JP4894119B2 - 脂肪酸含有リポソーム分散液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤を全く使用せずに製造した、脂肪酸を含有するリポソーム分散液、ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リポソームは、脂質二分子膜からなり、その内部に水層を有する閉鎖小胞体であり、脂質二分子膜内に油溶性物質を含有させることもできる。リポソームは、同一分子内に親水性と疎水性基とを有する両親媒性の物質を水に懸濁することによって形成されるべシクルである。
【0003】
リポソームは、広くバイオサイエンスの基礎および応用の分野で利用および検討されている。前者の例としては、生体膜モデルとしての脂質の物性や膜の透過性研究、脂質と膜タンパク質との相互作用や膜面上で起こる諸反応の解析などが挙げられる。後者の例としては、医薬品、化粧品などの分野に広く用いられており、例えば、薬物キャリアや遺伝子キャリアとして、抗ガン剤、血管造影剤、化粧品などのドラッグデリバリーシステムへの応用が注目されている。特に薬剤の新しい投与方法に関わるものとして、近年最も注目を集めているものの一つである。薬剤キャリアとしてリポソームを使う場合の特色は、主に次の二点である:
(1)生体膜に大量に存在するリン脂質、コレステロールなどを主成分とするため、毒性が少なく異物として働く可能性が少ない;および
(2)水溶性薬物は内水相に、脂溶性薬物は二分子膜内に取り込まれるため、脂溶性、水溶性いずれの薬物もカプセル化できる。
【0004】
リポソーム分散液の製造方法としては、超音波分散法、溶液法などが知られている。このうち、最も一般的なものが超音波分散法である。これはフラスコなどの容器の表面に脂質の薄膜を作り、これに水性担体に溶解させた薬物を加え、超音波をかけることにより、薄膜をこの水性担体中に分散させる製造方法である。しかし、この方法では超音波分散時に発熱し、薬物の分解あるいは失活が起こることが避けられない。
【0005】
溶液法は、脂質を一旦グリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコールに溶かし込み、これに生理食塩水などの水性担体に溶解させた薬物を徐々に加えてリポソームを作成する方法である。この方法では、加熱工程は脂質をアルコールに溶かし込む際の脂質を溶解する工程のみであり、直接薬物に熱を与えないという長所があるが、得られたリポソームの粒子径が大きく、かつ粒子の大きさのバラツキも大きいという欠点があった。
【0006】
不飽和脂肪酸を含有しないリポソーム分散液を製造する方法としては、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジーVol.13、238頁(1965)、特開昭60−155109号公報、特開昭61−501897号公報、および特開平2−129119号公報に記載の方法が知られている。
【0007】
不飽和脂肪酸を含有するリポソーム分散液の製造方法としては、特公昭63−54684号公報、特公平1−17379号公報、特開平1−180245号公報、特開平1−233219号公報、および特開平4−54132号公報に記載の方法が知られている。しかし、これらの方法では、リポソーム分散液の製造に溶剤を使用しなければならないため、脱溶剤の設備が必要となり、また脱溶剤を行っても、試料がペースト状となるため、溶剤の除去には限界がある。
【0008】
これら以外にも、いくつかの方法が報告されている。特開昭62−95134号公報に記載の方法は、リン脂質とリン脂質に対して1〜15重量%の親水性非イオン界面活性剤とを同時に水に分散させることを特徴とするリポソームの製造法である。しかし、該方法では、リポソームの製造にヘキサンを使用して均一溶解させるかもしくは80℃にて攪拌する必要があるため、残存溶剤や不飽和脂肪酸の劣化が心配される。
【0009】
特開平7−285827号公報には、リン脂質を用いて脂質二分子膜を調製し、高級脂肪酸を添加して複合化し、この複合化脂質二分子膜をリポソームの形態とする方法が記載されている。しかし、該方法では温度を80〜90℃に攪拌しながら加温溶解し、そこに高級脂肪酸を添加して含有させなければならず、この条件では不飽和脂肪酸の劣化が考えられる。しかも、リポソーム分散夜中に10重量%しか不飽和脂肪酸を含有することができない。
【0010】
