JP4815390B2 - 画像形成用着色組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、感熱記録材料、カラートナー、およびカラーフィルター - Google Patents
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Description
これらのカラー画像記録材料やカラーフィルターでは、フルカラー画像を再現あるいは記録するために、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の着色剤(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域を実現できる吸収特性を有し、且つさまざまな使用条件、環境条件に耐えうる堅牢な着色剤がないのが実状であり、改善が強く望まれている。
インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
これを改良するものとして最近良好な色相を有し光堅牢性を向上させた着色剤が特許文献12に開示されている。しかしこれらの公報や明細書で知られている着色剤は、何れもオゾンなどの酸化性ガスに対する堅牢性は極めて不十分である。本願に係わる発明者らはオゾン等の酸化性ガスに対して堅牢な着色剤を開発すべく、従来のフェノール、ナフトール、アニリン等のカップリング成分から脱却して、含窒素ヘテロ環化合物をカップリング成分として使用するという考えに至った。これまで、ピリジン、ピラジンをカップリング成分とするアゾ染料に関する特許出願としては、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17等が知られているが、当時これらの染料をインクジェットなどの画像形成に用いることは知られていなかったばかりか、これらに記載されているアゾ染料では、光,熱,湿度および環境中の活性ガスなどに対しての堅牢性が不十分であり、かつ、マゼンタ染料としては色相も不十分であった。
即ち、本発明の目的は、色相と堅牢性に優れた着色画像や着色材料を与え、インクジェットなどの印刷用のインク、感熱記録材料におけるインクシート、電子写真用のカラートナー、LCD、PDPなどのディスプレイやCCDなどの撮像素子で用いられるカラーフィルター、各種繊維の染色のための染色液などの調製に好ましく用いることができる画像形成用着色組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができるインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、光堅牢性に優れ、色相が鮮な画像を与える感熱記録材料を提供することにある。
本発明の他の目的は、光堅牢性に優れ、忠実な色再現と高いOHP品質を示すカラートナーを提供することにある。
本発明のさらなる他の目的は、色再現性および光堅牢性に優れるカラーフィルターを提供することにある。
即ち、本発明によれば下記構成の画像形成用着色組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、感熱記録材料、カラートナーおよびカラーフィルターが提供されて、本発明の上記目的が達成される。
本発明は以下の〔1〕〜〔6〕に関するものであるが、その他の事項についても参考のため記載した。
〔1〕
芳香族含窒素6員複素環をカップリング成分とする、下記一般式(2)で表されるアゾ染料を含有することを特徴とする画像形成用着色組成物。
一般式(2)
Z 1 は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。
Z 2 は、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。 R 1 、R 2 は、水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基およびシアノ基を表す。
R 3 ,R 4 は、各々独立に、水素原子、芳香族基または複素環基を表す。
R 5 、R 6 は、水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R 5 、R 6 が同時に水素原子であることはない。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。
上記Z 1 、Z 2 、R 1 〜R 6 、Qの各置換基は、更にハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルおよびアリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、又はスルファモイル基から選ばれる置換基を有していてもよい。〔2〕 〔1〕に記載の着色組成物からなることを特徴とするインクジェット記録用インク。
〔3〕 〔1〕に記載の着色組成物からなることを特徴とする感熱記録材料。
〔4〕 〔1〕に記載の着色組成物からなることを特徴とするカラートナー。
〔5〕 〔1〕に記載の着色組成物からなることを特徴とするカラーフィルター。
〔6〕 支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に、〔2〕に記載のインクジェット記録用インクを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
1.芳香族含窒素6員複素環をカップリング成分とするアゾ染料を含有することを特徴とする画像形成用着色組成物。
2.アゾ染料が下記一般式(1)で表されることを特徴とする上記1に記載の画像形成用着色組成物。
一般式(1)
Aは、5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。
B1およびB2は、各々−CR1=、−CR2=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CR1=または−CR2=を表す。
R5,R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表わす。各基は更に置換基を有していてもよい。
