JP4827168B2 - (メタ)アクリル酸エステルを製造する方法 - Google Patents
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ArFエキシマレーザーリソグラフィーにおいて使用されるレジスト樹脂の有用なモノマーとして、γ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートに代表されるβ−ヒドロキシラクトンの(メタ)アクリル酸エステルが幅広く用いられている。
しかしながら、特許文献1に記載された製造方法では反応時間が長く時間を要する上、反応途中に目的物のエステル体がβ−脱離した副生成物が生成してしまうという問題があった。
このメバロノラクトン(メタ)アクリレートの製造方法としては、例えば、ヒドロキシラクトンと(メタ)アクリルロイルハライドを塩基の存在下、−15℃〜−50℃で反応させエステル化する方法が開示されている(特許文献2参照)。
一方、エステル体のβ−脱離を抑制するエステル化方法として、ルイス酸触媒の存在下、酸無水物とアルコールによるエステル化反応が開示されている(特許文献3または4参照)。
また、本発明の目的は、ArFエキシマレーザーリソグラフィーにおいて使用されるレジスト樹脂用の原料モノマーとして適したβ−ヒドロキシラクトンの(メタ)アクリル酸エステルおよび3級エステルタイプの(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法を提供することにある。
式(2)中、R1は水素原子を示し、mは0〜3の整数を表す。
式(3)中、R2は、メチル基、エチル基、プロピル基のいずれかを示し、Zは炭素数4〜16の単環式有機基または橋架環式有機基であって、該単環式有機基または橋架環式有機基の中にエーテル結合、エステル結合を有していてもよく、該単環式有機基または橋架環式有機基は、水酸基、カルボキシシル基、カルボニル基、ニトリル基の置換基を有していてもよい。)
本発明の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法によれば、アミン類の使用をせずに、β−ヒドロキシラクトンの(メタ)アクリル酸エステルおよび3級エステルタイプの(メタ)アクリル酸エステルを製造することができるため、レジストの感度を低下させることがなく、ArFエキシマレーザーリソグラフィーにおいて使用されるレジスト樹脂用の原料モノマーの製造方法として、特に有用である。
本発明では、有機溶媒中、式(1)で表されるルイス酸触媒および重合禁止剤の存在下、式(2)または式(3)で表されるアルコール(A)と、(メタ)アクリル酸無水物(B1)および(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸以外のカルボン酸との無水物(B2)から選ばれる少なくとも1種の酸無水物(B)とを反応させて、(メタ)アクリル酸エステルを製造する。
中でもMは、エステルのβ−脱離抑制の点から、第4周期〜第6周期の遷移金属、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、珪素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、およびビスマスから選ばれる元素が好ましく、第4周期〜第6周期の第3族〜第5族の遷移金属から選ばれる元素がより好ましく、イットリウム、イッテルビウム、サマリウムから選ばれる元素がさらに好ましく、イットリウムが最も好ましい。
また、nが2または3の場合、式(1)で表されるルイス酸触媒は複数のRfを有するが、この場合Rfは、同一のフッ素化炭化水素基であってもよいし、異なるフッ素化炭化水素基であってもよい。
前記式(2)中、R1は水素原子を表し、mは0〜3の整数である。mは、エステルのβ−脱離抑制の点から、0または1が好ましい。
前記式(2)で表されるアルコールとしては、例えば、下記式(2−1)、下記式(2−2)等で表されるアルコールが挙げられる。
Zの具体例としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基、アダマンチル基、γ−ブチロラクトニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラピラニル基、テトラヒドロピラニル−2−オン−イル等が挙げられる。
前記式(3)で表されるアルコールの具体例を、下記式(3−1)〜(3−17)に示す。
酸無水物(B)は、(メタ)アクリル酸無水物(B1)および(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸以外のカルボン酸との無水物(B2)から選ばれる少なくとも1種である。
(メタ)アクリル酸無水物(B1)としては、特に限定されるものではなく、市販のものが使用できる。
