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JP4950766B2 - 製紙用シーム付きフェルト - Google Patents

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本発明は、2本の経糸の折り返し部で端部接合用のループが形成されると共に、そのループの近傍に地の緯糸とは異なる糸材からなる追加緯糸が織り込まれた基布を有する製紙用シーム付きフェルトに関するものである。
抄紙機への掛け入れ作業性を向上させるため、有端のフェルトをフェルトランに引き込んだ上でその両端部を互いに接合して無端とする、いわゆるシーム付きフェルトが広く普及している。この種のシーム付きフェルトでは、基布を構成する経糸の折り返しにより丈方向の端部に形成されたループを、互いの中心孔が整合するように交互にかみ合わせ、これにより形成された共通孔に芯線を通して両端部を接合する構成が一般的である。
このようなシーム付きフェルトでは、シーム部を有するためにエンドレスフェルトでは生じない種々の問題点、例えばシーム部と地部との構造上の違いに起因して、製品にシームマークが発生したり、あるいはシーム部で不織繊維層が脱落したりする問題点が発生し、またループが変形することで端部接合時の作業性が低下するといった問題点が発生することから、これらの問題点に対して、ループの近傍に地部とは異なる糸を別に追加して対処するようにした種々の技術が知られている(例えば特許文献1〜15参照)。
実公昭56−6479号公報 実公昭55−47920号公報 特表平02−68389号公報 特許3027415号公報 特許3629276号公報 特表2002−523652号公報 特表2002−523653号公報 特表2003−504533号公報 特開2002−294579号公報 特許3677585号公報 特開2003−239194号公報 特開2003−247191号公報 特開2002−294579号公報 特開2004−232142号公報 特開2004−285554号公報
しかるに、前記従来のシーム付きフェルトでは、シーム部における芯線挿通部分の両側において、緯糸に相当するものがないために他の部分より空隙が多く、プレスロールによる加圧時に圧力がかかり難い凹部となることから、この部分の空隙を埋めるように追加緯糸を配することで、加圧時の圧力を均一化して、脱水不良による紙切れやシームマークを抑制し、またシーム部の通水性を地部と同程度に低く抑えることができるが、追加緯糸が太過ぎると、逆に加圧時に圧力が高くなる凸部になるため、シームマークや振動を招き、さらにループの形態にも悪影響を及ぼす。
また、前記従来のシーム付きフェルトでは、追加緯糸に、経糸と接触する交差部分で扁平化する糸材を採用することで、ループの捩れを防止するようにしているが、追加緯糸が扁平化し過ぎると、シーム部の空隙を埋める効果が低くなり、シームマークを抑制する効果が得られない。さらに、追加緯糸に、不織繊維層の形成繊維との絡み付きが良い糸を採用することで、不織繊維層、特にループの製紙面側を覆うように一方の端部から突出するフラップの脱落を防止することができるが、追加緯糸が扁平化し過ぎると、フラップの保持能力が低下して、フラップの脱落を防止する効果が十分に得られない。
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、追加緯糸が織り込まれた部分が加圧時の圧力を不均一にする凸部や凹部となることがないようにして、シームマークなどの不具合を避けることができ、さらにループの捩れを抑制すると共にフラップの脱落を防止することができるように構成された製紙用シーム付きフェルトを提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明においては、請求項1に示すとおり、2本の経糸の折り返し部で端部接合用のループが形成されると共に、そのループの基部に地の緯糸とは異なる糸材からなる追加緯糸が織り込まれた基布を有する製紙用シーム付きフェルトにおいて、前記追加緯糸が、2本の糸材を撚り合わせた撚り糸であり、撚りの半回転に対応する長さが、幅方向に並んだ前記ループの配置間隔に概ね一致するように、撚り数が設定されたものとした。
これによると、ループを形成する経糸と接触する交差部分で、追加緯糸を構成する2本の糸材が経糸に沿って横方向に並び、追加緯糸が全体として扁平化する。このため、追加緯糸が織り込まれた部分が凸部となることで生じるシームマーク、振動、及びループの捩れなどの不具合を避けることができる。その上、追加緯糸がループの基部を広い範囲で支持するようになり、ループの捩れを抑制することができる。
