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JP4829575B2 - アルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム合金製鍛造成形品およびその製造方法に関するもので、特には主成形方向に平行な溝状部位を有する成形品を鍛造成形する工程を含むアルミニウム合金製鍛造成形品に関するもので、例えば、自動車に搭載する空調用ロータリー式コンプレッサーのローターや、ブレーキ制御用のロータリー式真空ポンプのローター素材の製造方法に関するものである。
主成形方向に平行な溝状部位を有する成形品として、コンプレッサーのローターやブレーキ制御用のロータリー式真空ポンプのローターがある。自動車に搭載する空調用ロータリー式コンプレッサーのローターやブレーキ制御用のロータリー式真空ポンプのローターは、軽量化を目的としてアルミニウム合金製が主流になっている。通常、このローターの鍛造用素材は円筒形の外周から内側に向かってベーン収納のための複数の溝が切られた形状になっている。最終的には、この鍛造用素材は、その中心部に機械加工によりシャフト挿入用の穴を開け、寸法出しのための機械加工を施してローター製造に使用される。
図14は、従来の鍛造方法によってローター素材を製造する工程の一例である。従来の方法では、図14(A)のように所定の長さに切断し加熱されたアルミニウム材料をブランク(鍛造用素材)2としてブッシュ3に投入する。図14(B)は、上方より上型1である加圧パンチが円筒形の長手方向で必要とされる寸法を得るための所定のストロークを降下し、ローター素材の成形が完了した状態を表している。その後、図14(C)のように、下方からノックアウトピン8によって鍛造品が排出される。
このローター素材の製造方法としては、熱間鍛造による方法が知られており、例えば、特開平3−165948号公報には以下の方法が開示されている。
複数のベーン収納部を有するアルミニウム合金製ローターの製造方法において、ダイス穴の軸方向に垂直な断面をコンテナ内の軸方向に垂直な断面に対して減少させるかあるいは同じとし、互いに同軸上に配置されたダイスとコンテナを有する金型構造を用い、ブランクをコンテナ内に挿入し、該ブランクを前記ローター素材の外輪郭形状を有しているダイスの穴の中に加圧パンチによって押し込み、ダイプレートによりバックアップされる前記ダイス穴内のブランクを前記ダイプレート内のノックアウトパンチによってコンテナを通してノックアウトを取り出すことを特徴とするアルミ合金製ローターの製造方法が開示されている。
しかし、この鍛造方法では、鍛造品の下端面のコーナー部付近にパンチ荷重が伝わり難く、完全に材料がダイス内に充填されることが難しい。そのため、鍛造品の、特に形状精度が必要なベーン収納溝の溝幅が製品端面付近で広がるという問題がある。そのために、本来必要な寸法よりも長い鍛造品を得て、溝幅が広がっている部分を切削加工することにより、所定形状を有した部分のみを残して製品とするという処理が必要になるため、材料歩留まりが悪くなる。
上記の課題を解決するために、例えば特開2000−117381号公報には、以下のような鍛造方法が開示されている。
(1)ベーン収納溝を有するアルミニウム合金製ローター素材を鍛造法により製造する際、ベーン収納溝を成形するダイス羽根部の下部に位置するアンビル上のダイス羽根部の脇にあたる部分に凸部を設け、それにより鍛造品端面のベーン収納溝脇に凹部を成形することによりベーン収納溝の溝幅の広がりを矯正することを特徴とする鍛造方法、及び(2)前記凸部の総面積が製品端面の面積の30%以下であることを特徴とする上記(1)に記載の鍛造方法、及び(3)前記凸部の位置がダイス羽根部から4mm以下であることを特徴とする上記(1)〜(2)記載の鍛造方法、及び(4)前記凸部の高さが0.3mm以上3mm以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)記載の鍛造方法が開示されている。
一方で、熱間鍛造後に機械加工されていたシャフト挿入用の穴を、熱間鍛造でセンター穴としてベーン収納溝と一緒に鍛造成形する方法がある。これにより、切削加工代を大幅に削減し、鍛造用素材の歩留まりの向上を図ることができる。
しかし、上記の熱間鍛造でセンター穴とベーン収納溝を一緒に鍛造成形する際、センター穴として成形される部分の鍛造用素材が成形方向とは逆向きに流動するため、鍛造品の下端面のコーナー部付近で鍛造用素材が不足する。センター穴のない場合に比べて鍛造品の下端面のコーナー部付近にメタルを充填させることが難しくなり、鍛造品の特に形状精度が必要なベーン収納溝の溝幅が製品端面付近で広がる問題点が発生する。原理的に、鍛造荷重を十分に高くすれば、鍛造品の下端面のコーナー部付近にも十分に鍛造用素材を充満させることは可能であるが、その場合はダイスに加わる荷重が過大となり、ダイス寿命が短くなってしまう問題点と、ダイスへの大きな荷重によってダイス羽根部が変形し、逆にベーン収納溝の寸法精度が低下する問題点が生ずる。