G、R1,R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルおよびアリールチオ基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。各基は更に置換されていてもよい。
また、R1とR5、あるいはR5とR6が結合して5〜6員環を形成してもよい。
3.アゾ染料が下記一般式(2)で表されることを特徴とする上記1または2に記載の画像形成用着色組成物。
一般式(2)
Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。
Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。
R1、R2,R5,R6は、一般式(1)の場合と同義である。
R3,R4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。
上記Z1、Z2、R1〜R6、Qの各基は、更に置換基を有していてもよい。
4.下記一般式(AZ-1)で表されるアゾ染料を含有することを特徴とする画像形成用着色組成物。
5.上記4においてアゾ染料が下記一般式(AZ-2)で表されることを特徴とする画像形成用着色組成物。
6.前記一般式(AZ-2)で表されるアゾ化合物において、U環は置換または無置換のベンゼン環を表し、T環はチアゾール環、イミダゾール環またはオキサゾール環を表し、U環とT環は縮合可能位置で合わさって縮合環を形成するものとし、J環はそれぞれ置換または無置換のピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ベンゼン環またはピリミドン環を表し、L環はそれぞれ置換または無置換のベンゼン環、ピリジン環、またはピラゾール環を表し、M環は置換または無置換の芳香環、または含窒素6員複素環を表す。1,2,3および4は原子に定義された番号を表し、この4原子で定義される二面角1-2-3-4が、量子化学計算によって求められた、エネルギー的に最も安定となる立体構造において45°ないし135°の範囲に計算されることを特徴とする、上記5に記載の画像形成用着色組成物。二面角を求めるための量子化学計算は、汎用的に用いられるB3LYP法(密度汎関数法)において6-31G*以上の基底関数を用いて行うものとする。
7.前記一般式(AZ-1)および(AZ-2)で表されるアゾ色素化合物において、量子化学計算により求められた、エネルギー的に最も安定となる立体構造において、2面角1-2-3-4で定義される角度が60°から120°の範囲にあることを特徴とする、上記4および5に記載の画像形成用着色組成物。
8.上記2〜8のいずれかに記載の着色組成物からなることを特徴とするインクジェット記録用インク、感熱記録材料、カラートナー、またはカラーフィルター。
9.支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に、上記8に記載のインクジェット記録用インクを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明の上記着色組成物を用いたインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法は、良好な色相を有し、しかも光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができる。
本発明の上記着色組成物から形成された感熱記録材料は、光堅牢性に優れ、色相が鮮な画像を与える。
本発明の上記着色組成物から形成されたカラートナーは、光堅牢性に優れ、忠実な色再現と高いOHP品質を示す。
また、本発明の上記着色組成物から形成されたカラーフィルターは、色再現性および光堅牢性に優れる。
〔アゾ染料〕
まず、本発明における上記一般式(1)で表されるアゾ染料について詳細に説明する。
一般式(1)において、 Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。 該5員複素環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。好しくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。
Aの好ましい複素環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は更に置換基を有していてもよい。なかでも、下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
上記一般式(a)〜(f)のうち、好ましいのは一般式(a)、(b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(a)で表されるピラゾール環である。
B1およびB2は、各々−CR1=、−CR2=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CR1=または−CR2=を表すが、各々−CR1=、−CR2=を表すものがより好ましい。
R5、R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。 R5、R6で表される好ましい置換基は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルおよびアリールスルホニル基を挙げることができる。
さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していてもよい。 ただし、R5、R6が同時に水素原子であることはない。
R1とR5あるいはR5とR6が結合して5〜6員環を形成してもよい。
A、R1、R2、R5、R6、Gで表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G,R1,R2で挙げた置換基を挙げることができる。