この場合追加緯糸が、モノフィラメント糸とマルチフィラメント糸との撚り糸、モノフィラメント糸と紡績糸との撚り糸、並びにマルチフィラメント糸と紡績糸との撚り糸とすると良く、この他に、モノフィラメント糸のみの撚り糸も可能である。
なお、前記のマルチフィラメント糸は、縒りのない引き揃え糸の他、複数のフィラメントを撚り合わせた撚り糸としても良い。
このように本発明によれば、追加緯糸がシーム部の空隙を適度に埋めて、追加緯糸が織り込まれた部分が加圧時の圧力を不均一にする凸部や凹部となることがないため、紙切れ、シームマーク、振動、及びループの捩れなどの不具合を避けることができ、しかも、シーム部の通水性を地部と同程度にすることができ、その上、追加緯糸がループを形成する経糸に沿って適度に扁平化して、追加緯糸がループの基部を広い範囲で支持するようになり、ループの捩れを抑制することができる。さらに、追加緯糸が過度に扁平化しないため、追加緯糸に対する不織繊維層の形成繊維の絡み付きが良好になり、フラップの脱落を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明によるシーム付きフェルトの一例を示す丈方向の断面図である。このシーム付きフェルトは、基布1に不織繊維層2を積層一体化してなるものであり、基布1は、一対の経糸3・4の双方に緯糸5を絡合させた2重織りの織物組織をなし、経糸3・4となる糸の折り返しにより丈方向の両端部8・9に端部接合用のループ11がそれぞれ形成され、その互いの中心孔が整合するように交互にかみ合わされて形成された共通孔に幅方向の接合用芯線13を挿通することで両端部8・9が接合される。
経糸3・4は、ポリアミドなどの高強度な合成樹脂材料からなるモノフィラメント糸であり、これと同様に緯糸5も、ポリアミドなどの高強度で比較的高剛性な合成樹脂材料からなるモノフィラメント糸である。
ループ11の基部、すなわち接合用芯線13が挿通されるループ11の先端部分と最端の地の緯糸5との間の部分には、地の緯糸5とは異なる糸材からなる追加緯糸15が設けられている。ここでは追加緯糸15が、ループ11を形成する2本の経糸3・4の各々に個別に絡み合うように1重織りで織り込まれている。なお、経糸3・4の双方に絡合して経糸3・4を相互に結合するように2重織りで追加緯糸15を織り込むことも可能であるが、図示するように追加緯糸15を1重織りで織り込むと、ループ11の基部を拘束しないため、ループ11の捩れを抑制する上で有効である。
この追加緯糸15は、後に詳述するように、1本のフィラメントからなるモノフィラメント糸と、これにより小径のフィラメントを複数集合させたマルチフィラメント糸との撚り糸からなり、経糸3・4と接触する交差部分で、その経糸3・4に沿って横方向に広がって扁平化するようになっている。
また、ループ11の上側(製紙面17側)は、抄紙機に掛け入れた状態で走行方向の前側に位置する端部8側の不織繊維層2を端部9側に突出させた形態のフラップ19で覆われている。
図2は、図1に示した追加緯糸15の製作手順を示す模式図である。追加緯糸15は、1本のフィラメントからなるモノフィラメント糸21と、これより小径のフィラメントを複数集合させたマルチフィラメント糸22との撚り糸からなるものであり、モノフィラメント糸21とマルチフィラメント糸22とを各1本ずつ撚り合わせて撚り糸23とし、さらにその撚り糸23を2本撚り合わせて、追加緯糸15が製作される。ここでは、撚りが2度行われ、追加緯糸15は2重撚りの撚り糸となっている。また、追加緯糸15の製作工程では、撚りの状態を安定させるために適宜に熱セットが行われる。
ここで、2本の撚り糸23を撚り合わせる上撚りの方向は、モノフィラメント糸21とマルチフィラメント糸22とを撚り合わせる下撚りの方向と逆になるようにすると良く、これにより撚りトルクが打ち消されて、ループ11を形成する経糸3・4が追加緯糸15に安定して保持されるようになる。
図3は、図1に示した基布1をループ11側から見た幅方向の断面図である。図4は、図1に示した基布1を製紙面17側から見た上面図である。
