検出配列5は、検出鎖7における第1の核酸配列3の3’側にある3’側末端に付与される。第1の核酸配列3の最も3’側にある塩基に相補的な塩基は第1の分子内検出配列5の最も5’側に存在する。第1の核酸配列3の最も5’側にある塩基に相補的な塩基は第1の分子内検出配列5の最も3’側に存在する。同様に、第2の核酸配列4に相補的な第2の分子内検出配列6は、検出鎖7における第2の核酸配列4よりも5’側にある5’側末端に付与される。また、第2の核酸配列4の最も5’側にある塩基に相補的な塩基は第2の分子内検出配列6の最も3’側に存在し、第2の核酸配列4の最も3’側にある塩基に相補的な塩基は第2の分子内検出配列6の最も5’側に存在する。即ち、第1の核酸配列3と第1の分子内検出配列5は各々の3’と5’側がひっくり返ってハイブリダイズする。第2の核酸配列4と第2の分子内検出配列6の同様に各々の3’と5’側がひっくり返ってハイブリダイズする。
得られた当該検出鎖7は、当該第1の分子内検出配列5と第2の分子内検出配列6を付与されたことにより、被検部位2の3’側に位置する第1の核酸配列3と被検部位2の5’側に位置する第2の核酸配列4の2箇所で分子内ハイブリダイゼーションが生じる(図1、1D)。それによってダンベル様の形状が形成される。
次に、第1の分子内検出配列5の3’端と第2の分子内検出配列6の5’端が連結され、閉環構造体9が形成される(図1、1F)。この連結は、被検部位2に応じて、達成されたり、達成されなかったりする。即ち、検出しようとする被検部位2が当該反応系に存在する場合には、当該連結が達成され、当該反応系に存在しない場合には、当該連結は達成されない。或いは、例えば、SNPの検出する場合には、当該被検部位2の塩基の種類が所望の遺伝子型を形成する種類の塩基である場合には連結が達成され、他の種類の塩基が存在する場合には当該連結が達成されない。また、このような連結は、第1の分子内検出配列5の5’端の核酸と第2の分子内検出配列6の3’端核酸の少なくとも一方が、互いに結合可能なように修飾されているために達成される。また、このような連結は、5’端または3’端の核酸の伸長を含んでもよく、伸長を含まなくともよい。言い換えると、当該連結は、ライゲーションにより行われてもよく、ギャップライゲーションにより行われてもよい。
閉環構造体9は、それが属する当該反応系において、加熱したとき連結部11と被検部位2との間の2重鎖核酸が熱変性して解離し、分子内2重鎖を形成していない環状構造体10になる(図1、1H)。
このような環状構造体10の検出および/または定量は、反応生成物を電気泳動および/または質量分析に供することにより行ってもよく、また、当該連結部11を挟み込むような伸長産物または増幅産物を形成可能なプライマー対12aおよび12bを用いる反応により形成し、得られた伸長産物または増幅産物を検出および/または定量することにより行ってもよい。また、環状構造体10を形成した後に、環状構造体10以外の核酸を酵素によって消化してもよい。それによって、環状構造体10の検出および/または定量をより容易に且つ正確に行ない得る。
当該伸長産物または増幅産物の検出および/または定量は、そのような検出および/または定量が可能なそれ自身公知の何れの手段を用いて行ってもよい。例えば、当該伸長産物または増幅産物に特異的に結合可能なプローブを用いてもよく、当該プローブはマイクロアレイまたは蛍光ビーズなどに結合されたものを使用してもよい。また、前記プライマーに標識を付しておいてもよい。
図1中、核酸試料1は1本鎖として記載されているが、2本鎖として準備されてもよい。しかしながら、最終的に環状構造体となるのは、当該2本鎖のうちの何れか一方であり、どちらの核酸鎖が利用されるかは、第1および第2の分子内検出配列の設計に依存する。
また、図1の1B(即ち、検出鎖の形成時)から1H(即ち、環状構造体の形成)までの工程を行うと同時に、または図1の1Cの後(即ち、検出鎖が形成された後)から1Hまでの工程を行うと同時に、熱サイクリングを行ってもよい。ここでいう「熱サイクリング」とは、反応系の温度を任意の温度間で上げ下げすることをいい、これによって、より適切な分子内ハイブリダイゼーションを得ることが可能になる。PCR増幅をした核酸で分子内反応をするときに、2本鎖核酸を熱変性し1本鎖化することによって、2本鎖を周期的に確実に熱変性する段階を入れることができ、2本鎖の再会合による分子内反応の阻害を防いで分子内ハイブリダイゼーションを進めることができるので有利である。
ここで使用される「分子内検出配列」とは、本発明に従う検出鎖の両端に存在し、当該検出鎖上において検出の実施者が検出しようとする配列と相補な配列を有する。当該分子内検出配列は、必要に応じて相補鎖合成のためのプライマーであってもよく、ライゲーションを行うためのプローブは配列として機能してもよい。また更に、当該検出鎖は、検出部位の配列の上流と下流にハイブリダイズ(即ち、分子内ハイブリダイズ)して相補鎖を形成してそれによって分子内構造を合成する部分として分子内検出配列を含み、これはギャップライゲーションをして当該検出鎖を含む2重鎖を合成するものであったり、または検出鎖を合成するためのプライマーであってもよく、更に、それ自身が連結配列であってもよい。また、分子内検出配列は、プライマーや連結配列の他に更なる所望の配列または任意の配列を有してもよい。
任意の配列は、人工的に設計された人工設計配列であってもよい。ここで使用される「人工設計配列」とは、人工的に設計された核酸配列を指示する。人工設計配列は、特に、使用者の目的に合わせて任意に、また何かを目的として意図的に設計してよい。例えば、本発明に使用される人工設計配列は、識別および/または伸長のために利用可能してよい。
本発明に従い核酸試料の両末端にプローブ配列が存在するように設計する方法により、プローブを別に合成し、大量に投入しなくて済み、且つ分子内反応を利用する方法であるために被検部位と各プローブとのハイブリ効率が高い。従って、プローブ合成のコストを減らし、および大量に投入することでの非特異反応を回避することができることが利点である。
また、本発明に従うと、核酸試料の両末端にプローブ配列が存在することにより、核酸試料の形成する2次構造よりもより安定なハイブリッドを形成することが可能であるので、従来のようにプローブを別途用意して、核酸試料とハイブリダイズさせる方法では、しばしば核酸試料の反応阻害性の2次構造による阻害がおきるために検出できない配列があった。このような反応阻害性2次構造に比べてより安定な構造を分子内ハイブリダイゼーションによって形成することで、これまで検出できなかった配列の検出を可能にしたり、検出効率を上げることが可能である。
本発明に従うと、最初の増幅反応のときに分子内ハイブリダイゼーションのためのプローブが付加されるので、PCR増幅のかかった核酸のみで連結反応が起こるが、PCR増幅が起きた上で、更に閉環反応が起きなければ検出シグナルが出ないので、従来の別途プローブを加える方法に比べて非特異な連結反応が起きにくいという利点がある。
3.第1の態様
(1)PCRにより検出鎖を合成する方法
図2および図3を用いて、本発明に従うPCRにより検出鎖を合成する方法の例を説明する。
図2を参照されたい。この方法で用いる第1の分子内検出配列21は、第1のプライマー配列23と検出部位の5’側の配列に隣接する配列に相補的な配列である第1の分子内検出プローブ配列24とを有する。第2の分子内検出配列22は、第2のプライマー配列25と、検出部位の5’側の配列に隣接する配列に相補的な配列である第2の分子内検出プローブ配列26を有し、更にその5’末端はリン酸化されている。
図3を参照されたい。核酸試料31は第1の1本酸核酸31aと第2の1本鎖核酸31bからなる2本鎖である。核酸試料31は、第1の検出部位32aと第2の検出部位32bを有する。
第1のプライマー配列23と第2のプライマー配列25がそれぞれに核酸試料31の適切な場所に結合する。即ち、この場合には、第1のプライマー配列23は、第1の核酸試料31aの検出部位32aよりも3’側に結合する。同様に、第2のプライマー配列25は、第2の核酸試料31bの適切な場所に、この場合には、第2の核酸試料31bの検出部位32bよりも3’側に結合する。
その後、核酸伸長が可能な条件下で、好ましくは核酸増幅が可能な条件下で反応が進行され、検出鎖33aと、それに相補な一本鎖33bを含む2本鎖33が得られる。5’末端がリン酸化された検出鎖33aは、次に、一本鎖とされ、分子内ハイブリダイゼーションが生じ、検出部位の塩基が使用した分子内検出プローブと一致する場合には、ライゲーションが生じて環状構造体が形成される。
ここで、本発明に従って使用される第1および第2の分子内検出プローブの長さは、5塩基〜30塩基であればよく、好ましくは10塩基〜20塩基であればよく、更に、通常のリガーゼおよび耐熱性のリガーゼによる連結反応に適した30℃〜60℃までの温度でハイブリッドを形成するものであればよい。また、第1のプライマー配列の相補鎖は、当該検出鎖の検出部位の配列よりも下流にハイブリダイズするように配列を選択することが必要である。当該第1および第2のプライマー配列の長さは、約15塩基〜約60塩基が適切であり、また、耐熱性ポリメラーゼを使ったPCR反応のアニーリング温度に適切な40℃〜72℃の範囲でハイブリッドを形成するものであればよい。また、第2のプライマーには、SNP塩基に隣接する検出しようとする配列、即ち、検出部位の配列、と相補的な分子内検出プローブ配列を5’端に備えており、更に、その5’末端はリン酸化されている。第1のプライマー配列は、検出鎖における検出部位のSNPに隣接する上流の配列と同一の配列を備えている。
本明細書における「核酸伸長が可能な条件下」とは、それ自体公知の核酸伸長が可能な何れの条件でもよいが、伸長反応を実施するに当たり、適切、より適切または最も適切な条件の選択は、本発明の実施者によって自由に選択されてよい。例えば、核酸伸長が可能な条件とは、本発明に従う適切なプライマーと、それ自身公知の何れかの核酸伸長用の酵素類、反応液の塩濃度バランスなどを調節するためのそれ自身公知の何れかのバッファ成分およびdNTP混合物などを含み、且つ、伸長に適切な反応温度が維持された環境であればよい。また、ここで使用される「伸長」とは、それ自身当業者に公知の何れの伸長方法であってもよく、更に、伸長を繰り返す増幅方法であってもよく、例えば、PCRおよびアシンメトリックPCRなどの増幅方法であってもよい。
(2)合成した検出鎖を用いてライゲーションでSNPを検出する方法
更に詳しく、上記の内分子検出配列を用いたSNP検出方法の例について説明する。この例では、ヒドゲノムからSNPを本発明に従って検出する場合について説明する。
例えば図1にある第1の内分子検出配列5および第2の内分子検出配列6を用いて行う例を示す。これらの第1および第2の内分子検出配列5および6に含まれるプライマー配列の長さは30塩基程度の長さにし、第1の分子内検出プローブ配列24および第2の分子内検出プローブ配列26は、各々15塩基程度にする。このように当該プライマー配列と当該分子内検出プローブ配列長さを変えることによってハイブリッドの安定度に差がつき、PCR中に、第1の分子内検出プローブ配列24や第2の分子内検出プローブ配列26が、それらに相補的な配列に対してハイブリダイズしてPCRが阻害されることが少なくなる。更に、第1の内分子検出配列21の第1の分子内検出プローブ配列24には、検出鎖上のSNPとSNPの3’側の配列を選択して割り当てる。また、第2の内分子検出配列6の第2の分子内検出プローブ配列26には、検出鎖上のSNPの5’側の配列に相補な配列を選択して割り当てる。第1の内分子検出配列21のプライマー配列23は、検出鎖の相補鎖上のSNPよりも5’側の配列を選び割り当てる。第1の内分子検出配列22のプライマー配列25には検出鎖のSNPよりも5’側の配列を選び割り当てる。また更に第2の内分子検出配列22の5’端がリン酸修飾されている。
これら、第1および第2の内分子検出配列を用いて、ヒトの遺伝子であれば、10ngから数十ng程度のゲノムDNAをテンプレートとしてPCRを実施する。PCRには通常用いられるTaqポリメラーゼを使用してもよいが、これに限定するものではなく、耐熱性酵素であれば、それ自身公知の何れの酵素を使用してもよい。30〜40サイクル程度のPCRによって、図3にあるような両末端に検出配列を備え、検出鎖の5’端にリン酸基をもつ増幅産物が得られる(図3)。
次の分子内検出反応では、例えば、耐熱性リガーゼ、Taqリガーゼなどを用いると比較的高温で反応することができる。閉環産物内で標的配列に対して特異的な反応が保証できるならば、非特異なハイブリッド形成がおきやすい低温であっても、反応温度を低く選び、耐熱性でないT4リガーゼ等を使用してもよい。分子内検出反応を行うために、先の工程のPCR反応液からPCR産物を採取し、リガーゼ反応に適したバッファに混合する。その後、幅広い温度制御ができるPCRサーマルサイクラなどにより反応を進める。熱サイクルは、最初に2本鎖を変性し、検出鎖」を1本鎖にする95℃程度の高温過程から始まり(図4(4A))、図4の(4B)に記載するような分子内構造を形成させ、(4C)に示すようにアニーリングとリガーゼによる連結反応を行う。
ここで、アニーリングと連結の温度を異なるように設定してもよく、PCRのように変性工程を含めた熱サイクルを数サイクルから数十サイクル繰り返してもよい。また、温度をサイクルが進む毎に変更する熱サイクルにしてもよい。この工程により、リガーゼによるミスマッチハイブリッドの識別を利用することによって、高い精度を得ることができる。
ここで、図5(5A)に示すように、検出鎖が3’末端にSNP塩基と相補な塩基を持たない場合、当該検出鎖は、リガーゼにより連結されることはない。それに対して、図5(5B)に示すように当該部分が相補であれば、当該検出鎖はリガーゼにより連結されて末端の露出のない閉環構造となり、環状構造体が形成される。
分子内反応に続き、必要に応じて、反応液に残るプライマーやゲノムDNA、未反応の検出鎖や検出鎖の相補鎖などを分解する直鎖消化反応を行ってもよい。ここでは、先の分子内検出反応液に、エキソヌクレアーゼIまたはIIIなどの核酸消化酵素を入れ、必要に応じてバッファ成分、例えば、塩濃度、変性剤の添加、pH値など、を調整して一定温度で分解反応する。当該直鎖分解が終了した後、念のため95℃で10分程度処理により、使用したヌクレアーゼなどの酵素を失活してもよい。
次に、図6に記載するように第1のプライマー61と第2のプライマー62を用いて環状構造体63についてPCRを行う。ここで、第1のプライマー61は、第1のプライマー配列23の相補鎖、第2のプライマー62は、第2のプライマー配列25の相補鎖であってもよい。このようにすると、目的とするSNPが存在する場合には、分子内反応が起きて閉環されているので、増幅産物が得られる。ここでは、直鎖分解が済んだ、閉環を含む反応液の一部をとり、通常のPCR増幅を行えばよい。また、ここで使用されるプライマーは閉環の連結部を含む増幅産物を得られるように設計すればよい。例えば、得られやすい増幅産物は、約1000塩基以下の長さであり、そのような増幅産物が得られるように他の任意の配列を選択してもよい。この増幅の工程を実時間PCR装置で行う場合には、次の検出工程を省略してもよい。
最後に、期待する長さのPCR産物が得られたかを検出するために、例えば、電気泳動し、目的のSNPが存在するか否かを判定してもよい。このPCR産物を確認するためには、先のPCRを定量的PCRにしてもよい。電気泳動ゲルは、通常のスラブゲルであってもよく、キャピラリ電気泳動であってもよい。ゲルの材料は、アガロースであっても、ポリアクリルアミドなど、それ自身公知の何れの電気泳動用のゲルを使用してよい。また、分子ふるい効果のある電気泳動に適したマトリックスであればいずれでも使用してよい。DNAを染色するためにエチジウムブロミドおよびSYBR Greenなどの蛍光を発するインターカレータを使用することも好ましい。
4.第2の態様
ギャップライゲーションによる検出鎖合成
本発明に従うと、以下のような検出鎖を合成するための分子内検出配列を使用してよい。図7に示すような第1の分子内検出配列(7A)および第2の分子内検出配列(7B)は、ライゲーションによりSNPを分子内検出するために必要であってよい。分子内検出配列71は、プライマーとして使用し、分子内検出配列72はプライマーの下流にあってポリメラーゼによる相補鎖合成の終結点でリガーゼにより連結される核酸である。何れも検出鎖の一部をなす。分子内検出配列71は、5’端に分子内検出プローブ配列74を備える。この配列は、プライマー71により合成される検出鎖上のSNPに隣接する上流側の検出部位の配列と相補的であり、5’端がリン酸化されている。また、3’端のプライマー配列73は、検出鎖の検出部位の配列の上流に位置する配列である。このプライマー配列73の長さは、約15塩基〜約60塩基程度が適切であり、耐熱性ポリメラーゼを使ったPCR反応のアニーリング温度に適切な40℃〜72℃の範囲でハイブリッドを形成するものであればよい。分子内検出配列72は、3’端に分子内検出プローブ配列75を備えており、これは検出鎖の検出する配列の下流の配列と同一である。また、その5’端はリン酸化されている。
