この発明は、近距離にて単一指向性かつ広帯域性を有し、遠距離にて狭帯域性を有する2周波の共振型アンテナ動作をする非対称平面アンテナ、その製造方法及びこのアンテナを用いた信号処理ユニットに関する。詳しくは、絶縁性の基板又は絶縁層上に設けられた導電性の給電パターンから延在した導電性のアンテナパターンを備え、このアンテナパターンに関し、給電パターンを基準にして、その左右を非対称な形状に構成して、アンテナ反射特性における周波数共振点を調整できるようにすると共に、方形非対称平面アンテナの比帯域幅を基準にした帯域に比べて非対称平面アンテナの帯域を拡大できるようにしたものである。
従来から、アンテナは携帯性を必要とする電子機器や、通信ケーブルを配線し難い宅内、構内及びビルといった遠隔間の通信機器等に使用されることを想定して設計開発される場合が多い。つまり、如何に効率的に電波を遠方へ放射するかを目的にしてアンテナ開発設計される場合が多く、基本的な設計では、遠方界への電波の放射を考えるものである。このようなアンテナ開発の中で、広帯域性を有する設計として広い周波数に渡って定インピーダンス性を示すものが広帯域性を有したアンテナとなることがあり、自己相似アンテナや自己補対アンテナ等が開発されるに至っている。
一般に、アンテナは、ある方向からの電波をその指向性により感度良く拾い、その他の方向からの電波を拾わないことが好ましい。しかし、送信アンテナから放射された電波又は他の電子部品等から放射された電波は、金属でほぼ囲まれたような環境下では、電波の多重反射を引き起こし、マルチパスを形成する。
マルチパスによる信号劣化が多く発生する環境の例としては、アンテナ及びアンテナを含む信号処理基板又はLSI装置が金属にほぼ囲まれる環境下である。このようなマルチパスにおいて入力される電波と直接到来する電波とを受信アンテナで見れば、その波形は、どの波形が所望のものかわからないので、信号品質を劣化させる要因となるのである。
図37は、従来例に係る長方形パッチアンテナ10”の構成例を示す上面図である。図37に示す長方形パッチアンテナ10”は、図示しない接地層(以下GND層という)及び絶縁体7が積層された多層基板8上に長方形状のアンテナパターン6を有して構成される。長方形パッチアンテナ10”は、アンテナパターン6の下層に絶縁層を介してGND層を有しているので、狭帯域性を示すものである。アンテナパターン6は、使用周波数の波長をλとしたとき、長手方向の長さがλ/2を有している。給電パターン1の中心を基準にして左右λ/4に区分したとき、左側のλ/4の形状と、右側のλ/4の形状とが同じになるものである。
この種の長方形パッチアンテナ10”に関連して、特許文献1には、超広帯域通信用のアンテナが開示されている。このアンテナによれば、基板上にパッチ及びグランド領域を備えて構成される。パッチは基板よりも小さく形成され、フィーダを介して電流が供給されると、励起してエネルギーを放射するようになされる。グランド領域は、基板の表面のパッチ以外を領域を除去して広帯域性を有するようになされている。このようにアンテナを構成すると、超広帯域通信周波数帯域で、しかも、小型化、軽量化、高性能化及び安価化が可能なフラットパッチアンテナを提供できるというものである。
また、長方形パッチアンテナ10”を実装した電子機器に関連して、特許文献2には、電子機器が開示されている。この電子機器によれば、本体ケース(筐体)を有し、この本体ケースには機器構成ユニットを有するマザーボードが配置される。更に、他の機器構成ユニットを構成するドーターボードが備えられ、各々の機器構成ユニットには広帯域通信チップが設けられる。また、本体ケースの内部を電波吸収体で覆い、機器構成ユニット間で通信ノイズとなる電磁波を吸収するようになされる。このように電子機器を構成すると、設計余裕度を向上できると共に、機器構成ユニット間で高速データ伝送できるというものである。
特開2005−192183号公報(第4頁 図1)
特開2004−220264号公報(第3頁 図1)
ところで、従来例に係る信号処理ユニットによれば、マルチパスによる信号劣化を解決する手段の1つとして、信号処理基板とアンテナを用い、アンテナを近接させ、近傍にて無線通信する方法が考えられるが、以下のような問題がある。
i.図37に示した狭帯域性を有する従来方式の長方形パッチアンテナ10”をそのまま使用した場合に、アンテナ及びアンテナを含む信号処理基板、又は、LSI装置が金属にほぼ囲まれる環境、当該長方形パッチアンテナ10”を実装した信号処理基板又はLSI装置を複数配置したことによる金属にほぼ囲まれる環境で、この問題を解決に至っていないのが現状である。このような環境は金属が電波を反射する為マルチパスによって信号の劣化が発生する。
ii.また、狭帯域性を有した長方形パッチアンテナ10”は、遠距離に電波を伝達することを想定して、アンテナ設計されるからである。つまり、長方形パッチアンテナ10”は、基本的には遠方界を用いて評価・設計されるもので、アンテナが近傍や近接した環境に配置された状態で使用されることを想定して作られるものではないことによる。従って、このような設計方法を採ると、アンテナと金属との相互関係で設計したアンテナ特性を容易に保つことができなくなる。
iii.さらに、特許文献1に見られるようなフラットパッチアンテナによれば、アンテナパターンと給電線の間に整合回路が配置されることが多く、LSIのピンから直接アンテナへ給電することができなかった。
iv.一般に、LSI装置を安定動作させるために、LSI装置のGND層は、比較的面積を大きく取る方法が採られる場合が多い。しかし、高密度実装を考慮してLSI装置上にアンテナパターンをマウント(形成)しようとした場合、特許文献1に記載されているような構造であると、GND領域を削らなくてはならない。従って、アンテナパターンとLSI装置とを同一平面に設けたり、又は、LSI装置の上方にアンテナパターンを配置することが困難となる。
v.さらに、アンテナが実装される基板またはLSI装置の近傍に金属物が近づくとそれにより特性が劣化してしまうので、単一指向性を有するアンテナが必要となる。この点、特許文献2に見られるような広帯域通信チップを用いて広帯域無線通信処理を行う場合、電波吸収体によって、ある程度の通信ノイズとなる電磁波を吸収するようになされる。
しかし、電子機器における使用周波数が高くなり、無線通信で取り扱われる情報量が多くなると、例えば、映像の連続性を考慮したとき、それを短時間でリアルタイムに伝送しなくてはならない。従って、無線通信時、情報を多量に伝送するためには、アンテナが広帯域性を有すると共に単一指向性を有して機器構成ユニット間で、マルチメディアの伝送を行えるようにしなくてはならない。
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決するものであって、平面アンテナの形状を工夫して、アンテナ反射特性における周波数共振点を調整できるようにすると共に、長方形パッチアンテナの比帯域幅を基準にした帯域に比べて新たな平面アンテナの帯域を拡大できるようにした非対称平面アンテナ、その製造方法及び信号処理ユニットを提供することを目的とする。
上述した課題は、絶縁性の基板又は絶縁層上に設けられた導電性の給電パターンと、この給電パターンから延在した導電性のアンテナパターンとを備え、アンテナパターンは、給電パターンを基準にして左右非対称な形状を有してなることを特徴とする非対称平面アンテナによって解決される。
本発明に係る非対称平面アンテナによれば、絶縁性の基板又は絶縁層上に導電性の給電パターンが設けられ、この給電パターンから導電性のアンテナパターンが延在するようになされる。これを前提にして、アンテナパターンは、給電パターンと直交する方向に延びる使用周波数の波長の1/2の長さの長手方向の辺を有し、長手方向の辺の両端から給電パターン側に向かって平行に延びる短手方向の辺を有し、給電パターンを基準として、右側の短手方向の辺と給電パターンとの間に階段形状が形成されるとともに、左側の短手方向の辺と給電パターンとの間に階段形状が形成されており、給電パターンの右側の階段形状と給電パターンの左側の階段形状とが異なるものとなることで、給電パターンを基準にして左右非対称な形状を有してなる。
従って、アンテナ反射特性における周波数共振点を調整できるようになるので、長方形パッチアンテナの比帯域幅を基準にした帯域に比べて本発明の非対称平面アンテナの帯域を拡大することができる。つまり、本発明の非対称平面アンテナは、LSI装置が実装される基板上、又は、LSI装置内部において、LSI装置との接続容易性を保ち、かつ、比帯域幅が11%以上の広帯域性と、整合回路をアンテナパターン内に有する遠方界以外の条件で動作する、ある程度の指向性を持ったものである。そのアンテナ特性は、アンテナの積層構造とアンテナパターンとがマルチパスに対して効果を発揮するようになされる。これにより、電子機器内部におけるアンテナ配置を自由にすることと、配線に伴うコスト要因を減少させることを可能とする。
本発明に係る非対称平面アンテナの製造方法は、絶縁性の基板又は絶縁層上に導電性の給電パターンを形成する工程と、給電パターンから延在するアンテナパターンであって、当該給電パターンを基準にして非対称な形状の導電性のアンテナパターンを絶縁性の基板又は絶縁層上に形成する工程とを有し、アンテナパターンは、給電パターンと直交する方向に延びる使用周波数の波長の1/2の長さの長手方向の辺を有し、長手方向の辺の両端から給電パターン側に向かって平行に延びる短手方向の辺を有し、給電パターンを基準として、右側の短手方向の辺と給電パターンとの間に階段形状が形成されるとともに、左側の短手方向の辺と給電パターンとの間に階段形状が形成されており、給電パターンの右側の階段形状と給電パターンの左側の階段形状とが異なるものとなることで、給電パターンを基準にして非対称な形状となることを特徴とするものである。
本発明に係る非対称平面アンテナの製造方法によれば、周波数共振点が調整されたアンテナ反射特性を有する非対称平面アンテナを製造することができる。つまり、本発明ではガラスエポキシやテフロン(登録商標)やセラミックス等を基材にする一般的な多層基板上に、レイアウト可能な広帯域性のアンテナパターンを有し、その下層に絶縁層を介して接地層を有した非対称形状の平面アンテナを製造することができる。
本発明に係る信号処理ユニットは、非対称平面アンテナに接続されて信号処理をする信号処理ユニットにおいて、非対称平面アンテナは、絶縁性の基板又は絶縁層上に設けられた導電性の給電パターンと、この給電パターンから延在した導電性のアンテナパターンとを備え、アンテナパターンは、給電パターンと直交する方向に延びる使用周波数の波長の1/2の長さの長手方向の辺を有し、長手方向の辺の両端から給電パターン側に向かって平行に延びる短手方向の辺を有し、給電パターンを基準として、右側の短手方向の辺と給電パターンとの間に階段形状が形成されるとともに、左側の短手方向の辺と給電パターンとの間に階段形状が形成されており、給電パターンの右側の階段形状と給電パターンの左側の階段形状とが異なるものとなることで、給電パターンを基準にして非対称な形状を有してなることを特徴とするものである。
本発明に係る信号処理ユニットによれば、非対称平面アンテナに接続して信号処理をする場合に、本発明に係る非対称平面アンテナが応用されるものである。従って、長方形パッチアンテナに比べて反射特性を改善することができ、遠方界以外の条件で動作可能な非対称平面アンテナを使用した、最も効率的な近接無線通信処理ができるようになる。つまり、本発明に係る信号処理ユニットによれば、筐体内に、無線通信時、利用できるLSI装置が実装される基板上又はLSI装置内部において、LSI装置との接続容易性を保ち、かつ、比帯域幅11%以上の広帯域性アンテナを有し、その広帯域性アンテナは、整合回路をアンテナパターンの近傍に有し、それを用いた電子機器内部における信号処理基板間で無線通信処理を実行できるようになる。
本発明に係る非対称平面アンテナによれば、絶縁性の基板又は層上に設けられた導電性の給電パターンから延在した導電性のアンテナパターンを備え、このアンテナパターンは、給電パターンと直交する方向に延びる使用周波数の波長の1/2の長さの長手方向の辺を有し、長手方向の辺の両端から給電パターン側に向かって平行に延びる短手方向の辺を有し、給電パターンを基準として、右側の短手方向の辺と給電パターンとの間に階段形状が形成されるとともに、左側の短手方向の辺と給電パターンとの間に階段形状が形成されており、給電パターンの右側の階段形状と給電パターンの左側の階段形状とが異なるものとなることで、給電パターンを基準にして左右非対称な形状を有してなるものである。
この構成によって、アンテナ反射特性における周波数共振点を調整できるようになるので、長方形パッチアンテナの比帯域幅を基準にした帯域に比べて本発明の非対称平面アンテナの帯域を拡大することができる。従って、長方形パッチアンテナに比べて反射特性を改善することができ、遠方界以外の条件で動作可能な指向性を有した非対称平面アンテナを提供できるようになる。
本発明に係る非対称平面アンテナの製造方法によれば、給電パターンを基準にして非対称な形状の導電性のアンテナパターンを絶縁性の基板又は絶縁層上に形成するようになされ、アンテナパターンは、給電パターンと直交する方向に延びる使用周波数の波長の1/2の長さの長手方向の辺を有し、長手方向の辺の両端から給電パターン側に向かって平行に延びる短手方向の辺を有し、給電パターンを基準として、右側の短手方向の辺と給電パターンとの間に階段形状が形成されるとともに、左側の短手方向の辺と給電パターンとの間に階段形状が形成されており、給電パターンの右側の階段形状と給電パターンの左側の階段形状とが異なるものとなることで、給電パターンを基準にして非対称な形状となされる。
この構成によって、周波数共振点が調整されたアンテナ反射特性を有する非対称平面アンテナを製造することができる。
本発明に係る信号処理ユニットによれば、非対称平面アンテナに接続して信号処理をする場合に、本発明に係る非対称平面アンテナが応用されるものである。
この構成によって、長方形パッチアンテナに比べて反射特性を改善することができ、遠方界以外の条件で動作可能な非対称平面アンテナを使用した、最も効率的な近接無線通信処理ができるようになる。しかも、LSI基板間の信号配線の引き回し工程から開放されるばかりか、LSI基板間で情報を高速伝送できるようになる。
続いて、この発明に係る非対称平面アンテナ、その製造方法及び信号処理ユニットの一実施の形態について、図面を参照しながら説明をする。
(1)非対称平面アンテナ
図1は、本発明に係る実施形態としての非対称平面アンテナ10の構造例を示す上面図である。
図1に示す非対称平面アンテナ10は、近距離にて単一指向性かつ広帯域性を有し、遠距離にて狭帯域性を有する2周波の共振型アンテナ動作をするものである。非対称平面アンテナ10は、筐体内通信向けのアンテナと、例えば、GHz単位の使用周波数で動作する信号処理ユニットとを備えた電子機器に適用して好適である。
非対称平面アンテナ10は、絶縁性の基板4(又は絶縁層)上に逆さ山字形状のアンテナ本体を有して構成される。このアンテナ本体の逆さ山字形状は、本発明者が見出した形状であって、近距離にて単一指向性かつ広帯域性を有し、遠距離にて狭帯域性を有する等の機能項目を満足した形状である。アンテナ本体は、給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3を有している。
アンテナパターン3は、使用周波数の波長をλとしたとき、アンテナパターン3の長さaがλ/2を有している。aは給電パターン1と直交するアンテナパターン3の長手方向の長さである。アンテナパターン3の短手方向の長さはb(a>b)である。給電パターン1の中心を基準にして左右λ/4に区分したとき、左側のλ/4の階段形状と、右側のλ/4の階段形状とが異なるものである。但し、左右の約λ/4には本アンテナの使用周波数が広帯域であるので、使用周波数f=c/λには、帯域内のいずれかの波長を左右の約λ/4に選ぶようにする。つまり、長さaが広帯域なので複数の選択肢が存在する。
この例で、基板4のほぼ中央下方から上方には導電性の給電パターン1が設けられる。また、給電パターン1から上方に延在して導電性のアンテナパターン3が設けられ、給電パターン1を介して電流が供給されると、励起してエネルギー(電波)を放射するようになされる。給電パターン1とアンテナパターン3とを結ぶ部分がアンテナ整合パターン2となされている。アンテナパターン3は、給電パターン1を基準にして左右非対称な形状を有している。給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3は金、銀、銅、黄銅、青銅、白銅等の金属箔又は金属板、これらの金属層から構成される。
この例で、給電パターン1からアンテナパターン3へ至る部位が所定形状のアンテナ整合パターン2とされているので、整合回路を介在することなく、直接、半導体集積回路装置(以下でLSIという)からの配線を給電パターン1に接続して、LSIからの信号を給電パターン1に給電することができる。ここで言う整合回路とは、配線インピーダンスとアンテナパターン3とを整合させる回路をいう。
本発明では、非対称平面アンテナ10とLSIとの間に整合回路を挟む必要がなくなるので、非対称平面アンテナ10とLSIとの間の配線長を可能な限り短くすることができる。なお、アンテナパターン3の下地層は、多層基板または誘電体を金属層で挟んだ積層構造素子が使用される。多層基板には、通常の電子機器で使用されるものが使用できる。図1に示した基板4には、例えば、接地層をもつガラスエポキシやテフロン(登録商標)やセラミックス等を基材にする一般的な多層基板が使用される。
図2は、非対称平面アンテナ10に係るアンテナパターン3の積層例を示す断面図である。図2に示す非対称平面アンテナ10は、3層基板4上にアンテナパターン3を積層されて構成されるものである。3層基板4は、絶縁層(誘電体層)202、接地層(以下GND層という)203及び絶縁層204で構成される。
この例で、アンテナパターン3の下層には絶縁層202が設けられ、当該絶縁層202の下層には、更に大面積のGND層203が設けられる。GND層203の面積は、アンテナパターン3よりも十分大きいものである。これは、非対称平面アンテナ10が単一指向性を示すようにするためである。これにより、多層基板4に平行なアンテナパターン3が存在する面上の電子部品や機械部品等の機構部品をその特性に影響を与えない範囲で高密度に実装できるようになる。
このときも、大きな面積のGND層203が、それらの機構部品の安定及び安全動作に有意義に働く(役立つ)ようになる。GND層203には、アンテナパターン3と同様な金属の他に不純物を含んだ半導体GaAsや多結晶シリコン等も使用される。この大きなGND層203は、LSIのGND層と共用化でき、LSIの安定動作にも機能するようになる。
GND層203の下層には絶縁層204が設けられる。なお、絶縁層202上にはアンテナパターン3の他に配線層が設けられる。このアンテナパターン3から延在する配線層は、信号バスやコネクタ等と置き換えることができるので、電子機器の構成を簡素化できる特徴を有する。また、図中、最上層の絶縁層201は、レジスト層やシルク層等が使用され、この他に空気(誘電率=1)が代用できる。つまり、図2において、アンテナパターン3(金属層)と絶縁層(誘電体層)201とを入れ替え、絶縁層(誘電体層)202とGND層203とを各々入れ替えた構成にすることも可能である。また、アンテナパターン3を立体形状に発展させることも可能である。
図3は、他の非対称平面アンテナ10cに係るアンテナパターン3の積層例を示す断面図である。図3に示す他の非対称平面アンテナ10cは、多層基板上にアンテナパターン3を積層されて構成されるものである。多層基板4’は、通常の電子機器に用いられ、絶縁層(誘電体層)202、GND層203、絶縁層204、配線層205及び絶縁層206・・・その他の層で構成される。その他の層には、通常の電子機器において用いられる多層基板の材料が用いられる。
非対称平面アンテナ10cは、そのアンテナパターン3の裏側に絶縁層202を有し、その下層に大きな面積のGND層203を有している。これにより、非対称平面アンテナ10cは指向性を保持できるようになる。この例では、GND層203の下層に絶縁層204が設けられ、更に、絶縁層204の下層に配線層205を設けた多層構造を有している。配線層205は、図示しないLSI装置のピン又はその接続用の電極から引き出される。
非対称平面アンテナ10ではアンテナパターン3と配線層とが同一平面内に設けられるのに対して、非対称平面アンテナ10cではアンテナパターン3と配線層205とが異平面に設けられる点で構造が異なっている。なお、図3に示す絶縁層201は、図2に示した絶縁層201と同様にしてレジスト層やシルク層または空気である。
以下で、図2に示した3層基板4上のアンテナパターン3や、図3に示した多層基板4’上のアンテナパターン3に着目して非対称平面アンテナ10,10cについて説明をする。
図4は、本発明の非対称平面アンテナ10や10c等に対する比較例としての非対称平面アンテナ10’の構成例を示す上面図である。図4に示す非対称平面アンテナ10’は、図37に示した従来方式の長方形パッチアンテナ10”に対し、共振周波数を変化させる成分を追加して製作したものである。
アンテナパターン3’は、使用周波数の波長をλとしたとき、長手方向の長さがλ/2を有している。給電パターン1の中心を基準にして左右λ/4に区分したとき、左側のλ/4の形状と、右側のλ/4の形状とが異なるものである。右側のλ/4の形状から右に突出している部分は共振周波数を変化させる成分である。このようにアンテナパターンを非対称するには、パターンを減らす方法に限ることはなくパターンを付け加える方法であってもよい。但し、左右の約λ/4には本アンテナの使用周波数が広帯域であるので、使用周波数f=c/λには、帯域内のいずれかの波長を左右の約λ/4に選ぶようにする。
長方形パッチアンテナ10”は、その短辺の端から2つの電磁波を放射するので、2つの放射器を有すると考えられる。これを反射特性で考えると、2つの共振周波数を持つと考えることができる。
この比較例では、非対称平面アンテナ10’のアンテナパターン3’の短辺右端部の上下が欠けている。このように、アンテナパターン3’の左右の形状を変化させると、従来方式の長方形パッチアンテナ10”の2つの共振周波数(共振点)を例えば、低い周波数帯域に移動できるようになる。つまり、1つの共振周波数で電磁波を放射できる帯域を2つ重ね合わせることにより、2つの共振周波数で電磁波を放射できる帯域に拡大可能なことが見い出された。
このようなアンテナパターン3’と給電パターン1との整合条件を保ちながら、共振周波数を変化させる方法には、インダクタンス成分Lとキャパシタ成分Cと抵抗成分Rとを何らかの方法でアンテナパターン3’に加えるか、又は、アンテナパターン3’からこれらの成分を減らすことで対処できることが分かった。これから数GHz帯を例にして本発明の非対称平面アンテナの特性を説明するが、本発明の非対称平面アンテナの動作周波数は、説明に用いた帯域に限定されるものではなく、当該アンテナは、マイクロ波帯やミリ波帯等の様々な周波数帯において用いることができる。