また、特開昭63−119847号公報には、アシルグリセロールおよび/または高級脂肪酸の少量に溶解した膜成分物質および膜構造の中へ包含させるべき物質と、膜で囲まれた小胞内部の空間に包含させるべき物質を含有するpH4〜10の水性溶液の少量とを混合し、温度15〜65℃、窒素ガス雰囲気下で乳化して、生成する安定なエマルジョンに大容量の水性溶液を上記pHを保つようにさらに加えて攪拌することにより、リポソームを調製する方法が記載されている。しかし、該方法では高級脂肪酸の少量にリン脂質を溶解するため、リン脂質が少量しか溶解しない。高級脂肪酸の量やリン脂質の量について具体的な記載がなく、またアシルグリセロールを使用することにより、天然に存在する組成に近づけるといった容易に類推できる手法である。
【0011】
特開平4−208216号公報には、リポソーム膜構成物質を、その良溶媒である多価アルコールに溶解し、次いで貧溶媒である別の多価アルコールを添加し、充分に混合することによりリポソーム膜構成物質とそれらの多価アルコールから成るラメラ液晶を形成させ、次に、これに水もしくはリポソーム膜構成物質に応じて選択された適宜の物質の水溶液を、ラメラ液晶が壊れないように緩徐に滴下しながら練り込むことにより膨潤したラメラ液晶を形成させ、次いで上記の水または水溶液を連続的に滴下することを特徴とする微細なリポソームの調製法が記載されている。しかし、水溶液を緩徐に滴下したり、連続的に滴下する必要があり、生産性の面から工業的な大量生産には適していない。
【0012】
特表平4−503807号公報には、糖タンパク質、クエン酸塩緩衝液、アルキレングリコールを含有させることにより、リポソーム分散液を製造する方法が記載されている。しかし、該方法では、糖タンパク質、クエン酸塩緩衝液、アルキレングリコールを含有させる必要があり、工業的には極めて不利である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上、述べてきたように、従来知られているリポソーム分散夜の製造方法では、溶剤を使用せずに、リポソーム分散液中で不飽和脂肪酸をリン脂質に対して10重量%以上含有させることができなかった。そのため、溶剤を全く使用せずに製造された、リン脂質と不飽和脂肪酸とをリポソーム中に含有するリポソーム分散液の開発が望まれている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、溶剤を全く使用せずに、脂肪酸をリン脂質に対して10重量%以上リポソーム膜中に含有するリポソーム分散液を提供することを目的とする。
【0015】
本発明者らは、簡易な操作で脂肪酸を含有させたリポソーム分散液を製造し得る方法を開発すべく鋭意研究を重ねるうち、リン脂質、グリセリン、水およびリン脂質に対してある一定の範囲の重量となるようにリゾリン脂質を均一に分散し、この分散液に脂肪酸を均一に分散させ、リポソーム化を行うことにより、簡易な操作で脂肪酸をリポソーム膜中に含有させたリポソーム分散夜を得られるという事実を見出した。
【0016】
すなわち、本発明は、(a)水100重量部、グリセリン0.2〜16重量部、リン脂質、およびリゾリン脂質を混合して分散させる工程、(b)次いで炭素数8〜22の脂肪酸を分散させて粗分散液を得る工程、および(c)該得られた粗分散液にリポソーム化処理を施す工程、によって得られる脂肪酸含有リポソーム分散液を提供し、ここで、該リン脂質、該リゾリン脂質、および該炭素数8〜22の脂肪酸からなる混合脂質の合計量は1〜35重量部であり、該混合脂質中の該リン脂質と該リゾリン脂質との重量比は8:1〜200:1であり、そして 該混合脂質中の該炭素数8〜22の脂肪酸は10〜35重量%の範囲である。このリポソーム分散液は、無溶剤系で製造されるため、残存溶剤を含まず、さらに溶剤除去時の加熱による不飽和脂肪酸の劣化もない。
【0017】
炭素数8〜22の脂肪酸の量が、混合脂質に対して35重量%を超えると、炭素数8〜22の脂肪酸をリポソーム分散液中に含有できず、不溶物が生成する。
【0018】
リゾリン脂質の量が、リン脂質に対して1/200より少ないと炭素数8〜22の脂肪酸をリポソーム分散液中に含有できず、不溶物が生成し、1/8を超えると、リポソームの凝集、粒径拡大が起こり、経時安定性が悪くなる。
【0019】
さらに、グリセリンの量が水100重量部に対して16重量部より多くてもまたは0.2重量部より少なくても、炭素数8〜22の脂肪酸をリポソーム分散液中に含有できず、不溶物が生成する。本発明はかかる知見に基づき完成されたものである。
