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JP4973454B2 - マルトオリゴ糖組成物 - Google Patents

マルトオリゴ糖組成物 Download PDF

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Description

本発明は、加工食品全般に対して利用しやすい特性を有し、製造コストが安価なマルトオリゴ糖組成物、その製法及び飲食物に関する。
近年、食品加工技術の発達に伴って、菓子類、デザート類、飲料、乾燥食品、レトルト食品、練り製品等、様々な加工食品が市場に上市されている。これら加工食品の多くには従来から賦型、増量、品質改良、ボディ感の付与、甘味の付与、エネルギー付与等を目的として、水あめやデキストリンが多く使用されている。水あめやデキストリンは、澱粉を酸や酵素で加水分解することによって製造され、分解度や性状(液状又は粉状)により、水あめ、粉あめ、マルトデキストリン、デキストリン等の名称で呼ばれており、加工食品の目的に応じて使用されている。さらに最近では、風味、味質、嗜好性等の多様化、高品質化志向から、より加工食品に使用しやすい素材が求められている。すなわち、低甘味でクセのない味質を有し、適度な粘性を有した素材であるマルトオリゴ糖の需要が高まってきている。
このようなマルトオリゴ糖の製法については種々の技術が開示されている。例えば、澱粉、または澱粉の液化液に、好ましくは枝切り酵素と同時にマルトテトラオースやマルトペンタオース、マルトへキサオース、マルトへプタオース等の生成酵素を作用させ、これらの糖質を高含有したオリゴ糖を製造する方法(特許文献1〜5)、澱粉加水分解物をクロマト分離、膜分離等の分離技術を用いてオリゴ糖成分を分画する方法(特許文献6)、さらには両方法を組み合わせた方法(特許文献7〜10)などがあり、製造方法によって様々な組成のものが存在している。例えば、マルトトリオース(3糖類)を高含有するもの、同様にマルトテトラオース(4糖類)、マルトペンタオース(5糖類)をそれぞれ高含有するもの、さらにはマルトへキサオース、マルトへプタオース(6糖類、7糖類)を主成分とするものなどがあげられ、特定のオリゴ糖成分を高含有することにより、低甘味、低粘度、老化抑制、保湿性等の特性を有するとされている。
一方、これらのマルトオリゴ糖を加工食品に利用する場合、マルトオリゴ糖の組成が加工食品に好ましくない影響を与えることがある。例えば、低分子領域のマルトオリゴ糖は、糊感は少ないが甘味が強くボディ感に欠けるなどの問題が、また高分子領域のマルトオリゴ糖は、甘味は低いが糊感があり、高分子成分がゲル形成阻害や離水の要因となるなどの問題が生じることがあり、加工食品の食感や物性を損なう恐れがある。
さらに、これらの先行技術に示されるマルトオリゴ糖組成物を製造するためには、マルトテトラオースやマルトペンタオース、マルトへキサオース、マルトへプタオース等を特異的に生成する特殊な酵素を使用する必要があり、酵素反応も長時間を要する。また、澱粉の加水分解物から、好ましくない成分をクロマト分離装置や膜分離装置を用いて分離、除去して製造されるため、コスト的に高くなる傾向にあった。
また、特許文献11には、食品風味を損なうデキストリン特有の風味を低減し、かつ低甘味性を維持したグルコースポリマーとその製造方法についての記載がある。しかしながら、同文献に記載の「DE27以下であり、かつ分子量5,000以上の糖組成物含有量が固形分当たり18重量%以下であり、さらに含まれる単糖類が固形分当たり6重量%以下であることを特徴とするグルコースポリマー」には、市販されているDE=15〜25程度の澱粉加水分解物のほとんどが該当する(例えば、代表的なデキストリンとしてのTK−16、パインデックス#4及びSPD)。そしてこれらの澱粉加水分解物は、上記のマルトオリゴ糖組成物と同様に、糊感、高甘味、高粘性、ゲル形成阻害などが問題となる場合があり、加工食品の食感や物性を損なう恐れがある。また、記載されている製造方法で得られるグルコースポリマーは、製造の第2分解工程で枝切り酵素を使用するためと考えられるが、低温で白濁を起こす性質があり、食品によっては使用が困難となることが予想される。
