JP4835818B2 - Optical element molding mold and optical element molding mold manufacturing method - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子成形金型用成形金型及び光学素子成型金型の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から一般的に行われてきたプラスチック光学素子の光学素子用金型の製作手法としては、例えば鋼材やステンレス銅などでブランク(一次加工品)を作っておき、その上に無電解ニッケルメッキとよばれる化学メッキにより、アモルファス状のニッケルと燐の合金を100μmほどの厚みに鍍膜し、このメッキ層を超精密加工機によりダイアモンド工具で切削加工して、高精度な光学面を得ていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来技術の手法によれば、基本的に機械加工により部品形状を創成するため、加工機の運動精度近くまで容易に部品精度が高められる反面、製作工程に機械加工と化学処理が混在し煩雑で納期がかかること、メッキ層の厚みを考慮してブランク(一次加工品)を作製する必要があること、必ずしもメッキ処理が安定している訳ではなく、ブランクの組成の偏りや汚れ具合によってメッキ層の付着強度がばらついたり、ピットと呼ばれるピンホール状の欠陥が生じたりすること、メッキ層の厚みの中で光学素子の光学面に対応する光学成形面を創成しなければならないため、光学成形面を再加工するときなどはメッキ厚みに余裕が無く加工不可能となる場合があること、一般的には繰り返し使用はできず金型コストが高いこと等々の不具合が生じていた。
【0004】
また、多量に光学成形面を加工すると、工具の切れ刃の状態や加工条件、加工環境温度の変化などにより、微妙に切削加工し仕上げた光学成形面の形状がバラツいていた。この光学成形面加工バラツキは、一般的には100nm程度の光学面形状誤差を発生し、非常に慎重に加工した場合でも50nm程度の誤差が残り、これが加工精度限界であった。
【0005】
また、近年、光学面に回折溝を施して色収差を効率よく補正する光学系が、光情報記録分野などで実用化され、大量に生産されている。光学材料としては、プラスチックやガラスが使われているが、赤外光学系などではZnSeなどの結晶材料も用いられている。この様な光学素子を大量に生産する時に効率の良い手法は、成形であるが、この際に成形金型の微細な回折溝を有する光学成形面を高精度に効率よく製作する技術が、極めて重要となっている。
【0006】
例えば、ダイアモンド切削により光学成形面上に回折溝などの光学機能を有する微細なパターンを創成する場合は、刃先の鋭さが回折溝形状の正確さを左右し、光学面として転写された時に回折効率に大きな影響を与えることが、特開2001−195769号公報等で述べられるように知られている。
【0007】
従って、回折輪帯の回折効率を低下させないためには、刃先の大きさを十分小さくせねばならず、そのため小さな刃先部分に切削抵抗が集中してかかるので切り込み量を小さくせねばならず、光学成形面全体を均一に切削除去するまでに加工回数が多くなる。また、小さなカッターマークによる光学成形面の表面粗さの劣化を防ぐためにも工具送り速度を遅くせねばならず、1回の光学成形面加工時間も長くなる。その結果、切削長が増大するので工具刃先の損耗が大きくなり、工具交換が頻繁となる。つまり、従来のダイアモンド切削により微細な形状を有する光学成形面を加工する場合は、工具の寿命が極端に短くなり、また、切削によりダイアモンド中のカーボンがブランクに拡散し、それにより工具の寿命を更に短縮化させることとなっている。しかも一つの光学成形面を加工する時間も増大するので、加工効率が非常に低下し、金型の生産性が低下してコストが急激に高くなっていた。そのため、特にダイアモンド切削により微細な形状を表面に有する光学成形面を仕上げる場合には、簡素で納期の短い金型製作手法が望まれる。
【0008】
加えて、近年、波長の数倍からそれよりも小さな微細構造を光学面に施して、新たな光学的機能を光学素子に付加することが試みられている。例えば、非球面光学面を有する成形レンズの表面に回折溝を施して、屈折による通常の集光機能とその時に副作用として発生する正の分散を、回折溝による回折の大きな負の分散を利用してうち消して、本来、屈折だけでは不可能な色消し機能を有する単玉光学素子が、DVD/CD互換の光ディスク用ピックアップ対物レンズで実用化されている。これは、光学素子を透過する光の波長の数10倍の大きさの回折溝による回折作用を利用したもので、このように波長より十分大きな構造による回折作用を扱う領域は、スカラー領域と呼ばれている。
【0009】
一方、光学素子を透過する光の波長の数分の一という微細な間隔で、円錐形状の突起を光学面の表面に密集させて形成させることで、光の反射抑制機能を発揮させることができることが判っている。即ち、微細な間隔で突起を形成することで、光波が光学素子に入射する際の空気界面での屈折率変化を、従来の光学素子のように1から媒体屈折率まで瞬間的に変化させるのではなく緩やかに変化させ、それにより光の反射を抑制することができるのである。このような突起を形成した面は、いわゆる蛾の眼(moth eye)と呼ばれる微細構造で、光の波長よりも微細な構造体が波長よりも短い周期で並ぶことにより、もはや個々の構造が回折せず、光波に対して平均的な屈折率として働くもので、このような作用をする領域を等価屈折率領域と一般に呼んでいる。このような等価屈折率領域に関しては、例えば電子情報通信学会論文誌 C Vol.J83−C No.3pp.173−181 2000年3月に述べられている。
【0010】
このような等価屈折率領域の微細構造によれば、従来の反射防止コートに比べて反射防止効果の角度依存性や波長依存性を少なくしながら同時に大きな反射防止効果を得ることができ、また、成形により光学面と微細構造が同時に創成できることから、レンズ機能と反射防止機能が同時に得られて、従来のように成形後にコート処理をするといつた後加工が不要となる、など生産上のメリットも大きいと考えられ注目されている。さらに、このような等価屈折率領域の微細構造を光学面に対して方向性を持つように配すると、強い光学異方性を光学面に持たせることもでき、従来、水晶などの結晶を削りだして製作していた複屈折光学素子を成形によって得ることができ、また、屈折光学素子や反射光学素子と組み合わせて新たな光学的機能を付加するとができる。この場合の光学異方性は、構造複屈折と呼ばれている。
【0011】
上述したスカラー領域と等価屈折率領域の間には、回折効率が入射条件のわずかな違いにより急激に変化する共鳴領域がある。例えば、回折溝幅を狭くしていくと、波長の数倍程度で急激に回折効率が減少し、また増加するという現象(アノマリー)が発生する。このような回折溝幅を調整することによって、特定の波長のみを反射する導波モード共鳴格子フィルターとして、通常の干渉フィルターと同等の効果をより角度依存性を少なくして実現できている。
【0012】
ところで、スカラー領域や、等価屈折率領域や、共鳴領域を利用して光学素子を形成しようとする場合、その光学面に微細な突起(又はくぼみ)を形成する必要がある。このような微細な突起(又はくぼみ)を備えた光学素子を大量生産するには、一般的にはプラスチックを素材として成形を行うことが適しているといえるが、かかる場合、微細な突起(又はくぼみ)に対応したくぼみ(又は突起)を備えた光学成形面を、金型に設ける必要がある。
【0013】
しかるに、上述したような等価屈折領域や共鳴領域の突起(又はくぼみ)に関しては、数十乃至数百ナノメートルの間隔で突起(又はくぼみ)を形成しなくてはならず、切削加工を含む機械的加工では極めて困難である。加えて、従来の型は再利用が困難という問題もある。
【0014】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、従来とは全く異なる思想に基づいて、切削性に優れ、寸法精度を高めることができ、しかも所望の光学成形面の形状を転写形成可能な光学素子成形金型用成形金型を提供することを目的とする。又、本発明は、光学素子成形金型の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光学素子成形金型用成形金型は、光学素子成形金型を成形するための光学素子成形金型用成形金型であって、過冷却液体域を有する非晶質合金を用いて形成されているので、より精度の高い光学素子成型用金型を成形でき、又それを用いてより精度の高い光学素子を成形することができる。
【0016】
請求項2に記載の光学素子成形金型用成形金型は、過冷却液体域を有する第1の非晶質合金を成形することによって形成される光学素子成形金型を成形するための光学素子成形金型用成形金型であって、過冷却液体域を有し、前記第1の非晶質合金のガラス転移点よりも高いガラス転移点を有する第2の非晶質合金を用いて形成されているので、より精度の高い光学素子成型用金型を成形でき、又それを用いてより精度の高い光学素子を成形することができる。より具体的には、前記第2の非晶質合金の被削性・被加工性が極めて良好であることから、前記光学素子成形金型用成形金型の母光学面や母寸法基準面を、前記光学素子の光学面もしくは寸法基準面に対応して精度良く仕上げることができ、しかも工具の寿命をも延長させることができる。尚、寸法基準面とは、例えば光学素子のフランジ部周面などのごとく、その光学素子を他の部材に取り付ける際に、位置決めの基準となるような面をいう。
【0017】
ここで、過冷却液体域を有する非晶質合金(アモルファス合金ともいう)について説明する。過冷却液体域を有する非晶質合金は、金属ガラスとも呼ばれ、加熱すると過冷却液体となるアモルファス状の合金である。これは、通常の金属が多結晶組成であるのに対して、組織がアモルファス状のため組成がミクロ的にも均一で機械強度や常温化学耐性に優れ、ガラス転移点を有し、ガラス転移点+50〜200℃前後(これを過冷却液体域という)に加熱すると軟化するためプレス成形加工が出来るという、通常の金属に無い特徴を有する。
【0018】
従来、金属ガラスについてこの加熱プレス成形によって成形金型を創成する技術が特開平10−217257号公報で述べられ、また稜線を有する光学素子について特開平9−286627号公報で述べられている。また。日本機械学会65巻633号346−352「金属ガラスの精密・微細加工に関する研究」で、金属ガラスをプレス成形して光学成形面を有する成形金型部品を創成した例が述べられている。この例では、プレス成形による転写光学面(光学成形面)の形状精度は500nm、表面粗さは90nmとしている。
【0019】
ここで、本発明者は金属ガラスのアモルファス構造に着目し、金属ガラスに対し直接ダイアモンド工具による超精密切削加工を行うと、高精度な光学鏡面が容易に得られることを新たに見いだした。その理由は、この材料がアモルファス状であり結晶粒界を持たないので場所によらず被削性が均一であること、又アモルファス状を保つために結晶化エネルギーを大きくして組成的に多晶体としているため、切削加工中のダイアモンドの拡散摩耗が少なく工具の刃先寿命を長く保てること等によるものであることがわかった。同様なことは、ダイアモンド工具などを用いた研削加工にもいえる。
【0020】
特に、本発明を適用した例では、従来の加熱プレス成形のみによる光学素子の光学面創成や光学素子成形金型の光学成形面創成を行うのではなく、まず金属ガラスを加熱プレス成形によりニアネットシェイプ、即ち仕上げ形状に非常に近いブランクを製作した後、例えば、光学素子成形金型用成形金型では、超精密加工機によるダイアモンド切削で、光学素子の光学面を成形するための光学素子成形金型の光学成形面に対応する面(母光学面という)や、その他の嵌合面に対応する面などを切削加工して、光学素子成形金型用成形金型に仕上げるというものである。
【0021】
このような手法で成形する際は、割り型を用いてパーティングラインが、成形した母光学面に残るように成形しても良く、また抜き勾配があっても良い。切削加工などの後加工によって、容易に削除できるからである。又、加熱プレス成形等により形成した光学素子成形金型用成形金型に、基準となる面を加工創成した後、この面を基準として偏心が最小となるよう加工機に取り付け、光学成形面に対応する母光学面を超精密加工機によりダイアモンド切削加工すれば、偏心の少ない高精度な母光学面を容易に創成できる。この手法によると、光学素子成形金型用成形金型の寸法精度は、最終仕上げ寸法に対して5〜10μm程大きく成形すれば良く、後加工による加工取り代が従来の約1/10以下となる。従って、本発明による光学素子成形金型用成形金型は、極めて精度よく大量に製作することができるといえる。
【0022】