【0020】
したがって、本発明はまた、脂肪酸を含有させたリポソーム分散液の製造方法に関し、該方法は、(a)水100重量部、グリセリン0.2〜16重量部、リン脂質、およびリゾリン脂質を混合して分散させる工程、(b)次いで炭素数8〜22の脂肪酸を分散させて粗分散液を得る工程、および(c)該得られた粗分散液にリポソーム化処理を施す工程、を含み、 該リン脂質、該リゾリン脂質、および該炭素数8〜22の脂肪酸からなる混合脂質の合計量は1〜35重量部であり、該混合脂質中の該リン脂質と該リゾリン脂質との重量比は8:1〜200:1であり、そして該混合脂質中の該炭素数8〜22の脂肪酸は10〜35重量%の範囲である。
【0021】
本発明の方法によれば、リポソーム膜中に10重量%以上炭素数8〜22の脂肪酸を含有させた、溶剤を含まないリポソーム分散液を、無溶剤系で容易に製造し得る。したがって本発明の方法は極めて有利な方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】
本発明のリポソーム分散液を製造するにあたって、まず、水、グリセリン、リン脂質、およびリゾリン脂質を混合して分散させる。混合および分散は、どのような方法を用いてもよいが、例えば、ポリトロンを用い20000rpmで10分間攪拌することによって行われ得る。上記4成分は、水とグリセリンとを混合した後に、リン脂質およびリゾリン脂質を加えて分散させてもよいし、あるいは4成分を同時に混合してもよい。リン脂質とリゾリン脂質とは、別々に分散させてもよいし、予め混合したものを分散させてもよい。
【0024】
グリセリンは、水100重量部に対して0.2〜16重量部を混合される。このとき、最終的に得られるリポソーム分散夜中のグリセリンの配合量は、0.2〜10重量%である。好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
【0025】
リン脂質およびリゾリン脂質の量は、以下に述べる炭素数8〜22の脂肪酸と合わせた混合脂質の量として1〜35重量部である。混合脂質の配合量が、1重量部より少ないと、リポソーム分散液の保存安定性が悪く、35重量部より多いと、リポソーム分散液が均一に分散しない。
【0026】
本発明においてリン脂質とは、分子内にリン酸基とアシル基および/またはアルキル基からなる疎水基を2個以上とを有するものをいい、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジン酸(PA)、スフィンゴミエリン(SPM)、カルジオリピン、大豆レシチン、コーンレシチン、綿実油レシチン、卵黄レシチンなどの天然レシチン;これらの水素添加レシチン;およびこれらのリン脂質にポリエチレングリコールやアミノグリカン類を導入したリン脂質誘導体など。あるいは、これらのリン脂質の1種または2種以上の混合物などが挙げられる。これらのうち、大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、および水素添加卵黄レシチンが好ましい。
【0027】
最終的に得られるリポソーム分散液中のリン脂質の配合量は、1〜20重量%であり、好ましくは2〜10重量%、より好ましくは2〜6重量%である。配合量が20重量%を超えるときはリポソーム分散液の安定性が低下する。
【0028】
本発明に用いられるリゾリン脂質とは、上記リン脂質のグリセロールの1位または2位のいずれか1つの脂肪酸が切れて生じたものであり、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:リゾホスファチジルコリン(LPC)、リゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)、リゾホスファチジルセリン(LPS)、リゾホスファチジルイノシトール(LPI)、リゾホスファチジルグリセロール(LPG)、リゾホスファチジン酸(LPA)、大豆リゾレシチン、コーンリゾレシチン、綿実油リゾレシチン、卵黄リゾレシチンなどの天然リゾレシチン;および水素添加リゾレシチンなど。あるいは、これらのリゾリン脂質の1種または2種以上の混合物などが挙げられる。
【0029】
最終的に得られるリポソーム分散夜中のリゾリン脂質の配合量は、0.1〜0.5重量%であり、好ましくは0.15〜0.4重量%である。配合量が0.1重量%より少ないとリポソーム粗分散液が均一に分散せず、0.5重量%より多いとリポソームの粒径が大きくなり、リポソーム分散液の安定性が低下する。