一般式(1)で表されるアゾ染料が水溶性染料である場合には、A、R1、R2、R5、R6、G上のいずれかの位置に置換基としてイオン性親水性基をさらに有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、および4級アンモニウム基等が含まれる。該イオン性親水性基としては、カルボキシル基およびスルホ基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。カルボキシル基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルグアニジウムイオン)が含まれる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニルおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
複素環基には、置換基を有する複素環基および無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましい。置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
アルキルおよびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメタンスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基をあげることができる。
R3、R4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。なかでも、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキル及びアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。
Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。なかでも、Qは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。この5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。そのなかでも、特に芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子および炭素原子が挙げられる。5〜8員環の具体例としては、例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環およびチアン環等が挙げらる。
ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL. P. Hammett により提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J. A. Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry 」第12版、1979年(McGraw-Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(1)および(2)の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明において、σp値をこのような意味で使用する。
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
(イ)R5およびR6は、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R5およびR6が共に水素原子であることは無い。
(ロ)Gは、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基であり、最も好ましくは水素原子、アミノ基、アミド基である。
(ハ)Aは、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらに好ましくはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
(ニ)B1およびB2は、それぞれ−CR1=、−CR2=であり、そしてこれらR1、R2は、各々好ましくは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、シアノ基、カルバモイル基、アルキル基である。
〔合成例1〕:染料(a−1)の合成
5−アミノ−3−tert−ブチル−4−シアノピラゾール(1)8g(48.7mmol)、濃塩酸15ml、水50mlを内温5度で撹拌し、亜硝酸ナトリウム3.36g(48.7mmol)を10分間で分割添加した。そのまま10分間撹拌後、カップリング成分(2)21.3g(40.6mmol)に酢酸ナトリウム50g、DMF(ジメチルホルムアミド)50ml、酢酸エチル50mlを加えて撹拌し、内温5度に冷却してあった三つ口フラスコに上記ジアゾニウム塩を10分間で加えた。ジアゾニウム塩添加後、さらに反応液をそのまま30分撹拌した後、飽和食塩水300mlを加え、析出した染料(a-1a)を濾別した。収量24.2g、収率85%。<染料(a−1)の合成> 染料(a-1a)14.0g(20mmol)に、ヘテリル化剤(3)4.4g(26mmol)、炭酸カリウム2.8g、DMAc50mlを加え、100℃で1時間加熱撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、飽和食塩水200mlを加え、析出した染料(a-1)を濾別した。さらにこの粗結晶をアセトニトリルで再結晶した。収量16.7g、収率80%。λmax=545nm(DMF溶液) m/z(posi)=834
本発明の染料は、その用途に適した溶解性、分散性、熱移動性などの物性を、置換基で調整して使用する。また、本発明の染料は、用いられる系に応じて溶解状態、乳化分散状態、さらには固体分散状態でも使用することができる。
量子化学計算の理論を一言でいうと、電子の運動エネルギー、電子同士の相互作用、電子と原子核との相互作用、原子核同士の相互作用を分子全体について計算し、全体のエネルギーが最も低くなる立体構造を求めることができる計算手法である。エネルギーが最も低い立体構造とは、簡単にいえば、その立体構造で分子が存在することを意味する。理論に関する詳細は、単行本として、米沢貞次郎他著「量子化学入門(上、下)」(化学同人、1983年発行)、務台潔著「量子化学・分子軌道法入門」(昭晃堂、1991年発行)、広田穣著「分子軌道法」(裳華房、1999年発行)および、Tim Clark著、 大沢映二ほか共訳「計算化学ガイドブック 3大分子計算プログラムの解説」(丸善、1988年発行)、など多数のテキストが市販されている。
