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JP4823884B2 - フレキシブル銅張積層板の製造方法 - Google Patents

フレキシブル銅張積層板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子機器に使用されるフレキシブル銅張積層板(以下、銅張積層板と略す ることもある。)の製造方法に関し、詳しくは、微細回路加工が可能で、屈曲特性に優 れたフレキシブル銅張積層板の製造方法に関するものである。
フレキシブル銅張積層板は、ハードディスク内の可動部やヒンジ部等の屈曲性や、柔 軟性、高密度実装が要求される電子機器に広く用いられている。近年、さらなる装置の 小型化、高度化が進み、銅張積層板を狭い箇所に折り曲げて収納することが増えたこと 、またそれ自身の折り曲げ角度も鋭くなってきたことから、より高い屈曲性を持つ銅張 積層板の供給が必要不可欠となってきた。
このような背景のもと、銅箔の屈曲性を改善する手段として、銅箔の厚みを薄くする ことが知られている。この場合、屈曲の際の曲げ部外周に生じる歪みが減少し、屈曲性 が向上する、しかしながら、銅張積層板を薄くするだけでは、設計に制約を受けてしま うなどの理由により限界がある。
また、屈曲性に優れる銅箔として、圧延銅箔が知られている。圧延銅箔の製造方法と しては、電気銅をインゴットに鋳造し、圧延と焼鈍を繰り返して箔状にする。この方法 により製造された銅箔は伸び率も高く、表面が平滑であるため、クラックが入りにくく 耐折性に優れている。しかしながら、圧延銅箔は高価で、製造時の機械的な制約により 、銅箔の幅1m以上のものは製造することが困難であった。これまで、圧延銅箔は屈曲 性に優れる銅箔としてフレキシブル銅張積層板への適用が報告されている。例えば、特 開2000−256765号公報(特許文献1)では、高い耐屈曲性を有する銅張積層 板を得るために、結晶粒径が大きい圧延銅箔を使用することが開示されている。しかし ながら、このような圧延銅箔は柔らかく、厚さが35μm以下の薄い銅箔では、積層板 製造時におけるハンドリングで変形しやすい。また、特開平8−296082号公報 (特許文献2)には、再結晶性の良好な電解銅箔が示され、特開平8−283886号 公報(特許文献3)には、屈曲特性が改良されたフレキシブル配線基板用電解銅箔が示 されている。しかし、例えば、溶液状のポリイミド前駆体樹脂を塗工し、乾燥及び熱硬 化(イミド化)のための熱処理を行うキャスト法による銅張積層板の製造方法において は、その熱処理工程で300℃以上の熱がかかる。このような高い温度で熱処理すると 、銅箔は完全に焼鈍され、伸びがなくなり脆くなってしまう。また、銅箔の熱収縮によ りシワが入るため搬送性が悪くなるという課題もあった。
特開2000−256765号公報 特開平8−296082号公報 特開平8−283886号公報
本発明は、積層板製造におけるハンドリング性を改善し、しかも30μm以下の細線 加工が可能で、且つ耐屈曲性に優れた積層板を提供することを目的とする。
本発明者らは種々検討した結果、特定の特性を有する電解銅箔を用い、その銅箔にポ リイミド樹脂層を積層した後、特定の工程を経由することで上記課題を解決し得ること を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、銅箔層の一方の面にポリイミド樹脂層が形成された銅張積層板の製造方法において、銅箔として、二次イオン質量分析(SIMS)で分析測定した場合、銅ピーク強度50.0に対して炭素ピーク強度が4.0以下であり、厚みが5μm〜35μmの範囲内にあって、熱処理前の銅箔の平均結晶粒径が2μm未満である電解銅箔 を用意する工程と、用意された銅箔の上にポリイミド前駆体樹脂溶液を塗布し、続く熱 処理によって乾燥及び硬化を行ってポリイミド樹脂層を形成する工程と、ポリイミド樹 脂層と接していない銅箔層面を化学研摩して、銅箔厚みの10〜90%を除去する工程とを含むことを特徴とするフレキシブル銅張積層板の製造方法である。ここで、上記熱処理は、300〜400℃の温度範囲で3分〜40分保持する工程を含み、熱処理後の銅箔の平均結晶粒径が2.5〜5μmの範囲内となる。
上記フレキシブル銅張積層板の製造方法において、次のいずれか1以上を満足することは、より優れたフレキシブル銅張積層板を与える。