また、本発明の光学素子成形金型用成形金型は、基本的には、従来の金型のような化学メッキ処理を行う必要がなく、メッキ厚を、ブランク寸法を決めるのに考慮する必要もないため、母光学面加工に至るまでのブランク製作工程が極めて簡素になり、納期も従来の1/4以下とすることができる。さらに、何度でも母光学面を再切削加工でき、不要となった場合でも、加熱プレス成形により別の形状の型材料とすることが出来るので、材料寿命としては半永久的となる。
【0023】
一方、本発明を別な角度で見ると、以下のようなことも考えられる。本発明者は、金属ガラスがプラスチックなどの成形と根本的に異なる点として、金属材料であるから熱伝導性が非常に高く全体が瞬間的に固化し、冷却収縮が小さくしかも成形部位によらず比例的に発生することや型との反応性が低いことなどが挙げられるが、成形圧力や成形時間を最適化することによりプラスチック成形で得られる光学成形面と同等またはさらに高精度に再現性良く転写できることに思い至った。
【0024】
そこで、光学面上に微細な突起(又はくぼみ)を有する光学素子成形金型として、何らかの非晶質合金製のマスター(光学素子成形金型用成形金型)から成形転写することで、かかる非晶質合金製の光学素子成形金型を得れば、最終成形品であるプラスチックなどの光学素子よりも形状精度の高い金型を多量に容易に得ることが実現できる。そのような精度の高い光学成形面を有する光学素子成形金型を形成するには、それに対応した形状の光学素子成形金型用成形金型を予め作製することで、高精度な光学素子成形金型を成形により容易に得ることができるのである。このような光学素子成形金型用成形金型は、光学素子の光学面に対応する母光学面にレジストをスピンコート法などで塗布し、電子ビームやレーザービームによって微細パターンを露光した後、現像によって光学面上の微細パターンを形状化することにより得ることができる。
【0025】
すなわち、本発明の光学素子成形金型用成形金型は、従来の光学成形面の加工時間に比べて3倍以上を有する微細な形状を有する光学素子成形金型の光学成形面などを、ニアネットシェイプであるブランクから容易に成形でき、後加工を不要として加工効率を大幅に向上できる。但し、本発明の範囲は、微細な光学パターンに依存しない。また、使用されるダイアモンド工具形状や切削条件にも依存しない。
【0026】
ただし、光学素子成形金型用成形金型の素材となる第2の非晶質合金のガラス転移点が、光学素子成形金型の素材となる第1の非晶質合金のガラス転移点より低ければ、加熱プレス成型時に、光学素子成形金型用成形金型が溶融変形する恐れがある。そこで、これを防止するために、第2の非晶質合金のガラス転移点は、第1の非晶質合金のガラス転移点より高くする。
【0027】
上述の条件を満たす限り、本発明の光学素子成形金型用成形金型及び光学素子成形金型で用いることができる第1及び第2の非晶質合金の種類は問わない。Pd系、Mg系、Ti系、Fe系、Zr系などの公知の金属ガラスが使えるが、過冷却液体領域を有するアモルファス状である合金材料であることが、本発明に必要な用件であって、これらの組成や種類は問わない。ただし、プラスチック光学素子用の光学素子成形金型材料としては、樹脂温度が300℃近くであることから、Pd系、Ti系、Fe系などがガラス転移点が高いので有利であるが、より好ましくはPd系が空気中でほとんど酸化することなく、加熱プレスができ、また、大きなバルク形状が出来るという点でも有利である。また更に、Pd(パラジウム)は貴金属で高価ではあるが、その材料によらず、本発明の金属ガラス製の金型は不要となれば鋳潰して再利用できるため、短納期で加工労務費が低いことを合わせると、長期にわたる金型コストはPdを含有する金属ガラスを用いたとしても低コストにできる。
【0028】
請求項3に記載の光学素子成形金型用成形金型は、過冷却液体域を有する第1の非晶質合金を成形することによって形成される光学素子成形金型を成形するための光学素子成形金型用成形金型であって、過冷却液体域を有し、前記第1の非晶質合金のガラス転移点よりも、50℃以上(このましくは100℃以上)高いガラス転移点を有する第2の非晶質合金を用いて形成されているので、前記第1の非晶質合金を加熱プレス成形して前記光学素子成形金型を形成する際にも、前記光学素子成形金型用成形金型の変形を招かず、繰り返し使用しても安定した型形状を維持できる。
【0029】
請求項4に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記光学素子成形金型の光学成形面(光学素子の光学面を成形する面)または成形寸法基準面(光学素子の寸法基準面を成形する面)を、加熱プレス成形によって、成形転写して形成するので、かかる光学成形面や成形寸法基準面を精度よく形成することができる。
【0030】
請求項5に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記光学素子成形金型の光学成形面に突起又はくぼみが転写形成されるように、対応したくぼみ又は突起が形成されているので、前記光学成形面に後加工を施すことなく所望のくぼみ又は突起を形成することができる。
【0031】
請求項6に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記光学素子成形金型の突起又はくぼみが、前記光学素子成形金型により成形される光学素子の光学面に転写されて、等価屈折率領域の微細構造を形成するので、前記光学素子の光透過率をより高めることができる。尚、前記突起又はくぼみの間隔は、前記光学素子の光学面を透過する光の波長以下であると好ましい。
【0032】
請求項7に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記光学素子成形金型の突起又はくぼみが、前記光学素子成形金型により成形される光学素子の光学面に転写されて、反射防止効果を発生する微細構造を形成するので、前記光学素子の光透過率をより高めることができる。尚、前記突起又はくぼみの間隔は、前記光学素子の光学面を透過する光の波長以下であると好ましい。
【0033】
請求項8に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記光学素子成形金型の突起又はくぼみが、前記光学素子成形金型により成形される光学素子の光学面に転写されて、構造複屈折を発生する微細構造を形成するので、例えば、前記光学素子の光透過率を光の振動方向に対して変化させることができる。尚、前記突起又はくぼみの間隔は、前記光学素子の光学面を透過する光の波長以下であると好ましい。
【0034】
請求項9に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記光学素子成形金型の突起又はくぼみが、前記光学素子成形金型により成形される光学素子の光学面に転写されて、共鳴領域の微細構造を形成するので、例えば、前記光学素子の収差の度合いを変化させて、異なる機能を発揮させることができる。
【0035】
請求項10に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記光学素子成形金型の突起又はくぼみが、前記光学素子成形金型により成形される光学素子の光学面に転写されて、前記光学素子に対して光を照射する光源の波長変化による収差変化を調整する機能を有するので、前記光学素子の光学機能を高めることができる。
【0036】
請求項11に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記光学素子成形金型の突起又はくぼみは、前記光学素子成形金型により成形される光学素子の光学面に転写されて、温度変化による収差変化を調整する機能を有するので、前記光学素子の光学機能を高めることができる。
【0037】
請求項12に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記光学素子成形金型の突起又はくぼみは、前記光学素子成形金型により成形される光学素子の光学面に転写されて、回折輪帯(輪帯状の回折面)を形成するので、従来、回折輪帯を形成するために、前記光学成形面に施していた切削加工等が不要となるため、前記光学素子成形金型の加工にかかる手間やコストを削減することができる。
【0038】
請求項13に記載の光学素子成形金型用成形金型は、母光学面(光学素子成形金型の光学成形面を成形する面)を、切削加工により創成したので、例えばダイアモンド工具の寿命を延長することができる。
【0039】
請求項14に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記突起又はくぼみが、母光学面にレジストを塗布し、電子ビーム描画により露光して現像処理を行うことで形成されていることを特徴とする。
【0040】
例えば、回折光学素子などの微細な面形状を、光学素子成形金型用成形金型の母光学面上に創成する手法を、本発明者は考案した。その例を示すと、非球面形状などに成形された光学素子成形金型用成形金型の母光学面上に、スピンコートなどで0.1〜3μmの厚みにレジストを直接塗布して、これに電子ビームやレーザービームなどで直接描画して現像し、レジストの微細光学パターンを母光学面に形成した後、ドライエッチングにより母光学面表面に回折溝に対応する突起又はくぼみなどの微細な形状を形成し、光学素子成形金型用成形金型を得るものである。
【0041】
金属ガラスは前述したように、基本的に、アモルファス状であり全体が均一で結晶粒界を持たないため、どの部位であっても全く単一組成の方向性を持たない材料である。つまりこれは、ドライエッチングにおいて例えば単結晶シリコンのように結晶方位で選択的にエッチングが進行するということがなく、条件に従ってエッチングが均一に進むということである。従って非晶質合金の表面にレジストの厚みで微細な光学パターンを形成して、イオンや電離したガス成分などを一方向から加速してレジスト表面に照射すると、その厚みにほぼ比例して照射方向にエッチングが進行する。非晶質合金は導体であるから、電子ビームによる露光やイオンエッチングなどで荷電粒子を加速して表面にぶつける際に容易に電界を形成できるので、石英基材などのようにレジスト表面に導電膜を施す工程は不要で、具合が良い。
【0042】
また、このような荷電粒子によるエッチングは、ダイアモンドなどの先端を鋭利に加工する用途として既に実用化されており、装置も希ガスなどを電離してイオン化し電界をかけて加速してぶつけるという非常に単純な構造であるため、本発明を実現するために特別な設備を開発する必要はない。本発明では、露光・現像処理の例としてのドライエッチングに用いる荷電粒子の種類も特に限定されるものではない。非晶質合金を用いた光学素子成形金型用成形金型の母光学面上に、レジストで形成した微細形状を荷電粒子を照射することでドライエッチングして、高精度な微細構造の光学素子成形金型用金型を得ることも本発明の範疇である。
【0043】
ここで、前記光学素子成形金型用成形金型の露光・現像処理についてより具体的に説明する。半導体素子などを形成する手法として、シリコンウェハーにフォトレジスト(レジストともいう)を塗布し、レーザビームを照射して所定のパターンを描画する手法が知られている。これを利用して、前記光学素子成形金型用成形金型の母光学面に微細なくぼみ(又は突起)を形成することが考えられる。
【0044】
即ち、光学素子成形金型用成形金型における非球面などの母光学面においても、全く同様にフォトレジストをスピンコート法などで塗布し、電子ビームやレーザービームによって微細パターンを露光した後、現像によって母光学面上のくぼみ(又は突起)などの微細パターンを形状化するのである。
【0045】
この手法によれば、上述した微細なくぼみ(又は突起)以外にも、通常の機械加工での創成では極めて困難である、非対称や非軸対称なパターンや形状を含んだ微細な形状を、母光学面上に、露光ビームの制御により高精度に創成することが可能となる。
【0046】
尚、フォトレジストの厚みは通常1μm程度であるが、塗布乾燥後ポストベーキングして十分固化させた後、再塗布をすることによりフォトレジストを厚くすることができる。露光手法は、電子ビームやレーザービームなどの露光量(ドーズ量)を調整することにより、ネガ型のレジストでは露光量の多いところはより固化して現像の際に残り、ポジ型では逆に現像液中に溶出するので、露光量によって現像の進行に差が生じ、それによりレジストの立体的な微細形状が創成できる。
【0047】
レジストは樹脂であるから、このまま金型の母光学面として用いるには強度や密着性が足らず実用性に乏しい。従って、何らかの手法によって、このレジストによる母光学面上の微細な形状をマスターとして金型材料に転写する必要がある。従来、この手法の一つとして電鋳が使われていた。例えば、光ディスクのピットパターンを転写してスタンパ金型を製作する際に、レジストによりガラス基板上に創成されたピットと呼ばれる光記録パターン表面を、銅などのフラッシュメッキで表面に導電性を持たせた後、電解液中で電界をかけて金属ニッケルを析出付着させることで、微細な形状を写し取るものである。