本発明に従う、片鎖のみを合成する方法の場合、両端に検出用プローブを備えた核酸(図11(11A))が1本鎖で生成する(図11(11B))。それによって、PCR増幅で被検配列を含む核酸の両端に検出用プローブを埋め込んだときにように生成する核酸が2本鎖でなく、分子内ハイブリダイゼーションをするときに核酸の再会合による阻害がおきないので有利である。
5.第3の態様
(1)ギャップライゲーションによる検出鎖合成
更なる本発明に従うと、以下のような検出鎖を合成するための分子内検出配列を使用してよい。例として以下の分子内検出配列を、1塩基多型の検出する場合に用いる場合を説明する。図8を参照されたい。上記のギャップライゲーションによる検出鎖合成(1)の場合、即ち、ライゲーションで分子内検出反応を行う場合と異なり、第2の分子内検出配列75(図7(7B))に相当する配列として3’端にSNP塩基と相補な塩基を備えた分子内検出変異プライマー配列85(図8(8B))を備える。また、第1の分子内検出配列74(図7(7A))に相当する配列は、この例では、検出鎖上でSNPよりも下流にある配列に相補的な下流連結配列84であればよい。それぞれの配列は、ポリメラーゼによる伸長反応を行うのに適切な30℃〜72℃以下の反応液中で安定なハイブリッドを形成するような長さ、例えば、約15塩基〜約40塩基程度にすればよい。
PCR以外の方法でも検出鎖を合成することができる。先に図10(B)にあるような構造をもつ核酸1と核酸2を準備し、検体のDNA、例えばヒトゲノムDNAとハイブリダイズさせる。検体DNAは、例えばヒトゲノムであれば400ng程度で、PCRで検出鎖をするよりもずっと多めにするのが適当である。また、核酸1、2の量は反応温度や検体DNA量にもよるが、検体DNA分子1に対して等量もしくは1倍以上の量比で存在すればよい。これら核酸1、2の濃度は等量であっても良いし、違っていても良い。
ギャップライゲーションによる検出鎖合成は、ポリメラーゼによる核酸1をプライマーとした相補鎖合成と、その相補鎖の3’末端と核酸2のリガーゼによる連結反応からなる。この反応が同時に進むように両方の酵素を同時に反応液に入れておいても良いし、最初にポリメラーゼを入れ、ポリメラーゼ反応後にリガーゼを入れてもよい。また、反応温度は検体がゲノムDNAであった場合、95℃で変性後4℃に急冷してハイブリダイゼーションが起きやすいようにする変性工程を入れても良い。ポリメラーゼにはKlenowフラグメント、Taqポリメラーゼなど鎖置換活性がないポリメラーゼが適当である。ポリメラーゼ伸長反応の温度は、ポリメラーゼの至適温度と、核酸1、2の融解温度(Tm)により適当に選ぶ。例えばポリメラーゼにKlenowフラグメントを用いるときは37℃程度にし、核酸1が安定に特異的にハイブリッドを形成するようTmを設計する。リガーゼによる連結反応の温度は、リガーゼの至適温度と核酸2のTmにより適当に選び、適切なのはリガーゼの至適温度範囲内であって、Tmから5〜10℃高い温度であろう。反応時間はリガーゼの失活の恐れがあるので、一般的に90分以内にしておくことが好ましい。
(2)ギャップライゲーション閉環によるSNPの検出
MIP法(特表2004−528016)の閉環反応のように反応液を4つの容器に4分割し、それぞれの容器に含まれる液に、dATP、dCTP、dGTPまたはdTTPの何れかを単独で添加する(図9(9B))。これにより、ポリメラーゼにより取り込まれる塩基を1種類に限定した状態でギャップライゲーションが行える(図9(9C))。このとき、分子内検出プライマー配列は、末端にSNP塩基を含まず、SNPの隣接塩基までの配列にすればよい。このときの配列の長さもギャップライゲーションによるプライマー、連結配列の長さと同様に、ポリメラーゼによる伸長反応を行うのに適切な30℃〜72℃以下の反応液中で安定なハイブリッドを形成するような長さ、例えば、約15塩基〜約40塩基程度にすればよい。
何れの配列も反応温度で安定な2次構造をとらないように、市販のVisual OMP(DNA software社)またはWeb上で公開されているVienna Package(ウィーン大学理論化学研究所、http://www.tbiunivieacat/RNA/)などの構造計算ソフトウェアで構造を算出し、反応が進むように配列を選ぶ必要がある。また、単に検出したい変異の周辺の配列からプライマーや連結配列を選ぶのではなく、遺伝子に特異的な配列を選択し、複数の箇所にハイブリダイズして反応効率が低下しないようにしてもよい。このためには、例えば、タプル法(特許第3610303号)やBLAST(ALTSCHUL,S.F.,Gish,W.,miller,W.,Myers,E.W.& Lipman,D.J.(1990)“Basic local alignment search tool.”J.Mol.Biol.215:403−410)による検索などで遺伝子特異配列を選抜することができる。このような手段は、本発明に従う他の態様においても利用することができる。
また更に、検出鎖を合成し、分子内検出するための各種核酸の構造は、1反応の中で1つの配列以上で検出することも可能である。即ち、1反応液中で複数の配列を検出するために人工配列を検出鎖に取り込ませ、この人工配列で検出する配列を見分ける方法である。このような方法も、本発明の何れの態様において使用してよい。
本発明に従うと、この人工配列を利用するための配列順序は容易に決定可能である。本明細書に記載の種々の検出用核酸を検出鎖を合成するための配列(例えば、プライマーまたは連結配列)と分子内反応をするための配列(即ち、分子内検出プローブ配列など)に分類する。このような分類をしたとき、検出鎖を合成するための配列と、分子内反応を行うための配列の間に人工配列を配置すればよい。これら人工配列は、その検出用核酸にユニークな配列にしてよい。ただし、SNP検出に用いる第2の分子内検出プローブ配列は最大4種類、通常、2種類でよく、検出時に工夫をすることにより、検出するSNPの位置に関わらず2種類の人工配列をそれぞれの変異に割り当てればよい。もしも2種類のアレルのあるSNPをn個(ここでn≧2である)、例えば100箇所同時に検出する必要がある場合には、第2の分子内検出プローブ配列(即ち、分子内検出変異プローブ配列、図中、ASOとも記す)は2種類、第1の分子内検出プローブ配列用の人工配列(即ち、分子内検出共通プローブ配列、図中、LSOとも記す)はn種類、例えば100種類準備し、n+2種類(例えば102種類)の人工配列で検出することが可能である。また或いは、もしも4種類のアレルのあるSNPをn個同時に検出する場合には、4種類のアレルとn種類の当該人工配列を準備すればよく、即ち、例えば100箇所のSNPを同時に検出する必要がある場合には、104種類の人工配列で目的のSNPを検出することが可能である。
さらに、増幅用共通配列として人工配列を利用してもよい。このときには、図10のように核酸1に、更にもう1つの人工配列を導入してもよい。先にあげた例のように2種類のアレルのある100箇所のSNPを検出するとき、上流プライマー側の人工配列は共通プライマー配列として1種類に限定し、LSO側の人工配列はSNPの位置に対応して100種類使ってもよい。一方、核酸2の人工配列はアレルの数の2種類あればよい。こうすれば、共通プライマー配列とアレルの2種類のプライマーにより分子内検出反応で連結された配列をPCR増幅することができ、SNPごとに変異を見分けることが可能である。
このような手段も本発明の何れのギャップライゲーションによる検出鎖合成の態様において利用してよく、核酸1を第1の分子内検出配列として、核酸2を第2の分子内検出配列として使用してよい。
本発明に従う、片鎖のみを合成する方法の場合、両端に検出用プローブを備えた核酸(図11(11A))が1本鎖で生成する(図11(11B))。それによって、PCR増幅で被検配列を含む核酸の両端に検出用プローブを埋め込んだときにように生成する核酸が2本鎖でなく、分子内ハイブリダイゼーションをするときに核酸の再会合による阻害がおきないので有利である。
6.第4の態様
アダプターライゲーション
図13は、制限酵素断片へのアダプター連結による検出鎖の合成に使うアダプター構造を示している。例では、5’端突出型の切断端をもつ制限酵素111および112で消化した場合について示している。アダプター101、102は、それぞれ大部分が2本鎖であり、一部が1本鎖である。ここでは、検出鎖の5’端を含むアダプターをアダプター2と称す。このとき、アダプター101は完全な2本鎖の分子内検出プローブ配列を備え、制限酵素1による切断端にハイブリダイズして2本鎖を形成するアダプタ配列を備えている。特に、分子内検出プローブ配列に相補な配列の5’端はリン酸化されておらず、アダプター配列の5’はリン酸化されている。一方、アダプター2はアダプター1と同様な構造を持つが、制限酵素2の切断端にハイブリダイズするアダプター配列を備え、検出鎖の5’端となる末端がリン酸化されている。アダプター側の5’端はリン酸化していてもよいし、していなくてもよい。ここで、SNPを分子内検出する場合には検出鎖の3’となる分子内検出プローブの3’末端に検出するSNP塩基に相補な塩基が来るように配列を選び、検出鎖の5’端となる分子内検出プローブ配列は検出する配列のSNP塩基の上流側に相補的な配列を備えていることが好ましい。
図13に示したアダプターを用いてアダプターライゲーションを行う例を図14に示す。
まず、被検試料141に対して、制限酵素1と制限酵素2を反応させる。それにより、被検試料141は、制限酵素1によって142aの部位で切断され、制限酵素2により142bで切断される。その後、制限酵素1による切断部位にアダプター1を、制限酵素2による切断部位にアダプター2を結合させる。それぞれの結合によりアダプター1は部位143aとなり、アダプター2は部位143bを形成する。これらのうち、5’末端がリン酸化されている方の一本鎖144bが分子内構造を形成し、環状構造体145が得られる。この環状構造体145をそれ自身公知の何れかの手段により検出すればよい。
制限酵素1と2の選び方により、標的とするSNPを含む制限酵素断片の両端が制限酵素1のみ、もしくは制限酵素2のみによる切断端になることがある。また、制限酵素1と2の位置関係が意図したものと逆になる場合があるので制限酵素の選択には注意を要する。
7.第5の態様
電気泳動による検出方法
これまで挙げた何れかの態様により、標的配列の存在に応じて閉環核酸が得られたとする。この閉環核酸を電気泳動により検出する態様を説明する。一般的に環状核酸、プラスミドなどは、同じ分子量の直鎖DNAと並行してゲル電気泳動したとき、泳動度が直鎖のものよりも大きくなる。この性質を用いれば、閉環核酸が生じたかをゲル電気泳動により判定することができる。
また、本発明の方法により得られた環状核酸の部分配列を増幅してその部分配列を検出する場合を示す。第3の態様の(2)に従って説明すれば、第2の分子内検出プローブ配列に隣接して配置する人工配列プライマーに蛍光色素を標識し、第1の分子内検出プローブに隣接して配置した人工配列プライマーとで閉環部をはさむような配列の向きにし、PCR増幅を行えば、閉環していれば増幅産物が得られる。例えばこの第1の分子内検出プローブに隣接するプライマーの5’側に、検出したいSNPの位置と長さが対応するように追加の配列を数塩基、好ましくはSNP位置ごとに5塩基程度の違いのあるテール配列を付けておく。更に、好ましくは第2の分子内検出プローブ側のプライマーの蛍光標識はアレルごとに色素を変えておくのがよい。また、共通の色素にしてプライマーの長さをテール配列の付加により変えておいてもよい。こうして得られた蛍光標識済みPCR産物を、アプライド・バイオシステムズ社のABI PRISM 3100 Genetic Analyzerなどの短鎖を精密に見分けることができる電気泳動装置を使って電気泳動すれば、SNP位置に対応した分子量でアレルに応じて蛍光の色の違うピークが得られ、タイピング結果を読み取ることができる。
8.第6の態様
質量分析による検出方法
質量分析により本発明の検出を行うには、次のような手段を用いる。第3の態様の(2)に従って説明すれば、第2の分子内検出プローブ配列に隣接して配置する人工配列のプライマーと、第1の分子内検出プローブ配列に隣接して配置する人工配列のプライマーで閉環したときにPCR産物が得られるように増幅し、このPCR産物を質量分析機で検出する。例えばシーケノム社のiPLEXシステムなどが核酸の質量分析に適している。
このPCR産物はSNP周辺の配列を含むため、質量分析のピーク位置は予想できない。このために質量分析機で予めどの位置にピークが現れるかを調べておく。更に、SNPとアレルごとに、質量ピークが異なるようにプライマーの長さをテール配列を付加して調整し、SNPごとに大まかにピーク位置が異なり、アレルは少しだけ異なるようにする。こうすれば、容易に質量分析によって本発明の検出ができる。
9.第7の態様
更に本発明の態様に従うと、核酸配列検出用キットが提供される。当該キットは、核酸試料に含まれる検出部位よりも3’側に位置する第1の核酸配列に相補的な配列を含む第1の分子内検出配列と、当該検出部位よりも5’側に位置する第2の核酸配列に相補的な配列を含む第2の分子内検出配列と、(ここで、第1の分子内検出配列の3’端の核酸と第2の分子内検出配列の5’端核酸の少なくとも一方が、互いに結合可能なように修飾されている)のうちの第1の分子内検出配列および/または第1の分子内検出配列を少なくとも含めばよく、更に所望のPCR、ライゲーション反応、核酸消化反応および/またはハイブリダイゼーション反応などのためのバッファ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、ポリメラーゼおよび/またはリガーゼなどの酵素、384穴マイクロプレート、96穴マイクロプレートおよび/またはエッペンドルフチューブなどの反応容器、マイクロアレイなどの検出デバイスなどを含んでもよい。
また、更なる本発明の態様に従うと、核酸配列検出方法のみならず、本発明に従う環状構造体の製造方法も本発明に含まれる。
本発明の態様により、非特異反応が生じにくく、且つ低コストで実行することの可能な核酸配列を検出するための手段を提供された。
II.遺伝子変異解析
本発明の更なる態様に従うと、また、遺伝子変異解析方法も提供される。
現在のところ1つの薬剤や疾病の感受性と関係のあるSNPセットは先に挙げた約300万カ所のうち、多くて数百カ所、数十カ所程度であると考えられる。例えばロシュ社の提供している薬剤感受性関連蛋白であるシトクロームP450のSNPタイピング用マイクロアレイでは遺伝子CYP2D6は29カ所、CYP2C19は2カ所のアレルをタイピングできるようになっており、合計31カ所を調べることができる。このように、診断では、何万カ所、何千カ所をタイピングする必要はなさそうではあるが、数十カ所、多くて百数十カ所程度のSNPのタイピングは必要になるであろうと考えられている。これだけのタイピングにサンガー法を適用するには数が多い。従って、ほかのより実験手順のシンプルな方法、例えばSSCP(Single Strand Conformation Polymorphism)法、SSP-PCR(Sequence Specific Primers -PCR)法、蛍光TaqManプローブによるリアルタイムPCR解析法、等が使用される。これらの方法は、1本の反応チューブ内で1つのSNPのアレルが存在するか否かを調べる、いわゆる「モノプレックス」の検出方法である。モノプレックス法では反応容器をSNPの数だけ準備し、それぞれに検体のゲノムDNAを入れる必要がある。従って、同時に処理できる検体数が限られ、試薬量も検体のゲノムDNAが多く必要である。
これらモノプレックス法に対して、90年代後半から提案されてきたのがマルチプレックス法である。先に挙げたロシュ社のシトクロームP450蛋白質のSNP検出用マイクロアレイも、1本の反応容器で反応し検出する点ではマルチプレックス法と呼ぶことができる。しかしながら、ロッシュ社の他に、より複雑で検出の柔軟性が高い方法が提案されてきた。
