本発明は、所定の被写体を電気的に撮像する撮像装置に関する。
本発明に関連する技術としては、以下のものが開示されている。
撮影条件(絞り値、焦点距離、被写体距離)に応じて、フォーカスブラケットの間隔、撮影枚数を決定し撮影する「カメラ」がある(例えば、特許文献1参照)。
焦点評価値(高周波成分抽出値)が極大をとるポイント毎に撮影を行う「撮像装置、撮像方法、及び撮像制御コンピュータプログラム」がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−333924号公報
特開2003−333411号公報
オートフォーカス方法には、銀塩カメラ時代から使われてきた赤外投光LEDを用いたアクティブ方式、光学レンズと一体型の位相差式センサを用いるパッシブ方式、一眼レフタイプのカメラで用いられている撮影レンズを透過した光を位相差方式センサに導くTTLAF方式などが知られているが、近年多くのコンパクトタイプのデジタルカメラで用いられている方式は、従来ビデオカメラ用のオートフォーカス技術として公知技術であったコントラスト方式(その動作方法から、山登り方式とも呼ばれることがある)と言われるものである。この方式の動作原理は、被写体光をフォーカスレンズの位置を微少ステップで変化させながら撮像し、各撮像データ高周波部分を抽出し、焦点評価値として算出し、焦点評価値の変化カーブをみて合焦位置を決定する。
この方式の最も一般的な動作方法としては、実撮影前にフォーカスレンズまたは撮像手段を微少ステップずつ動かしながら順次撮像し、撮像データの高周波部分を抽出し焦点評価値として算出し、焦点評価値のカーブが極大値をとる部分のうち、最大となるフォーカス位置を合焦点として選択、記憶し微少ステップ駆動動作終了時に、その位置までフォーカスレンズを再度動かして、実撮影を行うので、合焦位置を判断するのに時間はかかるものの追加センサなしに正確な合焦位置を得られる方式として、一般的に使用されている。
上記コントラスト方式のオートフォーカス方法は、特別なセンサなしに比較的正確に合焦位置を知ることができるので便利であるが、それでもレンズのバラツキ(レンズ解像力ベスト位置と、評価値最良位置との差)、撮影時のぶれ状況、被写体のコントラストや周波数成分、フォーカス記憶位置のメカ的電気的な再現性(ガタなど)、また、撮影者の撮影意図という自動化するのは困難な問題もあり撮影者が意図するポイントに正確に合焦するとは限らない場合もあった。
この問題点を解決するため、従来からフォーカスブラケットというシステムが提案されている。すなわち、カメラが決定した合焦ポイントの前後を、念のため撮影しておこうという技術で、本来露出に関して用いられてきたパラメータを変えながらの複数枚撮影をフォーカスに関して行おうという技術である。
また、撮影距離範囲内にて、フォーカスを所定間隔で変化させて撮影距離範囲内の全てを撮影し、保存することで、撮影後にたとえ撮影者がどのような撮影意図であったとしても対応できるようにするという技術も各種提案されている。
これら述べてきたような従来技術のうち、前者(単なるフォーカスブラケット:通常3枚撮影)では、常に所定間隔にて所定枚数撮影されるため、撮影意図にそぐわない(真に合焦させたいポイントがその外にある)場合も発生するし、カメラの選択した合焦ポイントで充分に合焦している場合にも常に所定はフォーカスをずらした画像が保存されることになる。後者においては、オートフォーカスという概念がなくなるため、フォーカス間隔等は条件に応じて変更されるにしても、常に大量の撮影と撮影画像の保存が行われることになり、撮影時間や、保存時間、メモリの使用量などが問題となり、使い勝手も悪く、省エネの観点からも課題の多い技術であるといえる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、撮影意図に沿った画像を撮像できる確率を維持しつつ合理的に撮像枚数を削減し、撮影時間や、保存時間の短縮、記録媒体の節約などの省エネを実現する撮像装置を提供することを目的としている。
なお、上記特許文献1では、撮影条件(主として絞り値)をキーにして、被写界深度(被写体におけるピントの合う範囲の前後方向の深さ)を計算し、それに応じて、フォーカスを変化させる間隔や、総撮影枚数を決定する技術が提案されているが、この技術は被写界深度内(見かけ上ピントが合って見える)に入れるために絞りを調節したり、深度内の場合は撮影枚数を削減したりするための技術であり、撮影意図にあった部分に正確にピントを合わせようとする技術ではない。また、被写界深度も測定距離と絞りの机上計算に基づく深度であるため、被写体の厚み等を考慮した値ではないため、実際の撮影意図に沿うものであるかどうかも不明である。
これに対し、本発明では、実際にフォーカスを微少ステップにて動作させながら、撮像範囲内の複数領域に対して最もコントラストの高くなる領域を抽出する関係上実際の被写体毎に、最も合焦した場所を選定することができる方式的な優位点の他に、選択した合焦点の確からしさ(焦点評価値の大きさ)に応じて、撮影枚数や、撮影間隔をかえることで、撮影枚数を合理的に削減することが可能である。
また、上記特許文献2では、焦点評価値曲線が極大をとる部分を、全て撮影するものであり、撮影者の撮影意図を自動で判別できない場合に対する保険の技術である。
これに対し、本発明では、基本的には、従来技術通り焦点距離評価曲線の極大値のなかで最大のものを主要被写体とするかまたは、事前にタッチパネルなどで選択された主要被写体近傍に関して焦点評価値を取得するため、主要被写体を決定に関する保険の課題を有しない。主要被写体が本当にきちんと意図通り合焦するための技術であり、課題、作用、効果すべてにおいて異なる。
かかる目的を達成するために、本発明の第1の撮像装置は、撮像光学系と、電気的撮像手段と、撮影に先立ち、フォーカス位置を変化させながら撮像画面内の複数箇所の画像信号を取得し、コントラスト成分に応じた焦点評価値を取得する焦点評価値取得手段と、を有し、焦点評価値取得手段で取得した焦点評価値の大きさに応じて、フォーカスブラケットの撮影枚数を自動的に変更する撮像装置であって、焦点評価値取得手段で取得した焦点評価値の大きさが、第1の所定値以上の場合には、フォーカスブラケットの撮影枚数を所定枚数より少なくし、第2の所定値より小さい場合には、フォーカスブラケットの撮影枚数を所定枚数より多くすることを特徴とする。
