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JP4890816B2 - 疎水性担体への菌体の固定化 - Google Patents

疎水性担体への菌体の固定化 Download PDF

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本発明は、菌体の固定化に関する。本発明は、より詳細には、疎水性担体に菌体を固定化する方法に関する。
酵素は、穏和な条件下で種々の反応を触媒することができるため、省エネルギーで環境に対する負荷の少ないプロセスを構築するために有用である。しかし、酵素は通常、微生物自体またはその培養液から分離精製して調製されるため、コストが高い。これに対し、近年、微生物細胞自体を酵素剤として利用することが検討されている。この菌体生体触媒(whole cell biocatalyst)の技術により、プロセスの簡略化やコストの削減が可能となる。
微生物などの細胞を利用する生物反応プロセスにおいては、何らかの手段により細胞を固定化することが望まれる。
細胞を固定化する方法としては、次の3つに大別される:1)不溶性の担体に菌体を結合させる担体結合法、2)架橋剤を用いる架橋法、3)高分子ゲルマトリクス格子中に包み込む、または半透膜マイクロカプセルに封じ込める包括法。確実に固定化するためには、包括法が好ましいが、固定化された細胞周辺の物質移動などを考慮して、多孔性担体を用いる担体結合法が種々検討されている。特に、凝集性または接着性を有する細胞の場合は、一般的に、入手しやすい多孔性の担体と細胞とを混ぜるという簡単な操作による担体結合法によって、非常に簡便に固定化が行われている。例えば、凝集性酵母は、ポリウレタンフォーム片と混合するだけで、容易に固定化できる(非特許文献1および2参照)。付着性動物細胞については、多孔性セルロース担体を用いてインキュベートするだけで固定化できたこと(非特許文献3参照)、および陽荷電基を有するポリエチレンイミンあるいは細胞付着因子を導入した多孔性セルロース担体において、高濃度の浮遊性細胞を固定化できたこと(非特許文献4および非特許文献5参照)が報告されている。また、特許文献1には、動物細胞の積極的な培養のためにこれら細胞を担体に結合させる担体として、陽荷電基を有するポリエチレンイミンを介して細胞付着因子および細胞接着因子を結合させた多孔性セルロース担体が記載されている。しかし、凝集性または付着性があまり強くない細胞の場合は、担体への固定化は困難であった。
本発明者らは、これまでに、固定化担体粒子(Biomass Support Particles)(BSP) と呼ばれる多孔性の粒子とともに細胞を培養することにより、細胞が有する付着力や凝集力によって細胞を自然に粒子内に高濃度で固定化する技術を開発してきた。この固定化法は、固定化の操作や無菌操作が簡単である、固定化担体が物理的に強固である、などの特徴を有する。そのため、この方法は、工業的規模での利用に適しており、これまでに糸状菌、凝集性酵母などの微生物や動・植物細胞の固定化に適用されている。しかし、種々の有用酵素を保持する細菌は菌体が微小であるため、従来のBSPを用いる方法では固定化が困難であるという問題がある。
本発明者らは、複数のペンダントアミンを有するポリマーで処理した疎水性担体に、菌体を固定化する方法を開発した(特許文献2参照)。この方法により、簡便にかつ高密度で菌体を担体に固定化することが可能となった。
特開平5−252941号公報 特開2004−129572号公報 フルタ(H. Furuta)、外,「ジャーナル・オブ・ファーメンテーション・アンド・バイオエンジニアリング(Journal of Fermentation and Bioengineering)」,1997年,第84巻,第2号,p.169−171 リュウ(Y. Liu)、外,「バイオケミカル・エンジニアリング・ジャーナル(Biochemical Engineering Journal)」,1998年,第2巻,第3号,p.229−235 タツヤ・オガワ(Tatsuya Ogawa)、外5名,「ジャーナル・オブ・ファーメンテーション・アンド・バイオエンジニアリング(Journal of Fermentation and Bioengineering)」,1992年,第74巻,第1号,p.27−31 寺嶋修司、外5名,「生物工学会誌」,1993年,第71巻,第3号,p.165−170 シュージ・テラシマ(Shuji Terashima)、外5名,「ジャーナル・オブ・ファーメンテーション・アンド・バイオエンジニアリング(Journal of Fermentation and Bioengineering)」,1994年,第77巻,第1号,p.52−56
本発明の目的は、菌体、特に、凝集性または付着性があまり強くない細胞、または菌体のサイズが小さいため固定化が困難であった細菌を、より簡便にかつ高密度に担体に効率よく固定化する方法を提供することである。