本発明者が、センター穴を有するローター素材において、特開2000−117381に開示されている方法で、ベーン収納溝の溝幅が製品端面付近で広がりを抑制できるか調査したが、十分な効果を確認することができなかった。この方法でも、鍛造荷重を十分に高くすれば、鍛造品の下端面のコーナー部付近にも十分に鍛造用素材を充満させることは可能である。しかし、金型への負荷が大きくなり、前述と同様にダイス寿命が短くなる問題点と、ベーン収納溝の寸法精度が低下する問題点が生ずる。
一方で、成形品の端部の形状の張を改善する工法として、背圧鍛造工法がある。背圧鍛造工法は、例えば、スクロールの羽根の高さを均一に充満させるために用いられており、鍛造時に材料の先端面に鍛造方向と逆向きの荷重を加えながら材料を圧下することで、荷重が伝わりにくい材料先端部も高精度で成形することを可能とする手法である。例えば、国際特許WO01-077398号公報に、鍛造スクロール部品及びその製造方法が開示されている。
特開平3−165948号公報 特開2000−117381公報 国際特許WO01-077398号公報
センター穴を有するローター素材の鍛造においても、背圧鍛造工法によって、鍛造品の下端面のコーナー部付近にも材料を充分に充填させることができる。しかし、製品端面付近でベーン収納溝の溝幅が広がる問題は解消されるが、その反面、単に背圧工法を適用したのであっては新たに別の問題点が発生していることが判明した。
金型のダイス羽根部の軸方向に垂直な方向にたおれ変形やねじれ変形が生じ、ベーン収納溝の位置寸法精度が悪くなる問題が発生する。ベーン収納溝の位置寸法精度が悪くなると、所定の寸法精度を確保するために結局切削加工を施すことが必要となり、やはり材料歩留まりが悪くなるという問題が発生する。
本発明は上記事情に鑑み、主成形方向に溝状部位を有する成形品を鍛造成形して製造する際において、溝状部位の溝幅寸法、溝位置寸法の精度を改善し、後工程の切削処理の省略、処理工数の削減を図ることを目的としている。
本発明は、以下の手段を提供する。すなわち、
(1)鍛造成形されたアルミニウム合金製ローター素材であって、組成が、Siが14〜16質量%、Cuが4〜5質量%、Mgが0.45〜0.65質量%、Feが0.5質量%以下、Mnが0.1質量%以下、Znが0.1質量%以下、Tiが0.2質量%以下を含有し、残りがAlと不可避不純物であり、鍛造成形品の寸法精度の悪いところを削除するような下端面の切削処理が施されることなく、ベーン収納溝の溝幅の端面付近での広がりが50μm以下、上端面と下端面のベーン収納溝円筒部の中心位置の差が0.075mm以下の寸法精度を有することを特徴とする主成形方向に平行なベーン収納溝を有する鍛造成形されたアルミニウム合金製ローター素材を製造するためのアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法であって、上金型と成形孔内に突出した薄板状部位を有する下金型とを用いて、主成形方向に平行なベーン収納溝を有する鍛造成形品を鍛造成形する工程を含み、鍛造用素材の主成形方向の先端面に背圧力を付与した背圧板が下金型に設けられているベーン収納溝形成部よりも1mm以上高い位置で待機した状態で成形を開始することで、ベーン収納溝の溝幅の製品端面付近での広がりを抑制し、鍛造用素材の成形孔内への充填率が10%〜55%の間に該背圧力を瞬間的に除去することで、背圧板をフリーにしてダイス羽根部にかかる高圧力を開放するとともに、ダイス羽根部の軸方向に垂直な方向にたおれ変形やねじれ変形を抑制してベーン収納溝の位置寸法精度の悪化を抑えることを特徴とするアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
(2)上記上金型は、加圧パンチからなる上型を含み、上記充填率は、成形開始時点での上型の下死点までの長さをL、上型の所定のスライド角度でのパンチストロークの長さをΔLとしたとき、[ΔL÷L×100]%で表されることを特徴とする前項1に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
(3)上記上金型は、加圧パンチからなる上型を含み、上記充填率は、成形開始時点での上型の下死点までの長さをM、成形開始時点から移動したときのパンチストロークの長さをΔMとしたとき、[ΔM÷M×100]%で表されることを特徴とする前項1に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
(4)上記記充填率が10%〜30%の間に背圧力を瞬間的に除去する前項1〜3の何れか1項に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
(5)背圧力が2kg/cm2以上、7kg/cm2以下の範囲であることを特徴とする前項1〜4の何れか1項に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
(6)背圧力が油圧クッションおよび/またはガスクッションによるものであることを特徴とする前項1〜5の何れか1項に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法
