以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、原則として実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施形態の半導体集積回路装置の製造方法を図1〜図22を用いて工程順に説明する。
まず、図1に示すように、p型の単結晶シリコンからなる半導体基板1を準備する。この半導体基板1は、低耐圧nチャネル型MISFETQn1が形成される領域LN、低耐圧pチャネル型MISFETQp1が形成される領域LP、高耐圧nチャネル型MISFETQn2が形成される領域HN、高耐圧pチャネル型MISFETQp2が形成される領域HPおよび容量素子Cが形成される領域CAを有する。
この半導体基板1の表面に酸化処理を施すことにより酸化シリコン膜2を形成する。続いて、酸化シリコン膜の上部に選択的に窒化シリコン膜3を形成した後、図2に示すように、この窒化シリコン膜3をマスクに熱酸化処理を施すことにより300nm程度の膜厚のフィールド酸化膜4(第1絶縁膜)を形成する。このフィールド酸化膜4によって、前述のMISFETの形成領域LN、LP、HN、HP間が分離される。ここで、高耐圧MISFETQn2、Qp2形成領域(HN、HP)においては、追って説明するゲート電極FGの両端下部にもフィールド酸化膜4aを形成する。このフィールド酸化膜4aは、高耐圧MISFETQn2、Qp2の耐圧を向上させるために形成される。続いて、半導体基板1上の窒化シリコン膜3を熱リン酸を用いたウエットエッチングにより除去する。
次に、図3に示すように、高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HNおよび容量素子形成領域CA上にレジスト膜R1を形成する。次いで、このレジスト膜R1をマスクに、リンをイオン打ち込みする。この際のイオンの打ち込みエネルギーは、低耐圧nチャネル型MISFET形成領域LN、低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LPおよび高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPのフィールド酸化膜4、4a下にも、リンが打ち込まれるよう設定する。次いで、レジスト膜R1を除去する(図4)。
次いで、図4に示すように、低耐圧nチャネル型MISFET形成領域LN、低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LPおよび高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HP上にレジスト膜R2を形成する。次いで、このレジスト膜R1をマスクに、ボロンをイオン打ち込みする。この際のイオンの打ち込みエネルギーは、高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HNおよび容量素子形成領域CAのフィールド酸化膜4、4a下にも、ボロンが打ち込まれるよう設定する。
次いで、レジスト膜R2を除去した後、1200℃の熱処理を施すことによりn型アイソレーション領域6(n型ウエル6)およびp型ウエル7を形成する(図5)。なお、本実施の形態においては、容量素子形成領域CAのフィールド酸化膜4、4a下に、p型ウエル7を形成したが、n型ウエル6を形成してもよい。
次いで、図5に示すように高耐圧pチャネル型MISFETQp2のソース、ドレイン領域近傍以外の領域上にレジスト膜R3を形成する。次いで、このレジスト膜R3をマスクに、ボロンをイオン打ち込みする。この際のイオンの打ち込みエネルギーは、高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPのフィールド酸化膜4、4a下にも、ボロンが打ち込まれるよう設定する。
次いで、レジスト膜R3を除去し、図6に示すように高耐圧nチャネル型MISFETQn2のソース、ドレイン領域近傍以外の領域上にレジスト膜R4を形成する。次いで、このレジスト膜R4をマスクに、リンをイオン打ち込みする。この際のイオンの打ち込みエネルギーは、高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HNのフィールド酸化膜4、4a下にも、リンが打ち込まれるよう設定する。
次いで、レジスト膜R4を除去し、熱処理を施すことにより、高耐圧pチャネル型MISFETQp2のソース、ドレイン領域近傍に、p型電界緩和層8を、高耐圧nチャネル型MISFETQn2のソース、ドレイン領域近傍に、n型電界緩和層9を形成する。
次いで、図7に示すように低耐圧pチャネル型MISFETQp1形成領域LP以外の領域上にレジスト膜R5を形成する。次いで、このレジスト膜R5をマスクに、リンをイオン打ち込みし、熱処理を施すことによりn型ウエル9bを形成する。このイオン打ち込みの際、高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPのフィールド酸化膜4下にも、リンをイオン打ち込みすることにより、n型ウエル9cを形成してもよい(図8)。このn型ウエル9cは、フィールド酸化膜4上形成される寄生MOS(Metal Oxide Semiconductor)の閾値電位Vtを上げるために形成する。特に、n型アイソレーション領域6およびp型ウエル7は、その主表面に形成される高耐圧MISFETQn2、Qp2の耐圧を確保するため、その不純物濃度が半導体基板1の表面に近づくに従って低くなるよう設定されている。その結果、寄生MOSの閾値電位Vtが低下する傾向にある。ここで、寄生MOSとは、フィールド酸化膜4上に層間絶縁膜SZを介して第1層配線が形成された場合(図22(b)参照)、フィールド酸化膜4および層間絶縁膜SZをゲート絶縁膜、第1層配線をゲート電極とした不所望なMOSをいう。このMOSの閾値電位Vtが低いと、フィールド酸化膜4下に電流が流れやすくなる。
