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JP4809148B2 - 無線ネットワーク制御装置及び移動端末のハンドオーバー方法 - Google Patents

無線ネットワーク制御装置及び移動端末のハンドオーバー方法 Download PDF

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Description

本発明は、移動通信網において移動端末と無線で通信を行う複数の基地局を制御する無線ネットワーク制御装置、及び異なる基地局がカバーするエリア間を移動端末が移動する際に途切れなく通信を続けるためのエリア間のハンドオーバー方法に関する。
3GPP(3rd Generation Partnership Projects)にて技術仕様が作成された、W−CDMA等の第3世代携帯電話に対応する移動通信網では、移動端末が異なる基地局によりカバーされるエリア間を移動するとき、一時的に双方の基地局に接続される状態になる。図1は、第3世代携帯電話に対応する移動通信網の構成略図である。
図1に示すように、移動通信網1は、移動端末MTと無線で通信を行う複数の基地局BS1、BS2と、これら基地局を制御する無線ネットワーク制御装置(SRNC)100と、固定通信網Nと、固定通信網Nと無線ネットワーク制御装置100とを接続する交換機200とを含んでいる。
図示の状態では、移動端末MTは、第1の基地局BS1がカバーするエリアA1から、第2の基地局BS2がカバーするエリアA2へと移動中であり、このとき移動端末MTは、一時的に基地局B1及びB2の両方に接続される状態となる。
その結果、移動端末MTから送信された同じデータが、第1の基地局BS1を経由する経路1と第2の基地局BS2を経由する経路2の、2つの経路を通って無線ネットワーク制御装置100に到達する。
無線ネットワーク制御装置100では、これら異なる複数の経路を経由した同じデータ同士のデータ品質を比較してより高品質なデータを選択することで、移動によるエリア切替時の通信品質を向上させている。
このとき、経路1と経路2との間の物理的な距離の違いに起因して、これらの経路を経由したデータが無線ネットワーク制御装置100に到達する時刻に差が生じるため、無線ネットワーク制御装置100では、データ伝送時間が長い経路を通るデータが到着するまで、データ伝送時間が短い経路を通るデータを待たせている(バッファリング処理)。この様子を図2を参照して説明する。
移動端末MTから送信されるデータは、データ伝送単位である各フレームD1〜D6に分割されて、経路1を経由してそれぞれ時刻t1〜t6において無線ネットワーク制御装置100に受信される。一方で経路2を経由したフレームD1〜D6は、経路1を経由したフレームよりも4フレーム弱の受信時間に相当する期間ΔTだけそれぞれ遅れた時刻t7〜t12において無線ネットワーク制御装置100に受信される。このため無線ネットワーク制御装置100には4フレーム分のバッファB1〜B4が用意される。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、用語「フレーム」は、移動端末MTと無線ネットワーク制御装置100との間のデータ伝送単位のデータを意味する用語として使用される。したがって、単に「フレーム」と記した場合には、伝送されるデータ本体であるペイロードのみ、及びこれにヘッダ情報を付加したデータのいずれの場合をも示す。
無線ネットワーク制御装置100は、時刻t1においてフレームD1を受信すると、このフレームD1をバッファB1に格納する。以下同様に、時刻t2〜t4においてそれぞれフレームD2〜D4を受信すると、このフレームD2〜D4をバッファB2〜B4に格納する。
その後、無線ネットワーク制御装置100は、時刻t7において経路2を経由したフレームD1を受信すると、バッファB1に格納されていた経路1を経由したフレームD1を読み出して、これらのフレーム同士のデータ品質を比較してより高品質なフレームの方を選択して送信する(時刻t13)。このときバッファB1が空となるので、経路1を経由した次のフレームD5をバッファB1に格納する。以下、同様の動作を繰り返す。
特表2003−509973号公報
上記の無線ネットワーク制御装置100に設けられるバッファ(B1〜B4)のバッファ長(1つの移動端末から1経路を経由して受信したフレームを同時に保持することができるフレーム数)は、移動通信網1のデザイン、特に各基地局の配置によって定まる。
すなわち、移動端末MTのハンドオーバーが実行される隣接エリアの配置が決定されると、これら隣接エリアの各々の基地局から無線ネットワーク制御装置100へのデータの伝送時間の差がどの程度の長さであるかに応じて、バッファ長が定まる。
または、隣接エリアを成す複数の各基地局は、これらの基地局から無線ネットワーク制御装置100までのデータの伝送時間の差が、予め定めたバッファ長が許容するデータ伝送時間差を超えないように配置される。
このように隣接エリアからのデータ伝送時間差を考慮してバッファ長を決定し、あるいはバッファ長を考慮してエリア配置を行った場合であっても、地理的要因等の様々な条件の為に、本来予定される隣接エリアではない他のエリアをカバーする基地局が、移動端末と接続することが起こりえる。図3は、隣接する基地局BS1及びBS2間のハンドオーバーの間に、他の予定されない基地局BSXが移動端末MTに接続された状態の説明図である。
図示するとおり、基地局BSXがカバーするエリアAXは、エリアA1と隣接しない離れたエリアとなるように配置されている。しかし様々な要因によって基地局BSXが送信する送信電波が移動端末MTに届くことがある。このような状況が生じると、移動端末MTがエリアA1からエリアA2へ移動していた場合でも、エリアAXをカバーする基地局BSXを経由するチャネルが、無線ネットワーク制御装置100との接続対象となる。
ここでエリアAXは、予め設計されたバッファ長を考慮して配置されたエリアA1の隣接エリアではないため、基地局BSXを経由する経路Xにて生じるデータ伝送時間と、本来の経路1にて生じるデータ伝送時間の間の差が、設計されたバッファ長が許容するデータ伝送時間差を超えることもある。
例えば図2を参照して上述したようにフレーム4個分のバッファが用意されている場合に、経路1と経路Xとの伝送時間の差がフレーム5個以上の受信時間に相当すれば、経路Xを通ったフレームが到達するまで経路1を通ったフレームを保持することができないため、これらのフレーム同士の比較を行うことができない。このため、従来の無線ネットワーク制御装置100は、このような伝送時間が長いエリアとの接続を解除している。
すなわち、無線ネットワーク制御装置100は、移動端末MTとの通信が可能な新たな基地局を検出した場合には、この基地局との間で移動端末MTに関する接続を一度確立し、本来のデータの送受信を開始する前に当該経路の伝送時間を測定する。測定された伝送時間と既存の経路の伝送時間との差分が、所定の設定時間を超えている場合には接続を解除する。
エリアAXは本来の移動先にあるエリアではないので、隣接エリアであるエリアA1とエリアA2との間でのハンドオーバーが正常に行われれば、エリアAXとの間の接続がなかったとしても本来問題にはならない。
しかしながら、無線条件や地形条件に起因して移動端末MTが移動先であるエリアA2をカバーする基地局BS2と接続されず、移動元のエリアA1を出た移動端末MTが、エリアAXの基地局BSXにのみ接続されることも起こりえる。このときバッファ長の制約のために基地局BSXとの接続を切断してしまうと、基地局BSXを経由するデータ送受信が可能であるのにもかかわらず、移動端末MTは交信先がなくなりエリア間のハンドオーバーに失敗して通信そのものが切断されてしまう。
上記問題点に鑑み、本発明では、隣接エリア間に亘って移動している移動端末が、ハンドオーバーを予定していない他のエリアの基地局と交信可能となったときに、このような基地局を経由する接続を維持することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、同一移動端末から送信され、異なる基地局を経由して無線ネットワーク制御装置で受信されたデータをバッファリングするバッファを、無線ネットワーク制御装置と基地局との間のデータ伝送時間の、異なる基地局間の差の大きさに応じて拡張する。
例えば一例として、図3を参照して説明した上記の状況では、移動端末MTが移動元のエリアA1をカバーする基地局BS1と接続されている状態で、無線ネットワーク制御装置100が移動端末MTの接続相手として基地局BSXを検出した場合に、無線ネットワーク制御装置100及び基地局BS1の間のデータ伝送時間と、無線ネットワーク制御装置100及び基地局BSXの間のデータ伝送時間との間の時間差に応じて、バッファを拡張する。
移動端末MTが移動した結果、移動端末MTが基地局BSXだけとなった場合には、バッファの拡張が不要になるのでバッファ長を元の長さに戻す。