そのような方法の1例は、マルチプレックス法である。この方法は、天然の遺伝子配列を人工の配列に変換し、変換された当該人工設計配列の識別および/または検出を利用する方法である。マルチプレックス法の鍵となるのは、タグと呼ばれる人工設計配列部分である。この方法では、複数の遺伝子を予め割り当てられた通りに、1対1対応でタグに変換して、それによって同一の溶液内で複数の遺伝子が検出される。従って、対象となる遺伝子の検出は、変換されたタグの検出によって達成される。そのために当該タグの設計には2つのことが重要である。まず第1には、それぞれのタグが、独立に反応し、互いにクロスハイブリダイゼーションしないことである。第2には、同一溶液で同時に反応するために使用されるタグの融解温度(即ち、Tm値)が揃うことである。タグを利用する検出は、個々の遺伝子配列を相補的プローブを利用して検出する場合と異なり、検出段階ではいつも同じ一連のタグを利用できる。従って、これは検出対象の遺伝子が変わっても、同一の検出手法および/または検出デバイスを使える柔軟性のある技術である。
このような方法として例えば、コーネル大学のバラニーらはLDR(Ligase Detection Reaction)なる方法を開発した。この方法では、リガーゼを使ったSNP検出方法とジップコードと呼ばれるタグへの遺伝子の変換技術が組み合わされる。その結果、同一の反応液内で複数のSNPが検出される。これはABI社の検出キットSNPlexとして商品化されている。(特表2000-511060号公報、特表2001-519648号公報、特表2004-526402号公報)
また、オーキッド・セルマーク(Orchid Cellmark)社は、1反応液中で検出反応し、マイクロプレートの底に配置したマイクロアレイで48種類のアレルを見分けるSNP-ITという方法を提供している(特許第3175110号明細書、特表2002-508664号公報)。
現在もっとも成功を収めていると思われるのは、イルミナ(Illumina)社の提供する方法である。この方法は、ポリメラーゼ伸長反応とリガーゼの連結反応を行ってSNPを検出した後で、目的とする核酸配列をジップコード配列に変換し、マイクロアレイと同様なシステムである独自の検出デバイス(Bead Arrayと称される)を用いることにより、最大で約1500種類のジップコード配列を同時に検出する方法である(特表2002-519637号公報、特表2003-521252号公報)。
TM・バイオサイエンス(TM Bioscience)社は、ルミネックス(Luminex)社の蛍光で色分けしたビーズを利用して検出するマルチプレックス反応キットを提供している(特表2004-522440号公報、特表2004-526433号公報)。これは、研究用途の遺伝病検出キットとして提供されている。
このような技術において、遺伝子のタグへの変換反応は重要である。現在、当該変換に使用される反応には、リガーゼ連結反応(OLA:Oligonucleotide Ligation Assay)や、ポリメラーゼによる1塩基伸長などがある。それぞれの方法において、ミスマッチハイブリッドを識別する酵素の能力を最大限に生かしている。リガーゼ反応では、連結するプローブの3’末端にSNPの塩基が配置されるようにプローブ配列が設定される(Luo、J. et al, Nucl. Acids Res. 24, 3071-78 (1996))。
パーレル(Parallele)社は、MIP(Molecular Inversion Probe)法を提供している。これは、閉環プローブとギャップライゲーション法とを利用し、プローブ合成コストを下げ、反応効率を高めたタグを用いることによるマルチプレックスタイピング法である(Hardenbol, P. et al., Nat. Biotechnol. 21, 673-678 (2003)、Hardenbol, P. et al., Genome Res. 15, 269-675 (2005))。
DNAコンピューティングは、多くのマルチプレックス法の開発と商品化が進む中で、遺伝子検出に大きな変化をもたらしつつある技術である。このDNAコンピューティングは1994年に南カリフォルニア大学のエーデルマンが最初に提案したものである。それはDNAの反応により電子計算機が苦手とする組み合わせ問題を解いた実験の論文である。この論文はDNAを使って計算ができ、問題によっては電子計算機を上回る速度とはるかに少ないエネルギーで計算できることを示した。しかしそれだけでなくこの論文以降のDNA計算研究の成果は、遺伝子検査の視点から見れば誤差の少ない、すなわちクロスハイブリダイゼーションしにくい、反応性の揃った、すなわちTmの揃った人工設計配列を設計する技術の発展、DNAそのもので計算することから遺伝子で演算する発想につながっている。
DNAコンピューティング技術の遺伝子解析への応用をいち早く発想した日本の陶山らは、特許第3103806号明細書、国際公開第WO01/025481号パンフレットにあるように、それまでのDNAコンピューティング技術の検討の中から得られた人工設計配列の有用性に注目して、天然の遺伝子配列を特性の揃った人工設計配列に変換して検出するマルチプレックス法を提案した。さらに引き続き特開2002-181813号公報にあるように遺伝子と対応づけられて抽出された人工設計配列の論理演算、すなわち遺伝子の論理演算による遺伝子解析や疾患関連SNPの組み合わせを電子計算機を使わずに見つける方法を提案した。同時期に特開2002-318992号公報にあるようにDNAコンピュータのハイブリッドアーキテクチャと、遺伝子発現計測に応用した場合の形態、実験方法をも提案している。陶山らの提案したマルチプレックス検出用プローブは、アンカープローブ、アダプタプローブと呼ばれる2つのプローブからなり、発現計測ではアダプタプローブ側に人工設計配列とそれを増幅するためのプライミング配列が集中して配置されており、先に挙げたマルチプレックス法のためのプローブ構造と違い、遺伝子配列をプライマー間に含まないために人工設計配列毎の増幅特性の差がほとんどない特長をそなえている。
これらの先駆的研究に続いてアメリカのミルズは、遺伝子発現計測にDNAコンピューティング技術が使える可能性を示している(Mills, Trends Biotechnol. vol. 20 : pp.137-40(2002))。イスラエルのシャピオらは、がん細胞内でのDNAコンピューティングによる論理演算を利用して、疾患を診断し、診断結果に応じて遺伝子治療を行うための基礎的な実験結果を示している(Shapiro, et al., Nature. vol. 429: pp.423-9. (2004))。
以上の技術動向から、低コストに多数の項目を1度に検査できるマルチプレックス法はますます重要性を増しており、世界的に低コスト化、時間短縮、高感度化、項目数の増加を目指して研究開発が進められている。
1.分子内連結反応を利用する遺伝子解析方法
(1).用語の説明
ここで使用される「遺伝子」の語には、ゲノムに含まれるコーディングリージョンおよびノンコーディングリージョンの両方が含まれるものとする。また、本発明は、遺伝子変異などを解析および/または検出する方法を提供するものであるが、遺伝子変異解析に限らず、あらゆる核酸の解析および/または検出に好ましく利用されてよい。
ここで使用される「核酸」の語は、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、mRNA、全RNA、hnRNA、合成RNAを含む全てのDNA及びRNAを意味するものとする。
ここで使用される「変異」の語は、SNPおよびマイクロサテライト配列などの繰り返し配列などを含む遺伝子多型、塩基の挿入、欠失および/または置換、並びにそれらの組み合わせなどを示す。
本明細書における「核酸増幅が可能な条件下」とは、それ自体公知の核酸増幅が可能な何れの条件でもよいが、増幅反応を実施するに当たり、適切、より適切または最も適切な条件の選択は、本発明の実施者によって自由に選択されてよい。例えば、核酸増幅が可能な条件とは、本発明に従う適切なプライマーと、それ自身公知の何れかの核酸増幅用の酵素類、反応液の塩濃度バランスなどを調節するためのそれ自身公知の何れかのバッファ成分およびdNTP混合物などを含み、且つ、増幅に適切な反応温度が維持された環境であればよい。
ここで使用される「増幅」とは、それ自身当業者に公知の何れの増幅方法であってもよく、例えば、PCRおよびアシンメトリックPCRなどの増幅方法を示す。
ここで使用される「プライミング配列」とは、目的とする核酸にハイブリダイズし、核酸増幅の可能な条件下で、3’方向に核酸を伸長するためにプライマー3’端に配置され利用される配列である。
ここで使用される「人工設計配列」とは、人工的に設計された核酸配列を指示する。人工設計配列は、特に、使用者の目的に合わせて任意に、また何かを目的として意図的に設計してよい。例えば、本発明に使用される人工設計配列は、識別および/または増幅のために利用可能してよい。
ここで使用される「当該変異の3’側」とは、当該変異部位のみを指してもよく、当該変異部位およびその3’側の数塩基、例えば、1、2、3、4および5塩基などを指してもよく、更に、当該変異部位を除く当該変異部位よりも3’側の数塩基、例えば、1、2、3、4および5塩基などを指してもよいが、塩基の数は上記に限るものではなく、或いは6、7、8、9または10塩基などであってもよい。また、後述するプローブ配列の長さを考慮することも可能である。
(2).概要
本発明の概要は、図15から図17に示した1態様を例に説明することができる。
図15(A)を参照されたい。まず、検出の対象となる被検核酸と検出されるべき変異に応じた2のプライマー、即ち、第1のオリゴプライマー201と第2のオリゴプライマー202を用意する(図15(A))(本明細書においては「オリゴプライマー」を単に「プライマー」とも記す)。最初に、これらの2つのプライマーを用いて検出されるべき変異を含む被検核酸の一部分を増幅する。この増幅は、第1の増幅である。例えば、当該増幅はPCRによって行ってもよく、その場合、この増幅は1次PCRとも称されてもよい。
(i)被検核酸
図15(B)を参照されたい。この態様において、被検核酸212は2本鎖の核酸である。これは第2の1本鎖核酸212aと第1の1本鎖核酸212bを含む。第2の1本鎖核酸212bは、検出されるべき変異213bを含む。第1の1本鎖核酸212aは、検出されるべき変異213bに相補な核酸213aを含む。
本態様に従うと、解析の対象となるのは検出されるべき変異核酸213bである。従って、最終的な変異に関する解析結果および変異の有無などの情報は、検出されるべき変異核酸213bに関するものである。
被検核酸は、ゲノム核酸であっても、何れかの遺伝子に由来する核酸であっても、人工的に合成され核酸であってもよい。核酸の定義は上述した通りである。
ここにおいては、例として2本鎖の核酸からなる被検核酸に関する解析法について説明するが、本発明においては、当該被検核酸は1本鎖であってもよい。何故ならば、第1の増幅で例えばPCRを実施したとき、被検核酸が、例えば、1本鎖であっても、最初の熱サイクルで第1または第2のプライマーのプライミング配列から存在しない側の鎖も合成されるからである。それによって、最初から2本鎖の被検核酸があったように反応することができるのである。
(ii)第1のオリゴプライマー
図15(B)を参照されたい。第1のオリゴプライマー201は、第2の1本鎖核酸212aの一部分の連続した配列にハイブリダイズするよう設計される。即ち、第1のオリゴプライマー201の一部分が第2の1本鎖核酸212aの一部分に相補になるように設計されている。
詳細は図15(A)を参照されたい。本態様において、第1のオリゴプライマー201は4つの部分からなる。最も3’端側に、第1のプライミング配列204(図中、上部に横線を付した「primer1」と記す)が含まれる。第1のプライミング配列204は、第2の1本鎖核酸の一部分に相補であり、ハイブリダイズした後、適切な条件下でプライマーの役割を果たす。
第1のプライミング配列204の隣に並ぶ配列の最も5’側には第1のプローブ配列207(図中、上部に横線を付した「ASO」と記す)を配置した。本態様では、第1のプローブ配列207の最も5’端には、検出されるべき核酸である核酸213bに相同なヌクレオチド203が含まれる。この第1のプローブ配列207の存在により、検出および/または解析しようとする変異に関する情報を後述する人工設計配列に反映することが可能となる。
人工設計配列は、本態様で用いられる第1のオリゴプライマー201の場合、2種類配置した。第1の人工設計配列206(図中、上部に横線を付した「MT」と記す)は、第1のプローブ配列207の3’側に隣接するように配置した。第2の人工設計配列205(図中、上部に横線を付した「AT」と記す)は、第1のプライミング配列204の5’側に隣接して配置した。
人工設計配列「AT」、「MT」および「ASO」の用語についての詳しい説明並びに使用意図および機能についての詳細は後述するのでここでは省略する。
プローブ配列207の長さは、特に限定するものではないが、10塩基から30塩基であり、好ましくは15塩基から25塩基である。
第1の人工設計配列206および第2の人工設計配列205は、被検変異部位213bに関する情報を担わせるために人工的に設計された配列である。例えば、少なくとも何れか1を被検変異部位213bの遺伝子変異に対応した配列としてもよく、或いは、少なくとも何れか1に検出時に識別可能なタグとしての役割を持たせてもよい。また、変異の位置に関する情報を担わせるために人工的に設計された配列としてもよい。人工設計配列の長さは、5塩基から30塩基であり、好ましくは10塩基から25塩基である。また、1つのオリゴプライマーに含まれる複数の人工設計配列の長さは同じでもよく、異なっていてもよい。
また、この例では、第1のオリゴプライマーに含まれる人工設計配列を2、プローブ配列を1としたが、これに限定するものではなく、人工設計配列を1以上としても、或いは人工設計配列を含ませずにプローブ配列のみ含ませてもよい。1つのオリゴプライマーに含まれる複数の人工設計配列およびプローブ配列の長さは同じでもよく、異なっていてもよい。
図15(B)を参照されたい。第1のプライミング配列204は、第1の1本鎖核酸212a中の一部の配列に相補であって、互いにハイブリダイズするが、その位置は、第1の1本鎖核酸の当該変異部位213aよりも3’側である。1次PCR増幅において、第1の1本鎖核酸212aと第1のオリゴプライマー201は、第1のプライミング配列204の部分のみがハイブリダイズする。
(iii)第2のオリゴプライマー
図15(B)を参照されたい。第2のオリゴプライマー202は、第2の1本鎖核酸212bにハイブリダイズするように設計されている。
図15(A)を参照されたい。第2のオリゴプライマー202の5’端はリン酸化211されている。5’端に配置される配列は、第2のプローブ配列210である、その3’側には人工設計配列209(図15(A)中では「LT」と記載される)、更にその3’側には第2のプライミング配列208が含まれる。「LT」の用語の詳細については後述する。
図15(B)を参照されたい。当該第2のプローブ配列210は、第2の1本鎖核酸212b上で変異部位213bの3’側に隣接する一部の配列と相同な配列である。プローブ配列の長さは、特に限定するものではないが、10塩基から30塩基であり、好ましくは15塩基から25塩基である。
人工設計配列209は、被検変異部位213bに関する情報を担わせるために人工的に設計された配列である。例えば、変異の位置に関する情報を担わせるために人工的に設計された配列としてもよい。或いは、被検変異部位213bの遺伝子変異に対応した配列としてもよく、検出時に識別可能なタグとしての役割を持たせてもよい。また、人工設計配列の長さは、5塩基から30塩基でよく、好ましくは10塩基から25塩基である。
また、この例では、第2のオリゴプライマーに含まれる人工設計配列を1、プローブ配列を1としたが、これに限定するものではなく、人工設計配列を1以上としても、或いは人工設計配列を含ませずにプローブ配列のみ含ませてもよい。1つのオリゴプライマーに含まれる複数の人工設計配列およびプローブ配列の長さは同じでもよく、異なっていてもよい。
図15(B)を参照されたい。第2のプライミング配列208は、第2の1本鎖核酸212b中の一部の連続する配列に相補であって、互いにハイブリダイズする。その位置は、第2の1本鎖核酸の当該変異部位213bよりも3’側である。1次PCR増幅において、第2の1本鎖核酸212bと第2のオリゴプライマー202は、第2のプライミング配列208の部分のみでハイブリダイズし、当該核酸鎖を伸長して増幅を行う。
(iv)1次PCR増幅