【0030】
次に、上記分散液に、さらに炭素数8〜22の脂肪酸を分散させる。ここでのも分散も、上記と同様に行われ得る。
【0031】
本発明に用いられる脂肪酸は、炭素数8〜22の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸であり、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ヘンエイコサン酸、べへン酸などの直鎖飽和カルボン酸;および2−ラウロレイン酸、リンデル酸、トウハク酸、5−ラウロレイン酸、11−ラウロレイン酸、ツズ酸、5−ミリストレイン酸、ミリストレイン酸、2−パルミトレイン酸、7−パルミトレイン酸、cis−9−パルミトレイン酸、trans−9−パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、ペトロセエライジン酸、cis−7−オクタデセン酸、trans−7−オクタデセン酸、cis−8−オクタデセン酸、trans−8−オクタデセン酸、オレイン酸、エライジン酸、バセニン酸、ゴンドイン酸、trans−ゴンドイン酸、エルシン酸、ブラシン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、プソイドエレオステアリン酸、α−パリナリン酸、β−パリナリン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などの直鎖不飽和カルボン酸。好ましくは、生体内に含まれており、生理機能を有する、リノール酸、オレイン酸、エイコサぺンタエン酸、およびドコサヘキサエン酸である。
【0032】
最終的に得られるリポソーム分散夜中の脂肪酸の配合量は、0.02〜5重量%であり、好ましくは0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。配合量が5重量%を超えると、リポソーム分散液の安定性が低下する。
【0033】
リポソームを形成する混合脂質中のリン脂質と脂肪酸との重量比は、8:1〜200:1であり、好ましくは10:1〜100:1である。
【0034】
リポソームを形成する混合脂質中のリン脂質と脂肪酸との重量比は、9:1〜2:1の範囲が良く、特に3:1〜2:1の重量比においてリポソーム分散液が安定化する。
【0035】
さらに、混合脂質中の脂肪酸の配合量は、10〜35重量%であり、好ましくは、15〜25重量%である。
【0036】
上記のように、本発明においては、リポソーム膜を構成する混合脂質を、リン脂質およびリゾリン脂質を分散した後、さらに脂肪酸を分散させることが好ましい。この順で分散させることによって、脂肪酸を混合脂質に対して10重量%以上、リポソーム膜中に含有させることができる。
【0037】
また、本発明のリポソーム分散液には、必要に応じて防腐剤、酸化防止剤などを、本発明のリポソーム分散液の安定性を損なわない範囲で適宜配合することができる。これらの薬剤は、どの段階で配合されてもよいが、好ましくは、脂肪酸と同時に分散され得る。
【0038】
本発明に用いられる酸化防止剤としては、特に限定されないが、ビタミンEおよびその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステルなどが挙げられ、ビタミンEが好ましい。これらの酸化防止剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。リポソーム分散夜中の酸化防止剤の配合量は、0.002〜0.5重量%であり、好ましくは0.01〜0.2重量%である。配合量が0.002重量%より少ないとリポソーム分散夜の酸化安定性が低下し、0.5重量%より多いと、リポソーム分散夜の安定性が低下する。
【0039】
上記脂質含有粗分散液に、リポソーム化処理を施すことによって、リポソーム分散液を得る。
【0040】
