JP4816223B2 - 反射防止積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
該混合無機微粒子分散液を基材上に塗布すること、および
前記基材に塗布した前記分散液から分散媒を除去して基材上に無機微粒子層を形成すること
を含む、反射防止積層体の製造方法を提供する。
(1)0.55≦RVa≦0.90
(2)0.10≦RVb≦0.45
但し、RVaは前記分散液中における前記無機微粒子鎖(A)と無機微粒子(B)の合計体積に対する前記無機微粒子鎖(A)の体積の割合であり、RVbは前記分散液中における前記無機微粒子鎖(A)と無機微粒子(B)の合計体積に対する前記無機微粒子(B)の体積の割合である。
本発明の方法で製造される反射防止積層体とは、主にLCD、PDP、CRT、有機EL、無機EL、FEDのような各種ディスプレイの反射防止材として使用される部材であり、より具体的には、ディスプレイ表面での外部光に起因する映り込みの防止や、ディスプレイ内部の発光体または発光層から発生した光のディスプレイ内部での反射に起因するディスプレイの輝度の低下防止を目的として、主にディスプレイの表面もしくは内部に配されるものである。
(1)0.55≦RVa≦0.90
(2)0.10≦RVb≦0.45
但し、RVaは前記分散液中における前記無機微粒子鎖(A)と無機微粒子(B)の合計体積に対する前記無機微粒子鎖(A)の体積の割合であり、RVbは前記分散液中における前記無機微粒子鎖(A)と無機微粒子(B)の合計体積に対する前記無機微粒子(B)の体積の割合である。
本発明の方法で使用される無機微粒子(B)の平均粒子径は1〜20nmである。ここで無機微粒子(B)の平均粒子径は動的光散乱法またはシアーズ法により求められる。動的光散乱法による平均粒子径の測定は、市販の粒度分布測定装置を使用して行うことができる。シアーズ法とは、Analytical Chemistry, vol. 28, p. 1981-1983, 1956に記載された方法であって、シリカ粒子の平均粒子径の測定に適用される分析手法であり、pH=3のコロイダルシリカ分散液をpH=9にするまでに消費されるNaOHの量から表面積を求め、求めた表面積から球相当径を算出する方法である。このようにして求められた球相当径を平均粒子径とする。
[1]無機微粒子鎖(A)の粉末と無機微粒子(B)の粉末とを同時に共通の液体分散媒中に添加し、分散させる方法。
[2]無機微粒子鎖(A)を第一の液体分散媒中に分散させて第一の分散液を調製し、別途、無機微粒子(B)を第二の液体分散媒中に分散させて第二の分散液を調製し、次いで第一および第二の分散液を混合する方法。
[3]無機微粒子鎖(A)を液体分散媒中に分散させて分散液を調製し、次いで該分散液に無機微粒子(B)の粉末を添加し、分散させる方法。
[4]無機微粒子(B)を液体分散媒中に分散させて分散液を調製し、次いで該分散液に無機微粒子鎖(A)の粉末を添加し、分散させる方法。
[5]分散媒中で粒成長させて無機微粒子鎖(A)を含有する第一の分散液を調製し、別途、分散媒中で粒成長させて無機微粒子(B)を含有する第二の分散液を調製し、次いで第一および第二の分散液を混合する方法。
超音波分散、超高圧分散等の強分散手法を適用することにより、混合無機微粒子分散液中において、無機微粒子を特に均一に分散させることが出来る。
より均一な分散を達成するために、混合無機微粒子分散液の調製に使用する無機微粒子鎖(A)の分散液や無機微粒子(B)の分散液や、最終的に得られる混合無機微粒子分散液中で無機微粒子はコロイド状態であることが好ましい。分散媒には水や揮発性の有機溶媒を用いることができる。
また、前記[1]の方法においても、無機微粒子鎖(A)および無機微粒子(B)の少なくとも一方がアルミナであって、混合無機微粒子分散液がコロイド状態である場合には、該混合無機微粒子分散液に塩素イオン、硫酸イオン、酢酸イオンなどの陰イオンを添加することが好ましい。
また、前記[1]の方法においても、無機微粒子鎖(A)および無機微粒子(B)のうちの少なくとも一つがシリカであって、混合無機微粒子分散液がコロイド状態である場合には、該混合無機微粒子分散液にアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンなどの陽イオンを添加することが好ましい。
(1)0.55≦RVa≦0.90
(2)0.10≦RVb≦0.45
但し、RVaは前記分散液中における前記無機微粒子鎖(A)と無機微粒子(B)の合計体積に対する前記無機微粒子鎖(A)の体積の割合であり、RVbは前記分散液中における前記無機微粒子鎖(A)と無機微粒子(B)の合計体積に対する前記無機微粒子(B)の体積の割合である。
換言すれば、上式におけるRVaおよびRVbは、それぞれ無機微粒子鎖(A)の体積分率および無機微粒子(B)の体積分率に相当する。無機微粒子鎖(A)および無機微粒子(B)が同じ化学種であれば、一般に、無機微粒子鎖(A)および無機微粒子(B)の体積分率(RVaおよびRVb)は、無機微粒子鎖(A)および無機微粒子(B)の重量分率と等しい。