前述した第1のオリゴプライマー201と第2のオリゴプライマー202を用いて、被検核酸212を、核酸増幅が可能な条件下で1次PCR増幅する。その結果得られる1次PCR増幅産物220を図16に示す。1次PCR増幅産物220には、5’端がリン酸化された核酸である第2の1本鎖核酸222と、当該リン酸化を含まない核酸である第1の1本鎖核酸221とが含まれる(図16)。
(v)分子内ハイブリダイゼーション
前記(iv)で得られた1次PCR増幅産物220を1本鎖に変性する(図17(A))。2本鎖から1本鎖への変性は、それ自身公知の何れの従来の方法を用いてもよい。当該変性の後に適切な条件下でリガーゼ等の酵素を用いて連結反応を行うと、分子内ハイブリダイゼーションが達成される。
このとき、1次PCR増幅産物の変性により生じた第1の1本鎖核酸221は、5’端がリン酸化されていないため、分子内ハイブリダイゼーションが維持されず、そのままの直鎖の形態で存在する(図17(B))。一方、5’端がリン酸化された第2の1本鎖核酸222は、5’端および3’端が変異部位塩基231へと湾曲し、当該変異部位塩基231と相補塩基232の間、プローブ配列207とその相補鎖226の間、および第2のプローブ配列210とその相補鎖230の間でハイブリダイズが生じ、更にリガーゼによって核酸232と第2のプローブ配列210の間にあるニックが連結されて分子内構造が形成され、第2の1本酸核酸222は閉環産物となる。これにより、閉環核酸分子が得られる(図17(C))。
(vi)2次PCR増幅
続いて、前述で得られた閉環産物となった第2の2本鎖核酸222の領域233について、人工設計配列209および人工設計配列205の相補鎖である人工設計配列234をプライマーとして用いて、核酸増幅が可能な条件下で2次PCR増幅を行う。このとき、使用されるプライマーの何れかまたは両方に対して識別可能な標識物質を付与してもよい。例えば、人工設計配列234を標識化プライマーとして使用してもよい。
(vii)検出
前記増幅により得られた2次PCR増幅産物235に含まれる検出されるべき変異である被検変異部位231に関する情報を識別可能な標識物質241を検出することにより得ることが可能である。例えば、2次PCR増幅産物235に含まれる何れかのプローブ配列または何れかの人工設計配列に相補なプローブにより回収して標識物質241を検出して被検変異部位231に関する情報を得てもよい。それにより検出されるべき変異に関する解析を行うことが可能となる。
基本的な1態様を例に上述で説明した通り、本発明に従う方法では、1次PCR増幅、分子内ハイブリダイゼーション、2次PCR増幅および検出および/または解析を行うことが特徴である。このような本発明の態様により、反応効率および検出感度が高く、少量の検体で容易に検出を行える核酸解析方法が提供される。
図18に、本発明において好ましく使用されるオリゴプライマーセットを記載した。上述の方法で使用されるオリゴプライマーは図18(A)の第1のオリゴプライマー201と第2のオリゴプライマー202である。本発明の1態様においては、第1のオリゴプライマーの5’端に被検変異部位塩基に相補な塩基を含まないものを使用してもよい。その例は、第1のオリゴプライマー243および245などである(図18(B)および(C))。その場合の当該プローブ配列は、図中、上部に横線を付した「LSO1」と記した。この用語の説明は後述でおこなう。
また、上述の例では第1のオリゴプライマー201には人工設計配列205および206が含まれていたが人工設計配列は1つだけでも、含まなくてもよい。人工設計配列を1つ含む例は、第1のオリゴプライマー248である(図18(D))。含まない例は第1のオリゴプライマー250に示される。また、第2のオリゴプライマー202、244、246および249の例では人工設計配列が1含まれているが(図中、「LT」と記す。用語の詳細は後述する)、人工設計配列は必ずしも含まれなくてもよい。その例は第2のオリゴプライマー251として示した。また、オリゴプライマーは、識別可能な標識物質やハプテンを有してもよく、それにより検出を有利に行ってもよい。その例は図18(E)の第1のプライマー250と第2のプライマー251に示した。
(viii)複製鎖
ここで使用される「複製鎖」とは、被検核酸の相補鎖、または被検核酸の相補鎖の相補鎖を合成することで得られる核酸をいう。図2の被検核酸を鋳型に合成された核酸221や222をいう。
(ix)分子内構造
ここで記載される「分子内構造」とは、ひとつの核酸分子の中で、2重鎖のハイブリッドを部分的にとっている構造をいう。2次構造とも呼ばれている。
(x)核酸モノマー
重合反応により、ポリヌクレオチドを形成する能力をもつ、デオキシアデノシン5’−トリホスフェイト、デオキシシチジン5’−トリホスフェイト、デオキシグアノシン5’−トリホスフェイト、デオキシチミジン5’−トリホスフェイト、デオキシウリジン5’−トリホスフェイト、アデノシン5’−トリホスフェイト、シチジン5’−トリホスフェイト、グアノシン5’−トリホスフェイト、チミジン5’−トリホスフェイト、ウリジン5’−トリホスフェイトなどを指示する。しかしながらこれに限定するものではなく、その他、人工的に合成された塩基などを備えて酵素の基質となり得る類似物質などをも含んでよい。
(xi)末端
核酸の末端状態には、リン酸が5’端末についたもの、ないもの、3’末端にOH基が出ているものなどがある。その他、核酸分子の末端の糖鎖や塩基に化学活性基があって、共有結合をなし得る状態にあるものも指示する。本明細書では、当該各「末端」を単に「端」とも記す。
以下に、更に詳しく本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではないと理解されるべきである。
2.実施形態の例
(1). 1塩基変異(SNP)を検出する態様
(1−1). ライゲーション反応により変異を検出するための態様の例
以下、ヒト細胞を処理して得られたサンプルDNAを用いたSNP検出反応を説明する。この態様では、検出に用いるプライマーとして図15(A)に示した2つのプライマーを使用する。本形態では、第1のオリゴプライマー201をASO(即ち、Allele Specific Oligonucleotide)プライマー、第2のオリゴプライマー202をLSO(即ち、Locus Specific Oligonucleotide)プライマーと呼ぶ(図15(A))。また、本例においては、検出されるべき変異である、検出されるべき核酸213bとして被検SNP213bが選択される。また、プローブ配列207および210はそれぞれASO207およびLSO210、人工設計配列206、205および209は、それぞれMT206、AT205およびLT209を使用する。
図15(B)を参照されたい。LSOプライマー201は被検SNP213bと同じ鎖上にある。なお、LSOプライマー201の5’端はリン酸化修飾されている。図ではSNP213bの被検出鎖212bの相補鎖上の配列名の上に横線を引いている。リン酸化修飾は、それ自体公知の何れの手段を使用してもよい。また、核酸をあらわす矢印は5’端から3’端への向きで記している。プライミング配列204および208は、ゲノムの配列から選択し、ASO207およびLSO210の部分はSNP213bとSNP213bに隣接する配列に相補、もしくはミスマッチ塩基を入れてほぼ相補なように選んでよい。
ミスマッチ塩基を入れる場合は、例えば3’末端から4塩基離れた位置や、7塩基離れた位置の塩基をミスマッチになるように改変すればよく、好ましくは7塩基離れた位置、識別能が上がらなければ4塩基離れた位置に入れればよい。この3’端からの位置や、ミスマッチの個数、どのミスマッチの塩基にするかは任意に決めればよく、適当にミスマッチを入れて核酸ハイブリッド安定性を下げることにより変異を誤ることなく検出することが可能になる。また、ミスマッチの塩基に変えるだけでなく、イノシンなど人工塩基にすることも有効な手段である。
SNP213bの塩基はASO207の5’末端に配置される。
ここで、「AT」はAmplification Tagの略であり、増幅プライマーの配列に用いる。MTは「Mutation Tag」の略であり、遺伝子変異に対応した配列になっている。「LT」はLocus Tagの略であり、変異の位置と対応した配列になっている。
原則としてMT206配列はASO207配列に対応させて定め、LT209配列はLSO210配列に対応させて定める。ただし、場合によっては、すべてのMT206配列がASO207配列ごとに違う配列になるように設定すればLT209配列は共通の配列であってもかまわない。また、LT209配列を変異の位置ごとに違うようにすれば、MT206配列は各変異位置での変異の種類、SNPで言うとアレル数だけ用意して変異と対応させて決めればよい。
以下、図19のスキームに従って、本態様のプロトコールを簡単に説明する。まず、5’端がリン酸化された第2のプライマーとしてのLSOプライマー202を用意する(図19(A))。
最初の1次PCRにおいて、第1のプライマーとしてのASOプライマー201とLSOプライマー202を用いて標的SNP配列213bを含む被検核酸としてのゲノム断片212に関して増幅反応を行う(図19(B))。これらASOプライマー201やLSOプライマー202の増幅および/または検出対象のSNP213bは1箇所で設定してもよく、複数個所で設定してもよい。ただし、1セットのプライマーは1箇所のSNPを検出するのに使うので、検出しようとするゲノム上の1箇所のSNPを含むようにその位置を定める。従って、複数箇所設定する場合には、複数のプライマーセットが必要になる。
この増幅で得られた産物は図16の構造を有する1次PCR増幅産物220となる。図19(B)中では「PCR産物220」と記載される。また、図19(B)のASOプライマー201に含まれるタグ252の部分は、図15(A)で記載されるプローブ配列207、人工設計配列206および205の部分に相当し、タグとしての役割を果たしている。同様にLSOプライマー202に含まれるタグ253は、図15(A)で記載されるプローブ配列210および人工設計配列209の部分に相当し、タグとしての役割を果たしている。
この1次PCRの次に、平滑化反応を行い、1次PCR増幅産物220の3’末端に付加されているaを削除するための操作を行う(図19(C))。ここでは、1次PCR増幅産物220から突出した核酸のヌクレオチドを除く。そのためには、3’から5’への向きのエクソヌクレアーゼ活性のある酵素ならば何を使ってもよい。当該1次PCRにおいて強いプルーフリーディング活性をもつポリメラーゼを用いる場合には、この過程、即ち、平滑化反応は省略することができる。
次に、平滑化反応の済んだ1次PCR産物254で分子内連結反応をおこなう(図19(D))。ここでPCR産物内にASO、LSOに対応する配列がある場合に連結反応が生じ、図19(D)の構造の分子222ができる。ここで、必ずしも産物内にあるSNPアレルと増幅に使ったASOが対応関係にあるとは限らないことに注意しておく。塩基選択性を高めるために高温で連結反応をおこなうため、Taqライゲースなど耐熱菌のライゲース酵素を用いてライゲーションを行う。または同様な高温下で光反応性の塩基を使って合成したプローブによる光連結にしてもよい。ここで連結反応が起きれば両末端にあるプローブがつながって閉環し図19(D)のようなダンベル状の分子222になり、標的のSNPがない場合は直鎖状のまま閉環しない核酸221として溶液中に存在することになる。
こうして得られた反応液はタグ配列を増幅する2次PCRの前に、1次PCRで用いた未反応のASOプライマー201とLSOプライマー202、未反応直鎖分子である核酸221の一部を消化する消化反応にかける。この工程は残留した直鎖状分子である核酸221を部分的にも消化することで、PCRでのミスプライミングや複雑な配列構造を原因とする予測不可能な産物ができるのを防ぐ。また、消化酵素は核酸の1本鎖末端から消化するので、未反応の1次PCR産物の末端に存在するSNP検出プローブであるASO207、LSO210の配列やタグから分解されるので都合がよい。ただし、原理上はこの工程は不要であり、やってもやらなくてもよい。
本発明では東洋紡のKODポリメラーゼのエクソヌクレアーゼ活性を用いて消化してもよいが、1本鎖核酸に対するエクソヌクレアーゼ活性があるならばどんな酵素を用いてもよい。また、これに代わり、超音波処理して、閉環したDNAを直鎖化したり、塩濃度の低い溶液中で高温にさらして切断することで、PCRを阻害する複雑な2次構造が生じにくいように長鎖DNAを断片化する操作をしてもよい。
図19(E)を参照されたい。2次PCR増幅は、閉環核酸255のAT、LTではさまれる部分を増幅する。ここではATか、LTに化学標識しておくことでタグに検出標識をすれば、タグの増幅または増幅と同時に1本鎖化が行える。例えばAT、LTプライマー量を同一にすれば通常のPCR増幅となる。また、PCR増幅するときに検出用標識をつけた側のプライマー量をもう一方のプライマーよりも多くしてアシンメトリック(即ち、非対称)PCRしてもよい。もしもアシンメトリックPCRした場合には図19(F)のような産物235が得られる。ここで、図19(F)は核酸マイクロアレイ256のプローブ固相部257に固相化プローブ258を使用した例を示した。固相化プローブ258に標識物質を付された産物235がハイブリダイズした後に標識物質を測定すればよい。しかし、後述するように、これに限定されるものではない。
2次PCRで1本鎖の検出タグを増幅生成した場合、反応が終わった時点で検出反応に入ってもよい。もしも、2重鎖の検出タグを増幅した場合は検出反応までに1本鎖へ変性する操作を入れる。これは、次の方法によって実現できる。例えば、検出しない側の検出タグ鎖を合成する側のプライマーの5’端にビオチンを標識しておく。こうすれば2次PCR反応でのPCR増幅後、ビオチンで被覆した磁気ビーズや、多穴プレートのウェルにてビオチン化2重鎖タグは溶液から分離される。分離した2重鎖は低い塩濃度のバッファ中で95℃に加熱したり、NaOH水溶液などのアルカリにより変性して標識したタグを1本鎖化して溶液中に分離する。このほか、検出の直前に95℃に加熱して、氷中にて急冷してから検出反応する方法もある。
検出用標識としては、Cy3、Cy5、FITC、Alexa、TAMRAのような核酸標識に適した蛍光色素、蛍光色素を含むビーズ、量子ドット、複数の量子ドットを含むビーズ、化学発光検出で使われるDIG(ジゴキシゲニン)およびビオチンなどが考えられる。しかしながら、これらに限定されるものではなく、ハイブリダイズしたタグを検出するためのDNAなどの核酸に標識できる物質であればどんなものでもよい。
最後の検出反応では、2次PCR以降に得られた1本鎖の標識をしたタグをその配列ごとに定量する。このための検出には例えばスライドグラス上に微小なプローブスポットを固定した核酸マイクロアレイ56(図5(F)を参照されたい)や、Luminex社の蛍光で識別可能なビーズ、Illumina社のファイバ端にビーズを吸着したビーズアレイなどの使用が考えられる。
また、特開平11-75812にあるキャピラリアレイや、なども溶液中にある多種のタグをプローブを用いて検出するのに好適な検出デバイスである。これら検出デバイス上にもしくは2次PCR反応後の変性過程を経た1本鎖標識タグをハイブリダイズさせ、ウォッシングで非特異ハイブリッドを除いた後、タグに施した標識を検出する操作、例えば化学発光反応や、蛍光色素の標識ならばマイクロアレイスキャナや、CCDカメラによる画像検出、フローサイトメーターによる蛍光ビーズの検出などを使って検出することが考えられる。
これらの検出データから、対応する標識タグの量を出し、それ応じてSNPのどちらのアリルのホモ接合なのか、ヘテロ接合なのかをソフトウェアで判断したり、タイピング結果として電子にファイル化したり、データ記録媒体に記録したり、グラフ化して表示したり、紙に印刷してもよい。
プライマーに用いるAT、LT、MTなどのタグを構成する配列としては、特開2002-318992にあるような正規直交配列を基本単位に選ぶのが適当である。この正規直交配列は2重鎖をなすときの融解温度(Tm)が一定範囲に収まっており(即ち、正規性である)、相補鎖以外のどの2つの配列をハイブリダイズしても、また、どの2つの配列の連結によって得られる新たな配列とも安定なハイブリッドを形成しない(即ち、直交性である)ように配列を設計してある。望ましくは、さらに検出対象のゲノム配列、遺伝子配列とも安定なハイブリッドを形成しない正規直交配列を選択して使用する。