図4は、本発明による無線ネットワーク制御装置におけるバッファ制御動作の例を示す図である。図4を参照して行う以下の説明において、無線ネットワーク制御装置100、移動端末MT、固定通信網N、交換機200、基地局BS1、BS2及び基地局BSX、エリアA1、A2及びエリアAX、並びに経路1、経路2及び経路Xについての説明は、図1及び図3を参照して上述した説明と同様であり簡単のため省略する。
移動端末MTから送信されるフレームDn〜Dn+4は、経路1を経由してそれぞれ時刻t1〜t5において無線ネットワーク制御装置100に受信される。一方で経路Xを経由したフレームDn〜Dn+4は、第1の基地局BS1を経由したフレームよりも、5フレーム弱の受信時間に相当するΔTだけそれぞれ遅れた時刻t6〜t10において無線ネットワーク制御装置100に受信される。
一方で無線ネットワーク制御装置100には、通常のハンドオーバーが行われる隣接エリアA1及びA2をそれぞれカバーする基地局BS1及びBS2と、無線ネットワーク制御装置100との間の各々のデータ伝送時間の差に基づいて、固定バッファB1〜B4が用意される。
固定バッファB1〜B4のバッファ長は、基地局BS1及びBSXと無線ネットワーク制御装置100との間の各々のデータ伝送時間の差である5フレームよりも短い4フレームである。したがって固定バッファB1〜B4は、経路1を経由したフレームを、これと同じ内容のフレームが経路Xを経由して無線ネットワーク制御装置100に到着するまで保持することができない。
そこで本発明による無線ネットワーク制御装置100では、(例えば移動端末MTとの間で新たな基地局BSXが通信を始めるときに)、この基地局BSXと無線ネットワーク制御装置100との間のデータ伝送時間と、移動端末MTと既に通信している基地局BS1と無線ネットワーク制御装置100との間のデータ伝送時間と、の間の差が所定の設定時間よりも大きいとき、バッファB1〜B4に拡張バッファを追加する。
例えば図4に示すように、基地局BSX及び基地局BS1と無線ネットワーク制御装置100との間の各々のデータ伝送時間の差が、5フレームの受信時間に相当する時間であり、拡張バッファBxを追加することにより、無線ネットワーク制御装置100内のバッファを5フレーム分に拡張して、経路Xを経由したフレームDnが時刻t6において無線ネットワーク制御装置100に到着するまで、経路1を経由した同じフレームDnを保持することを可能にする。
そして、例えば移動端末MTの移動によって、時刻t11において移動元のエリアA1をカバーする基地局BS1と移動端末MTとの間の接続が終了したとき、拡張バッファBxを削除する。
本発明により、隣接エリア間に亘って移動している移動端末が、ハンドオーバーを予定していない他のエリアの基地局のみと接続され、かつこの他のエリアの基地局と無線ネットワーク制御装置との間のデータ伝送時間が、移動元のエリアをカバーする基地局と無線ネットワーク制御装置との間のデータ伝送時間と大きく異なっていても、このような他のエリアの基地局との接続を維持して、ハンドオーバー中の通信切断を低減することが可能となる。
また、本発明の手法を用いて携帯端末毎に必要な端末だけバッファ拡張を行うこともできるので、固定バッファとして長いバッファを一律に常時割り当てる手法と比べると、バッファに使用する記憶容量を節約することが可能である。
すなわち本発明の第1形態によれば、移動端末と無線で通信を行う複数の基地局を制御し、また同じ移動端末から異なる基地局を各々経由して受信した同じ内容のフレームのうちから固定ネットワーク上で伝送されるフレームを選択する無線ネットワーク制御装置であって、異なる基地局を経由したフレームを各々バッファリングするバッファと、基地局と無線ネットワーク制御装置との間のデータ伝送時間の、異なる基地局の間における差を検出する伝送時間差検出部と、データ伝送時間の差の大きさに応じてバッファを拡張するバッファ制御部と、を備える無線ネットワーク制御装置が提供される。
バッファ制御部は、例えば上記の同じ移動端末と通信を始める新たな基地局と、当該移動端末と既に通信している他の基地局との間の、データ伝送時間の差が所定の設定時間よりも大きいとき、バッファを拡張してよい。
また、所定の設定時間を、拡張前のバッファが同じ基地局を経由したフレームを同時にバッファリングできる数のフレームの受信時間の合計と同じまたはそれより短い時間に定めてもよい。
無線ネットワーク制御装置に、受信したフレームにバッファ内の格納位置を割り当てるバッファ割当部を設けてもよい。そしてバッファ内におけるフレームの格納位置を、例えばフレーム順序を示すフレームナンバーを所定除数で割った剰余に従って定めてもよい。
このようにフレームナンバーに応じて格納位置を定めることによって、例えばフレームが伝送途中で喪失しても、これに影響されずにフレームの格納位置をフレームナンバーに応じて一意に決定することが可能となる。したがって同じ内容の、すなわち同じフレームナンバーを有し、異なる基地局を通過したフレーム同士が各々バッファ中のどこに格納されているのかを特定しやすくなり、これら同じ内容のフレーム同士のうちから固定ネットワーク上で伝送すべきフレームを選択する際に、バッファから読み出す手順や構造が容易になる。上記除数は、例えば1つの基地局を経由したフレームに対して割り当てられたバッファリング可能なフレーム数としてよい。
無線ネットワーク制御装置のバッファを、所定のバッファ長を有する固定バッファと、バッファ拡張時にこの固定バッファに追加される拡張バッファと、を含んで構成してよい。
ここで、拡張バッファが追加されたバッファ拡張後においても、バッファ内の各フレームの格納位置を所定除数で除した剰余に従って定めることを考える。バッファ拡張前に固定バッファに連続する各フレームを漏れなく格納するために、固定バッファ内には所定除数で除した剰余として生じる全ての数に対応する格納領域が用意されている。このためバッファ拡張後には、固定バッファと拡張バッファに、フレームナンバーが異なっているがこれを所定除数で除した剰余が等しいフレームを格納する必要があり、これらを区別して固定バッファ及び拡張バッファのいずれに格納するかを判断する必要がある。
このためバッファ割当部は、拡張時に固定バッファに格納されているフレームのフレームナンバーを所定除数で除した商を用いて、拡張後に受信したフレームを固定バッファ及び拡張バッファのいずれに格納するかを決定してよい。
例えばバッファ割当部は、拡張時に固定バッファに格納されているフレームのフレームナンバーを所定除数で除した商が奇数であるとき、拡張後に受信されかつそのフレームナンバーを所定除数で除した商が奇数であるフレームを固定バッファに格納し、そうでないフレームを拡張バッファに格納し、拡張時に固定バッファに格納されているフレームのフレームナンバーを所定除数で除した商が偶数であるとき、拡張後に受信されかつそのフレームナンバーを所定除数で除した商が偶数であるフレームを固定バッファに格納し、そうでないフレームを拡張バッファに格納する。
また、バッファ内におけるフレームの格納位置を、フレーム順序を示すフレームナンバーを表すビット列のうち所定の下位ビット列によって定めてもよい。
このときバッファ割当部は、拡張後に受信したフレームのフレームナンバーを表すビット列のうち下位ビット列よりも1つ上位のビット値が、拡張時に固定バッファに格納されているフレームのフレームナンバーを表すビット列のうち下位ビット列よりも1つ上位のビット値と等しいとき、拡張後に受信したフレームを固定バッファに格納し、等しくないとき拡張後に受信したフレームを拡張バッファに格納してもよい。
また本発明の第2形態によれば、同じ移動端末から送信され複数の異なる基地局を各々経由して、これら基地局を制御する無線ネットワーク制御装置で各々受信された同じ内容のフレームのうちから、いずれかを選択して固定ネットワーク上へと伝送する移動端末のハンドオーバー方法であって、異なる基地局を経由して無線ネットワーク制御装置で受信したフレームを所定のバッファにて各々バッファリングし、基地局と無線ネットワーク制御装置との間のデータ伝送時間の、異なる基地局の間における差を検出し、検出したデータ伝送時間の差の大きさに応じてバッファを拡張するハンドオーバー方法が提供される。
このとき、バッファを拡張するか否かを、上記同じ移動端末と通信を始める新たな基地局と、当該移動端末と既に通信している他の基地局と、について検出したデータ伝送時間の差が所定の設定時間よりも大きいか否かに従って判断することが可能である。
所定の設定時間は、拡張前のバッファが同じ基地局を経由したフレームを同時にバッファリングできる数のフレームの受信時間の合計と同じまたはそれより短い時間に定めてよい。
バッファ内におけるフレームの格納位置は、フレーム順序を示すフレームナンバーを所定除数で割った剰余に従って定めてもよい。このとき除数を、1つの基地局を経由したフレームに対して割り当てられたバッファリング可能なフレーム数と同数に定めてもよい。
バッファの拡張は、所定のバッファ長を有する固定バッファに拡張バッファを追加して行ってもよい。このとき拡張後に受信したフレームを固定バッファ及び拡張バッファのいずれに格納するかを、拡張時に固定バッファに格納されているフレームのフレームナンバーを所定除数で除した商を用いて決定してもよい。
