以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。以下に述べる実施形態は、この発明による熱交換器を、フロン系冷媒を使用するカーエアコンのエバポレータに適用したものである。
なお、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。また、以下の説明において、図2、の上下、左右を上下、左右というものとする。
図1および図2はエバポレータの全体構成を示し、図3〜図10はエバポレータの要部の構成を示す。
図1〜図4に示すように、エバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製冷媒入出用ヘッダタンク(2)(第1ヘッダタンク)とアルミニウム製冷媒ターン用ヘッダタンク(3)(第2ヘッダタンク)との間に熱交換コア部(4)が設けられたものである。
冷媒入出用ヘッダタンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置する冷媒入口ヘッダ部(5)と、後側(通風方向上流側)に位置する冷媒出口ヘッダ部(6)と、両ヘッダ部(5)(6)を相互に連結一体化する連結部(7)とを備えている。冷媒入出用ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)にアルミニウム製冷媒入口管(8)が接続され、同じく冷媒出口ヘッダ部(6)にアルミニウム製冷媒出口管(9)が接続されている。
冷媒ターン用ヘッダタンク(3)は、前側に位置する第1中間ヘッダ部(11)と、後側に位置する第2中間ヘッダ部(12)と、両ヘッダ部(11)(12)を相互に連結一体化する連結部(13)とを備えており、両ヘッダ部(11)(12)と連結部(13)とにより排水樋(14)が形成されている。冷媒入出用ヘッダタンク(2)および冷媒ターン用ヘッダタンク(3)の周壁の横断面形状は同一であり、互いに上下逆向きに配置されている。
熱交換コア部(4)は、左右方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管(15)からなる熱交換管群(16)が、前後方向に並んで複数列、ここでは2列配置され、各熱交換管群(16)の隣接する熱交換管(15)どうしの間の通風間隙、および各熱交換管群(16)の左右両端の熱交換管(15)の外側にそれぞれコルゲートフィン(17)が配置されて熱交換管(15)にろう付され、さらに左右両端のコルゲートフィン(17)の外側にそれぞれアルミニウム製サイドプレート(18)が配置されてコルゲートフィン(17)にろう付されることにより構成されている。そして、前側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の上下両端は冷媒入口ヘッダ部(5)および第1中間ヘッダ部(11)に接続され、後側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の上下両端部は冷媒出口ヘッダ部(6)および第2中間ヘッダ部(12)に接続されている。
熱交換管(15)はアルミニウム押出形材で形成されたベア材からなり、幅方向を前後方向に向けて配置されるとともに幅方向に並んだ複数の冷媒通路を有する扁平状である。コルゲートフィン(17)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートを用いて波状に形成されたものであり、波頂部、波底部および波頂部と波底部とを連結する水平状連結部よりなり、連結部に複数のルーバが前後方向に並んで形成されている。コルゲートフィン(17)は、前後の熱交換管群(16)を構成する前後両熱交換管(15)に共有されており、その前後方向の幅は前側熱交換管(15)の前側縁と後側熱交換管(15)の後側縁との間隔をほぼ等しくなっている。そして、コルゲートフィン(17)の波頂部および波底部は、前後の熱交換管(15)にろう付されている。コルゲートフィン(17)の前側縁は前側熱交換管(15)の前側縁よりも若干前方に突出している。なお、1つのコルゲートフィンが前後両熱交換管群(16)に共有される代わりに、両熱交換管群(16)の隣り合う熱交換管(15)どうしの間にそれぞれコルゲートフィンが配置されていてもよい。
図2〜図5に示すように、冷媒入出用ヘッダタンク(2)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されかつすべての熱交換管(15)が接続されたプレート状の第1部材(21)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されかつ第1部材(21)の上側(熱交換管(15)とは反対側)を覆う第2部材(22)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートまたはアルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより形成されかつ第1部材(21)と第2部材(22)との間に配置されて両部材(21)(22)にろう付された平坦な仕切部形成用板(23)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されかつ第1部材(21)、第2部材(22)および仕切部形成用板(23)の左右両端にろう付されたアルミニウム製左右両端部材(25)(26)と、右端部材(26)の外面に、冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)に跨るようにろう付された前後方向に長いアルミニウム製のジョイントプレート(27)とよりなり、ジョイントプレート(27)に、冷媒入口管(8)および冷媒出口管(9)が接続されている。なお、ジョイントプレート(27)は、アルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより形成されている。