本発明は、疎水性担体をポリエチレンイミンで処理する工程、および該処理した担体と菌体とを接触させる工程、を含む、菌体の固定化方法を提供する。
好適な実施態様では、上記ポリエチレンイミンは、10,000〜150,000の粘度平均分子量を有する。
好適な実施態様では、上記疎水性担体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニリデンジフルオリド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエステル、ナイロン、ポリビニルホルマール、アセタール樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ガラス、セラミックス、および金属からなる群より選択される。
好適な実施態様では、上記疎水性担体は、多孔性である。
好適な実施態様では、上記菌体は、凝集性または付着性が弱い菌体である。
好適な実施態様では、上記菌体は、細菌である。
本発明はまた、ポリエチレンイミンで前処理した疎水性担体に固定化された、固定化菌体を提供する。
本発明の菌体の固定化方法によれば、簡便にかつ高密度で菌体を担体に固定化することができる。特に、凝集性または付着性があまり強くない細胞、または大きさが微小である細菌についても、より簡便にかつ高密度で菌体を担体に固定化することができる。
(担体)
本発明において用いられる担体は、疎水性の固体であれば、特に限定されない。疎水性担体は、菌体を多数保持し得る点で、多孔性であることが好ましい。その場合、孔径は、特に限定されず、菌体のサイズに応じて、適宜決定され得る。その孔径は、好ましくは0.1〜1,000μm、より好ましくは1〜100μmである。
疎水性担体の材料としては、多孔性担体として凝集性菌体の固定化に通常用いられている材料が好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニリデンジフルオリド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエステル、ナイロン、ポリビニルホルマール、アセタール樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ガラス、セラミックス、および金属が挙げられる。なお、ポリビニルホルマールは、親水性であるポリビニルアルコールにホルマール化処理を施して疎水性にしたものであり、好ましくは疎水性が高い高ホルマール化度のものが用いられる。入手容易性および取り扱いやすさの点から、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、ポリプロピレン、およびポリビニルホルマールが好ましい。特に好ましい疎水性担体としては、ポリビニルホルマールスポンジ、ポリエステルフォーム、ポリウレタンフォーム、およびポリプロピレンフォームが挙げられる。
このような担体の形状および大きさは、特に限定されない。例えば、ブロック状、シート状などの形状であり得る。また、取り扱いの容易さの点で、数mm角の細片が最もよく用いられ得る。
(ポリエチレンイミン)
本発明で用いられるポリエチレンイミンは、固定化担体表面に吸着されるポリエチレンイミン中のアミノ基と菌体表面の負電荷との静電的な相互作用によって菌体を効率よく粒子内に固定化し得る。上記ポリエチレンイミンとして、培養液中で菌体の活性に悪影響を及ぼすことがなく、疎水性相互作用によって他の疎水性物質と結合する能力を有するものであれば、特に限定されない。このようなポリエチレンイミンは、市販により入手可能なポリエチレンイミンが用いられ得、当該分野において通常用いられる合成技術によっても調製され得る。ポリエチレンイミンは、疎水性相互作用の能力を考慮すると大きい分子であることが好ましく、その粘度平均分子量は、好ましくは10,000以上、より好ましくは70,000以上かつ150,000以下である。本発明においては、例えば、和光純薬工業(株)から市販されている、ポリエチレンイミン(粘度平均分子量70,000)が好適に用いられ得る。
(菌体)
本発明において、固定化され得る菌体は、微小な単細胞生物をいい、細菌、酵母、単細胞の藻類、シアノバクテリアなどが挙げられる。このような菌体は、種々の有用酵素を保持することが好ましい。本発明の固定化方法は、凝集性の菌体やカビ類などの多細胞生物に対しても用いられ得るが、凝集性または付着性が弱い菌体に、特に好適に用いられ得る。ここで、凝集性または付着性が弱いとは、培養中に凝集塊の形成や容器への付着が少なく、培養液中に浮遊する傾向があることをいう。
本発明の固定化方法はまた、従来のBSPを用いる方法では固定化が困難であった微小な菌体、例えば、細菌に、特に好適に用いられ得る。このような細菌としては、大腸菌、枯草菌、乳酸菌、光合成細菌、化学合成細菌、好熱性細菌などが挙げられる。これらは、天然のものであっても、組換え体であってもよい。