例えば、拡張時に固定バッファに格納されているフレームのフレームナンバーを所定除数で除した商が奇数であるとき、拡張後に受信されかつそのフレームナンバーを所定除数で除した商が奇数であるフレームを固定バッファに格納し、そうでないフレームを拡張バッファに格納し、拡張時に固定バッファに格納されているフレームのフレームナンバーを所定除数で除した商が偶数であるとき、拡張後に受信されかつそのフレームナンバーを所定除数で除した商が偶数であるフレームを固定バッファに格納し、そうでないフレームを拡張バッファに格納してもよい。
バッファ内におけるフレームの格納位置を、フレーム順序を示すフレームナンバーを表すビット列のうち所定の下位ビット列によって定めてもよい。このとき、拡張後に受信したフレームのフレームナンバーを表すビット列のうち下位ビット列よりも1つ上位のビット値が、拡張時に固定バッファに格納されているフレームのフレームナンバーを表すビット列のうち下位ビット列よりも1つ上位のビット値と等しいとき、拡張後に受信したフレームを固定バッファに格納し、等しくないとき拡張後に受信したフレームを拡張バッファに格納してもよい。
本発明によれば、隣接エリア間に亘って移動している移動端末が、ハンドオーバーを予定していない他のエリアの基地局と交信可能となったときに、このような基地局を経由する移動端末と無線ネットワーク制御装置との間の通信を維持することが可能となる。
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例を説明する。図5は、図1に示す移動通信網に設けられる本発明の実施例による無線ネットワーク制御装置の概略構成図である。
無線ネットワーク制御装置100は、各基地局BS1、…BSnと無線ネットワーク制御装置100との間のインタフェース部111と、交換機200と無線ネットワーク制御装置100との間のインタフェース部112と、インタフェース部111及び112、並びに無線ネットワーク制御装置100内の後述の各構成要素131〜133及び140の間で伝送されるデータの経路接続を行うスイッチ部(SW)120と、無線ネットワーク制御装置100の全体的な制御を行うRNC制御部131と、基地局BS1〜BSn及び交換機200との間の通信接続、並びに基地局BS1〜BSnを経由した移動端末MTとの間の通信接続を制御する接続制御部132と、これらの通信接続における各プロトコルを実行するプロトコル制御部133と、後述するダイバーシチハンドオーバー制御部140と、を備えて構成される。
図6は、図5に示したダイバーシチハンドオーバー制御部140の概略構成図である。ダイバーシチハンドオーバー制御部140は、異なる複数の基地局を各々経由して同じ移動端末MTとデータ伝送を行うハンドオーバー動作を制御する。このためダイバーシチハンドオーバー制御部140は、以下に示すリソース管理部141と、タイミング制御部144と、選択合成部150と、複製分配部145と、を備える。
リソース管理部141は、無線ネットワーク制御装置100と現在データ伝送を行っている移動端末MTと、この移動端末MTから各基地局BS1〜BSnを経由して送信されてくるフレームとの間の対応関係を管理する。このためリソース管理部141は、図7に示すようなリソース管理テーブル142を所定の記憶領域(図示せず)に記憶する。
各基地局BS1〜BSnは、移動端末MTからフレームを受信してこれを無線ネットワーク制御装置100に送信するとき、同時接続される端末毎に異なるデータ識別番号をフレームのヘッダ情報に付加する。またこのデータ識別番号は、無線ネットワーク制御装置100が管理する各基地局BS1〜BSn毎に異なるように割り振られる。
そこでリソース管理部141は、現在接続中の移動端末MTの識別番号と、この移動端末MTから無線ネットワーク制御装置100が受信したフレームに付加されているデータ識別番号と、を対応付けてリソース管理テーブル142に記憶する。図7に例示するリソース管理テーブル142は、無線ネットワーク制御装置100が、経路1〜nのうち4つの経路を同時に経由して移動端末MTと接続できるように、1つの端末識別番号に対して4つのデータ識別番号を対にして管理する。
各基地局BS1〜BSnから受信したフレームに付されたデータ識別番号を用いて、リソース管理テーブル142内を参照することによって、当該フレームがいずれの移動端末MTから送信されたものであるかを特定することができる。
タイミング制御部144は、3GPPにて規定される同期取得手順に従って無線ネットワーク制御装置100と各基地局BS1〜BSnとの間におけるデータ送受信のタイミングの同期を取得する。
3GPPにて規定される同期取得手順では、各基地局BS1〜BSnから移動端末MTへデータを送出する所定周期の送信時期は互いに同期しており、無線ネットワーク制御装置100から移動端末MTへと送信するデータは、同時に移動端末MTへ向けて各基地局から送信される。そして各基地局BS1〜BSnは、無線ネットワーク制御装置100から受信するデータに対して受信ウインドウを有しており、受信ウインドウ期間中に各基地局BS1〜BSnに受信されたデータのみが、その後の送信時期に送信される。
このため各基地局BS1〜BSnは、所定の制御フレームを受信すると、この制御フレームの受信時刻と受信ウインドウの終了時刻との時間差を示す時間差信号を無線ネットワーク制御装置100に報知する機能を有している。
各基地局BS1〜BSnの各受信ウインドウの終了時刻は、無線ネットワーク制御装置100側にも知られており、タイミング制御部144は制御フレームを各基地局BS1〜BSnに対して、それぞれの受信ウインドウの終了時刻よりも所定時間だけ先行する時刻に送信する。そして、各基地局BS1〜BSnから時間差信号を取得することによって、各基地局BS1〜BSnから移動端末MTへのデータ送信を同期させるために必要な、各経路1〜n毎のデータ送信時間の調整時刻を取得する。
ここで、タイミング制御部144が制御フレームを送信する時刻が、受信ウインドウの終了時刻よりも所定時間だけ前の時刻であることが既知であり、またその実際の受信時刻と受信ウインドウとの時間差も取得できることから、タイミング制御部144は、各基地局BS1〜BSnと無線ネットワーク制御装置100との間のデータ伝送時間を検出することが可能である。
そこで、タイミング制御部144は、現在無線ネットワーク制御装置100に接続されている移動端末MTのそれぞれに対して、移動端末MTと接続されている各基地局と無線ネットワーク制御装置100との間のデータ伝送時間(すなわち各基地局を経由する経路のデータ伝送時間)を検出し、このデータ伝送時間を図7に示すようにリソース管理テーブル142に記憶する。
選択合成部150は、複数の経路を経由して同じ移動端末MTから送信されてきた同一内容のフレーム同士を比較し、品質の良い方を選択して交換機200へ送り出す。このため、選択合成部150は、データ伝送時間が異なる各経路を経由する同一内容のフレームがすべて到着する予定時刻までの間に受信したフレームを、バッファリングするためのバッファを内蔵している。
各基地局BS1〜BSnが無線ネットワーク制御装置100に送信するフレームには、その送信順序を示すために順次増加するフレームナンバーが付加されている。そして無線ネットワーク制御装置100側には、あるフレームナンバーを有するフレームがいつ基地局から送信されたかが予め知らされている。
このため、選択合成部150は、各基地局BS1〜BSnから受信したフレームに付加されている、各フレームの順序を示すフレームナンバーに基づいてこのフレームが基地局から送信された送信時刻を推定することができる。選択合成部150は、リソース管理テーブル142に記憶された各基地局BS1〜BSn毎のデータ伝送時間をこの送信時刻に足すことによって、各フレームがいつ無線ネットワーク制御装置100に到着したかを推定することができる。
そして選択合成部150は、交換機200への各データ送信時刻において、その時点から所定のバッファ期間だけ遡った時刻に既に受信されていたフレームと、このフレームと同じ内容のフレームであって他の経路を経由して受信されていたフレームとを、バッファから読み出して、これらの中で最も高品質なフレームを交換機200へ送信する。
ここで、上記の所定のバッファ期間は、選択合成部150に内蔵されるバッファが、移動端末毎及び経路毎にバッファリング可能なフレーム数に応じて決定される。このバッファリング可能なフレーム数は、後述するように移動端末毎に拡張され、これに伴い所定のバッファ期間も移動端末毎に異なるため、リソース管理部141は、移動端末毎のバッファ期間をバッファ期間テーブル143に記憶して管理する。バッファ期間テーブル143の構成例を図8に示す。
複製分配部145は、固定通信網Nから受信されたフレームを複製して、送信先の移動端末MTと接続している全ての経路にフレームを送り出す。
さらにダイバーシチハンドオーバー制御部140は、これらタイミング制御部144、選択合成部150及び複製分配部145が送受信するデータを、基地局BS1〜BSnや交換機200と送受信するためのデータ送受信部144を備える。