次いで、図8に示すように低耐圧nチャネル型MISFETQn1形成領域LN以外の領域上にレジスト膜R6を形成する。次いで、このレジスト膜R6をマスクに、ボロンをイオン打ち込みし、熱処理を施すことによりp型ウエル8bを形成する(図9)。このイオン打ち込みの際、高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HNのフィールド酸化膜4下にも、ボロンをイオン打ち込みすることにより、p型ウエル8cを形成してもよい。このp型ウエル8cも、n型ウエル9cと同様に、フィールド酸化膜4上形成される寄生MOSの閾値電位Vtを上げるために形成する。
次いで、図9に示すように、半導体基板1上に、不純物をイオン打ち込みする。この不純物は、高耐圧MISFETQn2、Qp2の閾値電位Vtを調整するために行う。図9においては、半導体基板1の全面にイオン打ち込みを行ったが、高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HN、高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPに、それぞれ所望の不純物をイオン打ち込みすることによって、高耐圧MISFETQn2、Qp2の閾値電位Vtを調整してもよい。
次に、半導体基板1表面の薄い酸化シリコン膜2を除去した後、熱酸化によりゲート絶縁膜5の一部となる酸化シリコン膜5a(第2絶縁膜)を形成する。次いで、半導体基板1上に、酸化シリコン膜5b(第3絶縁膜)を減圧化学気相成長法(LPCVD:Low Presser Chemical Vapor Deposition)により堆積する。この酸化シリコン膜5bの膜厚は、酸化シリコン膜5aの膜厚より大きく設定する。
次いで、図11(a)に示すように、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極形成予定領域および高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HN、高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPおよび容量素子形成領域CAのフィールド酸化膜4上に、酸化シリコン膜5bが残存するよう、酸化シリコン膜5bをパターニングする。ここで、低耐圧nチャネル型MISFET形成領域LN、低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LP上のフィールド酸化膜4(高耐圧部と低耐圧部の境界、図中では、pチャネル型MISFET形成領域LPとの境界上のフィールド酸化膜4を除く高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HNと低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LPとの境界上のフィールド酸化膜4を除く)上には、酸化シリコン膜5bは、残存させない。また、容量素子形成領域CAのフィールド酸化膜4上に、酸化シリコン膜5bを残存させるのは、基板(p型ウエル7)との寄生容量を低減するためである。
図11に示すように、これらの領域(LN、LP)上のフィールド酸化膜4は、低耐圧部に形成される素子(MISFETQn1、Qn2等)の高集積化のため、1μm以下の幅で形成される。従って、低耐圧部に形成されるような幅の狭いフィールド酸化膜4上に、酸化シリコン膜5bが残存するようパターニングすることは困難であり、マスクずれが生じやすい。このマスクずれが生じた場合には、酸化シリコン膜5bが、MISFETQn1、Qn2のソース、ドレイン形成予定領域やゲート電極形成予定領域上に延在する恐れがある。その結果、MISFETQn1、Qn2のソース、ドレイン領域やゲート電極の幅が狭くなるといった問題が生じる。このような問題を回避するため、低耐圧部のフィールド酸化膜4上の酸化シリコン膜5bを除去する。
また、図11(b)に示すように、n型アイソレーション領域6およびp型ウエル7に、電源電位もしくは接地電位(固定電位)を供給するための半導体領域9dもしくは8d上の半導体領域(第4半導体領域)上の酸化シリコン膜5bも除去する(請求項記載の開口部)。この半導体領域9dもしくは8dは、自身が形成されるn型アイソレーション領域6もしくはp型ウエル7と同じ導電型である。この半導体領域9dもしくは8dは、n型アイソレーション領域6およびp型ウエル7の内部に、少なくとも1箇所形成されており、それぞれに電源電位と接地電位が印加される。
また、MISFETQn1、Qp1、Qp2、Qn2のソース、ドレイン領域上の酸化シリコン膜5bが、除去されているので、これらの領域のうち同じ導電型の領域を、同時にイオン打ち込みすることが可能となり、マスク数の低減を図ることができ、また、工程の短縮を図ることができる。