特開平4‐210597号公報 特開平5‐38265号公報 特開平7‐236478号公報 特開平8‐205865号公報 特開2004‐211097号公報 特開昭61‐205494号公報 特開昭64‐16596号公報 特開平6‐184201号公報 特開平11‐235193号公報 特開2005‐58110号公報 特開2007‐182563号公報
本発明の課題は、加工食品全般に対して利用しやすい特性、すなわち、低甘味で糊感のないマイルドな味質、低粘性、食品の食感や物性に影響を及ぼさない特性を有し、さらに製造コストが安価なマルトオリゴ糖組成物、その製法及びそれを含む飲食物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、粘度が1000mPa・s以下、甘味度が25以下であって、さらに分子量10,000を超える糖成分の割合が3質量%以下で、分子量1,000〜10,000の糖成分に対する分子量1,000以下の糖成分の質量比が0.8〜1.5であり、糖組成物中のオリゴ糖の割合が65質量%以上の特性値を有するマルトオリゴ糖組成物は、低分子成分および高分子成分が少なく、組成的に均一性が高いことから、低甘味で糊感のないマイルドな味質を有し、さらに粘性が低く取り扱いが容易で、食品の食感や物性に影響を及ぼさない優れた特性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、加工食品全般に対して利用し易い特性を有し、さらに製造コストが安価な、以下に示したマルトオリゴ糖組成物、その製法及びそれを含む飲食物を提供することである。
1.下記(1)〜(5)の特性値を有するマルトオリゴ糖組成物。
(1)粘度が1000mPa・s以下、
(2)甘味度が25以下、
(3)糖組成物中の分子量10,000を超える糖成分の割合が3質量%以下、
(4)分子量1,000〜10,000の糖成分に対する分子量1,000以下の糖成分の質量比が0.8〜1.5、及び
(5)糖組成物中のオリゴ糖の割合が65質量%以上。
2.DEが20〜25である上記1に記載のマルトオリゴ糖組成物。
3.澱粉を酸で加水分解した後、α−アミラーゼ、又はα−アミラーゼと枝切り酵素で加水分解することを特徴とする上記1及び2に記載のマルトオリゴ糖組成物の製造方法。
4.上記マルトオリゴ糖組成物を含む飲食物。
本発明のマルトオリゴ糖組成物は、甘味が低く糊感のないマイルドな味質や低粘性であることから、食品の食感や物性に影響を及ぼすことなく優れた味質や食感、風味発現性等を付与することができ、しかも低コストであることから、加工食品全般に対して利用の拡大が期待できる。
本発明における「マルトオリゴ糖」とは、ブドウ糖を単位構成糖としてグルコース同士がα−1,4‐グルコシド結合で連結した重合度2〜10の糖質を表し、小林昭一監修、早川幸男編著「オリゴ糖の新知識」p155に記載されている。
本発明における「粘度」とは、Rapid Visco Analyser-4(Newport Scientific Pty.Ltd.製)により以下の条件で測定する。
濃度:70質量%水溶液、測定温度:30℃、回転数:160rpm、ホールド時間:7.5分
本発明における「甘味度」とは、砂糖を100としたときの比較値を意味し、試料溶液と甘味的に近い砂糖溶液を1%間隔で4段階用意して、飲み比べにより相当する砂糖濃度を求め、次式により甘味度を計算する。
甘味度=相当する砂糖濃度/試料濃度×100
分子量分析はゲルろ過クロマトグラフィー装置を用いて、以下の条件により測定する。
カラム:TSKgel G2500PWXL、G3000PWXL及びG6000PWXL(東ソー(株)社製)を直列に連結したカラム。カラム温度:80℃。移動相:蒸留水。流速:0.5ml/min。検出器:示差屈折率計。サンプル注入量:1質量%溶液を100μl。検量線:プルラン標準品(分子量788,000〜5,900の間の8種類)、マルトトリオース(分子量504)、及びグルコース(分子量180)を標準品として使用。分析装置:マルチステーションGPC−8020(東ソー(株)社製)。
