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JP4807900B2 - 新規なカテコールモノエーテル酸化縮合物 - Google Patents

新規なカテコールモノエーテル酸化縮合物 Download PDF

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JP4807900B2
JP4807900B2 JP2000271743A JP2000271743A JP4807900B2 JP 4807900 B2 JP4807900 B2 JP 4807900B2 JP 2000271743 A JP2000271743 A JP 2000271743A JP 2000271743 A JP2000271743 A JP 2000271743A JP 4807900 B2 JP4807900 B2 JP 4807900B2
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秀之 東村
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なカテコールモノエーテル酸化縮合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
フェノール類の酸化縮合物は、ホルマリンフリー・常温反応・副生成物は水だけという、環境に優しい酸化縮合法で製造できるため、最近、特に注目されるようになってきた(化学と工業、53巻、4号、501-505 (2000))。
一方、炭素原子数の大きな炭化水素基をもつ芳香族ポリマーが開発され、ポリマーの結晶性、液晶性、粘弾性、溶解性等に関して様々な特徴が見い出されている。Macromolecules, 29, 1337, (1996)には該芳香族ポリエステルが、Macromolecules, 27, 7754 (1994)には該ポリアニリンが記載されている。また、カテコールジエーテル酸化縮合物については、Chem. Commun. 1615 (1997)等にヘキサ(オクタデシロキシ)トリフェニレンが報告されている。また、Chem. Lett. 975 (1998)にはヘキサアルコキシトリフェニレンも報告されている。
しかし、カテコールモノエーテルについては、Die MakromolekulareChemie, 176, 1349 (1975)等にカテコールモノメチルエーテル酸化重合体が報告されているだけであり、その重合体が結晶性を示したという記載もなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、カテコールの炭素原子数2以上の結晶性モノエーテル酸化縮合物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意研究した結果、以下の発明により上記課題を解決しうることを見出した。
(1)一般式(I)で表わされるカテコールモノエーテル化合物を酸化重合させて得られるカテコールモノエーテル酸化縮合物。
【0005】
【化2】
Figure 0004807900
【0006】
(式中、Rは炭素原子数2以上の脂肪族炭化水素基または炭素原子数2以上の置換脂肪族炭化水素基を表わす。R〜Rは互いに独立に、水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素原子数1〜9の置換炭化水素基、アミノ基、炭素原子数1〜9の置換アミノ基、メルカプト基、炭素原子数1〜9の置換メルカプト基またはハロゲン原子であり、RとR、RとR及び/又はRとRが環を形成していてもよいが、RまたはRのいずれか一方は水素原子である。)
(2)−100℃以上に5J/g以上の結晶融点をもつことを特徴とする(1)項記載のカテコールモノエーテル酸化縮合物。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のカテコールモノエーテル酸化縮合物は、一般式(I)で表わされるカテコールモノエーテル化合物を酸化重合させて得られる縮合物である。
上記一般式(I)のRは、炭素原子数2以上の脂肪族炭化水素基または炭素原子数2以上の置換脂肪族炭化水素基である。この脂肪族炭化水素基の炭素原子数として、好ましくは5〜50であり、より好ましくは5〜30であり、さらに好ましくは10〜25であり、特に好ましくは12〜22である。この脂肪族炭化水素基の構造としては、好ましくは飽和炭化水素基であり、より好ましくはアルキル基またはシクロアルキル基であり、さらに好ましくはアルキル基であり、特に好ましくは−(CH2)n-1CH3または−CH(CH3)(CH2)n-3CH3である(ただし、nは炭素原子数を表わす。)。
上記一般式(I)のRにおける置換脂肪族炭化水素基として、好ましくはハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基等で置換された上記の脂肪族炭化水素基である。
上記一般式(I)のRとしては脂肪族炭化水素基が好ましい。