(7)アルミニウム合金連続鋳造棒、アルミニウム合金の押出材、粉末アルミニウム合金の押出材、もしくはこれらの圧延材のいずれか1種を鍛造用素材として用いる前項1〜6の何れか1項に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
(8)アルミニウム合金の組成が、Siが14〜16質量%、Cuが4〜5質量%、Mgが0.45〜0.65質量%、残りがAlと不可避不純物である鍛造用素材を用いることを特徴とする前項1〜7の何れか1項に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
(9)鍛造用素材のアルミニウム合金の組成に、Feが0.5質量%以下、Mnが0.1質量%以下、Znが0.1質量%以下、Tiが0.2質量%以下添加されていることを特徴とする前項8に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法
(1)に記載の本発明の鍛造成形されたアルミニウム合金製ローター素材を製造するためのアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法によれば、主成形方向に平行なベーン収納溝を有する鍛造成形品を鍛造成形する際において、ベーン収納溝の溝幅寸法、溝位置寸法の精度を改善し、後工程の切削処理を省略、処理工数を削減させて、アルミニウム合金製ローターを製造することができる
(2)に記載の本発明の製造方法によれば、充填率を成形時のパンチストロークの長さによって予め算出することができる。
(3)に記載の本発明の製造方法によれば、充填率を成形時のパンチストロークの長さによって予め算出することができる。
(4)に記載の本発明の製造方法によれば、より確実に、ベーン収納溝の溝幅寸法、溝位置寸法の精度を改善できる。
(5)に記載の本発明の製造方法によれば、ベーン収納溝の溝幅寸法、溝位置寸法の精度を改善できる。
(6)に記載の本発明の製造方法によれば、簡便な方法にて、ベーン収納溝の溝幅寸法、溝位置寸法の精度を改善できる
(7)に記載の本発明の製造方法によれば、ベーン収納溝の溝幅寸法、溝位置寸法の精度を改善できる。
(8)に記載の本発明の製造方法によれば、耐磨耗性と強度に優れ、低熱膨張係数が得られる。自動車に搭載する空調用コンプレッサー部品の使用に適している。
(9)に記載の本発明の製造方法によれば、耐磨耗性と強度に優れ、低熱膨張係数が得られる。自動車に搭載する空調用コンプレッサー部品の使用に適している。
例えば、本発明の方法によれば、ローターのベーン収納溝の溝幅の製品端面付近で広がりを抑制し、例えば、溝幅の広がり最大幅を50μm以下(好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下)、ダイス羽根部の軸方向に垂直な方向にたおれ変形やねじれ変形によるベーン収納溝の寸法精度の悪化を防ぐ、例えば、ベーン収納溝円筒部の中心位置の上下での差を0.075mm以下(好ましくは0.06mm未満、より好ましくは0.05mm以下)とすることができる。
好ましくは、ベーン収納溝の円筒部の外周から中心方向へ5.5mmの範囲に溝幅の広がりを抑えることができる。
このため、鍛造成形品として所定の範囲の寸法精度が得られているので、後工程での鍛造品端面の切削加工処理を省略または切削加工量を減らすことができ、素材投入量を減らして歩留まりを向上させるとともに、寸法精度が良好なローターを安価に製造できる。
本発明を詳細について説明する。本発明の対象である主成形方向にベーン収納溝を有する鍛造成形品として、コンプレッサーのローターやブレーキ制御用のロータリー式真空ポンプのローターがあるが、これを一例として本発明を説明する。
本発明で製造するローター10は、図1に示すように円筒部の外周11でかつ軸方向に複数のベーン収納溝12およびシャフトを貫通させるセンター穴13を有したものである。
通常、このローター10の鍛造用素材は円筒形の外周から内側に向かってベーン収納のための複数のベーン収納溝12が切られた形状になっている。その寸法は、例えば、円筒形の外周の直径が54〜68mm、ベーン溝の幅が2.8〜3.1mm、ベーン溝の深さ(円筒形の外周から中心方向の溝の長さ)が43.0〜54.0mm、円筒形の長手方向の長さが31.5〜44.0mmである。
次に、ローター10の製造に用いる背圧鍛造金型を例として、本発明に用いる金型について説明する。本発明で用いる金型14の分解斜視図を図2に示す。金型14は、上金型15、下金型16から構成され、上金型15は、加圧パンチからなる上型15aを含んで構成され、下金型16は、下型16aを固定し鍛造成形前の鍛造用素材を収納するための貫通した穴16bを有するブッシュ16c、図3に示したように成形孔17の壁面から内方側に突出したベーン収納溝12を形成するためのダイス羽根部(ベーン収納溝形成部)18を5個有した下型16a、下型16aと同様にベーン収納溝形成部を有し下パンチを摺動自在に収めることができるダイスB16d、プレス装置より背圧が加えられる背圧板(下パンチ)16e、センター穴を成形する円筒形状の突出部を有するセンターピン16f、中心位置に焼き嵌めにより固定されたセンターピン16fとノックアウトピン貫通用の貫通孔16hとを有するダイスC16i、プレス装置からの背圧力を下パンチに伝達し、なおかつ鍛造成形品を型内から取り出すためのノックアウトピン16gを含んで構成されている。