図5は、長方形パッチアンテナ10”及び非対称平面アンテナ10’に係る反射特性の比較例を示す図である。図5に示す縦軸は、長方形パッチアンテナ10”や非対称平面アンテナ10’の反射特性S11[dB]である。横軸は、これらのアンテナの使用周波数[GHz]である。一点鎖線は、従来方式の長方形パッチアンテナ10”の反射特性Iであり、破線は、比較例としての非対称平面アンテナ10’の反射特性IIである。この非対称平面アンテナ10’の反射特性IIは、図37に示した従来方式の長方形パッチアンテナ10”の帯域AをBに改良したものである。
図中、従来方式の長方形パッチアンテナ10”の共振周波数は4.5GHzと、5.3GHzとを有している。比較例としての非対称平面アンテナ10’の共振周波数は4.4GHzと、5.0GHzを有している。この例では、搬送周波数を60GHz以上とし、情報伝送時に全帯域を使用しようとした場合、比帯域幅が11%以上となる場合を”広帯域性を有したアンテナ”と定義している。ここに比帯域幅とは、搬送波(キャリヤ)の使用周波数をfcとし、帯域幅をfbとしたとき、(fb/fc)×100[%]で与えられる。帯域幅fbは、アンテナの反射特性曲線が例えば、S11=−5.00E+00を切る上限周波数をfhとし、下限周波数をflとしたとき、fh−flで与えられる。
図中、矢印に示すように、長方形パッチアンテナ10”の帯域A(=帯域幅fb)が非対称平面アンテナ10’の帯域Bに広がっている。この例では、長方形パッチアンテナ10”の帯域Aは、4.75−4.3=0.45GHzである。非対称平面アンテナ10’の帯域Bは、5.2−4.2=1.0GHzである。
このように、従来方式の長方形パッチアンテナ10”に比べて、改良した非対称平面アンテナ10’では共振点の移動を利用して、帯域Aから帯域Bへ広げることができ、帯域Bは帯域Aの2倍強に改善されている。つまり、長方形パッチアンテナ10”の形状を変化させれば、共振周波数を変化させることができ、その共振周波数の変化により帯域Aから帯域Bのように改善できることが見出された。そこで、本発明者はアンテナパターン3(図37)の共振周波数を変化させる多くの解析を行なった。
その解析によれば、図37に示した従来方式の長方形パッチアンテナパターンが、実際には多数の共振点を有していることがわかった。従って、その多数の共振点を上手く利用することで、所望の帯域を持つ非対称平面アンテナ10等を設計できることが明確になった。本発明の実施形態では、このことを利用して遠方界以外の動作状態において、アンテナ内に整合回路パターンを有し、かつ、比帯域幅11%以上の広帯域を有し、アンテナ周辺に配置された電子部品や機械部品等による影響を受けない程度の単一の指向性を持つ、非対称平面アンテナ10を設計するための条件を見出した。これにより、本発明の非対称平面アンテナ10の実現に至ったものである。
図6は、長方形パッチアンテナ10”及び非対称平面アンテナ10に係る反射特性の比較例を示す図である。図6に示す縦軸は、従来方式の長方形パッチアンテナ10”や本発明の非対称平面アンテナ10等の反射特性S11[dB]である。横軸は、これらのアンテナの使用周波数[GHz]である。一点鎖線は、従来方式の長方形パッチアンテナ10”の反射特性Iであり、破線は、本発明に係る非対称平面アンテナ10の反射特性IIIである。この非対称平面アンテナ10の反射特性IIIは、図37に示した従来方式の長方形パッチアンテナ10”及び図4に示した比較例としての非対称平面アンテナ10’の帯域AやB等を帯域Cに改良したものである。非対称平面アンテナ10は広帯域アンテナとして機能する。広帯域アンテナは、単一指向性を有し、かつ、広帯域性を有し、遠方界以外で動作する。
図中、従来方式の長方形パッチアンテナ10”の共振周波数は4.5GHzと、5.3GHzとを有している。本発明に係る非対称平面アンテナ10の共振周波数は3.8GHzと、5.8GHzを有している。非対称平面アンテナ10の反射特性IIIによれば、S11=−5.00E+00を切る上限周波数fhが6.0[GHz]であり、下限周波数flが3.6[GHz]であり、帯域C(=帯域幅fb)は、2.4[GHz]である。
図6の矢印に示すように、長方形パッチアンテナ10”の帯域Aが非対称平面アンテナ10の帯域Cに改善されている。この例で、帯域Cは、図5に示した帯域Bの2.4倍に拡大され、帯域Aにあっては5.3倍に拡大されていることがわかる。このように、従来方式の長方形パッチアンテナ10”や比較例としての非対称平面アンテナ10’に比べて、本発明の非対称平面アンテナ10では共振点の移動を利用することにより、帯域幅fbを帯域Aから帯域Cへ広げることができた。
図7〜図9は、非対称平面アンテナ10における非対称なアンテナパターン3の形成例(その1〜3)を示す工程図である。
この実施形態では、非対称なアンテナパターン3の設計(形成)方法を最適化することで、図6に示したような広帯域の反射特性を有し、かつ、より良い整合状態に改善された非対称平面アンテナ10を形成できるようになる。
まず、図7Aに示すような長手方向がλ/2を有する長方形パッチアンテナ10”を2枚準備する。各々の長方形パッチアンテナ10”は、絶縁性の基板4又は絶縁層上で給電パターン1及びアンテナパターン3”を有してT字形状を成したものである。給電パターン1及びアンテナパターン3”は、絶縁基板上の銅箔をT字形状に残したものを使用した。もちろん、給電パターン1及びアンテナパターン3”は銅箔に限られることはなく、銅以外の金、銀、黄銅、青銅、白銅等の金属箔又は金属板、これらの金属層から形成されたものが使用できる。
次に、給電パターン1から延在するアンテナパターン3であって、図1に示したような給電パターン1を基準にして非対称な形状のアンテナパターン3を形成する。例えば、長方形パッチアンテナ10”を短冊状のブロックに分けてその短冊の面積を変化させる。これは、共振周波数を変化させる成分の追加又は減少を行なうためであり、共振周波数を変化させつつ設計項目を満足するアンテナを探索するためである。
例えば、長方形パッチアンテナ10”の列方向をm=13行に分割して短冊状のブロックに区分する。その後、図7Bに示す短冊状のブロックを、その行方向でn=8列に分割して格子状の小パッチに区分する。このm×n=104個の小パッチを左右非対称に抜いて行く方法により、共振周波数を移動するようにした(パターン探索方法)。
ここで小パッチの分割位置をpij(i=1〜n,j=1〜m,n=8,m=13)で示す。最初に図7Bに示すm×n個の小パッチの中から、図中○印で示す位置p13〜p113の小パッチを抜くと共に、位置p83〜p86及びp88〜p813の計21個の小パッチを抜く。小パッチの抜き取りは、領域を確定してエッチング液により銅箔を溶融剥離するか又は刃物により銅箔を削り取る方法により行う。
これにより、図8Aに示すような中途段階の非対称アンテナパターンA1(3)が得られる。この非対称アンテナパターンA1(3)の反射特性を測定する。反射特性は、同じ位置の小パッチを抜いた非対称平面アンテナを対峙させ、一方の非対称平面アンテナに任意の使用周波数(例えば、3GHz〜7GHz)の搬送波を給電し、他方の非対称平面アンテナで受信利得を測定して共振周波数が移動することを検証する方法により行う(図10参照)。
更に、図8Aに示す非対称アンテナパターンA1(3)の83個の小パッチの中から、図中○印で示す位置p45,p46,p55,p56,p65,p66,p75,p76及びp710〜p712の計11個の小パッチの各々を上述の方法により抜き取る。これにより、図8Bに示す非対称アンテナパターンA2(3)が得られる。この非対称アンテナパターンA2(3)の反射特性を測定する。
また、図8Bに示した非対称アンテナパターンA2(3)の72個の小パッチの中から、図中○印で示す位置p54,p510,p64,p610及びp74の計5個の小パッチを各々抜く。これにより、図9Aに示す非対称アンテナパターンA3(3)が得られる。この非対称アンテナパターンA3(3)の反射特性を測定する。
更に、図9Aに示した非対称アンテナパターンの67個の小パッチの中から、図中○印で示す位置p63,p611,p73,p711及びp712の計5個の小パッチの各々を上述の方法により抜き取る。これにより、図9B、すなわち、図1に示したような非対称アンテナパターン3を有する非対称平面アンテナ10が得られる。
図9Bに示す非対称平面アンテナ10は、図7Bに示したm×n=104個の小パッチの中から、所望の位置の48個の小パッチを除き、位置p11,p12,p21〜p213,p31〜p313,p41〜p44,p47〜p413,p51〜p53,p57〜p59,p511〜p513,p61,p62,p67〜p69,p612〜p613,p71,p72,p77〜p79,p613,p81,p82及びp87の計64個を残留させた非対称形状を有している。この非対称アンテナパターン3の反射(通過)特性を測定する。
図10は、非対称平面アンテナ10の透過特性の測定例を示す斜視図である。図10に示す非対称平面アンテナ10の透過特性の測定例によれば、図9Bに示した同じ位置の小パッチを抜いた2つの非対称平面アンテナ10a,10bを対峙させる。例えば、図10に示すように本発明の2つの非対称平面アンテナ10a,10bを離隔距離dを保持して面対称となるように配置する。
そして、一方の非対称平面アンテナ10aをアンテナ測定装置9の図示しない出力端子に接続し、その出力端子から非対称平面アンテナ10aに任意の使用周波数(例えば、3GHz〜7GHz)の搬送波を給電する。他方の非対称平面アンテナ10bをアンテナ測定装置9の入力端子に接続する。アンテナ測定装置9では、アンテナ間距離dを変化させたときの他方の非対称平面アンテナ10bの受信利得を測定して共振周波数が移動し、帯域幅fcが広がることを検証する。上記の本発明の非対称平面アンテナの設計方法は、シミュレータ上に図7Aの形状と図10の測定環境とを構築し、順次、最適な特性を探索するアルゴリズム、例えば組み合わせ問題等を用いる方法でも実現できる。
図11は、非対称平面アンテナ10bの透過特性例を示す図である。図11に示す透過特性例によれば、本発明の2つの非対称平面アンテナ10a,10bを面対称に配置してそのアンテナ間距離dを変化させたとき、非対称平面アンテナ10bの透過特性IV、Vを示している。
図11に示す縦軸は、非対称平面アンテナ10bの透過特性S21[dB]である。横軸は、これらのアンテナの使用周波数[GHz]である。実線は、一方の非対称平面アンテナ10aを固定し、対向した他方の非対称平面アンテナ10bを近距離に配置した場合の透過特性IVである。ここに近距離とは、使用周波数[GHz]にもよるがアンテナ間距離dを数十mm単位以下に設定して配置した場合をいう。破線は、一方の非対称平面アンテナ10aを固定し、対向した他方の非対称平面アンテナ10bを遠距離に配置した場合の透過特性Vである。遠距離とは、アンテナ間距離dを近距離以外に設定して配置した場合をいう。
図11において、非対称平面アンテナ10aから非対称平面アンテナ10bを遠ざけて、アンテナ間距離dを広げた場合、図10に示した通過特性Vにおける帯域Cの範囲内において、大きな凸状の垂下減衰域が生じており、通過帯域が減少していることがわかる。つまり、非対称平面アンテナ10bは、アンテナ間距離dを広げると通過帯域が変化するようになる。
この例で、非対称平面アンテナ10aから非対称平面アンテナ10bを遠ざけると、2つの透過特性に優れる帯域E1,E2が元の広帯域D内に表れ、非対称平面アンテナ10a,10bが各々の狭帯域性を示すようになる。ここにアンテナ間距離dに関して通過帯域が変化する領域を「遠方界」としたとき、通過帯域が変化しない領域を「遠方界以外」と定義する。
図12は、非対称平面アンテナ10a,10bの対向回転時の透過特性の測定例を示す図である。この測定例では、図12に示す2つの非対称平面アンテナ10a,10bを面対称に配置し、非対称平面アンテナ10aを固定すると共に、アンテナ間距離dを固定し、もう一方の非対称平面アンテナ10bを図中の原点”O”を中心にして角度0°、90°、180°と同一面内で回転したとき、当該非対称平面アンテナ10bの受信利得をアンテナ測定装置9で測定して共振周波数が移動するか、帯域幅fcが広がるかを検証した。その時の透過特性例を図13に示している。
図13は、非対称平面アンテナ10の回転時の透過特性例を示す図である。図13に示す透過特性例において、縦軸は、非対称平面アンテナ10bの透過特性S21[dB]である。横軸は、これらのアンテナの使用周波数[GHz]である。
図13に示す実線は、一方の非対称平面アンテナ10aを角度0°に固定し、対向した他方の非対称平面アンテナ10bを近距離に配置した場合の透過特性VIである。一点鎖線は、一方の非対称平面アンテナ10aを固定し、対向した他方の非対称平面アンテナ10b’を近距離に配置し、かつ、90°回転した場合の透過特性VIIである。破線は、一方の非対称平面アンテナ10aを固定し、対向した他方の非対称平面アンテナ10b”を近距離に配置し、かつ、180°回転した場合の透過特性IXである。
図13に示した非対称平面アンテナ10の回転時の透過特性例によれば、透過特性VIに示した回転角=0°の時に最も帯域が広くなっていることがわかる。また、透過特性VIIに示した回転角=180°のときに、最も伝送可能な帯域が減少している。透過特性IXに示した回転角=90°の時も、伝送可能な帯域が減少している。
このように、実施形態としての非対称平面アンテナ10によれば、絶縁性の基板4又は絶縁層上に給電パターン1が設けられ、この給電パターン1からアンテナパターン3が延在するようになされる。これを前提にして、アンテナパターン3は、給電パターン1を基準にして左右非対称な形状を有してなる。
この構造によって、アンテナ反射特性における周波数共振点を調整できるようになるので、長方形パッチアンテナ10”の比帯域幅を基準にした帯域Aに比べて本発明の非対称平面アンテナ10の帯域Cを拡大することができる。これにより、長方形パッチアンテナ10”に比べて反射特性をI→IIIに改善することができ、遠方界以外の条件で動作可能な単一の指向性を有した非対称平面アンテナ10を提供できるようになった。
そして、2つの非対称平面アンテナ10a,10bを面対称に配置したとき、最も広い帯域性を有し、さらに、非対称平面アンテナ10a,10bが異る角度に配置され、面対称に配置されていない場合は、帯域幅が減少する特徴を有し、各々の非対称平面アンテナ10a,10bを2つの狭帯域アンテナとして動作させることが可能となる。しかも、非対称平面アンテナ10a,10bは、面対称に対向して2枚のアンテナが配置された時に最も効率的な通信が可能となる。
また、非対称平面アンテナ10は、単一指向性を有しているので、アンテナ特性に影響を与える電子部品や機械部品等の機構部品からの電磁波の反射・屈折・回折等によるマルチパスに伴う信号劣化を抑圧することが可能となり、マルチパスによる信号劣化を軽減できるようになる。
更に、本発明の非対称平面アンテナ10は、単一指向性を有しているので、多層基板に平行なアンテナパターン3が存在する面上に電子部品や機械部品等の機構部品をアンテナの特性に影響を与えない範囲で高密度に実装できるようになる。しかも、非対称平面アンテナ10は単一指向性を有するので、無線伝送におけるマルチパスフェージングが発生する環境化で使用できる。例えば、非対称平面アンテナ10は金属で囲まれる環境化において使用することが可能となる。
また、図1に示した非対称平面アンテナ10によれば、本発明における形成(設計)方法を応用し、平面上において他形状にすることが可能であり、さらに高効率かつ広帯域のアンテナを作成することが可能となった。
なお、電子機器筐体内において、アンテナ間で近接近傍にて広帯域無線通信を行ない、遠方にて狭帯域無線通信を行なう目的で、その平面パターン形状の如何に関わらず、アンテナ本体内にアンテナ整合パターンを有し、比帯域幅11%以上の広帯域を遠方界以外で有し、アンテナ周辺に配置された電子部品や機械部品等による影響を受けない程度の単一の指向性を有し、遠方界以外において広帯域アンテナとして機能し、遠方界にて狭帯域アンテナとして機能するアンテナは、本発明における非対称平面アンテナ10に含まれるものとする。非対称平面アンテナ10は、その指向性により無線伝送処理において、マルチパスフェージングが発生する環境化で有効なアンテナ特性を発揮するようになる。
さらに、本発明の非対称平面アンテナ10に係るアンテナパターン形状は、当該技術に関係する技術者ならば3次元構造に拡張することが可能であるので、アンテナ間で近接近傍にて通信をする目的で、アンテナ本体内にアンテナ整合パターン(回路)を持ち、比帯域幅が11%以上の広帯域を有し、アンテナ周辺に配置された電子・機械部品による影響を受けない程度の単一指向性を有し、遠方界以外において動作する3次元に展開された、本発明に類似する非対称アンテナパターンを利用したアンテナも本発明に含まれるものとする。3次元立体構造において、本発明の設計手法を利用して本発明と同じ特性を有する3次元構造のアンテナも本発明に含まれるものとする。
[信号処理ユニット]
続いて、本発明に係る信号処理ユニットについて説明をする。各実施例では、本発明の非対称平面アンテナ10と信号処理用のLSI装置の接続例について説明する。非対称平面アンテナ10は、図7〜図9に示したパターン探索方法により形成できるので、遠方界以外の近接・近傍状態で動作する非対称平面アンテナ10を信号処理ユニットや電子機器の主要部とすることができる。また、遠距離に電波を飛ばすために設計したアンテナ特性を保ちながら非対称平面アンテナ10を筐体内に実装することができる。
図14は、非対称平面アンテナ10を応用した第1の実施例として信号処理ユニット100の構造例を斜視図である。この例では、一般的な多層基板または誘電体を金属層で挟んだ積層構造素子上に、本発明のアンテナパターン3をレイアウト(配置)してアンテナ11を形成し、このアンテナ11と信号処理手段の一例を構成する信号処理用のLSI装置12とを伝送線路15を用いて接続した場合である。つまり、アンテナパターン3とGND層13とで誘電体を挟み込んだ構造を成している。
図14に示す信号処理ユニット100は、多層基板14上にアンテナ11及びLSI装置12を備えて信号処理基板を構成し、アンテナ11とLSI装置12とが伝送線路15で接続されて信号処理をするようになされる。LSI装置12には内部に無線IC(半導体集積回路)を有したものが使用される。
アンテナ11には本発明に係る非対称平面アンテナ10が使用される。非対称平面アンテナ10は、絶縁層202’上に設けられた導電性の給電パターン1と、この給電パターン1から延在した導電性のアンテナ整合パターン2及びアンテナ整合パターン2から延在した導電性のアンテナパターン3を有して構成される。給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3には、銅箔が使用される。これらのパターン1〜3には銅箔に限られることはなく、銅以外の金、銀、黄銅、青銅、白銅等の金属箔又は金属板、これらの金属層から形成されたものが使用できる。
多層基板14は、最上層に絶縁層202を有しており、その下層にはアンテナパターン3の投影面積よりも大きな面積を有したGND層13を備えている。GND層13は、アンテナ11が単一指向性を有するように設けられる。GND層13の下層は、一般の多層基板と同様にして、図3に示したような絶縁層204、配線層205及び絶縁層206・・・が積層されて構成される。
アンテナ11に隣接して絶縁層202上にはLSI装置12が設けられ、アンテナパターン3とLSI装置12とが伝送線路15、給電パターン1及びアンテナ整合パターン2を通じて接続される。アンテナパターン3は、給電パターン1を基準にして非対称な形状を有してなる。このような非対称平面アンテナを実装すると、周波数共振点が調整されたアンテナ反射特性を有する非対称平面アンテナを利用した情報高速伝送処理を実現できるようになる。
続いて、信号処理ユニット100の製造方法について説明する。まず、GND層13を含む多層基板14を形成する。この例では、両面に銅箔を形成された両面銅箔基板(プリプレグ絶縁基板)や片面に銅箔を形成された片面銅箔基板を使用して、多層基板14を形成する。図3に示した多層基板4’によれば、片面銅箔基板の絶縁基板及び銅箔を利用して絶縁層206及び配線層205を形成する。例えば、配線パターンを象ったマスクを使用し、銅箔上にレジストをパターニングして、露光現像し、不要部分の銅箔を除去して、図示しない所定形状の配線層205を得るようになされる。
また、片面銅箔基板の絶縁基板及び銅箔を利用して絶縁層204及びGND層203を形成する。例えば、接地パターンを象ったマスクを使用し、銅箔上にレジストをパターニングして、露光現像し、不要部分の銅箔を除去して、図示しない所定形状のGND層203を得るようになされる。上述の2つの片面銅箔基板を積層することで、多層基板14を形成することができる。
次に、多層基板14上にアンテナ11及びLSI装置12を形成する。例えば、アンテナ11とLSI装置12とを別途形成して多層基板14上に接着する方法を採る。アンテナ11は、片面銅箔基板の絶縁基板及び銅箔を利用して絶縁層202’、給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3を形成する。給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3は、図7〜図9に示したパターン探索方法に基づいて見出された非対称形状に基づいて形成される。なお、アンテナ整合パターン2はアンテナパターン3に至る部位に同時に形成され、その形状は、アンテナパターン3と同時に探索され画定されている。
これらを条件にして、例えば、給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3を象ったマスクを使用し、銅箔上にレジストをパターニングして、露光現像し、不要部分の銅箔を除去して、図14に示すような非対称形状のアンテナパターン3を有するアンテナ11(=非対称平面アンテナ10)を得る。これにより、絶縁層202’上に形成された導電性の給電パターン1から延在するアンテナパターン3であって、当該給電パターン1を基準にして非対称な形状の導電性のアンテナパターン3を形成することができる。
この例では、アンテナ11を多層基板14上に接着剤を使用して接続される。また、LSI装置12には、当該信号処理用に予め準備された半導体チップ形状又はパッケージ形状のものが使用される。LSI装置12は、多層基板14上に接着剤を使用して物理的に接続される。このとき、LSI装置12の入出力ピンを多層基板14の配線層にコンタクトホールや、ビアホール、バンプ、ワイヤ等による接続方法を利用して電気的に接続(ボンディング)する。
次に、アンテナパターン3とLSI装置12とを伝送線路15により接続する。例えば、アンテナ11の給電パターン1と伝送線路用の配線層とをコンタクトホールや、ビアホールを介して接続する。コンタクトホールや、ビアホール等の内部には、例えば、導電材料を充填して熱処理するようになされる。これにより、多層基板14の一方の面に信号処理用のLSI装置12及び本発明のアンテナ11を配置した信号処理ユニット100を形成できるようになる。
このように、第1の実施例としての信号処理ユニット100によれば、アンテナ11とLSI装置12とを伝送線路15により接続して信号処理をする場合に、アンテナ11には、本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用されるものである。
