JP4899152B2 - 医療用樹脂組成物とその製造方法および成形体 - Google Patents
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Description
さらに、今後、自己修復能力を生かした損傷組織の治癒法がさらに促進すると考えられており、その際、治療初期に補助手段として用いた材料が生体組織の損傷がある程度治癒した段階で体内にて吸収し消滅すれば、不要となった補助手段の材料を再手術によって抜去する必要がなくなる。このように生体吸収性材料は非吸収性材料と比較してより広範囲な用途が見込まれており、材料として大きなニーズが出てきたという背景から、本格的に研究が推進されている。
生体内利用にあっては、生体との適合性を高めるために、材料を二次的に処理して特性を付加したり、改質したりすることが研究された。その結果、具体的には、ポリ乳酸にイオンビームを照射して経時的に照射部分が剥離すると共に細胞は照射部位に優先的接着させることができる(特許文献1、特許文献2)。また、伸縮性のある材料としてポリエステル系生分解性材料、具体的にはカプロラクトンとラクチド及び/又はグリコリドとの共重合体なども知られている(特許文献3)。
ラクチドおよび/またはグリコリド(共)重合体とゴム相からなる組み合わせについて以下の発明が知られている。
「マトリックスおよび別個のゴム相とを含むゴム変成された組成物であって、該マトリックスはラクチドおよび/またはグリコリド(共)重合体を基材としている組成物において、別個の相として存在する分解性のゴム相を組成物基準で少なくとも5重量%含んで成り、そのガラス転移温度が高くても10℃程度であり、組成物の破断時の延びが少なくとも120%であることを特徴とするゴム変性された組成物。」(特許文献5)
この特許の特徴は、ゴム変性成分を添加する点であり、その結果、「靭性及び破断延び」の如き機械的性質が改善されたものであり、「破断時の延びが少なくとも120%」とするものである。
これを克服するために共重合体の成分A、Bのガラス転移温度間で自由にガラス転移温度を調整できる均一相としたゴム相を有する組成物の出現が望まれる。
このような究極の材料の開発が特に医療分野にて強く望まれていた。
(1)「ガラス転移温度40℃以上で、かつラクチドまたはグリコリドを含む(共)重合体から成る生分解吸収性ポリマー50.0〜99.9重量%を基材とし、ガラス転移温度40℃未満で、かつラクチド(又はグリコリド)と、カプロラクトン、(トリメチレン)カーボネート、ジオキサノン、ラクトンの少なくとも一種を含む生分解吸収性ランダム共重合体50.0〜0.1重量%がゴム相となることを特徴とする樹脂組成物」とし、従来知られていた生分解吸収性共重合体を、ランダム共重合体に変更し、組成物を溶融することにより、ゴム相のガラス転移温度を40℃未満にまで高めることができることを見出した。
(2)そして、すでに生体内での使用の安全性が確かめられている生体内分解性、吸収性樹脂のみを用いて、靭性、柔軟性、耐衝撃性を改善した生分解吸収性素材が得られることができることを見出した。具体的には、前記特定の樹脂からなる組成物を溶融混練すると、主成分である樹脂単体(たとえばポリ乳酸)と本発明で創出した樹脂組成物とを比較すると、脆性から延性(破断伸度が7%から200%以上)に改質され耐衝撃性も向上し、さらに、一定の歪が残る形状セット性も有することを見出した。
クレームを代入する。
(1)[1]ガラス転移温度40℃以上で、かつラクチドまたはグリコリドを含む(共)重合体から成る生分解吸収性ポリマー50.0〜99.9重量%、及び [2]ガラス転移温度40℃未満で、かつラクチド(又はグリコリド)と、カプロラクトン、(トリメチレン)カーボネート、ジオキサノン、ラクトンの少なくとも一種を含む生分解吸収性ランダム共重合体50.0〜0.1重量%を含むことを特徴とする樹脂組成物。
(2)(1)記載の [1] ガラス転移温度40℃以上で、かつラクチドまたはグリコリドを含む(共)重合体からなる生分解吸収性ポリマー50.0〜99.9重量%、及び [2]ガラス転移温度40℃未満で、かつラクチド(又はグリコリド)と、カプロラクトン、(トリメチレン)カーボネート、ジオキサノン、ラクトンの少なくとも一種を含む生分解吸収性ランダム共重合体50.0〜0.1重量%を含んで溶融混練して得られることを特徴とする樹脂組成物。