タグの長さはそれぞれの反応、即ち、PCRやアシンメトリックPCR、ハイブリダイゼーション反応で反応を実施するアニーリング温度付近にTmをもつ塩基組成、長さを選べばよい。望ましくは15塩基から35塩基程度で、合成しても精製コストがかかりにくいような長さがよい。また、最適反応温度としては40℃以上で、PCRに一般的に使用される耐熱菌のポリメラーゼの至適温度の72℃以下がよい。
(1−2). 相補鎖合成とライゲーション反応の組み合わせ(即ち、ギャップライゲーション)により変異を検出するための態様の例
上記(1−1)で記したライゲーション反応などを用いず、ギャップライゲーションと呼ばれる相補鎖合成とライゲーション反応の組み合わせによって閉環反応を実施する1例を示す。
このギャップライゲーションのためには、図20のような2のプライマー、即ち、第1のプライマー243と第2のプライマー244が必要である。これら構造はライゲーションによる検出とは異なる。即ち、図15(A)の第1のプライマー201では5’末端にSNP塩基に対応する塩基203を有するASO配列207を有していたのに対して、図20の第1のプライマー243では、配列の末端の塩基203を除いた、LSO1と呼ばれる配列を第1のプローブ配列として配置する。一方、第2のプライマー244では、LSOと呼んでいた配列をLSO2と呼び第2のプローブ配列として配置する。第1のプライマー243および第2のプライマー244とも、その他の配列、即ち、人工設計配列であるMT、ATおよびLT、並びに第1のプライミング配列および第2のプライミング配列は、上述の(1−1)と同様の配列を用いる。
この反応では1次PCR後に残留しているdNTPを除く工程が必要とされる。この工程は、1次PCR増幅の後、または平滑化反応後にdNTPを除くためのそれ自身公知の何れかの手段により実施してよい。例えばフィルタによるPCR産物の回収や、第1のプライマーとしてのLSO1プライマー243か第2のプライマーとしてのLSO2プライマー244の何れかの標識物質を磁気ビーズなどにとらえる反応をおこなうことで実現してもよい。このときの当該プライマーの標識物質とは、ビオチンなどの互いに選択的に結合可能な物質の一方であればよく、それ自身公知の手段によりプライマー合成の際に付与することが可能である。
次に、ギャップライゲーション反応を行うために、dATP、dCTP、dGTPまたはdTTPの何れか1種類だけが含まれる反応チューブを用意する。前述の通り1次PCR増幅と平滑化反応を完了したサンプル溶液を、dATP、dCTP、dGTPまたはdTTPの何れか1種類だけが入った反応チューブに分割する。それぞれの反応チューブにさらにポリメラーゼ、ライゲースを加える。次に、温度変化によって、図21に示すような閉環のために1塩基足りないダンベル様構造を有する核酸271を取らせる。このときの温度変化は、例えば、環状ハイブリッドが生じるような温度変化であればよく、反応溶液の塩濃度にも寄るが、例えば95℃から65℃への温度変化が好ましい。
この後、問題となるSNP配列272に相補な塩基が反応液中にあればポリメラーゼによる相補鎖の1塩基だけの伸長がおきる。その結果図22の構造を有する核酸281ができる。
次に伸長された塩基とリン酸修飾されたLSO2の5’端とがライゲースにより連結される。以降の反応はギャップライゲーション前に分けた4つのチューブごとに進める。ただし、2次PCR増幅のときに入れる標識の種類をA、C、GおよびTごとに異なるものにするのであれば、4つのチューブの反応液を再び1液に合わせて検出してもよい。
(1−3). 2箇所以上のギャップを連結するライゲーション反応を用いて検出する態様
図23のようにプローブを3つに分けることでも検出が可能である。(1−2)に記載したようなギャップライゲーション法で検出する場合には、第1のプライマーの5’からSNP塩基を除いた。ここに示すこの例では、問題となるSNP塩基とそれに隣接する塩基も含め、3塩基を独立したプローブとして間隙配列247(図中では「ASO」と記す)とする。
またSNPによりいろいろな配列があるために、SNPはA、C、G、Tの4種類、SNPの両側の塩基はミクスチャ塩基として合成し、5’端をリン酸修飾する。ミクスチャ塩基にせずともイノシンのようなユニバーサル塩基を用いてもよい。上述した(1−2)のギャップライゲーション法に比べて、第1のプライマー245におけるプローブ配列であるLSO1配列、および第2のプライマー246におけるプローブ配列であるLSO2配列は、ともにSNP側の塩基が1個ずつ減った配列である。また、第2のプライマー246のLSO2配列の5’端はリン酸化修飾されている(図23)。
まず、第1のプライマーであるLSO1プライマー245と第2のプライマーであるLSO2プライマー246を用いて1次PCR増幅する。通常のライゲーションにより閉環する場合と同様に反応を進める。ライゲーションによる閉環反応の前に、目的とするSNPに相当する部位がA、C、GまたはTである間隙配列であるASO配列247を、反応チューブ4本それぞれに予め入れておく。それぞれの反応チューブに、ライゲーションによる閉環反応前の反応液を前記反応チューブ4本に分割して添加する。これらチューブでは間隙配列であるASO247が短いため、比較的低温、例えば、37℃でライゲーション反応を行ってよい。リガーゼとしては、この温度で活性の高いそれ自身公知の何れのリガーゼを用いてもよい。更に、これ以降は、上述したギャップライゲーションと同様に検出反応まで進めればよい。図24は目的とするSNPを検出し閉環した状態の核酸分子300を示す。
(1−4). タグの構造を簡略化したASOプライマー、LSOプライマーを用いる形態の例
図25に示すように、人工設計配列であるATを含まない第1のプライマーとしてのASOプライマー248と第2のプライマーとしてのLSOプライマー249を用いる例を示す。
更に図26を用いて本態様の1例を説明する。本例に従う方法では、例えば、図15に示す第1のプライマー201などのようにアレル特異的なASO側(即ち、第1のプライマー1)のタグ配列(即ち、プライミング配列以外の配列、「ASO」、「MT」および「AT」配列)のうち、1つの人工設計配列であるAT配列を省略した第1のプライマー248を使用する(図26(A))。図26(A)に示した第1のプライマー248と第2のプライマー249を用いて被検核酸に対して1次PCR増幅を行う(図26(A))。
2次PCR増幅のプライマーとして使用するMT配列は目的とするSNPのアレル2種類に合わせて、2種類設定する。2次PCR増幅の際には、2種類のMT配列は、それぞれプライマーとして使用されるが、種類ごとに異なる蛍光標識を付与され、第1のMTプライマー301および第2のMTプライマー302として用意される(図26(B))。プローブ配列であるLSOと隣接する人工設計配列であるLTは、目的とするSNPごとに異なるような配列となるように設定する。このように2次PCR増幅では、プライマーとして、MT配列を2種類、LT配列は検出するSNPの箇所の数だけ準備する。
次に、これらを2次PCR増幅反応させる(図26(B))。図26(C)に示すように、ここでできた2次PCR産物303および304は、例えばマイクロアレイ305で検出するとき、LT配列の相補鎖を検出するようにプローブ306の配列を決めておけば、マイクロアレイ305の同一スポット307上での蛍光強度の違いにより、アレル量比を比較することができる。また、この形態に従う方法によって第1のプライマーであるASOプライマーの長さを短縮することが可能になる。
(1−5). タグ配列核酸でなくタグ標識物質を用いる態様
図27のような識別可能な化学物質、例えば、ビオチンやハプテンを核酸の末端でない場所に標識として付与した第1のプライマーとしてのASOプライマー250、および第2のプライマーとしてのLSOプライマー251を使用しても本発明の方法に従う好ましい態様を提供することが可能である。上述のような第1のプライマー250および第2のプライマー251は、それ自身公知の何れの従来技術を使用しても準備することが可能である。
また、第1のプローブ配列であるASOと第1のプライミング配列(図27中、「primer1」と記す)、および第2のプローブ配列であるLSOと第2のプライミング配列(図27中「primer2」と記す)の配列の間には、例えばリンカー分子や、塩基A(即ち、アデニン)などの連続したスペーサー配列を入れてもよい。
このようなASOプライマー250およびLSOプライマー251を用いて1次PCR増幅を行い、更に、例えばライゲーションにより閉環分子を形成させる。この場合の閉環反応はアレルの検出と核酸の保護を目的とする。閉環反応に続き、消化反応を行うことにより直鎖分子は消化され、両端に化学標識のある直鎖核酸は消失する。
こうして閉環した分子をストレプトアビジンで被覆したラテックスビーズと、抗ハプテン抗体を被覆したラテックスビーズと混合すると標的のアレルが存在したときにラテックスビーズがそれぞれ閉環分子に結合し、ビーズが凝集する。一方、直鎖分子はエクソヌクレアーゼ処理することで分解されているのでビーズの凝集はおこらない。こうして特定のアレルの存在を検出することができる。
ほかには、複数のアレルを検出できるように同一のSNP箇所でもASOプライマーにつける化学標識物質を変えて反応し、例えば、あるアレルを検出するASOプライマーはビオチン、別のアレルを検出するものにはDIG(ジゴキシゲニン)を標識して反応する。その結果2種類の閉環分子が得られる可能性があるが、それぞれ別のビーズ懸濁液、抗DIG抗体を被覆したビーズと抗ハプテン抗体を被覆したビーズの液、ストレプトアビジン被覆ビーズと抗ハプテン抗体を被覆したビーズの液に分けてビーズの凝集が起きるかどうかでSNPを検出することができる。
さらに、このような標識をしたときの別のビーズ検出方法として磁気ビーズを用いた検出方法を示す。まず閉環分子を生成したあと、反応溶液を抗ハプテン抗体被覆の磁気ビーズと反応させる。このときハプテン標識のある核酸が磁気ビーズに捕獲されB/F分離により溶液中からビーズが回収される。ビーズとストレプトアビジンと蛍光色素標識した抗ハプテン抗体を混ぜ、B/F分離をしながら特異的に抗体が結合するようにしてビーズからの蛍光を計測することでアレルの存在を検出することができる。B/F分離した磁気ビーズ上の核酸を検出するのには蛍光以外に化学発光で検出する方法も考えられるし、吸光を検出場合も考えられる。
ほかにはASOプライマー、LSOプライマーには標識をせず、2次PCRのときに使用するMTプライマーとLTプライマーに異なる識別可能な化学標識、例えば、MTプライマーにはビオチン、LTプライマーにはハプテンなどを標識してもよい。この場合、2次PCR増幅はアシンメトリックでなく通常のPCRを行うことにより、2重鎖のタグ増幅物を得る。これを先に述べたようなストレプトアビジン被覆のラテックスビーズと抗ハプテン抗体被覆のラテックスビーズにより凝集させ、それを検出することにより目的の検出が達成される。
(1−6). 1色の蛍光で検出する態様
複数種類の蛍光色素を用いないでSNPアレルを検出することもできる。たとえば、上述した(1−1)の方法でMT配列をASO配列に対応させてすべて異なるように設計し、検出をマイクロアレイで検出する。当該マイクロアレイには、MT配列を検出するようなプローブを固定しておく。これにより2次PCR増幅で使用するMTプライマーに1色の蛍光色素を付与するだけで、アレルごとの異なるスポットに蛍光が検出される。その結果、どのアレルが存在するのかを検出することが可能である。
(1−7). 検出に関する態様
本発明の態様において使用することが可能な幾つかの検出に関する手段の例を以下に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。上述したように、本発明の1態様に従うと、プライマーにより検体核酸を第1の増幅をすると同時に増幅産物末端に分子内検出用のプローブ配列を埋め込むことが可能となる。それによって、変異が存在する場合に、プローブ部分にハイブリダイズが生じ、その結果、得られる増幅産物が内部構造を可能にして、その後に酵素によって閉環される。従って、次に、閉環部分を含む増幅産物が得られるような第2の増幅、例えば、PCRを行って得られた増幅産物を検出すれば、求めようとする核酸の変異を検出することが可能になる。
例えば、検体核酸中の複数の変異を同時に検出するために人工設計配列、タグを用い、このタグをハイブリダイゼーションで検出すれば、1または複数種類の変異の存在を判定することが可能である。
本発明の態様に従って当該変異の検出に使用可能な手段について更に記す。まず、検出手段には、単一の変異の有無を検出する方法と、複数の変異の有無を検出する方法がある。単一の変異の有無を検出する方法には、ゲル電気泳動やビーズの凝集を利用する方法を挙げることができる。また、複数の変異の有無を検出する方法には、マイクロアレイ、ビーズの凝集、およびそれ自体識別可能なビーズを使用する方法などが挙げられる。
ゲル電気泳動を用いた場合には、次の方法を使用してもよい。本発明に従う方法に従って形成した閉環した核酸分子と、直鎖状の形態を維持した核酸分子とでは泳動度が異なる。即ち、一般的に、閉環した分子の方が泳動度が大きくなるので、見かけの分子量が小さくなる。例えば、ある変異を検出したがどうかを調べるときにゲル電気泳動すると、閉環分子が含まれている場合には、泳動度の大きいバンドが検出される。泳動度を容易に比較できるように、参照用に分子量マーカーや、実際に閉環した核酸分子、直鎖状の核酸分子などを同時に電気泳動すれば、より明確に変異の存在を検出することが可能である。
マイクロアレイを使用して検出する場合の1例を説明する。マイクロアレイは、人工設計配列に相補な核酸プローブを、スライドガラスやマルチウェルディッシュを含むディッシュなどの支持体上に微小なスポットとして多数固定して作ることが可能である。当該固定された核酸プローブへのハイブリダイズの有無を検出することにより変異の存在を検出することができる。例えば、本発明の第2の増幅において使用するプライマーに、予め識別可能な化学物質を標識すればよい。その結果、第2の増幅産物には人工設計配列が備わっているので、それをマイクロアレイの相補なプローブへハイブリダイズさせ、当該プライマーを介して第2の増幅産物に標識された化学物質を検出すればよい。マイクロアレイを使用することにより、どの人工設計配列が存在するのか、即ち、どの変異が存在するかを複数種類について簡便に検出することが可能である。このような例では、蛍光色素を標識して蛍光検出するのが手軽である。しかしながら、これに限定されるものではなく、化学発光、発色などのその他の識別可能な手段を利用してもよい。必要な感度やプローブ配置の密度に応じて、実施者がよりよい手段を選択すればよい。
また、マイクロアレイに類似した手段としてルミネックス社から入手可能な蛍光ビーズシステムを本発明に従って利用してもよい。当該蛍光ビーズは、2種類の蛍光色素がそれぞれ10段階の濃度で含まれる。従って、蛍光検出を行うことにより100種類のビーズが識別可能である。例えば、これらの蛍光ビーズの種類毎に、本発明に従う人工設計配列のプローブを固定する。次に、本発明の第2の増幅段階で得られる増幅産物を蛍光色素などで標識した上で、前記蛍光ビーズのプローブとハイブリダイズさせ、フローサイトメーターと同様な機構で1つ1つの蛍光ビーズを蛍光検出し、それぞれの蛍光ビーズに人工設計配列がハイブリダイズしているか否かで変異の存在を検出することが可能である。
また、量子ドットのような蛍光で識別可能な半導体粒子を本発明の態様に従って検出に利用してもよい。量子ドットとは、半導体微粒子である。これは、有機系色素には見られない多様な特性を示す蛍光物質であり、当業者にそれ自身公知の何れの材料を用いてもよく、それ自身公知の何れの方法によって製造したものを本発明の態様において使用してよい。例えば、量子ドットを用いる場合には、まず、量子ドットにプローブを固定し、各粒子を互いに重ならないように平板の上に展開し、粒子の種類と粒子上にハイブリダイズする人工設計配列を検出すればよい。しかしながら、本発明の検出手段はこれらに限定されるものではなく、従来公知の何れの検出方法を利用してもよい。
(2). 挿入(Insertion)および欠失(Deletion)による変異を検出する形態の例
被検核酸における変異が、挿入または欠失の何れかであるのかを検出する場合の例を説明する。例えば、ゲノムへの挿入または欠失変異を検出するためには、上述した(1−3)で説明した通り、第1のプライマー、第2のプライマーおよび間隙配列を使用して、2箇所以上でライゲーションする手段を使用すればよい。間隙配列であるASOは、挿入配列そのものを検出するための配列として設計する。例えば、挿入配列がTTTTAAAAであって、挿入変異の場合の配列が同様の向きでTTTATGCAAAAであれば間隙配列であるASOは、5’端から挿入部配列CGTATTTとすればよい。