従って、長方形パッチアンテナ10”に比べて、反射特性における帯域幅が約5倍に改善され、遠方界以外の条件で動作可能な非対称平面アンテナ10を使用した、最も効率的な近接無線通信処理ができるようになる。しかも、非対称平面アンテナ10を応用したアンテナ11によれば、給電パターン1からアンテナパターン3に至る部位には、配線インピーダンスの整合回路となるアンテナ整合パターン2が設けられるので、配線層205(図3参照)、又はLSI装置12と、直接、アンテナ11とを接続することができる。従って、LSI基板間の信号配線の引き回し工程から開放されるばかりか、LSI基板間で広帯域情報を高速伝送できるようになる。
この例では、アンテナパターン3の下層に絶縁層202’を形成する場合について説明したが、もちろん、これに限られることはなく、片面銅箔基板の絶縁基板及び銅箔を利用して絶縁層202’、給電パターン1、アンテナ整合パターン2、アンテナパターン3及び伝送線路用の配線層を同時に形成する。例えば、給電パターン1、アンテナ整合パターン2、アンテナパターン3、伝送線路用の配線パターン及びLSI入出力電極パターンを象ったマスクを使用し、銅箔上にレジストをパターニングして、露光現像し、不要部分の銅箔を除去して、図14に示すような所定形状を有した給電パターン1、アンテナ整合パターン2、アンテナパターン3、伝送線路用の配線パターン及びLSI入出力電極パターンを得るようになされる。これにより、絶縁層202を兼用できるので、アンテナ11のアンテナパターン3等の下層の絶縁層202’を省略できるようになる。
図15は、非対称平面アンテナ10を応用した第2の実施例として信号処理ユニット200の構造例を示す斜視図である。
この実施例の信号処理ユニット200では、LSI装置22の一部が非対称形状のアンテナ21を構成するように配置され、このアンテナ21に接続されて信号処理をするようになされる。この例では、信号処理LSI内の最上層(金属配線層上)に、本発明のアンテナパターン3を配置して、その下層の配線層をGND層23に適用した場合であって、信号処理LSIとアンテナ21とをビア又は伝送線路25にて接続した場合を例に挙げる。なお、GND層23とアンテナ21をレイアウトする層は、多層基板でも良いし誘電体を金属層で挟んだ積層構造素子であっても良い。
図15に示す信号処理ユニット200は信号処理LSIを構成し、絶縁層202上にアンテナ21が設けられる。アンテナ21には、本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用される。非対称平面アンテナ10は、絶縁層202上に設けられた導電性の給電パターン1と、この給電パターン1から延在した導電性のアンテナ整合パターン2及びアンテナ整合パターン2から延在した導電性のアンテナパターン3を有して構成される。アンテナパターン3は、給電パターン1を基準にして非対称な形状を有してなる。給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3には、第1の実施例と同様にして銅箔等が使用される。
絶縁層202下にはGND層23が設けられ、このGND層23の下層には、半導体集積回路層22’を備えられる。半導体集積回路層22’には、GaAs化合物半導体素子やSi素子等から成るトランジスタ回路や、信号処理用の回路素子を集積化したものが使用される。これらの回路素子の最上層には、例えば、図2や図3に示した絶縁層204に相当する、平坦化された図示しない保護絶縁層が設けられている。この保護絶縁層は、図2や図3に示した絶縁層204を代用している。半導体集積回路層22’には内部に無線IC(半導体集積回路)を有したものが使用される。
半導体集積回路層22’上には、アンテナパターン3よりも大きな面積のGND層23が設けられ、第1の実施例と同様にして、アンテナ21が単一指向性を有するようになされる。GND層23上には、絶縁層202が積層されている。絶縁層202には伝送線路25が埋設されている。アンテナ21と半導体集積回路層22’とは伝送線路25で接続される。このような非対称平面アンテナを実装すると、配線を引き回すことなく、周波数共振点が調整されたアンテナ反射特性を有する非対称平面アンテナを利用した情報高速伝送処理を実現できるようになる。
続いて、信号処理ユニット200の製造方法について説明する。この例では、アンテナ21及びGND層23を有した中間基板と半導体集積回路層22’とを別途形成して、この中間基板と半導体集積回路層22’とを接着する方法を採る。まず、絶縁層202の一方の面にGND層23を有し、他方の面にアンテナパターン3を有する機能基板を形成する。
この例では、両面に銅箔を形成された両面銅箔基板を使用する。例えば、両面銅箔基板の一方の面に、伝送線用の配線パターンや、GND用の接地パターン等を象ったマスクを使用し、この面の銅箔上にレジストをパターニングして、露光現像し、不要部分の銅箔を除去して、図示しない配線層や、GND層23を得るようになされる。
また、両面銅箔基板の他方の面に、給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3を象ったマスクを使用し、その面の銅箔上にレジストをパターニングして、露光現像し、不要部分の銅箔を除去して、図15に示すような非対称形状のアンテナパターン3を有するアンテナ21(=非対称平面アンテナ10)を得る。これにより、絶縁層202上に形成された導電性の給電パターン1から延在するアンテナパターン3であって、当該給電パターン1を基準にして非対称な形状の導電性のアンテナパターン3を形成することができる。
更に、半導体集積回路層22’には、当該信号処理用に予め準備された半導体チップ形状又はパッケージ形状のものが使用される。半導体集積回路層22’の最上層には、図2や図3に示した絶縁層204に相当する保護絶縁層が平坦化されている。保護絶縁層には、伝送線路25に接続される電極が露出されている。この半導体集積回路層22’と、一方の面にアンテナパターン3等を有し、他方の面にGND層23及び伝送線路25を有した機能基板とを接着剤を使用して接続する。
接続面は、GND層側が半導体集積回路層22’の最上層側に向くように位置合わせされる。このとき、半導体集積回路層22’の入出力ピンと機能基板の伝送線路25とを半田バンプ等を利用して接続する。もちろん、これに限られることはなく、コンタクトホールや、ビアホール等に導電部材を充填し熱処理して接続してもよい。このように、上述の2つの部品を積層接合することで、半導体集積回路層22’上にGND層23及びアンテナ21を有した信号処理ユニット(信号処理LSI)200を形成できるようになる。
なお、半導体集積回路層22’の最上層は保護絶縁層に限られることはなく、多層配線構造のものであってもよい。この多層配線構造において、GND層23、絶縁層202及びアンテナパターン3を導入するようにしてもよい。このように、同一の半導体プロセスにおいて、GND層23、絶縁層202及びアンテナパターン3を形成すると、多部品の接合工程を省略することができる。
このように、第2の実施例としての信号処理ユニット200によれば、アンテナ21と半導体集積回路層22’とを伝送線路25により接続して信号処理をする場合に、アンテナ21には、本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用されるものである。
従って、長方形パッチアンテナ10”に比べて、反射特性における帯域幅が約5倍に改善され、遠方界以外の条件で動作可能な非対称平面アンテナ10を使用した、最も効率的な近接無線通信処理ができるようになる。
しかも、非対称平面アンテナ10を応用したアンテナ21によれば、給電パターン1からアンテナパターン3に至る部位には、配線インピーダンスの整合回路となるアンテナ整合パターン2が設けられるので、半導体集積回路層22’と、直接、アンテナ21とを接続することができる。これにより、アンテナ21と半導体集積層22’の配線長を可能な限り短縮できるばかりか、信号処理LSIにおける信号配線の引き回し工程から開放され、複数の信号処理LSIを組み合わせた電子機器において、信号処理LSI間で広帯域情報を高速伝送できるようになる。
また、信号処理ユニット200の製造方法によれば、半導体集積回路層22’の最上層からGND層23、絶縁層202及びアンテナパターン3に至る積層順序で、伝送線路25またはビアを介して本発明の非対称平面アンテナ10と半導体集積回路層22’とを接続する場合について説明したが、これに限られることはない。この変形例として、LSIパッケージ上部からGND層23、絶縁層202及びアンテナパターン3に至る積層順序で、伝送線路25またはビアを介して本発明の非対称平面アンテナ10とLSIパッケージの入出力ピンとを接続するようにしてもよい。
図16は、非対称平面アンテナ10を応用した第3の実施例として信号処理ユニット300の構造例を示す斜視図である。この例では、一般的な多層基板または誘電体を金属層で挟んだ積層構造素子の一方の面に信号処理用のLSI装置32を配置して、他方の面に本発明のアンテナ31を配置した場合である。
図16に示す信号処理ユニット300は、多層基板34の表面に本発明に係るアンテナ31が設けられる。アンテナ31には、非対称平面アンテナ10が応用される。非対称平面アンテナ10は、絶縁層202’上に設けられた導電性の給電パターン1と、この給電パターン1から延在した導電性のアンテナ整合パターン2及びアンテナ整合パターン2から延在した導電性のアンテナパターン3を有して構成される。アンテナパターン3は、給電パターン1を基準にして非対称な形状を有してなる。給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3には、第1の実施例と同様にして銅箔等が使用される。
多層基板34は、最上層に絶縁層202を有しており、最下層には絶縁層207を各々有している。この絶縁層202と絶縁層207との間には、アンテナパターン3の投影面積よりも大きな面積を有したGND層33を備えている。GND層33は、アンテナ31が単一指向性を有するように設けられる。
このような多層基板34の裏面には信号処理用のLSI装置32が設けられる。ここに、多層基板34または誘電体を金属層で挟んだ積層構造素子は、アンテナ31や信号処理用のLSI装置32等よりも大きな面積を有して構成される。以下、第3〜第8の実施例においても、アンテナ31やLSI装置32等に対する多層基板や積層構造素子等の大きさは、同様である。なお、アンテナ31とLSI装置32とは、多層基板34を貫いて構成されるコンタクトホール36(又はビアホール)を介して接続される。
続いて、信号処理ユニット300の製造方法について説明する。まず、GND層33及びコンタクトホール36を含む多層基板34を形成する。この例では、第1の実施例と同様にして、両面銅箔基板や片面銅箔基板等を使用して、多層基板34を形成する。
次に、多層基板34の一方の面にアンテナ31を形成する。例えば、第1の実施例で説明したように、片面銅箔基板の絶縁基板及び銅箔を利用して絶縁層202’上に、給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3を形成する。これにより、絶縁層202’上において、導電性の給電パターン1から延在するアンテナパターン3であって、当該給電パターン1を基準にして非対称な形状の導電性のアンテナパターン3を有するアンテナ31が形成される。
この例では、アンテナ31を多層基板34上に接着剤を使用して接続される。また、LSI装置32には、第1の実施例と同様にして、信号処理用に予め準備された半導体チップ形状又はパッケージ形状のものが使用される。LSI装置32は、多層基板34の他方の面に接着剤を使用して物理的に接続される。このとき、LSI装置32のアンテナ入出力ピンを多層基板34のコンタクトホール36に位置合わせして半田ボンディング等により接続する。これにより、多層基板34の一方の面に信号処理用のLSI装置32を備え、他方の面に本発明のアンテナ31を配置した信号処理ユニット300を形成できるようになる。
このように、第3の実施例としての信号処理ユニット300によれば、アンテナ31と信号処理用のLSI装置32とを接続して信号処理をする場合に、GDN層33を含む多層基板34の一方の面に信号処理用のLSI装置32が配置され、他方の面に本発明のアンテナ31が配置され、アンテナ31には、本発明に係る非対称平面アンテナ10を応用するようになされる。
従って、長方形パッチアンテナ10”に比べて、反射特性における帯域幅が約5倍に改善され、遠方界以外の条件で動作可能な非対称平面アンテナ10を使用した、最も効率的な近接無線通信処理ができるようになる。
しかも、非対称平面アンテナ10を応用したアンテナ31によれば、給電パターン1からアンテナパターン3に至る部位には、配線インピーダンスの整合回路となるアンテナ整合パターン2が設けられるので、LSI装置32と、直接、アンテナ31とをコンタクトホール36を介して接続することができる。これにより、アンテナ31とLSI装置32の配線長を可能な限り短縮できるばかりか、LSI装置32における信号配線の引き回し工程から開放され、複数の信号処理ユニット300を組み合わせた電子機器において、信号処理ユニット間で広帯域情報を高速伝送できるようになる。
図17は、1組の非対称平面アンテナ10を応用した第4の実施例として信号処理ユニット400の構造例を示す斜視図である。
この実施例では、第1の実施例が多層基板14の一方の面のみにアンテナ11を設けるのに対して、第4の実施例では、多層基板44の他方の面にもアンテナ41bが設けられるものである。
図17に示す信号処理ユニット400は、多層基板44の表面に第1のアンテナ(第1の非対称平面アンテナ)41aが設けられ、多層基板44の裏面に第2のアンテナ(第2の非対称平面アンテナ)41bが設けられる。アンテナ41a,41bには、本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用される。非対称平面アンテナ10は、絶縁層202’上に設けられた導電性の給電パターン1と、この給電パターン1から延在した導電性のアンテナ整合パターン2及びアンテナ整合パターン2から延在した導電性のアンテナパターン3を有して構成される。アンテナパターン3は、給電パターン1を基準にして非対称な形状を有してなる。給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3には、第1の実施例と同様にして銅箔等が使用される。
多層基板44は、第3の実施例と同様にして最上層に絶縁層202を有しており、最下層には絶縁層207を各々有している。この絶縁層202と絶縁層207との間には、アンテナパターン3の投影面積よりも大きな面積を有したGND層43を備えている。GND層43は、アンテナ41a及び41bが単一指向性を有するように設けられる。このような多層基板44の表面には、アンテナ41aに隣接して信号処理用のLSI装置42が設けられる。
一方のアンテナ41aとLSI装置42とは、絶縁層202上に設けられた伝送線路45aを介して接続される。例えば、LSI装置42には複数のパッドが設けられ、この複数のパッドの内の1つから、絶縁層202上のアンテナ41aに伝送線路45aが直接配線される。
他方のアンテナ41bとLSI装置42とは、絶縁層207に設けられた伝送線路45bを介し、更に、多層基板44を貫いて構成される、図示しないコンタクトホール(又はビアホール)を介して接続される。例えば、LSI装置42に設けられた複数のパッドの他の1つから、多層基板44を貫くコンタクトホールに接続され、このコンタクトホールに伝送線路45bが配線され、更に、この伝送線路45bがアンテナ41bに接続される。
続いて、信号処理ユニット400の製造方法について説明する。まず、GND層43及びコンタクトホールを含む多層基板44を形成する。この例では、第1の実施例と同様にして、両面銅箔基板や片面銅箔基板等を使用して、多層基板44を形成する。
次に、多層基板44の一方の面に第1のアンテナ41aを形成する。例えば、第1の実施例で説明したように、片面銅箔基板の絶縁基板及び銅箔を利用して絶縁層202’上に、給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3を形成する。これにより、絶縁層202’上において、導電性の給電パターン1から延在するアンテナパターン3であって、当該給電パターン1を基準にして非対称な形状の導電性のアンテナパターン3を有するアンテナ41aが形成される。同様にして、多層基板44の他方の面に第2のアンテナ41bを形成する。
この例では、アンテナ41aや41b等を多層基板44の表裏に接着剤を使用して貼付するようになされる。これにより、伝送線路やICの端子配置と同時にアンテナ41aや41b等を形成することもできる。また、LSI装置42には、第1の実施例と同様にして、信号処理用に予め準備された半導体チップ形状又はパッケージ形状のものが使用される。LSI装置42は、多層基板44の一方の面でアンテナ41aに並べて接着剤を使用して物理的に接続される。このとき、LSI装置42のアンテナ入出力ピンを、図示しない多層基板44のコンタクトホールに位置合わせして半田ボンディング等により接続する。これにより、多層基板44の一方の面にアンテナ41a及び信号処理用のLSI装置42を備え、他方の面にアンテナ41bを配置した信号処理ユニット400を形成できるようになる。
このように、第4の実施例としての信号処理ユニット400によれば、アンテナ41a、41bと信号処理用のLSI装置42とを接続して信号処理をする場合に、GDN層43を含む多層基板44の一方の面にアンテナ41a及び信号処理用のLSI装置42が配置され、他方の面にアンテナ41bが配置され、アンテナ41a,41bには、本発明に係る非対称平面アンテナ10を応用するようになされる。
従って、長方形パッチアンテナ10”に比べて、反射特性における帯域幅が約5倍に改善され、遠方界以外の条件で動作可能な非対称平面アンテナ10を使用した、最も効率的な近接無線通信処理ができるようになる。しかも、非対称平面アンテナ10を応用したアンテナ41a,41bによれば、給電パターン1からアンテナパターン3に至る部位には、配線インピーダンスの整合回路となるアンテナ整合パターン2が設けられるので、LSI装置42と、直接、アンテナ41a,41bとを伝送線路45a,45b、コンタクトホールを介して接続することができる。これにより、アンテナ41a,41bとLSI装置42の配線長を可能な限り短縮できるばかりか、LSI装置42における信号配線の引き回し工程から開放され、複数の信号処理ユニット400を組み合わせた電子機器において、信号処理ユニット間で広帯域情報を高速伝送できるようになる。
図18は、複数の非対称平面アンテナ10を応用した第5の実施例として信号処理ユニット500の構造例を示す斜視図である。
この実施例では、第1の実施例が多層基板14の一方の面に1個のアンテナ11を設けていたのに対して、第5の実施例では、多端子型のLSI装置52の両側に複数のアンテナ51a〜51c及び51d〜51fが設けられる場合を挙げている。
図18に示す信号処理ユニット500は、多層基板54の表面には、信号処理用の1個の多端子型のLSI装置52が設けられる。LSI装置52の一方の側には図示しないアンテナ入出力用のパッドが設けられ、他方の側にも、図示しないアンテナ入出力用のパッドが設けられる。LSI装置52は例えば、多層基板54の中央に設けられる。このLSI装置52の両側には、3個のアンテナ51a〜51c及び3個のアンテナ51d〜51fが各々設けられ、各々のアンテナ51a〜51fがLSI装置52のアンテナ入出力用のパッドに各々接続される。
これら6個のアンテナ51a〜51fには、本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用される。非対称平面アンテナ10は、絶縁層202’上に設けられた導電性の給電パターン1と、この給電パターン1から延在した導電性のアンテナ整合パターン2及びアンテナ整合パターン2から延在した導電性のアンテナパターン3を有して構成される。アンテナパターン3は、給電パターン1を基準にして非対称な形状を有してなる。給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3には、第1の実施例と同様にして銅箔等が使用される。
多層基板54は、第1の実施例と同様にして最上層に絶縁層202を有しており、絶縁層202の下層には、アンテナパターン3の投影面積よりも大きな面積を有し、6個のアンテナ51a〜51fが共用するGND層53を備えている。GND層53は、アンテナ51a〜51fが各々単一指向性を有するように設けられる。
一方の側のアンテナ51a〜51cとLSI装置52とは、絶縁層202上に設けられた3本の伝送線路55a〜55bを介して接続される。例えば、LSI装置52の一方の側に設けられた複数のパッドの内の1つから、絶縁層202上のアンテナ51aに伝送線路55aが直接配線される。他も同様にして、アンテナ51bに伝送線路55bが直接配線される。アンテナ51cに伝送線路55cが直接配線される。
他方の側のアンテナ51d〜51fとLSI装置52とは、絶縁層202に設けられた伝送線路55d〜55fを介して接続される。例えば、LSI装置52の他方の側に設けられた複数のパッドの内の1つから、絶縁層202上のアンテナ51dに伝送線路55dが直接配線される。他も同様にして、アンテナ51eに伝送線路55eが直接配線される。アンテナ51fに伝送線路55fが直接配線される。
続いて、信号処理ユニット500の製造方法について説明する。この例では、LSI装置52がアンテナ入出力用の端子(ピン又はパッド)を複数有する場合であって、複数の配線パターン(伝送線路)及びLSI装置52の複数のパッド等を介して多層基板54上で本発明に係る複数の非対称平面アンテナ10と接続する場合を挙げている。
まず、GND層53や伝送線路55a〜55fを含む多層基板54を形成する。この例では、第1の実施例と同様にして、両面銅箔基板や片面銅箔基板等を使用して、GND層53や伝送線路55a〜55fを含んだ多層基板54を形成する。次に、多層基板54の一方の面に、1個のLSI装置52及び6個のアンテナ51a〜51fを形成する。
例えば、第1の実施例で説明したように、各々のアンテナ51a〜51fに関して、片面銅箔基板の絶縁基板及び銅箔を利用して絶縁層202’上に、給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3を形成する。これにより、絶縁層202’上において、導電性の給電パターン1から延在するアンテナパターン3であって、当該給電パターン1を基準にして非対称な形状の導電性のアンテナパターン3を有するアンテナ51a〜51fが形成される。
この例では、アンテナ51a〜51f等を多層基板54の表面に接着剤を使用して貼付するようになされる。また、LSI装置52には、第1の実施例と同様にして、信号処理用に予め準備された半導体チップ形状又はパッケージ形状のものが使用される。LSI装置52は図示しないアンテナ入出力用の複数のパッドを有している。LSI装置52は、多層基板54の一方の面で3個のアンテナ51a〜51cと、3個のアンテナ51d〜51fとの間に並べて接着剤を使用して物理的に接続される。