図9は、図6に示した選択合成部150の概略構成図である。選択合成部150は、受信フレームのバッファリングに使用される記憶装置であるメモリ151と、バッファ長を制御するバッファ制御部152と、受信フレームに対してこの受信フレームを記憶するために使用されるメモリ151内の記憶箇所のアドレスを決定するバッファ割当部153と、交換機200への各データ送信時刻において、送信予定時期を過ぎたフレームをメモリ151内のバッファから読み出して、異なる経路を経由した同じ内容のフレーム同士を比較して最も高品質なフレームを選択するフレーム比較部154と、を備える。
図10は、移動端末MTから送信されたフレームを受信した無線ネットワーク制御装置100が、フレームをバッファに格納する格納方法を示すフローチャートである。
まずステップS11にて、無線ネットワーク制御装置100がいずれかの経路を経由して移動端末MTから送信されたフレームを受信すると、ステップS12にて選択合成部150内のバッファ割当部153は、リソース管理部141内のリソース管理テーブル142を参照し、受信フレームに付加されたデータ識別番号に基づいて、このフレームを送信した移動端末MTの識別番号と、このフレームが経由した経路に割り当てられたバッファ内の格納領域を決定する。
ここではまず、バッファ拡張前のバッファリング動作を説明する。後述の通りバッファが拡張される前には、受信したフレームは全て選択合成部150内のメモリ151内の所定の記憶領域に割り当てられた固定バッファ160に格納される。図11は、図9に示した固定バッファ160の構成例を示す図である。
図示の例では、固定バッファ160には、無線ネットワーク制御装置100に接続された移動端末MT毎に、経路A〜経路Dまでの4つの経路を経由して受信したフレームをそれぞれ16個ずつバッファリングできる記憶領域が割り当てられる。図11は、無線ネットワーク制御装置100に接続された移動端末MTから経路Aを経由して受信した16個のフレームを、16個の格納箇所B1−0〜B1−15にフレームナンバー順に格納することができ、同様に、移動端末MTから経路Bを経由して受信した16個のフレームを格納箇所B2−0〜B2−15にフレームナンバー順に格納することができ、経路Cを経由して受信した16個のフレームを格納箇所B3−0〜B3−15にフレームナンバー順に格納することができ、経路Dを経由して受信した16個のフレームを格納箇所B4−0〜B4−15にフレームナンバー順に格納することができることを示している。
上述のとおり図7に示すリソース管理テーブル142は、無線ネットワーク制御装置100と接続される移動端末MTの識別番号と、移動端末MTから送信されるフレームが伝送される経路にてフレームに付されるデータ識別番号とを対にして記憶する。
ここで、固定バッファ160に用意された経路A〜経路D用の各バッファ領域は、リソース管理テーブル142の経路A〜経路D用の各フィールドのデータ識別番号が記憶された各経路にそれぞれ対応して割り当てられる。
バッファ割当部153は、受信フレームに付加されていたデータ識別番号が、リソース管理テーブル142内に用意されている経路A〜経路D用のいずれのフィールドに記憶されているかに従って、経路A〜経路D用に用意された各バッファ領域のうちのどれを受信フレームに割り当てるかを決定する。
次にステップS13にて、移動端末MTからの受信フレームをバッファリングするためのバッファが拡張されているか否かを判断する。ここではバッファが拡張されておらず、処理がステップS14に進んだ場合を説明する。
ステップS14において、バッファ割当部153は受信フレームを、選択合成部150内のメモリ151内の所定の記憶領域に割り当てられた固定バッファ160に格納する。
図12は受信フレームを固定バッファ160に格納する格納方法を示す説明図である。図示の例では、経路1〜nのうち、固定バッファ160内の経路A用のバッファB1−0〜B1−15が、割り当てられた経路からフレームを受信した場合を示している。
時刻t1、t2、…、t3及びt4において、それぞれフレームDn、Dn+1、…、Dn+14及びDn+15が受信されると、それぞれのフレームはバッファB1−0〜B1−15に順次格納される。
時刻t5において17番目のフレームDn+16が受信されると、固定バッファ160に用意された、移動端末MT毎及び経路毎のバッファ長であるフレーム16個を超えるので、このフレームDn+16の格納位置を先頭位置B1−0に戻す。
バッファ割当部153は、受信フレームを16個のバッファに順次格納するとき、16個のバッファのいずれの格納位置に格納するかを、受信フレームに付されたフレームナンバーに従って決定する。
バッファ割当部153は、フレームナンバーの下位4ビットが示す0〜15の値を用いて、16個のバッファ中の格納位置を割り当てる。例えばフレームナンバーが0のフレームはバッファB1−0に、フレームナンバーが5のフレームはバッファB1−5に、フレームナンバーが33のフレームはバッファB1−1に格納する。
図13は、フレーム喪失が生じた場合の受信フレームの格納の様子を示す図である。受信フレームに割り当てるバッファの格納位置をフレームナンバーに従って決定することにより、フレームが伝送途中で喪失しても、これに影響されずにフレームの格納位置をフレームナンバーに応じて一意に決定することが可能となる。
図13に示す例ではフレームDn+3が喪失しているが、この場合にはバッファB1−3は空になり、その後のフレームDn+4及びDn+5はフレーム喪失がない場合と同様にバッファB1−4及びB1−5に格納される。
このため、フレーム比較部154が異なる経路を経由した同じ内容のフレーム同士を比較する際に、異なる基地局を通過した同じフレーム同士が各々バッファ中のどこに格納されているのかを特定しやすくなり、これらをメモリ150から読み出す手順や構造が容易になる。
例えば、フレームナンバーが5のフレームが経路Aを経由した場合には、そのフレームは常にB1−5の位置に格納され、経路Bを経由した同じフレームは、常にB2−5の位置に格納される。したがって、異なる経路を通過した同じフレームナンバーのフレームが格納されるバッファ格納位置関係が、フレームナンバー毎に常に固定されているので、フレーム比較部154はこれらのフレームを読み出しやすくなる。
図10に戻り、ステップS13にて、移動端末MTからの受信フレームをバッファリングするためのバッファが拡張されている場合の格納動作を説明する。
後述するバッファ制御部152によるバッファ拡張動作によって、図9に示すメモリ151の所定領域に用意された拡張バッファ161が固定バッファ160に追加されることにより、受信フレームのバッファリング用のバッファが拡張される。拡張バッファが固定バッファに追加された場合のバッファの構成例を図14に示す。
図示の例では、固定バッファ160のうちの移動端末MT毎に割り当てられるバッファ領域に対して、これと同じ大きさ、すなわち、経路A〜経路Dまでの4つの経路を経由して受信したフレームをそれぞれ16個ずつバッファリングできる記憶領域が追加される。
その結果、図示の例では無線ネットワーク制御装置100に接続された移動端末MTから経路Aを経由して受信した32個のフレームを、32個の格納箇所B1−0〜B1−31にフレームナンバー順に格納することができ、同様に、移動端末MTから経路Bを経由して受信した32個のフレームを格納箇所B2−0〜B2−31にフレームナンバー順に格納することができ、経路Cを経由して受信した32個のフレームを格納箇所B3−0〜B3−31にフレームナンバー順に格納することができ、経路Dを経由して受信した32個のフレームを格納箇所B4−0〜B4−31にフレームナンバー順に格納することができるように、バッファが拡張される。
ここで、上述のように受信フレームのフレームナンバーの下位ビットに対応してバッファ中の格納位置を決定する場合には、フレームをバッファリングするバッファリング期間をそれほど長く延長する必要がなくても、バッファの拡張は通常時のバッファ長の(2の倍数)倍に拡張することが望ましい。図14の例では拡張バッファ161のバッファ長は固定バッファの161と同じであり拡張によりバッファ長を2倍にしている。
このように拡張時のバッファ長を通常時のバッファ長の(2の倍数)倍にすれば、フレーム格納位置の決定に使用するフレームナンバーの下位ビットの桁数を増やすだけで、バッファ拡張後においてもバッファ内におけるフレームの格納位置をフレームナンバーの下位ビットに従って決定することができる。
図15は受信フレームを拡張バッファ161に格納する格納方法を示す説明図である。図示の例では、経路1〜nのうち、固定バッファ160内の経路A用のバッファB1−0〜B1−15が、割り当てられた経路からフレームを受信し、かつ固定バッファB1−0〜B1−15には拡張バッファB1−16〜B1−31が付加されている場合を示す。
時刻t1、t2、…、t3及びt4において、それぞれフレームDn、Dn+1、…、Dn+14及びDn+15が受信されると、それぞれのフレームは固定バッファB1−0〜B1−15に順次格納される。