第1部材(21)は、冷媒入口ヘッダ部(5)の下部(熱交換管(4)側の部分)を形成する下方膨出状の第1ヘッダ形成部(28)と、冷媒出口ヘッダ部(6)の下部を形成する下方膨出状の第2ヘッダ形成部(29)と、第1ヘッダ形成部(28)の後側縁部と第2ヘッダ形成部(29)の前側縁部とを連結しかつ連結部(7)の下部を形成する平坦な連結壁(31)とよりなる。第1ヘッダ形成部(28)は、水平平坦状の底壁(32)と、底壁(32)の前後両側縁部に一体に形成された前後両側壁(33)(34)とからなる。前側壁(33)は、底壁(32)の前縁に連なりかつ上方に向かって前方に傾斜した傾斜部(33a)と、傾斜部(33a)の上縁に連なって上方に伸びた垂直部(33b)とよりなる。後側壁(34)は、上方に向かって後方に傾斜しかつその上端部が垂直状となっている。前側壁(33)の上端は後側壁(34)の上端よりも上方に位置している。第2ヘッダ形成部(29)は、第1ヘッダ形成部(28)とは左右対称形であって、水平平坦状底壁(35)と、底壁(35)の後側縁部および前側縁部に一体に形成された後側壁(36)および前側壁(37)とからなる。後側壁(36)は、底壁(35)の後縁に連なりかつ上方に向かって後方に傾斜した傾斜部(36a)と、傾斜部(36a)の上縁に連なった垂直部(36b)とよりなる。前側壁(37)は、上方に向かって前方に傾斜しかつその上端部が垂直状となっている。後側壁(36)の上端は前側壁(37)の上端よりも上方に位置している。そして、第1ヘッダ形成部(28)の後側壁(34)上縁と第2ヘッダ形成部(29)の前側壁(37)上縁とが連結壁(31)により一体に連結されている。
第1部材(21)の両ヘッダ形成部(28)(29)に、それぞれ前後方向に長い複数の管挿通穴(38)が、左右方向に間隔をおきかつ左右方向に関して同一位置に来るように形成されている。第1ヘッダ形成部(28)の管挿通穴(38)は前側壁(33)の傾斜部(33a)から後側壁(34)にかけて形成され、第2ヘッダ形成部(29)の管挿通穴(38)は後側壁(34)の傾斜部(36a)から前側壁(37)にかけて形成されている。両ヘッダ形成部(28)(29)の管挿通穴(38)に、熱交換コア部(4)の前後両熱交換管群(16)の熱交換管(15)の上端部が挿入され、第1部材(21)のろう材層を利用して第1部材(21)にろう付されており、これにより前側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の上端部が冷媒入口ヘッダ部(5)に、後側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の上端部が冷媒出口ヘッダ部(6)にそれぞれ連通状に接続されている。第1部材(21)の連結壁(31)に、左右方向に長い複数の排水用貫通穴(39)が左右方向に間隔をおいて形成されている。
第2部材(22)は、冷媒入口ヘッダ部(5)の上部(熱交換管(4)とは反対側の部分)を形成する上方膨出状の第1ヘッダ形成部(42)と、冷媒出口ヘッダ部(6)の上部を形成する上方膨出状の第2ヘッダ形成部(43)と、第1ヘッダ形成部(42)の後側縁部と第2ヘッダ形成部(43)の前側縁部とを連結し、かつ連結部(7)の上部を形成する平坦な連結壁(44)とよりなる。第1ヘッダ形成部(42)および第2ヘッダ形成部(43)の横断面形状は、それぞれ下方に開口するとともに、前後方向中央部が上方に突出した横断面略U字状であり、両ヘッダ形成部(42)(43)に、それぞれその前後方向外側部分から同内側部分に至る帯状の内方突出部(45)が、その長さ方向に間隔をおいて複数形成されている。そして、第1ヘッダ形成部(42)の後側壁(42a)下縁と第2ヘッダ形成部(43)の前側壁(43a)下縁とが連結壁(44)により一体に連結されている。また、連結壁(44)における第1部材(21)の各排水用貫通穴(39)と合致した位置に排水用貫通穴(46)が形成されている。
仕切部形成用板(23)は、冷媒入口ヘッダ部(5)内を上下2つの空間(5a)(5b)に区画する前側仕切部(48)と、冷媒出口ヘッダ部(6)内を上下2つの空間(6a)(6b)に区画する後側仕切部(49)と、両仕切部(48)(49)を連結し、かつ第1部材(21)および第2部材(22)の連結壁(31)(44)に挟着されて両連結壁(31)(44)にろう付され、かつ連結部(7)の上下方向の中央部を形成する平坦な連結壁(51)とよりなる。
仕切部形成用板(23)の前側仕切部(48)における左端部に配置された熱交換管(15)よりも左側の部分には、平面から見て前後方向に長くかつ冷媒入口ヘッダ部(5)内の上下2つの空間(5a)(5b)を通じさせる連通穴(52)が形成されている。前側仕切部(48)における連通穴(52)の左側縁部から前後両側縁部にかけて、下側空間(5b)側に突出し、かつ冷媒を右側に案内するガイド部(59)が一体に形成されている。ガイド部(59)は、下側に向かって右側に傾斜した案内用の傾斜部(59a)と、傾斜部(59a)の先端に連なって右側にのびる水平部(59b)と、前側仕切部(48)における連通穴(52)の前後両側縁部に、下方に向かって前後方向内方に傾斜するように一体に形成され、かつ傾斜部(59a)および水平部(59b)の前後両側縁部を前側仕切部(48)に連結する連結部(59c)とよりなる。ガイド部(59)の水平部(59b)の先端(右端)は、仕切部形成用板(23)の前側仕切部(48)に形成された連通穴(52)の右側縁のほぼ真下に位置している。なお、ここでは、ガイド部(59)の水平部(59b)の上面は、熱交換管(15)の上端とほぼ同一高さ位置にある。