次いで、900℃、望ましくは1000℃以上の熱処理を施すことにより、酸化シリコン膜5bの膜質を改善する。熱処理後の酸化シリコン膜を5cとする(図12)。高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極形成予定領域上の酸化シリコン膜5cは、ゲート絶縁膜5の一部となる。即ち、この酸化シリコン膜5cと酸化シリコン膜5aとで、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート絶縁膜を構成する。このように、酸化シリコン膜5bに、高温熱処理を施すことにより、酸化シリコン膜5bの膜質を、熱酸化膜と同等の膜質とすることができる。酸化シリコン膜5bに熱処理を施さず、ゲート絶縁膜として使用した場合は、酸化シリコン膜5b中にトラップ準位が多く含まれてしまうため、閾値電位Vtの調整が困難となる。
また、高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HN、高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPおよび容量素子形成領域CAのフィールド酸化膜4上の酸化シリコン膜5cにより、これらの領域上に形成される寄生MOSの閾値電位Vtを大きくすることができる。
また、酸化シリコン膜5bは、LPCVDにより形成されるため、熱酸化膜であるフィールド酸化膜4、4aとのエッチング比を大きくとれるため、フィールド酸化膜4、4aの表面をほとんどエッチングすることなく、酸化シリコン膜5bをエッチングすることができる。その結果、フィールド酸化膜4の膜厚を確保することができ、この上部に形成される寄生MOSの閾値電位Vtを大きく保つことができる。
次いで、図13に示すように、半導体基板1上に、CVD法により、多結晶シリコン膜(ポリシリコン)10を堆積する。リンを含む雰囲気で、多結晶シリコンを反応させ、多結晶シリコン膜10中にリンの不純物を含ませてもよい。また、多結晶シリコン膜10形成後、リンをドープしてもよい。
次に、図14(a)に示すように、多結晶シリコン膜10を、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート絶縁膜5(5a、5c)上に残存するようパターニングする。この多結晶シリコン膜は、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極FG(第1導電膜)となる。この際、容量素子形成領域CA(第3領域)の酸化シリコン膜5c上にも多結晶シリコン膜10を残存させる。この多結晶シリコン膜10は、容量素子Cの下部電極LEとなる。なお、ここでは、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極を多結晶シリコン膜10(FG)により形成したが、追って詳細に説明するように、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極を後述する多結晶シリコン膜11(SG)により形成してもよい。図14(b)および図16(b)は、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極を多結晶シリコン膜11で形成する場合の説明図である。
次いで、図15に示すように、半導体基板1上に、不純物をイオン打ち込みする。この不純物は、低耐圧MISFETQn1、Qp1の閾値電位Vtを調整するために行う。なお、低耐圧nチャネル型MISFET形成領域LNおよび低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LPに、それぞれ所望の不純物をイオン打ち込みすることによって、低耐圧MISFETQn1、Qp1の閾値電位Vtを調整してもよい。
次に、図16(a)に示すように、低耐圧nチャネル型MISFET形成領域LNおよび低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LP上の薄い酸化シリコン膜5aを除去した後、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート絶縁膜5d(第4絶縁膜)となる酸化シリコン膜を、熱酸化により形成する。この際、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極FGもわずかに酸化される。また、下部電極LEの表面もわずかに酸化され、酸化シリコン膜(図示せず)が形成される。この酸化シリコン膜は、容量素子Cの容量絶縁膜となる。なお、容量素子Cの信頼性を高めるため、下部電極LEとなる多結晶シリコン膜10の堆積後に、この多結晶シリコン膜10上に、窒化シリコン膜をあらかじめ形成しておき、容量絶縁膜としてもよい。
このように前述の工程においては、酸化シリコン膜2や酸化シリコン膜5aの除去等、半導体基板表面の薄い酸化膜の除去が繰り返し行われるが、この酸化膜の除去の際、フィールド酸化膜4の表面もエッチングされ膜厚が減少する。しかしながら、本実施の形態によれば、フィールド酸化膜4上の酸化シリコン膜5cによりその膜厚を補償することができるので、この上部に形成される寄生MOSの閾値電位Vtを高く維持でき、素子間をつなぐ配線によるフィールド酸化膜下の寄生発生を抑えることができる。もちろんその寄生MOSの閾値電位Vtは、素子に印加される電圧よりも高い必要がある。ここで、低耐圧部のMISFETQn1、Qp1に印加される電圧は、例えば、3.6V程度であり、また、高耐圧部のMISFETQn2、Qp2に印加される電圧は、例えば、20V程度である。なお、酸化シリコン膜2、5dより、酸化シリコン膜5cの膜厚を大きくしておけば、より効果的である。