続く時刻t5、t6、…、及びt7において、それぞれフレームDn+16、Dn+17、…、及びDn+31が受信されると、これらのフレームは拡張バッファB1−16〜B1−31に順次格納される。
そして時刻t8において、33番目のフレームを受信すると、固定バッファ160及び拡張バッフ161に用意された32個の格納箇所を使い果たすので、このフレームDn+32の格納位置を、先頭位置B1−0に戻す。
図10のステップS13にて、選択合成部150のバッファ割り当て部153は、バッファが拡張されているか否かを判定する。このとき、バッファ割り当て部153は、メモリ151内の所定の記憶領域に記憶されている制御フラグテーブル163内の、制御フラグを参照してバッファ拡張の有無を判定する。
図16は、制御フラグテーブル163のデータ構造の構成例を示す図である。制御フラグテーブル163は、無線ネットワーク制御装置100に接続されている移動端末MTの端末識別番号と、以下の各制御フラグと対にして記憶している。
制御フラグは、当該の移動端末MTについて、フレーム受信用のバッファ拡張が必要または不要であることをそれぞれ”1”及び”0”で示すフラグExVと、拡張バッファ161内に有効なフレームが記憶されているか否かを、それぞれ”1”及び”0”で示すフラグExDVと、割り当てられた拡張バッファ161の先頭を示すメモリ151内のアドレスExAdr、を含んでいる。このようにバッファ拡張の要否や拡張バッファのアドレスを移動端末MT毎に管理することによって、固定バッファ160を移動端末MT毎に拡張することが可能である。
そしてバッファ割り当て部153はステップS13にて、受信したフレームを送信した端末の識別番号に対応して記憶されたフラグExVが”1”(すなわちバッファ拡張が必要)であり、またはフラグExDVが”1”(拡張バッファ161内に有効なフレームが記憶されている)であるとき、バッファが拡張されていると判定する。
ステップS15にて、バッファ割当部153は受信フレームのフレームナンバーの下位5ビット目の値に従って、このフレームを固定バッファ160及び拡張バッファ161のいずれに格納するかを決定する。
すなわち、固定バッファ160及び拡張バッファ161内におけるフレームの格納位置はフレームナンバーの下位4ビットで定まるので、このフレームを固定バッファ160及び拡張バッファ161のいずれに格納するかを、これより1ビット上位の下位5ビット目の値に基づいて決定する。
このときバッファを拡張していない状態では、フレームナンバーの下位5ビット目の値が”1”となるフレームも、”0”となるフレームも固定バッファ160に格納される。したがってバッファ割当部153は、バッファ拡張時に、それまでに固定バッファ160に格納されていたフレームと連続して、次のフレームを固定バッファ160または拡張バッファ161に格納するために、拡張時に固定バッファ160に格納されているフレームのフレームナンバーの下位5ビット目の値を用いて、拡張後に受信したフレームを固定バッファ160及び拡張バッファ161のいずれに格納するかを決定する。
すなわちバッファ割当部153は、図17の(A)及び図17の(B)に示すように、拡張時に固定バッファ160に格納されているフレームと、拡張後に受信したフレームのフレームナンバーの下位5ビット目の値が同じ場合には、この拡張後に受信したフレームを固定バッファ160に格納し、異なる場合には拡張バッファ161に格納する。
図17の(A)は、拡張時に固定バッファ160に格納されているフレームの下位5ビット目が”0”である場合を示し、図17の(B)は、拡張時に固定バッファ160に格納されているフレームの下位5ビット目が”1”である場合を示す。
バッファ割当部153は、受信フレームを固定バッファ160及び拡張バッファ161のいずれに格納するかを決定するに際し、制御フラグテーブル163のフラグFrNHを参照する。
後述するように、フラグFrNHはバッファ拡張時に、その時点で固定バッファ160に格納されるフレームのフレームナンバーの下位5ビット目の値に基づいて決定される。例えば、このフレームナンバーの下位5ビット目の値が”0”である場合にはFrNH=”1”に設定され、拡張バッファ161に格納されるフレームのフレームナンバーの下位5ビット目が”1”の値であるべきことを示す。
反対に、拡張時の固定バッファ160に格納されるフレームナンバーの下位5ビット目の値が”1”である場合にはFrNH=”0”に設定され、拡張バッファ161に格納されるフレームのフレームナンバーの下位5ビット目が”0”の値であるべきことを示す。
そして、ステップS15にて、バッファ割当部153がフレームを固定バッファ160に格納すると決定した場合には、処理がステップS16に移り、バッファ割当部153は受信フレームを固定バッファ160に格納し、拡張バッファ161に格納すると決定した場合には、処理をステップS17に移して、バッファ割当部153は受信フレームを拡張バッファ161に格納する。このときバッファ割当部153は、制御フラグテーブル163内のフラグExDVの値を、拡張バッファ161内に有効なフレームが記憶されていることを示す”1”にセットする(ステップS18)。
次に、図18を参照してバッファの拡張手順を説明する。図18は、バッファ拡張手順を示すフローチャートである。
ステップS21において、図5に示す無線ネットワーク制御装置100の接続制御部132は、現在接続されている移動端末MTに新たに接続された基地局があるか否か、すなわち移動端末MTとの既存の接続について新たな経路が生じたか否かを判定する。
新たな経路がある場合は、接続制御部132はステップS22にて、移動端末MTとの間でこの経路を経由する接続を確立して、この経路を経由するフレームに付されるデータ識別番号を、ダイバーシチハンドオーバー制御部140内のリソース管理テーブル142に記憶する。
リソース管理テーブル142内に変化が生じると、ステップS23にて、タイミング制御部144は、変化があったレコードの端末識別番号に関連付けて記憶されているデータ識別番号の経路のデータ伝送時間を測定する。
そして、ステップS24において、図9に示す選択合成部150内のバッファ制御部152は、各経路のデータ伝送時間の間の差の最大値が、固定バッファ160のバッファ長(フレーム16個分)の受信時間に対応するバッファ期間よりも長いとき、拡張バッファ161が必要であると判定して処理をステップS25に進める。
ステップS25において、バッファ制御部152は、制御フラグテーブル163を参照して拡張バッファ161が既に固定バッファ160に付加されているか否かを判定する。このときバッファ制御部152は、フラグExVが”1”であり、またはフラグExDVが”1”であるとき、バッファが拡張されていると判定し、そうでないときバッファが未だ拡張されていないと判定する。
ここで、フラグExVが”0”かつフラグExDVが“1”の場合、既にバッファは拡張されているため新たに拡張バッファの確保は必要ないが、拡張バッファが必要であることを示すフラグExVに”1”をセットする。
ステップS25にてバッファが未だ拡張されていないと判定したとき、バッファ制御部152は、ステップS26においてバッファ拡張処理を実行する。
バッファ制御部152は、まず拡張バッファ161用の記憶領域をメモリ151内に確保してその先頭アドレスを制御フラグテーブル163のExAdrに記憶する。そしてバッファ制御部152は、制御フラグテーブル163のフラグExVを拡張バッファが必要であることを示す”1”にセットし、そしてフラグFrNHの値を、その時点で固定バッファ160に格納されているフレーム又はその時点で受信しているフレームのフレームナンバーの下位5ビット目の値に従ってセットする。
その後のステップS27において、バッファ制御部152は、この移動端末MTについてバッファ期間テーブル143内に記憶されているバッファ期間を、拡張後のバッファすなわち固定バッファ160及び拡張バッファ161がバッファリング可能なフレーム数に対応するバッファ期間に変更する。
次に、図19を参照してバッファに記憶されたフレームの送信手順を説明する。図19は、フレームの送信手順を示すフローチャートである。
ステップS31にてフレーム比較部154は、各移動端末毎に、バッファ内に格納されているフレームの中から、送信予定時期を経過したフレームがあるか否かを判定する。
このときフレーム比較部154は、上述の通り、バッファ内にバッファリングされたフレームのフレームナンバーと、リソース管理テーブル142に記憶されたデータ伝送時間とを用いて、各フレームが無線ネットワーク制御装置100にいつ受信されたかを推定する。そしてフレーム比較部154は、バッファ期間テーブル143から、当該の移動端末について記憶されたバッファ期間を読み出し、現時点からバッファ期間だけ遡った時刻より前に既に受信されていたフレームを抽出する。
そしてステップS32においてフレーム比較部154は、抽出したフレーム及びこれと同じ内容のフレームであって他の経路を経由して受信されていたフレームを、すべてバッファから読み出す。バッファ内における各フレームの格納位置は、そのフレームナンバーに基づいて定まっているので、フレーム比較部154は、抽出したフレームと同じ内容の、すなわち同じフレームナンバーのフレームを容易に取り出すことが可能である。