【0048】
しかしながら、電鋳はその生成方法から容易に想像できるように、析出して突出したところほど電界密度が増し、さらにメッキが進むという現象が起き、そのためメッキ液中の電界分布はミクロ的に常に変動しており均一に電鋳の厚みが増えるわけではない。そのため、電鋳内には非常に大きな応力が発生するので、表面の微細形状は精度良く転写できるが、基盤の平面形状は応力でマスターから剥離した段階で反ったりするのが普通である。前述した光ディスク基板のように、全体が平面形状の場合は、電鋳の厚みを0.1mm以下に非常に薄くすることと、マスターから剥離後に裏面を薄く研磨して平面性を確保するなどの後工程を行い、金型の平面部に倣うように取り付けることで、金型内で平面形状を維持している。
【0049】
これに対し、基板形状が非球面の母光学面などのように高精度な立体形状の場合は、このような従来の手法は使えず、電鋳処理後にマスターから剥離した瞬間に、母光学面形状は歪んでしまうという問題がある。電鋳の状態にもよるが、数mmの厚みに電鋳を施した場合は、10μm程度は歪みによる母光学面の変形を考慮する必要がある。世の中では、微細な形状を有する光学面の形状精度は少なくとも100nm以下、高精度な用途では50nm以下が要求されており、従ってそれ以上に高精度な母光学面を電鋳により転写してレジストから金型を得ることは難しい。従って、レジストによる微細な形状を表面に有する母光学面は、電鋳により転写しても微細な形状は写し取れるが、母光学面形状は歪んで使用することは難しい。
【0050】
そこで、本発明においては、まず、光学素子の光学面の、例えば非球面形状に精度良く一致させた母光学面を備えたニアネットシェイプの光学素子成形金型用成形金型を成形し、更にその母光学面に対して、スピンコート法でレジストを塗布した後、電子ビームやレーザビームで所定のパターンを形成し、その後ドライエッチングを施すことで、例えば微細なくぼみ(又は突起)が形成されるようにしている。以上の処理が、現像・露光処理の一例であるが、これに限られない。ドライエッチングとしては、ガスエッチングによる化学的なエッチングやイオンエッチング、プラズマエッチングなどの物理的なエッチングとそれらを複合したエッチング技術がある。また、微細な形状の創成に基板材料のエッチング異方性を積極的に利用する技術もある。
【0051】
請求項15に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記突起又はくぼみが、母光学面にレジストを塗布し、レーザー光描画により露光して現像処理を行うことで形成されていることを特徴とする。
【0052】
請求項16に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記突起又はくぼみが、前記レジストの現像後にドライエッチング処理により形成されることを特徴とする。
【0053】
請求項17に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記光学素子成形金型用成形金型の母光学面を、集束イオンビームを用いたガスデポジションにより創成したことを特徴とする。集束イオンビームを用いたガスデポジションについては、実施の形態を参照して後述する。
【0054】
請求項18に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記光学素子成形金型用成形金型に用いている前記第2の非晶質合金が、前記光学素子成形金型をプレス成形する際に硬度Hv300以上を維持すると、繰り返し使用しても形状を維持することができる。
【0055】
請求項19に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記光学素子成形金型用成形金型に用いている前記第2の非晶質合金が、室温で硬度Hv700以下であること、被切削性に優れるため好ましい。
【0056】
請求項20に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記第2の非晶質合金の組成に、ニッケル、ハフニウム、又はパラジウムを30mol%以上50mol%以下の割合で含有すると、光学素子成形金型用成形金型の素材として好適である。
【0057】
請求項21に記載の光学素子成形金型用成形金型は、前記第2の非晶質合金の組成に、銅、ジルコニア、銅、アルミニウム、燐のいずれかを少なくとも3mol%以上の割合で含有すると、光学素子成形金型用成形金型の素材として好適である。
【0083】
請求項22に記載の光学素子成形金型の製造方法は、過冷却液体域を有する第1の非晶質合金を成形することによって形成される光学素子を成形するための光学素子成形金型の製造方法であって、過冷却液体域を有し、前記第1の非晶質合金のガラス転移点よりも高いガラス転移点を有する第2の非晶質合金を用いて形成された光学素子成形金型用成形金型により、前記第1の非晶質合金を加熱プレス成形することで光学素子成形金型を製造するので、より精度の高い光学素子成型用金型を成形でき、又それを用いてより精度の高い光学素子を成形することができる。
【0084】
本明細書中で用いる回折輪帯とは、光学素子(例えばレンズ)の光学面表面に、光軸を中心とする略同心状の輪帯として形成されたレリーフを設けて、回折によって光束を集光あるいは発散させる作用を持たせた回折面のことをいう。例えば、光軸を含む平面でその断面をみれば各輪帯は鋸歯のような形状が知られているが、そのような形状を含むものである。また、回折輪帯をここでは回折溝ともいう。
【0085】
本発明が適用されるに当たり、突起(又はくぼみ)の並びなど、個々の微細構造の形状や配列周期などは関係ない。どのような微細な構造であっても、光学素子に新たな機能を付加する目的で作られたものであれば、その成形金型は本発明の範疇に含まれる。また、新たに付加する機能としては、収差を低減するものに限らない。光学系の特性に応じて収差を故意に増加させる場合も、最終的に理想とする収差に近づける目的で行う限り、本発明の範疇に含まれる。
【0086】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、光学素子成形金型を成形するための光学素子成形金型用成形金型を製作する工程を示す図である。まず、図1(a)に示すように、光学素子の一例であるレンズの非球面に対応した母非球面101aを形成したマスター型材101に、支柱105を取り付け、且つボルト103を用いて円筒状のブランク型102を組み付ける。更に、図1(b)に示すように、マスター型材101及びブランク型102をヒーターHにより予備加熱しておき、過冷却液体域間で加熱し軟化させた非晶質合金MGを、急激な固化を抑制しつつブランク型102内に挿入し、プランジャー106で加圧する。このときブランク型102内の空気は、エアベント(ブランク型102の端面に形成された溝102a)を介して外部へと流出する。非晶質合金MGは、溶融した樹脂と同様に柔軟性があるため、わずかな加圧であっても、ブランク型102の内形状に一致するように変形し、又、マスター型材101の母非球面101aの形状に一致するように変形する。すなわち、マスター型材101の母非球面101aに対応する母光学面(後述する1a)は、非球面形状に形成されることとなる。非晶質合金MGを軟化させて成形することで、マスター型材101とブランク型102からなるマスター型104の損耗を抑制し、その寿命を延長することができる。
【0087】
更に、図1(c)に示すように、マスター型104とプランジャー106とを一体で、冷却水が満たされた容器107内に沈下させることで、非晶質合金MGを急冷させる。尚、かかる冷却は自然放冷であっても良い。その後、容器107から取り出したマスター型104とプランジャー106とを分離させ、固化したアモルファス合金MGを取り出すことで、光学素子成形金型用成形金型1が形成される。この時点では、光学素子成形金型用成形金型1の母光学面1a(図2)は母非球面のみであり、くぼみや突起は形成されていない。成形後の非晶質合金のフランジ外周面の仕上げ加工において、マスター型材101のティルト基準面でティルトを合わせた後、母光学面1aを回転させて、その偏心量に基づいて調整を行うことで、母光学面1aの偏心量の除去を機械加工で行える。
【0088】
図2は、光学素子成形金型用成形金型の母光学面の加工工程を示す図である。まず、図2(a)に示すように、不図示の駆動体によって光学素子成形金型用成形金型1を光軸回りに回転させながら、母光学面1aにレジストRを塗布する(スピンコート)。レジストRは、母光学面1aを含むマスター型材1の上面に、等しい膜厚でコーティングされる。
【0089】
更に、レジストRがコーティングされた母光学面1aに対し、不図示の露光機により電子ビームLBを照射して、微細パターンを露光形成する。続いて、図2(b)に示すように、光学素子成形金型用成形金型1を溶液中に浸し、母光学面1a上において、露光形成された微細パターンに応じてレジストRを除去する。ここで、電子ビームLBのビーム径は極めて小さいため、数十乃至数百ナノメートルの間隔で、レジストRを除去することができる。
【0090】
その後、図2(c)に示すように、部分的にレジストRが除去された光学素子成形金型用成形金型1の上面を、イオンシャワーIS(加速されたアルゴンイオン等)の雰囲気中に曝し(ドライエッチング)、レジストRのパターンに応じて、光学素子成形金型用成形金型1の表面を除去する。このとき、レジストRの残っている部分は、表面が除去されないため、露光時に厚く円形のレジストRを残すことで、光学素子成形金型用成形金型1の加工済み母光学面1a’の表面に、小さな円筒形状の突起が多数形成されることとなる。
【0091】
このようにして形成された光学素子成形金型用成形金型1は、円管状のブランク型2の一端を閉止するような形でボルト3で固定されて、マスター型4が形成されることとなる(図2(d))。ブランク型2と光学素子成形金型用成形金型1との間に、エアベントが形成されるように、ブランク型2の端面には、溝2aが形成されている。尚、光学素子成形金型用成形金型1の加工は、大規模な設備も不要であって、その製作コストを低くできる上、一つあれば、後述するようにして光学素子成形金型を大量に製作できるので、さらに低コスト化が望める。
【0092】
図3は、光学素子成形金型の製作工程を示す図である。まず、図3(a)に示すように、図2のに示す工程で製作されたマスター型4に支柱5を取り付ける。更に、図3(b)に示すように、マスター型4をヒーターHにより予備加熱しておき、過冷却液体域間で加熱し軟化させた非晶質合金MG’を、急激な固化を抑制しつつブランク型2内に挿入し、プランジャー6で加圧する。このときブランク型2内の空気は、エアベント(溝2a)を介して外部へと流出する。このとき、光学素子成形金型用成形金型1の素材である非晶質合金MG(第2の非晶質合金)のガラス転移点は、成形すべき非晶質合金MG’(第1の非晶質合金)のガラス転移点より好ましくは50℃以上(より好ましくは100℃)以上高くなっているので、成形時の熱で、光学素子成形金型用成形金型1が変形する恐れはない。
【0093】
非晶質合金MG’は、溶融した樹脂と同様に柔軟性があるため、わずかな加圧であっても、ブランク型2の内形状に一致するように変形し、又、光学素子成形金型用成形金型1の母光学面1a’の形状に一致するように変形する。すなわち、光学素子成形金型用成形金型1の母光学面1a’に対応する光学素子成形金型の光学成形面(後述する10a)には、円筒に対応したくぼみが形成されることとなる。非晶質合金MG’を軟化させて成形することで、マスター型4の損耗を抑制し、その寿命を延長することができる。
【0094】
更に、図3(c)に示すように、マスター型4とプランジャー6とを一体で、冷却水が満たされた容器7内に沈下させることで、非晶質合金MG’を急冷させる。尚、かかる冷却は自然放冷であっても良い。その後、容器7から取り出したマスター型4とプランジャー6とを分離させ、固化した非晶質合金MG’を取り出すことで、光学素子成形金型10(図4)が形成される。
【0095】
以上の説明では、光学素子成形金型用成形金型1を非晶質合金で成形した態様を例示したが、ブランク型2も同様にして非晶質合金とするとより低コスト化に有利である。図4は、光学素子の一つであるレンズを形成するための金型を示す断面図である。上述のようにして非晶質合金MG’から形成した光学素子成形金型10と、同様にして形成した光学素子成形金型11とを、それぞれ光学成形面10a、11a同士を対向させるようにして、ダイセット金型13,14に挿入し、溶融したプラスチック材料PLを光学素子成形金型10,11間に射出して、更に冷却することで、所望の形状のレンズを得ることができる。
【0096】
非晶質合金MG、MG’の例としては、以下の組成の金属ガラスを用いることができる。
Pd40Ni10Cu30P20
Zr55Cu30Al10Ni5
Pd53Cu28Ni10P9
Pd76Cu17Si7