仕切部形成用板(23)の前側仕切部(48)の前後方向の中間部には、冷媒入口ヘッダ部(5)の上下両空間(5a)(5b)を通じさせる複数の円形連通穴(53)が、左右方向に間隔をおいて形成されている。前側仕切部(48)の下面における円形連通穴(53)の周囲の部分に、下方に突出した短円筒状のフランジ(54)が一体に形成されている。円形連通穴(53)およびフランジ(54)は、隣り合う2本の熱交換管(15)どうしの間に形成されている。また、仕切部形成用板(23)の後側仕切部(49)の後側部分における左右両端部を除いた部分には、左右方向に長くかつ冷媒出口ヘッダ部(6)の上下両空間(6a)(6b)を通じさせる複数の長円形連通穴(55A)(55B)が、左右方向に間隔をおいて形成されている。後側仕切部(49)の上面における長円形連通穴(55A)(55B)の周囲の部分に、上方に突出した短筒状のフランジ(56A)(56B)が一体に形成されている。中央部の長円形貫通穴(55A)の長さは他の長円形連通穴(55B)の長さよりも短く、隣り合う熱交換管(15)間に位置している。仕切部形成用板(23)の前後両側縁部、すなわち前側仕切部(48)の前側縁部および後側仕切部(49)の後側縁部に、上方に開口しかつ左右方向にのびる嵌入溝(57)が全長にわたって形成されており、第2部材(22)の第1ヘッダ形成部(42)の前側壁(42a)の下端部および第2ヘッダ形成部(43)の後側壁(43a)の下端部がそれぞれ嵌入溝(57)内に嵌め入れられた状態で、第2部材(22)と仕切部形成用板(23)とがろう付されている。仕切部形成用板(23)の前後両嵌入溝(57)における前後方向外側壁(57a)は同内側壁よりも上方に突出するとともに、その上縁に前後方向外方に突出した凸条(58)が全長にわたって一体に形成されており、第1部材(21)の第1ヘッダ形成部(28)の前側壁(33)の垂直部(33b)および第2ヘッダ形成部(29)の後側壁(36)の垂直部(36b)が、それぞれ嵌入溝(57)の前後方向外側壁(57a)の外面に沿わされるとともに、両垂直部(33b)(36b)の上端が凸条(58)に当接した状態で、第1部材(21)と仕切部形成用板(23)とがろう付されている。
図6に示すように、仕切部形成用板(23)の連結壁(51)における第1部材(21)および第2部材(22)の各排水用貫通穴(39)(46)と合致した位置に排水用貫通穴(62)が形成され、隣り合う排水用貫通穴(62)の間の部分に、左右方向に長い固定用長穴(63)が貫通状に形成されている。固定用長穴(63)の左半部内に、第1部材(21)の連結壁(31)を塑性変形させることにより上方突出状に形成された凸部(64)が圧入され、同じく右半部内に、第2部材(22)の連結壁(44)を塑性変形させることにより下方突出状に形成された凸部(65)が圧入されている。各凸部(64)(65)はそれぞれ連結壁(31)(44)の材料を固定用長穴(63)内に押し込む圧印加工により形成されている。第1部材(21)および第2部材(22)の凸部(64)(65)の相互に接触する接触面(64a)(65a)は、それぞれ凸部(64)(65)の突出端側から基端側に向かって他方の凸部(64)(65)側に傾斜している。すなわち、第1部材(21)の凸部(64)の右端の接触面(64a)は、上側から下側に向かって右方に傾斜し、第2部材(22)の凸部(65)の左端の接触面(65a)は、下側から上側に向かって左方に傾斜している。第1部材(21)および第2部材(22)の両凸部(64)(65)の接触面(64a)(65a)どうし、ならびに両凸部(64)(65)と仕切部形成用板(23)の連結壁(51)とがそれぞれろう付されている。第1部材(21)および第2部材(22)の両凸部(64)(65)の接触面(64a)(65a)どうしのろう付、ならびに両凸部(64)(65)と仕切部形成用板(23)の連結壁(51)とのろう付の前の状態においては、両凸部(64)(65)の働きにより、第1部材(21)、第2部材(22)および仕切部形成用板(23)は仮止めされる。
そして、第1部材(21)の第1ヘッダ形成部(28)と第2部材(22)の第1ヘッダ形成部(42)と仕切部形成用板(23)の前側仕切部(48)とにより入口ヘッダ部本体(60)が形成され、第1部材(21)の第2ヘッダ形成部(29)と、第2部材(22)の第2ヘッダ形成部(43)と、仕切部形成用板(23)の後側仕切部(49)とにより出口ヘッダ部本体(61)が形成されている。
左端部材(25)は、入口ヘッダ部本体(60)の左端開口を閉鎖する前キャップ(25a)と、出口ヘッダ部本体(61)の左端開口を閉鎖する後キャップ(25b)とが連結部(25c)を介して一体化されたものであり、前キャップ(25a)には、入口ヘッダ部本体(60)における仕切部形成用板(23)の前側仕切部(48)よりも上側の空間(5a)内に嵌め入れられる上側右方突出部(66)と、前側仕切部(48)よりも下側の空間(5b)内に嵌め入れられる下側右方突出部(67)とが上下に間隔をおいて一体に形成され、同じく後キャップ(25b)には、出口ヘッダ部本体(61)における仕切部形成用板(23)の後側仕切部(49)よりも上側の空間(6a)内に嵌め入れられる上側右方突出部(68)と、後側仕切部(49)よりも下側の空間(6b)内に嵌め入れられる下側右方突出部(69)とが上下に間隔をおいて一体に形成されている。また、左端部材(25)の前後両側縁と上縁および下縁との間の連接部に、それぞれ右方に突出して第1および第2部材(21)(22)に係合する係合爪(71)が一体に形成されている。左端部材(25)は、自身のろう材層を利用して両部材(21)(22)および仕切部形成用板(23)にろう付されている。そして、仕切部形成用板(23)の前側仕切部(48)の左端部が、左端部材(25)の前キャップ(25a)の上側右方突出部(66)と下側右方突出部(67)との間に嵌め入れられて左端部材(25)の前キャップ(25a)にろう付されている。また、仕切部形成用板(23)の後側仕切部(49)の左端部が、左端部材(25)の後キャップ(25b)の上側右方突出部(68)と下側右方突出部(69)との間に嵌め入れられて左端部材(25)の後キャップ(25b)にろう付されている。さらに、仕切部形成用板(23)の連結壁(51)の左端部は、左端部材(25)の連結部(25c)に当接状態でろう付されている。