1) 化学研摩が、過酸化水素を0.5〜10重量%及び硫酸を0.5〜15重量%の濃度 で含有するエッチング液でなされること。
2) 化学研摩後の銅箔層の表面粗度Rzが2.5μm以下であること。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法は、次の工程を有する。
a) 銅箔として、二次イオン質量分析(SIMS)で分析測定した場合、銅ピーク強度50 .0に対して炭素ピーク強度が4.0以下であり、厚みが5μm〜35μmの範囲内にあっ て、熱処理前の銅箔の平均結晶粒径が2μm未満である電解銅箔を用意する工程、
b)用意された銅箔の上にポリイミド前駆体樹脂溶液を塗布し、続く熱処理によって乾燥 及び硬化を行ってポリイミド樹脂層を形成する工程、
c)ポリイミド樹脂層と接していない銅箔層面を化学研摩して、銅箔厚みの10〜90% を除去する工程。
本発明の銅張積層板は、銅箔とポリイミド樹脂層とから構成される。なお、銅箔は銅 張積層板において、銅箔層又は導体層を形成するので、銅箔層又は導体層ともいう。ま た、銅箔は上記工程b)において、熱処理を受けることによりその物性が変化するので、 熱処理前と後の銅箔を区別する必要がある場合は、それぞれ熱処理前の銅箔、熱処後の 銅箔という。
工程a)で用意する銅箔としては、電解銅箔が使用される。電解銅箔は、公知の方法で 製造することができ、硫酸銅を主成分とした電解液から電気分解により析出させて得る ことができる。しかし、熱処理前の銅箔の特性としては、二次イオン質量分析(SIMS) で成分測定した場合、銅ピーク強度50.0に対して炭素ピーク強度が4.0以下である ものであること、及び平均結晶粒径が2μm未満であることが必要である。
本発明において定義する銅箔の平均結晶粒径は、銅箔サンプルを用意し、銅箔表面に 物理研磨を施した後、更に酸性の腐食液を用いてエッチングし、これを超深度形状測定 顕微鏡により2,000倍の倍率で観察し、切断法によるASTM粒度測定(ASTM E112)に 準拠して測定される値をいう。このような電解銅箔は、市販の電解銅箔について上記測 定を行うことにより選択可能である。例えば、日本電解株式会社製HL箔や古川サーキッ トフォイル株式会社製WS箔がある。また、二次イオン質量分析(SIMS)による成分測定 は後記する条件による。
電解銅箔の屈曲特性を制御する手段として、銅箔が含有する炭素成分と平均結晶粒径 の2つの因子を制御することが重要となる。金属結晶の物理的性質が素材の純度に依存 することは古くから知られており、特に銅結晶中に含有する成分は、それ自身が格子欠 陥としての作用が大きい。銅箔が塑性変形を繰り返すうちに、炭素成分の格子欠陥が徐 々に増加し、格子欠陥の周りが完全結晶ではなくなる、いわゆる加工硬化と呼ばれる現 象が生じ、この加工硬化が進んで、金属疲労による破断が生じる。このため、用意する 銅箔の炭素成分は上記範囲内とする必要がある。この銅箔中の炭素成分は、上記炭素ピ ーク強度として、好ましくは2以下であり、より好ましくは0.1〜1.0である。ま た、平均結晶粒径は2μm以上になると、銅箔自体が柔らかくなり、積層板製造時のハ ンドリングで変形しやすいので、用意する銅箔の平均結晶粒径は上記範囲内とする必要 がある。熱処理前の銅箔の平均結晶粒径は、好ましくは0.5μm以上2μm未満であり 、より好ましくは1.0〜1.5μmの範囲である。また、熱処理を受けると平均結晶粒 径は大きくなる傾向があるが、熱処理後の銅箔の平均結晶粒径は2〜7μm、好ましく は2.5〜5μmの範囲とすることがよい。なお、銅箔中の炭素成分は、熱処理の前後 によってその量は実質的に変化しない。
使用する銅箔の厚さは5〜35μmの範囲内、好ましくは9〜25μmの範囲内、更 に好ましくは12〜18μmの範囲内である。銅箔の厚みが35μmより大きくなると、 化学研摩による薄肉化に時間がかかる。また、銅箔の厚さが5μm未満であると、積層 板製造時のテンション調整が困難となる。
工程b)では用意された銅箔の上にポリイミド前駆体樹脂溶液を塗布し、続く熱処理に よってポリイミド樹脂層を形成する。