分子量分布の割合は、積分分子量分布曲線から求めるべき分子量の積分分布値(%)を読み取ることにより、また、分子量比率は、一方の分子量分布値と他方の分子量分布値の比を計算することにより、それぞれ求める。
本発明では、便宜上、糖組成物中の分子量10,000を超える糖成分の質量比を分子量特性値A、分子量1,000〜10,000の糖成分に対する分子量1,000以下の糖成分の質量比を分子量特性値Bと、それぞれ表示することがある。分子量特性値Bは、分子量10,000以下の糖成分の分散の指標となる。好ましい分子量特性値Bは0.8〜1.5であり、1.0に近いほど均一な分布である。また、好ましい分子量特性値Aは、3質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下である。
糖組成の分析は高速液体クロマトグラフィーを用いて以下の方法で行い、全ピーク面積に対する単純面積%を組成として表示する。
カラム:MCI GEL CK04SS(三菱化成(株)社製)。カラム温度:80℃。移動相:蒸留水。流速:0.3ml/min。検出器:示差屈折率計。サンプル注入量:5質量%溶液10μl。
本発明における「DE」とは、「〔(直接還元糖(ブドウ糖として表示)の質量)/(固形分の質量)〕×100」の式で表される値で、ウイルシュテッターシューデル法による分析値である。
本発明のマルトオリゴ糖組成物は、澱粉を酸で加水分解した後、α−アミラーゼ、又はα−アミラーゼと枝切り酵素で加水分解することによって調製することができる。詳しくは、澱粉をボーメ18〜22程度のスラリーとした後、塩酸、蓚酸等の酸を加えてpHを1.8〜2.0程度に調整する。次いでオートクレーブ、加熱加圧蒸煮釜等の加熱装置を用いて、100〜130℃に加熱して40分〜80分間程度加水分解を行い、DE=10〜15程度、好ましくは12〜13に液化する。このときのDEが低すぎると高分子成分が多く残り、高粘性や糊感の要因となり、反対に高すぎるとブドウ糖の発生が多くなり、甘味の要因となる。炭酸カルシウム等により中和後、pHを5.5〜6.5程度に調整し、液化型α−アミラーゼを添加して80〜95℃で30〜80分程度、酵素反応を行い、DE=20〜25に加水分解した後、温度を130℃まで上げるか、蓚酸などの酸を用いてpHを3.5以下に調整してα−アミラーゼの酵素作用を終了させる。この液化型α−アミラーゼとしては市販品、例えばクライスターゼKM(大和化成(株)社製)やターマミル120L(ノボザイムズジャパン社製)などが使用できる。酵素の失活に酸を用いた場合は、炭酸カルシウムなどの中和剤でpHを5〜6に調整する。
本発明のマルトオリゴ糖組成物の原料として使用する澱粉は、特に制限されない。例えば、タピオカ澱粉、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、米澱粉、サゴ澱粉、等が挙げられる。
また、本発明のマルトオリゴ糖組成物は、前記酸分解後、液化型α−アミラーゼでDEを15〜20程度としてpHを4〜5に調整した後、さらに枝切り酵素、または枝切り酵素と糖化型α−アミラーゼによってDE=20〜25に加水分解して製造することもできる。この枝切り酵素、糖化型α−アミラーゼはいずれも市販品が使用できるが、例えば枝切り酵素であればOptimax L−1000(ジェネンコア協和社製)やプロモザイムD2(ノボザイムズジャパン社製)などが、また糖化型α−アミラーゼであれば、ファンガミル800L(ノボザイムズジャパン社製)やビオザイムL(天野エンザイム(株)社製)などがある。その後、活性炭による脱色、イオン交換樹脂による脱塩等によって精製し、濃縮後噴霧乾燥により粉末とするか、75質量%程度に濃縮して液状品とする。さらに、澱粉加水分解物をクロマト分離装置や膜分離装置を用いて分画処理を行ない、分子量特性値Bが0.8〜1.5の範囲を外れない程度に、高分子成分や低分子成分を分離除去しても良い。
このようにして得られるマルトオリゴ糖組成物は、(1)70質量%、30℃における粘度が1000mPa・s以下であり、(2)甘味度が25以下であり、(3)分子量10,000を超える成分の割合が3質量%以下で、分子量1,000以下の成分の分子量1,000〜10,000成分に対する比が0.8〜1.5の範囲であり、さらに、(4)糖組成中のオリゴ糖(2糖類〜10糖類)の割合が65質量%以上であるという全ての要件を満たす。