また、欠失型の場合、第1のプライマーであるLSO1および第2のプライマーであるLSO2がそのまま、直接に連結されるように配列を設定すればよい。
(1−3)と同様に、第1のプライマーであるLSO1と第2のプライマーであるLSO2を用いて1次PCR増幅を行う。ライゲーション直前に、挿入型を検出するための反応チューブと、欠失型を検出するための反応チューブにそれぞれ、前記1次PCR増幅後の反応液を分割して添加する。このとき、挿入型を検出するための反応チューブには間隙配列ASOを入れておき、欠失型を検出するための反応チューブには間隙配列ASOは入れておかない。その後、それぞれのチューブごとに通常のライゲーション反応による閉環反応を行う。更にそれぞれのチューブごとに、上述したギャップライゲーションと同様に検出反応を行い、挿入型か欠失型を決定する。
また、反応液を検出時に混ぜてもよく、その場合、単純に2次PCR増幅で生成したPCR産物を電気泳動すればよい。仮に、長い断片が検出されれば挿入型と判定し、短い断片が検出されれば欠失型と判定することも可能である。
(3). ゲノムのメチル化を検出する態様
本発明の1態様に従えば、ゲノムDNAのメチル化を検出することも可能である。この場合、最初にシトシンを特異的にウラシルに転化する亜硫酸水素処理を行うことが必要である。これによりメチル化されていないシトシンはウラシルに変化し、メチル化されているシトシンはそのままの状態、即ち、シトシンのままで維持される。転化されたウラシルを検出するように、または転化されずに維持されたシトシンを検出するように上述の(1−1)で使用される第1のプライマーおよび第2のプライマーを設計し、上述を(1−1)に記載された通りに反応を行い検出を達成すればよい。
或いは、上述の(1−2)で使用した第1のプライマーおよび第2のプライマーを使用し、且つ、dTTPの入った反応チューブを用いて伸長連結を実施することによって、その結果から、非メチル化シトシンの存在を検出することも可能である。
更に、上述の(1−3)で使用した第1のプライマー、第2のプライマーおよび第3プライマーを使用することにより検出してもよい。その場合、特定のCpGアイランドに相補なASO、即ち間隙配列を準備して検出および反応し、閉環分子が作られるかどうかを検出することでメチル化が検出されてもよい。或いは、上述した何れの態様の例を利用することによっても目的とするメチル化を検出することが可能である。
(4). 繰り返し配列の繰り返し回数を検出する形態の例
繰り返し配列の繰り返しの回数を検出するためには、従来ではサンガー法が使用されるが、本発明の方法に従っても、繰り返し配列の繰り返しの回数を検出することが可能である。上述した(1−2)のギャップライゲーション法を応用し、繰り返し配列を挟み込むように第1のプローブ配列であるLSO1および第2のプローブ配列であるLSO2の配列を定め第1のプライマーおよび第2のプライマーを設計し、1次PCR増幅を行う。次に、繰り返し配列を構成する塩基のモノマーを含む反応チューブを準備する。これに1次PCR増幅産物を加え、相補鎖合成とライゲーション反応をすることにより閉環分子を得る。これをMTおよびLTプライマーを用いて2次PCR増幅する。得られた2次PCR産物を適切な電気泳動に供することによって、長さを判定することによって繰り返し配列の繰り返しの回数を決定することが可能である。
(5). 発現遺伝子計測をする態様
本発明の態様に従うと、細胞内で発現している遺伝子がそれぞれどれくらい発現しているかを検出することも可能である。以下にそのような検出を行うための形態の例を示す。
まず、細胞からmRNAを抽出し逆転写酵素でcDNA合成を行う。各検出したい遺伝子の変異が少ないエクソンを検出するようにプローブ配列としてのASOおよびLSOの位置を設定する。
発現計測の場合SNPを考慮する必要はないが、ASOおよびLSOとprimer1およびprimer2の配列は対象遺伝子に対して特異性が高いように選択することが好ましい。以下、他の変異を検出するのと同様に上述した(1−1)に記載した方法と同様に検出を行えばよい。
この場合、蛍光標識は1つのサンプルに1色とし、サンプルを変える際に異なる蛍光標識を与え、これらを同一のマイクロアレイ上で同時検出すれば、発現量比を求めることができる。
(6).効果
以上説明してきたような本発明の1態様に従う方法によると、被検核酸のPCR増幅産物の分子内反応により検出反応を行うことが可能である。従って、検出用プローブをPCR増幅後に加える必要がない。従って、PCR産物の両末端をプローブとして機能させることが可能になる。従来では、オリゴプローブ2つ、被検核酸および酵素の4体反応として実行されている検出方法が、本発明に従うと、被検核酸の増幅断片と酵素の2体反応にまで減らすことが可能となった。それにより反応効率は著しく向上し、微量核酸から検出できるようになった。従って、反応工程の短縮やコストダウンが期待される。
また、以上のような本発明に従うと、最終的被検遺伝子のDNA配列を人工設計配列に置き換えて検出することが可能である。それにより、常に同じ検出デバイス、例えば、ユニバーサルチップと呼ばれるデバイスを利用して検出できる。これにより、如何なる型の遺伝子変異を検出する場合であっても、検出デバイスの配列やフォーマットを変更する必要がなくなる。また、人工設計配列で区別がつくため、複数の項目の検査ができるようになる。
また、本発明の1側面に従うと、最初のPCR、即ち、1次PCR増幅の後、閉環反応の前に2重鎖末端平滑化酵素を作用させる平滑化反応を行う。これは、2重鎖末端を平滑化できる酵素を作用させ、Taqポリメラーゼによって付加されたdATPを除き、1次PCR増幅産物を末端平滑化することが可能になる。これにより、ライゲーション反応や、1塩基伸長反応とライゲーション反応を組み合わせて閉環するときなど、閉環反応の効率の低下を防ぐことが可能になり、検出感度および特異性が向上される。
本発明の1側面に従うと、閉環反応の後2次PCR増幅反応の前に核酸消化酵素によってクリーンアップ反応を行う。これにより、目的の産物である閉環した核酸以外の異常な分子間反応でできた核酸や、プライマーの残りなどの不必要な1本鎖核酸などが消化される。その結果、増幅反応で不要な産物が生じることがなく、偽陽性シグナルを低下することが可能になる。
更に、本発明の1側面に従うと、タグ配列を、識別可能な化学物質、例えば、ハプテンとビオチンなどで置き換えたプローブを使用すれば、抗ハプテン抗体で被覆したラテックスビーズと、ストレプトアビジンで被覆したラテックスビーズの凝集によって容易に検出を行うことが可能である。即ち、標的の配列があった場合にはラテックスビーズが凝集するので、目視または簡易な吸光検出により目的とする検出が達成される。
本発明に従う検出方法の用途および使用される場所には次のものが考えられる。例えばヒト遺伝子型と疾患の関連性の解明、薬剤感受性の検出、対象生物をヒトから別の生物に変えての遺伝子多型の分子生物学的な解析などの研究用途がある。これら研究は大学、企業等の研究所、研究室で行われるであろう。また、遺伝子と特定の疾患との関連性、罹患リスクや、薬剤感受性が明らかにされた時点で、病院の検査センターでの治療方法を選択するための検査や人間ドックでの予防のための診断、副作用の小さい抗ガン剤の選択のための薬剤感受性検査等、医療用に使えると考えられる。また、本発明に従う検出方法は、DNAコンピューティングに利用されてもよい。
本発明の方法を実現するための形態としては、ユーザー自ら方法を実施するための研究用、診断用遺伝子多型検出試薬キットおよび自動的に処理する自動反応装置による実施、ユーザーや被検者に代わっての受託研究、検査センターでの診断等の実施が考えられる。
また、本方法の実施に当たって反応の組み合わせは、随意に変えられる。例えば細胞を株化して大量培養したり、末梢血を多めに取得したりすることで本方法に必要なヒトゲノムDNAを大量に調製することにより、直接ゲノムDNAから検出反応を始めることができる。また、これに代わって、少量のゲノムDNAを取得し、鎖置換ポリメラーゼとランダムプライマーを用いたWGA法(Whole Genome Amplification )で、非特異的にゲノムDNAを増幅したサンプルから検出反応を始めてもよい。また、PCR法や、マルチプレックスPCR法、アシンメトリックPCR法のようなプライマーを用いて特定の配列を増幅したものから検出反応を始めてもよい。そのほかの酵素的に増幅する方法によりそれぞれ得られたサンプルは、2重鎖サンプルの場合は、95℃まで加熱してから4℃に急冷して1本鎖化したり、塩濃度の低い溶液中で95℃まで加熱し断片化する、また、超音波で断片化する、制限酵素で切断する等の1本鎖化、検出に支障がない程度の断片化操作を加えてから検出操作してもよい。
本発明の態様により、非特異反応が生じにくく、且つ低コストで実行することの可能な核酸配列を検出するための手段を提供された。
III.相補鎖合成阻害構造を利用する方法
本発明に従う核酸配列検出方法の1例を図28を用いて説明する。この例では、一塩基多型(以下、「SNP」と記す)の検出のために設定した検出部位412を含む核酸鎖401について、本発明に従う検出方法を行う方法を説明する。
ここで核酸鎖401は、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、mRNA、全RNA、hnRNA、合成RNAを含む全てのDNA及びRNAなどの何れであってもよい。
核酸鎖401は、何れの生物由来の核酸であってもよい。本発明に従う方法に使用される核酸鎖401はそれ自身公知の何れの方法により調製されたものであってよい。ここで、「核酸鎖」は「核酸試料」とも称され、本明細書においては「核酸鎖」の語と「核酸試料」の語は交換可能に使用されてよい。
1.片鎖ギャップライゲーション合成
第1の検出鎖合成核酸402は、当該検出部位412の3’側の一部の配列に相同な配列413と第1のタグ404とプライマー配列403を含む。プライマー配列403は、核酸鎖401の検出部位412の3’側の配列、即ち、検出部位412よりも3’側の配列に相補な配列であればよい。
第2の検出鎖合成核酸405は、当該検出部位412の5’側の一部の配列に相同な配列414と第2のタグ408と、タグ408の5’側に隣接する相補鎖合成阻害構造407を含み、更にその5’側に検出部位412の5’側に相補なオリゴ核酸配列406を含む。
反応は、まず、核酸鎖401と第1の検出鎖合成核酸402および第2の検出鎖合成核酸405とのハイブリダイゼーションから始まる(図28(1))。
次に、第1の検出鎖合成核酸402が5’側から3’側へと、伸長可能な条件下で伸張される(図28(2))。ここで「伸長可能な条件下」とは、当該第1の検出鎖合成核酸が伸長するのに適切な環境であればよく、また、そのための酵素および伸長に必要な基質が含まれる条件下であればよい。それらの条件は、それ自身当業者に公知の環境および/または条件を利用すればよい。
次に、伸長された第1の検出鎖合成核酸402の3’端と第2の検出鎖合成核酸405の5’端が連結される(図28(3))。本例では、第2の検出鎖合成核酸405の5’端がリン酸化されており、それにより、リガーゼによって連結される例を示した。しかしながら、本発明の方法に従うと当該リン酸化とリガーゼの組み合わせに限るものではなく、第1の検出鎖合成核酸402の3’の核酸と第2の検出鎖合成核酸405の5’端の核酸の少なくとも一方が、互いに結合可能なように修飾されていればよい。従って、例えば、リン酸化の他には、特許3753942号の光反応性ピリミジン塩基など、それ自身公知の手段で修飾されていればよいが、これに限定されるものではない。
次に、変性し、1本鎖を得る(図28(4))。変性手段は、それ自身公知の何れの変性手段を用いてもよい。例えば、そのような変性手段は、加熱、アルカリ変性、希釈による塩濃度低下などであるが、これに限定されるものではない。
検出鎖410は、分子内ハイブリダイズが得られるように設計されている。従って、上記で変性されて得られた1本鎖は、閉環反応によりダンベル形態421となる(図28(5))。更にこれは、分子の安定化のために環状構造体422になる(図28(5))。
また更に、閉環反応の後に、任意に1本鎖核酸を消化してもよい。それにより、その後の検出および/または操作において高い検出感度および/または高い操作性が得られるので好ましい(図28(6))。図28(2)の伸長反応時に所望の伸長が得られなかった核酸は、この消化反応により消化される。
得られた環状構造体をこのまま電気泳動で検出してもよく、質量分析により検出してもよい。そのような検出を行う場合には、第2の検出鎖合成核酸402に含まれる相補鎖合成阻害構造407は含まれなくてもよい。
また、上記の例ではSNPを検出するための方法を記したが、検出しようとする対象は、SNP以外の変異、欠失、挿入、置換、反復配列の検出、メチル化検出、遺伝子発現計測などであってもよく、また、変異以外の任意の配列を検出対象としてもよい。当該検出部位は、検出しようとする対象の配列を含んでもよく、検出しようとする対象の配列からなってもよい。
上記の態様により、大過剰のプローブが不要な経済的な検出を行うことが可能である。
相補鎖合成阻害構造が効果を示すのは、以下のような検出を行う場合である。ここで、「相補鎖合成阻害構造」とは、例えば、ポリメラーゼがDNAの塩基として認識し相補鎖を合成しない構造であればよく、例えばグライナー・バイオワン社が提供しているSpacer9リンカによる修飾や、自然界に存在しない人工塩基、塩基のないヌクレオチドなどであればよい。
2.検出手段
本発明の更なる態様に従うと、本発明の検出方法は、形成された環状構造体から、連結部分を含む核酸断片を得て、それを検出することにより実施してもよい。
そのためには、まず、当該環状構造体から連結部分を含む核酸断片を得る工程を行う。以下の手段により得られた「核酸断片」は、何れも「増幅産物」とも称される。
(1)非対称PCR
当該核酸断片を得るためには、これに限定されるものではないが、例えば、非対称PCRを利用することが可能である。
図29を参照されたい。図29(7)−Aでは、当該環状構造体422に対して、第1のプライマー425と識別可能な標識を付与された第2のプライマー423とを用いて非対称PCRを行う方法が記載されている。第1のプライマー425は、当該環状構造体422の検出部位412の3’側の配列に相補な配列を有する。第2のプライマー423はその3’端に識別可能な標識を付与されており、当該環状構造体422の検出部位412の5’側の配列に相補な配列ある。
これらの第3プライマー425および第2のプライマー423と、環状構造体422を適切な条件下で非対称PCRに供する。その結果、識別可能な標識を有する増幅産物427が得られる。これに限定するものではないが、例えばそのような適切な条件は、非標識側プライマーの濃度が1に対して標識側プライマー濃度を10にすることであり、例えば、文献Kinjo M. et al.“Detection of asymmetric PCR products in homogeneous solution by fluorescence correlation spectroscopy.”Biotechniques,1998 Oct;25(4):706−12, 714−5、またはWebサイト(Molecular Biology Techniques Manual,http://www.mcb.uct.ac.za/pcrcond.htm)に記載される通りである。
(2)インビトロ転写反応
また、当該核酸断片を得るためには、これに限定されるものではないが、例えば、T7プロモーターを使ったインビトロ転写を利用してもよい。
図29(7)−B(i)は、当該環状構造体の第1の検出鎖合成核酸をそのタグの部分にT7プロモーターが挿入されるように設計されればよい。そのような環状構造体422を適切なインビトロ転写が得られるような条件下でDNA2本鎖を形成することと、変性して1本鎖にすることとを繰り返すことにより、所望の核酸断片を得ることが可能である。適切なインビトロ転写が得られるような条件は、それ自身当業者に公知の何れの条件であってもよい。