ポリイミド樹脂及びその前駆体樹脂は、公知のジアミンと酸無水物とを溶媒の存在下 で反応して製造することができる。用いられるジアミンとしては、例えば、4,4'-ジア ミノジフェニルエーテル、2'-メトキシ-4,4'-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4- アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2'-ビス [4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニ ル、3,3'-ジヒドロキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'-ジアミノベンズアニリド等が 挙げられる。また、酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3',4,4'-ビ フェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルフォンテトラカルボン 酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸無水物が挙げられる。ジアミン及び酸無水物は、 1種又は2種以上を使用することもできる。
また、この反応は有機溶媒中で行わせることが好ましく、このような有機溶媒として は特に限定されないが、具体的には、ジメチルスルフォキシド、N,N−ジメチルホルム アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホ スホルムアミド、フェノール、クレゾール、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、これら は単独で又は混合して用いることができる。また、このような有機溶媒の使用量として は特に制限されるものではないが、重合反応よって得られる前駆体樹脂(ポリアミック 酸)溶液の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ま しい。
ポリイミド前駆体樹脂溶液を塗布する方法は特に制限されず、コンマ、ダイ、ナイフ 、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。この塗布工程では、重合された 前駆体樹脂溶液の粘度を500〜35,000cpsの範囲とすることが好ましい。
塗布されたポリイミド前駆体樹脂層は、続く熱処理工程で乾燥、硬化(イミド化)さ れる。この場合の熱処理条件は100〜400℃の温度範囲で計10〜40分程度行う ことができるが、本発明においては、160℃以下で溶媒を乾燥させた後に、銅箔の屈 曲特性を制御するために、少なくとも300℃〜400℃の温度範囲で3〜40分保持 することが好ましい。より好ましい保持条件は、310〜390℃の温度範囲で5〜3 0分、更に好ましくは、320〜380℃の温度範囲で7〜20分の範囲である。熱処 理における保持条件を上記範囲内とすることで、銅張積層板としての屈曲特性を向上さ せることができる。
ここで、銅張積層板のポリイミド樹脂層は、単層のみから形成されるものでも、複数 層からなるものでもよい。ポリイミド樹脂層を複数層とする場合、異なる構成成分から なるポリイミド前駆体樹脂層の上に他のポリイミド前駆体樹脂を順次塗布して形成する ことができる。ポリイミド樹脂層が3層以上からなる場合、同一の構成のポリイミド樹 脂を2回以上使用してもよい。
上記ポリイミド樹脂層は、単層、複数層いずれの場合であっても、熱線膨張係数が3 0ppm/K未満、有利には5ppm/K〜25ppm/Kの範囲にある低熱膨張性ポリイミド樹脂層 を有することが好ましい。そして、この低熱膨張性ポリイミド樹脂層のいずれか一方又 は両面の面にガラス転移温度が400℃以下、好ましくは250〜380℃、更に好ま しくは300〜350℃の範囲にある熱可塑性ポリイミド樹脂層を設けることが好まし い。
ここで、上記低熱膨張性ポリイミド樹脂としては、下記一般式(1)で表される構造 単位を主たる構成単位とすることが好ましい。
Figure 0004823884

但し、Ar1は式(2)又は式(3)で表される4価の芳香族基を示し、Ar3は式(4) 又は式(5)で表される2価の芳香族基を示し、qは構成単位の存在モル比を示し、 0.1〜1.0の範囲である。
Figure 0004823884

但し、R1は独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、X及 びYは独立に、単結合又は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、O、S、CO、SO、SO2若し くはCONHから選ばれる2価の基を示し、nは独立に0〜4の整数を示す。