なお、本実施例では金型を分割する関係上、下型16aとダイスB16dに分けているが、一体ものであっても良い。
図4は、本発明の金型を用い、背圧力を付与した鍛造方法によるローター素材を鍛造成形する工程の一例である。本発明の背圧鍛造工法では、先ず、成形開始前に下型16aに設けられた成形孔17のベーン収納溝形成部よりも1mm以上高い位置(図7、符合Z)に背圧板(下パンチ)16eを待機させており、背圧板16eにノックアウトピン16gを介して背圧が負荷されている。
背圧板(下パンチ)16eを1mm以上高い位置に待機させることにより、背圧力が確実に安定して付与されることになるので好ましい。
まず、図4(A)のように、所定の長さに切断し加熱されたアルミニウム材料をブランク(鍛造用素材)19としてブッシュ16cの貫通孔に投入する。次に、加圧パンチが下降し背圧板(下パンチ)16eによって背圧が下方より負荷された状態でローター素材の成形が始まる。図4(B)は、ブランク(鍛造用素材)19が成形孔17内に流動した成形途中の状態を表している。この状態がさらに進行し、下金型16の成形孔内への鍛造用素材19の充填率がある所定の範囲となった時点で背圧を開放する。その後、図4(C)のように、上型15aのパンチが円筒形の長手方向で必要とされる寸法を得るために所定のストロークの長さ降下し、ローター素材の成形が完了する。そして、図4(D)のように下方からノックアウトピン16gによって鍛造成形品が排出される。
本発明で用いた上型15aの外観を図5に示す。本発明の上型15aは、上型の動作方向軸の上方から見てベーン収納溝形成部に対応する位置に上型の動作方向と逆向きの凹み形状部24を有する金型が好ましい。この凹み形状部24を有する金型15aを使用した時の鍛造成形品の外観の一例を図6に示す。このような形状を有することにより、鍛造成形品の加圧パンチに接する部分にメタルの余肉部分25を付けて、ダイス羽根部18付近でのメタルフローを自由にする。これにより、ベーン収納溝12近傍および円筒形状の突出部近傍において、加圧パンチからの直接荷重をメタル部分で吸収し、加圧パンチによる荷重を緩和することができる。その結果、ベーン収納溝12の形成部やセンターピン16fの変形を抑える効果があり、金型寿命を延ばすことができる。
特に、ベーン収納溝12に対して、凹み形状部24の深さはベーン収納溝12の幅に対して0.5倍以上3.5倍以下(例えばベーン収納溝の幅が3.0mmで、凹み形状部24の深さは1.5mm〜10.5mm)、凹み形状部24の幅はベーン収納溝12の幅に対して1倍以上3.5倍以下(例えばベーン収納溝12の幅が3.0mmで、凹み形状部24の幅は3.0mm〜10.5mm)が好ましく、本発明の方法では、機構的に溝寸法精度を向上するので、従来の方法より凹み形状部の容積を小さくすることができ、材料歩留まりを改善することができる。
図4で示される装置を用いた本発明のローターの製造方法の実施形態の一例を説明する。本発明の製造方法は、連続鋳造棒を鍛造成形品の所定の長さに切断する工程、鍛造用素材に潤滑剤を塗布する工程、鍛造用素材を所定の温度に予備加熱する工程、金型を予備加熱する工程、金型へ潤滑剤を塗布する工程、鍛造用素材を投入する工程、鍛造用素材を鍛造成形する工程、ノックアウトピンによって鍛造成形品を排出する工程、鍛造成形品をベーン収納溝の軸方向長さ以下に切断してベーン収納溝を貫通させる工程、取り出した鍛造成形品を連続的に溶体化、時効処理を実施する熱処理工程、を含む製造工程である。
次に、各工程について段階的に説明する。
<連続鋳造棒を鍛造成形品の所定の長さに切断する工程><鍛造用素材に潤滑剤を塗布する工程>
予め鍛造材料となる柱状のアルミニウム合金を所定の長さに切断して鍛造用素材(ブランク)19とし、その鍛造用素材19をボンデ処理、あるいは黒鉛系水溶潤滑剤へ浸漬して潤滑剤の塗布処理を施す。
<鍛造用素材を所定の温度に予備加熱する工程>
本工程では、ブランク19を所定の鍛造温度、例えば400〜450℃に予備加熱する。ブランク(鍛造素材)19の体積は、必要とするローター素材の体積ではなく、鍛造成形品の加圧パンチに接する部分にメタルの余肉部分を付けた体積とする。また、ブッシュ16cの内径は、下型16aの内径と同じ或いは若干太径にすると、鍛造後に鍛造成形品のノックアウト作業が円滑に行われるので好ましい。
<金型を予備加熱する工程>
金型14は、上型15および下型16の双方をヒーターによって予備加熱しておき、150〜300℃の範囲に加熱保持されていることが好ましい。
<金型へ潤滑剤を塗布する工程>
次に、潤滑剤を金型14へ塗布する。潤滑剤の塗布は下型16だけで良い。潤滑剤としては、水性黒鉛潤滑剤、油性黒鉛潤滑剤が挙げられるが、ブランク19と金型14間でカジリが発生しないようにするには、水性黒鉛潤滑剤と油性黒鉛潤滑剤を併用し、塗布量は共に2〜10g(濃度は0.5〜25質量%)とするのが好ましい。