本発明の第2の撮像装置は、撮像光学系と、電気的撮像手段と、ピントを合わせたい領域又はポイントを事前に指定する主要被写体指定手段と、主要被写体指定手段で指定された領域又はポイントから所定範囲に関し、フォーカス位置を変化させながら画像信号を取得し、コントラスト成分に応じた焦点評価値を取得する焦点評価値取得手段と、を有し、焦点評価値取得手段で取得した焦点評価値の大きさに応じて、フォーカスブラケットの撮影枚数を自動的に変更する撮像装置であって、焦点評価値取得手段で取得した焦点評価値の大きさが、第1の所定値以上の場合には、フォーカスブラケットの撮影枚数を所定値より少なくし、第2の所定値より小さい場合には、フォーカスブラケットの撮影枚数を所定値より多くすることを特徴とする。
本発明によれば、撮影意図に沿った画像を撮像できる確率を維持しつつ合理的に撮像枚数を削減し、撮影時間や、保存時間の短縮、記録媒体の節約などの省エネを実現することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
<本発明の構成>
本発明の一実施形態である撮像装置(カメラ)の構成について、図1の全体ブロック図を参照して説明する。
制御装置(CPU:Central Processing Unit)1は、撮像装置のすべての動作を制御する制御機能を有しており、内部には各種判断、演算を行うための演算手段10、時間をカウントするための時間カウント手段(タイマ手段)11、各種設定値を記憶しておく揮発性又は不揮発性のメモリ(フォーカスブラケット駆動幅設定メモリ、フォーカスブラケット撮影枚数設定メモリ)12などを含んでいる。必ずしもワンチップ構成でなくてもよく、画像処理チップなどを含む合成素子の構成でも、複数素子を含む制御ユニットを構成する構成でもよい。
本発明の撮像装置において、制御装置1は、撮影に先立ち、フォーカス位置を変化させながら撮像画面内の複数箇所の画像信号を測光センサ2から取得し、コントラスト成分に応じた焦点評価値を取得する焦点評価値取得手段として機能する。また、制御装置1は、表示装置7とともに、ユーザがピントを合わせたい領域又はポイントを事前に指定する主要被写体指定手段として機能することもできる(実施例3)。
測光センサ2は、被写体の明るさを検出するためのセンサであり、制御装置1からのコントロールにより駆動され、撮影範囲内(撮像画面内)の複数のポイントにおける被写体の明るさに関連する電気信号(画像信号)を検知し、制御装置1に入力する。また、なお、本発明のように、専用の測光センサ2を設けずに、撮像素子8による撮像データを用いて、複数領域の明るさを求める構成としてもよい。
第1レリーズSW(Switch)3は、撮影を行うためのレリーズSWの半押しによりONとなるスイッチである。また、第2レリーズSW(Switch)4は、撮影を行うためのレリーズSWの全押し(押し込み)によりONとなるスイッチである。図1では、それぞれ別々のスイッチとして記載されているが、本来は、同一のスイッチ上での操作(押し方)の違いにより、上記動作を行うものである。
フォーカスレンズ駆動装置5、シャッタ駆動装置6は、撮影のためのフォーカス駆動及びシャッタ駆動を行うためのものである。また、フォーカス駆動装置5は、撮像素子8からの撮像データ(オートフォーカスのための評価データ)を取得しながらフォーカス駆動範囲(通常の場合は撮影可能な最短距離(最至近)〜無限遠までの)領域をスキャンすることで、合焦可能なポイントを探す役割も備えている。またシャッタ機構とは別に絞りを持ち絞りとシャッタを別々にコントロールする構成としてもよい。
表示装置7は、撮影前のモニタリング表示、再生画像表示、事前設定などを行うためのメニュー表示などを行う液晶素子や、有機EL素子などの表示装置である。
記憶装置9は、撮影済み画像データを制御装置1にて所定の保存形式に変換後、保存するための保存装置であり、内蔵フラッシュメモリや、外部メモリカード、HDD等である。
撮像素子8は、被写体像を電気的に撮像することで得られた信号を制御装置1に入力するためのものであり、CCD、CMOSなどの素子である。
なお、図1における2〜9の各周辺装置は、駆動に必要な各種装置やドライバ等を含むものとする。
図2は、本発明の一実施形態である撮像装置における、撮影モード時の動作のフローチャートを示している。
通常(撮像装置のメインSWがONされている)状態では、カメラはモニタリング(撮影画像をLCD表示装置や他の表示手段にてモニタしながらの撮影準備状態)を行いながら操作SWが操作されるのを待っている。
すなわち、モニタリング状態において(ステップS1)、モニタリング状態が停止中の時は(ステップS1/停止中)、モニタリングを開始する処理を行ってから(ステップS2)、どのスイッチが操作されたかを判定する(ステップS3)。モニタリング状態がONの時は(ステップS1/ON中)、そのままどのスイッチが操作されたかを判定する(ステップS3)。
その後は、レリーズ関連の操作が行われた場合はレリーズ動作を行い、また、他の操作が行われた場合は所定の動作を行った後、再びモニタリング状態に戻る。
すなわち、第1レリーズSW3が操作された場合(ステップS3/RL1SW ON処理)、モニタリングを停止し(ステップS4)、AE処理(自動露出処理)、AF処理(オートフォーカス処理)を行い(ステップS5,ステップS6)、フォーカス駆動処理を行って(ステップS7)、モニタリング状態に戻る。
第2レリーズSW4が操作された場合(ステップS3/RL2SW ON処理)、モニタリングを停止し(ステップS8)、静止画記録処理を行い(ステップS9)、モニタリング状態に戻る。
第1レリーズSW3及び第2レリーズSW4以外のスイッチが操作された場合(ステップS3/他SW ON処理)、そのスイッチに対応した処理を行い(ステップS10)、モニタリング状態に戻る。
無効操作がされた場合は(ステップS3/無効操作)、そのままモニタリング状態に戻る。
本発明の実施概念について、図3、図4を参照して説明する。
図3は、被写体の状況と位置関係を示したものであり、一番手前右側に岩があり、その奥に人物が配置され左側さらに奥に、黒板がななめ後方に向かって配置されているものとする。(黒板には近点、遠点がわかるように、「あ(近点)」「ん(遠点)」の文字が記述されているものとする。