【0097】
図5は、このような光学素子成形金型により形成されるレンズの光学面を拡大して示す一部断面斜視図である。図5(a)においては、レンズの光学面に、複数の突起の例として微細な円筒Cをマトリクス状に多数形成した構成(等価屈折率領域の微細構造の例)となっている。例えばかかるレンズをDVD記録/再生用光ピックアップ装置の対物レンズとして用いた場合、レンズを透過する光は650nm近傍である。そこで、微細な円筒Cの間隔Δを160nmとすると、かかる対物レンズに入射する光は殆ど反射せず、極めて光透過率の高いレンズを提供することができる。
【0098】
図5(b)においては、レンズの光学面に、複数の突起の例として間隔Δで離隔した多数の微細な三角錐Tを形成しており、図5(a)と同様な顕著な効果を有する。この間隔Δとしては、0.1〜0.2μm以下であると散乱を低下させるので好ましい。図5(c)においては、レンズの光学面に、複数の突起の例として間隔Δで離隔した多数のフィンF(構造複屈折の微細構造の例)を形成している。フィンFの長さは、透過する光の波長より長く(上述の例では650nm以上)なっている。かかる構成を備えたレンズは、フィンFに沿った方向に振動面を有する光を透過させるが、フィンFに交差する方向の光は透過させないという、いわゆる偏光効果を奏する。図5(d)においては、レンズの光学面に、連続した複数の突起の例として回折輪帯Dを形成している。回折輪帯Dに関しては、例えば特開2001−195769号公報に、その形状に応じた効果である色収差補正及び温度補正について詳細に述べられているので、以下の説明を省略する。また、図5(a)〜(c)においては、簡単のために平面上に、それら突起を設けた例を示したが、その底面を球面や非球面等の適宜の曲率を持った曲面とし、その曲面上に設けるようにしてもよい。
【0099】
ところで、上述した実施の形態では、光学素子成形金型用成形金型1の母光学面1aの加工を、電子ビームを用いて行っていたが、これに限られずレーザビームを用いたり、あるいはダイアモンド切削などの機械加工を施したりできる。更に、以下の例は、集束イオンビームを用いたガスデポジションにより加工を行うものである。
【0100】
図6は、光学素子成形金型用成形金型1の母光学面1aの加工で用いることのできる集束イオンビーム装置の要部を概略的に示す図である。
【0101】
図6の集束イオンビーム装置では、ガリウム液体金属イオン源111のエミッタ111aに加速電圧を印加し電極111bに負の高電圧を印加すると、エミッタ111aからイオンが放出され、電極111b及び111cで構成される集束レンズで集束される。集束されたイオンビームbは、ビームを平行にするコンデンサレンズ112と、ビーム照射のオンオフを行うブランカ113と、ビーム位置をアパチャ115に対し調整するアライナ114と、ビーム開角を決めるアパチャ115と、ビームを対物レンズ117の中心に通すためのアライナ116と、ビームを基体の表面にスポット状に合焦させる対物レンズ117と、ビームを基体(光学素子成形金型用成形金型1)の表面上で走査させるように電界または磁界によりビームを偏向させる偏向走査部118とを順に通過し、XYステージ121上に取り付け固定された光学素子成形金型用成形金型1の母光学面1aに照射される。
【0102】
また、ガス放出部119ではノズル119aから母光学面1aに向けてデポジション用のガスを吹き付ける。また、集束イオンビームの照射により母光学面1aから放出される2次電子を2次電子検出器120で検出する。また、XYステージ121は駆動部121a、121bによりXY方向に微小に移動し、XYステージ制御部122の駆動部121a、121bの制御により集束イオンビームの照射点と母光学面1aとの相対位置を微小調整できる。図6の集束イオンビーム装置の上述の各部分111〜122は全体として制御装置123により制御される。
【0103】
図6の集束イオンビーム装置により、集束イオンビームを照射しながらガス放出部119のノズル119aから母光学面1aにガスを吹き付けると、この吹き付けガスにより形成された母光学面1aの表面近傍の雰囲気が集束イオンビームと衝突する。この衝突で発生した分子・原子を母光学面1aの表面に付加させてデポジションを行うことにより、その表面に成膜を行うことができ、この成膜により所望のパターン形状を形成できる。
【0104】
上述の集束イオンビームに用いるイオンは、ガリウム以外にアルゴン等が用いられるが、原子量の大きい元素の方がエネルギ密度が高く、加工に適する。また、イオン生成においては室温で液体であることが望ましいため、イオン発生元素としては通常はガリウムを用いるのが好ましい。また、効率よく高速にデポジションを行うにはガスの分解効率が高いことが望ましく、従って、加速したときの運動エネルギが大きなガリウムを加速イオンに用いた方が良い。そのため、イオンビームは正の荷電粒子となるが、イオンビームの電荷の正負は本発明の本質とは関係ない。
【0105】
また、図6の偏向走査部118は電界や磁界により集束イオンビームの走査範囲(フィールド)を制御できるが、この走査範囲は、通常は5μm角〜20μm角と非常に狭いため、図6のXYステージ121で母光学面1aと集束イオビームの照射点の位置を相対的に変えることにより広い母光学面を形成できる。即ち、形成される母光学面パターンの大きさが集束イオンビームの走査範囲を超える場合は、XYステージ121により母光学面1aを移動させながらつなぎ照射をして母光学面を接続することにより、より広い母光学面を形成できる。
【0106】
上述のようにつなぎ照射のためXYステージ121で母光学面1aを移動する方が、一般的には集束イオンビーム装置(加速器)よりも基体の方がはるかに小型で軽量であるため好ましい。また、走査パターンのつなぎ精度は、所望の光学面形状や光学特性を得るのに非常に重要であるので、XYステージ121は、例えば既存の電子ビーム描画装置などで実用になっている2軸の微動ステージが同様のつなぎ露光を目的とした装置なので、そのまま利用できる。
【0107】
また、基体の形状が平面以外の球面や非球面形状などの3次元的な場合は、本発明の母光学面形成を行うには、集束イオンビームの焦点近傍に基材表面が常に位置するように制御するために、微動ステージは、XYZの3軸駆動や各軸固りの回転駆動などとすることが好ましい。この場合、集束イオンビームのビーム開き角は、2〜3度程度であるので、所望の光学面精度にもよるが、焦点深度を5μm程度取ることができ、微動ステージの集束イオンビーム光軸方向の位置決め精度は、それほど高分解能高精度にする必要はない。球面や非球面の深い基体形状に母光学面形成を行う際には、場合によっては集束イオンビームを照射する部分の面傾斜角が50〜70度と大きくなることがある。このような場合は、ワークを回転駆動することにより集束イオンビームの光軸に対する面傾斜角を0度(垂直)に近づくように微動ステージを制御すると、デポジション条件が基体上でほぼ均一となり、膜厚制御が容易となる。しかし、集束イオンビームにより分解され発生するデポジション媒体の量やそのスパッタエネルギに対して、基板の面傾斜角は本来関係がないため、以上の方法は基板の面傾斜角の影響を受けにくく、面傾斜角に合わせて若干の照射時間などに補正を加えることにより、所望の膜厚で高精度に母光学面形状を形成できる。
【0108】
また、図7のように、集束イオンビームの焦点スポットsの径は通常20nm程度であるが、集束イオンビームの照射により分解されたガスが拡散したり飛散方向がばらつくため、ライン状にビームを走査した際にデポジションされたパターンの片側にはみ出しが生じ、図7の破線のように、そのはみ出し量tは、数10〜数100nm程度である。このはみ出しは、走査毎の再現性が極めて良いため、光学面パターンを形成する際には、予めこのはみ出し量を見込んで、走査のパターンを走査ラインに対して膜厚が厚くなる側にオフセットして照射することで、所望の光学パターン形状を高精度に得ることができる。
【0109】
上述のはみ出し量は、ガスの種類やデポジション条件によって変わり、一般的にはデポジションレートが小さいときは小さく、大きいときは大きくなるので、それを補正するオフセット量もそのはみ出し量に準じて決めれば良い。かかる実施の形態においては、実用的なデポジション条件の制約からこのオフセット量は、概ね50nm以上から500nmまでの範囲になる。
【0110】
【発明の効果】
本発明によると、従来とは全く異なる思想に基づいて、切削性に優れ、寸法精度を高めることができ、しかも所望の光学成形面の形状を転写形成可能な光学素子成形金型用成形金型を提供することができる。又、本発明によると、その光学素子成形金型用成形金型によって成形された光学素子成形金型、それを用いて形成される光学素子及び光学素子成形金型の製造方法を提供することができる。又、高精度な光学素子を非常に低コストで大量生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の光学素子成形金型用成形金型の製作工程を示す図である。
【図2】光学素子成形金型用成形金型の母光学面の加工工程を示す図である。
【図3】本実施の形態の光学素子成形金型の製作工程を示す図である。
【図4】光学素子であるレンズを形成するための金型を示す断面図である。
【図5】光学素子用金型により形成されるレンズの光学面を拡大して示す一部断面斜視図である。
【図6】光学素子成形金型用成形金型の母光学面の加工で用いることのできる集束イオンビーム装置の要部を概略的に示す図である。
【図7】図6のイオンビーム装置において基体上の集束イオンビームの焦点スポットsの径に対し、ライン状にビームを走査した際にデポジションされたパターンの片側におけるはみ出し量tを模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 光学素子成形金型用成形金型
2 ブランク型
4 マスター型
5 支柱
6 プランジャー
7 容器
10、11 光学素子成形金型
101 マスター型材
102 ブランク型
104 マスター型
105 支柱
106 プランジャー
107 容器[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a molding die for optical element molding dies.as well asThe present invention relates to a method for manufacturing an optical element molding die.
[0002]
[Prior art]
As a method of manufacturing a mold for an optical element of a plastic optical element that has been generally performed conventionally, for example, a blank (primary processed product) is made of steel, stainless steel, etc., and an electroless nickel plating is formed thereon. An amorphous nickel-phosphorus alloy was coated to a thickness of about 100 μm by chemical plating, and this plated layer was cut with a diamond tool by an ultra-precision machine to obtain a highly accurate optical surface.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
According to such a conventional technique, the part shape is basically created by machining, so that the part accuracy can be easily increased to near the motion accuracy of the processing machine, but the manufacturing process is complicated and complicated. It is necessary to produce a blank (primary processed product) in consideration of the thickness of the plating layer, and the plating process is not necessarily stable. Optical molding because the adhesion strength of the layer varies, pinhole-like defects called pits occur, and the optical molding surface corresponding to the optical surface of the optical element must be created within the thickness of the plating layer. When reworking the surface, etc., there are cases where the plating thickness has no margin and it may be impossible to process, and generally it cannot be used repeatedly and the mold cost is high, etc. It has occurred.