熱可塑性ポリイミド樹脂も、公知のジアミンと公知の酸無水物をそれぞれ1種以上適 宜組み合わせて使用することで得ることができる。熱可塑性ポリイミド樹脂層は、ガラ ス転位温度が、400℃以下であることが好ましく、より好ましくは250〜380℃ 、更に好ましくは300〜350℃の範囲にあると同時に熱膨張係数が30ppm/K以上 であることが好ましい。ここで、熱膨張係数は、サーモメカニカルアナライザーを用い て測定される100℃から250℃の平均線熱膨張係数の値を指し、また、ガラス転移 温度は、動的粘弾性測定装置によって測定される損失弾性率のピーク値を指す。
ポリイミド樹脂層の総厚みは、15〜50μmの範囲にあることが好ましく、更に好 ましくは20〜40μmの範囲にあることがよい。ポリイミド樹脂層を低熱膨張性ポリ イミド樹脂層と熱可塑性ポリイミド樹脂層とで構成する場合、その合計厚みの1/2以 上、有利には2/3〜9/10は低熱膨張性ポリイミド樹脂層で構成することがよい。 また、耐熱性や寸法安定性の観点から、熱可塑性ポリイミド樹脂層の一層の厚みは、5 μm以下、有利には1〜4μmの範囲にあることがよい。
有利には、ポリイミド樹脂層全体としての熱線膨張係数が30ppm/K未満、好ましく は5〜25ppm/Kの範囲とすることがよい。また、熱処理後の銅箔の平均結晶粒径が2 μm〜7μm、好ましくは3〜6μmの範囲内となるように熱処理することがよい。
上記工程b)では、銅箔上にポリイミド樹脂層が設けられた積層体が得られる。そこで 、工程c)では、絶縁層と接していない銅箔面を、エッチング液で化学研磨することによ って、銅箔の一部を除去して銅箔厚みを薄くして本発明の銅張積層体とする。エッチン グ液としては、過酸化水素0.5〜10重量%及び硫酸0.5〜15重量%を含有すエッ チング液が好ましい。銅箔の除去は、銅箔厚みの10〜90%、好ましくは20〜75 %、更に好ましくは40〜70%を除去することがよい。そして、銅箔の厚さは3〜 18μm、好ましくは5〜12μmとすることがよい。銅箔の厚さが18μmよりも大き くなると、耐屈曲性が低くなるばかりでなく、回路での微細加工が困難となる。銅箔の 厚さが3μm未満になると、回路の耐エレクトロマイグレーション性が劣る。化学研磨 後の化学研磨面の銅箔の表面粗度(Rz)は十点平均粗さで2.5μm以下、好ましくは 1.5μm以下、更に好ましくは1.0μm以下とすることがよい。より好ましくは0.5 〜1.0μmの範囲以下とすることがよい。銅箔の表面粗度が2.5μmよりも大きくな ると、回路での微細加工が困難となる。
また、銅箔のポリイミド樹脂層側の表面粗度は特に限定されるものではないが、特に 、フレキシブル銅張積層板が15〜40μmピッチの微細回路幅の用途(例えば、FPC) に適用される場合、ポリイミド樹脂層側の表面粗度(Rz)は1.5μm以下が好ましく、 より好ましくは0.1〜1.5μmの範囲、更に好ましくは0.5〜1.0μmの範囲がよ い。
本発明によって製造される銅張積層板は、銅箔層をポリイミド樹脂層の片面に有する 片面銅張積層板である。本発明によって製造される銅張積層板からは、銅箔層を両面に 有する両面銅張積層板を得ることもできる。両面銅張積層板は、例えば上記2組の銅張 積層板を準備し、樹脂層側面を向かい合わせ、熱プレスにより圧着する方法によって製 造することができる。この場合、その間にポリイミドフィルムを挟んで加熱圧着する方 法も好ましい。なお、熱プレスにより圧着する場合、ここで上記熱処理と同等以上の熱 を受けるときは、熱処理と熱プレスの合計の時間を上記範囲内に収めることがよい。
屈曲性に優れる不純物の低減した電解銅箔をベースに、導体と絶縁体の間の接着力が 高く、耐エレクトロマイグレーション性に優れ、30μmピッチ以下の微細加工が可能 で、かつ、耐屈曲性に優れる銅張積層体が得られる。これによりフレキシブルプリント 基板用のCOF用途として有効に利用できる。また、圧延銅箔に比べて高導電性の電解 銅箔を使用することで、微細回路での電気抵抗を低く抑えることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもの ではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り各種評価は下記によるも のである。
1)二次イオン質量分析(SIMS)による炭素成分の測定