図4は、オートフォーカス合焦位置スキャン時の、焦点評価値(撮像成分の高周波成分にて算出され、画像のコントラストを示す)の変化曲線を示したものであり、図3に示した被写体をスキャンした場合の焦点評価値曲線の例を示している。
すなわち、最も遠い図3のエリアE(黒板遠点)はもっとも焦点評価値が小さく(低く)(すなわち合焦しづらい、合焦に自信がない)、エリアD(黒板近点)と、エリアC(岩)はエリアEよりは焦点評価値が大きく、同レベルであり、エリアB(人物)が最も焦点評価値が大きい(合焦しやすい、自信をもち合焦できる)ことがわかる。また、最も遠い図3のエリアE(黒板遠点)はもっとも焦点評価値形状がなだらかであり(すなわちピーク位置を認識しづらいため判定ミスが起こりやすい)、エリアD(黒板近点)と、エリアC(岩)はエリアEよりはピーク形状が尖鋭であるが標準的な形状であり、エリアB(人物)が最もピーク形状が尖鋭(ピーク判定が容易なため合焦判定精度が高い)ことがわかる。ここではいずれも合焦判定のための所定閾値よりは焦点評価値が大きい(高い)ものとしている。
このような場合にどのポイントを、カメラとしての合焦ポイントに選択するかということはシステム上の問題であり、例えば焦点評価値が最も高いポイントを選択しても良いし、焦点評価値が所定値(下)以上でかつもっとも近い部分(図4でいう右側にある極大値ポイント)を合焦ポイントに選択しても良いし、あるいは、撮影モードや事前規制により規制(ある距離以下しか選択しない)(全部の極大値が被写界深度内に収まる様になど)を設けてもよい。
以上が一般的な、コントラスト方式や山登り方式と言われるオートフォーカスの合焦ポイント検出、選択方法であり、実際の被写体の撮像信号を取り込みながらコントラストを比較するため他の方式(外部に位相差測距素子を設ける方法や、赤外LEDを受光位置センサで受光する方式)より比較的正確であり追加コストも不要である。
ただし、コントラスト方式においても合焦ポイントの正確な再現性や、被写体状況の微妙な変化、撮影者の撮影意図(どこにピントを合わせたいかなどにより)、スキャン時のフォーカス間隔と時間の制約などにより完全に撮影者の意図を反映することができないことも有りうるため、1回の撮影で厳密な意味の合焦を得るための1手段として、フォーカスブラケット機能が一般的に用いられてきた。
この機能は、自動露出におけるオートブラケット機能を基に考えられた方式であり、カメラとして選択した合焦ポイントをもとに、所定量前後に合焦ポイントをずらした画像も連続撮影して全て保存し、あとから撮影者に撮影意図にあった画像を選択してもらおうというものである。
従来方式では、通常3枚(事前選択できるものもある)撮影であり、カメラの選択した合焦ポイントを前後に所定量(選択可能なものもある)ずらした画像を連続撮影し、すべて保存する。
この方式は、撮影モードとしてわかりやすく、動作モードとしての統一性があるが、以下の欠点(課題)もある。
1つ目の課題は、撮影枚数があらかじめ決められているため、必要の無い場合も決まった枚数を撮影・保存してしまい、資源の有効利用の点から無駄が多い点である。
2つめの課題は、フォーカス間隔があらかじめ決まっているため、もっと細かいフォーカスステップにて撮影しないと変化が大きすぎる場合や、その逆にもっと変化が必要なのにもかかわらず小さな変化のまま撮影が終了し本当に欲しい撮影結果に届かない場合である。
いずれの場合も、事前に被写界深度を考慮して枚数、フォーカス間隔をマニュアルで設定しておく方法で有る程度は解決されるが、自動的に設定される訳ではなく、設定のための理論学習や経験が必要であり通常の撮影者にとってはかなりの困難さを伴う。
本発明の撮像装置は、これらの課題を解決するためのものであり、通常のフォーカスブラケット撮影を行うだけで、カメラが自動的に決めた合焦ポイントの確からしさ(信頼性)に応じて、信頼性が高い場合は、ブラケット枚数を減らしたり、フォーカス間隔を細かく設定し、信頼性が低い場合は、ブラケット枚数を増やしたり、フォーカス間隔を広く設定して撮影者の意図する画像が得られやすくする効果を有することを主な特徴とする。
また、本発明の撮像装置は、無駄な撮影画像を撮影・保存しないという観点から撮影時消費電力の削減、保存メディアの有効利用という省エネルギー的な効果も有する。
以上説明した本発明の一実施形態である撮像装置の実施例について、以下にそれぞれ説明する。なお、各フローチャートを参照して説明する各実施例の動作は、図1に示す本実施形態の撮像装置において、制御装置1が、読み込まれたプログラムに従って、その他の各装置(各部)を制御することによって行われる。
実施例1は、枚数設定を変更する実施例である。フォーカスブラケットを行うことは事前に設定されているものとする。
まず、図5のフローチャートを説明する。
レリーズが半押しされると(第1レリーズSW3がON処理されると)、モニタリングの停止処理(ステップS11)、AE(測光、測光演算など)処理(ステップS12)を行った後で、AF合焦ポイント検出のために、フォーカスレンズを所定ステップで動かし焦点評価値を取得するAF(スキャン処理)を実施する(ステップS13)。
焦点評価値(各ポイントでの画像信号の高周波成分に関するデータ)の極大値の大きさ(高さ)を評価し、所定アルゴにて、カメラとしての合焦ポイントを決定する(ステップS14)。所定アルゴは、ここでは所定値以上でかつ一番近いもの<スキャン時の繰り出し量にて近いか遠いか判断可能>と設定するものとする。この部分のアルゴは、本発明の本質とは関係がないので種々の変更が可能であり、例えば一番評価値の高い極大値を合焦ポイントとするなどしてもよい。
ここで決定した合焦ポイントの焦点評価値の大きさを検定(評価)する(ステップS15)。実施例1では2種類の所定値(1<大>、2<小>)を設けている。
〈1〉所定値1は上限評価値(第1の所定値)を示し、決定された合焦ポイントの焦点評価値がこの数値より高い場合は(ステップS15/≧所定値1)、フォーカスレンズがこのポイントに来た時の高周波部分のコントラストがきわめて高く、合焦検出の信頼性が高いことを意味する。