(固定化方法)
本発明の菌体の固定化方法は、疎水性担体を、ポリエチレンイミンで処理する工程、および該処理した担体と菌体とを接触させる工程を含む。
まず、疎水性担体の処理は、担体をポリエチレンイミンの水溶液中に浸漬することによって行われる。このポリエチレンイミンの水溶液の濃度は、特に限定されない。0.01〜10mg/mlの濃度が好適である。担体の浸漬時間は、ポリエチレンイミンの水溶液の濃度、担体の種類などに応じて適宜決定され得る。通常、5分〜24時間、振盪または攪拌しながら浸漬される。
なお、得られた担体は、菌体と接触させる直前に滅菌処理を行うことが好ましい。滅菌処理は、どのような方法で行ってもよく、容易である点で、通常のオートクレーブ処理が好ましい。
次に、処理した担体と菌体とを接触させる。この工程は、菌体を含む培地に処理した担体を加え、振盪培養したり、あるいは培養槽中で撹拌することによって行われる。培地は、通常の組成であり、特別な組成を必要としない。菌体の量、培地の量、担体の量などは、菌体の種類、担体の種類などに応じて適宜決定され得る。接触させる時間は、通常、数時間〜数日間である。菌体を含む培地と接触させて菌体を担体に播種した後、担体を取り出して新鮮培地に加え、さらに培養を数日間行うことによって、菌体を担体に高密度で固定化することができる。必要に応じて、適時、培地を新鮮培地に交換し得る。
担体に固定化された菌体数または菌体濃度は、種々の方法によって測定され得る。
例えば、MTTアッセイ(ティム・モスマン(Tim Mosmann)、「ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッド(Journal of Immunological Methods)」,1983年,第65巻,p.55−63)によって、固定化菌体の濃度を精度よく測定することができる。MTTアッセイは、詳細には、黄色のMTT(3-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-2,5-ジフェニル-2H-テトラゾリウムブロミド)が生細胞内のミトコンドリア内に存在する脱水素酵素により還元され、その結果生じる紫色のMTTホルマザンの量が生細胞数に対応することに基づく。生成したMTTホルマザンは、水に不溶であるため、通常2−プロパノールで溶解した後、吸光度を測定する。
あるいは、所定の溶液中で菌体を担体から物理的に剥がし、その前後の担体の乾燥重量または湿重量の差から、担体に固定された菌体の量を測定することもできる。また、菌体を剥がした後、得られた懸濁液の濁度を測定したり、血球計算盤を用いて懸濁液中の細胞数を計数してもよい。また、菌体内で恒常的に発現している酵素、例えば乳酸脱水素酵素の活性を測定することによっても、固定化菌体濃度を測定することもできる。
(固定化菌体)
上記の方法によって、固定化菌体が得られる。固定化菌体は、培地中であるいは乾燥して保存され得る。
得られた固定化菌体は、各菌体に応じた酵素反応に用いられ、適切な反応系で使用され得る。担体に高密度で固定化され得るので、反応効率がよい。また、繰り返し使用も可能である。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこの実施例に制限されない。
(実施例1:ポリエチレンイミンで処理した担体への大腸菌の固定化)
菌体として、大腸菌Escherichia coli K12を使用した。この大腸菌の菌体懸濁培地を以下のように調製した。コンピテントセル(NovaBlue、メルク (株))を平板培地(トリプトン (10g/l)、酵母エキス (5g/l)、NaCl (5g/l)、寒天 (15g/l))に塗布し、37℃で静置培養した。形成したコロニーを1個取り、液体培地(トリプトン (10g/l)、酵母エキス (5g/l)、NaCl (5g/l))4mlを入れた試験管に移し、37℃で12時間往復振盪培養した。この菌体懸濁培地を新しい液体培地で10倍に希釈した。
固定化担体粒子(BSP)として、高ホルマール化度のポリビニルアルコール(PVA)スポンジシートDA(A)(孔径60μm)(厚さ2mm、アイオン(株))を、2×2×2mmの粒子状に細切して使用した。