次いで、半導体基板1上に、CVD法により、多結晶シリコン膜11を堆積する。次に、多結晶シリコン膜11を、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート絶縁膜5d上に残存するようパターニングする。この多結晶シリコン膜11は、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート電極SG(第2導電膜)となる。この際、容量素子形成領域CAの下部電極LE上の容量絶縁膜(図示せず)上にも多結晶シリコン膜11を残存させる。この多結晶シリコン膜11は、容量素子Cの上部電極UEとなる。なお、多結晶シリコン膜11の表面にタングステンシリサイド層を形成した後、パターニングすることによってゲート電極SGを形成してもよい。このタングステンシリサイド層は、多結晶シリコン膜11上に、タングステン膜等の金属膜を堆積し、熱処理を施すことにより形成する。このシリサイド層は、ゲート電極SGの低抵抗化のために形成する。
次いで、低耐圧MISFETQn1、Qp1および高耐圧MISFETQn2、Qp2のソース、ドレイン領域を形成するが、以下これらのソース、ドレイン領域の形成について説明する。
図17に示すように、半導体基板1上にレジスト膜R7を形成し、低耐圧nチャネル型MISFET形成領域LN上を開孔する。次いで、レジスト膜R7および低耐圧MISFETQn1のゲート電極SGをマスクに、リンをイオン注入する。
次いで、レジスト膜R7を除去した後、図18に示すように、半導体基板1上にレジスト膜R8を形成し、低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LP上を開孔する。次いで、レジスト膜R8および低耐圧MISFETQp1のゲート電極SGをマスクに、ボロンをイオン注入する。
次いで、レジスト膜R8を除去した後、低耐圧MISFETQn1およびQn2のゲート電極SGの両側に、それぞれ注入されたリンおよびボロンを熱拡散させることによって、p−型半導体領域14およびn−型半導体領域13を形成する(図19)。
次いで、図19に示すように、半導体基板1上に酸化シリコン膜を堆積した後、エッチバックすることにより、低耐圧MISFETQn1およびQn2のゲート電極SGの側壁にサイドウォール膜16sを形成する。
次いで、図20に示すように、低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LP、高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPおよび高耐圧nチャネル型MISFETQn2のゲート電極FG上にレジスト膜R9を形成する。次いで、レジスト膜R9をマスクに、ヒ素(As)をイオン注入し、アニールし、活性化することによって、低耐圧nチャネル型MISFETQn1および高耐圧nチャネル型MISFETQn2のゲート電極(SG、FG)の両側に、n+型半導体領域17(ソース、ドレイン領域)を形成する(図21)。
次いで、図21に示すように、低耐圧nチャネル型MISFET形成領域LN、高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HNおよび高耐圧pチャネル型MISFETQp2のゲート電極FG上にレジスト膜R10を形成する。次いで、レジスト膜R10をマスクに、ボロンをイオン注入し、アニールし、活性化することによって、低耐圧pチャネル型MISFETQp1および高耐圧pチャネル型MISFETQp2のゲート電極(SG、FG)の両側に、p+型半導体領域18(ソース、ドレイン領域)を形成する(図22(a))。なお、この際ボロンは、フィールド酸化膜4、4aおよび酸化シリコン膜5c下には、注入されない。
ここで、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極FG上に、レジスト膜R7、R8を残存させるのは、イオン注入により、ゲート電極FGが帯電し、ゲート酸化膜の絶縁破壊が生じることを防ぐためである。
ここまでの工程で、低耐圧部(LN、LP(第1領域))に、LDD(Lightly Doped Drain)構造のソース、ドレイン(n−型半導体領域13およびn+型半導体領域17、p−型半導体領域14およびp+型半導体領域18)を備えた低耐圧MISFETQn1、Qp1(第1MISFET)が形成される。また、高耐圧部(HN、HP(第2領域))に、高耐圧MISFETQn2、Qp2(第2MISFET)が形成される。
次いで、これらのMISFETQn1、Qn2、Qp1、Qp2および容量素子C上に、酸化シリコン膜等からなる層間絶縁膜SZを堆積し、所望の領域上にコンタクトホール(図示せず)を形成した後、コンタクトホール内を含む層間絶縁膜上に第1層配線M1を形成する(図22(b)参照)。また、第1層配線M1上には、さらに、層間絶縁膜と配線用のメタルの形成を繰り返すことによって多層配線を形成することが可能である。また、最上層配線上には、チップ全体を覆う保護膜が形成されるが、その図および詳細な説明は省略する。
なお、本実施の形態においては、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート電極SGを多結晶シリコン膜11により形成し、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極FGを多結晶シリコン膜10により形成したが、これらのゲート電極を多結晶シリコン膜11により形成することも可能である。