甘味度、粘度が上記の値よりも高いと甘味が高く食感的にも糊感が強くなり、さらに粘度的に取り扱いが不便となり好ましくない。さらに分子量の特性値と糖組成が上記の範囲から外れると、低分子成分や高分子成分の比率が高くなり、組成的に均一性が欠けてくるため、味質や風味発現性が悪くなったりゲル形成阻害を起こすなど、食品の食感や物性に対して好ましくない影響を与えてしまう。
このような特性値を有するマルトオリゴ糖組成物は、餡類、餅類、饅頭、求肥、羊羹等の和菓子類、パン、ケーキ、シュークリーム、ドーナッツ、パイなどの洋菓子類、プリン、ゼリー等のデザート類、シャーベット、アイスクリーム等の冷菓類、スポーツドリンク、清涼飲料、炭酸飲料、乳飲料等の飲料類、チョコレート、キャンディ等の菓子類、福神漬け、らっきょう、キムチ等の漬物類、ハム、ソーセージ、蒲鉾、竹輪等の練り製品、フラワーペースト、ジャム、スプレッド、粉末茶、粉末調味料等の粉末乾燥食品、経腸栄養剤など広く加工食品に利用することができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1(マルトオリゴ糖組成物の製造例1)
タピオカ澱粉3000gに水4000mlを加え澱粉スラリーとした後、蓚酸を添加してpH=2に調整した。この澱粉スラリーを加熱加圧蒸煮釜に導入して120℃で60分間反応を行いDE=12まで加水分解した後、90℃まで冷却し炭酸カルシウムを加えてpH=6に中和した。この澱粉加水分解液を5等分し、pH=6に再調整して液化型α−アミラーゼ(ターマミル120L、ノボザイムズジャパン社製)を固形分に対して0.2質量%添加し、95℃で30分、40分、50分、60分、及び80分間それぞれ酵素反応を行った後、130℃、10分間のオートクレーブ処理により酵素反応を終了させた。その後、活性炭により脱色ろ過、イオン交換樹脂により脱塩処理した後、真空濃縮により濃度75質量%に濃縮して試料No.1〜No.5のマルトオリゴ糖組成物をそれぞれ約650g調製した。
実施例2(マルトオリゴ糖組成物の製造例2)
タピオカ澱粉1000gに水1500mlを加え澱粉スラリーとした後、蓚酸を添加してpH=2に調整した。この澱粉スラリーをオートクレーブに導入して125℃で50分間反応を行いDE=13まで加水分解した後、90℃まで冷却し炭酸カルシウムを加えてpH=6に調整して液化型α−アミラーゼ(クライスターゼKM、大和化成(株)社製)を固形分に対して0.15質量%添加し、85℃で40分間酵素反応を行いDE=17まで加水分解した。130℃、10分間のオートクレーブ処理により酵素反応を終了させた後、pH=4.5に調整して2等分し、一方には枝切り酵素(Optimax L−1000、ジェネンコア協和社製)を固形分に対して1.0質量%、もう一方には枝切り酵素(Optimax L−1000、ジェネンコア協和社製)を固形分に対して0.1質量%と糖化型α−アミラーゼ(ファンガミル800L、ノボザイムズジャパン社製)を固形分に対して0.005質量%添加し、それぞれ60℃で15時間酵素反応を行った後、80℃まで加熱して酵素を失活した。その後、活性炭により脱色ろ過、イオン交換樹脂により脱塩処理した後濃縮し、スプレー乾燥により粉末化して、試料No.6及び7のマルトオリゴ糖組成物をそれぞれ約400g調製した。
実施例3(マルトオリゴ糖組成物の分析)
実施例1および実施例2で調製したマルトオリゴ糖組成物、および市販の澱粉加水分解物であるTK−16(松谷化学工業(株)社製)、パインデックス#3(松谷化学工業(株)社製)、パインデックス#4(松谷化学工業(株)社製)、SPD(昭和産業(株)社製)、市販のマルトオリゴ糖であるフジオリゴ#360(マルトトリオースが主成分、日本食品化工(株)社製)、フジオリゴ#450(マルトテトラオースが主成分、日本食品化工(株)社製)、フジオリゴG67(マルトヘキサオース、マルトへプタオースが主成分、日本食品化工(株)社製)、ペントラップ(マルトペンタオースが主成分、(株)林原商事社製)について、DE、粘度、甘味度、分子量、オリゴ糖を分析した。この分析値に加え、各水溶液の風味、味質の官能評価を加味した総合評価を表1にまとめた。評価基準は以下のとおりである。