各実施例及び比較例で得られた銅張積層板を、CAMECA社製のIMS−4Fにより、銅箔 の塗工面側に一次イオンとして、Cs+を14.5KeV、50nAの強さで、100μm2の領 域に照射し、そこから放出される銅と炭素の二次イオン(負イオン)を60μmφの測 定範囲内について、各1秒ずつ強度を計測した。
2)銅箔の結晶粒径の測定
用意した銅箔については、(株)キーエンス社製の超深度形状測定顕微鏡VK8500 により2,000倍の倍率で観察し、切断法によるASTM粒度測定(ASTM E112)に準拠し た方法を用いて、平均の結晶粒径を求めた。また、各実施例及び比較例で得られた銅張 積層板の銅箔については、これらの銅箔表面に物理研磨を施した後、更に酸性の腐食液 を用いてエッチングし、これを上記と同様にして平均の結晶粒径を求めた。
3)MIT屈曲試験方法
屈曲試験サンプルは、銅張積層板を各屈曲試験用に回路加工して、回路が形成された 面に12μm厚のポリイミドフィルムに15μmのエポキシ系接着剤層が設けられた市販 のカバー材を回路形成面と接着剤層とが向かい合わさるようにし、40kgf/cm2の圧力 、160℃、60分間の条件で高温真空プレス機を用いて熱圧着させて得た。以下、試 験片と呼ぶ。
(株)東洋精機製作所製のMIT屈曲試験装置により、下記条件下で屈曲を繰り返し、 試験片が断線するまでの回数を屈曲回数として求めた。
試験片幅:9mm、試験片長さ:90mm、回路幅/絶縁幅=150μm/200μm、試 験片採取方向:試験片の長さが機械方向と平行になるように採取、屈曲半径r2= 0. 8mm、振動ストローク=20mm、振動速度:1500回/分、おもりの重250g、折 り曲げ角度=90±2°の条件で試験を行った。
4)銅箔の表面粗度の測定
超深度形状測定顕微鏡(KEYENCE製、VK−8500)を用いて、2,000倍で銅箔 面の長さ方向に140μm測定した。
5)ガラス転移温度の測定
粘弾性アナライザー(レオメトリックサイエンスエフィー株式会社製RSA-II)にて、 合成例から得られたポリイミドフィルムを10mm幅のサンプルとして用い、1Hzの振動 を与えながら、室温から400℃まで10℃/分の速度で昇温した際の動的粘弾性を測 定し、ガラス転移温度(損失正接(Tanδ)の極大値)を求めた。
6)熱線膨張係数の測定
サーモメカニカルアナライザー(セイコーインスツルメンツ社製)にて、合成例で得 られたポリイミドフィルムを250℃まで昇温し、更にその温度で10分保持した後、 5℃/分の速度で冷却し、240℃から100℃までのポリイミドフィルムの寸法変化 から平均の熱線膨張係数を求めた。
合成例1
反応容器に、N,N-ジメチルアセトアミドを入れる。この反応容器に4,4'-ジアミノ-2 '-メトキシベンズアニリド(MABA)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、無水ピロ メリット酸(PMDA)及び4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)を加えた。モノマーの 投入総量が15wt%で、各ジアミンのモル比率は、MABA:DAPE、60:40となるよう 投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体樹脂 液aを得た。また、本合成例によって得られたポリイミド前駆体樹脂液aを、ポリイミ ド樹脂フィルムとし、その熱線膨張係数を測定したところ、15ppm/Kであった。
合成例2
反応容器に、N,N-ジメチルアセトアミドを入れる。この反応容器に2,2'ビス[4-(4- アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)及び1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベ ンゼン(TPE-Q)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、BPDA及びPMDAを加えた。モ ノマーの投入総量が15wt%で、各ジアミンのモル比率は、BAPP:TPE-Q、80:20と なるよう投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリイミド前 駆体樹脂液bを得た。また、本合成例によって得られたポリイミド前駆体樹脂液bをイミ ド化してガラス転移温度を測定したところ、319℃であった。
