JP4829086B2 - シリカゾルおよびこれを含む塗料組成物 - Google Patents
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R2 mR3 n(OR1)lSiX ・・・ 一般式(1)
一般式(1)中、m、nは0〜2の整数であり、lは1〜3の整数であって、l+m+n=3を満足する値。R1 、R2 、R3 は水素または炭素数1〜4のアルキル基。Xは、同一の単量体の重合または異なる単量体の共重合によって得られる、数平均分子量が1,000〜200,000の鎖状高分子化合物を主構成要素とする原子団である。
この無機酸化物コロイド粒子は長い分子鎖を有し、合成樹脂への添加剤(フィラー)として使用した場合、合成樹脂中で優れたアンカー効果を発揮し、合成樹脂の機能性を最大限に向上させることができ、塗料用フィラーとして好適である旨が記載されている。
前記カルボン酸塩は、一塩基カルボン酸塩または多塩基カルボン酸塩であることが好ましく、酢酸、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸から選ばれる1種以上のカルボン酸の塩であることが好ましい。
前記シリカゾルのpHは8〜10の範囲にあることが好ましい。
前記バインダーは有機系バインダーまたは無機系バインダーから選ばれるものである。
また、シリカゾル中のシリカ微粒子を非球状とすることにより、被膜形成時の毛細管現象に基づく粒子間引力による凝集が抑えられ、被膜が緻密化して透明となる効果が得られる。
シリカ微粒子およびシリカゾル
本発明のシリカゾルは、短径/長径比が0.05〜0.5の範囲にあり、BET法により測定される比表面積から換算される平均粒子径が4〜12nmの範囲にあるシリカ微粒子が液状媒体に分散してなるシリカゾルであって、該シリカ微粒子100重量部に対して0.00001〜0.001重量部のカルボン酸塩を含有することを特徴とするシリカゾルである。
シリカ微粒子の短径/長径比の値が0.05未満の場合は、シリカゾルの粘度が高くなる傾向が強まる。このため、高濃度のシリカゾルを得ることが容易ではなくなり、実用上問題がある。他方、短径/長径比が0.5を超える場合は、上記の異方性に基づく特性が発現し難くなる。本発明のシリカゾルにおけるシリカ微粒子の短径/長径比の範囲については、好適には、0.08〜0.45の範囲が推奨される。
(2)アルカリ滴定法により測定される平均粒子径が3〜25nmの範囲にあるシリカ微粒子が分散した、pHが2〜8の範囲にあるシリカゾルに、該シリカゾルのシリカ固形分100重量部に対して、ポリ金属塩化合物を0.01〜70重量部添加し、50〜160℃で加熱する方法。
(4)平均粒子径が3〜20nmの範囲にあるシリカゾルを脱陽イオン処理してpH2〜5の範囲に調整し、次いで脱陰イオン処理した後、アルカリ性水溶液を添加してpH7〜9に調整した後、60〜250℃で加熱する方法。
平均粒子径が4nm未満の場合には、粒子の凝集を防止するためにシリカ重量を増やすことができず、希薄なシリカゾルしか得られないので塗料の好適な粘度が得られ難い。他方、平均粒子径が12nmを超える場合は光散乱が増大し透明被膜が得られ難い。このシリカ微粒子の平均粒子径については、好適には5〜9nmの範囲が推奨される。
本発明のシリカゾルにおいては、シリカ微粒子100重量部に対して、0.00001〜0.001重量部のカルボン酸塩が含まれるものである。カルボン酸塩はシリカ微粒子表面に吸着または被覆することにより、シリカ微粒子の凝集を抑止するものと考えられる。また、無機系バインダーなど金属成分と共存する場合においては、金属多価カチオンと錯体などの結合体を形成することで、シリカ微粒子の表面負電位が保持されるため凝集が抑制されるものと考えられる。
鎖状二塩基酸としては、炭素数2〜16の鎖状二塩基酸が好ましく、具体的には例えば、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状又は分岐状のブタン二酸、直鎖状又は分岐状のペンタン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタン二酸、直鎖状又は分岐状のオクタン二酸、直鎖状又は分岐状のノナン二酸、直鎖状又は分岐状のデカン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン二酸、直鎖状又は分岐状のドデカン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプテン二酸、直鎖状又は分岐状のオクテン二酸、直鎖状又は分岐状のノネン二酸、直鎖状又は分岐状のデセン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン二酸、直鎖状又は分岐状のドデセン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン二酸及びこれらの混合物等が挙げられる。また、環状二塩基酸としては、1、2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、安定性の点から、鎖状二塩基酸が好ましい。
このなかでは特に、酢酸、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸の塩が好ましい。これは、シリカゾルを含む塗料組成物を用いて形成させた被膜からカルボン酸塩を除去する場合に、比較的低温度の熱処理により除去できるためである。
本発明のシリカゾルの製造方法は、格別に限定されるものではないが、通常は、短径/長径比が0.05〜0.5の範囲にあり、比表面積換算粒子径が4〜12nmの範囲にあるシリカ微粒子が液状媒体に分散してなるシリカゾルに、室温から95℃の範囲にて、該シリカ微粒子100重量部に対して、0.00001〜0.001重量部のカルボン酸塩を添加し、充分に混合することにより調製することができる。
カルボン酸塩を添加、混合後のpHが8〜10の範囲にある場合は、格別にpH調整の必要は無いが、この範囲を外れる場合は、pH調整剤を添加してpHを8〜10の範囲に調整することが好ましい。なお、pH調整剤としては、酸性側に調整する場合は、通常、硫酸、塩酸、硝酸などの水溶液が使用できる。アルカリ性側に調整する場合は、通常、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液などが使用できる。