<鍛造用素材を投入する工程>
図4(A)に示すように、本工程ではブランク(鍛造用素材)19を金型14のブッシュ16cの内部に投入する。
<鍛造用素材を鍛造成形する工程>
ブランク19をブッシュ16cの内部に投入した後、加圧パンチからなる上型15aを下降させると、ブランク19は、下パンチからの背圧を受けながら下型16aに押し込まれ、図4(B)に示すように圧縮鍛造が開始される。
なお、鍛造開始時の下パンチ上面の位置は、ベーン収納溝12の溝幅が鍛造成形品端面付近で広がりを抑制するために、下型16aのベーン収納溝形成部よりも1mm以上高い位置に待機した状態から鍛造成形開始することが好ましい。つまり、図7に示す距離Zが1mm以上であることが好ましい。
前述の通り、本発明の背圧鍛造工法による場合、鍛造時に鍛造用素材(ブランク)19の先端面に背圧を負荷しながら圧縮鍛造する。
ローター鍛造用の金型14は、図3に示すようにダイス羽根部(ベーン収納溝成形部)18が成形孔17の内周壁面から半径方向に対し傾斜した状態で突出している。このため、鍛造用素材19の塑性流動(フロー)状態がダイス羽根部18の両側でアンバランスとなり、不均一な圧力がダイス羽根部18に負荷される。さらに、背圧鍛造工法を用いる場合は、鍛造時に材料が流動する先端面に背圧を負荷しながら圧縮鍛造するため、金型壁面と鍛造用素材の密着性が良くなるので、ダイス羽根部18にかかる圧力が高くなる。その結果、不均一な状態で高い圧力がそのままダイス羽根部18の両側に負荷されることになり、ダイス羽根部18は不均一な高い圧力の影響により「たおれ変形」や「ねじれ変形」が生じることになる。その結果、鍛造成形品のベーン収納溝12の位置寸法精度の悪化が生じる。
しかし、本発明は、所定の充填率に到達した時点で背圧を除去することにより背圧板16eをフリーにするので、ダイス羽根部18にかかる高い圧力が開放され、その結果、ベーン収納溝12の位置寸法精度の悪化を抑えることができる。
従来の背圧工法を適用してスクロールを鍛造した場合、上記のような現象は発生していなかった。なぜなら、スクロールは成形品側が薄い形状をしているので、鍛造用素材の流動による圧力バランスの不均一が生じにくい場合であり、結果としてダイス側には不均一な高い圧力が発生することが無く、ダイスに変形が生じないからと推定される。
それに対して、ローターはダイス側が薄い形状(ダイス羽根部の形状)をしていて、一方その両側には鍛造用素材の流動による圧力バランスの不均一が生じており、その結果、薄い形状のダイス側は不均一な高い圧力の影響を受けることになる。そして、ダイス羽根部18が軸方向に垂直な方向に倒れ、変形やねじれ変形を受けやすい形状であるので、背圧鍛造成形時に、前述したような不具合が新たに発生しているものと推定される。
そのため、本発明では、この現象の発生を抑え、ベーン収納溝12の位置寸法精度の悪化を防ぐために、所定の充填率に到達した時点で背圧を除去することとしている。
ここで、所定の充填率とは、成形時のパンチストロークの長さによって予め算出することができる。ローターの場合には、下型16aへの鍛造用素材19の充填率が10%〜55%に間に背圧を除去する必要がある。
ベーン収納溝12を有するアルミニウム合金製ローター素材の鍛造成形過程においては、ダイスへの鍛造用素材19の充填率が10%〜55%(より好ましくは10%〜30%)の間に背圧を除去することが好ましい。ダイス羽根部18の倒れ変形やねじれ変形が生じる原因となるダイス羽根部18への高圧力がより確実に開放され、ベーン収納溝12の位置寸法精度の悪化を抑えることができるからである。
本発明では、背圧鍛造成形時に所定の範囲の鍛造用素材19の充填率で背圧を除去する手段として、図8に示す背圧装置を配備した鍛造機20を用いた。鍛造機20には、図2に示す上金型15および下金型16を備えたダイセットが取り付けられており、ダイセットは上ダイセットプレート21と下ダイセットプレート22およびガイドポスト23から構成され、下ダイセットプレート22には下金型16へ背圧力を伝えるための油圧シリンダー26を含む。また、プレス動作を監視し、背圧力を制御するために油圧発生装置27に電気信号を発信するプレス動作監視装置28、油圧発生装置27、油圧配管29が配備されている。背圧力を除去するタイミングの入力、記憶、または、動作条件の入力、各入力条件から除去するタイミングを算出、記憶を実行する制御装置を設けるのが好ましい。さらに、品種別に、条件をデータベース化して蓄積しておくことが好ましい。
なお、背圧力発生装置としては、油圧クッションの他に、所定の充填率において背圧力を制御する(除去する)装置が配備してあれば良く、例えばガスクッションを用いても良い。また、それらを組み合わせても良い。
本発明で用いる鍛造機20の一例では、図8で示すプレス動作監視装置28に背圧力を除去する上型(加圧パンチ)のスライド角度を入力し、プレス作動時に所定のタイミングに油圧発生装置27に油圧を除去する電気信号を発生させて背圧の制御を行う。本発明では、背圧を除去するパンチのスライド角度によってパンチストロークを算出し、図9に示すように成形開始からパンチの下死点までの長さをL、成形開始時点から背圧を除去するタイミングのスライド角度Xでのパンチストロークの長さをΔLとして、充填率を[ΔL÷L×100]%と定義する。