上記一般式(I)のR〜Rにおける炭化水素基として、好ましくは、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数3〜9のシクロアルキル基、炭素原子数7〜9のアラルキル基または炭素原子数6〜9のアリール基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基等が挙げられる。
【0008】
上記一般式(I)のR〜Rにおける置換炭化水素基は、好ましくは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基等で置換された炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数3〜9のシクロアルキル基、炭素原子数7〜9のアラルキル基または炭素原子数6〜9のアリール基であり、具体例としては、トリフルオロメチル基、2−t−ブチルオキシエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0009】
上記一般式(I)のR〜Rにおける置換アミノ基とは、1つまたは2つの炭化水素基で置換されたアミノ基であり、好ましくは、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数3〜9のシクロアルキル基、炭素原子数7〜9のアラルキル基または炭素原子数6〜9のアリール基で置換されたアミノ基であり、具体的にはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基ジエチルアミノ基、ジ-n−プロピルアミノ基、ジ-iso−プロピルアミノ基、ジ-n−ブチルアミノ基、ジ-iso−ブチルアミノ基、ジ-t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、ベンジルアミノ基、2−フェニルエチルアミノ基、1−フェニルエチルアミノ基、フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基、4−エチルフェニルアミノ基等が挙げられる。
【0010】
上記一般式(I)のR〜Rにおける置換メルカプト基とは、炭化水素基で置換されたメルカプト基であり、好ましくは、炭素原子数1〜9のアルキルメルカプト基、炭素原子数3〜9のシクロアルキルメルカプト基、炭素原子数7〜9のアラルキルメルカプト基または炭素原子数6〜9のアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルメルカプト基、エチルメルカプト基、n−プロピルメルカプト基、iso−プロピルメルカプト基、n−ブチルメルカプト基、iso−ブチルメルカプト基、t−ブチルメルカプト基、ペンチルメルカプト基、シクロペンチルメルカプト基、ヘキシルメルカプト基、シクロヘキシルメルカプト基、オクチルメルカプト基、ノニルメルカプト基、ベンジルメルカプト基、2−フェニルエチルメルカプト基、1−フェニルエチルメルカプト基、フェニルメルカプト基、4−メチルフェニルメルカプト基、4−エチルフェニルメルカプト基等が挙げられる。
【0011】
上記一般式(I)のR〜Rにおけるハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましく、フッ素原子、塩素原子がさらに好ましい。
上記一般式(I)のR〜Rのうち、RとR、RとR及び/又はRとRが環を形成する場合は、5〜7員環が好ましく、RとR、RとR及び/又はRとRが−(CH)−基、−(CH)−基または−CH=CH−CH=CH−基として環を形成するものであることがさらに好ましい。
【0012】
上記一般式(I)のRおよびRとして、好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素原子数1〜9の炭化水素オキシ基またはハロゲン原子である。より好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基または炭素原子数1〜6の炭化水素オキシ基であり、さらに好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基であり、特に好ましくは水素原子である。上記一般式(I)のRおよびRのいずれか一方は水素原子であるが、RおよびRとして、好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素原子数1〜9の炭化水素オキシ基またはハロゲン原子である。より好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基または炭素原子数1〜6の炭化水素オキシ基であり、さらに好ましくは、水素原子またはフェノキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
本発明のポリマーにおいては、上記一般式(I)で表されるカテコールモノエーテル化合物を単独または混合して酸化重合することにより得てもよく、下記一般式(II)で表されるフェノール化合物、(III)で表されるフェノール化合物及び/又は下記一般式(IV)で表わされるビスフェノール化合物と混合して酸化重合することにより得てもよい。