このとき、LSI装置52のアンテナ入出力用の図示しないパッドを多層基板54の伝送線路55a〜55c及び伝送線路55d〜55fに位置合わせして半田ボンディング等により接続する。これにより、多層基板54の同一平面で信号処理用のLSI装置52が左右のアンテナ51a〜51c及びアンテナ51d〜51fに挟まれた信号処理ユニット500を形成できるようになる。
このように、第5の実施例としての信号処理ユニット500によれば、複数のアンテナ51a〜51fと信号処理用の多端子型のLSI装置52とを接続して信号処理をする場合に、GDN層53を含む多層基板54の同一平面でアンテナ51a〜51f及び信号処理用のLSI装置52が並べて配置され、アンテナ51a〜51fには、本発明に係る非対称平面アンテナ10を応用するようになされる。
従って、長方形パッチアンテナ10”に比べて、反射特性における帯域幅が約5倍に改善され、遠方界以外の条件で動作可能な非対称平面アンテナ10を使用した、最も効率的な近接無線通信処理ができるようになる。しかも、非対称平面アンテナ10を応用したアンテナ51a〜51fによれば、給電パターン1からアンテナパターン3に至る部位には、配線インピーダンスの整合回路となるアンテナ整合パターン2が設けられるので、LSI装置52の一方の側で、直接、アンテナ51a〜51cとを伝送線路55a〜55cを介して接続すること、及び、その他方の側で直接、アンテナ51d〜51fとを伝送線路55d〜55fを介して接続することができる。
これにより、アンテナ51a〜51cとLSI装置52との間や、アンテナ51d〜51fとLSI装置52との間等の配線長を可能な限り短縮できるばかりか、LSI装置52における信号配線の引き回し工程から開放され、複数の信号処理ユニット500を組み合わせた電子機器において、信号処理ユニット間で広帯域情報を高速伝送できるようになる。
なお、第4の実施例と第5の実施例とを組み合わせた信号処理ユニットを構成することもできる。例えば、図18に示した多端子型のLSI装置52の一方の側のアンテナ51a〜51c又はアンテナ51d〜51fを多層基板54(または誘電体を金属層で挟んだ積層構造素子)の裏面に配置し、裏面に配置されたアンテナ51a〜51c又はアンテナ51d〜51fをコンタクトホール(ビアホール)、伝送線路55a〜55c及び伝送線路55d〜55fを用いて接続するようになされる。このように実施例を適宜選択して組み合わせてユニットを構成すると、信号処理ユニットの表裏で複数のアンテナ51a〜51fを使用して無線信号処理を実行できるようになる。
図19は、非対称平面アンテナ10を応用した第6の実施例として信号処理ユニット600の構造例を示す斜視図である。この実施例では、信号処理用の多端子型のLSI装置62と受信用のアンテナ61aとが分波回路67を介して接続され、当該LSI装置62と送信用のアンテナ61bとが合波回路68を介して接続される場合を挙げている。
図19に示す信号処理ユニット600は、多層基板64の表面に、信号処理用の1個の多端子型のLSI装置62が設けられる。LSI装置62の一方の側には図示しないアンテナ入出力用の複数(例えば、3個)のパッドが設けられ、他方の側にも、図示しないアンテナ入出力用の複数(例えば、3個)のパッドが設けられる。LSI装置62は、例えば、多層基板64の中央に設けられる。このLSI装置62の両側には、1個の受信用のアンテナ61a及び1個の送信用のアンテナ61bが各々設けられ、各々のアンテナ61a,61bがLSI装置62のアンテナ入出力用の3個のパッドに各々接続される。
これら2個のアンテナ61a,61bには、本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用される。非対称平面アンテナ10は、絶縁層202’上に設けられた導電性の給電パターン1と、この給電パターン1から延在した導電性のアンテナ整合パターン2及びアンテナ整合パターン2から延在した導電性のアンテナパターン3を有して構成される。アンテナパターン3は、給電パターン1を基準にして非対称な形状を有してなる。給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3には、第1の実施例と同様にして銅箔等が使用される。
多層基板64は、第1の実施例と同様にして最上層に絶縁層202を有しており、絶縁層202の下層には、アンテナパターン3の投影面積よりも大きな面積を有し、2個のアンテナ61a,61bが共用するGND層63を備えている。GND層63は、アンテナ61a、61bが各々単一指向性を有するように設けられる。
受信側のアンテナ61aとLSI装置62とは、絶縁層202上に設けられた1本の伝送線路65a、分波回路67及び3本の配線層65b〜65dを介して接続される。例えば、絶縁層202上のアンテナ61aから伝送線路65aを介して分波回路67に接続される。分波回路67から配線層65bを介して、LSI装置62の入力側に設けられた3個のアンテナ入力用のパッドの内の1つに接続される。同様にして、分波回路67から、配線層65c及び65dを介してLSI装置62の入力側の残りのアンテナ入力用のパッドへ接続される。
このように、信号処理ユニット600では、1つの受信用のアンテナ61aの給電パターン1から伝送線路65a及び分波回路67に至る配線をし、この分波回路67を介してLSI装置62の多端子へ配線層65b〜65dを接続するようになされる。例えば、隣接する他の信号処理ユニットから広帯域情報を受信する場合、1つの受信用のアンテナ61aで受信した広帯域情報(信号)を分波回路67を用いて分割(分波)し、LSI装置62の多端子へ各々入力するようになされる。なお、分波回路67はLSI装置62の内部にあっても良い。
また、送信側のアンテナ61bとLSI装置62とは、絶縁層202上に設けられた3本の配線層65e〜65g、合波回路68及び1本の伝送線路65hを介して接続される。例えば、LSI装置62の出力側に設けられた3個のアンテナ出力用のパッドの内の1つから配線層65eが合波回路68に接続される。同様にして、LSI装置62の出力側の残りのアンテナ出力用のパッドから配線層65f及び65gが合波回路68に接続される。この合波回路68から伝送線路65hを介して絶縁層202上のアンテナ61bに接続される。
このように、信号処理ユニット600では、LSI装置62の多端子から配線層65e〜65gを合波回路68に接続し、この合波回路68から伝送線路65hを介して1つの送信用のアンテナ61bの給電パターン1へ接続するようになされる。例えば、広帯域情報を隣接する他の信号処理ユニットに送信する場合、LSI装置62の多端子からの広帯域情報(信号)を合波回路68を介して1つに合成し、1つの送信用のアンテナ61bを使用して隣接する他の信号処理ユニットに送信するようになされる。なお、合波回路68はLSI装置62の内部にあっても良い。
続いて、信号処理ユニット600の製造方法について説明する。この例では、LSI装置62がアンテナ入出力用の端子(ピン又はパッド)を複数有する場合であって、複数の配線パターン(伝送線路)及びLSI装置62の複数のパッド等を介して多層基板64上で、受信用及び送信用に割り当てられた、本発明に係る非対称平面アンテナ10と接続する場合を挙げている。
まず、GND層63や伝送線路65a,65h、配線層65b〜65gを含む多層基板64を形成する。この例では、第1の実施例と同様にして、両面銅箔基板や片面銅箔基板等を使用して、GND層63や伝送線路65a,65h、配線層65b〜65gを含んだ多層基板64を形成する。次に、多層基板64の一方の面に、1個の多端子型のLSI装置62及び2個のアンテナ61a,61bを形成する。
例えば、第1の実施例で説明したように、各々のアンテナ61a,61bに関して、片面銅箔基板の絶縁基板及び銅箔を利用して絶縁層202’上に、給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3を形成する。これにより、絶縁層202’上において、導電性の給電パターン1から延在するアンテナパターン3であって、当該給電パターン1を基準にして非対称な形状の導電性のアンテナパターン3を有するアンテナ61a,61bが形成される。
この例では、アンテナ61a及び61bを多層基板64の表面に接着剤を使用して貼付するようになされる。また、LSI装置62には、第1の実施例と同様にして、信号処理用に予め準備された半導体チップ形状又はパッケージ形状のものが使用される。LSI装置62は図示しないアンテナ入出力用の複数のパッドを有している。LSI装置62は、多層基板64の一方の面で受信用のアンテナ61aと、送信用のアンテナ61bとの間に並べて接着剤を使用して物理的に接続される。
このとき、LSI装置62のアンテナ入出力用の図示しないパッドを多層基板64の配線層65b〜65d及び配線層65e〜65gに位置合わせして半田ボンディング等により接続する。これにより、多層基板64の同一平面で信号処理用のLSI装置62が左右のアンテナ61a及びアンテナ61bに挟まれた信号処理ユニット600を形成できるようになる。
このように、第6の実施例としての信号処理ユニット600によれば、受信用及び送信用の2個のアンテナ61a,61bと信号処理用の多端子型のLSI装置62とを接続して信号処理をする場合に、GDN層63を含む多層基板64の同一平面で受信用及び送信用のアンテナ61a,61b及び信号処理用のLSI装置62が並べて配置され、アンテナ61a,61bには、本発明に係る非対称平面アンテナ10を応用するようになされる。
従って、長方形パッチアンテナ10”に比べて、反射特性における帯域幅が約5倍に改善され、遠方界以外の条件で動作可能な非対称平面アンテナ10を使用した、最も効率的な近接無線通信処理ができるようになる。しかも、非対称平面アンテナ10を応用したアンテナ61a,61bによれば、給電パターン1からアンテナパターン3に至る部位には、配線インピーダンスの整合回路となるアンテナ整合パターン2が設けられるので、アンテナ61aを伝送線路65a、分波回路67、配線層65b〜65dを介してLSI装置62の入力側に簡素に接続すること、及び、その出力側を配線層65e〜65g、合波回路68、伝送線路65hを介してアンテナ61bに簡素に接続することができる。
これにより、アンテナ61aとLSI装置62との間や、LSI装置62とアンテナ61bとの間等の配線長を可能な限り短縮できるばかりか、LSI装置62における信号配線の引き回し工程から開放され、複数の信号処理ユニット600を組み合わせた電子機器において、信号処理ユニット間で広帯域情報を高速伝送できるようになる。
なお、第4の実施例と第6の実施例とを組み合わせた信号処理ユニットを構成することもできる。例えば、図19に示した多端子型のLSI装置62の両側のアンテナ61a及びアンテナ61bを多層基板64(または誘電体を金属層で挟んだ積層構造素子)の裏面に配置し、裏面に配置されたアンテナ61a及びアンテナ61bをコンタクトホール(ビアホール)、伝送線路65a及び伝送線路65hを用いて接続するようになされる。このように実施例を適宜選択して組み合わせてユニットを構成すると、信号処理ユニットの表裏で複数のアンテナ61a及び61bを使用して無線信号処理を実行できるようになる。
図20は、非対称平面アンテナ10を応用した第7の実施例として信号処理ユニット700の構造例を示す斜視図である。この実施例では、信号処理用のLSI装置72と受信用の3個のアンテナ71a〜71cとが合波回路78を介して接続され、当該LSI装置72と送信用の3個のアンテナ71d〜71fとが分波回路77を介して接続される場合を挙げている。
図20に示す信号処理ユニット700は、多層基板74の表面に、信号処理用の1個のLSI装置72が設けられる。LSI装置72の一方の側には図示しないアンテナ入力用の1個のパッドが設けられ、他方の側には、図示しないアンテナ出力用の1個のパッドが設けられる。LSI装置72は、例えば、多層基板74の中央に設けられる。このLSI装置72の両側には、3個の受信用のアンテナ71a〜71c及び3個の送信用のアンテナ71d〜71fが各々設けられ、3個のアンテナ71a〜71cが合波回路78を介してLSI装置72のアンテナ入力用のパッドに接続され、LSI装置72のアンテナ出力用のパッドが分波回路77を介して3個のアンテナ71d〜71fに各々接続される。
これら6個のアンテナ71a〜71c,71d〜71fには、本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用される。非対称平面アンテナ10は、絶縁層202’上に設けられた導電性の給電パターン1と、この給電パターン1から延在した導電性のアンテナ整合パターン2及びアンテナ整合パターン2から延在した導電性のアンテナパターン3を有して構成される。アンテナパターン3は、給電パターン1を基準にして非対称な形状を有してなる。給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3には、第1の実施例と同様にして銅箔等が使用される。
多層基板74は、第1の実施例と同様にして最上層に絶縁層202を有しており、絶縁層202の下層には、アンテナパターン3の投影面積よりも大きな面積を有し、6個のアンテナ71a〜71fが共用するGND層73を備えている。GND層73は、アンテナ71a〜71fが各々単一指向性を有するように設けられる。
受信側の3個のアンテナ71a〜71cとLSI装置72とは、絶縁層202上に設けられた3本の伝送線路75a〜75c、合波回路78及び1本の配線層75dを介して接続される。例えば、絶縁層202上のアンテナ71a〜71cから各々の伝送線路75a〜75cを介して合波回路78に接続される。合波回路78から配線層75dを介して、LSI装置72の入力側に設けられたアンテナ入力用のパッドに接続される。
このように、信号処理ユニット700では、3個の受信用のアンテナ71a〜71cの給電パターン1から伝送線路75a〜75c及び合波回路78に至る配線をし、この合波回路78を介してLSI装置72のアンテナ入力端子へ配線層75dを接続するようになされる。例えば、隣接する他の信号処理ユニットから広帯域情報を受信する場合、3個の受信用のアンテナ71a〜71cで受信した広帯域情報(信号)を合波回路78を用いて合成し、LSI装置72のアンテナ入力端子へ入力するようになされる。なお、合波回路78はLSI装置72の内部にあっても良い。
また、送信側の3個のアンテナ71d〜71fとLSI装置72とは、絶縁層202上に設けられた1本の配線層75e、分波回路77及び3本の伝送線路75f〜75hを介して接続される。例えば、LSI装置72の出力側に設けられた1個のアンテナ出力用のパッドが配線層75eを介して分波回路77に接続される。この分波回路77は、3本の伝送線路75f〜75hを介して絶縁層202上の各々のアンテナ71d〜71fに接続される。
このように、信号処理ユニット700では、LSI装置72のアンテナ出力端子から配線層75eを分波回路77に接続し、この分波回路77から3本の伝送線路75f〜75hを介して3個の送信用のアンテナ71d〜71fの給電パターン1へ各々接続するようになされる。例えば、広帯域情報を隣接する他の信号処理ユニットへ送信する場合、LSI装置72のアンテナ出力端子からの広帯域情報(信号)を分波回路77を介して3つに分割され、3つの送信用のアンテナ71d〜71fを使用して隣接する他の信号処理ユニットに送信するようになされる。なお、分波回路77はLSI装置72の内部にあっても良い。
続いて、信号処理ユニット700の製造方法について説明する。この例では、LSI装置72がアンテナ入力用及びアンテナ出力用の端子(ピン又はパッド)を1個づつ有する場合であって、分波回路77、合波回路78及び複数の伝送線路75a〜75c、75f〜75hを介して、受信用及び送信用に割り当てられた、本発明に係る非対称平面アンテナ10と接続する場合を挙げる。
まず、GND層73や伝送線路75a〜75c、75f〜75h、分波回路77、合波回路78、配線層75d,75eを含む多層基板74を形成する。この例では、第1の実施例と同様にして、両面銅箔基板や片面銅箔基板等を使用して、GND層73や伝送線路75a〜75c、75f〜75h、分波回路77、合波回路78、配線層75d、75eを含んだ多層基板74を形成する。次に、多層基板74の一方の面に、1個のLSI装置72及び6個のアンテナ71a〜71c,71d〜71fを形成する。
例えば、第1の実施例で説明したように、各々のアンテナ71a〜71c,71d〜71fに関して、片面銅箔基板の絶縁基板及び銅箔を利用して絶縁層202’上に、給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3を形成する。これにより、絶縁層202’上において、導電性の給電パターン1から延在するアンテナパターン3であって、当該給電パターン1を基準にして非対称な形状の導電性のアンテナパターン3を有するアンテナ71a〜71c,71d〜71fが形成される。
この例では、6個のアンテナ71a〜71fを多層基板74の表面に接着剤を使用して貼付するようになされる。また、LSI装置72には、第1の実施例と同様にして、信号処理用に予め準備された半導体チップ形状又はパッケージ形状のものが使用される。LSI装置72は図示しないアンテナ入力用及びアンテナ出力用のパッドを有している。LSI装置72は、多層基板74の一方の面で受信用のアンテナ71a〜71cと、送信用のアンテナ71d〜71fとの間に並べて接着剤を使用して物理的に接続される。
このとき、LSI装置72のアンテナ入力用及びアンテナ出力用の図示しないパッドを多層基板74の配線層75d及び75eに位置合わせして半田ボンディング等により接続する。これにより、多層基板74の同一平面で信号処理用のLSI装置72が、分波回路77、合波回路78、左右のアンテナ71a〜71c及びアンテナ71d〜71fに挟まれた信号処理ユニット700を形成できるようになる。
このように、第7の実施例としての信号処理ユニット700によれば、受信用及び送信用の6個のアンテナ71a〜71fと信号処理用のLSI装置72とを接続して信号処理をする場合に、GDN層73を含む多層基板74の同一平面で受信用及び送信用のアンテナ71a〜71c,71d〜71fと、信号処理用のLSI装置72とが並べて配置され、アンテナ71a〜71fには、本発明に係る非対称平面アンテナ10を応用するようになされる。
従って、長方形パッチアンテナ10”に比べて、反射特性における帯域幅が約5倍に改善され、遠方界以外の条件で動作可能な非対称平面アンテナ10を使用した、最も効率的な近接無線通信処理ができるようになる。しかも、非対称平面アンテナ10を応用したアンテナ71a〜71fによれば、給電パターン1からアンテナパターン3に至る部位には、配線インピーダンスの整合回路となるアンテナ整合パターン2が設けられるので、アンテナ71a〜71cを伝送線路75a〜75c、合波回路78、配線層75dを介してLSI装置72の入力側に簡素に接続すること、及び、その出力側を配線層75e、分波回路77、伝送線路75f〜75hを介してアンテナ71d〜71fに簡素に接続することができる。
これにより、アンテナ71a〜71cとLSI装置72との間や、LSI装置72とアンテナ71d〜71fとの間等の配線長を可能な限り短縮できるばかりか、LSI装置72における信号配線の引き回し工程から開放され、複数の信号処理ユニット700を組み合わせた電子機器において、信号処理ユニット間で広帯域情報を高速伝送できるようになる。
なお、第4の実施例と第7の実施例とを組み合わせた信号処理ユニットを構成することもできる。例えば、図20に示した多端子型のLSI装置72の両側のアンテナ71a〜71fを多層基板74(または誘電体を金属層で挟んだ積層構造素子)の裏面に配置し、裏面に配置されたアンテナ71a〜71fをコンタクトホール(ビアホール)、伝送線路75a〜75c及び伝送線路75f〜75hを用いて接続するようになされる。このように実施例を適宜選択して組み合わせてユニットを構成すると、信号処理ユニットの表裏で複数のアンテナ71a〜71fを使用して無線信号処理を実行できるようになる。
図21は、非対称平面アンテナ10を応用した第8の実施例として信号処理ユニット800の構造例を示す斜視図である。この実施例では、一般的な多層基板または誘電体を金属層で挟んだ積層構造素子上に、LSI装置82を配置し、このLSI装置82が配置された多層基板または積層構造素子を筐体内に収納し、この筐体側面に本発明のアンテナパターン3をレイアウト(配置)したアンテナ81を設ける構造を挙げている。
図21に示す信号処理ユニット800は、多層基板84上にLSI装置82を備えて信号処理基板を構成し、この信号処理基板を筐体の一例となる樹脂ケース内に収納し、この樹脂ケース側面に本発明のアンテナ81を設けるように構成され、アンテナ81とLSI装置82とが伝送線路85で接続されて信号処理をするようになされる。樹脂ケース87は、ユーザが直接、電子部品や機械部品等の機構部品に触れないようにするために設けられる。ただし、金属ケースで信号処理基板を覆う場合は、アンテナパターン3の上層を金属層で覆うことはしない。これは、アンテナパターン3の上層が金属層で覆われると電磁遮蔽(シールド)されてしまい、電波の送受信が困難となるためである。LSI装置82には内部に無線IC(半導体集積回路)を有したものが使用される。
アンテナ81には本発明に係る非対称平面アンテナ10が使用される。非対称平面アンテナ10は、絶縁層202’上に設けられた導電性の給電パターン1と、この給電パターン1から延在した導電性のアンテナ整合パターン2及びアンテナ整合パターン2から延在した導電性のアンテナパターン3を有して構成される。給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3には、銅箔が使用される。これらのパターン1〜3には銅箔に限られることはなく、銅以外の金、銀、黄銅、青銅、白銅等の金属箔又は金属板、これらの金属層から形成されたものが使用できる。
多層基板84は、最上層に絶縁層202を有しており、その下層にはアンテナパターン3の投影面積よりも大きな面積を有したGND層83aを備え、更に、絶縁層202’の下層にもGND層83bを備えている。GND層83a及び83bは、アンテナ81が単一指向性を有するように設けられる。GND層83a及び83bは、電気的に接続される。GND層83aの下層は、一般の多層基板と同様にして、図3に示したような絶縁層204、配線層205及び絶縁層206・・・が積層されて構成される。
絶縁層202上に設けられたLSI装置82と、アンテナ81のアンテナパターン3とは伝送線路85、給電パターン1及びアンテナ整合パターン2を通じて接続される。アンテナパターン3は、給電パターン1を基準にして非対称な形状を有してなる。このような非対称平面アンテナを実装すると、周波数共振点が調整されたアンテナ反射特性を有する非対称平面アンテナを利用した筐体間で情報高速伝送処理を実現できるようになる。
続いて、信号処理ユニット800の製造方法について説明する。まず、GND層83aを含む多層基板84を形成する。この例では、両面に銅箔を形成された両面銅箔基板(プリプレグ絶縁基板)や片面に銅箔を形成された片面銅箔基板を使用して、多層基板84を形成する。図3に示した多層基板4’によれば、片面銅箔基板の絶縁基板及び銅箔を利用して絶縁層202及び、伝送線路85となる配線層を形成する。例えば、伝送線路用の配線パターンを象ったマスクを使用し、銅箔上にレジストをパターニングして、露光現像し、不要部分の銅箔を除去して、絶縁層202上に図示しない所定形状の伝送線路用の配線層得るようになされる。