右端部材(26)は、入口ヘッダ部本体(60)の右端開口を閉鎖する前キャップ(26a)と、出口ヘッダ部本体(61)の右端開口を閉鎖する後キャップ(26b)とが連結部(26c)を介して一体化されたものである。右端部材(26)の前キャップ(26a)には、入口ヘッダ部本体(60)内における仕切部形成用板(23)の前側仕切部(48)よりも上側の空間(5a)内に嵌め入れられる上側左方突出部(73)と、前側仕切部(48)よりも下側の空間(5b)内に嵌め入れられる下側左方突出部(74)とが上下に間隔をおいて一体に形成され、同じく後キャップ(26b)には、出口ヘッダ部本体(61)内における仕切部形成用板(23)の後側仕切部(49)よりも上側の空間(6a)内に嵌め入れられる上側左方突出部(75)と、後側仕切部(49)よりも下側の空間(6b)内に嵌め入れられる下側左方突出部(76)とが上下に間隔をおいて一体に形成されている。右端部材(26)の前キャップ(26a)の上側左方突出部(73)の突出端壁に冷媒入口(77)が形成され、同じく後キャップ(26b)の上側左方突出部(75)の突出端壁に冷媒出口(78)が形成されている。右端部材(26)の前後両側縁と上縁との間の連接部、および下縁の前後両側部分に、それぞれ左方に突出して第1および第2部材(21)(22)に係合する係合爪(79)が一体に形成されている。
右端部材(26)の連結部(26c)の上端における前後方向の中央部に上方に突出した第1係合雄部(81)が一体に形成され、同じく連結部(26c)の下端部における前後方向の中央部に下方に突出した第2係合雄部(82)が一体に形成されている。第2係合雄部(82)は、エバポレータ(1)を製造するにあたって、右端部材(26)をジョイントプレート(27)に組み合わせる前の状態においては、右側方に突出している。さらに、右端部材(26)の下縁部の前後両端部には、それぞれ切り欠き(80)が形成されている。右端部材(26)は、自身のろう材層を利用して両部材(21)(22)および仕切部形成用板(23)にろう付されている。そして、仕切部形成用板(23)の前側仕切部(48)の右端部が、右端部材(26)の前キャップ(26a)の上側左方突出部(73)と下側左方突出部(74)との間に嵌め入れられて右端部材(26)の前キャップ(26a)にろう付されている。また、仕切部形成用板(23)の後側仕切部(49)の右端部が、右端部材(26)の後キャップ(26b)の上側左方突出部(75)と下側左方突出部(76)との間に嵌め入れられて右端部材(26)の後キャップ(26b)にろう付されている。さらに、仕切部形成用板(23)の連結壁(51)の右端部は、右端部材(26)の連結部(26c)に当接状態でろう付されている。
ジョイントプレート(27)は、右端部材(26)の冷媒入口(77)に通じる短円筒状冷媒流入口(83)と、同じく冷媒出口(78)に通じる短円筒状冷媒流出口(84)とを備えている。冷媒流入口(83)および冷媒流出口(84)は、それぞれ円形貫通穴と、貫通穴の周囲に右方突出状に一体に形成された短円筒状部とよりなる。ジョイントプレート(27)の冷媒流入口(83)に、冷媒入口管(8)の一端部に形成された縮径部が差し込まれてろう付され、同じく冷媒流出口(84)に、冷媒出口管(9)の一端部に形成された縮径部が差し込まれてろう付されている。図示は省略したが、冷媒入口管(8)および冷媒出口管(9)の他端部には、両管(8)(9)に跨るように膨張弁取付部材が接合されている。
ジョイントプレート(27)における冷媒流入口(83)と冷媒流出口(84)との間の部分には、上下方向に伸びる短絡防止用のスリット(85)が形成されるとともに、スリット(85)の上下両端に連なって略台形状の貫通穴(86)(87)が形成されている。また、ジョイントプレート(27)における上側貫通穴(86)の上方部分および下側貫通穴(87)の下方部分は、それぞれ左方に突出するようにU字状に屈曲されて第1および第2係合雌部(88)(89)が形成されている。第1係合雌部(88)には、右端部材(26)の第1係合雄部(81)が下方から挿通させられて第1係合雌部(88)に係合させられているとともに、第2係合雌部(89)には、右端部材(26)の第2係合雄部(82)が上方から挿通させられて第2係合雌部(89)に係合させられており、これによりジョイントプレート(27)の左右方向の移動が阻止されている。右端部材(26)の第2係合雄部(82)は、右側方に突出した状態で下側の貫通穴(87)に通された後下方に曲げられることによって、第2係合雌部(89)に上方から挿通させられることになる。また、第1係合雌部(88)は、右端部材(26)の連結部(26c)における第1係合雄部(81)の前後両側部分に係合しており、これによりジョイントプレート(27)の下方への移動が阻止されている。さらに、ジョイントプレート(27)の下縁の前後両端部には、それぞれ左方に突出した係合爪(91)が一体に形成されているとともに、この係合爪(91)が右端部材(26)の下縁に形成された切り欠き(80)内に嵌った状態で右端部材(26)に係合しており、これによりジョイントプレート(27)の上方および前後方向への移動が阻止されている。このように、ジョイントプレート(27)は、左右方向、上下方向および前後方向の移動が阻止されるように右端部材(26)に係合させられた状態で、右端部材(26)のろう材層を利用して右端部材(26)にろう付されている。
図2、図3および図7〜図10に示すように、冷媒ターン用ヘッダタンク(3)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されかつすべての熱交換管(15)が接続されたプレート状の第1部材(92)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されかつ第1部材(92)の下側(熱交換管(15)とは反対側)を覆う第2部材(93)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートまたはアルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより形成されかつ第1部材(92)と第2部材(93)との間に配置されて両部材(92)(93)にろう付された平坦な仕切部形成用板(94)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されかつ第1部材(92)、第2部材(93)および仕切部形成用板(94)の左右両端にろう付されたアルミニウム製左右両端部材(96)(97)とよりなる。