〈2〉所定値2は下限評価値(第2の所定値)を示し、決定された合焦ポイントの焦点評価値の大きさがこの数値より低い場合(合焦選定基準よりは上に設定した場合)は(ステップS15/<所定値1、ステップS17/<所定値2)、合焦選定としては問題がない(合焦不能とする程低くはないが)が、高周波成分のコントラストが低く、合焦検出の信頼性が比較的低いことを意味する。
〈3〉所定値1,2の間にある場合は(ステップS15/<所定値1、ステップS17/≧所定値2)、決定された合焦ポイントの焦点評価値の大きさが標準的で、通常レベルの信頼性であることを意味する。
実施例1では、上記〈1〉〜〈3〉のどのレベルで有るかを判定した後、通常のフォーカスブラケット撮影枚数(標準枚数。ここでは3枚)を自動的に設定変更(増減する)。この設定変更は、メモリ12のフォーカスブラケット撮影枚数設定メモリに予め記憶されている設定内容に基づいて行われる。
すなわち、信頼性がきわめて高い上記〈1〉のような場合には(ステップS15/≧所定値1)、合焦部のみの撮影で良し(撮影枚数を1枚とセット)とする(ステップS16)。
逆に、信頼性が低い〈2〉のような場合には(ステップS15/<所定値1、ステップS17/<所定値2)、撮影枚数を+2枚し、5枚とし、合焦の確率を自動的に増やす(撮影枚数5枚をセット)制御とする(ステップS18)。
標準的な〈3〉のような場合には(ステップS15/<所定値1、ステップS17/≧所定値2)、通常通りの撮影枚数(撮影枚数3枚セット)とする(ステップS19)。
なお、信頼性が高い場合にも、必ずしも1枚のみの撮影で撮影意図を反映できるとは限らない場合(コントラストの高い人物撮影において手前の目にきちんと合焦させたい様な場合など)には、標準撮影枚数を5枚〜7枚程度に設定して、そこから2枚程度削減する(必ず3枚以上は撮影する)構成としてもよいし、逆に焦点評価値が低い場合には、さらに枚数を増やす構成(+10枚など)としても良いし、増減枚数を必ずしも対称的に設定する必要もない。ここでは、フローチャートが煩雑になり説明も冗長となるため、あえてシンプルな構成にて説明している。
セット後、所定のフォーカスブラケット間隔(ここでは、パルスモータ方式のフォーカス制御を想定しており、どのくらいのフォーカスステップ間隔にてフォーカスをずらして撮影するかを示している)を設定する(ステップS20)。ここでは、通常2ステップ間隔と設定するものとしている。この部分はカメラ構成(焦点距離やレンズ構成、レンズのF値や絞り値、必要とされるフォーカス精度などにより異なるが、2ステップに意味があるわけではなく、通常のフォーカスブラケットのフォーカス間隔をセットするという意味である。
次にフォーカスブラケットの現在枚数カウンタに1をセットし(ステップS20)、決定された合焦ポイントにフォーカスレンズをセット(駆動)する(ステップS21)。
次に、図6のフローチャートを説明する。
図5のステップS21の後、レリーズが押し込んで全押しされると(第2レリーズSW4がON処理されると)、モニタリング停止の後(ステップS22)、ステップS23〜S37において、セットされた撮影枚数と、現在の撮影カウンタの内容により、撮影制御される。ステップS23では、静止画像の撮影及び記録が行われるとともに、現在枚数に+1をするカウントが行われる(図5のステップS20にて現在の撮影枚数「1」がカウントされているので、1枚目の撮影後は、現在の撮影枚数「1」に+1をカウントし、現在枚数が「2」となる)。
例えば、撮影枚数が1枚にセットされている場合は(図5のステップS16の場合)、『決定合焦ポイント撮影』のみで撮影を終了する。
すなわち、詳細は次のようになる。
モニタリング停止の後(ステップS22)、決定した合焦ポイントで1枚目を撮影し、現在の撮影枚数を2枚目とカウントした後(ステップS23)、撮影枚数が5枚にセットされているか否かを判断する(ステップS24)。撮影枚数は5枚にセットされていないので(ステップS24/NO)、次に進み、撮影枚数が3枚にセットされているか否かを判断する(ステップS25)。撮影枚数は3枚にセットされていないので(ステップS25/NO)、撮影終了となる。
撮影枚数が3枚にセットされている場合は(図5のステップS19の場合)、『決定合焦ポイント撮影』→『−1×(通常フォーカス間隔:2Step)撮影』→『+1×(通常フォーカス間隔:2Step)撮影』が行われて撮影終了となる。
すなわち、詳細は次のようになる。
モニタリング停止の後(ステップS22)、決定した合焦ポイントで1枚目を撮影し、現在の撮影枚数を2枚目とカウントした後(ステップS23)、撮影枚数が5枚にセットされているか否かを判断する(ステップS24)。撮影枚数は5枚にセットされていないので(ステップS24/NO)、次に進み、撮影枚数が3枚にセットされているか否かを判断する(ステップS25)。撮影枚数は3枚にセットされているので(ステップS25/YES)、次に進み、現在の撮影枚数が2枚目か否かを判断する(ステップS26)。
現在の撮影枚数は2枚目であるので(ステップS26/YES)、選択した合焦位置(−1×2Step)にフォーカスレンズをセットし(ステップS27)、撮影及び現在枚数をカウントする(ステップS23)。ここで、現在の撮影枚数は3枚目となる。再び、ステップS24、S25、S26で判断を行った後、現在の撮影枚数が3枚目か否かを判断する(ステップS28)。
現在の撮影枚数は3枚目であるので(ステップS28/YES)、選択した合焦位置(+1×2Step)にフォーカスレンズをセットし(ステップS29)、撮影及び現在枚数をカウントする(ステップS23)。ここで、現在の撮影枚数は4枚目となる。再び、ステップS24、S25、S26、S28で判断を行い、現在の撮影枚数は4枚目であるので(ステップS28/NO)、撮影終了となる。
例えば、撮影枚数が5枚にセットされている場合は(図5のステップS18の場合)、『決定合焦ポイント撮影』→『−2×(通常設定間隔:2Step)撮影』→『−1×(通常フォーカス間隔:2Step)撮影』→『+1×(通常フォーカス間隔:2Step)撮影』→『+2×(通常フォーカス間隔:2Step)撮影』が行われて撮影終了となる。
すなわち、詳細は次のようになる。
モニタリング停止の後(ステップS22)、決定した合焦ポイントで1枚目を撮影し、現在の撮影枚数を2枚目とカウントした後(ステップS23)、撮影枚数が5枚にセットされているか否かを判断する(ステップS24)。撮影枚数は5枚にセットされているので(ステップS24/YES)、次に進み、現在の撮影枚数が2枚目であるか否かを判断する(ステップS30)。