混合無機微粒子分散液に含まれる無機微粒子鎖(A)および無機微粒子(B)の量は特に限定されるものではないが、塗工性および分散性の観点から1〜20重量%であることが好ましく、3〜10重量%であることがより好ましい。
混合無機微粒子分散液が界面活性剤を含む場合、その含有量は分散媒100重量部に対し、通常0.1重量部以下である。用いられる界面活性剤は特に限定されるものではなく、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、カルボン酸のアルカリ金属塩が挙げられ、具体的にはカプリル酸ナトリウム、カプリル酸カリウム、デカン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン酸テトラメチルアンモニウム、ステアリン酸ナトリウムなどが挙げられる。特に、炭素原子数6〜10のアルキル鎖を有するカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステルグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。
使用した主な材料は以下のとおりである。
[基材]
富士写真フィルム株式会社製のトリアセチルセルロースフィルム(商品名:フジタック;反射率:4.0%;透過率:93.0%;厚み:80μm)
[無機微粒子鎖(A)]
(1)スノーテックス(登録商標)PS−M(日産化学工業株式会社製の鎖状コロイダルシリカ;球状粒子の粒径:18〜25nm;動的光散乱法による平均粒径111nm;固形分濃度:20重量%) 以下、これを「PS−M」と記す。
(2)スノーテックス(登録商標)PS−S(日産化学工業株式会社製の鎖状コロイダルシリカ;球状粒子の粒径:10〜18nm;動的光散乱法による平均粒径106nm;固形分濃度20重量% 以下、これを「PS−S」と記す。
[無機微粒子(B)]
スノーテックス(登録商標)ST−XS(日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ;平均粒径4〜6nm;固形分濃度20重量%) 以下、これを「ST−XS」と記す。
なお、実施例の評価は以下の方法により行なった。
各実施例および比較例における混合無機微粒子分散液中の無機微粒子鎖および無機微粒子の全無機微粒子に対する体積分率は表1にまとめた。なお、全ての例において無機微粒子層の形成に使用した無機微粒子鎖(A)および無機微粒子(B)は共にシリカであったので、無機微粒子鎖(A)および無機微粒子(B)の重量分率をこれらの体積分率として使用した。
(1)反射率:島津製作所製の分光光度計UV−3150を用いて可視光領域における入射角5°の相対正反射強度を測定した。測定の際には、フィルムの裏面に黒色テープを貼った。
(2)透過率:島津製作所製の分光光度計UV−3150を用いて、可視光領域における全光線透過率を測定した。
(3)膜強度:無機微粒子層表面をキムワイプS−200(登録商標:クレシア社製の産業用ワイパー)で擦り、無機微粒子層の剥離の有無を確認した。剥離が無いものは膜強度に優れ、剥離があるものは膜強度に劣るものと判断した。表1では、剥離が無いものを○、剥離があるものを×、とした。
無機微粒子鎖(A)としてPS−M(50g)と、無機微粒子(B)としてST−XS(12.5g)とを187.5gの純水に投入、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、混合無機微粒子分散液を調製した。混合液中の固形分濃度はPS−Mが4重量%、ST−XSが1重量%である。この混合液をバーコーターを用いてトリアセチルセルロースフィルム基材上に塗布し、60℃で乾燥して無機微粒子層を形成した。得られた無機微粒子層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真から求めた該無機微粒子層の厚みは114nm、可視光領域での最小反射率は0.3%であり、膜強度は優れていた。
無機微粒子鎖(A)としてPS−M(50g)と、無機微粒子(B)としてST−XS(25g)とを175gの純水に投入、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、混合無機微粒子分散液を調製した。混合液中の固形分濃度はPS−Mが4重量%、ST−XSが2重量%である。この混合液をバーコーターを用いてトリアセチルセルロースフィルム基材上に塗布し、60℃で乾燥して無機微粒子層を形成した。得られた無機微粒子層の可視光領域での最小反射率は0.9%であり、膜強度は優れていた。
無機微粒子鎖(A)としてPS−M(62.5g)と、無機微粒子(B)としてST−XS(18.75g)とを168.75gの純水に投入、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、混合無機微粒子分散液を調製した。混合液中の固形分濃度はPS−Mが5重量%、ST−XSが1.5重量%である。この混合液をバーコーターを用いてトリアセチルセルロースフィルム基材上に塗布し、60℃で乾燥して無機微粒子層を形成した。得られた無機微粒子層の可視光領域での最小反射率は0.5%、最大透過率は95.3%であり、膜強度は優れていた。