また、片面銅箔基板の絶縁基板及び銅箔を利用して絶縁層204及びGND層203を形成する。例えば、接地パターンを象ったマスクを使用し、銅箔上にレジストをパターニングして、露光現像し、不要部分の銅箔を除去して、所定形状のGND層83aを得るようになされる。上述の2つの片面銅箔基板を積層することで、多層基板84を形成することができる。
次に、多層基板84上に設けるLSI装置82及び筐体側面に設けるアンテナ81を形成する。例えば、アンテナ81とLSI装置82とを別途形成して多層基板84上及び筐体側面に接着する方法を採る。アンテナ81は、両面銅箔基板を利用してGND層83b、絶縁層202’、給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3を形成する。給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3は、図7〜図9に示したパターン探索方法に基づいて見出された非対称形状に基づいて形成される。なお、アンテナ整合パターン2はアンテナパターン3に至る部位に同時に形成され、その形状は、アンテナパターン3と同時に探索され画定されている。
これらを条件にして、例えば、給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3を象ったマスクを使用し、片側の銅箔上にレジストをパターニングして、露光現像し、不要部分の銅箔を除去して、図21に示すような非対称形状のアンテナパターン3を有するアンテナ81(=非対称平面アンテナ10)を得る。反対側の銅箔部分は、所定形状のGND層83bを残すようになされる。これにより、絶縁層202’上に形成された導電性の給電パターン1から延在するアンテナパターン3であって、当該給電パターン1を基準にして非対称な形状の導電性のアンテナパターン3を形成することができる。
この例では、多層基板84上にLSI装置82に設ける。LSI装置82には、当該信号処理用に予め準備された半導体チップ形状又はパッケージ形状のものが使用される。LSI装置82は、多層基板84上に接着剤を使用して物理的に接続される。LSI装置82はアンテナ入出力用のパッドを有している。このパッドと絶縁層202上の伝送線路85とを、例えば、コンタクトホールや、ビアホール、バンプ、ワイヤ等による接続方法を利用して電気的に接続(ボンディング)する。このように形成された信号処理基板を所定の収納スペースを有した樹脂ケース87に収納する。樹脂ケース87には伝送線路85の終端電極部をケース側面のアンテナ取付位置に形成するようになされる。
次に、アンテナ81を樹脂ケース87の所定の位置に、例えば、接着剤を使用して接続される。このとき、アンテナパターン3と伝送線路85の終端電極部とを電気的に接続する。例えば、アンテナ81の給電パターン1と終端電極部とをコンタクトホールや、ビアホールを介して接続する。コンタクトホールや、ビアホール等の内部には、例えば、導電材料を充填して熱処理するようになされる。これにより、樹脂ケース内の多層基板84の一方の面に信号処理用のLSI装置82を備え、及び樹脂ケース側面に本発明のアンテナ81を配置した信号処理ユニット800を形成できるようになる。
このように、第8の実施例としての信号処理ユニット800によれば、アンテナ81とLSI装置82とを伝送線路85により接続して信号処理をする場合に、アンテナ81には、本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用されるものである。
従って、長方形パッチアンテナ10”に比べて、反射特性における帯域幅が約5倍に改善され、遠方界以外の条件で動作可能な非対称平面アンテナ10を使用した、最も効率的な近接無線通信処理ができるようになる。しかも、非対称平面アンテナ10を応用したアンテナ81によれば、給電パターン1からアンテナパターン3に至る部位には、配線インピーダンスの整合回路となるアンテナ整合パターン2が設けられるので、LSI装置82と、アンテナ81とを伝送線路85を介して直接接続することができる。これにより、筐体間の信号配線の引き回し工程から開放されるばかりか、筐体間で広帯域情報を高速伝送できるようになる。
上述した第1〜第8の実施例としての信号処理ユニット100〜800によれば、本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用されるので、信号処理基板とケーブルとを接続するとき、信号処理基板間を接続するとき、及び、LSI装置とバスラインとを接続するとき、無線インターフェースとして利用できるようになる。
また、LSI装置内部において、半導体集積回路間を接続する場合にも、上述した無線インターフェースを用いることができる。例えば、同一の半導体チップ内において、一方の半導体集積回路に設けた第1の非対称平面アンテナ10と、他方の半導体集積回路に設けた第2の非対称平面アンテナ10とを近接して無線通信処理される。これにより、マルチパスに伴う通信信号の劣化をある程度指向性で抑圧できるようになる。
更に、近接した筐体間を接続する場合にも、無線インターフェースとして利用できるようになる。例えば、本発明に係る第1の非対称平面アンテナ10を有する信号処理ユニットを第1の筐体に備えると共に、第2の非対称平面アンテナ10を有する信号処理ユニットを第2の筐体に備え、第1の筐体の非対称平面アンテナ10と第2の筐体の非対称平面アンテナ10とを近接して無線通信路を接続確立するようになされる。
従って、近接した第1及び第2の筐体間で広帯域無線通信処理を実行できるようになる。しかも、第1の筐体を第2の筐体に近接させて配置した場合に、第1及び第2筐体間を広帯域無線通信処理及び筐体間のケーブル数を減少した接続と、筐体間の自由な信号処理機能の切り替えとを実施できるようになる。
また、信号処理基板に設けた第1の非対称平面アンテナ10と、筐体に設けた第2の非対称平面アンテナ10とを近接して無線通信路を接続確立するようになされる。従って、近接した信号処理基板と筐体との間で広帯域無線通信処理を実行できるようになる。
このように、本発明の信号処理ユニットを応用すると、LSI装置内の無線通信処理、信号処理基板間の無線通信処理又は筐体間の無線通信処理を適宜選択することができるばかりか、これら選択された無線通信処理を組み合わせた、近接近傍無線通信処理システムを構築できるようになる。
また、本発明に係る非対称平面アンテナ10は、遠方界以外の場合に広帯域性を有し、遠方界で狭帯域性を有して動作するので、アンテナ10a,10b及びアンテナ10a,10bを含む信号処理基板又はLSI装置が金属にほぼ囲まれる環境による影響や、筐体内へのアンテナ10a,10bを含む信号処理基板の実装の困難さを解決することができる。
例えば、電子機器内部において、本発明の非対称平面アンテナ10を信号処理基板と共に用いることにより、自由な信号処理基板の入れ替えを保ちつつ無線信号処理システムを実施することができる。更に、本発明の非対称平面アンテナ10とLSI装置とを用いて、電子機器内部において、LSI装置の配置と信号処理基板の入れ替えを実現して無線信号処理システムを実施することができる。
また、信号処理基板のアンテナ10a及び10bと、通信ケーブルの両側のコネクタをアンテナ10a,10bとして、このケーブルを信号処理基板のアンテナ間を接続するようにして、本発明の信号処理ユニットを応用することで、自由な配置と信号処理基板等の入れ替えを実現しながら、信号処理基板のアンテナ10a,10bと通信ケーブルのアンテナコネクタを利用した無線通信処理システムを実施することができる。
[電子機器]
続いて、本発明に係る非対称平面アンテナ10を備えた信号処理ユニット100〜800を応用した電子機器について説明をする。
図22は、非対称平面アンテナ10を応用した第9の実施例としての電子機器901の構成例を示す斜視図である。この実施例では、1個乃至複数個の信号処理基板を筐体内部に配置して電子機器901が構成され、信号処理基板には、所定の比帯域幅を有し、かつ、広帯域性を有したアンテナが設けられ、各々の信号処理基板間で無線通信処理を実行する場合を挙げている。
図22に示す電子機器901は、近接近傍無線通信処理システムの一例を構成し、パーソナルコンピュータや、画像処理装置、携帯端末装置等に適用可能なものである。近接近傍無線通信処理システムでは、2個のアンテナ41a,41bを近傍近接した状態で使用することにより、遠方界以外の条件で無線通信動作するようになる。例えば、電子機器901は、4枚の信号処理基板40a〜40dが筐体30の内部に設けられる。
信号処理基板40a〜40dには、第4の実施例で説明した信号処理基板400が使用される。もちろん、信号処理基板400のみならず第1〜第3、及び第5〜第8の実施例で説明したいずれかの信号処理基板を組み合わせて用いてもよい。信号処理基板40a〜40dは、筐体30の躯体構造を利用して支持される。ここに信号処理基板とは、広帯域性のアンテナを有して信号処理をする基板をいい、本発明に係る非対称平面アンテナ10を実装した信号処理ユニット100〜800のいずれかを構成する電子部品実装基板をいうものとする。
信号処理基板40a〜40dには、例えば、広帯域情報や狭帯域情報を信号処理するためのLSI装置や、抵抗、コンデンサ、メモリ等の電子部品が実装される。広帯域情報とは、その情報量が多量であり、小さな量にして送ることが難しく、リアルタイム性が要求される信号、例えば、映像情報や音声情報等のデータ、コンピュータ画像情報を一括したマルチメディア情報等をいう。また、狭帯域情報とは、制御信号、RF信号の同期処理に必要な情報、または伝送帯域が狭くても信号処理に有意になる情報であって、無線による放送型式で伝送(配信)することが利点になる情報をいう。
この例で、同一の筐体30内において、第1の信号処理基板40aには、少なくとも、11%以上の比帯域幅を有し、かつ、広帯域性を有する第1のアンテナ41aが設けられ、第2の信号処理基板40bにも、11%以上の比帯域幅を有し、かつ、広帯域性を有する第2のアンテナ40bが設けられる。各々のアンテナ41a,41bには、本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用される。
非対称平面アンテナ10は、図17に示したように絶縁層202’上に設けられた導電性の給電パターン1と、この給電パターン1から延在した導電性のアンテナ整合パターン2及びアンテナ整合パターン2から延在した導電性のアンテナパターン3を有して構成される。アンテナパターン3は、給電パターン1を基準にして左右非対称な形状を有してなる。給電パターン1、アンテナ整合パターン2及びアンテナパターン3には銅箔等が使用される。
電子機器901では、信号処理基板40aと、これに隣接する対向側の信号処理基板40bとの間でアンテナ41a,41bを近接対峙(対向)するように配置され、信号処理基板40a,40b間で広帯域情報の無線通信処理が実行される。アンテナ41a及び41bは、双方の信号処理基板40a及び40bから電磁波的に透けて見える場所に面対称に配置される。このアンテナ配置により広帯域無線通信処理を実現できるようになる。アンテナ41a及び41bは、その表面上を電磁波が透過する物質で覆うようにしてもよい。このようにすると、近傍・近接した筐体30内の複数の信号処理基板40a〜40d、LSI装置、信号処理モジュール間において、リアルタイムに多量の広帯域情報を伝送できるようになる。
この例で、信号処理基板40a,40bの他の対向側には、第1又は第2のアンテナ41a,41bに相当するアンテナが設けられる。つまり、筐体30の右側を各々の信号処理基板40a〜40dの表側としたとき、信号処理基板40aの表側にアンテナ41aが設けられ、その裏側(他の対向側)にアンテナ41bが設けられる。同様にして、信号処理基板40bの表側にアンテナ41aが設けられ、その裏側にアンテナ41bが設けられ、信号処理基板40cの表側にアンテナ41aが設けられ、その裏側にアンテナ41bが設けられ、信号処理基板40dの表側にアンテナ41aが設けられ、その裏側にアンテナ41dが各々設けられる。なお、信号処理基板40aの裏側のアンテナ41b及び信号処理基板40dの表側のアンテナ41aを省略してもよい。
また、電子機器901において、筐体30の内部の例えば、天板部分には制御ユニット50が配置される。制御ユニット50には、狭帯域情報が送受信可能な狭帯域アンテナ101を備えられる。狭帯域アンテナ101には本発明に係る非対称平面アンテナ10の他、長方形パッチアンテナや、モノポールアンテナ等を使用できる。制御ユニット50は、例えば、広帯域情報又は狭帯域情報の無線伝送方式を選択する制御情報を各々の信号処理基板40a〜40dに配信するようになされる。各々の信号処理基板40a〜40dでは、制御ユニット50から配信される制御情報に基づいて、任意に無線伝送方式を選択できるようになされている。
続いて、図22を参照して電子機器901の動作を説明する。図22で実線に示す矢印は、信号処理基板40a,40b間、信号処理基板40b,40c間、信号処理基板40c,40d間における広帯域情報の流れ方向を示しており、最も近隣の信号処理基板間における広帯域情報の無線通信方法を示したものである。この無線通信方法によれば、複数の信号処理基板間を跨いて、広帯域情報を送受信する必要がある場合には、送信側の信号処理基板の最も近隣の信号処理基板に、広帯域情報を無線伝送させながら受信側の信号処理基板に広帯域情報を無線伝送して通信を実行できるようになる(広帯域無線通信)。
例えば、信号処理基板40aのアンテナ41aと信号処理基板40bのアンテナ41bとを1対1に近接対向させた信号処理基板40a,40b間で広帯域情報を無線通信処理する。また、信号処理基板40bのアンテナ41aと隣接する信号処理基板40cのアンテナ41bとを1対1に近接対向させた信号処理基板40b,40c間で広帯域情報を無線通信処理する。更に、信号処理基板40cのアンテナ41aと隣接する信号処理基板40dのアンテナ41bとを1対1に近接対向させた信号処理基板40c,40d間で広帯域情報を無線通信処理する。
また、図22で波線に示す矢印は、各々の信号処理基板40a〜40dと制御ユニット50との間における狭帯域情報の流れ方向を示しており、狭帯域情報の無線通信方法を示したものである。この無線通信方法によれば、本発明のアンテナ41a,41bの遠方界における狭帯域性と、制御ユニット50の狭帯域アンテナ101とを利用して、信号処理基板40a〜40dの任意の場所に設置された不図示のアンテナ又は本発明のアンテナ41a,41bへ狭帯域情報を無線送信し、又は、信号処理基板40a〜40dから狭帯域情報を無線受信するようになされる。狭帯域情報は、制御ユニット50の狭帯域アンテナ101から遠方界で、複数の信号処理基板40a〜40dに一度に配信(伝送)される(狭帯域無線通信)。
このように、第9の実施例としての電子機器901によれば、本発明のアンテナ41a,41b(=非対称平面アンテナ10)の広帯域性を利用して、近接・近傍の信号処理基板間においてのみ広帯域情報が伝送され、筐体30内部の任意の場所に設けられた制御ユニット50の狭帯域アンテナ101から送信されてくる狭帯域情報を信号処理基板40a〜40dのアンテナ41a,41b(=非対称平面アンテナ10)で受信するようになされる。
上述した動作例では、無線通信処理した広帯域情報を信号処理基板40a→40b→40c→40dに順次転送するようになる。これにより、信号処理基板40a〜40dのアンテナ41a,41bを用いて無線伝送処理することができ、複数回の無線通信することで、広帯域情報を信号処理基板40aの入力端から遠方の信号処理基板40dの出力端に伝送できるようになる。
また、アンテナ41a,41bは、遠方界以外で広帯域アンテナとして動作し、遠方界において狭帯域アンテナとして動作する。このような構成例で、信号処理基板40a〜40dに、左右非対称な形状を有したアンテナパターン3を配置していることから、アンテナ41a,41bの反射特性の劣化をある程度指向性で抑圧できるようになる。
図23は、非対称平面アンテナ10を応用した第10の実施例としての電子機器902の構成例を示す斜視図である。この実施例では、図22に示した筐体30の内部にマザーボード60を組み込んで、信号処理基板40a〜40dを取り付ける場合を挙げている。第9の実施例と同じ名称及び同じ符号のものは同じ時能を有するので、その説明を省略する。
図23に示す電子機器902は、筐体30の底部に制御基板の一例を構成するマザーボード60を備え、アンテナ41a,41bを設けた4枚の信号処理基板40a〜40dが装着及び脱着可能となされている。信号処理基板40a〜40dには、第4の実施例で説明した信号処理基板400が使用される。もちろん、信号処理基板400のみならず第1〜第3、及び第5〜第8の実施例で説明したいずれかの信号処理基板を組み合わせて用いてもよい。マザーボード60上には図示しないスロットが所定の配置間隔で設けられ、このスロットで信号処理基板40a〜40dを支持固定するようになされる。
例えば、信号処理基板40a〜40dはマザーボード60の表面と垂直する方向で姿勢を保持するように支持される。この支持固定方法によれば、筐体30の躯体構造で信号処理基板40a〜40dを支持固定する場合に比べて交換操作が容易になる利点がある。もちろん、これに限られることはなく、アンテナ41aや41b等を設けたLSI装置がマザーボード60に装着及び脱着可能となる構成としてもよい。第9の実施例で説明した制御ユニットをもちろんマザーボード60上に配置してもよい。
このように、第10の実施例としての電子機器902によれば、筐体底部にマザーボード60が設けられ、マザーボード60において、信号処理基板40a〜40dやLSI装置等を自由に交換できるようになる。また、信号処理経路を容易に変更することができ、信号処理基板40a〜40dやLSI装置等における信号処理機能を自由に選択できるようになる。これにより、制御ユニット50と信号処理基板40a〜40dやLSI装置等との間を接続する無線接続プラグのようにアンテナ付き信号処理基板40a〜40dやLSI装置等を使用できる。
図24は、非対称平面アンテナ10を応用した第11の実施例としての電子機器903の構成例を示す斜視図である。この実施例では、第10の実施例に比べて信号処理基板40a〜40dを筐体内部で左右に並べて配置するのでは無く、信号処理基板40a〜40dを2組に分けてその各々を上下に配置した場合を挙げている。この例では、図23に示した筐体内部のマザーボード60に対して、信号処理基板40a〜40bが平行に姿勢を保持するように取り付けられる。
図24に示す電子機器903は、筐体30の底部に設けられたマザーボード60に並行に、アンテナ41a,41bを設けた4枚の信号処理基板40a〜40dが装着及び脱着可能に取り付けられる。信号処理基板40a〜40dには、第4の実施例で説明した信号処理基板が使用される。もちろん、信号処理基板400のみならず、第1〜第3、及び第5〜第8の実施例で説明したいずれかの信号処理基板を組み合わせて用いてもよい。マザーボード60上には図示しない基板取付機構が設けられる。基板取付機構は躯体構造体に固定されている。基板取付機構には、所定の配置間隔でスロットが設けられ、このスロットで信号処理基板40a〜40dを支持固定するようになされる。この支持固定方法によれば、2枚の信号処理基板40a及び40bはマザーボード60の表面と平行する方向で姿勢を保持するように基板取付機構で支持される。
また、他の2枚の信号処理基板40c及び40dもマザーボード60の表面と平行する方向で姿勢を保持するように基板取付機構で支持される。図中、広帯域無線通信時、信号処理基板40aと信号処理基板40c間や、信号処理基板40bと信号処理基板40d間における干渉は、本発明のアンテナ特性により抑えられており、信号処理基板40aと信号処理基板40b間及び信号処理基板40cと信号処理基板40d間において、広帯域無線通信を処理し易くなされる。
この例で、制御ユニット50’には、第1又は第6の実施例で説明した信号処理基板100〜600が応用できる。マザーボード60には、第9の実施例で説明したような制御ユニット50が制御ユニット50’として設けられ、制御ユニット50’には2つの狭帯域アンテナ102,103が設けられている。狭帯域アンテナ102,103には、遠方界で狭帯域性を有する本発明の非対称平面アンテナ10が使用される。制御ユニット50’では、本発明の非対称平面アンテナ10の遠方界における狭帯域性と、信号処理基板40a〜40dのアンテナ41a,41bの遠方界における狭帯域性とを利用して、信号処理基板40a〜40dへ狭帯域情報を無線送信し、又は、信号処理基板40a〜40dから狭帯域情報を無線受信するようになされる。
例えば、制御ユニット50’は、LSI装置120に接続された狭帯域アンテナ102と信号処理基板40bの裏側のアンテナ41bの間で狭帯域無線通信処理を実行する。また、LSI装置120に接続された狭帯域アンテナ103と信号処理基板40dの裏側のアンテナ41bの間で狭帯域無線通信処理を実行する。
このように、第11の実施例としての電子機器903によれば、筐体底部に設けられたマザーボード60に平行して、2組の信号処理基板40a,40bや信号処理基板40ca,40dが設けられ、これが基板取付機構に対して自由に着脱できるようになされる。
従って、信号処理基板40a〜40dを自由に交換できるので、信号処理経路を容易に変更することができ、信号処理基板40a〜40dにおける信号処理機能を自由に選択できるようになる。これにより、制御ユニット50’と信号処理基板40a〜40dとの間を接続する無線接続プラグのようにアンテナ付き信号処理基板40a〜40dを使用できる。
図25は、非対称平面アンテナ10を応用した第12の実施例としての電子機器904の構成例を示す斜視図である。この実施例では、第10の実施例の信号処理基板40c,40dの左右の配置と、第11の実施例の信号処理基板40a,40bの上下の配置とを組み合わせたものである。
図25に示す電子機器904は、筐体30の底部に設けられたマザーボード60上に、アンテナ41a,41bを設けた4枚の信号処理基板40a〜40dが装着及び脱着可能に取り付けられる。信号処理基板40a〜40dには、第4の実施例で説明した信号処理基板400が使用される。もちろん、信号処理基板400のみならず第1〜第3、及び第5〜第8の実施例で説明したいずれかの信号処理基板を組み合わせて用いてもよい。マザーボード60上の左半分には、図示しない基板取付機構が設けられる。基板取付機構は躯体構造体に固定されている。基板取付機構において、信号処理基板40a及び40bは、マザーボード60の表面と平行する方向で姿勢を保持するように所定の配置間隔で支持固定するようになされる。
また、他の2枚の信号処理基板40c及び40dは、マザーボード60の右半分に設けられた所定の配置間隔のスロットに支持固定するようになされる。信号処理基板40c及び40dはマザーボード60の表面と垂直する方向で姿勢を保持するように支持される。つまり、信号処理基板40c及び40dのアンテナ41a,41bの単一指向性に対して信号処理基板40a及び40bのアンテナ41a,41bの単一指向と直交する位置に配置されている。