[0004]
Further, when the optical molding surface is machined in large quantities, the shape of the optical molding surface which has been finely cut and finished varies depending on the state of the cutting edge of the tool, machining conditions, changes in the machining environment temperature, and the like. This optical molding surface processing variation generally generates an optical surface shape error of about 100 nm, and even when processed very carefully, an error of about 50 nm remains, which is the limit of processing accuracy.
[0005]
In recent years, an optical system that efficiently corrects chromatic aberration by providing a diffraction groove on an optical surface has been put into practical use in the optical information recording field and produced in large quantities. As the optical material, plastic or glass is used, but in an infrared optical system or the like, a crystal material such as ZnSe is also used. An efficient method for mass production of such optical elements is molding. At this time, a technique for efficiently producing an optical molding surface having fine diffraction grooves of a molding die with high accuracy is extremely important. It is important.
[0006]
For example, when creating a fine pattern having an optical function such as a diffraction groove on an optical molding surface by diamond cutting, the sharpness of the blade edge affects the accuracy of the diffraction groove shape, and the diffraction efficiency when it is transferred as an optical surface. It is known that it has a great influence on the image quality as described in JP-A-2001-195769.
[0007]
Therefore, in order not to reduce the diffraction efficiency of the diffraction ring zone, the size of the blade edge must be made sufficiently small. Therefore, the cutting resistance is concentrated on the small blade edge part, so the cutting amount must be reduced, and the optical The number of machining operations increases until the entire molding surface is uniformly cut and removed. Further, in order to prevent the surface roughness of the optical molding surface from being deteriorated due to a small cutter mark, the tool feed speed must be slowed down, and the processing time for one optical molding surface is increased. As a result, since the cutting length increases, the wear of the tool edge increases, and the tool is frequently changed. In other words, when processing an optical molding surface having a fine shape by conventional diamond cutting, the tool life is extremely shortened, and the carbon in the diamond is diffused into the blank by cutting, thereby increasing the tool life. Further shortening is required. In addition, since the time for processing one optical molding surface also increases, the processing efficiency is greatly reduced, the productivity of the mold is reduced, and the cost is rapidly increased. Therefore, in particular, when finishing an optical molding surface having a fine shape on the surface by diamond cutting, a simple and short delivery method for producing a mold is desired.
[0008]
In addition, in recent years, an attempt has been made to add a new optical function to an optical element by applying a fine structure on the optical surface from several times the wavelength to a smaller size. For example, a diffraction groove is formed on the surface of a molded lens having an aspheric optical surface, and the normal dispersion function due to refraction and the positive dispersion that occurs as a side effect at that time are used, and the negative dispersion with large diffraction by the diffraction groove is used. A single lens optical element having an achromatic function that is essentially impossible by refraction alone has been put to practical use as a DVD / CD compatible pickup objective lens for an optical disk. This utilizes the diffractive action of a diffraction groove having a size several tens of times the wavelength of light transmitted through the optical element, and the region that handles the diffractive action by a structure sufficiently larger than the wavelength is called a scalar region. It is.
[0009]
On the other hand, the light reflection suppression function can be exhibited by forming the conical projections densely on the surface of the optical surface at a minute interval of a fraction of the wavelength of the light transmitted through the optical element. Is known. That is, by forming protrusions at fine intervals, the refractive index change at the air interface when a light wave enters the optical element is instantaneously changed from 1 to the medium refractive index as in the conventional optical element. Instead, it can be changed gently so that reflection of light can be suppressed. The surface on which such protrusions are formed has a fine structure called a so-called “eyes”, and individual structures are no longer diffracted by arranging structures finer than the wavelength of light with a period shorter than the wavelength. The region that acts as an average refractive index with respect to the light wave is generally called an equivalent refractive index region. Regarding such an equivalent refractive index region, see, for example, IEICE Transactions C Vol. J83-C No. 3pp. 173-181, described in March 2000.