現在の撮影枚数は2枚目であるので(ステップS30/YES)、選択した合焦位置(−2×2Step)にフォーカスレンズをセットし(ステップS31)、撮影及び現在枚数をカウントする(ステップS23)。ここで、現在の撮影枚数は3枚目となる。再び、ステップS24、S30で判断を行った後、現在の撮影枚数が3枚目か否かを判断する(ステップS32)。
現在の撮影枚数は3枚目であるので(ステップS32/YES)、選択した合焦位置(−1×2Step)にフォーカスレンズをセットし(ステップS33)、撮影及び現在枚数をカウントする(ステップS23)。ここで、現在の撮影枚数は4枚目となる。再び、ステップS24、S30、S32で判断を行った後、現在の撮影枚数が4枚目か否かを判断する(ステップS34)。
現在の撮影枚数は4枚目であるので(ステップS34/YES)、選択した合焦位置(+1×2Step)にフォーカスレンズをセットし(ステップS35)、撮影及び現在枚数をカウントする(ステップS23)。ここで、現在の撮影枚数は5枚目となる。再び、ステップS24、S30、S32、S34で判断を行った後、現在の撮影枚数が5枚目か否かを判断する(ステップS36)。
現在の撮影枚数は5枚目であるので(ステップS36/YES)、選択した合焦位置(+2×2Step)にフォーカスレンズをセットし(ステップS37)、撮影及び現在枚数をカウントする(ステップS23)。ここで、現在の撮影枚数は6枚目となる。再び、ステップS24、S30、S32、S34で判断を行った後、現在の撮影枚数が5枚目か否かを判断する(ステップS36)。現在の撮影枚数は6枚目であるので(ステップS36/NO)、撮影終了となる。
図5のレリーズ半押し動作の部分で述べたように、ここに設定した枚数はあくまでも説明を簡略化するために標準枚数を減らした事例であり、信頼性の高い合焦ポイントの場合でも3枚以上の撮影を行えるように構成するのが撮影者の意図する部分にきちんとフォーカスを合わせるというフォーカスブラケットモード本来の意図には合致しているので、そのように構成しても良いし、評価値と撮影枚数の設定段階数も3段階でなく多段階に構成しても良い。
以上の実施例により、AF合焦ポイントの信頼性に応じて自動的に撮影枚数を増減することで、原理的に合様可能性(信頼性)が比較的高い場合には撮影枚数を削減して無駄な撮影を防止し、合焦可能性(信頼性)が比較的低い場合には撮影枚数を増やして、より合焦が得られる確率を増やすことができるインテリジェントな撮像装置の合焦機構とすることができる。
また、コスト面でも全て制御装置内での処理追加にて構成できるため、コストアップすることがなく、安価に構成することが可能である。
実施例2は、フォーカス間隔設定を変更する実施例である。フォーカスブラケットを行うことは事前に設定されているものとする。
まず、図7のフローチャートを説明する。
レリーズが半押しされると(第1レリーズSW3がON処理されると)、モニタリングの停止処理(ステップS41)、AE(測光、測光演算など)処理(ステップS42)を行った後で、AF合焦ポイント検出のために、フォーカスレンズを所定ステップで動かし焦点評価値を取得するAF(スキャン処理)を実施する(ステップS43)。
焦点評価値(各ポイントでの画像信号の高周波成分に関するデータ)の極大値の大きさ(高さ)を評価し、所定アルゴにて、カメラとしての合焦ポイントを決定する(ステップS44)。所定アルゴは、ここでは所定値以上でかつ一番近いもの<スキャン時の繰り出し量にて近いか遠いか判断可能>と設定するものとする。この部分のアルゴは、本発明の本質とは関係がないので種々の変更が可能であり、例えば一番評価値の高い極大値を合焦ポイントとするなどしてもよい。
ここで決定した合焦ポイントの焦点評価値の大きさを検定(評価)する(ステップS45)。実施例2では2種類の所定値(1<大>、2<小>)を設けている。
〈1〉所定値1は上限評価値(第1の所定値)を示し、決定された合焦ポイントの焦点評価値がこの数値より高い場合は(ステップS45/≧所定値1)、フォーカスレンズがこのポイントに来た時の高周波部分のコントラストがきわめて高く、合焦検出の信頼性が高いことを意味する。
〈2〉所定値2は下限評価値(第2の所定値)を示し、決定された合焦ポイントの焦点評価値の大きさがこの数値より低い場合(合焦選定基準よりは上に設定した場合)は(ステップS45/<所定値1、ステップS47/<所定値2)、合焦選定としては問題がない(合焦不能とする程低くはないが)が、高周波成分のコントラストが低く、合焦検出の信頼性が比較的低いことを意味する。
〈3〉所定値1,2の間にある場合は(ステップS45/<所定値1、ステップS47/≧所定値2)、決定された合焦ポイントの焦点評価値の大きさが標準的で、通常レベルの信頼性であることを意味する。
実施例2では、上記〈1〉〜〈3〉のどのレベルで有るかを判定した後、通常のフォーカスブラケット撮影のフォーカス間隔(2step)を自動的に設定変更(増減する)。この設定変更は、メモリ12のフォーカスブラケット駆動幅設定メモリに予め記憶されている設定内容に基づいて行われる。
すなわち、信頼性がきわめて高い上記〈1〉のような場合には(ステップS45/≧所定値1)、フォーカス間隔を小さく(1stepに)設定し、決定合焦ポイントのごく近傍前後のみの撮影とする(ステップS46)。
逆に、信頼性が低い〈2〉のような場合には(ステップS45/<所定値1、ステップS47/<所定値2)、フォーカス間隔を通常より広く(3 stepに)設定し、合焦できる確率をできるだけ増やす制御とする(ステップS48)。
標準的な〈3〉のような場合には(ステップS45/<所定値1、ステップS47/≧所定値2)、通常通りのフォーカス間隔(2 stepに)設定するものとする(ステップS49)。