即ち、図14(b)に示すように、本実施の形態の多結晶シリコン膜10の堆積(図13参照)後、容量素子形成領域CAの酸化シリコン膜5c上にのみ多結晶シリコン膜10を残存させ、下部電極LEを形成する。
次いで、半導体基板1上に、低耐圧MISFETQn1、Qp1の閾値電位Vtを調整するために、不純物をイオン打ち込みする(図15参照)。次いで、図16(b)に示すように、低耐圧nチャネル型MISFET形成領域LNおよび低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LP上の薄い酸化シリコン膜5aを除去し、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート絶縁膜5dとなる酸化シリコン膜を、熱酸化により形成する。
次いで、半導体基板1上に、CVD法により、多結晶シリコン膜11を堆積すし、多結晶シリコン膜11を、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート絶縁膜5(5a、5c)および低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート絶縁膜5d上に残存するようパターニングする。
以上の工程によれば、低耐圧MISFETQn1、Qp1および高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極を多結晶シリコン膜11(SG)により、同時に形成することができる。なお、低耐圧MISFETQn1、Qp1および高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極を多結晶シリコン膜10(FG)で形成することも可能であるが、以降の多結晶シリコン膜11の堆積およびパターニング工程において、前記ゲート電極の側壁に多結晶シリコン膜11が残存し、MISFETの特性に影響を与えてしまう。従って、多結晶シリコン膜11で、これらのゲート電極を形成することが望ましい。
(実施の形態2)
実施の形態1においては、MISFETの形成領域LN、LP、HN、HP間の分離にフィールド酸化膜4を用いたが、溝内に埋め込まれた酸化膜を用いて分離を行ってもよい。
本実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法を図23〜図33を用いて工程順に説明する。
まず、図23に示すように、p型の単結晶シリコンからなる半導体基板1を準備する。この半導体基板1は、低耐圧nチャネル型MISFETQn1が形成される領域LN、低耐圧pチャネル型MISFETQp1が形成される領域LP、高耐圧nチャネル型MISFETQn2が形成される領域HNおよび高耐圧pチャネル型MISFETQp2が形成される領域HPを有する。
この半導体基板1の表面に酸化処理を施すことにより酸化シリコン膜2を形成する。続いて、酸化シリコン膜の上部に選択的に窒化シリコン膜3を形成した後、図24に示すように、この窒化シリコン膜3をマスクに、半導体基板1をエッチングして深さ300nm程度の溝Uを形成する。ここで、高耐圧MISFETQn2、Qp2形成領域(HN、HP)においては、後述するゲート電極の両端下部にも溝を形成する。
次いで、基板1を約1000℃で熱酸化することによって、溝の内壁に膜厚10nm程度の薄い酸化シリコン膜(図示せず)を形成する。この酸化シリコン膜は、溝の内壁に生じたドライエッチングのダメージを回復すると共に、次の工程で溝の内部に埋め込まれる酸化シリコン膜104と基板1との界面に生じるストレスを緩和するために形成する。
次に、図25に示すように、溝の内部を含む基板1上にCVD法により酸化シリコン膜104を堆積し、溝の上部の酸化シリコン膜104を、窒化シリコン膜3をストッパー膜として、化学的および機械的に研磨してその表面を平坦化する。次いで、窒化シリコン膜3を除去することにより、素子分離104および高耐圧MISFETQn2、Qp2の耐圧を向上させるための酸化シリコン膜104aが完成する(図26(a))。
ここで、図26(b)に示すように、酸化シリコン膜104、104aの表面は、前述の研磨時、以降の不純物の注入工程等における半導体基板表面の洗浄もしくは酸化シリコン膜5a形成前の薄い酸化シリコン膜2の除去等により、溝の端部において酸化シリコン膜104、104aの表面が後退するという現象(リセス現象)が発生する。このリセス現象が、発生すると追って詳細に説明するように、MISFETの耐圧の劣化や、キンク現象の発生など、種々の問題が生じ得る。なお、以降の図面においては、図面を分かりやすくするため、酸化シリコン膜104、104aの表面の後退については、図示しない。
また、以降の工程のうち、実施の形態1の場合と同様の工程は、重複説明を避け、概要のみを説明する。
まず、図27に示すように、高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HNの酸化シリコン膜104、104a下に、ボロンをイオン打ち込みし、p型ウエル6を形成する。
また、高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPの酸化シリコン膜104、104a下に、リンをイオン打ち込みし、n型ウエル7を形成する。
この際のイオン(リン、ボロン)の打ち込みエネルギーは、高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HNおよび高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPの酸化シリコン膜104、104a下にも、イオンが打ち込まれるよう設定する。