追加緯糸15は、撚りの半回転に対応する長さ、すなわち1回の撚りに対応する長さ(撚りピッチ)Lの半分L/2が、幅方向に並んだループ11の配置間隔に概ね一致するように、撚り数が設定されている。これにより、追加緯糸15は、これを構成する2本の撚り糸23が180度回転してその位置が入れ替わる度に、幅方向に並んだループ11を形成する各経糸3・4と接触するようになり、この経糸3・4と接触する交差部分で、常に2本の撚り糸23が経糸3・4に沿って横方向に並んで追加緯糸15が全体として扁平化する。このため、追加緯糸15がループ11の基部を広い範囲で支持するようになり、ループ11の捩れを抑制することができる。
さらに追加緯糸15は、撚り糸23を構成するマルチフィラメント糸22の各フィラメントが、経糸3・4と接触する交差部分でその経糸3・4に沿って横方向に広がって扁平化するが、このとき、モノフィラメント糸21とマルチフィラメント糸22とを撚り合わせる下撚りの撚りが強すぎると十分に扁平化しないため、下撚りの撚りを弱くすると良く、特に下撚りの撚り数は、上撚りの撚り数より小さくする、すなわち下撚りを上撚りより弱く撚るようにすると良い。
また、上撚り及び下撚りの撚り数(撚りの強さ)は、2〜7(回/2.54cm)とすると良い。特に、上撚りの撚り数(撚りの強さ)を2〜7(回/2.54cm)とすると、図3及び図4に示したように、撚りの半回転に対応する長さL/2を、幅方向に並んだループ11の配置間隔に概ね一致させることができる。
図5は、図1に示した基布1の機織の要領を示す模式図である。ここでは抄紙機上の第1・第2の経糸3・4が織機上で打込み糸として織り上げられ、抄紙機上の緯糸5・15は織機上では経糸(整経糸)となっており、ループ形成用芯材51に打込み糸を絡めてループ11を形成しながら袋織りで基布1が無端状に織り上げられる。具体的には、ループ11が織機上の耳部52・53の一方に形成され、その一方の耳部52において経糸3・4となる打込み糸をループ形成用芯材51に引っ掛けて折り返すことでループ11が形成され、このようにして基布1が無端状に織り上げられ後、ループ11からループ形成用芯材51を引き抜くことで有端状に展開される。
一方の耳部52では、追加緯糸15となるモノフィラメント糸とマルチフィラメント糸との撚り糸からなる整経糸が配置され、その他の領域では、地の緯糸5となるモノフィラメント糸からなる整経糸が配置されており、経糸3・4となる打込み糸を矢印で示すように通すことで、ループ11の近傍に追加緯糸15を配した基布1が織り上げられる。このとき、地の緯糸5となる整経糸が通される綜こうとは独立して駆動可能な綜こうに追加緯糸15となる整経糸を通すことで、地の緯糸5とは異なる組織で追加緯糸15を織り込むことができる。
図6は、本発明における追加緯糸の別の例を示す模式図であり、ここでは図2の例と同様にモノフィラメント糸を2本使用した場合の別の例を示している。
図6(A)の例では、追加緯糸61が、モノフィラメント糸のみの撚り糸からなるものであり、2本のモノフィラメント糸21を撚り合わせることで追加緯糸61が製作される。図6(B)の例では、追加緯糸62が、モノフィラメント糸21とマルチフィラメント糸22との撚り糸からなるものであり、2本のモノフィラメント糸21と1本のマルチフィラメント糸22とを撚り合わせて、追加緯糸62が製作される。
このようにモノフィラメント糸21を2本使用する場合には、図12に示すように、モノフィラメント糸21に糸径0.15mm〜0.27mmのものを使用し、マルチフィラメント糸22に糸径500d〜1300dのものを使用すると良い。
図7は、本発明における追加緯糸の別の例を示す模式図であり、ここではモノフィラメント糸を3本使用した場合の例を示している。
図7(A)の例では、追加緯糸71が、モノフィラメント糸21のみの撚り糸からなるものであり、3本のモノフィラメント糸21を一度に撚り合わせて、追加緯糸71が製作される。図7(B)の例では、追加緯糸72が、モノフィラメント糸21とマルチフィラメント糸22との撚り糸からなるものであり、3本のモノフィラメント糸21と1本のマルチフィラメント糸22とを一度に撚り合わせて、追加緯糸72が製作される。
図7(C)の例では、追加緯糸73が、モノフィラメント糸21とマルチフィラメント糸22との撚り糸からなるものであるが、ここではマルチフィラメント糸22が3本使用されており、モノフィラメント糸21とマルチフィラメント糸22とを各1本ずつ撚り合わせて撚り糸74とし、さらにその撚り糸74を3本撚り合わせて、追加緯糸73が製作される。ここでは、撚りが2度行われ、追加緯糸73は2重撚りの撚り糸となっている。
このようにモノフィラメント糸21を3本使用する場合には、図12に示すように、モノフィラメント糸21に糸径0.11mm〜0.23mmのものを使用し、マルチフィラメント糸22に糸径300d〜1000dのものを使用すると良い。