(4)樹脂組成物は(1)の [1]ガラス転移温度40℃以上で、かつラクチドまたはグリコリドを含む(共)重合体から成る生分解吸収性ポリマーが連続相を、[2] ガラス転移温度40℃未満で、かつラクチド(又はグリコリド)と、カプロラクトン、(トリメチレン)カーボネート、ジオキサノン、ラクトンの少なくとも一種を含む生分解吸収性ランダム共重合体が10ナノメートルから5ミクロンサイズの分散相を構成することを特徴とする(1)から(3)いずれかに記載の樹脂組成物。
(6)樹脂組成物から形成されるフィルムは、500ミクロン厚のフィルムの引張試験で引張伸度20%以上では、変形歪の80%以上が固定されることを特徴とする(1)から(5)いずれかに記載の樹脂組成物。
(8)(1)記載の [1] ガラス転移温度40℃以上で、かつラクチドまたはグリコリドを含む(共)重合体からなる生分解吸収性ポリマー50.0〜99.9重量%、及び [2] ガラス転移温度40℃未満で、かつラクチド(又はグリコリド)と、カプロラクトン、(トリメチレン)カーボネート、ジオキサノン、ラクトンの少なくとも一種を含む生分解吸収性ランダム共重合体50.0〜0.1重量%を含んで溶融混練して得られることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
(10)成形加工が射出成形であることを特徴とする(9)記載の成形体。
(11)成形加工がプレス成形であることを特徴とする(9)記載の成形体。
(12)成形加工が押出成形であることを特徴とする(9)記載の成形体。
(13)成形体の形状がフィルム状、シート状又は板状である(9)記載の成形体。
(14)成形体を加工して得られる形状が網状、繊維状、不織布状、織布状、又はフィラメント状である(9)記載の成形体。
(15)成形体の形状が棒状又は異形品である(9)記載の成形体。
(16)成形体の形状がチューブ、管、ボトル、又は円柱状である(9)記載の成形体。
(17)成形体が医療用であることを特徴とする(9)記載の成形体。
(18)成形体が(1)〜(6)、または(9)〜(17)いずれかに記載の医療材料。
(19)医療材料が体内埋込用(インプラント)基材(ステント、プラグ、ネジ、ピンなど)、外科用縫合基材(糸、クリップ、ステープル、外科用ガーゼなど)、接合材や組織置換材料(骨接合剤、歯周病手術時の歯根膜の組織再生を促すための製品、皮膚らの外傷治療用など)、ドラッグデリバリーシステムへの応用の少なくとも一種に相当するものであることを特徴とする(1)〜(6)、または(9)〜(18)いずれかに記載の医療材料。
(20)(19)記載の医療材料は(1)〜(6)、または(9)〜(19)いずれかに記載の生体内消滅型のステント。
特許文献5におけるミクロ相分離構造を有するゴム相はガラス転移温度をランダム共重合体のように広く変化させることは不可能であり、「ゴム相のガラス転移温度は高くても10℃」と限定している。
しかし、本発明での樹脂組成物はランダム共重合体をゴム相の原料として用いるために、ゴム相のガラス転移温度を広範囲で制御でき、ゴム相のガラス転移温度が及ぼす組成物の特性への影響の検討が可能となった。その結果、新たに本発明の樹脂組成物では「ゴム相のガラス転移温度が10℃以上」で最も良い物理的特性 [ 靭性、延性、耐衝撃性、さらに金属のような形状セット性(所望の形状にして、その形状を維持できないこと)]の向上が得られることを見出し、「ガラス転移温度が40℃未満である生分解吸収性ランダム共重合体から成るゴム相を用いて」さらに優れた生体内分解性、吸収性医療材料を創出することに成功したので、本出願をもって報告する。
これまで使用されてきた石油由来のプラスチックに置き換わる新規環境素材としても大きなニーズが見込まれるばかりでなく、生分解性プラスチックでありながら金属のような特性も兼ね備えているので、医療用、動物用、農業水産業分野での材料として好適なものである。
特に医療用としては生体適合性や生分解性、生体吸収性も有しているので体内留置物や組織置換材料として使用されれば、従来使用されてきた金属やセラミックスなどのように異物として体内に永久に残存することがないので、除去のための再手術が不要になり二次的な疾患を回避できるという大きな利点がある。これまで、金属器具本体が有する形状セット性、延性などの特性を本発明の組成物自体が有しているために金属基板は不要となり、磁気の影響などを心配する必要もない。これらの優れた点から近年積極的に行われている再生医療への利用も促進されるであろう。