以下に具体的な例で説明する。一般式(AZ-1)において定義された2面角は、以下においてカッコ内数字(度)で示す。以下でREF1およびREF2は比較のため計算した本発明以外の例である。Dで始まる番号の色素は本発明のアゾ色素化合物である。以下の計算結果はいずれも米国Gaussian社のプログラムパッケージを用いて、B3LYP法により6-31G*の基底関数で計算した結果である。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
本明細書においては、吸光度比は下記の条件のもとで得られる吸光度比を指している。すなわち、JIS Z8120−86の定義に準拠する分光光度計によって、測定温度を15〜30℃の範囲から選択し、測定セル長10mmとし、本発明のアゾ化合物を一定量(分子量に換算)秤量して、DMFで希釈して目的吸光度内(吸光度a及び吸光度bのいずれか大きい値が0.8〜1.0の範囲内)に入るように希釈して分光吸収曲線を求め,求めた分光吸収曲線の500nmから580nmに至る吸収帯内の最大吸光度bと、380nm〜450nmに至る吸収帯内の最大吸光度aとの比a/bをもって吸光度比とする。
インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に前記アゾ染料を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有される。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤
(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相または水相に添加してもよい。
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
適用できるイエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
本発明の染料を導入するカラートナー用バインダー樹脂としてはトナー用に一般に使用される全てのバインダーが使用できる。例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
トナーに対して流動性向上や帯電制御等を付与する目的で、無機微粉末、有機微粒子を外部添加してもよい。表面をアルキル基含有のカップリング剤等で処理したシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましく用いられる。なお、これらは数平均一次粒子径が10〜500nmのものが好ましく、さらにはトナー中に0.1〜20質量%添加するのが好ましい。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に本発明の染料をバインダーとともに塗設したインクシート、及び画像記録信号に従ってサーマルヘッドから加えられた熱エネルギーに対応して移行してきた染料を固定する受像シートから構成される。インクシートは、上記染料をバインダーと共に溶剤中に溶解することによって、あるいは溶媒中に微粒子状に分散させることによってインク液を調製し、該インクを支持体上に塗布して適宜に乾燥することにより形成することができる。
用いることができるバインダー樹脂、インク溶媒、支持体、更には受像シートについては、例えば特開平7−137466号公報に記載されたものを好ましく用いることができる。
カラーフィルターの形成方法としては、初めにフォトレジストによりパターンを形成し、次いで染色する方法、或いは特開平4−163552号、特開平4−128703号、特開平4−175753号等の各公報で開示されているように、着色剤を添加したフォトレジストによりパターンを形成する方法がある。本発明の染料をカラーフィルターに導入する場合に用いられる方法としては、これらのいずれの方法を用いてもよいが、好ましい方法としては、特開平4−175753号や特開平6-35182号公報に記載されている方法、即ち、熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、着色剤及び溶剤を含有してなるポジ型レジスト組成物を基体上に塗布後、マスクを通して露光し、該露光部を現像してポジ型レジストパターンを形成させ、上記ポジ型レジストパターンを全面露光し、次いで露光後のポジ型レジストパターンを硬化させることからなるカラーフィルターの形成方法を挙げることができる。また、常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGB原色系あるいはY.M.C補色系カラーフィルターを得ることができる。
〔実施例1〕
(水性インクの調製)
下記の成分に脱イオン水を加えて1Lとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹
拌した後、必要に応じてKOH10mol/LにてpH=9に調整し、平均孔径0.25
μmのミクロフィルターを用いて加圧濾過して、インク液Aを調製した。
−インク液Aの組成−
・本発明のアゾ化合物(例示化合物a−26) 8.5g/L
・ジエチレングリコール 150g/L
・尿素 37g/L
・グリセリン 130g/L
・トリエチレングルコールモノブチルエーテル 130g/L
・トリエタノールアミン 6.9g/L
・ベンゾトリアゾール 0.08g/L
・サーフィノール465 10g/L
・PROXEL XL 3.5g/L
インク液A〜Lを用いて、インクジェットプリンター(PM−700C、セイコーエプソン(株)製)で、フォト光沢紙(富士フイルム(株)製インクジェットペーパー、スーパーフォトグレード)に画像を記録した。
得られた画像について、色相と光堅牢性および耐オゾンガス性を評価した。
色相については、目視にて最良、良好及び不良の3段階で評価した。評価結果を下記表15に示す。下記表15中、〇は色相が最良;△は良好であったことを示し、×は色相が不良であったことを示す。
(試料201の作製)