図8・図9は、本発明における追加緯糸の別の例を示す模式図であり、ここではモノフィラメント糸を4本使用した場合の例を示している。
図8(A)の例では、追加緯糸81が、モノフィラメント糸21のみの撚り糸からなるものであり、2本のモノフィラメント糸21を撚り合わせて撚り糸82とし、さらにその撚り糸82を2本撚り合わせて、追加緯糸81が製作される。ここでは、撚りが2度行われ、追加緯糸81は2重撚りの撚り糸となっている。
図8(B)の例では、追加緯糸83が、モノフィラメント糸21とマルチフィラメント糸22との撚り糸からなるものであり、2本のモノフィラメント糸21と1本のマルチフィラメント糸22とを撚り合わせて撚り糸84とし、さらにその撚り糸84を2本撚り合わせて、追加緯糸83が製作される。ここでは、撚りが2度行われ、追加緯糸83は2重撚りの撚り糸となっている。
図9の例では、追加緯糸91が、モノフィラメント糸21とマルチフィラメント糸22との撚り糸からなるものであり、まずモノフィラメント糸21とマルチフィラメント糸22とを各1本ずつ撚り合わせて撚り糸92とし、次にその撚り糸92を2本撚り合わせて撚り糸93とし、さらにその撚り糸93を2本撚り合わせて、追加緯糸91が製作される。ここでは、撚りが3度行われ、追加緯糸91は3重撚りの撚り糸となっている。
このようにモノフィラメント糸21を4本使用する場合には、図12に示すように、モノフィラメント糸21に糸径0.08mm〜0.15mmのものを使用し、マルチフィラメント糸22に糸径100d〜700dのものを使用すると良い。
図10は、本発明における追加緯糸の別の例を示す模式図である。ここでは、追加緯糸101が、1本のフィラメントからなるモノフィラメント糸21と、これより小径のステープルを紡いで得られる紡績糸102との撚り糸からなるものであり、モノフィラメント糸21と紡績糸102とを各1本ずつ撚り合わせて撚り糸103とし、さらにその撚り糸103を2本撚り合わせて、追加緯糸101が製作される。
このように追加緯糸が、モノフィラメント糸21と紡績糸102との撚り糸からなるものである場合には、図10の例の他に、図6〜図9に示した例と同様に、種々の構成が可能であり、この場合、図6〜図9に示したマルチフィラメント糸22を紡績糸102に置き換えれば良い。
また、モノフィラメント糸21及び紡績糸102の太さについては、前記の例と同様に、図12に示すような糸径のものを使用すると良い。
図11は、本発明における追加緯糸の別の例を示す模式図である。ここでは、追加緯糸111が、フィラメントを複数集合させたマルチフィラメント糸22と、ステープルを紡いで得られる紡績糸102との撚り糸からなるものであり、マルチフィラメント糸22と紡績糸102とを各1本ずつ撚り合わせて撚り糸112とし、さらにその撚り糸112を2本撚り合わせて、追加緯糸111が製作される。
このように追加緯糸が、マルチフィラメント糸22と紡績糸102との撚り糸からなるものである場合には、図11の例の他に、図6〜図9に示した例と同様に、種々の構成が可能であり、この場合、図6〜図9に示したモノフィラメント糸21を紡績糸102に置き換えれば良い。
また、マルチフィラメント糸22及び紡績糸102の太さについては、図12に示すように、互いに略同一の糸径のものを使用すると良い。
なお、図2及び図6〜図11に追加緯糸の例を示したが、本発明による追加緯糸は、これらの例に限定されるものではなく、種々の撚り合わせ方法による撚り糸を用いることが可能である。
また、図6〜図11に示した例において、追加緯糸が、2重撚りあるいは3重撚りの撚り糸である場合には、図2の例と同様に、上撚りの方向を下撚りの方向と逆になるようにすると良い。また、下撚りを上撚りより弱く撚るようにすると良い。また、上撚り及び下撚りの撚り数(撚りの強さ)は、特に限定されないが、2〜7(回/2.54cm)とすると良い。また、追加緯糸の製作工程では、撚りの状態を安定させるために適宜に熱セットが行われる。
また、追加緯糸が、モノフィラメント糸のみの撚り糸、モノフィラメント糸とマルチフィラメント糸との撚り糸、モノフィラメント糸と紡績糸との撚り糸、及びマルチフィラメント糸と紡績糸との撚り糸の各場合において、図6(A)、図8(A)・(B)、図9〜図11に一例を示したように、追加緯糸を、2本の糸材を撚り合わせた撚り糸(双糸)として、図3・図4に示したように、撚りの半回転に対応する長さL/2が、幅方向に並んだループの配置間隔に概ね一致するように、撚り数が設定されたものとすることができる。