次いで、図28に示すように、高耐圧pチャネル型MISFETQp2のソース、ドレイン領域近傍に、ボロンをイオン打ち込みすることにより、p型電界緩和層8を形成する。また、高耐圧nチャネル型MISFETQn2のソース、ドレイン領域近傍に、リンをイオン打ち込みすることにより、n型電界緩和層9を形成する。この際のイオン(リン、ボロン)の打ち込みエネルギーは、酸化シリコン膜104、104a下にも、イオンが打ち込まれるよう設定する。
次に、図29に示すように、半導体基板1表面の薄い酸化シリコン膜2を除去した後、熱酸化によりゲート絶縁膜5の一部となる酸化シリコン膜5aを形成する。次いで、半導体基板1上に、酸化シリコン膜5bを減圧化学気相成長法により堆積する。次いで、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極形成予定領域および高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HNおよび高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPの酸化シリコン膜104上に、酸化シリコン膜5bが残存するよう、酸化シリコン膜5bをパターニングする。ここで、低耐圧nチャネル型MISFET形成領域LN、低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LP上の酸化シリコン膜104(高耐圧部と低耐圧部の境界、図中では、高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HNと低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LPとの境界上のフィールド酸化膜4を除く)上には、酸化シリコン膜5bは、残存させない。これは、実施の形態1において説明した通り、これらの領域上の酸化シリコン膜104の幅が狭いことから、マスクずれによるMISFETQn1、Qn2のソース、ドレイン領域もしくはゲート電極の幅の縮小化を防止するためである。
次いで、900℃以上の熱処理を施すことにより、酸化シリコン膜5bの膜質を改善する。熱処理後の酸化シリコン膜を5cとする。高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極形成予定領域上の酸化シリコン膜5cは、ゲート絶縁膜5の一部となる。即ち、この酸化シリコン膜5cと酸化シリコン膜5aとで、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート絶縁膜5を構成する。
また、高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HNおよび高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPの酸化シリコン膜104上の酸化シリコン膜5cにより、これらの領域上に形成される寄生MOSの閾値電位Vtを大きくすることができる。
また、酸化シリコン膜5bは、LPCVDにより形成されるため、酸化シリコン膜104、104aとのエッチング比を大きくとれるため、酸化シリコン膜104、104aの表面をほとんどエッチングすることなく、酸化シリコン膜5bをエッチングすることができる。その結果、酸化シリコン膜104の膜厚を確保することができ、この上部に形成される寄生MOSの閾値電位Vtを大きくすることができる。また、前述したリセス現象による酸化シリコン膜104、104aの表面の後退量を低減することができる。
次いで、図30に示すように、半導体基板1上に、CVD法により、多結晶シリコン膜10を堆積する。この多結晶シリコン膜10中には、リン等の不純物を含ませてもよい。次に、多結晶シリコン膜10を、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート絶縁膜5(5a、5c)上に残存するようパターニングする。この多結晶シリコン膜10は、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極FGとなる。
次いで、図31に示すように、低耐圧nチャネル型MISFET形成領域LNに、ボロンをイオン打ち込みすることによりp型ウエル8bを形成する。このイオン打ち込みの際、高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HNの酸化シリコン膜104下にも、ボロンをイオン打ち込みすることにより、p型ウエル8cを形成してもよい。また、低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LPに、リンをイオン打ち込みすることによりn型ウエル9bを形成する。このイオン打ち込みの際、高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPの酸化シリコン膜104下にも、ボロンをイオン打ち込みすることにより、n型ウエル9cを形成してもよい。このp型ウエル8cおよびn型ウエル9cは、酸化シリコン膜104上形成される寄生MOSの閾値電位Vtを上げるために形成する。
次に、図32に示すように、低耐圧nチャネル型MISFET形成領域LNおよび低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LP上の薄い酸化シリコン膜5aを除去した後、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート絶縁膜5dを、熱酸化により形成する。