パンチストロークのスライド角度によって、背圧を制御するタイミングを決定する方法の他に、上型(加圧パンチ)の移動距離をモニターし、下記式にしたがって算出することで充填率に置き換える方法を用いても良い。成形開始からパンチの下死点までの長さをM、成形開始時点から移動したパンチストロークの長さをΔMとすると、充填率は、[ΔM÷M×100]%と定義される。
背圧力を除去する方法としては、所定の充填率において瞬間的(例えば、より好ましくは0.2秒以内、さらに好ましくは0.1秒以内。)に除去する方法が好ましい。図10の例(2)のように徐々に背圧を除去する方法や、例(3)のように段階的に除去する方法よりも、例(1)のように所定の充填率において瞬間的に除去する方法であれば、背圧板をフリーにしてダイス羽根部18にかかる高圧力を開放し、ダイス羽根部18の軸方向に垂直な方向にたおれ変形やねじれ変形を抑制することができるため好ましい。
背圧力は、2kg/cm2〜7kg/cm2の範囲(より好ましくは2.7kg/cm2〜6.3kg/cm2の範囲、さらに好ましくは3kg/cm2〜6kg/cm2の範囲)が好ましい。2kg/cm2〜7kg/cm2の範囲であれば、鍛造成形品の端面付近でベーン収納溝12の溝幅の広がりを抑制する効果が十分に得られ、金型14と鍛造用素材19間にカジリが発生するのを抑制できるため好ましい。
<ノックアウトピンによって鍛造成形品を排出する工程>
背圧を除去して、そのまま上型15aをストロークの最下端まで降下させた状態を図4(C)に示す。その後、図4(D)に示すようにノックアウトピン16gによって鍛造成形品を突き上げ、下型16aおよびブッシュ16cより鍛造成形品を排出する。
鍛造成形品をベーン収納溝の軸方向長さ以下に切断してベーン収納溝を貫通させる工程>
この時の鍛造成形品形状は、凹みを有した形状部を有する上型を使用した場合、図11(b)に示すように片側にベーン収納溝の入っていない余肉部分25を有しているが、後に機械加工等によって余肉部分25を取り除き、図1に示すローター素材とすることができる。
<取り出した鍛造成形品を連続的に溶体化><時効処理を実施する熱処理工程>
その後、鍛造素形材19の機械的強度を向上させるために溶体化および人工時効処理を施す。溶体化処理は、460℃〜530℃で1〜6時間保持し、水焼入れ(水温10℃〜70℃)後、人工時効処理を150〜250℃にて1〜10時間保持することが好ましい。
以上説明したアルミニウム合金製ローター用素材は、ベーン収納溝12の溝幅寸法、溝位置寸法の精度を改善されたものとなる。その結果、後工程として、寸法精度の悪いところを削除するような鍛造成形品の下端面の切削処理を施すことなくローター素材とすることができる。
例えば、ベーン収納溝12の溝幅の鍛造成形品端面付近における溝幅の広がりが50μm以下で、ベーン収納溝円筒部の中心位置における上下差が0.075mm以下であり、かつ鍛造成形品の下端面に切削面の無いアルミニウム合金製ローター素材を得ることができる。
すなわち、好ましい位置より中心方向に向かっての溝幅の広がりを好ましい値以下に抑制することができる。例えば、好ましい位置は、外周Pより4mm(C)、外周Pより5.5mm(D)とすることができる。溝幅の広がりの好ましい値は、15μm以下、更に好ましくはゼロである。
以上説明したアルミニウム合金製ローター素材に、寸法出しのための機械加工を施し、必要に応じて、表面にショットブラスト処理を施すことにより、アルミニウム合金製ローターを得ることが出来る。ベーン収納溝12の溝幅寸法、溝位置寸法の精度を改善し、後工程の切削処理の省略、処理工数が削減した、アルミニウム合金製ローターである。
次に、本発明による製造方法に使用する鍛造素材19について説明する。鍛造素材19としては、金属材料を用いることができる。金属材料の中で、強度と耐食性に優れて、かつ軽量化の図れるアルミニウム合金が好ましい。その組成は、Siが14.0〜16.0質量%、Cuが4.0〜5.0質量%、Mgが0.45〜0.65質量%であるのが好ましい。さらに、Feが0.5質量%以下、Mnが0.1質量%以下、Znが0.1 質量%以下、Tiが0.2 質量%以下を含有し、残りがAlと不可避不純物であるアルミニウム合金が好ましい。
アルミニウム合金連続鋳造棒、アルミニウム合金の押出材、粉末アルミニウム合金の押出材、もしくはこれらの圧延材のいずれかを鍛造用素材として用いることができる。特に、連続鋳造された丸棒材が安価で好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
図4で示される鍛造装置、図2に示す鍛造用金型を用いて、図1に示すローター素材を製造した。下型16aは、成形孔17を有する内壁面の直径が68.26mm、ベーン収納溝形成部の厚さが2.97mm、先端円筒部の直径が6.03mm、軸方向の長さが47mmであるベーン収納溝形成部(ダイス羽根部)18を72°間隔で5本有するものを使用した。