図13は、図1に示した本発明による実施例及び従来技術による比較例でのシーム部の圧力の分布状態を示している。ここでは、圧力の大きさに応じて発色濃度が変化する圧力測定フィルム(プレスケール)を使用し、この圧力測定フィルムを実施例及び比較例によるフェルトに重ねて加圧条件78.45kN/mでプレスロールにより加圧した。
図13(A)に示す実施例では、ループの近傍に織り込まれる追加緯糸に、図2に示したように、モノフィラメント糸とマルチフィラメント糸とを各1本ずつ撚り合わせてできた撚り糸を2本撚り合わせたものを使用した。ここで、モノフィラメント糸には太さ0.21mmのもの、マルチフィラメント糸には太さ6dのフィラメントを140本束ねたものをそれぞれ使用した。
図13(B)に示す比較例では、追加緯糸に、マルチフィラメント糸(縒りのない引き揃え糸)を使用した。ここで、マルチフィラメント糸には太さ6dのフィラメントを175本引き揃えたものを使用した。
図13(B)に示す比較例では、芯線挿通部の両側に、発色が低濃度の領域が現れ、ここでは圧力が低いことを示している。これに対して、図13(A)に示す実施例では、比較例のような圧力の低い部分が殆どなく、概ね均一な圧力分布となっており、本発明の有効性が確認された。
本発明にかかる製紙用シーム付きフェルトは、追加緯糸が織り込まれた部分が加圧時の圧力を不均一にする凸部や凹部となることがないようにして、シームマークなどの不具合を避けることができ、さらにループの捩れを抑制すると共にフラップの脱落を防止することができる効果を有し、2本の経糸の折り返し部で端部接合用のループが形成されると共に、そのループの近傍に地の緯糸とは異なる糸材からなる追加緯糸が織り込まれた基布を有する製紙用シーム付きフェルト、特に抄紙機のプレスパートで用いられるプレスフェルトなどとして有用である。
本発明によるシーム付きフェルトの一例を示す丈方向の断面図である。 図1に示した追加緯糸の製作手順を示す模式図である。 図1に示した基布をループ側から見た幅方向の断面図である。 図1に示した基布を製紙面側から見た上面図である。 図1に示した基布の機織の要領を示す模式図である。 本発明における追加緯糸の別の例を示す模式図である。 本発明における追加緯糸の別の例を示す模式図である。 本発明における追加緯糸の別の例を示す模式図である。 本発明における追加緯糸の別の例を示す模式図である。 本発明における追加緯糸の別の例を示す模式図である。 本発明における追加緯糸の別の例を示す模式図である。 図1〜図10に示した例におけるモノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、及び紡績糸の糸径の例を示す図である。 図1に示した本発明による実施例及び従来技術による比較例でのシーム部の圧力の分布状態を示す図である。
符号の説明
1 基布
2 不織繊維層
3・4 経糸
5 緯糸
11 ループ
15・61・62・71・72・73・81・83・91・101・111 追加緯糸
19 フラップ
21 モノフィラメント糸
22 マルチフィラメント糸
102 紡績糸

Claims (5)

  1. 2本の経糸の折り返し部で端部接合用のループが形成されると共に、そのループの基部に地の緯糸とは異なる糸材からなる追加緯糸が織り込まれた基布を有する製紙用シーム付きフェルトであって、
    前記追加緯糸が、2本の糸材を撚り合わせた撚り糸であり、撚りの半回転に対応する長さが、幅方向に並んだ前記ループの配置間隔に概ね一致するように、撚り数が設定されたことを特徴とする製紙用シーム付きフェルト。
  2. 前記追加緯糸が、1本のフィラメントからなるモノフィラメント糸のみの撚り糸からなることを特徴とする請求項1に記載の製紙用シーム付きフェルト。
  3. 前記追加緯糸が、1本のフィラメントからなるモノフィラメント糸と、これより小径のフィラメントを複数集合させたマルチフィラメント糸との撚り糸からなることを特徴とする請求項1に記載の製紙用シーム付きフェルト。
  4. 前記追加緯糸が、1本のフィラメントからなるモノフィラメント糸と、これより小径のステープルを紡いで得られる紡績糸との撚り糸からなることを特徴とする請求項1に記載の製紙用シーム付きフェルト。
  5. 前記追加緯糸が、フィラメントを複数集合させたマルチフィラメント糸と、ステープルを紡いで得られる紡績糸との撚り糸からなることを特徴とする請求項1に記載の製紙用シーム付きフェルト。
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