アゾ染料(具体例b−1;油溶性染料)4.83g、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム7.04gを、下記高沸点有機溶媒(s−2)4.22g、下記高沸点有機溶媒(s−11)5.63g及び酢酸エチル50ml中に70℃にて溶解させた。この溶液中に500mlの脱イオン水をマグネチックスターラーで撹拌しながら添加し、水中油滴型の粗粒分散物を作製した。次にこの粗粒分散物を、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC)にて600barの圧力で5回通過させることで微粒子化を行った。更にでき上がった乳化物をロータリーエバポレーターにて酢酸エチルの臭気が無くなるまで脱溶媒を行った。こうして得られた疎水性染料の微細乳化物に、ジエチレングリコール140g、グリセリン50g、SURFYNOL465(AirProducts&Chemicals社)7g、脱イオン水900mlを添加してインクを作製した。
試料201のアゾ染料(具体例b−1;油溶性染料)を下記表15のアゾ染料
(油溶性染料)に変更した以外は、試料201と同様に試料202〜210を作製した。こうして得られた試料201〜210の乳化分散インクの体積平均粒子サイズをマイクロトラックUPA(日機装株式会社)を用いて測定した。この結果を下記表16に示す。
インク試料201〜210及び比較試料(インクI〜L)について下記評価を行った。その結果を下記表16に示す。
尚、表16において、「色調」、「紙依存性」、「耐水性」及び「耐光性」は、各インクジェット用インクを、インクジェットプリンター(EPSON(株)社製;PM−700C)でフォト光沢紙(富士写真フイルム(株)製;インクジェットペーパー、フォトグレード)に画像を記録した後で評価したものである。
記録した画像の390〜730nm領域のインターバル10nmによる反射スペクトルを測定し、これをCIE L*a*b*色空間系に基づいて、a*、b*を算出した。マゼンタとして好ましい色調を下記のように定義し、下記A、B、Cの三段階評価を行った。
好ましいb*:−30以上0以下A:a*、b*ともに好ましい領域B:a*、b*の一方のみ好ましい領域C:a*、b*のいずれも好ましい領域外
前記フォト光沢紙に形成した画像と、別途にPPC用普通紙に形成した画像との色調を比較し、両画像間の差が小さい場合をA(良好)、両画像間の差が大きい場合をB(不良)として、二段階で評価した。
前記画像を形成したフォト光沢紙を、1時間室温乾燥した後、30秒間水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みが無いものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして、三段階評価した。
前記画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を3日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。
何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1または2点が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階評価した。
前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に24時間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1又は2点が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階評価した。
実施例2で作製した同じインクを、インクジェットプリンターBJ−F850
(CANON社製)のカートリッジに詰め、同機にて同社のフォト光沢紙GP−301に画像をプリントし、実施例2と同様な評価を行ったところ、実施例2と同様な結果が得られた。
本発明の染料(a−16)3質量部、トナー用樹脂〔スチレン−アクリル酸エステル共重合体;商品名 ハイマーTB−1000F(三洋化成製)〕100質量部をボールミルで混合粉砕後、150℃に加熱して溶融混和を行い、冷却後ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。更に分級して1〜20マイクロを選択し、トナーとした。このトナー10部に対しキャリヤー鉄粉(商品名 EFV250/400;日本鉄粉製)900部を均一に混合し現像剤とした。
同様に、表17に示す着色剤を、染料の場合は3質量部、顔料の場合は6質量部使用した以外は同様にしてサンプルを調製した。
これらの現像剤を用いて乾式普通紙電子写真複写機〔商品名 NP−5000;キャノン(株)製〕で複写を行った。
色相については、目視にて最良、良好及び不良の3段階で評価した。評価結果を下記表17に示す。下記表17中、〇は色相が最良;△は良好であったことを示し、×は色相が不良であったことを示す。
光堅牢性については、記録した直後の画像濃度Ciを測定した後、ウェザーメーター(アトラスC.165)を用いて、画像にキセノン光(8万5千ルクス)を5日間照射した後、再び画像濃度Cfを測定し、キセノン光照射前後の画像濃度の差から色素残存率({(Ci−Cf)/Ci}×100%)を算出し、評価した。画像濃度は反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定した。評価結果を下記表17に示す。下記表16中、色素残存率が90%以上の場合を〇、90〜80%の場合を△、80%未満の場合を×として示した。
日立製作所製「330型自記分光光度計」によりトナーが担持されていないOHP用シートをリファレンスとして画像の可視分光透過率を測定し、650nmでの分光透過率を求め、OHP画像の透明性の尺度とした。分光透過率が80%以上を○、70〜80%を△、70%以下を×とした。
以上の、結果を表17に示す。
<熱転写色素供与材料の作成>
支持体として裏面に耐熱滑性処理が施された厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人製)を使用し、フィルムの表面上に下記組成の熱転写色素供与層用塗料組成物をワイヤーバーコーティングにより乾燥時の厚みが1.5μmとなるように塗布形成し、熱転写色素供与材料(5−1)を作成した。