この配置によって、広帯域無線通信時、第11の実施例と同様にして、信号処理基板40aと信号処理基板40c間や、信号処理基板40bと信号処理基板40d間における干渉は、本発明のアンテナ特性により抑えられ、信号処理基板40aと信号処理基板40b間及び信号処理基板40cと信号処理基板40d間において、広帯域無線通信を処理し易くなされる。
マザーボード60には制御ユニット50”が設けられ、制御ユニット50”には狭帯域アンテナ104及びLSI装置130が設けられている。狭帯域アンテナ104には、本発明に係る非対称平面アンテナ10等が応用される。この例では、制御ユニット50”は、LSI装置130に接続された狭帯域アンテナ104と信号処理基板40bの裏側のアンテナ41bの間で狭帯域無線通信処理を実行する。
このように、第12の実施例としての電子機器904によれば、筐体底部に設けられたマザーボード60に平行して、1組の信号処理基板40a,40bや、アンテナ41a,41bの指向性を直交するように配置された信号処理基板40c,40dが設けられ、これらが基板取付機構やマザーボードのスロットに対して自由に着脱できるようになされる。
従って、信号処理基板40a〜40dを自由に交換できるので、信号処理経路を容易に変更することができ、信号処理基板40a〜40dにおける信号処理機能を自由に選択できるようになる。これにより、制御ユニット50”と信号処理基板40a〜40dとの間を接続する無線接続プラグのようにアンテナ付き信号処理基板40a〜40dを使用できる。なお、第12の実施例においても、第10及び第11の実施例で説明したマザーボード60を省略した構成を採ることが可能である。
図26は、非対称平面アンテナ10を応用した第13の実施例としての電子機器905の構成例を示す斜視図である。この実施例では、第10の実施例の電子機器に電波吸収体70を取り付け、無線通信品質の向上を図ったものである。
図26に示す電子機器905は、アンテナ41a,41bを設けた信号処理基板40a〜40d及び/又はLSI装置が複数設けられた筐体30の内部に電波吸収体70が備えられる。信号処理基板40a〜40dには、第1〜第8の実施例で説明したいずれかの信号処理基板を組み合わせて用いられる。電波吸収体70は、筐体30の内面で、電波吸収効果が最大となる1つの面を選択して設けられる。例えば、電波吸収体70は筐体30の天板部に取り付けられる。天板部に電波吸収体70を取り付けると、電波を吸収する効果が最大となり、筐体30の内壁の中でも、面積を最大に取れる場所であり、その場所の1つの面に取り付けることで、電波吸収効果を発揮できるようになる。
なお、電波吸収体70を設けられた筐体内面の1部に整合回路素子を設けるようにしてもよい。このようにすると、より広帯域無線通信や狭帯域無線通信を容易に実現できるようになる。この電波吸収体70は、第11及び第12の実施例の電子機器に取り付けてもよい。
この例では、図26に示す筐体30において、制御ユニット50の狭帯域アンテナ101の取り付け位置を除く部分(アンテナ周囲を取り囲む)に電波吸収体70が取り付けられる。筐体30内における無線通信を処理し易くするために、電波吸収体70は、その伝送しようとする無線周波数帯において最も整合条件を満す構造物にて代用することができる。
このように、第13の実施例に係る電子機器905によれば、筐体内部において無線通信を行なう場合に、筐体30の天板部の大面積部位に電波吸収体70が設けられ、この電波吸収体70によって広帯域無線通信及び狭帯域無線通信をより容易かつ正確に実現できるようになった。
従って、筐体30内部において、広帯域無線通信を行なう場合に、電子・電気・機械・機構部品からの電磁波の反射・屈折・回折等による送受信信号の品質劣化を抑圧することができ、また、本発明に係るアンテナを金属で囲まれた環境に配置しても、アンテナ特性の劣化が極力抑制され、高速情報伝送処理することが可能となる。
なお、第9〜第13の実施例としての電子機器901〜905によれば、本発明に係る信号処理基板100乃至800が応用され、2個のアンテナ41a,41bが近接対峙して配置され、各々のアンテナ41a,41bには、本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用されるものである。
従って、長方形パッチアンテナに比べて反射特性を改善することができ、遠方界以外の条件で動作可能な非対称平面アンテナ10を使用した、最も効率的な近接無線通信処理ができるようになる。しかも、信号処理基板40a,40b間、信号処理基板40b,40c間、信号処理基板40c,40d間の各々の信号配線の引き回し工程から開放されるばかりか、信号処理基板40a,40b間又は、信号処理基板40b,40c間又は、信号処理基板40c,40d間で広帯域情報を高速伝送できるようになる。また、アンテナのマルチパスによる通信品質の低下を改善すること、及び、電子部品や機械部品等の機構部品が近接することによるアンテナへ影響を抑圧できるようになる。
更に、ユーザは、筐体30を何度も使い続けることができるので、電子機器901〜905を構成する筐体30を複数所持する必要がなくなり環境に配慮することができる。電子機器設計時に、信号処理基板40a〜40dの配線レイアウト工程を軽減できる。しかも、設計後の配線レイアウト変更に伴う工程を軽減することができる。これにより、設計後の信号処理基板の変更に円滑に対応できるようになる。
また、設計者は過去に設計した信号処理基板40a〜40dを利用して、新しい信号処理基板を開発できるようになる。例えば、過去に設計した信号処理基板40a〜40dと、新しい信号処理基板40a〜40dとを組み合わせて新しい信号処理基板を開発することができる。
図27A及びBは、信号処理基板40a等の内部構成例を示すブロック図である。図27Aに示す信号処理基板40aは信号処理ユニットの一例を構成し、例えば、共用器(アンテナスイッチ等)401、送信部402、受信部403、信号処理部404及びメモリ406(記憶装置)を有して構成される。
共用器401は3端子を有しており、図示しない第1の端子にはアンテナ41aが接続される。アンテナ41aには本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用される。アンテナ41aは広帯域性を利用して隣接する信号処理基板40bのアンテナ41bとの間で広帯域情報の無線通信処理を実行する。広帯域情報には、その情報量が多量であり、小さな量にして送ることが難しく、リアルタイム性が要求される信号、例えば、映像情報や音声情報等のデータ、コンピュータ画像情報を一括したマルチメディア情報等が含まれる。
また、制御ユニット50等の狭帯域アンテナ101と、信号処理基板40aのアンテナ41aとの間で狭帯域情報の無線通信処理を実行する。狭帯域情報には、制御信号、RF信号の同期処理に必要な情報、または伝送帯域が狭くても信号処理に有意になる情報であって、無線による放送型式で伝送(配信)することが利点になる情報が含まれる。
この例で、共用器401の第2の端子には送信部402が接続され、第3の端子には受信部403が接続され、これら送信部402及び受信部403には、信号処理部404が接続される。信号処理部404は、信号伝送線を介して不図示の内部機器に接続される。信号処理部404は、情報送信時、例えば、内部機器から入力した映像信号や音声信号等を信号処理し、広帯域信号と狭帯域信号とを送信部402に出力する。図中において、矢印太線は広帯域信号を示し、矢印破線は狭帯域信号を示している。以後、広帯域信号又は広帯域情報を矢印太線で示し、狭帯域信号又は狭帯域情報を矢印破線で示すものとする。送信部402は、図示しない信号多重部を有しており、広帯域信号と狭帯域信号とを重畳(多重)して送信信号を出力する。更に、送信部402は変調部を有しており、所定の変調形式により送信信号を変調し、所定の周波数の搬送波に基づいて変調信号を送出するようになされる。
また、上述の共用器401に接続された受信部403には、図示しない復調部が設けられ、情報受信時に、復調部では、所定の周波数の搬送波に基づいて搬送されてくる変調信号を入力して、所定の復調形式により受信信号を復調するようになされる。受信部403には、信号分離部が設けられ、受信信号から広帯域信号(広帯域情報)と狭帯域信号(制御情報)とを分離するようになされる。広帯域信号と狭帯域信号は、受信部403から信号処理部404へ出力される。信号処理部404では、狭帯域信号(制御情報)に基づいて広帯域信号(広帯域情報)を、例えば、フィルタ処理等をして映像信号や音声信号等を内部機器やメモリ等に出力する。
信号処理部404にはメモリ406が接続され、制御情報や、映像情報号、音声情報等を一時記憶するようになされる。メモリ406にはハードディスク装置、光磁気記録ディスク装置、光記録ディスク装置、テープ記録装置等が使用される。これらの記憶装置は半導体メモリ406よりも大容量であり、所定の読込み書込み速度を有した機器が使用される。
信号処理基板40aは、もちろん、共用器401や、送信部402、受信部403、信号処理部404等を半導体集積回路化したLSI装置であってもよい。これにより、本発明に係る非対称平面アンテナ10に接続可能な共用器401を有した信号処理基板40aが構成される。また、信号処理基板40aは、本発明に係る非対称平面アンテナ10をマウントした図15に示したような非対称平面アンテナ実装型のLSI装置であってもよい。
図27Bに示す信号処理基板40bは信号処理ユニットの一例を構成し、送信部402、受信部403、信号処理部404及びメモリ406(記憶装置)を有して構成される。
この例では、共用器401が省略され、2つのアンテナ41a,41bが送信部402と受信部403とに個別に接続される。アンテナ41a、41bには本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用される。
アンテナ41aは広帯域性を利用して隣接する信号処理基板40cのアンテナ41bとの間で広帯域情報の無線通信処理を実行する。また、制御ユニット50等の狭帯域アンテナ101と、信号処理基板40bのアンテナ41a,41bとの間で狭帯域情報の無線通信処理を実行する。
アンテナ41aには送信部402が接続される。送信部402は変調部を有しており、所定の変調形式により広帯域情報を変調し、所定の周波数の搬送波に基づいて広帯域情報を送信するようになされる。アンテナ41bには受信部403が接続される。受信部403は復調部を有しており、所定の周波数の搬送波に基づいて搬送されてくる広帯域情報を受信して、所定の復調形式により広帯域情報を復調するようになされる。
上述の送信部402及び受信部403には信号処理部404が接続され、制御情報に基づいて映像情報号や音声情報等を例えばフィルタ処理して広帯域情報を出力する。信号処理部404にはメモリ406が接続され、制御情報や、映像情報号、音声情報等を一時記憶するようになされる。メモリ406にはハードディスク装置、光磁気記録ディスク装置、光記録ディスク装置、テープ記録装置等が使用される。信号処理基板40bは、もちろん、送信部402、受信部403、信号処理部404等を半導体集積回路化したLSI装置であってもよい。これにより、本発明に係る非対称平面アンテナ10に接続可能な信号処理基板40bが構成される。また、信号処理基板40bは、本発明に係る非対称平面アンテナ10をマウントした図15に示したような非対称平面アンテナ実装型のLSI装置であってもよい。
図28A及びBは、制御ユニット50及び制御機能付きの信号処理基板40eの内部構成例を示すブロック図である。
図28Aに示す制御ユニット50は、遠方界において狭帯域アンテナとして動作するアンテナ41a,41bの狭帯域性かダイポールアンテナやモノポールアンテナ等の狭帯域アンテナを利用して狭帯域情報を複数の信号処理基板40a〜40d又はLSI装置に無線伝送処理するようになされる。例えば、制御ユニット50は、狭帯域情報を複数の信号処理基板40a〜40d又はLSI装置に対して同時に無線伝送する。このようにすると、制御信号、RF信号の同期に必要な情報等の狭帯域情報、または伝送帯域が狭くても信号処理に有意になる情報を複数の信号処理基板40a〜40b又はLSI装置との間で無線伝送処理することができる。
制御ユニット50は、例えば、共用器501、送信部502、受信部503、情報処理部504、CPU505及びメモリ506(記憶装置)を有して構成される。共用器501は3端子を有しており、図示しない第1の端子にはアンテナ101が接続される。アンテナ101には本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用される。制御ユニット50は、アンテナ101の狭帯域性を利用して隣接する信号処理基板40a、40bのアンテナ41a、41bとの間で狭帯域情報の無線通信処理を実行する。
共用器501の第2の端子には送信部502が接続される。送信部502は変調機能を有しており、所定の変調形式により狭帯域情報を変調し、所定の周波数の搬送波に基づいて狭帯域域情報を送信するようになされる。共用器501の第3の端子には受信部503が接続される。受信部503は復調機能を有しており、所定の周波数の搬送波に基づいて搬送されてくる狭帯域情報を受信して、所定の復調形式により狭帯域情報を復調するようになされる。
上述の送信部502及び受信部503には情報処理部504が接続され、制御情報に基づいて帯域情報を編集したり、広帯域情報を検索して出力する。情報処理部504にはCPU505が接続され、信号処理を実行させる信号処理基板40a〜40b等を指定するようになされる。例えば、情報処理部504は、広帯域情報をブロック単位に分割し、当該ブロック単位に分割された広帯域情報の先頭に付加情報(以下でID情報という)を合成する。ID情報は広帯域情報をフィルタ処理させる信号処理基板40a〜40b等を指定する制御情報である。制御情報は、信号処理基板40a〜40b等で信号処理要否を判別するためのヘッダ情報である。
この例で、CPU505は、ID情報及び狭帯域情報に基づいて広帯域情報を並列信号処理するように複数の信号処理基板40a〜40b等又はLSI装置を制御する。これは、複数の信号処理基板40a〜40b等又はLSI装置で広帯域情報を並列処理することで高速化を図れるためである。
また、CPU505は、一方の信号処理基板40a又はLSI装置と同期してID情報及び狭帯域情報に基づく広帯域情報を信号処理するように他方の信号処理基板40b又はLSI装置を制御する。例えば、CPU505は、ID情報を合成したブロック単位の広帯域情報を初段の信号処理基板40a又はLSI装置に入力すると共に、狭帯域情報を複数の信号処理基板40a〜40d又はLSI装置に一斉に送信し、最終段の信号処理基板40d又はLSI装置から処理結果を取得するようになされる。
更に、CPU505は、ID情報及び狭帯域情報に基づいて広帯域情報を非同期に信号処理するように各々の信号処理基板40a〜40d又はLSI装置を制御する。例えば、CPU505は、非同期に前段の信号処理基板40a又はLSI装置の信号処理結果に当該段の信号処理基板40b又はLSI装置に指定された広帯域情報を信号処理して、当該信号処理結果を次段の信号処理基板40c又はLSI装置に順次出力するように各段の信号処理基板40a〜40d又はLSI装置を制御する。これにより、信号処理基板40a〜40dを利用した広帯域情報の縦続信号処理を実行することができる。
もちろん、各段の信号処理基板40a〜40d又はLSI装置で同期信号に基づいてID情報及び狭帯域情報により指定される広帯域情報を信号処理するようにしてもよい。CPU505は、信号処理基板40a〜40d又はLSI装置における広帯域情報の同期信号処理、非同期信号処理、縦続信号処理、並列信号処理を適宜組み合わせて実行する。
この例で制御ユニット50にはCPU505の他に図示しない情報変換部を備え、最終段の信号処理基板40d又はLSI装置から取得した処理結果をリアルタイム性を保証した情報に変換するようになされる。情報変換部には、例えば、シグナルプロセッサ等が使用され、広帯域情報を映像情報及び音声情報に変換するようになされる。
上述の情報処理部504やCPU505にはメモリ506が接続され、制御情報や、広帯域情報等を一時記憶するようになされる。メモリ506にはハードディスク装置、光磁気記録ディスク装置、光記録ディスク装置、テープ記録装置等が使用される。
制御ユニット50は、もちろん、共用器501や、送信部502、受信部503、情報処理部504、CPU505等を半導体集積回路化したマイクロプロセッサであってもよい。これにより、本発明に係る非対称平面アンテナ10に接続可能な共用器501を有した制御ユニット50が構成される。また、制御ユニット50は、本発明に係る非対称平面アンテナ10をマウントした図15に示したような非対称平面アンテナ実装型のLSI装置であってもよい。この構成により、携帯電話機やゲーム機、携帯端末装置等における電子部品の高密度実装に寄与できるようになる。
図28Bに示す制御機能付きの信号処理基板40eは、信号処理ユニットの一例を構成し、送信部402、受信部403、信号処理部404、CPU405及びメモリ406(記憶装置)を有して構成される。この例では、共用器401が省略され、2つのアンテナ41a,41bが送信部402と受信部403とに個別に接続される。アンテナ41a、41bには本発明に係る非対称平面アンテナ10が応用される。
アンテナ41aは広帯域性を利用して隣接する信号処理基板40a,40b,40c又は40dのアンテナ41bとの間で広帯域情報の無線通信処理を実行する。また、制御ユニット50等の狭帯域アンテナ101と、当該信号処理基板40eのアンテナ41a,41bとの間で狭帯域情報の無線通信処理を実行する。
アンテナ41aには送信部402が接続される。送信部402は変調部を有しており、所定の変調形式により広帯域情報を変調し、所定の周波数の搬送波に基づいて広帯域情報を送信するようになされる。アンテナ41bには受信部403が接続される。受信部403は復調部を有しており、所定の周波数の搬送波に基づいて搬送されてくる広帯域情報を受信して、所定の復調形式により広帯域情報を復調するようになされる。
上述の送信部402及び受信部403には信号処理部404が接続され、制御情報に基づいて映像情報号や音声情報等を例えばフィルタ処理して広帯域情報を出力する。信号処理部404にはCPU405が接続され、当該信号処理基板40aを含めて信号処理を実行させる他の信号処理基板40a〜40e等を指定するようになされる。
この例でCPU405は情報判別部を構成し、ID情報及び狭帯域情報に基づいて伝送されてくる広帯域情報の信号処理要否を判別するようになされる。ID情報は広帯域情報に付加される制御情報であり、例えば、信号処理要否を判別するためのヘッダ情報である。信号処理部404やCPU405にはメモリ406が接続され、制御情報や、広帯域情報等を一時記憶するようになされる。例えば、CPU405により信号処理要と判別された広帯域情報をメモリ406に記憶するようになされる。
メモリ406にはハードディスク装置、光磁気記録ディスク装置、光記録ディスク装置、テープ記録装置等が使用される。信号処理基板40eは、もちろん、送信部402、受信部403、信号処理部404、CPU405等を半導体集積回路化(1チップ化)したマイクロプロセッサであってもよい。これにより、本発明に係る非対称平面アンテナ10に接続可能で、かつ、制御機能付きの信号処理基板40eが構成される。また、信号処理基板40eは、本発明に係る非対称平面アンテナ10をマウントした図15に示したような非対称平面アンテナ実装型のLSI装置であってもよい。
図29A〜Hは、広帯域情報D11の処理例を示す遷移図である。図29Aに示す広帯域情報D11は、本発明に係る信号処理ユニット100〜800等で取り扱われ、信号処理前に、図29Bに示すようなブロック単位に分割される。広帯域情報D11は、リアルタイム性が要求される映像情報や音声情報等であって、マザーボード60の制御ユニット50又は直接に信号処理基板40a〜40dに入力されるものである。制御ユニット50ではCPU505が広帯域情報D11をブロック単位に分割して有意広帯域情報D12となされる。
図29Cに示すID情報D13(付加情報)は、図29Bに示したブロック単位に分割された有意広帯域情報D12に付加するようになされる。ID情報D13は、有意広帯域情報D12を例えばフィルタ処理させる信号処理基板40a〜40d等を指定する制御情報である。制御情報には、信号処理基板40a〜40d等で信号処理要否を判別するためのフラグ情報が含まれる。例えば、フラグ情報=1で信号処理「要」を示し、フラグ情報=0で信号処理「否」を示す。CPU505は当該ブロック単位に分割した有意広帯域情報D12の先頭にID情報D13を合成(結合)する。
図29Dに示す有意広帯域情報ブロックのデータD14は、有意広帯域情報D12にID情報D13が合成されて形成される。有意広帯域情報ブロックは、信号処理基板40a〜40dにて一括して情報処理を行なう必要のあるデータ単位である。ID情報D13は、信号処理中、有意広帯域情報D12の先頭に合成されて管理される。図29Eに示すID情報付きの有意広帯域情報ブロックのデータD14’は、信号処理が終了した場合に得られる。信号処理終了後のデータD14’は、例えば、最終段の信号処理基板40dからマザーボード60の制御ユニット50へ転送される。
図29Fに示すID情報D13’は、信号処理終了後の有意広帯域情報ブロックのデータD14’から分離するようになされる。ID情報D13’は、制御ユニット50でCPU505が情報処理部504を制御することで、データD14’から分離される。図29Gに示す有意広帯域情報D12’は、データD14’からID情報D13’を分離すると得られる。
ID情報分離後の有意広帯域情報D12’は、CPU505の制御を受けた情報変換部により、リアルタイム性を保証した情報に変換するようになされる。図29Hに示す広帯域情報D11’は、リアルタイム性を保証したものである。情報変換部では、例えば、有意広帯域情報D12’を映像情報や音声情報等の広帯域情報D11’に変換するようになされる。これにより、信号処理基板40a〜40dで有意広帯域情報D12を処理することができる。
図30は、広帯域情報D11の縦続(シリアル)処理例を示したフローチャートである。この例では、有意広帯域情報ブロックのデータD14を順次処理する様子と、狭帯域情報の信号の流れとを示している。この信号処理の手順は、図27及び図28に説明した信号処理基板40a,40b,40eや制御ユニット50等の構成例及び図33〜図36に示す処理例において実現される。
図30に示す広帯域情報D11の縦続処理例によれば、例えば、マザーボード60の制御ユニットから広帯域情報入力部511に広帯域情報D11が入力される。このときの広帯域情報D11は、上位の制御装置から制御ユニット50へジョブ投入される。広帯域情報D11は、リアルタイム性が要求される映像情報や音声情報等であって、制御ユニット50又は直接に信号処理基板40a〜40d・・・にシリアルに入力されるものである。
広帯域情報D11は、広帯域情報入力部511から有意広帯域情報ブロック生成部512へ出力される。有意広帯域情報ブロック生成部512では、狭帯域情報に基づいて、図29Aに示した広帯域情報D11が、信号処理前に、図29Bに示したようなブロック単位に分割される。狭帯域情報は、有意広帯域情報ブロック生成部512と制御ユニット50との間で狭帯域無線処理される。