信頼性が高い場合の設定で、フォーカス間隔が細かいので前後の設定枚数のみの撮影で撮影意図を反映できるとは限らない場合(コントラストの高い人物撮影において手前の目にきちんと合焦させたい様な場合など)には、撮影枚数を同時に増やす構成(振り幅を一定とする)構成や、撮影枚数も同時に減らす構成(無駄な撮影はできるだけしない)構成としてもよい。逆に焦点評価値が低い場合には、同時に枚数を増やす構成(+10枚など)としさらに合焦できる確率を増やしても良い、撮影枚数は減らす(振り幅は一定とする)構成としてもよいし、それらの組み合わせ構成としても良い。フローチャートが煩雑になり説明も冗長となるため、あえてシンプルな構成(フォーカスブラケット撮影枚数は5枚で固定)にて説明している。
その後、所定のフォーカスブラケット枚を設定する(ステップS50)。ここでは、実施例1のように、標準枚数を5枚に設定するものとしている。なお、この部分は、カメラ構成(焦点距離やレンズ構成、レンズのF値や絞り値、必要とされるフォーカス精度など)により異なるが、5枚撮影に意味があるわけではなく、通常のフォーカスブラケットの撮影枚数をセットするという意味である。
次に、フォーカスブラケットの現在枚数カウンタに1をセットし(ステップS50)、決定された合焦ポイントにフォーカスレンズをセット(駆動)する(ステップS51)。
次に、図8のフローチャートを説明する。
図7のステップS51の後、レリーズが押し込んで全押しされると(第2レリーズSW4がON処理されると)、モニタリング停止の後(ステップS52)、ステップS53〜S61において、セットされた撮影枚数と、現在の撮影カウンタの内容により、撮影制御される。ステップS53は、図6のステップS23と同じ動作である。
例えば、フォーカス間隔に2stepがセットされている場合は(図7のステップS49の場合)、『決定合焦ポイント撮影』→『−2×(設定フォーカス間隔:2Step)撮影』→『−1×(設定フォーカス間隔:2Step)撮影』→『+1×(設定フォーカス間隔:2Step)撮影』→『+2×(設定フォーカス間隔:2Step)撮影』が行われて撮影終了となる。
すなわち、詳細は次のようになる。
モニタリング停止の後(ステップS52)、決定した合焦ポイントで1枚目を撮影し、現在の撮影枚数を2枚目とカウントした後(ステップS53)、現在の撮影枚数が2枚目であるか否かを判断する(ステップS54)。
現在の撮影枚数は2枚目であるので(ステップS54/YES)、選択した合焦位置(−2×2Step)にフォーカスレンズをセットし(ステップS55)、撮影及び現在枚数をカウントする(ステップS53)。ここで、現在の撮影枚数は3枚目となる。再び、ステップS54で判断を行った後、現在の撮影枚数が3枚目か否かを判断する(ステップS56)。
現在の撮影枚数は3枚目であるので(ステップS56/YES)、選択した合焦位置(−1×2Step)にフォーカスレンズをセットし(ステップS57)、撮影及び現在枚数をカウントする(ステップS53)。ここで、現在の撮影枚数は4枚目となる。再び、ステップS54、S56で判断を行った後、現在の撮影枚数が4枚目か否かを判断する(ステップS58)。
現在の撮影枚数は4枚目であるので(ステップS58/YES)、選択した合焦位置(+1×2Step)にフォーカスレンズをセットし(ステップS59)、撮影及び現在枚数をカウントする(ステップS53)。ここで、現在の撮影枚数は5枚目となる。再び、ステップS54、S56、S58で判断を行った後、現在の撮影枚数が5枚目か否かを判断する(ステップS60)。
現在の撮影枚数は5枚目であるので(ステップS60/YES)、選択した合焦位置(+2×2Step)にフォーカスレンズをセットし(ステップS61)、撮影及び現在枚数をカウントする(ステップS53)。ここで、現在の撮影枚数は6枚目となる。再び、ステップS54、S56、S58で判断を行った後、現在の撮影枚数が5枚目か否かを判断する(ステップS60)。現在の撮影枚数は6枚目であるので(ステップS60/NO)、撮影終了となる。
図7のレリーズ半押し動作の部分で述べたように、ここに設定したフォーカス間隔はあくまでも説明を簡略化するために、適当なフォーカス間隔にて説明しており、フォーカス間隔ステップ数自体に意味はない。また、所定撮影枚数もフローを簡略化するため少なめに設定してあり、信頼性の高い合焦ポイントの場合でも5枚以上の撮影を行えるように構成し、撮影者の意図する部分に完全にきちんとフォーカスを合わせるという新たなフォーカスブラケットモードの意図に合致するように構成しても良い。撮像素子読み出し速度や、画像処理速度の高速化などもこの構成の追い風となる。評価値とフォーカス間隔の設定段階数も3段階でなく多段階に構成しても良い。
以上の実施例により、AF合焦ポイントの信頼性に応じて自動的にフォーカスブラケット時のフォーカス間隔を増減することで、原理的に合様可能性(信頼性)が比較的高い場合にはフォーカス間隔を狭くしてよりシビアに合焦ポイント近傍の画像を取得し、合焦可能性(信頼性)が比較的低い場合にはフォーカス間隔を広くして、より合焦が得られる確率を増やすことができるインテリジェントな撮像装置の合焦機構とすることができる。
また、コスト面でも全て制御装置内での処理追加にて構成できるため、コストアップすることがなく、安価に構成することが可能である。
実施例1のフローチャートである図5では、事前に合焦ポイントや、合焦領域を指定する場合である(フォーカスブラケットを行うことは事前に設定されているものとする)。合焦ポイントや合焦領域事前指定方法は本発明の本質では無いため、ここでの詳細な説明は控えるが、一般的な方法としては、タッチパネルにより撮影予定範囲をモニタリングしている時に、合焦したい任意の所定領域や、所定被写体、エッジなどをタッチして指定する方式や、あらかじめ合焦が可能な領域をモニタに表示しておき、それをSW操作やメニュー操作により選択する方式などがある。また、顔認識などにて発見された複数の顔をモニタに表示し、合焦したい顔をSWやタッチパネルにより選択する方法などもある。将来的には、被写体領域をカメラにて自動分割し、領域表示した上で、合焦したい領域をSWやタッチパネルにて選択させる方式も考えられる。以上何れかの方法により、事前に合焦させたい領域が指定されているものとする。
まず、図9のフローチャートを説明する。フォーカスブラケットを行うことは事前に設定されているものとする。
レリーズが半押しされると(第1レリーズSW3がON処理されると)、モニタリングの停止処理(ステップS71)、AE(測光、測光演算など)処理(ステップS72)を行った後で、AF合焦ポイント検出のために、フォーカスレンズを所定ステップで動かし焦点評価値を取得するAF(スキャン処理)を実施する(ステップS73)。