銅張積層板の作製にあたり、下記3種類の銅箔を準備した。なお、炭素ピーク強度は 、SIMSによる銅ピーク強度50.0に対する強度である。また、研磨面側Rzは、化学研 磨する側の表面粗度Rzである。
1)銅箔1:電解銅箔、厚み12μm、炭素ピーク強度0.29、熱処理前の平均結晶粒 径1.0μm、絶縁層側Rz0.6μm、研磨面側Rz0.7μm
2)銅箔2:電解銅箔、厚み12μm、炭素ピーク強度0.58、熱処理前の平均結晶粒 径1.2μm、絶縁層側Rz1.3μm、研磨面側Rz0.9μm
3)銅箔3:電解銅箔、厚み12μm、炭素ピーク強度8.25、熱処理前の平均結晶粒 径1.2μm、絶縁層側Rz0.8μm、研磨面側Rz1.7μm、三井金属株式会社製 VLP箔
中間体の積層体の化学研摩に使用するエッチング液は下記のものを用意した。
エッチング液:過酸化水素/硫酸系化学研摩液(硫酸濃度20g/L、過酸化水素濃度 80g/L)
銅箔として銅箔1を使用した。この銅箔上に合成例2で得られたポリイミド前駆体樹 脂液bを硬化後の厚みが約2μmとなるように均一に塗布したのち、130℃で加熱乾燥 し溶媒を除去した。次に、その上に積層するように合成例1で調整したポリイミド前駆 体樹脂aを硬化後の厚みが約35μmとなるように均一に塗布し、135℃で加熱乾燥し 溶媒を除去した。更にこのポリイミド前駆体樹脂層上にポリイミド前駆体樹脂液bを硬 化後の厚みが約3μmとなるように均一に塗布し、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去し た。
この積層体を、その後130℃から380℃まで10分かけて段階的に昇温された熱 処理工程を経由させ、ポリイミド樹脂層の厚みが40μmである中間体の積層体を得た 。この際、最高加熱温度は380℃であり、この温度で6分の熱処理を行った。300 ℃から380℃の温度範囲における合計の保持時間は、約10分である。この熱処理後 の銅箔の平均結晶粒径は4.0μmであった。
この中間体の積層体の銅箔層をエッチング液で化学研摩して、銅箔層が8.0μmにな るようにして、銅張積層板Aを得た。このようにして得られた銅張積層板Aにおいて、銅 箔層の化学研磨面側の表面粗度Rzは0.8μmであった。
銅箔として、銅箔2を使用し、実施例1と同様にポリイミド樹脂層の厚みが40μm である中間体の積層体を得た。この中間体の積層体の銅箔層を、実施例1と同様にして 、化学研摩を行い、銅張積層板Bを得た。なお、得られた銅張積層板Bの銅箔の平均結晶 粒径は、3.0μmであり、化学研磨面側の表面粗度Rzは0.6μmであった。
比較例1
銅箔として、銅箔3を使用し、実施例1と同様にポリイミド樹脂層の厚みが40μm である中間体の積層体を得た。この中間体の積層体の銅箔層を、実施例1と同様にして 、化学研摩を行い、銅張積層板Dを得た。なお、得られた銅張積層板Dの銅箔の平均結晶 粒径は、1.3μmであり、化学研磨面側の銅箔層の表面粗度Rzは1.0μmであった。
以上の結果をまとめて表1に示す。
Figure 0004823884

Claims (3)

  1. 銅箔層の一方の面にポリイミド樹脂層が形成された銅張積層板の製造方法において、
    銅箔として、二次イオン質量分析(SIMS)で分析測定した場合、銅ピーク強度50.0に対して炭素ピーク強度が4.0以下であり、厚みが5μm〜35μmの範囲内にあって、熱処理前の銅箔の平均結晶粒径が2μm未満である電解銅箔を用意する工程と、用意された銅箔の上にポリイミド前駆体樹脂溶液を塗布し、続く300〜400℃の温度範囲で3分〜40分保持する工程を含む熱処理によって乾燥及び硬化を行ってポリイミド樹脂層を形成すると共に、熱処理後の銅箔の平均結晶粒径を2.5〜5μmの範囲とする工程と、
    ポリイミド樹脂層と接していない銅箔層面を化学研摩して、銅箔厚み10〜90%を除去する工程とを含むことを特徴とするフレキシブル銅張積層板の製造方法。
  2. 化学研摩が、過酸化水素を0.5〜10重量%及び硫酸を0.5〜15重量%の濃度で含有するエッチング液でなされることを特徴する請求項1記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法。
  3. 化学研摩後の銅箔層の表面粗度Rzが2.5μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法。
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