図29(7)−B(ii)は、上記の図29(7)−B(i)と同様に、当該環状構造体の第1の検出鎖合成核酸を、そのタグの部分の5’側に隣接してT7プロモーターが挿入されるように設計されればよい。そのような環状構造体422を適切なインビトロ転写が得られるような適切な条件下で、RNAポリメラーゼによるRNAインビトロ転写を行えばよい。この手段の場合、変性操作が不要であるので、連続して、増幅産物を得ることが可能である。また、ほぼ直線的に増幅するのでSNPなどの変異でヘテロアレルを検出したときに正しくタイピングできる。また、これに限定するものではないが、例えばそのような適切な条件は、例えば文献(Philips J.,Eberwine JH.,“Antisense RNA Amplification:A Linear Amplification Method for Analyzing the mRNA Population from Single Living Cells “Methods.1996 Dec;10(3):283−8)に記載される通りである。
このように、タグとプライマー配列の間に相補鎖合成阻害構造があることにより、阻害箇所で相補鎖の合成が止まるので、環状構造体の存在を他の核酸に反映するときに、不要な長鎖産物ができないので好ましい。
また、タグとプライマー配列の間に相補鎖合成阻害構造があることにより、阻害箇所で相補鎖の合成が止まる。このように、相補鎖合成が途中で止まるため、T7プロモーターを利用したインビトロ転写によるタグ増幅をするときに必要最小限の長さの産物が得られる。
(3)検出
上述のような手段により得られた増幅産物は、次のように検出することが可能である。例えば、図30(8)−Aに記載するように、マイクロアレイ449の基板450に固定化されたプローブ448に対して、識別可能な標識を付した増幅産物をハイブリダイズし、当該標識を検出することにより、目的とする検出部位の存在を検出することが可能である。また、このとき、配列に応じて異なる第2の識別可能な標識を付した増幅産物を形成し、同様なマイクロアレイ449にて検出を行ってもよい。マイクロアレイの製造方法および使用方法は、それ自身当業者に公知である何れの手段を利用してもよい。
識別可能な標識は、それ自身当業者に公知の何れの標識物質を用いてもよく、これらに限定するものではないが、蛍光物質、ビオチン、ジゴキシゲニン、蛍光たんぱく質、化学発光のためのHRPなどであればよい。
また、蛍光ビーズを用いて検出をおこなってもよい。例えば、そのような方法は、文献(Dunbar SA.,“Applications of Luminex xMAP technology for rapid,high−throughput multiplexed nucleic acid detection”,Clin Chim Acta.2006 Jan;363(1−2):71−82.Epub 2005 Aug 15.)のように行えばよい。
また、インビトロ転写産物を検出する場合には、例えば、図30(8)−Bの方法を使用してもよい。これに限定するものではないが、マイクロアレイ459の基板456に固定化した第1のプローブ458にインビトロ転写産物457をハイブリダイズする。更に、上述したような識別可能な標識を付与した第2のプローブをインビトロ転写産物457の1本鎖の部分、例えば、タグの部分にハイブリダイズする。その後、当該識別可能な標識を検出することにより、検出部位の存在を検出することが可能である。
3.アダプターライゲーション
また、本発明の1態様に従うと、制限酵素とアダプターを利用するアダプターライゲーションを用いる以外は、上述の片鎖ギャップライゲーションと同様の原理および検出手段を利用する核酸配列検出を行うことが可能である。
図31を参照されたい。アダプターライゲーションに使用するアダプターは、第1のアダプター470と第2のアダプター471である。第1のアダプターは、第1の制限酵素の切断部分に結合することが可能なように修飾されている。ここでは、2本鎖のうちの一方の5’側がリン酸化されている。第2のアダプターは、第2の制限酵素の切断部分に結合することが可能なように修飾されており、且つ相補鎖合成阻害構造を含んでもよい。第2のアダプターは検出鎖の5’端を含む側のアダプターである。2本鎖部分の5’端が結合可能に修飾されている。この例ではリン酸化されている。また、1本鎖部分の5’端も結合可能に修飾されている。同様に、この例ではリン酸化されている。
ここでは、結合可能な修飾としてリン酸化が利用されているが、上述した通り、結合可能な修飾はこれに限られるものではなく、特許3753942号に記述された光感受性ピリミジン塩基などであってもよい。
これら2つのアダプターを用いて環状構造体を得るための反応を説明する。図32を参照されたい。アダプターライゲーションの場合、核酸鎖または核酸試料は2本鎖の核酸であればよい。核酸の種類、調製方法は、上述した通りである。
例えば、検出部位480をSNPとした場合、まず、481の矢印の位置が第1の酵素で消化され、482の矢印の位置が第2の酵素で消化される。次に、各々の切断部分に第1の酵素の消化部位には第1のアダプター470が結合し、第2の酵素の消化部位には第2のアダプター471が結合する。得られた2本鎖を変性し、その後、結合前に、部分1本鎖の5’側にリン酸が結合していた方の1本鎖(「検出鎖」とも称する)483がダンベル形態484になり、これが環状構造体となる。
検出は、上述した何れの検出方法を使用してもよい。また、相補鎖合成阻害構造が必ずしもある必要はなく、当該相補鎖合成阻害構造がない場合は、電気泳動または質量分析を行って、当該環状構造体を検出すればよい。
また、当該環状構造体を形成した後、または、ダンベル形態を形成した後に、所望の酵素により消化を行うことにより不要な1本鎖核酸を消化してもよい。これにより、その後の検出および/または操作において高い検出感度および/または高い操作性が得られるので好ましい。
タグとプライマー配列の間に相補鎖合成阻害構造があることにより、阻害箇所で相補鎖の合成が止まるので、環状構造体の存在を他の核酸に反映するときに、不要な長鎖産物ができないので好ましい。
また、タグとプライマー配列の間に相補鎖合成阻害構造があることにより、阻害箇所で相補鎖の合成が止まる。このように、相補鎖合成が途中で止まるため、T7プロモーターを利用したインビトロ転写によるタグ増幅をするときに必要最小限の長さの産物が得られる。
以上の本発明により、ランニングコストの低い、非特異反応の起きにくい核酸配列検出方法が提供された。
また、更に、片鎖ギャップライゲーションからダンベル形成、ギャップライゲーションとの間において熱サイクリングを行ってもよい。それにより、より多くのダンベル分子の形成が可能である。
即ち、検出鎖の形成時から環状構造体の形成までの工程を行うと同時に、または検出鎖が形成された後から環状構造体の形成までの工程を行うと同時に、熱サイクリングを行ってもよい。ここでいう「熱サイクリング」とは、反応系の温度を任意の温度間で上げ下げすることをいい、これによって、より適切な分子内ハイブリダイゼーションを得ることが可能になる。片鎖ギャップライゲーション合成をした核酸で分子内反応をするときに、2本鎖核酸を熱変性し1本鎖化することによって、2本鎖を周期的に確実に熱変性する段階を入れることができ、2本鎖の再会合による分子内反応の阻害を防いで分子内ハイブリダイゼーションを進めることができるので有利である。
4.キット
本発明の更なる態様に従うと、本発明の核酸配列検出方法に用いる核酸試料に含まれる当該検出部位よりも3’側に位置する第1の核酸配列に相補的な配列を含む第1の検出鎖合成核酸と、当該検出部位よりも5’側に位置する第2の核酸配列に相補的な配列を含み且つその5’側に相補鎖合成阻害構造を含み更にその5’側にタグ配列を含む第2の検出鎖合成核酸と、酵素と、核酸と、基質とバッファとからなる試薬を含む検出キットも提供される。また、当該プライマーを具備し、他の構成要素を任意に含む検出キットも提供される。
これらのキットにより、本発明に従う核酸配列検出方法が簡便に行うことが可能である。
5.その他の態様
本発明に従う検出方法は、更に次のような(1)〜(16)に記載するような態様であってもよい。
(1) 以下を具備する核酸配列検出方法;
(a)検出鎖を得ること;
(b)適切な分子内ハイブリダイズが得られる条件下で前記検出鎖について分子内ハイブリダイゼーションを行うこと;
(c)前記分子内ハイブリダイズを行った検出鎖を連結閉環すること;
(d)前記連結閉環により得られた得られた環状構造体を検出することにより、目的とする変異部位および/または検出部位についての情報を得ること。
(2) 前記(1)に記載の方法であって、
(a)の検出鎖を得ることが以下を具備し;
(i)被検核酸を1本鎖核酸試料とすること;
(ii)第1の検出鎖合成核酸と第2の検出鎖合成核酸を準備すること、
ここで、第1の検出鎖合成核酸は、前記1本鎖核酸試料に含まれる検出部位の3’側に位置する第1の核酸配列に相補的なプライマー配列と、その5’側に連結された前記1本鎖核酸試料の変異部位よりも3’側の検出部位の配列に相同な第1の配列とを含み、
ここで、第2の検出鎖合成核酸は、前記1本鎖核酸試料に含まれる検出部位の5’側に位置する第2の核酸配列に相補的なオリゴ核酸配列と、その3’側に連結された相補鎖合成阻害構造と、その3’側に連結された前記1本鎖核酸試料の変異部位とそれよりも5’側の検出部位の配列に相同な第2の配列とを含み、
前記第1の検出鎖合成核酸の3’端と第2の検出鎖合成核酸の5’端は、互いに結合可能なように、少なくとも何れかが修飾されている;
(iii)前記(i)で準備された核酸試料と、前記(ii)で準備された第1の検出鎖合成核酸と第2の検出鎖合成核酸とをハイブリダイズすること;
(iv)第1の検出鎖合成核酸を適切な伸長が得られる条件下で伸長すること;
(v)伸長された第1の検出鎖合成核酸の3’端と第2の検出鎖合成核酸の5’端を結合することにより検出鎖を得ること;
前記(b)のハイブリダイゼーションを行うことが、(v)で得られた検出鎖について、当該検出鎖に含まれる第1の配列と第2の配列を用いて自己分子内ハイブリダイズさせることであり;
前記(c)の連結閉環することが、第1の配列の5’端と第2の配列の3’端を連結閉環することによって環状構造体を得ることである;
方法
(3)前記(2)に記載の方法であって、前記変異部位および/または検出部位についての情報を得ることが、以下のことにより行われる方法;
(i)前記環状構造体の検出配列を含む連結部の両側の配列を相補鎖合成阻害構造まで増幅すること;
(ii)(i)の増幅により得られた増幅産物を検出することによって、前記核酸試料における目的の核酸配列の検出を行うこと。
(4) 前記(2)または(3)の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、前記第1の検出鎖合成核酸が、更に、前記プライマー配列と、前記第1の配列との間に第1のタグ配列を含み;および前記第2の検出鎖合成核酸が、更に、前記相補鎖合成阻害構造と、前記第2の配列との間に第2のタグ配列を含む方法。
(5) 前記(2)〜(4)の何れか1項に記載の方法であって、更に、前記連結閉環した後に、連結閉環していない核酸を消化することを具備する方法。
(6) 前記(2)〜(5)の何れか1項に記載の方法であって、前記結合可能なような修飾が、第2の検出鎖合成核酸の前記オリゴ核酸配列の5’端をリン酸化する修飾である方法。
(7) 前記(1)に記載の方法であって、
(a)の検出鎖を得ることが以下を具備し;
(i)2本鎖核酸試料を準備すること;
(ii)前記2本鎖核酸試料を第1の制限酵素および第2の制限酵素により切断すること;
(iii)第1の制限酵素切断部に第1のアダプターを付与し、第2の制限酵素切断部に第2のアダプターを付与すること;
ここで、第1のアダプターは、第1の制限酵素切断部に結合するために一方の1本鎖の5’端がリン酸化されているアダプター末端と、分子内ハイブリダイゼーションを行うために、第1の鎖の当該核酸試料の3’端側には検出部の3’側に相補的な配列を有し、
ここで、第2のアダプターは、第2の制限酵素切断部に結合するために一方の1本鎖の5’端がリン酸化されているアダプター末端と、当該一方の1本鎖に相補鎖合成阻害構造を含み、前記鎖のリン酸化されている5’端側の配列が、当該核酸試料の検出部の5’側の配列に相補な配列である;
(iv)前記(iii)で得られた2本鎖から検出鎖を得る;
方法。
(8) 前記(1)〜(7)の何れか1項に記載の方法であって、前記連結閉環した後に、連結閉環していない核酸を消化することを具備する方法。
(9) 前記(1)〜(8)の何れか1項に記載の方法であって、更に、前記(c)の連結閉環することで得られた環状構造体について、少なくともその一部を増幅することを具備する方法。
(10) 前記(9)に記載の方法であって、前記増幅することがRNAポリメラーゼのインビトロ転写によるRNA合成である方法。
(11) 前記(1)〜(10)の何れか1項に記載の方法であって、分子内ハイブリダイゼーションと連結閉環する工程で、反応温度を周期的に変更する熱サイクリングを複数回おこなう方法。
(12) 前記(7)または(8)の何れか1項に記載の方法であって、(d)の工程が増幅産物とDNAマイクロアレイとのハイブリダイゼーションを検出することで行われる方法。
(13) 前記(1)に記載の方法であって、(d)の工程が増幅産物とのハイブリダイゼーションと、検出可能な標識をそなえた核酸のその増幅産物へのハイブリダイゼーションと、その検出可能な標識を検出して間接的に増幅産物を検出することで行われる方法。
(14) 前記(7)または(8)の何れか1項に記載の方法であって、(d)の工程が増幅産物の質量分析で行われる方法。
(15) 前記(7)または(8)の何れか1項に記載の方法であって、(d)の工程が増幅産物の電気泳動で行われる方法。
(16) 前記(1)〜(15)の何れか1項の方法に用いる検出キットであって、酵素と、基質と、バッファ、検出用マイクロアレイの何れか、または全てからなる試薬を含む検出キット。
本発明の態様により、プローブの連結反応により核酸を検出するとき、被検核酸に対して大過剰のプローブ核酸を加える必要がなく、それにより低コストで実行することが可能であり、且つ非特異反応が起きにくい方法が提供される。
[実施例1]
SNPタイピングをするためのプロトコルの1例を次に示し、このプロトコルで検出した結果を示す。
以下、実施内容を説明する。
1.プローブ、プライミング配列設計
検出対象とするSNPの塩基配列は、東大医科学研究所の整備した日本人のSNPのデータベースJSNP(http://snp.ims.u-tokyo.ac.jp/index_ja.html)から得た。SNPのアクセション番号は、IMS-JST164838であり、当該SNP#3の周辺配列を表1に示す。
Figure 0004989493
これを以降、簡単にSNP003と呼ぶことにする。検出したサンプルは(財)ヒューマンサイエンス振興財団のヒューマンサイエンス研究資源バンクが頒布(http://www.jhsf.or.jp/bank/psc.html)しているヒト抹消血細胞を株化したものから抽出したヒトゲノムDNAである。
サンプルはPSCDA0503, PSCDA0328, PSCDA0719, PSCDA0785, PSCDA0415, PSCDA0716, PSCDA0693, PSCDA0117なる番号で、8検体を検出した。表2は、サンプルのサンガー法によるシーケンシング結果であり、このシーケンシングにはアプライド・バイオシステムズ社のPRISM 3100Genetic Analyzerを用い、三井情報開発のシーケンサー出力波形解析ソフトウェア波平を使用して各SNPのアレルを決定した。
Figure 0004989493
以下、それぞれのゲノムサンプルを処理した方法について記す。
2.検出実験
(1)プローブのリン酸化
1次PCRのLSOプライマーをリン酸化する。検出に用いる鎖上のASOプライマーの5’端のリン酸化は3の反応でライゲーションもしくはギャップライゲーションを用いるときいずれにも必要である。次の反応液を準備して反応をおこなった。
T4 polynucleotide kinase(タカラバイオ) 20 units
T4PK用バッファ(〃) 1x(最終濃度)
LSOプライマー 5μM(最終濃度)
ATP 1mM(最終濃度)
全液量(足りない液は超純水で補充) 50μL。
温度条件(MJリサーチ社 PTC-200を使用)
1. 37℃ 60分
2. 95℃ 15分
3. 10℃ hold。
以上により、ASOプライマーのリン酸化が完了した。
(2)1次PCR
実施例の検出では最初に、ゲノムDNA 5ngから標的のSNPを含む領域をPCRにて増幅した。この操作は次の手順でおこなった。
このPCR反応に用いる溶液の組成は次のとおりであり、プライミング配列は表3のとおりである。
Figure 0004989493
プライミング配列は米国DNA ソフトウェア社のVisual OMPを用いて設計した。マルチプレックスPCRをおこなう。必要なSNPの数だけのASOプライマー、LSOプライマーのミクスチャにする。ここでは、SNP003の周辺配列の増幅をおこなう。