ここで、ステップS73は、ステップS73a〜S73cからなる。ステップS72のAE処理の後、事前に焦点評価値取得領域が指定されているか否かを判断し(ステップS73a)、指定が有る場合(ステップS73a/YES)、指定領域のみに対して、AF(スキャン処理)を行い(ステップS73c)、指定が無い場合(ステップS73a/NO)、全領域に対してAF(スキャン処理)を行う(ステップS73b)。つまり、本実施例3では、通常の場合(実施例1、2の場合)と異なり、焦点評価値取得領域は、指定された領域のみでの単数または複数の評価値の取得となり、合焦ポイントもその中から決定される。
以降のステップS74〜S81までの動作は、図1のステップS14〜S21と同じであるので、ここでの説明は省略する。
また、図9のステップS81の後、レリーズが押し込んで全押しされた後(第2レリーズSW4がON処理された後)の動作は、図6をそのまま適用できるので、ここでの説明は省略する。
以上の実施例により、AF合焦ポイントの信頼性に応じて自動的に撮影枚数を増減することで、原理的に合様可能性(信頼性)が比較的高い場合には撮影枚数を削減して無駄な撮影を防止し、合焦可能性(信頼性)が比較的低い場合には撮影枚数を増やして、より合焦が得られる確率を増やすことができるインテリジェントな撮像装置の合焦機構とすることができる。
また、コスト面でも全て制御装置内での処理追加にて構成できるため、コストアップすることがなく、安価に構成することが可能である。
なお、実施例3では、説明簡略化するために設定枚数を増減するタイプ(実施例1)にて説明したが、実施例2との組み合わせ(フォーカス間隔を変更する実施例)との組み合わせ(この場合、図9のステップS74〜S81までの動作を、図7のステップS44〜S51と置き換え、図9のステップS81以降は、図8をそのまま適用する)や、それらの組み合わせでももちろん実施可能であり、事前に決めた合焦範囲内にてAFスキャンを行い、合焦ポイントの焦点評価値の大きさに応じて、フォーカスブラケットの撮影枚数や、フォーカス間隔を変更する点は同じである。
実施例4は、実施例1において、新たに設定された、撮影枚数やフォーカスブラケット間隔を表示手段(図1の表示装置7。例えば、LCDモニタ、有機EL、LED等)に表示する実施例である。
まず、図10のフローチャートを説明する。本実施例4においても、フォーカスブラケットを行うことは事前に設定されているものとする。
レリーズが半押しされた後(第1レリーズSW3がON処理された後)の動作であるステップS91〜S101は、実施例1における図5のステップS11〜S21と同じであるので、ここでの説明は省略する。
ステップS101のセット後、新たに決定した撮影枚数とフォーカス間隔(ここでは規定間隔)をLCDモニタ上に表示する(ステップS102)。この表示により、ユーザに焦点評価値の信頼性や、今後の撮影動作枚数を予告することができ、カメラのホールディングなど(撮影枚数が増えればホールディング時間をあらかじめ長く予測し、しっかり構える必要がある)を改善することが可能であり、設定枚数や、フォーカス間隔に不満があれば撮影をやめることが可能となり、無駄な撮影を事前に防止することも可能となる。
また、図10のステップS102の表示の後の、レリーズが押し込んで全押しされた後(第2レリーズSW4がON処理された後)の動作である図11のステップS112〜S127は、実施例1における図6のステップS22〜S37と同じであるので、ここでの説明は省略する。
本実施例4では、図11に示すように、撮影終了が決定した時点で、LCD、有機EL、LEDなどの表示手段に表示されている撮影枚数やフォーカス間隔の表示を消灯する(ステップS128)。
以上の実施例により、AF合焦ポイントの信頼性に応じて自動的に撮影枚数を増減することで、原理的に合様可能性(信頼性)が比較的高い場合には撮影枚数を削減して無駄な撮影を防止し、合焦可能性(信頼性)が比較的低い場合には撮影枚数を増やして、より合焦が得られる確率を増やすことができるインテリジェントな撮像装置の合焦機構とすることができる。
また、コスト面でも全て制御装置内での処理追加にて構成できるため、コストアップすることがなく、安価に構成することが可能である。
また、表示手段として、通常カメラに設けられているLCD、有機EL、LEDなどの各種モニタ手段を使用することでコストを追加することなく実現が可能である。
なお、上記実施例4の説明では、実施例1を元にして説明したが、実施例2や実施例3との組み合わせでももちろん実施が可能であるし、表示する項目も、設定枚数だけでも良いし、フォーカス間隔だけでも良いし、初期値から変更されたものだけでも良いし、他の項目と一緒に表示してもよい。また、撮影枚数が多い場合などに、第1レリーズSW3作業中に三脚の使用を呼びかけたり、第2レリーズSW4作業中にしっかりホールドする旨呼びかけたりする表示などを追加して行う構成としても良い。
また、上記実施例4の説明では、撮影枚数やフォーカスブラケットの間隔などを表示することにより、撮像装置のユーザに通知するものとしたが、音声発生手段等による音声発生により上記表示内容と同じ内容を通知するようにしてもよい。また、表示及び音声発生の両方で、上記内容を通知するようにしてもよい。
上記実施例1〜4では、焦点評価値の大きさ(高さ)に応じて、撮影枚数やフォーカスブラケット間隔を設定するようにしたが、以下に説明する実施例5〜8では、焦点評価値のピーク形状(ピーク尖鋭度)に応じて、撮影枚数やフォーカスブラケット間隔を設定する。
実施例5は、枚数設定を変更する実施例である。フォーカスブラケットを行うことは事前に設定されているものとする。
まず、図13のフローチャートを説明する。
レリーズが半押しされると(第1レリーズSW3がON処理されると)、モニタリングの停止処理(ステップS131)、AE(測光、測光演算など)処理(ステップS132)を行った後で、AF合焦ポイント検出のために、フォーカスレンズを所定ステップで動かし焦点評価値を取得するAF(スキャン処理)を実施する(ステップS133)。