【0013】
【化3】
Figure 0004807900
【0014】
(式中、Rは互いに独立に、水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素原子数1〜9の置換炭化水素基、炭素原子数1〜9の炭化水素オキシ基、アミノ基、炭素原子数1〜9の置換アミノ基、メルカプト基、炭素原子数1〜9の置換メルカプト基またはハロゲン原子であり、隣り合う二つのRが環を形成していてもよい。R6は酸素原子、硫黄原子、二価の炭化水素基または二価の置換炭化水素基を表わし、mは1又は0である。)
【0015】
上記一般式(II)〜(IV)のRにおける炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、アミノ基、置換アミノ基、メルカプト基またはハロゲン原子炭化水素基の具体例は、上記一般式(I)におけるRのそれらと同様である。
上記一般式(II)〜(IV)のRのうち、隣り合う二つのRが環を形成する場合は、5〜7員環が好ましく、隣り合う二つのRが−(CH)−基、−(CH)−基または−CH=CH−CH=CH−基として環を形成するものであることがさらに好ましい。
【0016】
上記一般式(II)〜(IV)のRとして、好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素原子数1〜9の炭化水素オキシ基またはハロゲン原子である。より好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基または炭素原子数1〜9の炭化水素オキシ基であり、さらに好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜9の炭化水素基であり、特に好ましくは水素原子または炭素原子数1〜6の炭化水素基である。
上記一般式(IV)のRにおける二価の炭化水素基としては、炭素原子数1〜9のアルキレン基、炭素原子数7〜9のアラルキレン基、または炭素原子数6〜9のアリーレン基が好ましく、具体例としては、メチレン基、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、1,1−プロピレン基、1,3−プロピレン基、2,2−プロピレン基、1,1−ブチレン基、2,2−ブチレン基、3−メチル−2,2−ブチレン基、3,3−ジメチル−2,2−ブチレン基、1,1−ペンチレン基、3,3−ペンチレン基、1,1−へキシレン基、1,1−ヘプチレン基、1,1−オクチレン基、1,1−ノニレン基、1,1−シクロペンチレン基、1,1−シクロヘキシレン基、フェニルメチレン基、1−フェニル−1,1−エチレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基が挙げられる。
【0017】
上記一般式(IV)のRにおける二価の置換炭化水素基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、二置換アミノ基等で置換された、炭素原子数1〜9のアルキレン基、炭素原子数7〜9のアラルキレン基、または炭素原子数6〜9のアリーレン基が好ましく、具体例としては、ヘキサフルオロ−2,2−プロピレン基、ペンタフルオロフェニルメチレン基、4−メトキシフェニルメチレン基、4−ジメチルアミノフェニルメチレン基等を挙げることができる。
上記一般式(IV)のRとしては、酸素原子または二価の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1〜9のアルキレン基または炭素原子数7〜9のアラルキレン基がより好ましく、炭素原子数1〜6のアルキレン基がさらに好ましい。
【0018】
上記一般式(I)で表されるカテコールモノエーテル化合物と、上記一般式(II)で表されるフェノール化合物、上記一般式(III)で表されるフェノール化合物及び/又は上記一般式(IV)で表わされるビスフェノール化合物を混合して用いる場合、その混合比は目的のポリマーの物性を損なわない範囲で適宜定められるが、該カテコールモノエーテル化合物が全フェノールモノマーに対して、好ましくは30モル%以上であり、より好ましくは50モル%以上であり、さらに好ましくは80モル%以上である(これらのフェノール類を以下にフェノール性出発原料と呼ぶことがある)。
本発明の重合体は、主として下記の基本構造式(V)で表わされる繰り返し単位を有する構造を持つものであるが、下記の基本構造式(VI)で表わされる繰り返し単位を有する構造を含んでもよい。
【0019】
【化4】
Figure 0004807900
【0020】
本発明の重合体の数平均分子量に特に限定はないが、400〜1,000,000が好ましく、600〜100,000がより好ましく、800〜50,000がさらに好ましい。