[0010]
According to such a fine structure of the equivalent refractive index region, it is possible to obtain a large antireflection effect at the same time while reducing the angle dependency and wavelength dependency of the antireflection effect as compared with the conventional antireflection coating, Since the optical surface and microstructure can be created simultaneously by molding, the lens function and anti-reflection function can be obtained at the same time. It is considered to be big and attracts attention. Furthermore, if such a fine structure of the equivalent refractive index region is arranged so as to have directionality with respect to the optical surface, it is possible to give the optical surface strong optical anisotropy. Thus, the birefringent optical element that has been manufactured can be obtained by molding, and a new optical function can be added in combination with a refractive optical element or a reflective optical element. The optical anisotropy in this case is called structural birefringence.
[0011]
Between the above-described scalar region and equivalent refractive index region, there is a resonance region in which the diffraction efficiency changes rapidly due to a slight difference in incident conditions. For example, when the width of the diffraction groove is narrowed, a phenomenon (anomaly) occurs in which the diffraction efficiency rapidly decreases and increases by several times the wavelength. By adjusting the diffraction groove width as described above, an effect equivalent to that of a normal interference filter can be realized with less angular dependency as a waveguide mode resonance grating filter that reflects only a specific wavelength.
[0012]
By the way, when an optical element is to be formed using a scalar region, an equivalent refractive index region, or a resonance region, it is necessary to form fine protrusions (or depressions) on the optical surface. In order to mass-produce optical elements having such fine protrusions (or depressions), it can be said that it is generally suitable to perform molding using plastic as a raw material. It is necessary to provide the mold with an optical molding surface having a depression (or protrusion) corresponding to the depression.
[0013]
However, with respect to the protrusions (or depressions) in the equivalent refractive region and the resonance region as described above, protrusions (or depressions) must be formed at intervals of several tens to several hundreds of nanometers. It is extremely difficult to machine. In addition, the conventional mold has a problem that it is difficult to reuse.
[0014]
The present invention has been made in view of the problems of the prior art, and based on a completely different idea from the conventional one, it is excellent in machinability, can improve dimensional accuracy, and has a desired optical molding surface shape. It is an object of the present invention to provide a molding die for an optical element molding die that can transfer and form a film. The present invention also provides,lightIt is an object of the present invention to provide a method for manufacturing a chemical element mold.
[0015]
[Means for Solving the Problems]
The molding die for an optical element molding die according to
[0016]
An optical element for molding an optical element molding die formed by molding a first amorphous alloy having a supercooled liquid region. A molding die for a molding die, which is formed by using a second amorphous alloy having a supercooled liquid region and having a glass transition point higher than that of the first amorphous alloy. Therefore, a more accurate optical element molding die can be molded, and a more accurate optical element can be molded using the mold. More specifically, since the machinability and workability of the second amorphous alloy are extremely good, the mother optical surface and the mother dimension reference surface of the molding die for the optical element molding die are set. The optical element can be finished with high accuracy corresponding to the optical surface or dimension reference surface of the optical element, and the tool life can be extended. The dimension reference surface is a surface that serves as a positioning reference when the optical element is attached to another member, such as the flange peripheral surface of the optical element.
[0017]
Here, an amorphous alloy (also referred to as an amorphous alloy) having a supercooled liquid region will be described. An amorphous alloy having a supercooled liquid region is also called a metallic glass, and is an amorphous alloy that becomes a supercooled liquid when heated. This is because a normal metal has a polycrystalline composition, but because the structure is amorphous, the composition is microscopically uniform, excellent in mechanical strength and room temperature chemical resistance, has a glass transition point, and has a glass transition point. Since it softens when heated to around +50 to 200 ° C. (this is referred to as a supercooled liquid region), it has a feature not found in ordinary metals.
[0018]
Conventionally, a technique for creating a molding die of metal glass by this hot press molding is described in Japanese Patent Laid-Open No. 10-217257, and an optical element having a ridge line is described in Japanese Patent Laid-Open No. 9-286627. Also. In the Japan Society of Mechanical Engineers, Vol. 65, No. 633, 346-352, “Study on Precision / Fine Processing of Metallic Glass”, an example in which a metallic mold part having an optical molding surface is formed by press-molding metallic glass is described. In this example, the shape accuracy of the transfer optical surface (optical molding surface) by press molding is 500 nm, and the surface roughness is 90 nm.
[0019]
Here, the present inventor paid attention to the amorphous structure of the metal glass, and found that a high-precision optical mirror surface can be easily obtained when the metal glass is directly subjected to ultraprecision cutting with a diamond tool. The reason is that this material is amorphous and has no crystal grain boundaries, so the machinability is uniform regardless of the location, and the crystallization energy is increased to keep the amorphous state, and the composition is polycrystalline. Therefore, it was found that there was little diffusion wear of diamond during the cutting process and that the tool edge life could be kept long. The same is true for grinding using a diamond tool or the like.
[0020]
In particular, in the example to which the present invention is applied, the optical surface of the optical element or the optical molding surface of the optical element molding die is not created only by the conventional hot press molding, but the metallic glass is first heated by press molding. After manufacturing a shape, that is, a blank very close to the finished shape, for example, in an optical element molding die, optical element molding for molding the optical surface of an optical element by diamond cutting with an ultra-precision machine A surface corresponding to the optical molding surface of the mold (referred to as a mother optical surface), a surface corresponding to the other fitting surface, and the like are cut to finish a molding die for an optical element molding die.
[0021]
When molding by such a method, a parting line may be molded using a split mold so as to remain on the molded mother optical surface, or a draft may be provided. This is because it can be easily deleted by post-processing such as cutting. In addition, after creating a reference surface for the optical element molding die formed by hot press molding, etc., it is attached to a processing machine so that the eccentricity is minimized with this surface as a reference. If the corresponding mother optical surface is diamond-cut with an ultra-precision machine, a highly accurate mother optical surface with less eccentricity can be easily created. According to this method, the dimensional accuracy of the molding die for optical element molding dies should be molded to be about 5 to 10 μm larger than the final finished dimension, and the machining allowance by post-processing is about 1/10 or less of the conventional one. Become. Therefore, it can be said that the optical element molding die according to the present invention can be manufactured in large quantities with extremely high accuracy.
[0022]
Further, the molding die for optical element molding die of the present invention basically does not need to be subjected to chemical plating treatment as in the conventional die, and the plating thickness needs to be considered in determining the blank size. Therefore, the blank manufacturing process up to the mother optical surface processing becomes extremely simple, and the delivery time can be reduced to 1/4 or less of the conventional delivery time. Further, the mother optical surface can be recut any number of times, and even when it becomes unnecessary, a mold material having a different shape can be formed by hot press molding, so that the material life is semi-permanent.
[0023]
On the other hand, when the present invention is viewed from a different angle, the following may be considered. The present inventor found that metallic glass is fundamentally different from molding of plastics, etc., because it is a metallic material, its thermal conductivity is extremely high, and the whole solidifies instantaneously, cooling shrinkage is small, and it does not depend on the molding site. Proportionally generated and low reactivity with the mold, etc., but by optimizing the molding pressure and molding time, it is equivalent to the optical molding surface obtained by plastic molding or with high reproducibility with high reproducibility I thought I could transfer it.
[0024]
Therefore, as an optical element molding die having fine protrusions (or depressions) on the optical surface, it is molded and transferred from a master made of some amorphous alloy (molding die for optical element molding die). If an optical element molding die made of a crystalline alloy is obtained, it is possible to easily obtain a large amount of molds having a higher shape accuracy than an optical element such as plastic which is the final molded product. In order to form an optical element molding die having such a high-precision optical molding surface, a high-precision optical element molding die is prepared in advance by forming a molding die for an optical element molding die having a corresponding shape. The mold can be easily obtained by molding. Such a mold for an optical element molding die is obtained by applying a resist to the mother optical surface corresponding to the optical surface of the optical element by spin coating, exposing a fine pattern with an electron beam or a laser beam, and then developing the resist. Can be obtained by shaping a fine pattern on the optical surface.
[0025]
In other words, the molding die for optical element molding die according to the present invention is a method for forming an optical molding surface of an optical element molding die having a fine shape having three times or more compared with the processing time of a conventional optical molding surface. It can be easily molded from a net-shaped blank, and post-processing is not required, and processing efficiency can be greatly improved. However, the scope of the present invention does not depend on a fine optical pattern. Moreover, it does not depend on the diamond tool shape used or cutting conditions.
[0026]
However, the glass transition point of the second amorphous alloy that is the material of the molding die for the optical element molding die is lower than the glass transition point of the first amorphous alloy that is the material of the optical element molding die. For example, the molding die for optical element molding dies may be melted and deformed during hot press molding. Therefore, in order to prevent this, the glass transition point of the second amorphous alloy is set higher than the glass transition point of the first amorphous alloy.
[0027]
As long as the above conditions are satisfied, the types of the first and second amorphous alloys that can be used in the optical element molding die and the optical element molding die of the present invention are not limited. Although known metallic glasses such as Pd-based, Mg-based, Ti-based, Fe-based, and Zr-based materials can be used, an amorphous alloy material having a supercooled liquid region is necessary for the present invention. These compositions and types are not limited. However, as an optical element molding die material for plastic optical elements, since the resin temperature is close to 300 ° C., Pd-based, Ti-based, Fe-based, etc. are advantageous because of their high glass transition point, but more preferable. Is advantageous in that the Pd system is hardly oxidized in the air and can be heated and formed in a large bulk shape. Furthermore, although Pd (palladium) is a noble metal and expensive, it can be reused by being cast and reused if the metal glass mold of the present invention is no longer needed. When combined with a low value, the mold cost over a long period of time can be reduced even if a metallic glass containing Pd is used.