次いで、半導体基板1上に、CVD法により、多結晶シリコン膜11を堆積する。次に、多結晶シリコン膜11を、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート絶縁膜5d上に残存するようパターニングする。この多結晶シリコン膜11は、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート電極SGとなる。なお、多結晶シリコン膜11の表面にタングステンシリサイド層を形成した後、パターニングすることによってゲート電極SGを形成してもよい。このシリサイド層は、ゲート電極SGの低抵抗化のために形成する。
次いで、図33(a)に示すように、低耐圧MISFETQn1のゲート電極SGの両側に、リンをイオン注入することにより、n−型半導体領域13を形成する。また、低耐圧MISFETQn2のゲート電極SGの両側に、ボロンをイオン注入することにより、p−型半導体領域14を形成する。
次いで、ゲート電極FGおよびSG上に酸化シリコン膜15を形成した後、半導体基板1上に酸化シリコン膜を堆積し、エッチバックすることにより、ゲート電極FG、SGと酸化シリコン膜15との積層膜の側壁にサイドウォール膜16sを形成する。
次いで、低耐圧nチャネル型MISFETQn1および高耐圧nチャネル型MISFETQn2のゲート電極(SG、FG)の両側に、ヒ素をイオン注入することによって、n+型半導体領域17を形成する。また、ボロンをイオン注入することによって、低耐圧pチャネル型MISFETQp1および高耐圧pチャネル型MISFETQp2のゲート電極(SG、FG)の両側に、p+型半導体領域18を形成する。なお、この際ヒ素およびボロンは、酸化シリコン膜104、104aおよび酸化シリコン膜5c下には、注入されない。
ここまでの工程で、低耐圧部(LN、LP)に、LDD(Lightly Doped Drain)構造のソース、ドレイン(n−型半導体領域13およびn+型半導体領域17、p−型半導体領域14およびp+型半導体領域18)を備えた低耐圧MISFETQn1、Qp1が形成される。また、高耐圧部(HN、HP)に、高耐圧MISFETQn2、Qp2が形成される。
このように、本実施の形態によれば、酸化シリコン膜104の膜厚を確保することができるので、リセスの発生を低減することができる。その結果、リセスによる耐圧の低下やキンク現象の発生を低減することができる。ここで、耐圧の低下は、リセスの発生により発生した酸化シリコン膜104の表面の段差部に、電界が集中することにより起こる。また。キンク現象とは、MISFETのサブスレッショルド特性(ゲート電圧(横軸)対ドレイン電流(縦軸)の関係による特性)において、ゲート電圧が小さい領域でドレイン電流が大きくなり、2段波形を示す現象をいう。
図33(b)は、図33(a)の拡大図であり、図26(b)を参照しながら説明したリセスも図示している。
次いで、これらのMISFETQn1、Qn2、Qp1、Qp2上に層間絶縁膜と配線用のメタルの形成を繰り返すことによって多層の配線が形成され、また、最上層配線上には、チップ全体を覆う保護膜が形成されるが、その図および詳細な説明は省略する。
(実施の形態3)
本実施形態の半導体集積回路装置の製造方法を図34〜図39を用いて工程順に説明する。
まず、図34に示すように、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート絶縁膜5(5a、5c)上にゲート電極FGが形成された半導体基板1を準備する。この半導体基板1の製造工程は、図1〜図14を参照しながら説明した実施の形態1の工程と同様であるため、その説明を省略する。なお、図34に示す半導体基板は、酸化シリコン膜104、104a上に、酸化シリコン膜5cを有しているため、実施の形態1の場合と同様に、酸化シリコン膜104の膜厚を確保することができ、この上部に形成される寄生MOSの閾値電位Vtを大きくすることができる。
次に、図35に示すように、低耐圧nチャネル型MISFET形成領域LNおよび低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LP上の薄い酸化シリコン膜5aを除去した後、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート絶縁膜5dを、熱酸化により形成する。この際、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極FGもわずかに酸化(5e)される。また、下部電極LEの表面もわずかに酸化され、酸化シリコン膜(5f)が形成される(図35)。この酸化シリコン膜5fは、容量素子Cの容量絶縁膜となる。容量素子Cの信頼性を高めるため、下部電極LEとなる多結晶シリコン膜10の堆積後に、この多結晶シリコン膜10上に、窒化シリコン膜をあらかじめ形成しておき、容量絶縁膜としてもよい。
次いで、窒素雰囲気下で熱処理を行うことにより、ゲート絶縁膜5dを窒化する。このように、ゲート絶縁膜5dの界面に窒素を導入することにより、ドレイン端で発生するホットキャリアによる閾値電位Vtの変動を抑えることができる。
次いで、図36に示すように、半導体基板1上に、CVD法により、多結晶シリコン膜111を堆積する。この多結晶シリコン膜111は、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート電極SGの一部となる。