ブロック単位に分割された有意広帯域情報D12には、図29Cに示したID情報D13(付加情報)が付加される。有意広帯域情報ブロック生成部512は、ID情報D13が付加された有意広帯域情報ブロックのデータD14を本発明の非対称平面アンテナ10を利用して信号処理基板40aに出力する。
有意広帯域情報ブロックのデータD14は、狭帯域情報及びID情報D13に基づいて信号処理基板40aで信号処理がなされる。狭帯域情報は、信号処理基板40aと制御ユニット50との間で狭帯域無線処理される。信号処理基板40aでは、図29Dに示した有意広帯域情報ブロックのデータD14の中の有意広帯域情報D12が狭帯域情報に基づいてフィルタ処理等がなされる。
このとき、ID情報D13は信号処理中、有意広帯域情報D12の先頭に合成されて管理される。フィルタ処理後のデータD14は、図29Eに示した有意広帯域情報ブロックのデータD14’となる。信号処理終了後のデータD14’は、本発明の非対称平面アンテナ10を利用して、信号処理基板40aから信号処理基板40bへ無線送信処理される。
信号処理基板40bは、信号処理基板40aと同様にして狭帯域情報及びID情報D13に基づいて有意広帯域情報ブロックのデータD14を信号処理される。狭帯域情報は、信号処理基板40bと制御ユニット50との間で狭帯域無線処理される。信号処理基板40bでは、狭帯域情報に基づいて図29Dに示した有意広帯域情報ブロックのデータD14の中の有意広帯域情報D12がフィルタ処理される。信号処理基板40bは、信号処理後の有意広帯域情報ブロックのデータD14’を本発明の非対称平面アンテナ10を利用して信号処理基板40cに広帯域無線処理される。
信号処理基板40cは、信号処理基板40bと同様にして狭帯域情報及びID情報D13に基づいて有意広帯域情報ブロックのデータD14を信号処理される。狭帯域情報は、信号処理基板40cと制御ユニット50との間で狭帯域無線処理される。信号処理基板40cでは、狭帯域情報に基づいて図29Dに示した有意広帯域情報ブロックのデータD14の中の有意広帯域情報D12がフィルタ処理される。信号処理基板40cは、信号処理後の有意広帯域情報ブロックのデータD14’を本発明の非対称平面アンテナ10を利用して信号処理基板40dに広帯域無線処理される。
信号処理基板40dは、信号処理基板40cと同様にして狭帯域情報及びID情報D13に基づいて有意広帯域情報ブロックのデータD14を信号処理される。狭帯域情報は、信号処理基板40dと制御ユニット50との間で狭帯域無線処理される。信号処理基板40dでは、狭帯域情報に基づいて図29Dに示した有意広帯域情報ブロックのデータD14の中の有意広帯域情報D12がフィルタ処理される。
信号処理基板40dは、信号処理後の有意広帯域情報ブロックのデータD14’を本発明の非対称平面アンテナ10を利用して次段の信号処理基板に広帯域無線処理される。同様にして、本発明の非対称平面アンテナ10を利用し、信号処理基板間を広帯域無線処理され、最終段の信号処理基板から広帯域情報生成部513へ信号処理後のデータD14’が広帯域無線処理される。
広帯域情報生成部513は、狭帯域情報に基づいて信号処理終了後の有意広帯域情報ブロックのデータD14’から図29Fに示したID情報D13’を分離するようになされる。狭帯域情報は、広帯域情報生成部513と制御ユニット50との間で狭帯域無線処理される。データD14’からID情報D13’を分離すると、図29Gに示した有意広帯域情報D12’が得られる。有意広帯域情報D12’は、広帯域情報生成部513から広帯域情報出力部514へ出力される。
広帯域情報出力部514は、ID情報分離後の有意広帯域情報D12’をリアルタイム性を保証した情報に変換するようになされる。図29Hに示す広帯域情報D11’は、リアルタイム性を保証したものである。広帯域情報出力部514では、有意広帯域情報D12’を例えば、映像情報や音声情報等の広帯域情報D11’に変換するようになされる。これにより、信号処理基板40a〜40d・・・・で有意広帯域情報D12を処理することができる。
無線通信処理した広帯域情報D11を本発明の非対称平面アンテナ10を利用して信号処理基板40a→40b→40c→40d・・・に順次転送するようになる。このような複数回の広帯域無線処理することで、広帯域情報D11を信号処理基板40aの入力端から遠方の信号処理基板の出力端に伝送できるようになる。なお、広帯域情報入力部511、有意広帯域情報ブロック生成部512、広帯域情報生成部513及び広帯域情報出力部514は、制御ユニット50内の情報処理部504に含めてもよい。
図31は、広帯域情報D11の並列(パラレル)処理例を示したフローチャートである。この例では、複数の信号処理基板40a〜40d・・・や信号処理基板40a’〜40d’・・・等において、非同期に並列的に有意映像情報ブロックのデータD14を信号処理する様子と狭帯域情報の信号の流れとを示している。この信号処理の手順は、図27及び図28に説明した信号処理基板40a,40b,40eや制御ユニット50等の構成例及び図33〜図36に示す処理例において実現される。
図31に示す広帯域情報D11の並列処理例によれば、縦続処理例と同様にして、マザーボード60の制御ユニット50から広帯域情報入力部511に広帯域情報D11が入力される。このとき、広帯域情報D11は、上位の制御装置から制御ユニット50へジョブ投入される。
広帯域情報D11は、広帯域情報入力部511から有意広帯域情報ブロック生成部512へ出力される。有意広帯域情報ブロック生成部512では、狭帯域情報に基づいて、図29Aに示した広帯域情報D11が、信号処理前に、図29Bに示したようなブロック単位に分割される。狭帯域情報は、有意広帯域情報ブロック生成部512と制御ユニット50との間で狭帯域無線処理される。ブロック単位に分割された有意広帯域情報D12には、図29Cに示したID情報D13(付加情報)が付加される。
有意広帯域情報ブロック生成部512は、ID情報D13が付加された有意広帯域情報ブロックのデータD14を本発明の非対称平面アンテナ10を利用して信号処理基板40a,40b,40c,40d・・・に一斉に並列に伝送する。その時のデータD14の同期は、ID情報D13を用いる。信号処理基板40a,40b,40c,40d・・・に信号を並列伝送する為にはASK変調やTDMA(時分割多重)やFDMA(周波数分割多重)やCDMA(符号分割多重)等を用いる。
有意広帯域情報ブロックのデータD14は、狭帯域情報及びID情報D13に基づいて信号処理基板40a,40b,40c,40d・・・で並列信号処理がなされる。狭帯域情報は、信号処理基板40aと制御ユニット50との間、信号処理基板40bと制御ユニット50との間、信号処理基板40cと制御ユニット50との間、信号処理基板40dと制御ユニット50との間・・・で狭帯域無線処理される。なお、狭帯域情報は、本発明のアンテナ41a,41bを用いて伝送されるが、狭帯域情報専用のアンテナを信号処理基板40a〜40d内に別に設けて伝送するようにしてもよい。また、有意映像情報ブロックのデータD14及び狭帯域情報の蓄積量は、狭帯域情報及びID情報D13をキー情報(鍵)として動的に設定するようにしてもよい。
信号処理基板40aでは、図29Dに示した有意広帯域情報ブロックのデータD14の中の有意広帯域情報D12が狭帯域情報に基づいてフィルタ処理等がなされる。信号処理基板40aは、何ブロックかの有意広帯域情報D12や狭帯域情報等をメモリ406に蓄積する。例えば、信号処理基板40a内に蓄積された何ブロックかの有意映像情報ブロックのデータD14は、逐次LSI装置または電子部品や機械部品等において情報の信号処理がなされる。その際の有意広帯域情報D12の信号処理は、ID情報D13と狭帯域情報をキー情報(鍵)として非同期に行なわれる。
ID情報D13は信号処理中、有意広帯域情報D12の先頭に合成されて管理される。フィルタ処理後のデータD14は、図29Eに示した有意広帯域情報ブロックのデータD14’となる。信号処理終了後のデータD14’は、本発明の非対称平面アンテナ10を利用して、信号処理基板40aから下位の信号処理基板40a’,40b’,40c’,40d’・・・のいずれか1つ又は全て信号処理基板40a’,40b’,40c’,40d’・・・へ無線送信処理される。このとき、信号処理基板40eの自他判別機能が利用され、当該信号処理基板が指定されていない場合は、隣接する信号処理基板にデータD14’を転送するようになされる。なお、信号処理基板40b、40c,40d・・・においても、上述した信号処理基板40aと同様に信号処理がなされる。
また、信号処理基板40a〜40d・・・等の下位の、例えば、信号処理基板40a’では、図29Dに示した有意広帯域情報ブロックのデータD14の中の有意広帯域情報D12が狭帯域情報に基づいてフィルタ処理等がなされる。狭帯域情報は、信号処理基板40a’と制御ユニット50との間で狭帯域無線処理される。信号処理基板40a’は、何ブロックかの有意広帯域情報D12や狭帯域情報等をメモリ406に蓄積する。例えば、信号処理基板40a’内に蓄積された何ブロックかの有意映像情報ブロックのデータD14は、逐次LSI装置または電子部品や機械部品等において情報の信号処理がなされる。その際の有意広帯域情報D12の信号処理は、ID情報D13と狭帯域情報をキー情報(鍵)として非同期に行なわれる。
ID情報D13は信号処理中、有意広帯域情報D12の先頭に合成されて管理される。フィルタ処理後のデータD14は、図29Eに示した有意広帯域情報ブロックのデータD14’となる。信号処理終了後のデータD14’は、本発明の非対称平面アンテナ10を利用して、信号処理基板40a’から図示しない信号処理基板40a”,40b”,40c”,40d”・・・のいずれか1つ又は全て信号処理基板40a”,40b”,40c”,40d”・・・へ無線送信処理される。
このとき、信号処理基板40eの自他判別機能が利用され、当該信号処理基板が指定されていない場合は、隣接する信号処理基板にデータD14’を転送するようになされる。なお、信号処理基板40b’,40c’,40d’・・・においても、上述した信号処理基板40a’と同様に信号処理がなされる。なお、狭帯域情報は、信号処理基板40b’と制御ユニット50との間、信号処理基板40c’と制御ユニット50との間、信号処理基板40d’と制御ユニット50との間・・・で狭帯域無線処理される。
なお、信号処理基板40a〜40d・・・・の最終段の信号処理基板から広帯域情報生成部513へ信号処理後のデータD14’が広帯域無線処理される。広帯域情報生成部513は、狭帯域情報に基づいて信号処理終了後のデータD14’から図29Fに示したID情報D13’を分離するようになされる。狭帯域情報は、広帯域情報生成部513と制御ユニット50との間で狭帯域無線処理される。データD14’からID情報D13’を分離すると、図29Gに示した有意広帯域情報D12’が得られる。有意広帯域情報D12’は、広帯域情報生成部513から広帯域情報出力部514へ出力される。
広帯域情報出力部514は、ID情報分離後の有意広帯域情報D12’をリアルタイム性を保証した情報に変換するようになされる。図29Hに示す広帯域情報D11’は、リアルタイム性を保証したものである。広帯域情報出力部514では、有意広帯域情報D12’を例えば、映像情報や音声情報等の広帯域情報D11’に変換するようになされる。これにより、信号処理基板40a,40a’,40a”・・・、信号処理基板40b,40b’,40b”・・・、信号処理基板40c,40c’,40c”・・・、信号処理基板40d,40d’,40d”・・・で有意広帯域情報D12を並列処理することができる。なお、広帯域情報入力部511、有意広帯域情報ブロック生成部512、広帯域情報生成部513及び広帯域情報出力部514は、制御ユニット50内の情報処理部504に含めてもよい。
図32A〜Fは、映像情報D21の処理例を示す遷移図である。この例で、広帯域情報が外部から入力される映像情報D21である場合を挙げている。図32Aに示す広帯域情報D21は、本発明に係る信号処理ユニット100〜800等で取り扱われ、信号処理前に、図32Bに示すようなフィールド単位に分割される。映像情報D21は、リアルタイム性が要求され、マザーボード60の制御ユニット50又は直接に信号処理基板40a〜40dに入力されるものである。制御ユニット50ではCPU505が映像情報D21をフィールド単位に分割して有意映像情報D22となされる。
図32Cに示すID情報D23(付加情報)は、図32Bに示したフィールド単位に分割された有意映像情報D22に付加するようになされる。ID情報D23は、有意映像情報D22を例えばフィルタ処理させる信号処理基板40a〜40d等を指定する制御情報である。制御情報には、信号処理基板40a〜40d等で信号処理要否を判別するためのフラグ情報が含まれる。
例えば、フラグ情報=1で信号処理「要」を示し、フラグ情報=0で信号処理「否」を示す。CPU505は当該フィールド単位に分割した有意映像情報D22の先頭にID情報D23を合成(結合)する。このように、入力された映像情報が1フィールド分毎に分割され、1フィールド分の映像情報の先頭にID情報が付加されて1つの有意映像情報ブロックが形成される。ID情報は、通常の映像情報に含まれるブランキング期間に付加するようにしてもよい。
図32Dに示す有意映像情報ブロックのデータD24は、有意映像情報D22にID情報D23が合成されて形成される。有意映像情報ブロックは、信号処理基板40a〜40dにて一括して情報処理を行なう必要のあるデータ単位である。ID情報が付加された有意映像情報ブロックは、隣接した信号処理基板40a→40b→40c→40dを経由しながら一度に複数の信号処理基板40a〜40dに配信され、狭帯域情報とID情報D23をキー情報(鍵)として当該信号処理基板での信号処理指定がなされたことが判別された場合は、当該有意映像情報ブロックの信号処理がなされる。
ID情報D23が付加された有意映像情報ブロックは、信号処理基板40a〜40dにおいて信号処理がなされる。有意映像情報ブロックは、信号処理中、フィールド単位の有意映像情報の先頭にID情報ID23が合成されて管理される。例えば、ID情報D23は、制御信号及びフィールド番号の他に、信号処理基板40a〜40dにおいて信号処理された結果生じた情報が含まれる。なお、狭帯域情報とID情報D23をキー情報(鍵)とした当該信号処理基板での信号処理が指定されないことが判別された場合は、当該有意映像情報ブロックの信号処理がなされない。狭帯域情報は、制御信号や信号処理基板40a〜40dにおいて信号処理された結果生じた情報も含まれる。
図32Eに示すID情報付きの有意映像情報ブロックのデータD24’は、信号処理が終了した場合に得られる。信号処理終了後のデータD24’は、例えば、最終段の信号処理基板40dからマザーボード60の制御ユニット50へ転送される。図32Fに示すID情報D23’は、信号処理終了後の有意映像情報ブロックのデータD24’から分離するようになされる。ID情報D23’は、制御ユニット50でCPU505が情報処理部504を制御することで、データD24’から分離される。図32Gに示す有意映像情報D22’は、データD24’からID情報D23’を分離すると得られる。
ID情報分離後の有意映像情報D22’は、CPU505の制御を受けた情報変換部により、リアルタイム性を保証した情報に変換するようになされる。図32Hに示す映像情報D21’は、リアルタイム性を保証したものである。情報変換部では、例えば、有意映像情報D22’を映像情報や音声情報等の映像情報D21’に変換するようになされる。これにより、信号処理基板40a〜40dで有意映像情報D22を処理することができる。
続いて、図33〜図36を参照して制御ユニット50及び信号処理基板40a〜40eにおける信号処理例について説明する。
図33A及びBは、制御ユニット50と信号処理基板40a〜40d等の間の無線通信例を示すフローチャートである。
この実施例では、狭帯域アンテナ101を設けた制御ユニット50と、11%以上の比帯域幅を有するアンテナ41a,41bを設けた信号処理基板40a〜40dとを近接対向させて信号処理基板40a〜40d間で無線通信処理をする場合を挙げている。ID情報D23を合成したフィールド単位の有意映像情報D22を初段の信号処理基板40aに入力すると共に、狭帯域情報を複数の信号処理基板40a〜40dに一斉に送信し、最終段の信号処理基板40dから処理結果を取得する場合を例に挙げる。以下の図面において、図中、太線矢印は、広帯域無線通信であり、細い破線は狭帯域無線通信である。
これらを無線通信条件にして、図33Aに示すフローチャートのステップA1で制御ユニット50は外部から映像情報D21を入力する。外部から入力される、図32Aに示したような映像情報D21は、リアルタイム性が要求される。そして、ステップA2で制御ユニット50では有意映像情報D22が生成される。このとき、CPU505は映像情報D21をフィールド単位に分割し、図32Bに示したフィールド単位に分割された有意映像情報D22の先頭に、図32Cに示したID情報D23を付加するようになされる。
ID情報D23は、有意映像情報D22を例えばフィルタ処理させる信号処理基板40a〜40d等を指定する制御情報である。制御情報には、信号処理基板40a〜40d等で信号処理要否を判別するためのフラグ情報が含められる。例えば、フラグ情報=1で信号処理「要」を示し、フラグ情報=0で信号処理「否」を示している。このように、有意映像情報D22にID情報D23を合成することで、図32Dに示した有意映像情報ブロックのデータD24を形成するようになされる。なお、ID情報は、通常の映像情報に含まれるブランキング期間に付加するようにしてもよい。
そして、ステップA3で制御ユニット50は信号処理基板40a〜40dに狭帯域情報を一斉配信する。このとき、遠方界において狭帯域アンテナ101として動作するアンテナの狭帯域性を利用して複数の信号処理基板40a〜40dに狭帯域情報を無線伝送処理する。これにより、複数の信号処理基板40a〜40dに対して一斉に制御情報等を無線伝送することができる。
その後、ステップA4で制御ユニット50はID情報D23が付加された有意映像情報ブロックのデータD24を信号処理基板40a〜40dに送信する。このとき、有意映像情報ブロックのデータD24は、本発明のアンテナ41a,41b(=非対称平面アンテナ10)を使用して、隣接する信号処理基板40a→40b→40c→40dを経由しながら一度に複数の信号処理基板40a〜40dに配信される。
一方、信号処理基板40a〜40d側では、図33Bに示すフローチャートのステップB1で制御ユニット50から配信された狭帯域情報を受信する。狭帯域情報の内容は、例えば、有意映像情報ブロックのデータD24が送信される旨の事前通知である。その後、信号処理基板40a〜40d側は、有意映像情報ブロックのデータD24の送信通知を認識してステップB2に移行する。
ステップB2で、例えば、信号処理基板40aは、有意映像情報ブロックのデータD24を受信して、そのデータD24をメモリ406に記憶する。次に、ステップB3でID情報D23及び狭帯域情報に基づいて当該信号処理基板40aでは、メモリ406から有意映像情報ブロックのデータD24を読み出して目的の信号処理、例えば、フィルタ処理等がなされる。ID情報D23は、信号処理中、フィールド単位の有意映像情報D22の先頭に合成されて管理される。例えば、ID情報D23は、制御信号及びフィールド番号の他に、信号処理基板40a〜40dにおいて信号処理された結果生じた情報が含まれる。
他の信号処理基板40b〜40dではID情報D23が付加された有意映像情報ブロックのデータD24を並列信号処理するようになされる。例えば、一方の信号処理基板40aに同期して他方の信号処理基板40bでID情報D23及び狭帯域情報に基づく有意映像情報D22を信号処理する。もちろん、これに限らず、ID情報D23及び狭帯域情報に基づいて有意映像情報D22を非同期に信号処理する。このとき、信号処理基板40a〜40dにおける映像情報D21の同期信号処理、非同期信号処理、縦続信号処理、並列信号処理を適宜組み合わせて実行するようにしてもよい。
そして、ステップB4で各々の信号処理基板40a〜40dは、目的の信号処理を終了したか否かを検出する。目的の信号処理の終了したか否かは、エンドオブフラグ等を検出することで判別される。信号処理が終了していない場合は、ステップB3に戻って目的の信号処理を継続する。信号処理を終了した場合は、ステップB5に移行して信号処理基板40a〜40dは「信号処理終了通知」を狭帯域情報にして制御ユニット50に通知する。狭帯域情報には、制御ユニット50や信号処理基板40a〜40d等において信号処理された結果生じた情報も含まれる。
他方、図33Aに示すステップA5で制御ユニット50は信号処理終了通知を待機する。信号処理基板40a〜40dから信号処理終了通知を受信すると、ステップA6に移行する。このとき、本発明の非対処平面アンテナ41a,41bを使用して、前段の信号処理基板40aの信号処理結果に、当該段の信号処理基板40bに指定された有意映像情報D22を信号処理した信号処理結果を次段の信号処理基板40cに順次無線通信処理されて出力される。
また、図33Bに示すステップB6では信号処理基板40dから制御ユニット50へ信号処理後の有意映像情報ブロックのデータD24’が送信されるので、これを受けて図33Aに示すステップA6で、制御ユニット50は、信号処理後の有意映像情報ブロックのデータD24’を受信する。このとき、制御ユニット50では、最終段の信号処理基板40dから、図32Eに示したID情報付きの有意映像情報ブロックのデータD24’の転送を受けて取得する。
また、制御ユニット50では、ステップA7で有意映像情報D22’を作成する。例えば、信号処理終了後の有意映像情報ブロックのデータD24’から図32Fに示したID情報D23’を分離するようになされる。ID情報D23’は、制御ユニット50でCPU505が情報処理部504を制御することで、データD24’から分離される。このデータD24’からID情報D23’を分離すると図32Gに示した有意映像情報D22’が得られる。
そして、ステップA8に移行してCPU505は、取得した有意映像情報D22’(処理結果)をリアルタイム性を保証した情報に変換して映像情報D21’を出力する。例えば、ID情報を分離した後の有意映像情報D22’が、CPU505の制御を受けた情報変換部により、図32Hに示したリアルタイム性を保証した情報に変換するようになされる。情報変換部では、有意映像情報D22’を映像情報D21’に変換するようになされる。これにより、信号処理基板40a〜40dで有意映像情報D22を処理した映像情報D21’を出力することができる。その後、ステップA9でCPU505は終了判断をする。例えば、電源オフ情報を検出した場合は、信号処理を終了する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップA1に戻って上述した信号処理を継続するようになされる。
図34は、判別機能付きの信号処理基板40eにおける無線通信例を示すフローチャートである。この例では、信号処理基板40eに図28Bに示すCPU405が設けられ、有意映像情報ブロックのデータD24’が当該信号処理基板40eに指定されたか否かを判別し、この判別結果に基づいて、当該信号処理基板40eが指定されていない場合は、他の信号処理基板40a〜40dに有意映像情報ブロックのデータD24’を転送する場合を挙げている。