◎:非常に優れている
○:優れている
△:やや劣る
×:劣る
酸分解の後、液化型α−アミラーゼで加水分解して調製した試料No.1〜No.5の内、試料No.2、No.3及びNo.4は、分子量特性値A(分子量10,000を超える成分の割合)が低く、分子量特性値B(分子量1,000〜10,000の糖成分に対する分子量1,000以下の糖成分の比)が1に近い均一な組成を有していることに加え、オリゴ糖の比率が高く全体的なバランスに優れており、低甘味、低粘度で、風味、味質に優れ、総合的な評価で良好であった。
また、枝切り酵素、及び枝切り酵素と糖化型α−アミラーゼの併用により調製した試料No.6及びNo.7についても、低甘味、低粘度で、風味、味質に優れており総合的な評価で良好であった。
しかしながら、試料No.1は粘性が高く食感的にも糊っぽく、また試料No.5は甘味が強く感じられた。
一方、市販の澱粉加水分解物やマルトオリゴ糖についても同様に評価したが、分子量特性値A及びBや糖組成のバランスが悪く不均一な組成であるため、粘度が高く糊感があったり、甘味が強すぎたり、風味や味質のバランスが悪いなど、総合的な評価で劣っていた。
Figure 0004973454
DE:ウイルシュテッターシューデル法
粘度:70質量%、30℃(mPa・s)
甘味度:砂糖100に対する相対値
分子量特性値A:分子量10,000を超える糖成分の割合(質量%)
分子量特性値B:分子量1,000〜10,000の糖成分に対する分子量1,000以下の糖成分の比
オリゴ糖組成:2糖類〜10糖類の割合(質量%)
総合評価:上記特性値と30%水溶液の風味、味質の官能評価を加味した総合的な評価
実施例4(さらし並餡への配合による評価試験)
表1に記載の各試料21g(固形分換算)とグラニュー糖50gに、固形分が55質量%になるように加水し、加熱し沸騰させた。これに小豆生餡34gを加えて10分間加熱攪拌し、小豆生餡33gを追加して10分間加熱攪拌し、さらに小豆生餡33gを加え、続いて食塩0.15gを加えて加熱攪拌し、Brix58%になるまで炊き上げ、さらし並餡を調製した。得られたさらし並餡を試食し、甘味の強さを評価した。甘味の低いものから順位をつけた結果(さらし並餡の甘味度)を表2に示す。





Figure 0004973454
次に、表2において、最も甘味の低かったものから9番目までのさらし並餡を試食し、口溶けの良さを評価した結果(さらし並餡の口溶け)を表3に示す。
Figure 0004973454
表2及び3の結果から、試料No.2、No.3、No.4、No.6及びNo.7のマルトオリゴ糖生成物を含有する練りさらし並餡は、低甘味で口溶けが良く、良好な食感であることが示された。
実施例5(水羊羹への配合による評価試験)
水150gに粉寒天1.5gを加え攪拌しながら加熱溶解した。これにグラニュー糖65gを加えて溶解し、次いで小豆生餡100gを加えて攪拌した後、予めBrix70%に調整しておいた表1の試料水溶液85gを加えて攪拌し、さらに食塩1gを加えて加熱しながら攪拌した。Brix42%になったところで加熱をやめ、60℃になるまで冷却した後、型に流し込み4℃の冷蔵庫内で硬化させ水羊羹を調製した。得られた水羊羹を試食し、甘味の強さを評価した。甘味の低いものから順位をつけた結果(水羊羹の甘味度)を表4に示す。








Figure 0004973454
次に、表4において最も甘味の低かったものから9番目までの水羊羹を、−18℃の冷凍庫に72時間凍結保存後、4℃の冷蔵庫にて12時間かけて解凍し、その食感を評価した結果(水羊羹の冷解凍後の食感)を表5に示す。
Figure 0004973454
表4及び5の結果から、試料No.2、No.3、No.4、No.6及びNo.7のマルトオリゴ糖生成物を含有する水羊羹は、低甘味で冷解凍後もゲル強度の劣化が少なく、食感に大きな変化の無いものであり、良好であった。
実施例6(スポンジケーキ)