本発明の重合体は、好ましくは、−100℃以上に5J/g以上の結晶融点を示す結晶性の重合体である。該重合体において、結晶融点は以下のようにして測定する。すなわち、示差走査熱量分析をアルゴン雰囲気下で実施し、まず10℃/minで−100℃まで冷却した後、10℃/minで−100℃から完全に溶融する温度まで昇温する。次に、再び−100℃まで冷却した後、10℃/minで−100℃から完全に溶融する温度まで再昇温する際に、−100℃以上に5J/g以上の吸熱ピークがあれば、そのピークトップ温度を結晶融点とし、そのピーク面積を結晶融解熱量とする。
結晶融点は−100℃以上300℃未満が好ましく、−50℃以上150℃未満がより好ましく、0℃以上100℃未満がさらに好ましく、30℃以上80℃未満が特に好ましい。また結晶融解熱量は10J/g以上が好ましく、15J/g以上がより好ましく、20J/g以上がさらに好ましく、30J/g以上が特に好ましい。結晶化の発熱ピーク熱量の上限は通常200J/gである。
【0021】
本発明の重合体は、好ましくは実質的にゲル分を含まないものである。ゲル分のないことは、例えば重合体1mgが1,2−ジクロロベンゼン1mlに150℃で溶解することで確認できる。「実質的にゲル分を含まない」とは、重合体中に含有されるゲル分が好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下であることをいい、最も好ましくはゲル分が含有されないことをいう。
【0022】
以下に本発明の重合体の好ましい製造方法を詳細に説明する。
本発明の特徴は、上記一般式(I)で表わされるカテコールモノエーテル化合物を原料の酸化重合モノマーとして用いてはじめて合成しうることであり、酸化重合法としては、電解酸化重合法でもよいが、省エネルギーの観点からは、触媒と酸化剤を用いる酸化重合法が好ましい。
触媒の例としては、特公昭36−18692号公報、特開平10−53649号公報、特願2000−119826号記載の単座配位子/遷移金属錯体;特開平10−168179号公報、特願2000−121512号記載の二座配位子/遷移金属錯体;特開平9−144449号公報、特開平10−45904号公報、特開平9−324040号公報、特許第3035559号公報、特願2000−25621号記載の三座配位子/遷移金属錯体;特開平8−53545号公報、特開平9−324042号公報記載の四座または五座配位子/遷移金属錯体;特開平9−324043号公報記載の六座以上の配位子/遷移金属錯体;特開平9−324045号公報記載のメタロセン錯体;特開平8-208813号公報記載の金属微粒子;特開平9-107984号公報記載の酸化酵素等が好ましい。さらに好ましくは、単座配位子/遷移金属錯体、二座配位子/遷移金属錯体、三座配位子/遷移金属錯体、四座配位子/遷移金属錯体であり、特に好ましくは三座配位子/遷移金属錯体である。これらの触媒の使用量は、それぞれに記載されるフェノール化合物に対する使用量を、前記のフェノール性出発原料に対する使用量として、そのまま適用できる。また、反応溶媒、反応溶媒使用量、反応温度等の反応条件についても、それぞれに記載された反応条件を適用できる。
【0023】
酸化剤としては、酸素またはパーオキサイドが好ましい。酸素は不活性ガスとの混合物であってもよく、空気でもよい。またパーオキサイドの例としては、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過酢酸、過安息香酸等を示すことができる。さらに好ましい酸化剤としては、酸素または過酸化水素である。該酸化剤の使用量に限定はないが、酸素を用いる場合はフェノールに対して通常、0.5当量以上大過剰に使用し、パーオキサイドを用いる場合はフェノールに対して通常、0.5〜3当量を使用する。
【0024】
本発明のカテコールモノエーテル酸化重合体は、単独でも、また、他のポリマー及び/又は改質剤との組成物として用いることができる。組成物のポリマー成分として、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル及びそれらの共重合体等のポリオレフィン類;ポリオキシメチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)及びそれらの共重合体等のポリエーテル類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ジナフタレート)、ポリ(4−オキシベンゾエート)、ポリ(2−オキシ−6−ナフタレート)及びそれらの共重合体等のポリエステル類;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド類;ポリカーボネート;ポリフェニレンサルファイド;ポリサルフォン;ポリエーテルサルフォン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性ポリマーを挙げることができる。組成物の改質剤成分として、具体的には2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン類等の安定剤;ポリハロゲン化物、リン酸エステル等の難燃剤;界面活性剤;流動改質剤を挙げることができる。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