ステップS34においてフレーム比較部154は、フレームを読み出したバッファが固定バッファ160及び拡張バッファ161のいずれであるかを判定する。固定バッファ160からフレームを読み出した場合は、ステップS34においてフレーム比較部154は読み出した各フレームのうち最も品質が高いフレームを選択し、ステップS35にて固定通信網Nへ送信する。
ステップS33にて固定バッファ161からフレームを読み出したと判定した場合は、ステップS36にて、フレーム比較部154は、現在接続されている経路のデータ伝送時間の差が、固定バッファ160によるバッファリングで足りるほど短くなっており、拡張バッファ161が不要となっているか否かを判定する。このとき例えばフレーム比較部154は、制御フラグテーブル163内のフラグExVを参照することによって、拡張バッファの要否を判定する。
ステップS36にて拡張バッファが不要でないと判定されると、処理をステップS34に移して、フレーム比較部154は読み出した各フレームのうち最も品質が高いフレームを選択し、ステップS35にて固定通信網Nへ送信する。
なお、拡張バッファ161が不要であるときにフラグExVの設定値を変更する手順については後述の拡張バッファ削除手順で説明する。
ステップS36にて拡張バッファ161が不要であると判定されると、フレーム比較部154は、ステップS37にて拡張バッファ161内に有効なフレームが格納されているか否かを判定する。フレーム比較部154は、例えば当該の移動端末に対してバッファ期間テーブル143に記憶されているバッファ期間が既に拡張前の元のバッファ期間長に短縮されており、ステップS32でフレームを読み出した格納場所が拡張バッファ161の末尾であるとき、拡張バッファ内161に有効なフレームが格納されていないと判定する。
フレーム比較部154は、ステップS37にて拡張バッファ161内に有効なフレームが格納されていると判定すると、処理をステップS34に移して、読み出した各フレームのうち最も品質が高いフレームを選択しステップS35にて固定通信網Nへ送信する。
フレーム比較部154は、ステップS37にて拡張バッファ161内に有効なフレームが格納されていないと判定すると、ステップS38にて、制御フラグテーブル163内のフラグExDVを、拡張バッファ161内に有効なフレームが格納されていないことを意味する”0”に設定する。そして処理をステップS34に移して、読み出した各フレームのうち最も品質が高いフレームを選択しステップS35にて固定通信網Nへ送信する。
次に、図20を参照して拡張バッファ161の削除手順を説明する。図20は、拡張バッファの削除手順を示すフローチャートである。
ステップS41において、図5に示す接続制御部132は、無線ネットワーク制御装置100と移動端末MTとを接続しているいずれかの経路が切断されると、リソース管理テーブル142からこの経路に関するデータ識別番号及びデータ伝送時間を削除する。
ステップS42において、図9に示すバッファ制御部152は、リソース管理テーブル142から経路が削除されると、この経路を使用していた移動端末MTからのフレーム受信に対して拡張バッファ161がまだ必要であるか否かを判定する。このときバッファ制御部152は、各経路のデータ伝送時間の間の差の最大値が、固定バッファ160のバッファ長の受信時間に対応するバッファ期間よりも長いとき、拡張バッファ161が必要であると判定する。
拡張バッファ161がもはや不要であると判定すると、バッファ制御部152は、ステップS43において、制御フラグテーブル163のフラグExVの値を、拡張バッファ161が不要であることを示す”0”に設定する。
拡張バッファ161が固定バッファ160に追加されると、図18のステップS27において、バッファ期間が拡張後のバッファ長に対応する期間に延長されているので、現在バッファに格納しようとしているフレームと、バッファから読み出され送信されようとしているフレームとの間には拡張後のバッファ長分だけ間隔があり、この段階では拡張バッファ161に有効なフレームが格納されている。この様子を図21に示す。
図示の例では、図15と同様に、経路1〜nのうち、固定バッファ160内の経路A用のバッファB1−0〜B1−15および拡張バッファ161内の経路A用のバッファB1−16〜B1−31が、割り当てられた経路からフレームを受信した場合を示している。
図21の時刻t1に示すように、経路Aから現在受信しているフレーム(Dn+42)と、バッファから読み出されて送信されているフレーム(Dn+10)とは、固定バッファ160に拡張バッファ161を加えた32フレーム分の間隔がある。したがって、拡張バッファ161が空になる前に新たなフレームが拡張バッファ161に格納されるため、拡張バッファ161が空になるのを待っていては拡張バッファ161を削除することはできない。
このためバッファ制御部152は、拡張バッファ161の削除に先だって、当該の移動端末MTから受信したフレームをバッファリングするバッファ期間を、拡張前の短いバッファ期間に短縮する。このためバッファ制御部152は、図20のステップS44において、バッファ期間の短縮が可能であるか否かを判定する。
例えば、受信フレームが音声データである場合には、データ伝送にリアルタイム性が要求される反面、短期間であればフレームを廃棄しても問題が生じない。したがって受信フレームが音声データである場合には、バッファ制御部152は、ステップS44の判定が常に肯定であるものとして、図21に示すように拡張バッファ161が不要になった時刻t2において、バッファ期間を固定バッファ160のバッファ長(16フレーム)に対応する時間に短縮し、バッファ期間テーブル143を更新する(S45)。
バッファ期間の短縮によって、時刻t2ではフレームDn+11〜Dn+27が送信時期となるため、このときフレーム比較部154は、最近のフレームDn+27のみを送信し、バッファB1−11〜B1−26に格納されていた他のフレームDn+11〜Dn+26を廃棄する。
受信フレームがパケットデータである場合には常にフレーム内に有効データが含まれているとは限らない。したがってバッファ制御部152は、ステップS44において、短縮すべきバッファ期間に対応するフレーム数分の空フレームが生じるのをまって、この空フレーム列の先頭が送信予定時刻となるときにフレーム期間を短縮する。図22は、受信フレームがパケットデータである場合のバッファ期間の短縮手順の説明図である。
図示の例でも、時刻t1における受信フレーム(Dn+42)と、バッファから読み出されて送信されているフレーム(Dn+10)とは32フレーム分の間隔がある。
ここで時刻t2において拡張バッファが不要になり、バッファ制御部152は、送信予定時刻を迎えているフレームDn+11を先頭とする16個分のフレームが空データであるか否かを判定してバッファ期間が短縮できるか否かを判定する。
ここでは送信予定時刻を迎えているフレームDn+11は空データではないためフレームを廃棄することができない。
このまま時刻t2〜時刻t3まで、フレームDn+12〜Dn+17が順次送信される。時刻t4に至ると、この時点で送信予定時刻となったフレームDn+18を先頭とする16個のフレームDn+18〜Dn+33が空データであったとする。そこで時刻t4においてバッファ制御部152は、固定バッファ160のバッファ長に対応する時間にバッファ期間を短縮し、バッファ期間テーブル143を更新する。
バッファ期間の短縮によって、時刻t4ではフレームDn+18〜Dn+34が送信時期となるため、このときフレーム比較部154は、最近のフレームDn+34のみを送信し、バッファB1−18〜B1−33に格納されていた他のフレームDn+18〜Dn+33を廃棄する。(フレームDn+18〜Dn+33は空データなので廃棄しても問題ない)
図20に戻り、その後ステップS46にてバッファ制御部152は、フレーム比較部154が順次拡張バッファからフレームを読み出して、拡張バッファ161が空になったことを示すフラグExDV=0となるまで待った後(図21の時刻t3及び図22の時刻t5)、ステップS47において、確保された拡張バッファ161の記憶領域を解放することによって拡張バッファを削除する。
上記の実施例では、図14及び図17の(A)及び図17の(B)に示すように、固定バッファ160のバッファ長(フレーム個数)を2の倍数である16個とし、拡張バッファ161のバッファ長を固定バッファ160のバッファ長と同様であることとした。
そしてフレームナンバーを2進数表現したビット列のうち、0〜(バッファ長−1)の整数が占める下位ビット列に従って、各バッファ160及び161内におけるフレームの格納位置を決定し、またフレームナンバーを2進数表現したビット列のうち、この下位ビット列より1つ上位のビットの値によって、各バッファ160及び161のどちらにフレームを格納するかを決定した。