第1部材(92)は、冷媒入出用ヘッダタンク(2)の第1部材(21)と同一構成であるとともに第1部材(21)とは上下逆向きに配置されたものであり、同一部分には同一符号を付す。ここで、第1ヘッダ形成部(28)は第1中間ヘッダ部(11)の上部を形成し、第2ヘッダ形成部(29)は第2中間ヘッダ部(12)の上部を形成する。管挿通穴(38)に、熱交換コア部(4)の前後両熱交換管群(16)の熱交換管(15)の下端部が挿入され、第1部材(92)のろう材層を利用して第1部材(92)にろう付されており、これにより前側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の下端部が第1中間ヘッダ部(11)に、後側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の下端部が第2中間ヘッダ部(12)にそれぞれ連通状に接続されている。
第2部材(93)は、第1ヘッダ形成部(42)の後側壁(42a)、第2ヘッダ形成部(43)の前側壁(43a)および連結壁(44)の構成を除いては、冷媒入出用ヘッダタンク(2)の第2部材(22)と同一構成であるとともに第2部材(93)とは上下逆向きに配置されたものであり、同一部分には同一符号を付す。ここで、第1ヘッダ形成部(42)は第1中間ヘッダ部(11)の下部を形成し、第2ヘッダ形成部(43)は第2中間ヘッダ部(12)の下部を形成する。
仕切部形成用板(94)は、前後の仕切部(48)(49)の構成を除いては、冷媒入出用ヘッダタンク(2)の仕切部形成用板(23)と同一構成であるとともに仕切部形成用板(23)とは上下逆向きに配置されてものであり、同一部分には同一符号を付す。ここで、前側仕切部(48)によって第1中間ヘッダ部(11)内が上下2つの空間(11a)(11b)に区画され、後側仕切部(49)によって第2中間ヘッダ部(12)内が上下2つの空間(12a)(12b)に区画されている。前側仕切部(48)には、左右方向に長い比較的大きな複数の方形連通穴(101)が、左右方向に間隔をおいて形成されている。また、後側仕切部(49)の後側部分には、複数の円形連通穴(102)が左右方向に間隔をおいて貫通状に形成されている。後側仕切部(49)の上面における円形連通穴(102)の周囲の部分に、上方に突出した短円筒状のフランジ(103)が一体に形成されている。円形連通穴(102)およびフランジ(103)は、隣り合う2本の熱交換管(15)どうしの間に形成されている。
第1および第2部材(92)(93)と仕切部形成用板(94)とは、冷媒入出用ヘッダタンク(2)の第1および第2部材(21)(22)と仕切部形成用板(23)の場合と同様にしてろう付されており、第1部材(92)の第1ヘッダ形成部(28)と第2部材(93)の第1ヘッダ形成部(42)と仕切部形成用板(94)の前側仕切部(48)とによって、両端が開口した中空状の第1中間ヘッダ部本体(104)が形成され、第1部材(92)の第2ヘッダ形成部(29)と第2部材(93)の第2ヘッダ形成部(43)と仕切部形成用板(94)の後側仕切部(49)とによって、両端が開口した中空状の第2中間ヘッダ部本体(105)が形成されている。
冷媒ターン用タンク(3)の第2部材(93)おける第1ヘッダ形成部(42)の後側壁(42a)、第2ヘッダ形成部(43)の前側壁(43a)および連結壁(44)、すなわち、両中間ヘッダ部(11)(12)における前後の仕切部(48)(49)よりも下側部分(熱交換管の長さ方向外側の部分)に、第1中間ヘッダ部(11)の下側空間(11b)(熱交換管の長さ方向外側の空間)内と、第2中間ヘッダ部(12)の下側空間(12)(熱交換管の長さ方向外側の空間)内とを通じさせる複数の連通部(98)が、左右方向に間隔をおいて設けられている。連通部(98)は、第2中間ヘッダ部(12)内における冷媒ターン用ヘッダタンク(3)の長さ方向での冷媒量を均一にしうる複数箇所において、左右方向に隣り合う熱交換管(15)どうしの間に設けられている。連通部(98)は、アルミニウムブレージングシートにプレス加工を施して第2部材(93)を成形する際に形成されたものであり、第1ヘッダ形成部(42)の後側壁(42a)、および第2ヘッダ形成部(43)の前側壁(43a)に、それぞれその上縁から下方に凹むように形成された略半円形の凹部(106)(107)と、連結壁(44)に形成され、かつ下方に突出するとともに両凹部(106)(107)の周縁どうしを連結する円弧状連結部(108)とよりなる。
左端部材(96)は、冷媒入出用ヘッダタンク(2)の左端部材(25)と上下逆向きであって、第1中間ヘッダ部本体(104)の左端開口を閉鎖する前キャップ(96a)と、第2中間ヘッダ部本体(105)の左端開口を閉鎖する後キャップ(96b)とが連結部(96c)を介して一体化されたものであり、前キャップ(96a)には、第1中間ヘッダ部本体(104)における仕切部形成用板(94)の前側仕切部(48)よりも上側の空間(11a)内に嵌め入れられる上側右方突出部(109)と、前側仕切部(48)よりも下側の空間(11b)内に嵌め入れられる下側右方突出部(111)とが上下に間隔をおいて一体に形成され、同じく後キャップ(96b)には、第2中間ヘッダ部本体(105)における仕切部形成用板(94)の後側仕切部(49)よりも上側の空間(12a)内に嵌め入れられる上側右方突出部(112)と、後側仕切部(49)よりも下側の空間(12b)内に嵌め入れられる下側右方突出部(113)とが上下に間隔をおいて一体に形成されている。