上型15aは、図5に示すような上型の動作方向軸の上方から見てベーン収納溝形成部に対応する位置に上型の動作方向と逆向きの凹みである凹み形状部24を有するものを使用した。なお、上型15aの凹み形状部24に対応して成形された鍛造成形品の突部の幅Yは10mm、高さWが10mmであった。(図11参照)
センター穴13を成形するための、円筒形状の突出部を有するセンターピン16fの直径は12mmであった。
鍛造用素材19は、連続鋳造によって製造されたアルミニウム合金で、その組成は、Siが14.0〜16.0質量%、Cuが4.0〜5.0質量%、Mgが0.45〜0.65質量%、Feが0.5質量%以下、Mnが0.1質量%以下、Znが0.1 質量%以下、Tiが0.2 質量%以下を含有し、残りがAlと不可避不純物であるアルミニウム合金を用いた。直径67.5mmの連続鋳造棒を長さ48.75mmに切断して鍛造用素材19とした。鍛造用素材19は、水性黒鉛潤滑剤の塗布処理を行い420℃に加熱した。金型14は、上型および下型ともに約250℃に加熱保持し、下型に水性黒鉛潤滑剤を10g、油性黒鉛潤滑剤を2.5g塗布した。
背圧は5.1kg/mm2の条件で、下型への鍛造用素材19の充填率が0〜100%の間で背圧を除去した。この時の鍛造成形荷重は75トンとした。鍛造成形品は、ベーン収納溝12の長手方向の長さが46mmになるまで成形したものをベーン収納溝12の入っていない余肉部分25を機械加工で取り除き、全長を44mmとした。
図12で示すように、鍛造成形品の端面でのベーン収納溝および余肉部分25を取り除いた平面でのベーン収納溝12で、Cで示す外周円筒部Pから中心方向4.0mmの位置、およびDで示す外周円筒部Pから中心方向5.5mmの位置で、[B−A]μmを溝幅の広がりとして測定した。試料数は30個で、平均値を算出した。(溝幅寸法の評価)
ダイス羽根部18の軸方向に垂直な方向にたおれ変形やねじれ変形を測定するために、図13で示すベーン収納溝円筒部の中心位置Uの上下端面での差を測定し、試料数は30個で平均値を算出した。
Figure 0004829575
表1に、下型への鍛造用素材19の充填率が0%〜100%に間に背圧を除去した時のベーン収納溝12の溝幅とベーン収納溝円筒部の中心位置Uの上下端面での差の平均値の測定結果を示す。(溝位置寸法の評価)
表1中の評価記号について説明する。以下の3段階で測定結果を評価した。
×:溝幅の広がりが50μmを超えている、または円筒部中心位置の差が0.075mmを超えている。
○:溝幅の広がりが50μm以下、かつ円筒部中心位置の差が0.050mm以上0.075mm以下。
◎:溝幅の広がりが50μm以下、かつ円筒部中心位置の差が0.050未満。
比較例1は、背圧なしの状態で鍛造した結果で、溝幅の測定結果からベーン収納溝12の溝幅が製品端面付近で広がっている。
充填率を大きくしていくと、比較例2の充填率が0%では溝幅の広がりは比較例1と同じで溝幅が製品端面付近で広がっている。
比較例3に示す充填率が5%の場合では、溝幅の広がりは改善されているものの溝幅の広がりが50μmを超えているが、実施例1〜5の充填率が10%〜55%の場合では、溝幅の広がりを50μm以下に抑制することができた。
充填率が60%〜100%の比較例4〜6では、溝幅の広がりは抑制できているが、ベーン収納溝円筒部の中心位置Uの上下端面での差の平均値が0.075mmを超えて、比較例1〜3および実施例1〜5に比べて悪化しており、表1から背圧荷重を除去する充填率のタイミングの意義がわかる。
よって、充填率が10%〜55%の間で背圧を除去することにより、ベーン収納溝の溝幅が鍛造成形品端面付近で広がりを抑制し、ダイス羽根部18の軸方向に垂直な方向にたおれ変形やねじれ変形によるベーン収納溝12の寸法精度の悪化を防止できる。なお、ベーン収納溝12の寸法精度の向上の点から、充填率が10%〜30%の間で背圧を除去することがさらに好ましい。
表1に示す溝幅の広がりのデータより、図12に示した外周部において広がりが一番大きく、C部、D部と小さくなり、本発明の場合、D部における広がり幅を零にできた。溝幅が15μm以上広がっている範囲を、外周Pから中心に向かって4mm以内に抑えることができている。また、溝が広がっている範囲を外周Pから中心に向かって5.5mm以内とすることができた。
図1は、本発明に係るアルミニウム合金製鍛造成形品の一例を示すローター素材の外観斜視図である。 図2は、同ロータ素材を成形するために使用する金型を示す分解斜視図である。 図3は、同ロータ素材を成形するための下金型を示す平面図である。 図4は、本発明に係る背圧鍛造方法を示す説明図である。 図5は、本発明に係る上型の外観斜視図である。 図6は、同金型によって鍛造したローター素材の斜視図である。 図7は、成形開始時の背圧板の位置を示す説明図である。 図8は、本発明に係る鍛造機および背圧制御装置を示す説明図である。 図9は、パンチのストロークとスライド角度の関係を示す図である。 図10は、背圧と充填率の関係を示す図である。 図11(a)は、本発明に係るローター素材の平面図、(b)は、そのAA−O−BB断面図である。 図12(a)は、同素材のベーン収納溝および余肉部分を取り除いた側面図、(b)は、ベーン収納溝の測定位置を示す平面図である。 図13は、ベーン収納溝円筒部の中心位置を示す説明図である。 図14は、従来の鍛造方法の一例を示す説明図である。