これを信号処理条件にして、判別機能付きの信号処理基板40eは、非対称平面アンテナ10の狭帯域性を使用して、図34に示すフローチャートのステップC1で制御ユニット50から配信された狭帯域情報を受信する。狭帯域情報の内容は、例えば、有意映像情報ブロックのデータD24が送信される旨の事前通知である。その後、信号処理基板40eは、有意映像情報ブロックのデータD24の送信通知を認識してステップC2に移行する。
ステップC2で信号処理基板40eは、狭帯域情報に基づいて有意映像情報ブロックのデータD24が当該信号処理基板40e宛(自宛)か、又は、他の信号処理基板40a,40b,40c,40d宛(他宛)かを判別する。この際の判別基準としては、狭帯域情報に含まれる、例えば、「信号処理基板40eを指定する」等の情報に基づいて判別を行う。
この判別の結果、当該信号処理基板40eが指定されていないことが判別された場合は、当該有意映像情報ブロックのデータD24の信号処理を実行することなく、ステップC8に移行して信号処理基板40eは、制御ユニット50に狭帯域情報を通知する。この際の狭帯域情報の内容は、「有意映像情報ブロックのデータD24は、当該信号処理基板40e宛ではなく、他の信号処理基板40a,40b,40c,40d宛である」等である(自他判別機能)。
そして、ステップC9に移行して信号処理基板40eは、非対称平面アンテナ10を使用して有意映像情報ブロックのデータD24を他の信号処理基板40a,40b,40c,40dへ転送するようになされる。なお、ステップC2でデータD24が「当該信号処理基板40e宛である」旨が判別された場合は、ステップC3に移行する。ステップC3で信号処理基板40eは、非対称平面アンテナ10を使用してデータD24を受信する。このとき、有意映像情報ブロックのデータD24をメモリ406に記憶する。
その後、ステップC4に移行して信号処理基板40eは、狭帯域情報及びID情報D23に基づいて映像情報D21の信号処理を実行する。このとき、信号処理基板40eでは、メモリ406から有意映像情報ブロックのデータD24が読み出されて目的の信号処理、例えば、フィルタ処理等がなされる。ID情報D23は、信号処理中、フィールド単位の有意映像情報D22の先頭に合成されて管理される。ID情報D23は、制御信号及びフィールド番号の他に、信号処理基板40a〜40dにおいて信号処理された結果生じた情報が含まれる。
そして、ステップC5で信号処理基板40eは、目的の信号処理を終了したか否かを検出する。目的の信号処理の終了したか否かは、データD24のエンドオブフラグ等を検出することで判別される。信号処理が終了していない場合は、ステップC4に戻って目的の信号処理を継続する。信号処理を終了した場合は、ステップC6に移行して信号処理基板40eは「信号処理終了通知」を狭帯域情報にして制御ユニット50に通知する。その後、ステップC7では信号処理基板40eから制御ユニット50へ信号処理後の有意映像情報ブロックのデータD24’が送信される。これにより、信号処理基板40eで自他判別処理に基づいて有意映像情報D22を処理することができる。
なお、有意映像情報ブロックのデータD24が送信された先の信号処理基板40a〜40dでは、図33Bに示したフローチャートにおける処理手順と同様の処理がなされる。信号処理基板40a〜40dでは、狭帯域情報とID情報D23により、各々異った信号処理がなされる。また、複数の信号処理基板40eのそれぞれが判別機能を有する場合は、狭帯域情報とID情報D23をキー情報(鍵)として、有意映像情報ブロックのデータD24が自身の信号処理に必要かどうかを判断し、自他判別処理に基づいて有意映像情報D22を処理するようになされる。
図35は、制御機能付きの信号処理基板40e’における無線通信例を示すフローチャートである。この実施例では、図28Bに示した信号処理基板40eに、有意映像情報ブロックの生成機能及び映像情報の生成出力機能をそれぞれ内部に備え、信号処理基板40e’で有意映像情報ブロックの生成処理及び映像情報の生成出力処理をするようになされる。この例では、映像情報D21’の信号処理の終了と同時に映像情報D24’を送信し、その後、信号処理の終了判定処理をし、更に、映像情報D21’を作成するようになされる。
これらを信号処理条件として、信号処理基板40e’では、図35に示すフローチャートのステップE1で情報配信先から配信された狭帯域情報を受信する。狭帯域情報の内容は、例えば、映像情報D21が送信される旨の事前通知である。情報配信先は、制御ユニット50や他の信号処理基板等である。その後、信号処理基板40e’は、映像情報D21の送信通知を認識してステップE2に移行する。
ステップE2で、信号処理基板40e’は、映像情報D21を受信して、その映像情報D21をメモリ406に記憶する。次に、ステップE3でID情報D23及び狭帯域情報に基づいて当該信号処理基板40e’では、メモリ406から映像情報D21を読み出して有意映像情報D22が生成される。このとき、CPU405は映像情報D21をフィールド単位に分割し、図32Bに示したフィールド単位に分割された有意映像情報D22の先頭に、図32Cに示したID情報D23を付加するようになされる。
ID情報D23は、有意映像情報D22を例えばフィルタ処理させる信号処理基板40a〜40b等を指定する制御情報である。制御情報には、信号処理基板40a〜40b等で信号処理要否を判別するためのフラグ情報が含められる。例えば、フラグ情報=1で信号処理「要」を示し、フラグ情報=0で信号処理「否」を示している。このように、有意映像情報D22にID情報D23を合成することで、図32Dに示した有意映像情報ブロックのデータD24を形成するようになされる。なお、ID情報は、通常の映像情報に含まれるブランキング期間に付加するようにしてもよい。
その後、ステップE4に移行して、信号処理基板40e’は、目的の信号処理、例えば、フィルタ処理等がなされる。ID情報D23は、信号処理中、フィールド単位の有意映像情報D22の先頭に合成されて管理される。映像情報D21の信号処理を終了した後、ステップE5に移行して信号処理基板40e’は「信号処理終了通知」を通信相手先へ通知する。このとき、信号処理基板40e’は「信号処理終了通知」を狭帯域情報にして、本発明の非対処平面アンテナ10の狭帯域性を利用し、例えば、制御ユニット50等に通知する。狭帯域情報には、制御ユニット50や信号処理基板40e’等において信号処理された結果生じた情報も含まれる。
そして、ステップE6で信号処理基板40e’は映像情報D21を出力するようになされる。このとき、本発明の非対処平面アンテナ41a,41bを使用して、制御ユニット50又は他の信号処理基板40a〜40dへ映像情報D24’を出力する。これにより、信号処理基板40e’から他の信号処理基板40a〜40dへ映像情報D24’を送信することができる。
そして、ステップE7で信号処理基板40e’は、目的の信号処理を終了したか否かを検出する。目的の信号処理の終了したか否かは、エンドオブフラグ等を検出することで判別される。信号処理が終了していない場合は、ステップE4に戻って目的の信号処理を継続する。信号処理を終了した場合は、ステップE8に移行して信号処理基板40e’は、信号処理後の有意映像情報ブロックのデータD24’から映像情報D21’を作成する。
例えば、信号処理終了後の有意映像情報ブロックのデータD24’から図32Fに示したID情報D23’を分離するようになされる。ID情報D23’は、CPU405が信号処理部404を制御することで、データD24’から分離される。このデータD24’からID情報D23’を分離すると図32Gに示した有意映像情報D22’が得られる。
CPU405は、有意映像情報D22’(処理結果)をリアルタイム性を保証した情報に変換して映像情報D21’を出力する。例えば、ID情報を分離した後の有意映像情報D22’が、CPU405の制御を受けた情報変換部により、図32Hに示したリアルタイム性を保証した情報に変換するようになされる。情報変換部では、有意映像情報D22’を映像情報D21’に変換するようになされる。これにより、信号処理基板40e’で映像情報D21を処理した映像情報D21’を作成することができる。
その後、ステップE9でCPU405は終了判断をする。例えば、電源オフ情報を検出した場合は、信号処理を終了する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップE1に戻って上述した信号処理を継続するようになされる。これにより、信号処理基板40e’で有意映像情報ブロックの生成処理及び映像情報の生成出力処理を実行できるようになり、本発明の非対処平面アンテナ41a,41bを使用して映像情報D21’を転送できるようになる。
図36は、制御判別機能付きの信号処理基板40e”における無線通信例を示すフローチャートである。
この実施例では、図28Bに示した信号処理基板40eに、有意映像情報ブロックの生成機能、自他判別機能及び映像情報の生成出力機能のそれぞれを内部に備え、信号処理基板40e”で有意映像情報ブロックの生成処理、自他判別処理及び、映像情報の生成出力処理をするようになされる。
これらを信号処理条件として、信号処理基板40e”では、図36に示すフローチャートのステップF1で情報配信先から配信された狭帯域情報を受信する。狭帯域情報の内容は、例えば、映像情報D21が送信される旨の事前通知である。情報配信先は、制御ユニット50や他の信号処理基板等である。その後、信号処理基板40e”は、映像情報D21の送信通知を認識してステップF2に移行する。
ステップF2で、信号処理基板40e”は、映像情報D21を受信して、その映像情報D21をメモリ406に記憶する。次に、ステップF3でID情報D23及び狭帯域情報に基づいて当該信号処理基板40e”では、メモリ406から映像情報D21を読み出して有意映像情報D22が生成される。このとき、CPU405は映像情報D21をフィールド単位に分割し、図32Bに示したフィールド単位に分割された有意映像情報D22の先頭に、図32Cに示したID情報D23を付加するようになされる。
ID情報D23は、有意映像情報D22を例えばフィルタ処理させる信号処理基板40a〜40d等を指定する制御情報である。制御情報には、信号処理基板40a〜40d等で信号処理要否を判別するためのフラグ情報が含められる。例えば、フラグ情報=1で信号処理「要」を示し、フラグ情報=0で信号処理「否」を示している。このように、有意映像情報D22にID情報D23を合成することで、図32Dに示した有意映像情報ブロックのデータD24を形成するようになされる。なお、ID情報は、通常の映像情報に含まれるブランキング期間に付加するようにしてもよい。
ステップF4で信号処理基板40e”は、狭帯域情報に基づいて有意映像情報ブロックのデータD24が当該信号処理基板40e”宛(自宛)か、又は、他の信号処理基板40a,40b,40c,40d宛(他宛)かを判別する。この際の判別基準としては、狭帯域情報に含まれる、例えば、「信号処理基板40e”を指定する」等の情報に基づいて判別を行う。
この判別の結果、当該信号処理基板40e”が指定されていないことが判別された場合は、当該有意映像情報ブロックのデータD24の信号処理を実行することなく、ステップF11に移行して信号処理基板40e”は、制御ユニット50に狭帯域情報を通知する。この際の狭帯域情報の内容は、「有意映像情報ブロックのデータD24は、当該信号処理基板40e”宛ではなく、他の信号処理基板40ea,40b,40c,40d宛である」等である(自他判別機能)。そして、ステップF12に移行して信号処理基板40e”は、非対称平面アンテナ10を使用して有意映像情報ブロックのデータD24を他の信号処理基板40a,40b,40c,40dへ転送するようになされる。その後、ステップF13に移行する。
なお、ステップF4でデータD24が「当該信号処理基板40e”宛である」旨が判別された場合は、ステップF5に移行して、メモリ406からデータD24を読み出す。そして、ステップF6に移行して、信号処理基板40e”は、目的の信号処理、例えば、フィルタ処理等がなされる。ID情報D23は、信号処理中、フィールド単位の有意映像情報D22の先頭に合成されて管理される。
上述の映像情報D21のフィルタ処理等の信号処理を終了した後、ステップF7に移行して信号処理基板40e”は「信号処理終了通知」を通信相手先へ通知する。このとき、信号処理基板40e”は「信号処理終了通知」を狭帯域情報にして、本発明の非対処平面アンテナ10の狭帯域性またはモノポールアンテナ等を利用し、例えば、制御ユニット50に通知する。狭帯域情報には、制御ユニット50や信号処理基板40e”等において信号処理された結果生じた情報も含まれる。そして、ステップF8で信号処理基板40e”は映像情報D24’を出力(転送)するようになされる。このとき、本発明の非対処平面アンテナ41a,41bを使用して、制御ユニット50又は他の信号処理基板40a〜40dへ映像情報D24’を転送する。
その後、ステップF9で信号処理基板40e”は、目的の信号処理を終了したか否かを検出する。目的の信号処理の終了したか否かは、エンドオブフラグ等を検出することで判別される。信号処理が終了していない場合は、ステップF6に戻って目的の信号処理を継続する。信号処理を終了した場合は、ステップF10に移行して信号処理基板40e”は信号処理後の有意映像情報ブロックのデータD24’から映像情報D21’を作成する。
例えば、信号処理終了後の有意映像情報ブロックのデータD24’から図32Fに示したID情報D23’を分離するようになされる。ID情報D23’は、CPU405が信号処理部404を制御することで、データD24’から分離される。このデータD24’からID情報D23’を分離すると図32Gに示した有意映像情報D22’が得られる。
CPU405は、有意映像情報D22’(処理結果)をリアルタイム性を保証した情報に変換して映像情報D21’を出力する。例えば、ID情報を分離した後の有意映像情報D22’が、CPU405の制御を受けた情報変換部により、図32Hに示したリアルタイム性を保証した情報に変換するようになされる。情報変換部では、有意映像情報D22’を映像情報D21’に変換するようになされる。これにより、信号処理基板40e”で映像情報D21を処理した映像情報D21’を作成することができる。
その後、ステップF13でCPU405は終了判断をする。例えば、電源オフ情報を検出した場合は、信号処理を終了する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップF1に戻って上述した信号処理を継続するようになされる。これにより、信号処理基板40e”で有意映像情報ブロックの生成処理、自他判別処理及び映像情報の生成出力処理を実行できるようになり、本発明の非対処平面アンテナ41a,41bを使用して映像情報D21’を転送できるようになる。
このように、第9〜第13の実施例としての電子機器の通信方法によれば、LSI装置との接続容易性を保ちつつ、11%以上の比帯域幅を有し、かつ、広帯域特性を有したアンテナ41a,41bが信号処理基板40a〜40dに設けられる。これを前提にして、本発明に係るアンテナ41a,41bを近接対向させて信号処理基板40a〜40d間で無線通信処理をするようになされる。アンテナ41a,41bは遠方において、通常の狭帯域アンテナとして動作させることができ、整合回路をアンテナパターン3内に有するというアンテナ特性を利用した電子機器の筐体30内における無線通信を行なうことができる。
上述した例では、アンテナ41a,41bを近接対向させて配置すると、筐体30内で近接した信号処理基板40a〜40d間に通信路を確立(接続)することができ、信号処理基板40aから信号処理基板40bへ映像情報D21を広帯域無線通信処理すること、また、信号処理基板40bから信号処理基板40cへ映像情報D21を広帯域無線通信処理することができる。従って、信号処理基板40cから信号処理基板40dへ映像情報D21を広帯域無線通信処理すること、また、信号処理基板40a〜40d間でリアルタイムに多量の情報を伝送することができる。
しかも、筐体30内に信号配線を引き回すことなく、高密度に信号処理基板40a〜40dを実装できるようになる。ユーザは複数の配線の煩わしさから開放され、かつ、新しい情報の信号処理システムを容易に導入及び構築できるようになる。また、マルチパスに伴う送受信信号の品質劣化を抑圧できるようになり、筐体30内において情報を高速に送受できるようになる。更に、電子機器内部において信号処理基板40a〜40d間での近傍・近接した状態において、遠方の制御ユニット50との間において、狭帯域無線通信処理を行なうことができる。
なお、第9〜第13の実施例では、制御ユニット50や50’が信号処理基板400等と分離されたマザーボード60上に実装される場合について説明したが、これに限られることはなく、それぞれの信号処理基板400等に制御ユニット50や50’の制御機能を付加した、小さな制御ユニットを構成する図28に示したような制御機能付きの信号処理基板40eを実装し、それらが互いに協調制御を行ない信号基板間で互いに協調して動作させるようにしてもよい。このように構成することで、マザーボード60上の制御ユニット50,50’が無くても信号処理基板間で動作するようになる。この場合でも、マザーボード60上に制御ユニット50,50’を実装する構成を採ってもよい。
さらに、図29に示すように広帯域情報を有意広帯域情報に分割してID情報を付加したデータD14のような有意広帯域情報ブロックが形成されているので信号処理に必要な命令情報(ジョブまたはタスクまたはオペランド等)をID情報に埋め込むことで有意広帯域情報の信号処理を行なわせることもできる。この場合には有意広帯域情報ブロックのデータD14が信号処理部404、504に到達すれば信号処理基板400等の機能が変化する。そして制御ユニット50,50’を必要としない構成が取れる。
この発明は、近距離にて単一指向性かつ広帯域性を有し、遠距離にて狭帯域性を有する2周波の共振型アンテナ動作をする筐体30内通信向けのアンテナを用いた映像処理装置や情報処理装置等に適用して極めて好適である。
本発明に係る実施形態としての非対称平面アンテナ10の構造例を示す上面図である。
非対称平面アンテナ10に係るアンテナパターン3の積層例を示す断面図である。
他の非対称平面アンテナ10cに係るアンテナパターン3の積層例を示す断面図である。
本発明の非対称平面アンテナ10や10c等に対する比較例としての非対称平面アンテナ10’の構成例を示す上面図である。
長方形パッチアンテナ10”及び非対称平面アンテナ10’に係る反射特性の比較例を示す図である。
長方形パッチアンテナ10”及び非対称平面アンテナ10に係る反射特性の比較例を示す図である。
(A)及び(B)は、非対称平面アンテナ10における非対称なアンテナパターン3の形成例(その1)を示す工程図である。
(A)及び(B)は、非対称平面アンテナ10における非対称なアンテナパターン3の形成例(その2)を示す工程図である。
(A)及び(B)は、非対称平面アンテナ10における非対称なアンテナパターン3の形成例(その3)を示す工程図である。
非対称平面アンテナ10bの透過特性の測定例を示す斜視図である。
非対称平面アンテナ10bの透過特性例を示す図である。
非対称平面アンテナ10a,10bの対向回転時の透過特性の測定例を示す図である。
非対称平面アンテナ10の回転時の透過特性例を示す図である。
非対称平面アンテナ10を応用した第1の実施例として信号処理ユニット100の構造例を斜視図である。
非対称平面アンテナ10を応用した第2の実施例として信号処理ユニット200の構造例を示す斜視図である。
非対称平面アンテナ10を応用した第3の実施例として信号処理ユニット300の構造例を示す斜視図である。
1組の非対称平面アンテナ10を応用した第4の実施例として信号処理ユニット400の構造例を示す斜視図である。
複数の非対称平面アンテナ10を応用した第5の実施例として信号処理ユニット500の構造例を示す斜視図である。
非対称平面アンテナ10を応用した第6の実施例として信号処理ユニット600の構造例を示す斜視図である。
非対称平面アンテナ10を応用した第7の実施例として信号処理ユニット700の構造例を示す斜視図である。
非対称平面アンテナ10を応用した第8の実施例として信号処理ユニット800の構造例を斜視図である。
非対称平面アンテナ10を応用した第9の実施例としての電子機器901の構成例を示す斜視図である。
非対称平面アンテナ10を応用した第10の実施例としての電子機器902の構成例を示す斜視図である。
非対称平面アンテナ10を応用した第11の実施例としての電子機器903の構成例を示す斜視図である。
非対称平面アンテナ10を応用した第12の実施例としての電子機器904の構成例を示す斜視図である。
非対称平面アンテナ10を応用した第13の実施例としての電子機器905の構成例を示す斜視図である。
(A)及び(B)は、信号処理基板40a等の内部構成例を示すブロック図である。
(A)及び(B)は、制御ユニット50及び制御機能付きの信号処理基板40eの内部構成例を示すブロック図である。
(A)〜(H)は、広帯域情報D11の処理例を示す遷移図である。
広帯域情報D11の縦続(シリアル)処理例を示したフローチャートである。
広帯域情報D11の並列(パラレル)処理例を示したフローチャートである。
(A)〜(H)は、映像情報D21の処理例を示す遷移図である。
(A)及び(B)は、制御ユニット50と、信号処理基板40a,40dとの間の無線通信例を示すフローチャートである。
判別機能付きの信号処理基板40eにおける無線通信例を示すフローチャートである。
制御機能付きの信号処理基板40e’における無線通信例を示すフローチャートである。
制御判別機能付きの信号処理基板40e”における無線通信例を示すフローチャートである。
従来例に係る長方形パッチアンテナ10”の構成例を示す上面図である。
符号の説明
1・・・給電パターン、2・・・アンテナ整合パターン、3・・・アンテナパターン、4・・・多層基板(基板)、10,10’・・・広帯域アンテナ(非対称平面アンテナ)、11、21,31,41,51,61,71,81・・・アンテナ、12,22,32,42,52,62,72,82・・・LSI装置(半導体集積回路装置)、13、23,33,43,53,63,73,83・・・GND層(接地パターン)、14,24,34,44,54,64,74,84・・・多層基板、15,25、35,45,55,65,75,85・・・伝送線路、30・・・筐体、36,46,56・・・コンタクトホール、40a〜40e・・・信号処理基板、50・・・制御ユニット、60・・・マザーボード、67・・・分波回路、68・・・合波回路、70・・・電波吸収体、87・・・樹脂ケース、100,200,300,400,500,600,700,800・・・第1〜第8の信号処理システム、101〜103・・・狭帯域アンテナ、201,202,204,206・・・絶縁層、203・・・GND層、205・・・配線層、10”・・・長方形パッチアンテナ、401,501・・・共用器、402,502・・・送信部、403,503・・・受信部、404・・・信号処理部、504・・・情報処理部、405,505・・・CPU、406,506・・・メモリ(記憶装置)、511・・・広帯域情報入力部、512・・・広帯域情報ブロック生成部、513・・・広帯域情報生成部、514・・・広帯域情報出力部、901〜905・・・第1〜第5の電子機器、