また、左端部材(96)の前後両側縁と上縁および下縁との間の連接部に、それぞれ右方に突出して第1および第2部材(92)(93)に係合する係合爪(114)が一体に形成されている。左端部材(96)は、自身のろう材層を利用して両部材(92)(93)および仕切部形成用板(94)にろう付されている。そして、仕切部形成用板(94)の前側仕切部(48)の左端部が、左端部材(96)の前キャップ(96a)の上側右方突出部(109)と下側右方突出部(111)との間に嵌め入れられて左端部材(96)の前キャップ(96a)にろう付されている。また、仕切部形成用板(94)の後側仕切部(49)の左端部が、左端部材(96)の後キャップ(96b)の上側右方突出部(112)と下側右方突出部(113)との間に嵌め入れられて左端部材(96)の後キャップ(96b)にろう付されている。さらに、仕切部形成用板(94)の連結壁(51)の左端部は、左端部材(96)の連結部(96c)に当接状態でろう付されている。
右端部材(97)は、第1中間ヘッダ部本体(104)の右端開口を閉鎖する前キャップ(97a)と、第2中間ヘッダ部本体(105)の右端開口を閉鎖する後キャップ(97b)とが連結部(97c)を介して一体化されたものであり、前キャップ(97a)には、第1中間ヘッダ部本体(104)における仕切部形成用板(94)の前側仕切部(48)よりも上側の空間(11a)内に嵌め入れられる上側左方突出部(115)と、前側仕切部(48)よりも下側の空間(11b)内に嵌め入れられる下側左方突出部(116)とが上下に間隔をおいて一体に形成され、同じく後キャップ(97b)には、第2中間ヘッダ部本体(105)における仕切部形成用板(94)の後側仕切部(49)よりも上側の空間(12a)内に嵌め入れられる上側左方突出部(117)と、後側仕切部(49)よりも下側の空間(12b)内に嵌め入れられる下側左方突出部(118)とが上下に間隔をおいて一体に形成されている。また、右端部材(97)の前後両側縁と上縁および下縁との間の連接部に、それぞれ左方に突出して第1および第2部材(92)(93)に係合する係合爪(119)が一体に形成されている。右端部材(97)は、自身のろう材層を利用して第1および第2部材(92)(93)および仕切部形成用板(94)にろう付されている。そして、仕切部形成用板(94)の前側仕切部(48)の右端部が、右端部材(97)の前キャップ(97a)の上側左方突出部(115)と下側左方突出部(116)との間に嵌め入れられて右端部材(97)の前キャップ(97a)にろう付されている。また、仕切部形成用板(94)の後側仕切部(49)の右端部が、右端部材(97)の後キャップ(97b)の上側左方突出部(117)と下側左方突出部(118)との間に嵌め入れられて右端部材(97)の後キャップ(97b)にろう付されている。さらに、仕切部形成用板(94)の連結壁(51)の右端部は、右端部材(97)の連結部(97c)に当接状態でろう付されている。
上述したエバポレータ(1)は、入口管(8)および出口管(9)を除いたすべての部品が組み合わされて一括ろう付されることにより製造される。
エバポレータ(1)は、コンプレッサおよび冷媒冷却器としてのコンデンサとともに、フロン系冷媒を使用する冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
上述したエバポレータ(1)においては、コンプレッサのオン時には、コンプレッサ、コンデンサおよび膨張弁を通過した気液混相の2相冷媒が、冷媒入口管(8)からジョイントプレート(27)の冷媒流入口(83)および右端部材(26)の前キャップ(26a)の冷媒入口(77)を通って冷媒入出用ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)の上側空間(5a)内に入る。冷媒入口ヘッダ部(5)の上側空間(5a)内に入った冷媒は左方に流れ、連通穴(52)を通って下側空間(5b)内に入るとともに、仕切部形成用板(23)の前側仕切部(48)の円形連通穴(53)を通って下側空間(5b)内に入る。冷媒が、上側空間(5a)から連通穴(52)を通って下側空間(5b)内に入る際に、ガイド部(59)に案内されて右端部側にスムーズに流れる。したがって、冷媒が、流れの勢いによって冷媒入口ヘッダ部(5)の第1部材(21)の熱交換管(15)が接続されている第1ヘッダ形成部(28)の底壁(32)、前側壁(33)および後側壁(34)における連通穴(52)のほぼ真下の部分に衝突して前側仕切部(48)側に跳ね返ることが防止される。その結果、冷媒は、左端部に位置する数本の熱交換管(15)内にも流入し易くなり、冷媒量が多い場合であっても、エバポレータ(1)を通過してきた空気の温度である吐気温が左端部においても均一化され、吐気温のさらなる均一化を図ることが可能になる。
下側空間(5b)内に入った冷媒は、分流して前側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の冷媒通路内に流入する。熱交換管(15)の冷媒通路内に流入した冷媒は、冷媒通路内を下方に流れて冷媒ターン用ヘッダタンク(3)の第1中間ヘッダ部(11)の上側空間(11a)内に入る。第1中間ヘッダ部(11)の上側空間(11a)内に入った冷媒は、仕切部形成用板(94)の前側仕切部(48)の方形連通穴(101)を通って下側空間(11b)内に入る。下側空間(11b)内に入った冷媒は、連通部(98)を通って第2中間ヘッダ部(12)の下側空間(12b)内に入る。
第2中間ヘッダ部(12)の下側空間(12b)内に入った冷媒は、仕切部形成用板(94)の後側仕切部(49)の円形連通穴(102)を通って上側空間(12a)内に入り、分流して後側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の冷媒通路内に流入する。
熱交換管(15)の冷媒通路内に流入した冷媒は、流れ方向を変えて冷媒通路内を上方に流れて冷媒出口ヘッダ部(6)の下側空間(6b)内に入り、仕切部形成用板(23)の後側仕切部(49)の長円形連通穴(55A)(55B)を通って上側空間(6a)内に入る。