[0028]
An optical element for molding an optical element molding die formed by molding a first amorphous alloy having a supercooled liquid region. A molding die for a molding die, which has a supercooled liquid region and has a glass transition point higher than that of the first amorphous alloy by 50 ° C. or more (preferably 100 ° C. or more). Therefore, the optical element molding die is also used when the optical element molding die is formed by hot press molding the first amorphous alloy. A stable mold shape can be maintained even when used repeatedly without causing deformation of the molding die.
[0029]
5. The molding die for an optical element molding die according to claim 4, wherein the optical molding surface of the optical element molding die (a surface for molding the optical surface of the optical element) or a molding dimension reference surface (a dimension reference surface of the optical element). The surface to be molded is formed and transferred by hot press molding, so that the optical molding surface and the molding dimension reference surface can be accurately formed.
[0030]
Since the molding die for optical element molding die according to
[0031]
The molding die for an optical element molding die according to
[0032]
The molding die for an optical element molding die according to claim 7, wherein a projection or a depression of the optical element molding die is transferred to an optical surface of an optical element molded by the optical element molding die and reflected. Since the fine structure generating the prevention effect is formed, the light transmittance of the optical element can be further increased. In addition, it is preferable that the space | interval of the said protrusion or a hollow is below the wavelength of the light which permeate | transmits the optical surface of the said optical element.
[0033]
A molding die for an optical element molding die according to claim 8, wherein a projection or a depression of the optical element molding die is transferred to an optical surface of an optical element molded by the optical element molding die. Since a fine structure that generates birefringence is formed, for example, the light transmittance of the optical element can be changed with respect to the vibration direction of light. In addition, it is preferable that the space | interval of the said protrusion or a hollow is below the wavelength of the light which permeate | transmits the optical surface of the said optical element.
[0034]
The molding die for an optical element molding die according to claim 9, wherein a projection or a depression of the optical element molding die is transferred to an optical surface of an optical element molded by the optical element molding die, so that resonance occurs. Since the fine structure of the region is formed, for example, the degree of aberration of the optical element can be changed to exhibit different functions.
[0035]
The molding die for an optical element molding die according to
[0036]
12. The molding die for an optical element molding die according to claim 11, wherein the protrusion or depression of the optical element molding die is transferred to the optical surface of the optical element molded by the optical element molding die, and the temperature is increased. Since it has a function of adjusting the aberration change due to the change, the optical function of the optical element can be enhanced.
[0037]
13. The molding die for an optical element molding die according to claim 12, wherein a projection or a depression of the optical element molding die is transferred to an optical surface of an optical element molded by the optical element molding die and is diffracted. Since an annular zone (annular diffractive surface) is formed, it is no longer necessary to cut the optical molding surface in order to form a diffractive annular zone. Can be reduced in labor and cost.
[0038]
In the molding die for an optical element molding die according to
[0039]
15. The molding die for optical element molding die according to
[0040]
For example, the present inventor has devised a method for creating a fine surface shape such as a diffractive optical element on the mother optical surface of a molding die for optical element molding dies. For example, a resist is directly applied to a thickness of 0.1 to 3 μm by spin coating on the mother optical surface of a molding die for an optical element molding die molded into an aspheric shape. After drawing and developing directly with an electron beam or laser beam, a fine optical pattern of the resist is formed on the mother optical surface, and then fine etching such as protrusions or depressions corresponding to the diffraction grooves on the mother optical surface by dry etching To obtain a molding die for optical element molding dies.
[0041]
As described above, metallic glass is basically a material that is amorphous and has a uniform overall structure and no crystal grain boundaries, and therefore has no single composition direction at any part. In other words, in dry etching, etching does not proceed selectively in the crystal orientation as in, for example, single crystal silicon, and etching proceeds uniformly according to conditions. Therefore, when a fine optical pattern is formed on the surface of the amorphous alloy with the resist thickness, and the resist surface is irradiated with ions or ionized gas components accelerated from one direction, the irradiation direction is almost proportional to the thickness. Etching progresses. Since an amorphous alloy is a conductor, an electric field can be easily formed when the charged particles are accelerated by the electron beam exposure or ion etching and hit the surface. The process of applying is unnecessary and good.
[0042]
Etching with charged particles has already been put to practical use as a tool for sharply processing the tip of diamond and the like, and the device ionizes rare gas etc. to ionize it, accelerates it by applying an electric field and hits it. Because of the simple structure, it is not necessary to develop special equipment to realize the present invention. In the present invention, the type of charged particles used for dry etching as an example of exposure / development processing is not particularly limited. Optical element with a high-precision microstructure by dry etching by irradiating charged particles onto the mother optical surface of a molding die for optical element molding molds using an amorphous alloy. Obtaining a mold for a molding die is also within the scope of the present invention.
[0043]
Here, the exposure / development processing of the optical element molding die will be described more specifically. As a method of forming a semiconductor element or the like, a method of applying a photoresist (also referred to as a resist) to a silicon wafer and irradiating a laser beam to draw a predetermined pattern is known. By utilizing this, it is conceivable to form fine depressions (or protrusions) on the mother optical surface of the optical element molding die.
[0044]
That is, on the mother optical surface such as an aspherical surface in the molding die for optical element molding die, the photoresist is applied in the same manner by spin coating method, and a fine pattern is exposed by an electron beam or a laser beam and then developed. Thus, a fine pattern such as a depression (or protrusion) on the mother optical surface is formed.
[0045]
According to this method, in addition to the above-described fine dents (or protrusions), a fine shape including an asymmetrical or non-axisymmetric pattern or shape, which is extremely difficult to create by normal machining, can be obtained. It is possible to create the optical surface with high accuracy by controlling the exposure beam.
[0046]
Although the thickness of the photoresist is usually about 1 μm, the photoresist can be thickened by re-coating after coating and drying and post-baking to solidify sufficiently. In the exposure method, by adjusting the exposure amount (dose amount) such as electron beam or laser beam, the negative type resist is more solidified in the negative type resist and remains during development, while the positive type is developed in reverse. Since it elutes in the liquid, the development progresses depending on the exposure amount, and the three-dimensional fine shape of the resist can be created.
[0047]
Since the resist is a resin, its strength and adhesion are insufficient for use as the mother optical surface of the mold as it is, and its practicality is poor. Therefore, it is necessary to transfer the fine shape on the mother optical surface by this resist to the mold material as a master by some method. Conventionally, electroforming has been used as one of the methods. For example, when manufacturing a stamper mold by transferring a pit pattern of an optical disk, the surface of an optical recording pattern called a pit created on a glass substrate by a resist is made conductive by flash plating such as copper. Thereafter, an electric field is applied in the electrolytic solution to deposit and deposit metallic nickel, thereby copying the fine shape.
[0048]
However, as can be easily imagined from the generation method of electroforming, the phenomenon that the electric field density increases and the plating proceeds further as it deposits and protrudes, so the electric field distribution in the plating solution constantly fluctuates microscopically. Therefore, the thickness of electroforming does not increase uniformly. For this reason, a very large stress is generated in the electroforming, so that the fine shape of the surface can be accurately transferred, but the planar shape of the substrate is usually warped at the stage of peeling from the master due to the stress. When the whole is flat like the optical disk substrate described above, the thickness of the electroforming is made very thin to 0.1 mm or less, and the back surface is thinly polished after peeling from the master to ensure flatness, etc. By performing a post-process and attaching it so as to follow the planar portion of the mold, the planar shape is maintained in the mold.
[0049]
On the other hand, when the substrate shape is a highly accurate three-dimensional shape such as an aspherical mother optical surface, such a conventional method cannot be used, and the mother optical surface is instantly peeled off from the master after electroforming. There is a problem that the shape is distorted. Although depending on the state of electroforming, when electroforming is performed to a thickness of several millimeters, it is necessary to consider deformation of the mother optical surface due to distortion by about 10 μm. In the world, the shape accuracy of an optical surface having a fine shape is required to be at least 100 nm or less, and for high-accuracy applications, 50 nm or less is required. Therefore, a higher-precision mother optical surface is transferred by electroforming from a resist. It is difficult to obtain a mold. Therefore, a mother optical surface having a fine shape formed of a resist on its surface can be copied even if it is transferred by electroforming, but the shape of the mother optical surface is distorted and difficult to use.
[0050]
Therefore, in the present invention, first, a molding die for an optical element molding die of a near net shape having a mother optical surface accurately matched with, for example, an aspherical shape of the optical surface of the optical element, After applying a resist to the mother optical surface by a spin coating method, a predetermined pattern is formed by an electron beam or a laser beam, and then dry etching is performed to form, for example, a fine depression (or protrusion). I try to do it. The above processing is an example of development / exposure processing, but is not limited thereto. Examples of dry etching include chemical etching by gas etching, physical etching such as ion etching, and plasma etching, and an etching technique that combines them. In addition, there is a technique that positively utilizes the etching anisotropy of the substrate material to create a fine shape.
[0051]
The molding die for an optical element molding die according to claim 15 is formed by applying a resist to the mother optical surface, exposing the mother optical surface by a resist, and performing development processing by exposure with laser light drawing. It is characterized by.
[0052]
The molding die for an optical element molding die according to claim 16 is characterized in that the projection or the depression is formed by a dry etching process after the development of the resist.
[0053]
The molding die for an optical element molding die according to claim 17 is characterized in that a mother optical surface of the molding die for an optical element molding die is created by gas deposition using a focused ion beam. . Gas deposition using a focused ion beam will be described later with reference to an embodiment.
[0054]
19. The molding die for an optical element molding die according to claim 18, wherein the second amorphous alloy used in the molding die for the optical element molding die is formed by press molding the optical element molding die. When the hardness is maintained at Hv 300 or higher, the shape can be maintained even after repeated use.
[0055]
The molding die for an optical element molding die according to claim 19, wherein the second amorphous alloy used in the molding die for the optical element molding die has a hardness of Hv 700 or less at room temperature. It is preferable because of excellent machinability.
[0056]
21. The molding die for optical element molding die according to
[0057]
The molding die for optical element molding die according to claim 21, wherein the composition of the second amorphous alloy contains at least 3 mol% of copper, zirconia, copper, aluminum, or phosphorus. Then, it is suitable as a material for a molding die for optical element molding dies.