本発明において「リポソーム化」とは、リポソーム分散液を調製することをいい、通常リポソーム化に用いられる装置を使用することにより行う。本発明において、リポソーム化の方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる:(1)分散液を150MPa以上の圧力下でジェット流として噴射し、噴射口に対して配置された壁面に該ジェット流を衝突させて、該分散液を上記ジェット流の方向と実質的に対向する方向に反転させることによってリポソーム化を行う方法、(2)増圧ポンプにより圧力波形がフラットで定圧に加圧された試料を、超高圧でチャンバー内に入れ、細管部を高速通過させる際に強力な剪断力を受けさせ、さらに合流部で加速された流体どうしが正面から衝突することにより強い衝撃を受けさせ、拡大部で圧力降下により強力なキャビテーションを受けさせることによって、リポソーム化を行う方法(マイクロフルイダイザー)、(3)真空乳化機を用いてリポソーム化を行う方法、(4)高圧ホモミキサーを用いてリポソーム化を行う方法、(5)超音波乳化機を用いてリポソーム化を行う方法。本発明においては、特に(1)および(2)の方法が好ましい。(1)の方法で使用する装置は、超高速ジェット流乳化機であり、例えば、市販の微粒子化装置であるB.E.E.International Ltd.製のDeBEE2000が好ましい。(2)の方法で使用する装置としては、市販の微粒子化装置であるみづほ工業株式会社製のマイクロフルイダイザーが好ましい。これらの装置により、脂質含有粗分散液を処理することにより、リポソーム分散液を製造することができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、特にここに挙げた製造方法だけに限定されるものではない。
【0042】
なお、粒子径の測定は下記の条件で行った。
粒度分布分析装置:NICOMP Model 370(Pacific Scientific製)
測定モード:Solid Particles(個数換算)
積算時間:10分以上
Residual:2.0以下
【0043】
(製造例1)
精製水94gに、グリセリン2g、未水添大豆レシチン4g、およびリゾレシチン0.1gを加えて混合および分散させ、さらにリノール酸1gおよびビタミンE0.1gを添加し、ポリトロンを用い20000rpmで10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した。この脂質含有粗分散液に、DeBEE2000にて、圧力20000psiで5回微粒子化処理を施し、リポソーム化した。その結果、平均粒子径が150nmのリノール酸20重量%含有リポソーム分散液を得た。
【0044】
(製造例2)
精製水94gに、グリセリン2g、未水添大豆レシチン4g、およびリゾレシチン0.3gを加えて混合および分散させ、さらにオレイン酸2gおよびビタミンE0.02gを添加し、ポリトロンを用い20000rpmで10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した。この脂質含有粗分散液を、マイクロフルイダイザーにて、圧力750kg/cmでリポソーム化した。その結果、平均粒子径が170nmのオレイン酸31.7重量%含有リポソーム分散液を得た。
【0045】
(製造例3)
精製水94gに、グリセリン2g、未水添大豆レシチン4g、およびリゾレシチン0.5gを加えて混合および分散させ、さらにエイコサペンタエン酸1.5gおよびビタミンE0.05gを添加し、ポリトロンを用い20000rpmで10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した。この脂質含有粗分散液を、真空乳化機にて、攪拌速度8000rpm、温度60℃、高真空下(1mmHg)1時間、リポソーム化した。その結果、平均粒子径が170nmのエイコサぺンタエン酸25重量%含有リポソーム分散液を得た。
【0046】
(製造例4)
精製水94gに、グリセリン2g、未水添大豆レシチン4g、およびリゾレシチン0.2gを加えて混合および分散させ、さらにα−リノレン酸0.5gおよびビタミンE0.2gを添加し、ポリトロンを用い20000rpmで10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した。この脂質含有粗分散液に、DeBEE2000にて、圧力20000psiで5回微粒子化処理を施し、リポソーム化した。その結果、平均粒子径が190nmのα−リノレン酸11重量%含有リポソーム分散液を得た。
【0047】
(比較例1)
精製水94gに、未水添大豆レシチン4gおよびグリセリン2gを加えて分散させ、さらにリノール酸1gおよびビタミンE0.1gを添加し、ポリトロンを用い20000rpmで10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した。この脂質含有粗分散液には不溶物が存在した。この脂質含有粗分散液をDeBEE2000にて、圧力20000psiで5回微粒子化処理を施した。得られた分散液には、沈殿物および浮遊物が認められたことから、リポソーム分散液が完全にはできていないものと判断された。