しかし本発明は、各バッファ160及び161のバッファ長を2の倍数とする場合だけでなく、その他の任意の数Mである場合にも適用可能である。図23の(A)及び図23の(B)は、固定バッファ及び拡張バッファの他の構成例を示す図(その1)である。
図23の(A)及び図23の(B)に示す構成例では、固定バッファ160及び拡張バッファ161のバッファ長を各々フレームM個分とする。
図9に示すバッファ割当部153は、フレームナンバーを除数Mで割った剰余に従って、各バッファ160及び161内におけるフレームの格納位置を決定し、フレームナンバーを除数Mで割った商を用いて、固定バッファ160及び拡張バッファ161のいずれにフレームを格納するかを決定する。この例では、フレームナンバーを除数Mで割った商が奇数であるか否かに従って、固定バッファ160及び拡張バッファ161のいずれにフレームを格納するかを決定する。
このとき、バッファ制御部152は、バッファを拡張する時点で固定バッファ160に格納されていたフレームのフレームナンバーを除数Mで割った商が奇数であるか偶数であるかを制御フラグテーブル163に保持しておく。
バッファ割当部153は、拡張時に固定バッファ160に格納されていたフレームのフレームナンバーをMで割った商が奇数であるときには、図23の(A)に示すように、フレームナンバーをMで割った商が奇数であるフレームを固定バッファ160に格納し、この商が偶数であるフレームを拡張バッファ161に格納する。
一方で、バッファ割当部153は、拡張時に固定バッファ160に格納されていたフレームのフレームナンバーをMで割った商が偶数であるときには、図23の(B)に示すように、フレームナンバーをMで割った商が偶数であるフレームを固定バッファ160に格納し、この商が奇数であるフレームを拡張バッファ161に格納する。
以上、本発明を特にその好ましい実施の形態を参照して詳細に説明したが、本発明の容易な理解のために、本発明の具体的な形態を以下に付記する。
(付記1)
移動端末と無線で通信を行う複数の基地局を制御する無線ネットワーク制御装置であって、同じ前記移動端末から異なる前記基地局を各々経由して受信した同じ内容のフレームのうちから固定ネットワーク上で伝送されるフレームを選択する無線ネットワーク制御装置において、
前記異なる基地局を経由したフレームを各々バッファリングするバッファと、
前記基地局と前記無線ネットワーク制御装置との間のデータ伝送時間の、前記異なる基地局の間における差を検出する伝送時間差検出部と、
前記データ伝送時間の差の大きさに応じて前記バッファを拡張するバッファ制御部と、
を備えることを特徴とする無線ネットワーク制御装置。
(付記2)
前記バッファ制御部は、前記同じ移動端末と通信を始める新たな基地局と、当該移動端末と既に通信している他の基地局と、の間の前記データ伝送時間の差が所定の設定時間よりも大きいとき、前記バッファを拡張することを特徴とする付記1に記載の無線ネットワーク制御装置。
(付記3)
前記所定の設定時間は、拡張前の前記バッファが同じ前記基地局を経由したフレームを同時にバッファリングできる数のフレームの受信時間の合計と同じまたはそれより短い時間に定められることを特徴とする付記2に記載の無線ネットワーク制御装置。
(付記4)
受信した前記フレームに前記バッファ内の格納位置を割り当てるバッファ割当部を備え、
前記バッファ内における前記フレームの格納位置は、フレーム順序を示すフレームナンバーを所定除数で割った剰余に従って定まることを特徴とする付記1に記載の無線ネットワーク制御装置。
(付記5)
前記除数は、1つの基地局を経由したフレームに対して割り当てられたバッファリング可能なフレーム数であることを特徴とする付記4に記載の無線ネットワーク制御装置。
(付記6)
前記バッファは、所定のバッファ長を有する固定バッファと、拡張時にこの固定バッファに追加される拡張バッファと、を含み、
前記バッファ割当部は、拡張時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを前記所定除数で除した商を用いて、拡張後に受信したフレームを前記固定バッファ及び前記拡張バッファのいずれに格納するかを、決定することを特徴とする付記4に記載の無線ネットワーク制御装置。
(付記7)
前記バッファ割当部は、
拡張時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを前記所定除数で除した商が奇数であるとき、拡張後に受信されかつそのフレームナンバーを前記所定除数で除した商が奇数であるフレームを前記固定バッファに格納し、そうでないフレームを前記拡張バッファに格納し、
拡張時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを前記所定除数で除した商が偶数であるとき、拡張後に受信されかつそのフレームナンバーを前記所定除数で除した商が偶数であるフレームを前記固定バッファに格納し、そうでないフレームを前記拡張バッファに格納する、
ことを特徴とする付記6に記載の無線ネットワーク制御装置。
(付記8)
前記除数は、1つの基地局を経由したフレームに対して割り当てられたバッファリング可能なフレーム数であることを特徴とする付記6に記載の無線ネットワーク制御装置。
(付記9)
受信した前記フレームに前記バッファ内の格納位置を割り当てるバッファ割当部を備え、
前記バッファ内における前記フレームの格納位置が、フレーム順序を示すフレームナンバーを表すビット列のうち所定の下位ビット列によって定められることを特徴とする付記1に記載の無線ネットワーク制御装置。
(付記10)
前記バッファは、所定のバッファ長を有する固定バッファと、拡張時にこの固定バッファに追加される拡張バッファと、を含み、
前記バッファ割当部は、拡張後に受信したフレームのフレームナンバーを表すビット列のうち前記下位ビット列よりも1つ上位のビット値が、拡張時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを表すビット列のうち前記下位ビット列よりも1つ上位のビット値と等しいとき、拡張後に受信したフレームを前記固定バッファに格納し、等しくないとき拡張後に受信したフレームを前記拡張バッファに格納することを特徴とする付記9に記載の無線ネットワーク制御装置。
(付記11)
同じ移動端末から送信され、複数の異なる基地局を各々経由して、これら基地局を制御する無線ネットワーク制御装置で各々受信された同じ内容のフレームのうちからいずれかを選択して固定ネットワーク上へと伝送する、前記移動端末のハンドオーバー方法において、
前記異なる基地局を経由して前記無線ネットワーク制御装置で受信したフレームを所定のバッファにて各々バッファリングし、
前記基地局と前記無線ネットワーク制御装置との間のデータ伝送時間の、前記異なる基地局の間における差を検出し、
前記データ伝送時間の差の大きさに応じて前記バッファを拡張することを特徴とするハンドオーバー方法。
(付記12)
前記同じ移動端末と通信を始める新たな基地局と、当該移動端末と既に通信している他の基地局と、の間の前記データ伝送時間の差が所定の設定時間よりも大きいとき、前記バッファを拡張することを特徴とする付記11に記載のハンドオーバー方法。
(付記13)
前記所定の設定時間は、拡張前の前記バッファが同じ前記基地局を経由したフレームを同時にバッファリングできる数のフレームの受信時間の合計と同じまたはそれより短い時間に定められることを特徴とする付記12に記載のハンドオーバー方法。
(付記14)
前記バッファ内における前記フレームの格納位置を、フレーム順序を示すフレームナンバーを所定除数で割った剰余に従って定めることを特徴とする付記11に記載のハンドオーバー方法。
(付記15)
前記除数は、1つの基地局を経由したフレームに対して割り当てられたバッファリング可能なフレーム数であることを特徴とする付記14に記載のハンドオーバー方法。
(付記16)
所定のバッファ長を有する固定バッファに拡張バッファを追加することにより、前記バッファの拡張を行い、
拡張後に受信したフレームを前記固定バッファ及び前記拡張バッファのいずれに格納するかを、拡張時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを前記所定除数で除した商を用いて決定することを特徴とする付記14に記載のハンドオーバー方法。
(付記17)
拡張時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを前記所定除数で除した商が奇数であるとき、拡張後に受信されかつそのフレームナンバーを前記所定除数で除した商が奇数であるフレームを前記固定バッファに格納し、そうでないフレームを前記拡張バッファに格納し、
拡張時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを前記所定除数で除した商が偶数であるとき、拡張後に受信されかつそのフレームナンバーを前記所定除数で除した商が偶数であるフレームを前記固定バッファに格納し、そうでないフレームを前記拡張バッファに格納する、
ことを特徴とする付記16に記載のハンドオーバー方法。
(付記18)