冷媒出口ヘッダ部(6)の上側空間(6a)内に入った冷媒は右方に流れ、右端部材(26)の後キャップ(26b)の冷媒出口(78)およびジョイントプレート(27)の冷媒流出口(84)を通り、冷媒出口管(9)に流出する。
そして、冷媒が前後両熱交換管群(16)の熱交換管(15)の冷媒通路を流れる間に、熱交換コア部(4)の通風間隙を通過する空気と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。
上記実施形態においては、仕切部形成用板(23)(94)は、第1部材(21)(92)および第2部材(22)(93)とは別部品であるが、これに限定されるものではなく、仕切部形成用板(23)(94)に代えて、第1部材(21)(92)および第2部材(22)(93)のうちのいずれか一方と一体に形成された板状仕切部が用いられてもよい。
図11および図12は、この発明の熱交換器を適用したエバポレータの他の実施形態を示す。
図11および図12に示すエバポレータの冷媒ターン用タンク(120)は、前側に位置しかつ冷媒入口ヘッダ部(5)に対向する第1中間ヘッダ部(121)と、後側に位置しかつ冷媒出口ヘッダ部(6)に対向する第2中間ヘッダ部(122)と、両ヘッダ部(121)(122)を相互に連結一体化する連結部(123)とを備えており、両ヘッダ部(121)(122)と連結部(123)とにより排水樋(124)が形成されている。
冷媒ターン用ヘッダタンク(120)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートから形成されかつすべての熱交換管(15)が接続されたプレート状の第1部材(125)と、アルミニウム押出形材から形成されたベア材よりなりかつ第1部材(125)の下側を覆う第2部材(126)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートから形成されかつ両部材(125)(126)の左右両端にろう付されたアルミニウム製左右両端部材(127)(128)とよりなる。
第1部材(125)は、第1中間ヘッダ部(121)の上部を形成する上方膨出状の第1ヘッダ形成部(129)と、第2中間ヘッダ部(122)の上部を形成する上方膨出状の第2ヘッダ形成部(131)と、第1ヘッダ形成部(129)の後側縁部と第2ヘッダ形成部(131)の前側縁部とを連結しかつ連結部(123)の上部を形成する連結壁(132)とよりなる。第1ヘッダ形成部(129)は、水平平坦状の頂壁(133)と、頂壁(133)の前後両側縁部に一体に形成された前後両側壁(134)(135)とからなる。前側壁(134)は、頂壁(133)の前縁に連なりかつ下方に向かって前方に傾斜した傾斜部(134a)と、傾斜部(134a)の下縁に連なって下方に伸びた垂直部(134b)とよりなる。後側壁(135)は、頂壁(133)の後縁に連なりかつ下方に向かって後方に傾斜している。前側壁(134)の下端は後側壁(135)の下端よりも下方に位置している。第2ヘッダ形成部(131)は、第1ヘッダ形成部(129)とは左右対称形であって、水平平坦状の頂壁(136)と、頂壁(136)の後側縁部および前側縁部に一体に形成された後側壁(137)および前側壁(138)とからなる。後側壁(137)は、頂壁(136)の後縁に連なりかつ下方に向かって後方に傾斜した傾斜部(137a)と、傾斜部(137a)の下縁に連なった垂直部(137b)とよりなる。前側壁(138)は、頂壁(136)の前縁に連なりかつ下方に向かって前方に傾斜している。後側壁(137)の下端は前側壁(138)の下端よりも下方に位置している。そして、第1ヘッダ形成部(129)の後側壁(135)下縁と第2ヘッダ形成部(131)の前側壁(138)下縁とが連結壁(132)により一体に連結され、第1ヘッダ形成部(129)の後側壁(135)と第2ヘッダ形成部(131)の前側壁(138)と連結壁(132)とによって、両側面が上方に向かって前後方向外方に傾斜した排水樋(124)が形成されている。
第1部材(125)の両ヘッダ形成部(129)(131)に、それぞれ前後方向に長い複数の管挿通穴(139)が、左右方向に間隔をおきかつ左右方向に関して同一位置に来るように形成されている。第1ヘッダ形成部(129)の管挿通穴(139)は前側壁(134)の傾斜部(134a)から後側壁(135)にかけて形成され、第2ヘッダ形成部(131)の管挿通穴(139)は後側壁(137)の傾斜部(137a)から前側壁(138)にかけて形成されている。両ヘッダ形成部(129)(131)の管挿通穴(139)に、熱交換コア部(4)の前後両熱交換管群(16)の熱交換管(15)の下端部が挿入され、第1部材(125)のろう材層を利用して第1部材(125)にろう付されており、これにより前側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の下端部が第1中間ヘッダ部(121)に、後側熱交換管群(16)の熱交換管(15)の下端部が第2中間ヘッダ部(122)にそれぞれ連通状に接続されている。第1部材(125)の連結壁(132)に、左右方向に長い複数の排水用貫通穴(141)が左右方向に間隔をおいて形成されている。また、第1部材(125)の連結壁(132)に、複数の固定用貫通穴(142)が、排水用貫通穴(141)からずれた位置に来るように左右方向に間隔をおいて形成されている。ここでは、排水用貫通穴(141)と固定用貫通穴(142)とが交互に形成されている。