【0026】
(i)モノマー合成及び分析
モノマー合成:使用したモノマーは、J. Am. Chem. Soc., 120, 12274 (1998)を参考にして合成した。
【0027】
モノマーの転化率(Conv.):内部標準物質としてジフェニルエーテルを含む反応混合物15mgをサンプリングし、濃塩酸を若干量加えて酸性とし、メタノール2gを加え、測定サンプルとした。このサンプルを、高速液体クロマトグラフィー(東ソー社製SC8020システム、検出器:東ソー社製PD−8020、検出波長:278nm、カラム:YMC社製ODS−AM、展開溶媒:メタノール/水)により分析し、ジフェニルエーテルを内部標準物質として定量した。
【0028】
ポリマーの溶解性(Solubility):ポリマー1mgを1,2-ジクロロベンゼン(oDCBと略す。)1mlに加え、150℃に加熱したときの不溶部(ゲル分とする)の有無を観察した。
ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw):ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分析し、標準ポリスチレン換算値として重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。oDCB/140℃条件:Polymer Laboratories社製PL-GPC210システム(RI検出)により、Polymer Laboratories社製PLgel 10um MIXED-B 3本をカラムとして、oDCB(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.01%w/v含有)を展開溶媒として、140℃で行った。
ポリマーの結晶融点(Tm)および結晶融解熱量(Hm):示差走査熱量分析(MAC SCIENCE社 DSC3200S)をアルゴン雰囲気下で実施した。まず10℃/minで−100℃まで冷却した後、10℃/minで−100℃から完全に溶融する温度まで昇温する。次に、再び−100℃まで冷却した後、10℃/minで−100℃から再昇温する際に、−100℃以上で5J/g以上の吸熱ピークを示す場合、そのピークトップ温度を結晶融点(Tm)とし、そのピーク面積を結晶融解熱量(Hm)とした。このピークが見られない場合はN.D.とした。
【0029】
(ii)酸化重合
実施例1
電磁撹拌機を備えた25ml二つ口丸底フラスコに、酸素を充填した2Lゴム風船を取付け、フラスコ内を酸素に置換した。これに、Cu(Cl)2(1,4,7−トリイソプロピル−1,4,7−トリアザシクロノナン)(J. Am. Chem. Soc., 120, 8529, (1998).参照、Cu(tacn)と略す。)0.03mmolを入れ、2-n-オクタデシロキシフェノール0.6mmolと、塩基として2,6-ジフェニルピリジン0.3mmolをトルエン1.2gに溶解したものを加えた。これを40℃に保温し、激しく撹拌した。240時間後(モノマー転化率:84%)、濃塩酸を加えて酸性にした後、メタノール25mlを加え、沈殿した重合体を濾取した。メタノール10mlで3回洗浄し、減圧乾燥した後、重合体を得た(収率:69%)。この重合体はoDCBに完全に溶解し、分子量はMn=1900、Mw=3200であり、またTm=39℃、Hm=72J/gと結晶性を示した。
本重合体の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図1に示すが、約3500cm-1のO−H伸縮振動ピークがモノマーのそれと比較して相当減少していることから、本重合体は主としてオキシフェニレン構造を有している。このものは前記の基本構造式(V)を主体とするものであることが分かった。
【0030】
【発明の効果】
本発明のカテコールモノエーテル酸化縮合物は、炭素原子数2以上の脂肪族炭化水素基をもつ新規なポリマーであり、結晶性を発現しうる。本ポリマーは溶融成形材料またはフィルム材料として用いられるが、特にアルキル鎖の長いものは、ポリマーアロイ相溶化剤、側鎖結晶性熱可塑性エラストマー、表示材料、温度センサー等への特殊用途も期待され、その工業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の重合体の赤外吸収スペクトルである。

Claims (1)

  1. 一般式(I)で表わされるカテコールモノエーテル化合物を酸化重合させて得られるカテコールモノエーテル酸化縮合物。
    Figure 0004807900
    (式中、Rは炭素原子数10〜25の脂肪族炭化水素基を表わす。R 及びR は互いに独立に、水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素基、炭素原子数1〜9の置換炭化水素基、アミノ基、炭素原子数1〜9の置換アミノ基、メルカプト基、炭素原子数1〜9の置換メルカプト基またはハロゲン原子であり、R 及びR 水素原子である。)
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