[0083]
Claim22The method for manufacturing an optical element molding die described in 1 is a method for manufacturing an optical element molding mold for molding an optical element formed by molding a first amorphous alloy having a supercooled liquid region. An optical element molding die formed by using a second amorphous alloy having a supercooled liquid region and having a glass transition point higher than that of the first amorphous alloy. Since the optical element molding die is manufactured by hot press molding the first amorphous alloy with the molding die, a more accurate optical element molding die can be molded, and more A highly accurate optical element can be molded.
[0084]
The diffraction ring zone used in this specification refers to a relief formed as a substantially concentric ring zone around the optical axis on the optical surface of an optical element (for example, a lens), and collects light flux by diffraction. A diffractive surface that has light or divergence. For example, when the cross section is viewed on a plane including the optical axis, each annular zone is known to have a sawtooth shape, but such a shape is included. The diffraction zone is also referred to as a diffraction groove here.
[0085]
When the present invention is applied, the shape of each fine structure, the arrangement period, and the like, such as the arrangement of protrusions (or depressions), are not relevant. Whatever the fine structure, if it is made for the purpose of adding a new function to the optical element, the molding die is included in the scope of the present invention. Further, the function to be newly added is not limited to the function for reducing aberration. The case where the aberration is intentionally increased according to the characteristics of the optical system is also included in the scope of the present invention as long as it is performed for the purpose of finally bringing it closer to the ideal aberration.
[0086]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below with reference to the drawings. FIG. 1 is a diagram showing a process of manufacturing a molding die for an optical element molding die for molding an optical element molding die. First, as shown in FIG. 1A, a
[0087]
Further, as shown in FIG. 1 (c), the
[0088]
FIG. 2 is a diagram illustrating a processing step of a mother optical surface of a molding die for optical element molding dies. First, as shown in FIG. 2 (a), a resist R is applied to the mother
[0089]
Further, the mother
[0090]
Thereafter, as shown in FIG. 2C, the upper surface of the optical element molding die 1 from which the resist R has been partially removed is placed in an atmosphere of an ion shower IS (accelerated argon ions or the like). Exposure (dry etching) is performed, and the surface of the optical element molding die 1 is removed according to the pattern of the resist R. At this time, since the surface of the remaining portion of the resist R is not removed, the surface of the processed mother
[0091]
The optical element molding die 1 thus formed is fixed with a
[0092]
FIG. 3 is a diagram showing a manufacturing process of the optical element molding die. First, as shown in FIG. 3A, the
[0093]
Since the amorphous alloy MG ′ is flexible like the melted resin, it deforms to match the inner shape of the
[0094]
Further, as shown in FIG. 3C, the master mold 4 and the
[0095]
In the above description, an example in which the molding die 1 for optical element molding dies is formed of an amorphous alloy is exemplified. However, if the
[0096]
As an example of the amorphous alloys MG and MG ′, a metal glass having the following composition can be used.
Pd40Ni10Cu30P20
Zr55Cu30Al10Ni5
Pd53Cu28Ni10P9
Pd76Cu17Si7
[0097]
FIG. 5 is a partial cross-sectional perspective view showing an enlarged optical surface of a lens formed by such an optical element molding die. FIG. 5A shows a configuration in which a large number of fine cylinders C are formed in a matrix on the optical surface of the lens as an example of a plurality of protrusions (example of fine structure of equivalent refractive index region). For example, when such a lens is used as an objective lens of a DVD recording / reproducing optical pickup device, the light transmitted through the lens is in the vicinity of 650 nm. Therefore, when the interval Δ between the minute cylinders C is set to 160 nm, the light incident on the objective lens is hardly reflected, and a lens with extremely high light transmittance can be provided.
[0098]
In FIG. 5B, a large number of fine triangular pyramids T separated by an interval Δ are formed on the optical surface of the lens as an example of a plurality of protrusions, and the same remarkable effect as in FIG. Have. As this space | interval (DELTA), since scattering is reduced as it is 0.1-0.2 micrometer or less, it is preferable. In FIG. 5C, a large number of fins F (example of fine structure of structural birefringence) spaced apart by a distance Δ are formed on the optical surface of the lens as an example of a plurality of protrusions. The length of the fin F is longer than the wavelength of transmitted light (650 nm or more in the above example). A lens having such a configuration has a so-called polarization effect in which light having a vibration surface is transmitted in a direction along the fin F, but light in a direction intersecting the fin F is not transmitted. In FIG. 5D, a diffraction ring zone D is formed as an example of a plurality of continuous protrusions on the optical surface of the lens. Regarding the diffraction zone D, for example, Japanese Patent Laid-Open No. 2001-195769 describes in detail chromatic aberration correction and temperature correction, which are effects according to the shape thereof, and thus the following description is omitted. 5A to 5C show an example in which these protrusions are provided on a flat surface for the sake of simplicity, but the bottom surface thereof is a curved surface having an appropriate curvature such as a spherical surface or an aspherical surface. It may be provided on the curved surface.
[0099]
In the above-described embodiment, the processing of the mother
[0100]
FIG. 6 is a diagram schematically showing a main part of a focused ion beam apparatus that can be used for processing the mother
[0101]
In the focused ion beam apparatus of FIG. 6, when an acceleration voltage is applied to the
[0102]
Further, the
[0103]
When a gas is blown onto the mother
[0104]
As ions used in the focused ion beam, argon or the like is used in addition to gallium, but an element having a larger atomic weight has a higher energy density and is suitable for processing. In addition, since it is desirable for ions to be liquid at room temperature, it is usually preferable to use gallium as the ion generating element. Further, in order to perform deposition at high speed efficiently, it is desirable that the gas decomposition efficiency is high. Therefore, it is better to use gallium having high kinetic energy for acceleration ions when accelerated. Therefore, the ion beam becomes a positive charged particle, but the positive or negative of the charge of the ion beam is not related to the essence of the present invention.
[0105]
6 can control the scanning range (field) of the focused ion beam by an electric field or a magnetic field, but this scanning range is usually very narrow, 5 μm square to 20 μm square. A wide mother optical surface can be formed by relatively changing the position of the irradiation point of the focused
[0106]
As described above, it is preferable to move the mother
[0107]
Further, when the shape of the substrate is a three-dimensional shape such as a spherical surface other than a flat surface or an aspherical surface, the surface of the base material is always located near the focal point of the focused ion beam in order to form the mother optical surface of the present invention. Therefore, the fine movement stage is preferably XYZ three-axis driving or rotation driving for each axis. In this case, since the beam opening angle of the focused ion beam is about 2 to 3 degrees, depending on the desired optical surface accuracy, the depth of focus can be set to about 5 μm, and the focused ion beam optical axis direction of the fine movement stage It is not necessary to set the positioning accuracy of the high resolution and high accuracy. When forming a mother optical surface on a deep spherical or aspherical base, the surface inclination angle of the portion irradiated with the focused ion beam may be as large as 50 to 70 degrees. In such a case, if the fine movement stage is controlled so that the surface inclination angle with respect to the optical axis of the focused ion beam approaches 0 degrees (vertical) by rotating the workpiece, the deposition condition becomes substantially uniform on the substrate. The film thickness can be easily controlled. However, since the surface tilt angle of the substrate is not inherently related to the amount of deposition medium generated by decomposition by the focused ion beam and its sputtering energy, the above method is not easily affected by the surface tilt angle of the substrate, By correcting a slight irradiation time in accordance with the surface inclination angle, the mother optical surface shape can be formed with a desired film thickness with high accuracy.
[0108]
In addition, as shown in FIG. 7, the diameter of the focal spot s of the focused ion beam is usually about 20 nm, but the gas decomposed by the irradiation of the focused ion beam diffuses or the scattering direction varies, so the beam is formed in a line shape. A protrusion occurs on one side of the pattern deposited during scanning, and the protrusion amount t is about several tens to several hundreds of nm as shown by the broken line in FIG. Since this protrusion is extremely reproducible for each scan, when the optical surface pattern is formed, the protrusion amount is estimated in advance, and the scan pattern is offset to the side where the film thickness becomes thicker than the scan line. The desired optical pattern shape can be obtained with high accuracy.
[0109]
The amount of protrusion described above varies depending on the type of gas and the deposition conditions, and is generally small when the deposition rate is small and large when it is large. Therefore, the offset amount for correcting the amount is determined according to the amount of protrusion. It ’s fine. In such an embodiment, this offset amount is approximately in the range from 50 nm to 500 nm due to restrictions on practical deposition conditions.
[0110]
【The invention's effect】
According to the present invention, a molding die for an optical element molding die that is excellent in machinability, can improve dimensional accuracy, and can transfer and form the shape of a desired optical molding surface, based on a completely different concept from the conventional one. Can be provided. In addition, according to the present invention, it is possible to provide an optical element molding die molded by the optical element molding die, an optical element formed using the same, and a method of manufacturing the optical element molding die. it can. In addition, high-precision optical elements can be mass-produced at a very low cost.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a manufacturing process of a molding die for an optical element molding die according to the present embodiment.
FIG. 2 is a diagram showing a processing step of a mother optical surface of a molding die for optical element molding dies.
FIG. 3 is a diagram showing a manufacturing process of the optical element molding die of the present embodiment.
FIG. 4 is a cross-sectional view showing a mold for forming a lens which is an optical element.
FIG. 5 is an enlarged partial cross-sectional perspective view showing an optical surface of a lens formed by a mold for optical elements.
FIG. 6 is a diagram schematically showing a main part of a focused ion beam apparatus that can be used for processing a mother optical surface of a molding die for optical element molding dies.
7 schematically shows the protrusion amount t on one side of the pattern deposited when the beam is scanned in a line with respect to the diameter of the focal spot s of the focused ion beam on the substrate in the ion beam apparatus of FIG. FIG.
[Explanation of symbols]
1 Mold for optical element mold
2 Blank type
4 Master type
5 props
6 Plunger
7 containers
10, 11 Optical element molding die
101 Master mold material
102 Blank type
104 Master type
105 prop
106 Plunger
107 containers
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