容量100mlのねじ口三角振盪フラスコに、固定化担体粒子250個および純水約20mlを入れ、121℃で20分間オートクレーブして滅菌を行った。純水を除去した後、0.1mg/mlの濃度のポリエチレンイミン溶液(30%ポリエチレンイミンP−70溶液(粘度平均分子量70,000、和光純薬工業(株))を純水に溶解したもの)15mlを加えて、室温にて振盪速度100回/分で4時間往復振盪した。ポリエチレンイミン溶液を除去した後、大腸菌の菌体懸濁培地を15ml加え、37℃の水浴中、振盪速度100回/分で往復振盪培養を開始した。培養開始から約1、3、6、9、および11時間後に、担体粒子を10個ずつサンプリングした。超音波ホモジナイザーで20秒間処理することにより菌体を破壊した後、担体粒子に固定化された大腸菌の菌体内の乳酸脱水素酵素(LDH)の活性をLDH cytotoxicity detection kit(タカラバイオ(株))を用いて測定した。なお、予め容量100mlのねじ口三角振盪フラスコを用いて大腸菌の振盪培養を行い、大腸菌の菌体懸濁培地の波長660nmにおける濁度(OD660)と菌体内のLDH活性との間に比例関係が成立することを確認した。両者の比例関係に基づいて、測定した固定化菌体内のLDH活性から固定化菌体濃度を評価した。結果を図1に示す。ここで、図の縦軸は、固定化菌体濃度を粒子1cmあたりのOD660として表示する。
(比較例1:無処理担体への大腸菌の固定化)
固定化担体粒子をポリエチレンイミンで処理しなかったこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を図1に併せて示す。
(比較例2:ポリ−L−リシン、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニン、またはポリ−L−ヒスチジンのいずれかで処理した担体への大腸菌の固定化)
ポリエチレンイミンの代わりに、ポリ−L−リシン(ポリ−L−リシン臭化水素酸塩(粘度平均分子量>70,000、和光純薬工業(株))を純水に溶解したもの)、ポリ−L−オルニチン(ポリ−L−オルニチン臭化水素酸塩(粘度平均分子量>100,000、Sigma Chemical Co.))、ポリ−L−アルギニン(ポリ−L−アルギニン塩酸塩(粘度平均分子量70,000−150,000、Sigma Chemical Co.))、またはポリ−L−ヒスチジン(ポリ−L−ヒスチジン塩酸塩(粘度平均分子量>5,000、Sigma Chemical Co.))のいずれか(いずれも濃度は0.1mg/ml)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を図1に併せて示す。
(比較例3:ポリ−L−グルタミン酸またはポリ−L−アスパラギンで処理した担体への大腸菌の固定化)
固定化担体粒子をポリ−L−グルタミン酸(ポリ−L−グルタミン酸ナトリウム塩(粘度平均分子量50,000−100,000、Sigma Chemical Co.))またはポリ−L−アスパラギン(粘度平均分子量5,000−15,000、Sigma Chemical Co.))で処理したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を図1に併せて示す。
固定化担体粒子を何も処理せずに用いた場合(比較例1)、大腸菌はほとんど粒子内に固定化されなかった。これに対し、予め粒子をポリエチレンイミンで処理した場合(実施例1)、非常に高い菌体濃度が得られた。
また、ポリエチレンイミンの代わりに、ポリ−L−リシン、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニン、またはポリ−L−ヒスチジンで処理を行った場合(比較例2)にも、比較的高い固定化菌体濃度が得られたが、ポリエチレンイミン処理の場合よりも低かった。電荷を持たないポリ−L−アスパラギンや中性付近で負電荷を持つポリ−L−グルタミン酸で処理した場合(比較例3)、無処理の場合と同様の低い固定化菌体濃度であった。
(実施例2:ポリエチレンイミンで処理した担体への光合成細菌の固定化)
菌体として、通性嫌気性の光合成細菌である紅色非硫黄性細菌Rhodovulum sulfidophilum strain W−1S(以下W−1S株と略す;マエダ,外、「バイオテクノロジー・レターズ(Biotechnology Letters)」,1997年,第19巻,第12号,p.1209−1212を参照のこと)を使用した。なお、本細菌の平均粒径をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA−300、(株)堀場製作所)を用いて測定すると、0.84μm(球相当直径が0.84μm)であった。
固定化担体粒子(BSP)として、高ホルマール化度のポリビニルアルコール(PVA)スポンジシートDA(A)(孔径60μm)(厚さ2mm、アイオン(株))を、2×2×2mmの粒子状に細切して使用した。