従来知られていた生分解吸収性共重合体について、ランダム共重合体に変更することにより、新規な組成物を得ることができることを見出した。
この組成物を溶融することにより、ガラス転移温度を40℃未満にまで高めることができることを見出した。
(1)ポリ乳酸、
(2)ポリグリコール酸
(3)ラクチド−グリコリド共重合体
(4)ラクチドを成分に含む(3)以外の共重合体
(5)グリコリドを成分に含む(3)以外の共重合体
(3)〜(5)の共重合体の場合、ランダム、ブロックなどの共重合体の種類は問わない。そして、ガラス転移温度が40℃以上を示す成分が含まれていれば、その組成は問わない。
(1)ラクチド、又はグリコリド(必須成分)及び
(2)カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、他の生分解性カーボネート類、ジオキサノン、ラクトンの少なくとも一種を含むランダム共重合体である。
具体的には、ラクチド−カプロラクトン、ラクチド−トリメチレンカーボネート、ラクチド−ジオキサノン、ラクチド−ラクトン、グリコリド−カプロラクトン、グリコリド−トリメチレンカーボネート、グリコリド−ジオキサノン、グリコリド−ラクトンなどの2元系だけでなく、ラクチド−グリコリド−カプロラクトン、ラクチド−カプロラクトン−トリメチレンカーボネートなどの他元系の組み合わせも含む。また、これらの異なる2元系や多元系共重合体を混合しても使用可能である。ガラス転移温度が40℃未満であれば組成を問わず、この条件を満たせばこれら全組成のランダム共重合体が対象となる。
ここで溶融混練処理とは原料(第II組成物と第III 組成物)の融点(結晶性でない場合はガラス転移温度以上)以上に二軸押出成形機またはミキサー混練機により加熱して原料ポリマーを溶融し、均一分散をするように混ぜ合わせることである。
主成分である樹脂単体(たとえばポリ乳酸)と本発明で創出した樹脂組成物とを比較すると、脆性から延性(破断伸度が7%から200%以上)に改質され、耐衝撃性も向上し、さらに、一定の歪が残る形状セット性(外部から与えられた変形を保持する性質)も有することを見出した。
さらに(1)が60.0〜95.0重量%で(2)が40.0〜5.0重量%が好ましく、最も望ましい組成は(1)が75.0〜90.0重量%で(2)が25.0〜10.0重量%である。これらの組成では使用温度の体温では分子鎖運動の束縛された剛性な組成物が得られ、さらに衝撃などの外部からのエネルギーを吸収する成分を副成分として含有していることを意味している。
さらに、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤(フェノール系、芳香族アミン系、有機イオウ系、有機リン系など)、光安定剤、無機または有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤などの各種の添加剤を含有していてもよい。
本発明の材料は、生体内分解性で生体吸収性ポリマーであるという利点を生かして、外科手術用縫合糸や人工皮膚、人工補充物、人工中耳のような軟組織にも好適である。この場合の添加物としてはポリマー分解度を高めるためのラウリン酸または無水ラウリン酸とその誘導体やその他の分解促進剤、コラーゲンおよび不溶性コラーゲン誘導体;ゼラチン;ヒドロキシアパタイトなど、ならびに可溶性固体も用いることができる。
このように用途に応じた生物学的生理活性な添加剤を用いることによって各種ニーズに応えることが可能となる。
例えば、外壁にそって、前記添加剤を含んだ層を被覆するような方法でも行われる。これらは用途に沿った製品諸物性と諸機能の向上、外観、生産性の向上に寄与する。前記添加剤の含有方法(分散、包埋、被覆など)や物質また含有場所については使用目的に応じた最適な方法で行なえばよい。
また、ラクチドには、L−乳酸の環状二量体であるL-ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD-ラクチド、D−乳酸とL−乳酸が環状二量化したメソラクチド、およびL−ラクチドとD−ラクチドのラセミ混合物であるDL−ラクチドがあるが、本発明ではこれらのいずれのラクチドを開環重合して得られたポリ乳酸を使用してもよいが、ポリ乳酸のL−乳酸単位とD−乳酸単位の含有比は得られる共重合体の結晶化度に影響を及ぼす。特に、延性、形状セット性である特性を発現するには結晶化度は低い方が好ましいので、DL体のポリ乳酸が、より望ましい。