【0048】
(比較例2)
精製水94gに、未水添大豆レシチン4g、リゾレシチン0.6g、およびグリセリン2gを加えて分散させ、さらにリノール酸1gおよびビタミンE0.1gを添加し、ポリトロンを用い20000rpmで10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した。この脂質含有粗分散液に、DeBEE2000にて、圧力20000psiで5回微粒子化処理を施し、200nm以下の粒子径を有するリノール酸含有リポソーム分散液を得た。しかし、このリポソーム溶液を室温で2週間放置すると、粒径が1200nmとなり、リポソームが凝集していた。
【0049】
(比較例3)
精製水94gに、未水添大豆レシチン4gおよびグリセリン2gを加えて分散させ、さらにオレイン酸1gおよびビタミンE0.1gを添加し、ポリトロンを用い20000rpmで10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した。この脂質含有粗分散液には不溶物が存在した。この脂質含有粗分散液に、マイクロフルイダイザーにて、圧力750kg/cmで乳化処理を施した。得られた分散液には、沈殿物および浮遊物が認められたことから、リポソーム分散液が完全にはできていないものと判断された。
【0050】
(比較例4)
精製水94gに、未水添大豆レシチン4gおよびグリセリン2gを加えて分散させ、さらにエイコサペンタエン酸1gおよびビタミンE0.1gを添加し、ポリトロンを用い20000rpmで10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した。この脂質含有粗分散液には不溶物が存在した。この脂質含有粗分散液に、真空乳化機にて、攪拌速度8000rpm、温度60℃、高真空下(1mmHg)1時間、攪拌処理を施し、1500nmの粒子径を有する脂質含有分散液が得られた。リポソーム分散液が完全にはできていないものと判断された。
【0051】
(比較例5)
精製水94gに、グリセリン2g、未水添大豆レシチン4g、リゾレシチン0.1g、リノール酸1g、およびビタミンE0.1gを添加し、ポリトロンを用い20000rpmで10分間攪拌し、脂質含有粗分散液を調製した。この脂質含有粗分散液には不溶物が存在した。この脂質含有粗分散液をDeBEE2000にて、圧力20000psiで5回微粒子化処理を施した。得られた分散液には、沈殿物および浮遊物が認められたことから、リポソーム分散液が完全にはできていないものと判断された。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、脂肪酸を含有させたリポソーム分散液を容易な方法で得ることができる。本発明のリポソーム分散液は、溶剤が含まれないため、医薬品分野、化粧品分野での利用に適している。
Claims (2)
- (a)水100重量部、グリセリン0.2〜16重量部、リン脂質、およびリゾリン脂質を混合して分散させる工程、(b)次いで炭素数8〜22の脂肪酸を分散させて粗分散液を得る工程、および(c)該得られた粗分散液にリポソーム化処理を施す工程、によって得られる脂肪酸含有リポソーム分散液であって、
該リン脂質、該リゾリン脂質、および該炭素数8〜22の脂肪酸からなる混合脂質の合計量が1〜35重量部であり、
該混合脂質中の該リン脂質と該リゾリン脂質との重量比が8:1〜200:1であり、そして
該混合脂質中の該炭素数8〜22の脂肪酸が10〜35重量%の範囲である、
脂肪酸含有リポソーム分散液。 - (a)水100重量部、グリセリン0.2〜16重量部、リン脂質、およびリゾリン脂質を混合して分散させる工程、(b)次いで炭素数8〜22の脂肪酸を分散させて粗分散液を得る工程、および(c)該得られた粗分散液にリポソーム化処理を施す工程、を含む、脂肪酸含有リポソーム分散液の製造方法であって、
該リン脂質、該リゾリン脂質、および該炭素数8〜22の脂肪酸からなる混合脂質の合計量が1〜35重量部であり、
該混合脂質中の該リン脂質と該リゾリン脂質との重量比が8:1〜200:1であり、そして
該混合脂質中の該炭素数8〜22の脂肪酸が10〜35重量%の範囲である、
方法。
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