有機溶媒としては、特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ヘキサン等を例示することができる。中でも、原料であるアルコール(A)および生成する(メタ)アクリル酸エステルの溶解性の点から、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、およびN,N−ジメチルホルムアミドから選ばれる少なくとも1種が好ましく、アセトニトリルおよび/またはテトラヒドロフランが特に好ましい。
反応を進行させるために、反応の進行とともに副生する(メタ)アクリル酸またはその他のカルボン酸を系外に除去することが好ましい。(メタ)アクリル酸は、例えば、適当な溶媒との共沸混合物として反応系外に取り出すことができる。
薄膜蒸留することで、触媒由来の金属などの金属不純物が十分に除去でき、金属不純物含有量を50ppb以下にコントロールした特殊(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。
薄膜蒸留する際、必要に応じて重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては公知のものを用いることができ、1種用いても2種以上併用してもよい。重合禁止剤の添加量は、(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して、1質量部以下が好ましい。
原料、生成物、および副生物の定量は、高速液体クロマトグラフィー(以下、LCと略す。)により行なった。
装置は日本分光製高速液体グラフィーを用い、検出器は日本分光製830−RIを用いた。カラムはGLサイエンス製ODS−3Vを用いた。溶離液はアセトニトリル:水=70:30(容量比)を用い、流速1.0ml/分で分析した。
反応収率(%)=(X/Y)×100(%)
ここで、Xは目的生成物である(メタ)アクリル酸エステルまたは反応副生物であるエステル体のβ−脱離体のモル数を表し、Yは原料であるアルコールのモル数を表す。
攪拌機、温度計、ジムロート冷却菅、滴下ロートを備えたガラス製のフラスコに、メタクリル酸無水物8.48g(55mmol)、アセトニトリル16.3g、イットリウムトリフラート(Mがイットリウム、Rfがトリフルオロメチル基、nが3である式(1)で表されるルイス酸触媒)0.40g(0.80mmol)、MEHQ(ハイドロキノンモノメチルエーテル)0.00085gを投入し、25℃で攪拌した。滴下ロートにはアセトニトリル3.3gにメバロノラクトン(R2がメチル基で、Zがテトラヒドロピラン2オン−イルである式(3)で表されるアルコール)6.51g(50.0mmol)を溶解させた溶液を投入し、5分間でフラスコに滴下した。滴下終了後、反応温度を55℃になるように調節しながら、反応を行った。反応中にサンプリングを行い、サンプリング物をLCで分析してメバロノラクトンが消失するまで反応を行い、メバロノラクトンメタクリレートを得た。昇温後からの反応時間は3時間であった。反応終了後のメバロノラクトンメタクリレートの含有量は9.4gであり、反応収率は94.0%であった。
また、反応副生物(エステル体のβ−脱離体)である4−メチル−5,6−ジヒドロピラン−2−オンの含有量は0.1gであり、反応収率は2.0%であった。
反応温度を80℃に変更した以外は、実施例1と同じ条件で反応させてメバロノラクトンメタクリレートを得た。LCでメバロノラクトンが消失したのは、80℃に昇温してから1時間後であった。
反応終了後のメバロノラクトンメタクリレートの含有量は7.9gであり、反応収率は80.0%であった。また、反応副生物(エステル体のβ−脱離体)である4−メチル−5,6−ジヒドロピラン−2−オンの含有量は0.5gであり、反応収率は10.0%であった。
反応温度を0℃に変更した以外は、実施例1と同じ条件で反応させてメバロノラクトンメタクリレートを得た。LCでメバロノラクトンが消失したのは、反応温度を0℃にしてから30時間後であった。
反応終了後のメバロノラクトンメタクリレートの含有量は9.8gであり、反応収率は99.0%であった。また、反応副生物(エステル体のβ−脱離体)である4−メチル−5,6−ジヒドロピラン−2−オンは検出されなかった。
ルイス酸触媒のイットリウムトリフラートに変えてサマリウムトリフラート(Mがサマリウム、Rfがトリフルオロメチル基、nが3である式(1)で表されるルイス酸触媒)を0.39g(0.80mmol)用いた以外は、実施例1と同じ条件で反応させてメバロノラクトンメタクリレートを得た。LCでメバロノラクトンが消失したのは、反応温度を55℃にしてから1時間後であった。
反応終了後のメバロノラクトンメタクリレートの含有量は7.8gであり、反応収率は79.0%であった。また、反応副生物(エステル体のβ−脱離体)である4−メチル−5,6−ジヒドロピラン−2−オンの含有量は0.6gであり、反応収率は11.0%であった。