グリコール酸に乳酸を共重合していくと、結晶相の融点は低下し、乳酸が20モル%も共重合されると、非晶性となる。
押出成形、射出成形、回転成形、吹き込み成形、ブロー成形、トランスファー成形、プレス成形、溶液キャスト法等である。
これらの成形方法により得られる成形体を、前記成形方法に対応して、順に、押出成形体、射出成形体、回転成形体、吹込成形体、ブロー成形体、トランスファー成形体、プレス成形体、溶液キャスト法成形体と呼ぶ。
フィルム類の製造に用いるダイとしては、Tダイ、円筒スリットのダイが好ましく用いられる。また、キャスト法や熱プレス法なども、フィルム類の製造に適用することができる。
つまり、組成物の降伏点を越える引張伸度20%以上のどの変形歪量において、変形歪の80%以上が固定され、その形状を固定できる特性を発現するようになったことが分かる。
例えば、医療用点滴薬の容器、チューブなどの体外で用いる使い捨て器具だけでなく、生分解性で生体吸収性ポリマーであるという利点を生かして、体内埋込用基材(ステント、プラグ、ネジ、ピンなど)、外科用縫合基材(糸、クリップ、ステープル、外科用ガーゼなど)、接合材や組織置換材料(骨固定材、骨接合材、骨セメントのような硬組織、歯周病手術時の歯根膜の組織再生を促すための製品、皮膚らの外傷治療用など)への応用などが考えられる
さらにフィルム製造時や工程通過性をさらによくするため、シリカ、アルミナ、カオリン等の無機滑剤を、必要量添加して製膜し、フィルム表面にスリップ性を付与することが望ましい。さらに、フィルムの印刷加工性を向上させるため、例えば、帯電防止剤等を含有させることもできる。
その点、本発明の樹脂組成物は、耐衝撃性も高く延性もあり腐食の問題もなく、代謝過程に順応しながら分解吸収されるので、医療用材料としても非常に好適である。
薄肉ダンベル型試料の試験は約0.5mm厚のフィルムから2号型試験片の1/2の大きさのダンベル型を打ち抜き、JIS K7113に準じて実施した。試験機はOrientec (UCT) Tensilonを用いた。測定は同じ試料について3〜5回繰り返した。
以上の引張試験より引張弾性率、破断伸度を求めた。
薄肉ダンベル型試験片(厚さ約0.5mm、2号型試験片の1/2の大きさのダンベル型)を10mm/minの速度で、試験片の試験部有効長16mmが、32mmまで伸長されたときを、与えた歪量=100%、40mmまで伸長されたときを、与えた歪量=150%、48mmまで伸長されたときを、与えた歪量=200%、として、伸長させた後、圧縮方向に同じ速度で戻し、そのときに荷重ゼロとなる点から残存歪率を求めた。(図3参照)試験機はOrientec (UCT) Tensilonを用いた。
薄肉の試料(約0.5mm厚)を用いてJIS K7160 (ISO 8256)に準じてシャルピー引張衝撃試験を実施した。試験機は東洋精機製のデジタル衝撃試験機を用いた。
(A)成分:40℃以上のガラス転移温度を有する生分解吸収性ポリマーとしてポリ乳酸(PLA)を選択した。
(イ)三井化学社製H-280 [190℃、2.16kg荷重におけるMFRは2.5g/10min、数平均分子量Mn=4.4万、重量平均分子量 Mw=13.5万、非晶性、ガラス転移温度=52.0℃](これを以下、PLA-1として略称することがある。)
(ロ)三井化学社製 H-400 [190℃、2.16kg荷重におけるにおけるMFRは3g/10min、数平均分子量Mn=2.9万、重量平均分子量 Mw=10.5万、ガラス転移温度=60.2℃、融点=166℃](以下、PLA-2として略称することがある。)
(ハ)東洋紡績製バイロエコール BE−910 [ラクチド‐εカプロラクトン共重合体、数平均分子量Mn=2.5万、比重=1.18、ガラス転移温度=−8.6℃、カプロラクトン含量=41.6重量%、カプロラクトン平均連続鎖長=1.6ユニットのランダム共重合体](以下、P−1として略称することがある。)
(ニ)東洋紡績製バイロエコール BE−450 [ラクチド‐εカプロラクトン共重合体、数平均分子量Mn=2.5万、比重=1.24、ガラス転移温度=30.7℃、カプロラクトン含量=10.7重量%、カプロラクトン平均連続鎖長=1.1ユニットのランダム共重合体](以下、P−2として略称することがある。)
(ホ)多木化学製 ラクチド‐εカプロラクトン共重合体 [数平均分子量 Mn=約14万、ガラス転移温度=46.8℃、カプロラクトン含量=7.7重量%、カプロラクトン平均連続鎖長=1.28ユニットのランダム共重合体] (以下、P−3として略称することがある。)