まず、容量50mlのねじ口振盪三角フラスコに、担体粒子125個および純水約20mlを入れ、121℃で20分間オートクレーブして滅菌を行った。純水を除去した後、0.1mg/mlの濃度のポリエチレンイミンの溶液10mlを加えて、室温にて90回/分の振盪速度で4時間往復振盪した。ポリエチレンイミンの溶液を除去した後、W−1Sを懸濁した培地(波長660nmにおける培養液の濁度が1.5になるように調製した培地)を10ml加え、30℃の水浴中光照射条件下、振盪速度90回/分で往復振盪培養を2日間行った。なお、用いた培地は、NaCl(30g/l)、MgSO4・7H2O(0.25g/l)、CaCl2・2H2O(0.2g/l)、FeSO4・7H2O(0.02g/l)、H3BO4(2.86mg/l)、MnCl2・4H2O(1.81mg/l)、ZnSO4・7H2O(0.22mg/l)、CuSO4・5H2O(0.08mg/l)、Na2MoO4(0.021mg/l)、CoCl2・6H2O(0.01mg/l)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(0.05g/l)、ピルビン酸ナトリウム(1g/l)、コハク酸ナトリウム(1g/l)、DL-リンゴ酸ナトリウム(1g/l)、酢酸ナトリウム(1g/l)、およびNH4Cl(5mM)を含む水溶液に、リン酸緩衝液(チアミン塩酸塩(100mg/l)、ニコチン酸(100mg/l)、p-アミノ安息香酸(60mg/l)、ビオチン(10mg/l)、KH2PO4(8.16g/l)、K2HPO4(99g/l)、pH=8.0)を5ml/lの割合で添加することにより調製した。この播種操作の後、菌体懸濁培地を除去し、新鮮培地を10ml加えて、往復振盪培養を再開した。培地を全量新鮮培地と適時交換し、振盪培養を継続した。担体粒子を、培養開始から1日後および4日後に5個ずつサンプリングし、担体粒子に固定化された菌体濃度を、MTTアッセイにより評価した。
MTTアッセイは、以下のように行った。まず、MTT((株)同仁化学研究所)を1g/lの濃度となるように培地に溶解し、孔径0.22μmのフィルターを用いてろ過滅菌することにより、MTT溶液を調製した。このMTT溶液に、サンプリングした担体粒子を加えて、20℃のインキュベーター内で4時間静置した。4時間後MTT溶液を除去し、2−プロパノールを加え、担体粒子内で生成したMTTホルマザンを抽出した。分光光度計を用いて抽出液の560nmおよび700nmにおける吸光度を測定し、MTTホルマザンのモル吸光係数を用いて、吸光度差から固定化細胞によるMTTホルマザンの生成量を算出した。
一方、予めW−1S懸濁培地を用いて同様にMTTの変換反応を行い、菌体濃度とMTTホルマザンの生成量との間に比例関係があることを確認した。両者の比例関係に基づいて、固定化細胞によるMTTホルマザンの生成量から固定化菌体濃度を求めた。培養開始から1日後および4日後のMTTアッセイの結果を表1に示す。ここで、表1中の数値は、固定化菌体濃度[mg乾燥重量/cmBSP]を表す。
(比較例4:ポリ−L−リシンで処理した担体への光合成細菌の固定化)
ポリエチレンイミンの代わりに、ポリ−L−リシンを用いたこと以外は、実施例2と同様に行った。結果を表1に併せて示す。
(比較例5:無処理担体への光合成細菌の固定化)
固定化担体粒子をポリエチレンイミンで処理しなかったこと以外は、実施例2と同様に行った。結果を表1に併せて示す。
Figure 0004890816
表1から分かるように、予め担体粒子をポリエチレンイミンで処理した場合(実施例2)、固定化担体粒子を何も処理せずに用いた場合(比較例5)に比較して、顕著に高い固定化菌体濃度が得られた。また、ポリ−L−リシンで処理を行った場合(比較例4)と比較しても、高い固定化菌体濃度が得られた。
本発明の菌体の固定化方法によれば、凝集性または付着性があまり強くない細胞、または大きさが微小であり、これまで固定化が困難であった細菌(例えば、大腸菌)についても、より簡便にかつ高密度で菌体を担体に固定化することができる。大腸菌は、遺伝子組換えの宿主として広く利用されているため、大量生産された遺伝子組換え産物の利用にも有利である。本発明の固定化菌体は、高密度で固定されているため、菌体中の酵素による反応系全体として反応効率の上昇が期待できる。また、ポリエチレンイミンは比較的安価に入手可能なので、コストの面でも有利である。
種々の処理を行った固定化担体粒子に固定化された大腸菌の菌体濃度の経時変化を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 疎水性担体をポリエチレンイミンで処理する工程、および該処理した担体と菌体とを接触させる工程、を含み、該疎水性担体の材料がポリビニルホルマールである、菌体の固定化方法。
  2. 前記ポリエチレンイミンが、10,000〜150,000の粘度平均分子量を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記疎水性担体が、多孔性である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記菌体が、細菌である、請求項1からのいずれかに記載の方法。
  5. ポリエチレンイミンで前処理した疎水性担体に固定化された、固定化菌体であって、該疎水性担体の材料がポリビニルホルマールである、固定化菌体。
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