ルイス酸触媒のイットリウムトリフラートに変えてイッテルビウムトリフラート(Mがイッテルビウム、Rfがトリフルオロメチル基、nが3である式(1)で表されるルイス酸触媒)を0.41g(0.80mmol)用いた以外は、実施例1と同じ条件で反応させてメバロノラクトンメタクリレートを得た。LCでメバロノラクトンが消失したのは、反応温度を55℃にしてから1時間後であった。
反応終了後のメバロノラクトンメタクリレートの含有量は7.8gであり、反応収率は79.0%であった。また、反応副生物(エステル体のβ−脱離体)である4−メチル−5,6−ジヒドロピラン−2−オンの含有量は0.6gであり、反応収率は11.0%であった。
アルコールのメバロノラクトンに変えて、3−ヒドロキシγ−ブチロラクトン(mが0である式(2)で表されるアルコール)5.10g(0.80mmol)用いた以外は、実施例1と同じ条件で反応させてγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートを得た。LCで3−ヒドロキシγ−ブチロラクトンが消失したのは、反応温度を55℃にしてから1時間後であった。
反応終了後のγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートの含有量は8.6gであり、反応収率は99.0%であった。また、反応副生物(エステル体のβ−脱離体)であるクロトノラクトンは検出されなかった。
メタクリル酸無水物に変えて、メタクリル酸と酢酸との無水物を7.16g(55mmol)用いた以外は、実施例6と同じ条件で反応させてγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートを得た。LCで3−ヒドロキシγ−ブチロラクトンが消失したのは、反応温度を55℃にしてから2時間後であった。
反応終了後のγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートの含有量は6.6gであり、反応収率は76.0%であった。また、反応副生物(エステル体のβ−脱離体)であるクロトノラクトンは検出されなかった
攪拌機、温度計、ジムロート冷却菅、滴下ロートを備えたガラス製のフラスコにメタクリル酸無水物8.48g(55mmol)、アセトニトリル16.3g、イットリウムトリフラート0.05g(0.10mmol)を投入し、25℃で攪拌した。滴下ロートにはアセトニトリル3.3gにメバロノラクトン6.51g(50.0mmol)溶解させた溶液を投入し、5分間でフラスコに滴下した。滴下終了後、反応温度を100℃になるように調節しながら反応を行い、メバロノラクトンメタクリレートを得た。LCでメバロノラクトンが消失したのは、反応温度を100℃にしてから1時間後であった。
反応終了後のメバロノラクトンメタクリレートの含有量は6.4gであり、反応収率は65.0%であった。また、反応副生物(エステル体のβ−脱離体)である4−メチル−5,6−ジヒドロピラン−2−オンの含有量は0.6gであり、反応収率は11.0であった。また、反応液の粘性が重合によって上昇したことを目視により確認した。
ルイス酸触媒のイットリウムトリフラートに変えて、ジルコニウム(IV)ビス(パーフルオロオクタンスルホニウム)アミドを0.298g(0.80mmol)用いた以外は、実施例1と同じ条件で反応させてメバロノラクトンメタクリレートを得た。LCでメバロノラクトンが消失したのは、反応温度を55℃にしてから1時間後であった。
反応終了後のメバロノラクトンメタクリレートの含有量は7.8gであり、反応収率は79.0%であった。また、また、反応副生物(エステル体のβ−脱離体)である4−メチル−5,6−ジヒドロピラン−2−オンの含有量は0.9gであり、反応収率は18.0%であった。
Claims (2)
- 有機溶媒中、式(1)で表されるルイス酸触媒および重合禁止剤の存在下、式(2)または式(3)で表されるアルコール(A)と、(メタ)アクリル酸無水物(B1)および(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸以外のカルボン酸との無水物(B2)から選ばれる少なくとも1種の酸無水物(B)とを、反応温度58℃以下で反応させて、(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法。
式(2)中、R1は水素原子を示し、mは0〜3の整数を表す。
式(3)中、R2は、メチル基、エチル基、プロピル基のいずれかを示し、Zは炭素数4〜16の単環式有機基または橋架環式有機基であって、単環式有機基または橋架環式有機基の中にエーテル結合、エステル結合を有していてもよく、単環式有機基または橋架環式有機基は、水酸基、カルボキシシル基、カルボニル基、ニトリル基の置換基を有していてもよい。) - 前記式(1)中、Mは、イットリウムである、請求項1に記載の、(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法。
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