上白砂糖80g、表1に記載の試料No.7の粉末40g、全卵140g、薄力粉100g、水18g、乳化油脂15gを、オールインミックス法にて比重が0.44から0.47になるまで攪拌し、ケーキ種を調製した。この種を直径18cmの型に流し込み、上下火180℃のオーブンにて30分焼成後、放冷してスポンジケーキを調製した。官能評価の結果、試料No.7を含有するスポンジケーキは、マイルドな甘味を有し、口融けが良く、風味の立ち上がりに優れたものであった。
実施例7(レモンゼリー)
表1に記載の試料No.4を30g(固形分換算)と砂糖30gを水100gに加えて加熱溶解し、予め水12gにゼラチン6gを加えて加熱溶解しておいたものを加えて攪拌した後、レモン果汁9gを加え、さらに全量300gになるように加水し攪拌した後容器に充填し、4℃の冷蔵庫中に3時間保持し、レモンゼリーを調製した。官能評価の結果、試料N0.4を含有するレモンゼリーは、レモンの果汁感、風味に優れ、さらに低甘味で口融けが良く、またゼラチン特有の弾力性が感じられ、離水の少ないものであった。
実施例8(アイスクリーム)
表1に記載の試料No.3の溶液(Brix75%)147gと加糖卵黄50gを1096gの水に加えて攪拌した。これに、脱脂粉乳166g、砂糖250g及びローカストビーンガム3gの混合物を加え、60℃に加熱しながら攪拌して溶解した。これに生クリーム214gと無塩バター72gを加えて85℃に達するまで加熱攪拌し、次に高圧ホモジナイザー(圧力150kg/cm、一回パス)を用いて均質化し、4℃の冷凍庫内で12時間保存後、2gのバニラフレーバーを加えてアイスクリームフリーザーに投入し、−4℃で取り出してカップに充填し、−30℃の冷凍庫にて硬化させ、乳脂肪分8%、無脂乳固形分8%のアイスクリームを調製した。官能評価の結果、試料No.3を含有するアイスクリームは、マイルドな甘味を有し、口融けの良いものであった。
実施例9(コーヒー飲料)
コーヒー豆を10倍の熱水で85℃、5分間抽出し、冷却後ろ過し、コーヒー抽出液を調製した。このコーヒー抽出液50gに、牛乳25g、砂糖4g、表1に記載の試料No.2を固形分換算で4g加えて攪拌し、60℃まで加温した後、高圧ホモジナイザー(圧力200kg/cm、一回パス)を用いて均質化し、缶詰後、レトルト殺菌機にて125℃、20分間の条件で殺菌し、コーヒー飲料を調製した。官能評価の結果、試料No.2を含有するコーヒー飲料は、コーヒー本来の風味が十分に引き出され、マイルドな甘味と適度なこくみを有し、喉越しが良いものであった。
実施例10(チョコレート)
原料用チョコレート(スイートチョコレート、カカオ52%、不二製油株式会社製)100質量部を60℃の湯煎上にて加熱融解した後、予め330メッシュ篩を通し粒径を45μm以下にした表1に記載の試料No.6の粉末を、チョコレート100質量部に対して10質量部加えてよく練り合わせ、33℃まで温度を下げた後、予め粉砕しておいた原料用チョコレート4部を加えてよく練り合わせた。これを型に流し込み4℃の冷蔵庫内に30分間保持し冷却硬化させた後、型から取り出しチョコレートを調製した。官能評価の結果、試料No.6を含有するチョコレートは、チョコレート本来の風味が十分に引き出され、甘味が低くマイルドであり、口融けの良いものであった。

Claims (3)

  1. 下記(1)〜(6)の特性値を有するマルトオリゴ糖組成物。
    (1)粘度が1000mPa・s以下、
    (2)甘味度が25以下、
    (3)糖組成物中の分子量10,000を超える糖成分の割合が3質量%以下、
    (4)分子量1,000〜10,000の糖成分に対する分子量1,000以下の糖成分の質量比が0.8〜1.5、
    (5)糖組成物中のオリゴ糖の割合が65質量%以上、及び
    (6)DEが20〜25
  2. 澱粉を酸で加水分解した後、α−アミラーゼ、又はα−アミラーゼと枝切り酵素で加水分解することを特徴とする請求項1記載のマルトオリゴ糖組成物の製造方法。
  3. 請求項1記載のマルトオリゴ糖組成物を含む飲食物。
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