符号の説明
10 ローター
11 外周
12 ベーン収納溝
13 センター穴
14 金型
15 上金型
16 下金型
16a 下型
16b 穴
16c ブッシュ
16d ダイスB
16e 背圧板
16f センターピン
16g ノックアウトピン
16h 貫通孔
16i ダイスC
17 成形孔
18 ダイス羽根部
19 ブランク(鍛造用素材)
20 鍛造機
21 上ダイセットプレート
22 下ダイセットプレート
23 ガイドポスト
24 凹み形状部
25 余肉部分
26 油圧シリンダー
27 油圧発生装置
28 プレス動作監視装置
29 油圧配管

Claims (9)

  1. 鍛造成形されたアルミニウム合金製ローター素材であって、組成が、Siが14〜16質量%、Cuが4〜5質量%、Mgが0.45〜0.65質量%、Feが0.5質量%以下、Mnが0.1質量%以下、Znが0.1質量%以下、Tiが0.2質量%以下を含有し、残りがAlと不可避不純物であり、鍛造成形品の寸法精度の悪いところを削除するような下端面の切削処理が施されることなく、ベーン収納溝の溝幅の端面付近での広がりが50μm以下、上端面と下端面のベーン収納溝円筒部の中心位置の差が0.075mm以下の寸法精度を有することを特徴とする主成形方向に平行なベーン収納溝を有する鍛造成形されたアルミニウム合金製ローター素材を製造するためのアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法であって、
    上金型と成形孔内に突出した薄板状部位を有する下金型とを用いて、主成形方向に平行なベーン収納溝を有する鍛造成形品を鍛造成形する工程を含み、
    鍛造用素材の主成形方向の先端面に背圧力を付与した背圧板が下金型に設けられているベーン収納溝形成部よりも1mm以上高い位置で待機した状態で成形を開始することで、ベーン収納溝の溝幅の製品端面付近での広がりを抑制し、鍛造用素材の成形孔内への充填率が10%〜55%の間に該背圧力を瞬間的に除去することで、背圧板をフリーにしてダイス羽根部にかかる高圧力を開放するとともに、ダイス羽根部の軸方向に垂直な方向にたおれ変形やねじれ変形を抑制してベーン収納溝の位置寸法精度の悪化を抑える、ことを特徴とするアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
  2. 前記上金型は、加圧パンチからなる上型を含み、
    前記充填率は、成形開始時点での前記上型の下死点までの長さをL、前記上型の所定のスライド角度でのパンチストロークの長さをΔLとしたとき、[ΔL÷L×100]%で表されることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
  3. 前記上金型は、加圧パンチからなる上型を含み、
    前記充填率は、成形開始時点での前記上型の下死点までの長さをM、成形開始時点から移動したときのパンチストロークの長さをΔMとしたとき、[ΔM÷M×100]%で表されることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
  4. 前記充填率が10%〜30%の間に背圧力を瞬間的に除去する請求項1〜3の何れか1項に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
  5. 背圧力が2kg/cm 2 以上、7kg/cm 2 以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
  6. 背圧力が油圧クッションおよび/またはガスクッションによるものであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
  7. アルミニウム合金連続鋳造棒、アルミニウム合金の押出材、粉末アルミニウム合金の押出材、もしくはこれらの圧延材のいずれか1種を鍛造用素材として用いる請求項1〜6の何れか1項に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
  8. アルミニウム合金の組成が、Siが14〜16質量%、Cuが4〜5質量%、Mgが0.45〜0.65質量%、残りがAlと不可避不純物である鍛造用素材を用いることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
  9. 鍛造用素材のアルミニウム合金の組成に、Feが0.5質量%以下、Mnが0.1質量%以下、Znが0.1質量%以下、Tiが0.2質量%以下添加されていることを特徴とする請求項8に記載のアルミニウム合金製鍛造成形品の製造方法。
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