(へ)多木化学製 ラクチド‐εカプロラクトン共重合体 [数平均分子量 Mn=約18万、ガラス転移温度=11.8℃、カプロラクトン含量=30.9重量%、カプロラクトン平均連続鎖長=1.91ユニットのランダム共重合体] (以下、P−4として略称することがある。)
(ト)多木化学製 ラクチド‐εカプロラクトン共重合体 [数平均分子量 Mn=約19万、
平均連続鎖長=3.2ユニットのランダム共重合体] (以下、P−5として略称することがある。)
(チ)多木化学製 ラクチド‐トリメチレンカーボネート共重合体 [数平均分子量 Mn=約18万、ガラス転移温度=53.7℃、トリメチレンカーボネート含量=1.0重量%、トリメチレンカーボネート平均連続鎖長=1ユニットのランダム共重合体] (以下、P−6として略称することがある。)
(リ)多木化学製 ラクチド‐トリメチレンカーボネート共重合体 [数平均分子量 Mn=約19万、ガラス転移温度=6.2℃、トリメチレンカーボネート含量=52.1重量%、トリメチレンカーボネート平均連続鎖長=2.34ユニットのランダム共重合体] (以下、P−7として略称することがある。)
ポリ乳酸含有組成物の試料調製には、本研究室で開発した小型二軸コニカルスクリュー押出成形機を用いた。(L/D=5、コニカルスクリュー根元径D=20mm、回転数範囲=0〜360rpm、温度範囲=常温〜400℃、バッチ式/フロー式の両モードの使用が可能)
樹脂組成物の原料であるランダム共重合体(比較例1〜7)またはポリ乳酸(比較例8、9)単体のみを使用して、ホットプレス上でプレスし、氷水中で急冷して、急冷シートを作成した。その後、試料はダンベル型に打ち抜き、薄肉ダンベル型試料(シートダンベル(0.5mm厚))として引張試験、引張サイクル試験による残存歪率測定、引張衝撃値の試験を実施した。(表Iを参照)
表 I 比較例1〜9:樹脂組成物の原料となるランダム共重合体とPLAの特性
*: 試料に延性がない場合、残存歪率の測定は不可能となる。
引張試験、引張サイクル試験による残存歪率測定、引張衝撃値の試験を実施し、PLA/P−4樹脂組成物の測定結果を表III、PLA/P−1樹脂組成物の測定結果を表IV、PLA/P−7樹脂組成物の測定結果を表V、PLA/P−5樹脂組成物の測定結果を
表VIにまとめた。
これは、生成した樹脂組成物がガラス転移温度40℃未満を有するランダム共重合体独自の相を形成し、相分離構造を有していることを意味している。このような得られた樹脂組成物のモルフォロジーについては後で述べるように図4の透過型電子顕微鏡観察でも確認されている。
Claims (2)
- (1)ガラス転移温度45.6〜58.6℃で、ポリ乳酸から成る生分解吸収性ポリマー60〜95重量%と、(2)ガラス転移温度−33.9〜14.1℃で、ラクチドとカプロラクトンの生分解吸収性ランダム共重合体5〜40重量%と、を含む組成物で、且つ該組成物中のカプロラクトンの含有量が1.5〜17.5重量%であり、
前記(1)及び前記(2)の数平均分子量がともに1万〜100万の範囲であり、
前記(1)が連続相を、前記(2)が10ナノメートル〜5ミクロンサイズの分散相を構成し、
引張弾性率が740〜1700MPa、破断伸度が126〜656%、引張衝撃値が59〜415KJ/m2 の範囲にある組成物を溶融混練して得ることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。 - (1)ガラス転移温度45.6〜58.6℃で、ポリ乳酸から成る生分解吸収性ポリマー60〜95重量%と、(2)ガラス転移温度5.5〜7.0℃で、ラクチドとトリメチレンカーボネートの生分解吸収性ランダム共重合体5〜40重量%と、を含む組成物で、且つ該組成物中のトリメチレンカーボネートの含有量が3.0〜18.2重量%であり、
前記(1)及び前記(2)の数平均分子量がともに1万〜100万の範囲であり、
前記(1)が連続相を、前記(2)が10ナノメートル〜5ミクロンサイズの分散相を構成し、
引張弾性率が1300〜1600MPa、破断伸度が313〜380%、引張衝撃値が98〜223KJ/m 2 の範囲にある組成物を溶融混練して得ることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
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