PrimeStar(タカラバイオ) 0.025U/μL(最終濃度)
PrimeStar buffer(〃) 1x(最終濃度)
dNTP 200μM each
テンプレート 5ng /10μL
ASOプライマー 0.1μM each
LSOプライマー 0.2μM
全液量(足りない液は超純水で補充)10μL。
温度サイクル(MJリサーチ社 PTC-200を使用)
1. 98℃ 10秒
2. 68℃ 60秒 (1, 2を5サイクル)
3. 98℃ 10秒
4. 72℃ 90秒 (3, 4を40サイクル)
5. 10℃ hold。
以上により、ゲノム増幅液10μlが得られた。
2.ライゲーション
PCR産物の一部をとり、閉環ライゲーション反応をおこなう。この実施例では1のPCRで末端にアデニン塩基を付加することが少ないポリメラーゼを用いているので平滑化反応を省略する。平滑化反応をする場合は、1本鎖核酸の3’→5’向きのエクソヌクレアーゼ活性があり、2重鎖に対しては活性のない酵素による平滑化反応がよい。
閉環のライゲーションは次の液を作製し、実施する。
Taq ligase(New England Biolab) 4U
Taq ligase buffer(〃) 1x(最終濃度)
1st PCR 産物 1μL
超純水 最終液量に達するまで
全液量(足りない液は超純水で補充) 10μL。
温度条件(MJリサーチ社 PTC-200を使用)
1. 95℃ 60秒
2. 65℃ 60分
3. 10℃ hold。
これにより、対応するSNPアレルを検出したLSOプライマー、ASOプライマーは分子内で閉環され、そうでないものは1本鎖のままで存在する。
3.消化反応
ライゲーション反応をしないで直鎖分子のままの核酸を分解する。エクソヌクレアーゼ活性のある東洋紡のKODポリメラーゼを使い、高温で分解処理をおこなった。反応液の組成は次のとおりである。
Ligation産物 2.5μL
KOD polymerase(東洋紡) 0.2μL/ 10μL
KOD buffer #2 (〃) 1x(最終濃度)
全液量(足りない液は超純水で補充) 10μL。
1本鎖構造をとらせるため、十分な高温にて反応を実施する。
温度条件(MJリサーチ社 PTC-200を使用)
1. 74℃ 30分
2. 10℃ hold。
以上により、大半の1本鎖核酸の末端が分解された。
4.2次PCR
それぞれCy3、Cy5で蛍光標識した2種類のMT(rは相補鎖の意味)とLTをプライマーとして使い、PCRする。PCRは閉環分子だけで起きる。溶液の組成は次のとおりであった。プライマー量は蛍光色素を修飾した側を10倍にして非対称PCRになるようにしている。
Titanium Taq(Becton Dickinson) 1x(最終濃度)
PrimeStar buffer(タカラバイオ) 1x(最終濃度)
dNTP 200μM each
平滑化産物 1μL
LT プライマー 0.01μM(最終濃度)
Cy3-rMT, Cy5-rMT’プライマー 0.1μM each(最終濃度)
全液量(足りない液は超純水で補充) 20μL。
温度サイクルは次のとおりである。
温度サイクル(MJリサーチ社 PTC-200を使用)
1. 95℃ 60秒
2. 98℃ 10秒
3. 55℃ 240秒 (2, 3を30サイクル)
4. 10℃ hold。
以上により、ゲノムのSNPアレルに対応したタグが増幅された。
5.検出
次のハイブリダイゼーション液を作りマイクロアレイにてハイブリダイゼーション検出する。マイクロアレイは日立のSP-BIOを用いて、タカラバイオの基材ハッブルスライドに点着して製作した。プローブは表3にあるように選択し、Cy3, Cy5の蛍光強度を比較することでタイピングできる。
検出には、キャピラリアレイ(特開平11-75812)を用いた。キャピラリアレイはDNAマイクロアレイに似たハイブリダイゼーションで核酸を検出するデバイスであり、溝状の流路に沿ってプローブをスポットした。今回使ったキャピラリアレイは1本の溝の中にタグ検出用のプローブが固定してあるもので、溝の容量は20μlであった。キャピラリはシリコンゴムの板に形成されており、プローブを直線状にスポットしたスライドガラスにシリコンゴムの粘着性を利用して貼り付けるものである。この溝の両端には溝の反対側の面に貫通する穴があけてあり、溝のある面をスライドガラス側に貼り付けても、それら貫通穴から試料液を注入・抜き取り出来るようになっている。これに各サンプルの2次PCRまで完了した溶液を注入し、ハイブリダイゼーションした。
フォルムアミド 15%(最終濃度)
O.5xSSC+0.1%SDS
EDTA 1mM
2次PCR産物 10μL
全液量 20μL。
キャピラリアレイを遮光し、37℃に暖めたホットプレート上に置き、60分間ハイブリダイゼーションをおこなった。続いて洗いは次の手順でおこなった。
1)ピペットでハイブリダイゼーション液を抜き取る
2)乾燥を防ぐためただちに1×SSCと0.2%SDSを成分とするウォッシング液を20 μl注入する
3)スライドガラスからシリコンゴム製の溝を外す
4)スライドガラスを1×SSCと0.2%SDSを成分とするウォッシング液中にて室温下で5分振盪する
5)続いて0.1×SSCにて室温下で10分スライドガラスを振盪洗浄する
6)エアスプレーまたは、遠心機にてスライドガラスを乾燥させる。
以上の手順でハイブリダイゼーション反応を終了し、つづいてマイクロアレイスキャナ、Axon社のGenePix 4000Bで検出した。取得した蛍光イメージは装置に付属のソフトウェアで解析し、各アレルの溶液中の存在量を検出した。蛍光強度をプロットし8サンプルのタイピング結果を散布図で示したのが図33である。本発明のタイピング結果は事前におこなったサンガー法によるシーケンスと一致し、本発明が有効な検出方法であることが示せた。

Claims (19)

  1. 以下を具備する核酸配列検出方法;
    (a)核酸試料を準備すること;
    (b)前記核酸試料に含まれる当該検出部位の3’側に位置する第1の核酸配列に相補的な配列を含む第1の分子内検出プローブと、当該検出部位の5’側に位置する第2の核酸配列に相補的な配列を含む第2の分子内検出プローブを準備すること、ここで、前記第1の分子内検出プローブの3’端と前記第2の分子内検出プローブの5’端の少なくとも一方が核酸と結合が可能なように修飾されている;
    (c)前記核酸試料をテンプレートにして、3’末端に前記第1の分子内検出プローブを、5’末端に前記第2の分子内検出プローブを付与した当該検出部位の配列を含む検出鎖を合成すること;
    (d)前記検出鎖について、前記第1の核酸配列と前記第1の分子内検出プローブとの間、および前記第2の核酸配列と前記第2の分子内検出プローブとの間の2箇所で分子内ハイブリダイズがなされること;
    (e)前記核酸試料において目的の核酸配列が存在するときに、前記第1の分子内検出プローブの3’端と前記第2の分子内検出プローブの5’端直接または間接的に連結すること;
    (f)(e)の連結することにより環状構造体を得ること;
    (g)前記環状構造体から、前記核酸試料における目的の核酸配列の検出を行うこと。
  2. 請求項1に記載の核酸配列検出方法であって、前記(d)のハイブリダイズによって、ダンベル構造体が形成され、前記ダンベル構造体の形成と前記(e)における連結が、予め設定された熱サイクリング条件下での熱サイクリングの実施と共に行われる方法。
  3. 請求項1または2に記載の核酸配列検出方法であって、前記(f)の環状構造体を得ることの後に、更に、閉環しなかった核酸を酵素により消化することを具備する方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、前記(g)における目的の核酸配列の検出を行うことが、DNAマイクロアレイ、蛍光ビーズ、電気泳動および質量分析からなる群より選択された手段により、当該環状構造体を検出することによって行われる方法。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、前記(g)における目的の核酸配列の検出を行うことが、当該環状構造体の連結部の形成を検出可能なプライマーを用いる伸長反応を利用して得られた増幅産物を検出することによって当該環状構造を検出することにより行われる方法。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、前記第2の分子内検出プローブの5’端がリン酸化されている方法。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、当該第1の分子内検出プローブが、当該第1の分子内検出プローブの3’側に位置する前記第1の核酸配列に相補的な配列に加えて更に、当該検出部位における検出対象に関する情報を反映するように予め設計されて割り当てられたタグ配列を含む、および/または当該第2の分子内検出プローブが、当該検出部位の5’側に位置する前記第2の核酸配列に相補的な配列に加えて更に、当該検出部位における検出対象に関する情報を反映するように予め設計されて割り当てられたタグ配列を含む方法。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の核酸配列検出方法であって、当該核酸配列検出が、SNP検出、遺伝子発現計測、メチル化検出、並びに欠失、挿入、置換およびマイクロサテライトの検出からなる群より選択される方法のために行われる方法
  9. 核酸の変異を解析する方法であって、以下を具備する方法:
    (a)被検核酸に相補な複製鎖を合成し、前記複製鎖上の検出されるべき変異部位とその周辺に相補な、または前記変異部位の周辺に相補な第1の分子内検出プローブ及び第2の分子内検出プローブを複製鎖の両末端に付加すること、
    ここで、前記両末端に付加された前記第1及び前記第2の分子内検出プローブにおいて、前記第1または前記第2の分子内検出プローブの配列が、前記複製鎖上における変異部位の配列に相補的な配列を含む配列である;
    (b)前記複製鎖に、2カ所でハイブリダイズがなされてダンベル構造体が形成されること、
    ここで、その1か所は、前記変異部位およびその周辺と前記第1の分子内検出プローブとの間、または前記変異部位の周辺と前記第1の分子内検出プローブとの間であり、
    もう1か所が、前記変異部位およびその周辺と前記第2の分子内検出プローブとの間、または前記変異部位の周辺と、前記第2の分子内検出プローブとの間である
    (c)解析しようとする変異部位に特定の塩基配列が存在したときに、核酸モノマー、または変異に相補な核酸を介して、または直接に、前記構造をなす複製鎖の末端同士が、酸素反応または化学反応により共有結合で連結されて閉環核酸分子を形成すること;
    (d)前記閉環核酸分子の連結された部分を含む配列、またはその相補鎖配列、または両方の配列を合成すること;および
    (e)前記合成された前記閉環核酸分子の連結された部分を含む配列、またはその相補鎖配列の存在を検出することで核酸の変異を解析すること。
  10. 請求項に記載の方法であって、更に、前記閉環核酸分子以外の直鎖核酸分子の完全分解または部分分解をすることを具備する方法。
  11. 請求項9または10に記載の方法であって、前記(a)の付加が、第1のプライマーと第2のプライマーを用いた増幅反応により行われ、
    前記第1のプライマーは、当該第1の分子内検出プローブを、前記被検核酸に含まれる当該変異部位の3’側に位置する第1の核酸配列に相補的な配列として当該第1のプライマーの5’端側に含み、更に当該検出核酸における第1の分子内検出プローブに対応する配列よりも3’側の一部の配列に相補な配列からなる第1のプライミング配列を当該第1のプライマーの3’端に含み、
    第2のプライマーは、当該第2の分子内検出用プローブを、前記被検核酸に含まれる当該変異部位に対応する部位の3’側に位置する第2の核酸配列に相補的な配列として第2のプライマーの5’端側に含み、更に当該検出核酸における第2の分子内検出プローブに対応する配列よりも3’端の一部の配列に相補的な配列からなる第2のプライミング配列を当該第2のプライマーの3’端に含み、
    更に、前記第1のプライマーおよび前記第2のプライマーが、それらのそれぞれの前記プライミング配列と前記第1または第2の分子内検出プローブ配列との間に、識別および/または増幅のために利用可能なタグ配列を有する方法。
  12. 請求項9〜11の何れか1項に記載の方法であって、前記第1のプライマーおよび前記第2のプライマーが、それらのそれぞれの前記プライミング配列と前記第1または第2の分子内検出プローブ配列との間にタグ配列を有し、前記タグ配列が、検出しようとする変異に対応する、または共通化した1または1種類以上の配列であり、前記第2のプライマーは、当該変異部位に対応して複数の互いに異なるタグ配列を有し、前記第1のプライマーは、当該変異部位の変異種に対応して複数の互いに異なるタグ配列を有し、且つ第1のプライマーと第2のプライマーのタグ配列が互いに異なることにより、変異が同時に検出され解析される方法。
  13. 請求項11または12に記載の方法であって、前記増幅反応により得られる産物に含まれる当該検出されるべき変異を含む1本鎖核酸において、当該変異部位またはそれに隣接する位置に対して、前記1本鎖核酸の3’と5’末端が分子内でハイブリダイズすることによって分子内構造が形成され、その末端環のギャップまたはニックが、その分子内構造における当該変異部位の隣接部、または当該変異部位を含む変異部位付近の位置に存在する方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、前記分子内構造の当該変異部位と隣接塩基の間にニックが存在し、そこにリガーゼを作用させることによって閉環核酸分子が形成される方法。
  15. 請求項13に記載の方法であって、前記分子内構造にギャップがあり、ポリメラーゼによる相補鎖合成とリガーゼによる連結によって閉環核酸分子が形成される方法。
  16. 請求項11〜13の何れか1項に記載の方法であって、前記ギャップが、前記増幅反応により得られる産物に含まれる当該検出されるべき変異を含む1本鎖核酸において、当該変異部位と当該変異部位に隣接する配列の相補配列、または当該変異部位の相補配列とからなるギャップ配列からなり、前記第1のプライマーが、前記検出されるべき変異を含む1本鎖核酸における当該当該変異部位の5’側に存在する連続する配列の一部と相補な配列からなる第1のプローブ配列を当該第1のプライマーの5’端側に含み、前記第2のプライマーが、前記増幅反応により得られる産物に含まれる当該変異部位に対応する部位の5’側に近接して連続する配列の一部と相補的な第2のプローブ配列を当該第2のプライマーの5’側に含み、前記第1および第2のプライマーを用いて第1の増幅を行った後、前記ギャップ配列の塩基配列を有しその5’末端がリン酸化された核酸断片の存在下で、リガーゼを作用させることによって閉環核酸分子が形成される方法。
  17. 請求項16に記載の方法であって、当該検出されるべき変異が一塩基変異である方法。
  18. 請求項12〜17の何れか1項に記載の方法であって、更に第2の増幅反応を含み、以下を具備する方法:
    前記第2の増幅において、予め蛍光色素標識された第1および/または第2のプライマーを用いること;
    当該得られた第2の増幅産物を、当該第2の増幅産物を捕捉するためのプローブを具備する核酸マイクロアレイに対して、ハイブリダイズさせること;および
    前記核酸マイクロアレイ上で前記蛍光色素標識由来の蛍光色素を検出して、当該被検核酸における検出されるべき変異を解析すること。
  19. 請求項12〜18の何れか1項に記載の方法であって、前記第1のプライマーに含まれる、当該変異部位の変異種に対応して複数の互いに異なるタグ配列が、識別可能な複数の蛍光色素により標識され、
    更に以下を具備する方法;
    同一変異部位で観察され得る変異型と、前記識別可能な複数の蛍光色素とを対応付けるように、予め、前記タグ配列の選択を行うこと;
    前記タグ配列の配列設計が、同一変異部位で観察され得る複数の変異型を有する変異核酸が、予め用意されたマイクロアレイに固定された同一のプローブにハイブリダイズするように反応されること;および
    上記のように選択され設計され、且つ蛍光色素により標識された当該タグ配列を、当該核酸マイクロアレイ上で多色検出して、当該被検核酸における検出されるべき変異を解析すること。
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