無機微粒子鎖(A)としてPS−M(56.25g)およびPS−S(6.25g)と、無機微粒子(B)としてST−XS(18.75g)とを168.75gの純水に投入、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、混合無機微粒子分散液を調製した。混合液中の固形分濃度はPS−Mが4.5重量%、PS−Sが0.5重量%、ST−XSが1.5重量%である。この混合液をバーコーターを用いてトリアセチルセルロースフィルム基材上に塗布し、60℃で乾燥して無機微粒子層を形成した。得られた無機微粒子層の可視光領域での最小反射率は0.5%、最大透過率は94.7%であり、膜強度は優れていた。
[実施例5]
無機微粒子(A)としてPS−M(56.25g)およびPS−S(6.25g)と、無機微粒子(B)としてST−XS(25.00g)とを162.50gの純水に投入、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、混合無機微粒子分散液を調製した。混合液中の固形分濃度はPS−Mが4.5重量%、PS−Sが0.5重量%、ST−XSが2.0重量%である。この混合液をバーコーターを用いてトリアセチルセルロースフィルム基材上に塗布し、60℃で乾燥して無機微粒子層を形成した。得られた無機微粒子層の可視光領域での最小反射率は0.6%、最大透過率は95.1%であり、膜強度に優れるものであった。
無機微粒子鎖(A)の代わりに、スノーテックス(登録商標)ST−ZL(日産化学株式会社製のコロイダルシリカ;BET比表面積法による平均粒子径78nm、固形分濃度40重量%)(37.5g)と、無機微粒子(B)としてST−XS(12.5g)とを200gの純水に投入、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、混合無機微粒子分散液を調製した。混合液中の固形分濃度はST−ZLが6重量%、ST−XSが1.0重量%である。この混合液をバーコーターを用いてトリアセチルセルロースフィルム基材上に塗布し、60℃で乾燥して無機微粒子層を形成した。得られた無機微粒子層の可視光領域での最小反射率は1.6%であり、反射防止効果は不十分であった。最大透過率は94.5%であった。また、膜強度は優れていた。
無機微粒子鎖(A)としてPS−M(50g)を200gの純水に投入し、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、混合無機微粒子分散液を調製した。塗工液中の固形分濃度はPS−Mが4重量%である。この塗工液をバーコーターを用いてトリアセチルセルロースフィルム基材上に塗布し、60℃で乾燥して無機微粒子層を形成した。得られた無機微粒子層の可視光領域での最小反射率は0.2%であり、十分な反射防止効果を示したが、膜強度は劣っていた。
無機微粒子鎖(A)としてPS−M(50g)と、無機微粒子(B)としてST−XS(50g)とを150gの純水に投入し、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、混合無機微粒子分散液を調製した。混合液中の固形分濃度はPS−Mが4重量%、ST−XSが4重量%である。この混合液をバーコーターを用いてトリアセチルセルロースフィルム基材上に塗布し、60℃で乾燥して無機微粒子層を形成した。得られた無機微粒子層の可視光領域での最小反射率は1.7%であり、反射防止効果は不十分であった。また、膜強度は優れていた。
Claims (3)
- 粒径が10〜60nmである3個以上の粒子が鎖状に連なった無機微粒子鎖(A)、
平均粒子径が1〜20nmである無機微粒子(B)、および
液体分散媒
を用いて、下式(1)および(2)を満たす混合無機微粒子分散液を調製すること、
該混合無機微粒子分散液を基材上に塗布すること、および
前記基材に塗布した前記分散液から分散媒を除去して基材上に無機微粒子層を形成すること
を含む、反射防止積層体の製造方法。
(1)0.55≦RVa≦0.90
(2)0.10≦RVb≦0.45
但し、RVaは前記分散液中における前記無機微粒子鎖(A)と無機微粒子(B)の合計体積に対する前記無機微粒子鎖(A)の体積の割合であり、RVbは前記分散液中における前記無機微粒子鎖(A)と無機微粒子(B)の合計体積に対する前記無機微粒子(B)の体積の割合である。 - 前記無機微粒子層の厚さが50〜150nmである請求項1に記載の反射防止積層体の製造方法。
- 無機微粒子鎖(A)と無機微粒子(B)がシリカである請求項1または請求項2記載の反射防止積層体の製造方法。
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