本発明のシリカゾルは各種塗料組成物の成分として適用することが可能である。このような塗料組成物については、その組成について格別に制限されるものではなく、各種基材上または基材表面の被膜上に適用されて、被膜を形成できるものであれば限定されるものではない。このような塗料組成物は、バインダーと本発明のシリカゾルを含む成分を混合することにより得ることができる。
有機系バインダーを含有してなる塗料組成物の例としては、(1)有機樹脂からなるバインダーおよびシリカ微粒子からなる塗料組成物、(2)加水分解性有機珪素化合物からなるバインダーおよびシリカ微粒子からなる塗料組成物を挙げることができる。
一方、バインダーとして加水分解性有機珪素化合物を用いる場合には、例えば、アルコキシシランとアルコールの混合液に、水および触媒としての酸またはアルカリを加えることにより、アルコキシシランの部分加水分解物を得、これにシリカゾルを混合し、必要に応じて有機溶剤で希釈して、塗布液とすることができる。
前記燐酸塩としては、亜鉛、鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の燐酸塩を挙げることができる。この様なリン酸塩は、シリカ微粒子に対するバインダーとして機能するものであり、例えば、金属製の基材上にて、被膜を形成することが知られている。このような燐酸塩と本発明のシリカゾルを混合することにより、シリカ微粒子の凝集が抑制された塗料組成物を得ることができる。
続いて本発明の好適な実施例を述べるが、その前に、以下の合成例、実施例および比較例における、[1]画像解析による試料微粒子の長径および短径測定方法、[2]窒素吸着法による比表面積測定ならびに平均粒子径の算定方法、[3]粘度測定方法、[4]スピンコート方法および[5]ヘーズ測定方法について、説明する。
透過型電子顕微鏡〔株式会社日立製作所製、H−800〕により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、それぞれの最大径を長径、それぞれの長径の中心に直交する径を短径として測定し、それぞれの短径/長径比を求め、それらの平均値を算出して、試料シリカゾルの短径/長径比とした。
(1)比表面積の測定については、シリカゾル50mlをHNO3でpH3.5に調整し、1−プロパノール40mlを加え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。そして、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から、BET1点法により比表面積を算出した。
具体的には、試料0.5gを測定セルに取り、窒素30v%/ヘリウム70v%混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、シリカゾルの比表面積(SA)を算出した。
D=6000/(SA×ρ) ・・・ (2)
塗料組成物20m?について、粘度計(東機産業株式会社製、TV−10)にて、室温で粘度測定を行った。初期粘度については、粘度計のローターの回転数60rpmにて測定した。暴露粘度については、実施例1では回転数30rpm、実施例2および実施例3では回転数60rpm、比較例1では、回転数12rpm、比較例2では回転数3rpmにて、それぞれ測定した。
塗料組成物3gをスピンコーター(ミカサ株式会社製、1H−360S)を用いて、面温度を50℃に加温した10cm四方のガラス基板上に滴下して、200rpmの回転速度にて、80秒間の塗布処理を行い、更に350℃で30分間の焼成処理を行った。この操作を、膜厚3μmになるまで反復して行い、膜厚3μmの被膜を有した被膜付基板を作製した。
前記[4]にて作製した膜厚3μmの被膜付基板について、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、ヘーズメーター300A)を使用して、ヘーズを測定した。
次に、この珪酸ナトリウム水溶液に、SiO2濃度4.82重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.82重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)を、35℃の温度条件下、1,707g添加することにより、珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2Oモル比60)を得た。
得られた混合液を加温し、80℃の温度で30分間熟成した。80℃に保持した状態で、この液に前記珪酸液と同じ組成の珪酸液295gを2時間かけて添加して、pH8.7のシリカゾルを得た。このシリカゾルを70℃にて12時間加熱した後、エバポレーターにてSiO2濃度20重量%まで濃縮した。
このシリカゾルについて前記[2]の方法にて平均粒子径を求めたところ、7nmとなった。また、シリカゾルの短径/長径比については、前記[1]の方法により求めたところ、平均値は0.15となった。また、透過型電子顕微鏡により測定された平均短径は6nm、平均長径は40nmだった。
このシリカゾルについて前記[2]の方法にて平均粒子径を求めたところ、10nmとなった。また、シリカゾルの短径/長径比については、前記[1]の方法により求めたところ、平均値は0.23となった。また、透過型電子顕微鏡により測定された平均短径は9nm、平均長径は40nmだった。
この塗料組成物について、初期粘度および暴露後粘度(暴露条件:50℃浴に1日静置)を測定した。その結果を表1に示す。
Claims (6)
- 短径/長径比が0.05〜0.5の範囲にあり、BET法により測定される比表面積から換算される平均粒子径が4〜12nmの範囲にあるシリカ微粒子が液状媒体に分散してなるシリカゾルであって、該シリカ微粒子100重量部に対して0.00001〜0.001重量部のカルボン酸塩を含有することを特徴とするシリカゾル。
- 前記カルボン酸塩が一塩基カルボン酸塩または多塩基カルボン酸塩である請求項1記載のシリカゾル。
- 前記カルボン酸塩が、酢酸、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸から選ばれる1種以上のカルボン酸の塩である請求項1または請求項2記載のシリカゾル。
- 前記シリカゾルのpHが8〜10の範囲にある請求項1、請求項2または請求項3の記載のシリカゾル。
- バインダーおよび請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載のシリカゾルを含有することを特徴とする塗料組成物。
- 前記バインダーが有機系バインダーまたは無機系バインダーから選ばれるものである請求項5記載の塗料組成物。
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