熱転写色素供与層用塗料組成物:
染料b−2 10ミリモル
ポリビニルブチラール樹脂 3g
(電気化学製デンカブチラール5000-A)
トルエン 40cc
メチルエチルケトン 40cc
ポリイソシアネート( 武田薬品製 タケネートD110N) 0.2cc
次に、上記染料b−2を表18に記載の他の染料に変えた以外は、上記と同様にして、本発明の熱転写色素供与材料及び比較用熱転写色素供与材料(5−2)〜(5−5)をそれぞれ作成した。
支持体として厚み150μmの合成紙(王子油化製YUPO−FPG−150)を用い、表面に下記受像層用塗料組成物をワイヤーバーコーティングにより乾燥時の厚さが8μmとなるように塗布して熱転写受像材料を作製した。乾燥は、ドライヤーで仮乾燥後、温度100℃のオーブン中で30分間行った。
受像層用塗料組成物:
ポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン−280) 22g
ポリイソシアネート(大日本インキ化学製KP−90) 4g
アミノ変性シリコーンオイル(信越シリコーン製KF−857) 0.5g
メチルエチルケトン 85cc
トルエン 85cc
シクロヘキサノン 15cc
次に、上記のようにして得られた記録済の各熱転写受像材料を5日間、Xeライト(17000ルクス)で照射し、色像の光安定性(光堅牢性)を調べた。ステータスA反射濃度1.0を示す部分の照射後のステータスA反射濃度を測定し、照射前の反射濃度1.0に対する残存率(百分率)でその安定度を評価した。結果を表18に記した。
以下の方法でカラーフィルターを製造した。
シリコンウエハーに熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、染料及び溶剤を含むポジ型レジスト組成物をスピンコートし、加熱により溶剤を蒸発させた後、マスクを通して露光を行い、キノンジアジド化合物を分解させた。必要により、加熱後、現像してモザイクパターンを得た。露光は日立製作所(株)製i線露光ステッパーHITACHI LD-5010-i(NA=0.40) により行った。又、現像液は住友化学工業(株)製SOPD又はSOPD-Bを用いた。
m−クレゾール/p−クレゾール/ホルムアルデヒド(反応モル比=5/5/7.5)混合物から得られたクレゾールノボラック樹脂(ポリスチレン換算重量平均分子量4300)3.4質量部、下式
得られたポジ型レジスト組成物をシリコンウエハーにスピンコートした後、溶剤を蒸発させた。シリコンウエハーを露光後、100℃で加熱し、次いでアルカリ現像により露光部を除去して0.8μmの解像度を有するポジ型着色パターンを得た。これを全面露光後、150℃で15分加熱してマゼンタの補色系カラーフィルターを得た。
上記実施例で用いた本発明のマゼンタ染料に変えて、チバガイギー社製オラゾールピンク(マゼンタ染料)1質量部を混合してポジ型レジスト組成物を得た。このポジ型レジスト組成物をシリコンウエハーにスピンコートした後、溶剤を蒸発させた。シリコンウエハーを露光後、アルカリ現像して1μmの解像度を有するポジ型着色パターンを得た。これを全面露光後、150℃で10分加熱して比較用マゼンタカラーフィルターを得た。
得られたマゼンタカラーフィルターの透過スペクトルを測定し、色再現上重要なスペクトルの短波側、長波側の切れを相対評価した。スペクトルを重ねて長波側、短波側共に切れが急峻の場合を○とし、どちらか一方のみが急峻の場合を△とし、どちらも急峻でない場合を×とし、三段階評価を行った。
また、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を7日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を測定し、色素残存率で光堅牢性を評価した。
結果を表19に示した。
比較用カラーフィルターと比べて、本発明の染料を用いたカラーフィルターは、スペクトルの短波側、長波側の切れが急峻であり、色再現性に優れる。また、比較化合物に対し光堅牢性が優れている。
Claims (6)
- 芳香族含窒素6員複素環をカップリング成分とする、下記一般式(2)で表されるアゾ染料を含有することを特徴とする画像形成用着色組成物。
一般式(2)
Z 1 は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。
Z 2 は、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。 R 1 、R 2 は、水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基およびシアノ基を表す。
R 3 ,R 4 は、各々独立に、水素原子、芳香族基または複素環基を表す。
R 5 、R 6 は、水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R 5 、R 6 が同時に水素原子であることはない。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。
上記Z 1 、Z 2 、R 1 〜R 6 、Qの各置換基は、更にハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルおよびアリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、又はスルファモイル基から選ばれる置換基を有していてもよい。 - 請求項1に記載の着色組成物からなることを特徴とするインクジェット記録用インク。
- 請求項1に記載の着色組成物からなることを特徴とする感熱記録材料。
- 請求項1に記載の着色組成物からなることを特徴とするカラートナー。
- 請求項1に記載の着色組成物からなることを特徴とするカラーフィルター。
- 支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に、請求項2に記載のインクジェット記録用インクを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
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