ここで、この窒化処理を後述する閾値電位Vtの調整のための不純物注入工程の後に行うと、この窒化処理で不純物が拡散し、閾値電位Vtの調整が困難となる。一方、窒化処理後に、前記不純物注入工程を行う場合であっても、この不純物注入工程後に、前記多結晶シリコン膜111を形成する場合には、ゲート絶縁膜5dが露出した状態で、不純物が注入されることとなり、イオン打ち込み装置内に存在する重金属により、ゲート絶縁膜5dが汚染されるという問題が生じる。
従って、以下に説明するように、ゲート絶縁膜5d上に多結晶シリコン膜111を形成した状態で、多結晶シリコン膜111を介して、半導体基板1上に、不純物をイオン打ち込みする。
まず、図36に示すように、低耐圧MISFETQn1の閾値電位Vtを調整するために、半導体基板1上に、不純物をイオン打ち込みする。次いで、図37に示すように、低耐圧pチャネル型MISFET形成領域LP上に、不純物をイオン打ち込みする。この不純物は、低耐圧MISFETQp1の閾値電位Vtを調整するために行う。この際、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極FG上には、酸化シリコン膜5eおよび多結晶シリコン膜111が形成されているため、前記不純物は、これらの膜中に留まり、ゲート絶縁膜5(5a、5c)中に不純物が注入されるのを防止することができる。
ゲート絶縁膜5中に不純物が注入された場合には、いわゆるNBT(negative bias temperature)の問題が顕著になる。これは、pチャネル型MISFETのゲート電極に、負電位を印加するだけで、その閾値電位Vtが大きくなる現象をいい、特に、ゲート電極がp型の場合に、顕著に現れる。この現象には、ゲート絶縁膜中のボロンの存在が深く関係していると考えられており、ゲート絶縁膜中に不純物が含まれている場合に発生しやすくなると思われる。
しかしながら、本実施の形態においては、ゲート絶縁膜5中に不純物が注入されるのを防止することができ、NBT現象の発生を低減することができる。
次いで、多結晶シリコン膜111上に多結晶シリコン膜111bを堆積する。この多結晶シリコン膜111と111bは、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート電極SGとなる。従って、多結晶シリコン膜111、111bを、ゲート絶縁膜5d上に残存するようパターニングする(図38)。この際、容量素子形成領域CAの下部電極LE上の酸化シリコン膜5f上にも多結晶シリコン膜111および111bを残存させる。この多結晶シリコン膜111、111bは、容量素子Cの上部電極UEとなる。なお、多結晶シリコン膜111bの表面にタングステンシリサイド層を形成した後、パターニングすることによってゲート電極SGを形成してもよい。このタングステンシリサイド層は、多結晶シリコン膜111b上に、タングステン膜等の金属膜を堆積し、熱処理を施すことにより形成する。このシリサイド層は、ゲート電極SGの低抵抗化のために形成する。
なお、前述の多結晶シリコン膜10のパターニングの際、低耐圧部(LN、LP)上の多結晶シリコン膜10のみを除去し、高耐圧部(HN、HP)上の多結晶シリコン膜10のパターニングをゲート電極SG形成後に行ってもよい。
このように、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート電極SGを、多結晶シリコン膜111と多結晶シリコン膜111bとの積層膜としたのは、低耐圧MISFETQn1、Qp1の閾値電位調整用の不純物を精度良くイオン打ち込みするためである。即ち、このイオン打ち込みの前に膜厚の大きい多結晶シリコン膜111を介してイオン打ち込みする場合には、不純物の制御が困難であり、所望の閾値電位Vtが得られない。
また、前述した通り、ゲート電極SG上に、シリサイド層を形成する場合、ゲート電極を構成する多結晶シリコン膜111が薄いと、その下層のゲート絶縁膜中のシリコンまでもがシリサイド化反応を起こし、ゲート絶縁膜5dの耐圧が低下する。
しかしながら、本実施の形態においては、低耐圧MISFETQn1、Qp1のゲート電極SGを、多結晶シリコン膜111と多結晶シリコン膜111bとの積層膜としたので、閾値電位調整用の不純物を精度良くイオン打ち込みでき、また、ゲート絶縁膜5dの耐圧が確保することができる。
次いで、低耐圧MISFETQn1、Qp1および高耐圧MISFETQn2、Qp2のソース、ドレイン領域を形成するが、以降の工程は、図17〜図22を参照しながら説明した実施の形態1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
なお、本実施の形態においては、図34に示すように、高耐圧MISFETQn2、Qp2のゲート電極形成予定領域および高耐圧nチャネル型MISFET形成領域HN、高耐圧pチャネル型MISFET形成領域HPおよび容量素子形成領域CAのフィールド酸化膜4上に、酸化シリコン膜5cが形成された半導体基板1を用いたが、この酸化シリコン膜5cの形成工程を省略しても、ゲート酸化膜5a中に、ボロンが注入されることを防止できるため、上述のNBT現象の発生を抑制することができる。
図39に、酸化シリコン膜5cを形成しなかった場合の半導体基板の要部断面図を示す。なお、この半導体集積回路装置の製造方法は、実施の形態1(酸化シリコン膜5cの形成工程を除く)および本実施の形態で説明した工程と、同様であるため、その説明を省略する。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。