第2部材(126)は、第1中間ヘッダ部(121)の下部を形成する下方膨出状の第1ヘッダ形成部(143)と、第2中間ヘッダ部(122)の下部を形成する下方膨出状の第2ヘッダ形成部(144)と、第1ヘッダ形成部(143)の後側縁部と第2ヘッダ形成部(144)の前側縁部とを連結しかつ第1部材(125)の連結壁(132)にろう付されて連結部(123)の下部を形成する連結壁(145)とよりなる。第1ヘッダ形成部(143)および第2ヘッダ形成部(144)の横断面形状は、それぞれ上方に開口するとともに、前後方向中央部が上方に突出した横断面略U字状である。第2ヘッダ形成部(144)は、前後両側壁(144a)の下端部どうしを一体に連結しかつ第2中間ヘッダ部(122)内を上下2つの空間(122a)(122b)に区画する仕切壁(144b)(仕切部)を有している。第2部材(126)の仕切壁(144b)の後側部分には、複数の円形冷媒通過穴(146)が左右方向に間隔をおいて貫通状に形成されている。そして、第1ヘッダ形成部(143)の後側壁(143a)上縁部と第2ヘッダ形成部(144)の前側壁(144a)上縁部とが連結壁(145)により一体に連結されている。
第2部材(126)の連結壁(145)における仕切壁(144b)よりも下方の部分(熱交換管の長さ方向外側部分)に、貫通穴からなり、かつ第2中間ヘッダ部(122)の下側空間(122b)内と第1中間ヘッダ部(121)内とを通じさせる連通部(147)が、左右方向に間隔をおいて複数設けられている。連通部(147)は、第2中間ヘッダ部(122)内における冷媒ターン用ヘッダタンク(120)の長さ方向での冷媒量を均一にしうる複数箇所において、左右方向に隣り合う熱交換管(15)どうしの間に設けられている。
第2部材(126)の連結壁(145)における第1部材(125)の排水用貫通穴(141)と合致した位置にそれぞれ左右方向に長い排水用貫通穴(148)が形成され、同じく連結壁(145)上面における第1部材(125)の固定用貫通穴(142)と合致した位置にそれぞれ固定用貫通穴(142)に嵌め入れられた複数の突起(149)が形成されている。そして、突起(149)が固定用貫通穴(142)に挿通させられてかしめられることにより両部材(125)(126)が仮止めされた状態で、第1部材(125)のろう材層を利用して、両部材(125)(126)の第1ヘッダ形成部(129)(143)の前側壁(134)(143a)どうし、第2ヘッダ形成部(131)(144)の後側壁(137)(144a)どうし、および連結壁(132)(145)どうしがそれぞれろう付されており、第1部材(125)の第1ヘッダ形成部(129)と第2部材(126)の第1ヘッダ形成部(143)とによって、両端が開口した中空状の第1中間ヘッダ部本体(151)が形成され、第1部材(125)の第2ヘッダ形成部(131)と第2部材(126)の第2ヘッダ形成部(144)とによって、両端が開口した中空状の第2中間ヘッダ部本体(152)が形成されている。
左端部材(127)は、第1中間ヘッダ部本体(151)の左端開口を閉鎖する前キャップ(127a)と、第2中間ヘッダ部本体(152)の左端開口を閉鎖する後キャップ(127b)とが連結部(127c)を介して一体化されたものである。左端部材(127)の前キャップ(127a)には、第1中間ヘッダ部本体(151)内に嵌め入れられる右方突出部(153)が一体に形成され、同じく後キャップ(127b)には、第2中間ヘッダ部本体(152)の仕切壁(144b)よりも上側の空間(122a)内に嵌め入れられる上側右方突出部(154)と、仕切壁(144b)よりも下側の空間(122b)内に嵌め入れられる下側右方突出部(155)とが上下に間隔をおいて一体に形成されている。また、左端部材(127)の前後両側縁と上縁および下縁との間の連接部に、それぞれ右方に突出して両部材(125)(126)に係合する係合爪(156)が一体に形成されている。左端部材(127)は、自身のろう材層を利用して両部材(125)(126)にろう付されている。
右端部材(128)は、第1中間ヘッダ部本体(151)の右端開口を閉鎖する前キャップ(128a)と、第2中間ヘッダ部本体(152)の右端開口を閉鎖する後キャップ(128b)とが連結部(128c)を介して一体化されたものである。右端部材(128)の前キャップ(128a)には、第1中間ヘッダ部本体(151)内に嵌め入れられる左方突出部(157)が一体に形成され、同じく後キャップ(128b)には、第2中間ヘッダ部本体(152)の仕切壁(144b)よりも上側の空間(122a)内に嵌め入れられる上側左方突出部(158)と、仕切壁(144b)よりも下側の空間(122b)内に嵌め入れられる下側左方突出部(159)とが上下に間隔をおいて一体に形成されている。右端部材(128)の前後両側縁と上縁および下縁との間の連接部に、それぞれ左方に突出して両部材(125)(126)に係合する係合爪(161)が一体に形成されている。
その他の構成は、図1〜図10に示すエバポレータ(1)と同様であり、同一物および同一部分には同一符号を付す。
上記2つの実施形態においては、冷媒入出用ヘッダタンク(2)が上、冷媒ターン用ヘッダタンク(3)(120)が下となっているが、これとは逆に、冷媒入出用ヘッダタンク(2)が下、冷媒ターン用ヘッダタンク(3)(120)が上にくるように用いられる場合がある。また、上記実施形態においては、両ヘッダタンク(2)(3)(120)の入口ヘッダ部(5)と第1中間ヘッダ部(11)(121)との間、および出口ヘッダ部(6)と第2中間ヘッダ部(12)(122)との間にそれぞれ1つの熱交換管群(16)が設けられているが、これに限るものではなく、両ヘッダタンク(2)(3)(120)の入口ヘッダ部(5)と第1中間ヘッダ部(11)(121)との間、および出口ヘッダ部(6)と第2中間ヘッダ部(12)(122)との間にそれぞれ1または2以下の熱交換管群(16)が設けられていてもよい。
さらに、上記2つの実施形態においては、この発明による熱交換器が、フロン系冷媒を使用するカーエアコンのエバポレータに適用されているが、これに限定されるものではなく、コンプレッサ、冷媒冷却器としてのガスクーラ、中間熱交換器、膨張弁およびエバポレータを有しかつCO2冷媒のような超臨界冷媒を使用するカーエアコンを備えた車両、たとえば自動車において、カーエアコンのエバポレータに適用されることがある。