前記除数は、1つの基地局を経由したフレームに対して割り当てられたバッファリング可能なフレーム数であることを特徴とする付記16に記載のハンドオーバー方法。
(付記19)
前記バッファ内におけるフレームの格納位置を、フレーム順序を示すフレームナンバーを表すビット列のうち所定の下位ビット列によって定めることを特徴とする付記11に記載のハンドオーバー方法。
(付記20)
所定のバッファ長を有する固定バッファに拡張バッファを追加することにより、前記バッファの拡張を行い、
拡張後に受信したフレームのフレームナンバーを表すビット列のうち前記下位ビット列よりも1つ上位のビット値が、拡張時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを表すビット列のうち前記下位ビット列よりも1つ上位のビット値と等しいとき、拡張後に受信したフレームを前記固定バッファに格納し、等しくないとき拡張後に受信したフレームを前記拡張バッファに格納することを特徴とする付記19に記載のハンドオーバー方法。
本発明は、移動通信網において移動端末と無線で通信を行う複数の基地局を制御する無線ネットワーク制御装置、及び移動端末が異なる基地局がカバーするエリアに移動する際に行われるハンドオーバー方法に利用可能であり、特に3GPPにて技術仕様が作成された、W−CDMA等の第3世代携帯電話に対応する移動通信網に使用されるネットワーク制御装置及び移動端末のハンドオーバー方法に好適に利用可能である。
第3世代携帯電話に対応する移動通信網の構成略図である。 無線ネットワーク制御装置によるバッファリング処理の説明図である。 隣接する基地局間のハンドオーバーの間に、移動端末が予定外の基地局に接続された状態の説明図である。 本発明による無線ネットワーク制御装置におけるバッファ制御動作の例を示す図である。 本発明の実施例による無線ネットワーク制御装置の概略構成図である。 図5に示したダイバーシチハンドオーバー制御部の概略構成図である。 リソース管理テーブルのデータ構造の例を示す図である。 バッファ期間テーブルのデータ構造の例を示す図である。 図6に示した選択合成部の概略構成図である。 受信フレームをバッファに格納する格納手順を示すフローチャートである。 図9に示した固定バッファの構成例を示す図である。 受信フレームを固定バッファに格納する格納手順を示す説明図である。 フレーム喪失が生じた場合の受信フレームの格納手順を示す図である。 拡張バッファが固定バッファに追加された場合のバッファの構成例を示す図である。 受信フレームを拡張バッファに格納する格納手順を示す説明図である。 制御フラグテーブルのデータ構造の構成例を示す図である。 フレームの格納箇所を固定バッファ及び拡張バッファのどちらにするかを説明する図である。 バッファ拡張手順を示すフローチャートである。 フレームの送信手順を示すフローチャートである。 拡張バッファの削除手順を示すフローチャートである。 音声データ受信時のバッファ期間の短縮手順の説明図である。 パケットデータ受信時のバッファ期間の短縮手順の説明図である。 固定バッファ及び拡張バッファの他の構成例を示す図である。
符号の説明
1 移動通信網
100 無線ネットワーク制御装置
200 交換機
BS1、BS2 基地局
A1、A2 基地局BS1、BS2のカバーエリア
MT 移動端末

Claims (9)

  1. 移動端末と無線で通信を行う複数の基地局を制御する無線ネットワーク制御装置であって、同じ前記移動端末から異なる前記基地局を経由する各経路を介して受信した同じ内容のフレームのうちのいずれかのフレームを選択する無線ネットワーク制御装置において、
    前記異なる基地局を経由したフレームを各々バッファリングするための固定バッファの領域及び前記固定バッファの領域とは別の拡張バッファの領域を確保可能なメモリと、
    前記各経路について前記基地局と前記無線ネットワーク制御装置との間のデータ伝送時間検出する伝送時間検出部と、
    前記データ伝送時間の前記各経路間の差が所定時間を超えるとき、前記フレームのバッファリングのために前記固定バッファの領域と前記拡張バッファの領域とを用い、前記データ伝送時間の前記各経路間の差が所定時間を超えないとき、前記フレームのバッファリングのために前記拡張バッファの領域を用いずに前記固定バッファの領域が用いられるように前記メモリの記憶領域を制御するバッファ制御部と、
    を備えることを特徴とする無線ネットワーク制御装置。
  2. 受信した前記フレームに前記固定バッファ内及び前記拡張バッファ内の格納位置を割り当てるバッファ割当部を備え、
    前記固定バッファ内及び前記拡張バッファ内における前記フレームの格納位置は、フレーム順序を示すフレームナンバーを所定除数で割った剰余に従って定まることを特徴とする請求項1に記載の無線ネットワーク制御装置。
  3. 前記バッファ割当部は、前記各経路間の差が所定時間を超える時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを前記所定除数で除した商を用いて、前記拡張バッファの使用を開始した後に受信したフレームを前記固定バッファ及び前記拡張バッファのいずれかに格納するかを、決定することを特徴とする請求項に記載の無線ネットワーク制御装置。
  4. 前記バッファ割当部は、
    前記各経路間の差が所定時間を超える時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを前記所定除数で除した商が奇数であるとき、前記拡張バッファの使用を開始した後に受信されかつそのフレームナンバーを前記所定除数で除した商が奇数であるフレームを前記固定バッファに格納し、そうでないフレームを前記拡張バッファに格納し、
    前記各経路間の差が所定時間を超える時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを前記所定除数で除した商が偶数であるとき、前記拡張バッファの使用を開始した後に受信されかつそのフレームナンバーを前記所定除数で除した商が偶数であるフレームを前記固定バッファに格納し、そうでないフレームを前記拡張バッファに格納する、
    ことを特徴とする請求項に記載の無線ネットワーク制御装置。
  5. 受信した前記フレームに前記固定バッファ内及び前記拡張バッファ内の格納位置を割り当てるバッファ割当部を備え、
    前記固定バッファ内及び前記拡張バッファ内における前記フレームの格納位置が、フレーム順序を示すフレームナンバーを表すビット列のうち所定の下位ビット列によって定められることを特徴とする請求項1に記載の無線ネットワーク制御装置。
  6. 前記バッファ割当部は、前記拡張バッファの使用を開始した後に受信したフレームのフレームナンバーを表すビット列のうち前記下位ビット列よりも1つ上位のビット値が、前記各経路間の差が所定時間を超える時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを表すビット列のうち前記下位ビット列よりも1つ上位のビット値と等しいとき、前記拡張バッファの使用を開始した後に受信したフレームを前記固定バッファに格納し、等しくないとき前記拡張バッファの使用を開始した後に受信したフレームを前記拡張バッファに格納することを特徴とする請求項に記載の無線ネットワーク制御装置。
  7. 同じ移動端末から送信され、複数の異なる基地局を各々経由して、これら基地局を制御する無線ネットワーク制御装置で各々受信された同じ内容のフレームのうちからいずれかのフレームを選択して伝送する、前記移動端末のハンドオーバ方法において、
    前記移動端末から前記異なる基地局を経由する各経路を介して前記無線ネットワーク制御で受信したフレームをメモリに設けられた固定バッファの領域に各々バッファリングし、
    前記各経路について前記基地局と前記無線ネットワーク制御装置との間のデータ伝送時間を検出し、
    前記データ伝送時間の前記各経路間の差が所定時間を超えるとき、前記固定バッファの領域と前記メモリの前記固定バッファの領域とは別に確保した拡張バッファの領域とを用いて前記フレームがバッファリングされ、前記データ伝送時間の前記各経路間の差が所定時間を超えないとき、前記拡張バッファの領域は用いずに前記固定バッファの領域を用いて前記フレームがバッファリングされるように前記メモリの記憶領域を制御する
    ことを特徴とするハンドオーバ方法。
  8. 前記固定バッファ内及び前記拡張バッファ内における前記フレームの格納位置を、フレーム順序を示すフレームナンバーを所定除数で割った剰余に従って定めることを特徴とする請求項に記載のハンドオーバ方法。
  9. 前記拡張バッファの使用を開始した後に受信したフレームを前記固定バッファ及び前記拡張バッファのいずれかに格納するかを、前記各経路間の差が所定時間を超える時に前記固定バッファに格納されている前記フレームのフレームナンバーを前記所定除数で除した商を用いて決定することを特徴とする請求項に記載のハンドオーバ方法。
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