焦点評価値(各ポイントでの画像信号の高周波成分に関するデータ)のピーク値(極大値)の高さとその時のレンズ位置を評価し、所定アルゴにて、カメラとしての合焦ポイントを決定する(ステップS134)。所定アルゴは、ここでは所定値以上でかつ一番近いもの<スキャン時の繰り出し量にて近いか遠いか判断可能>と設定するものとする。この部分のアルゴは、本発明の本質とは関係がないので種々の変更が可能であり、例えば一番評価値の高い極大値を合焦ポイントとするなどしてもよい。
ここで決定した合焦ポイントの焦点評価値のピーク形状(ピーク尖鋭度)を検定(評価)する(ステップS135)。検定方法としては、合焦ポイント前後のフォーカス位置と、合焦ポイントにおける評価値の差を3段階にて算出することで、合焦ポイント近辺の傾きを求める方法である。ここでは、傾きのX成分となる合焦ポイント前後のステップ数の差は同じである(等間隔でスキャンするシステムの場合)ので、実質的には、評価値の差を適当な数値で割ることで評価値差を3段階に丸めることとなる。算出する傾きは、片側のみでもよいし、両側で算出して平均するやり方でもよい(図12のピーク値形状概念図参照)。
本実施例5では、評価値範囲が、0から1200程度と仮定し、3段階に丸めるために、評価値の差を300程度で割って尖鋭度を算出しているが、この具体的数値自体に意味はなく、種々の変更が可能である。
〈1〉図12に示すピーク近傍傾き3(形状段階3)は、傾きが比較的急峻で、形状が尖鋭な場合を示しており、決定された合焦ポイント部分が突出して高いため合焦ポイント検出がしやすく、信頼性が比較的高いことを意味する。
〈2〉図12に示すピーク近傍傾き1(形状段階1)は傾きが比較的なだらかで、形状が幅広いことを示し、決定された合焦ポイントは、合焦位置選定としては問題がない(合焦閾値以上であるため合焦不能とする程低くはないが)が、合焦位置ピークが決めにくいため、価値が合焦閾値以下の部分となる可能性がある(信頼性が比較的低くなる可能性がある)ことを意味する。
〈3〉図12に示すピーク近傍傾き2(形状段階2)は、傾きが標準的であり、決定された合焦ポイントの検出信頼性が通常レベルであることを意味する。
本実施例5では、上記〈1〉〜〈3〉のどのレベルで有るかを判定した後、通常のフォーカスブラケット撮影枚数(標準枚数。ここでは3枚)を自動的に設定変更(増減する)(ステップS136)。この設定変更は、メモリ12のフォーカスブラケット撮影枚数設定メモリに予め記憶されている設定内容に基づいて行われる。
すなわち、信頼性がきわめて高い上記〈1〉(ピーク尖鋭度>3:第1の所定値)のような場合には、合焦位置のみの撮影でも問題がないと考えられるので、撮影枚数を1枚にセットする。
逆に、信頼性が低い〈2〉(ピーク尖鋭度<1:第2の所定値)のような場合には、撮影枚数を2枚増やして5枚にセットし、合焦の確率を自動的に増やす制御とする。
標準的な〈3〉のような場合には、通常通りの撮影枚数(撮影枚数3枚セット)とする。
なお、信頼性が高い場合にも、必ずしも1枚のみの撮影で撮影意図を反映できるとは限らない場合(コントラストの高い人物撮影において手前の目にきちんと合焦させたい様な場合など)には、フォーカス間隔を細かく取って、標準撮影枚数を5枚以上程度に設定して、そこから増減する構成としてもよいし、増減枚数を10枚などの大きい数値や、前後非対称に設定してもよい。ここでは、フローチャートが煩雑になり説明も冗長となるため、あえてシンプルな構成にて説明している。
また、上記セット後、ステップS136において、フォーカスブラケットの現在枚数カウンタに1をセットする。なお、この現在枚数のセットは、以下のステップS137で行うようにしてもよい。
以上のようにセットした後、所定のフォーカスブラケット間隔(ここでは、パルスモータ方式のフォーカス制御を想定しており、どのくらいのフォーカスステップ間隔にてフォーカスをずらして撮影するかを示している)を設定する(ステップS137)。ここでは、通常2ステップ間隔と設定するものとしている。この部分はカメラ構成(焦点距離やレンズ構成、レンズのF値や絞り値、必要とされるフォーカス精度などにより異なるが、2ステップに意味があるわけではなく、通常のフォーカスブラケットのフォーカス間隔をセットするという意味である。
決定された合焦ポイントにフォーカスレンズをセット(駆動)する(ステップS138)。
なお、図13のステップS138の後、レリーズが押し込んで全押しされた後(第2レリーズSW4がON処理された後)の動作は、図6をそのまま適用できるので、ここでの説明は省略する。
図13のレリーズ半押し動作の部分で述べたように、ここに設定した枚数はあくまでも説明を簡略化するために標準枚数を減らした事例であり、信頼性の高い合焦ポイントの場合でも例えば3枚以上の撮影を行えるように構成するのが撮影者の意図する部分にきちんとフォーカスを合わせるというフォーカスブラケットモード本来の意図には合致しているので、そのように構成しても良いし、評価値と撮影枚数の設定段階数も3段階でなく多段階に構成しても良い。
以上の実施例により、AF合焦ポイントの信頼性に応じて自動的に撮影枚数を増減することで、原理的に合様可能性(信頼性)が比較的高い場合には撮影枚数を削減して無駄な撮影を防止し、合焦可能性(信頼性)が比較的低い場合には撮影枚数を増やして、より合焦が得られる確率を増やすことができるインテリジェントな撮像装置の合焦機構とすることができる。
また、コスト面でも全て制御装置内での処理追加にて構成できるため、コストアップすることがなく、安価に構成することが可能である。
実施例6は、フォーカス間隔設定を変更する実施例である。フォーカスブラケットを行うことは事前に設定されているものとする。
まず、図14のフローチャートを説明する。
レリーズが半押しされると(第1レリーズSW3がON処理されると)、モニタリングの停止処理(ステップS141)、AE(測光、測光演算など)処理(ステップS142)を行った後で、AF合焦ポイント検出のために、フォーカスレンズを所定ステップで動かし焦点評価値を取得するAF(スキャン処理)を実施する(ステップS143)。
焦点評価値(各ポイントでの画像信号の高周波成分に関するデータ)のピーク値(極大値)の高さとその時のレンズ位置を評価し、所定アルゴにて、カメラとしての合焦ポイントを決定する(ステップS144)。所定アルゴは、ここでは所定値以上でかつ一番近いもの<スキャン時の繰り出し量にて近いか遠いか判断可能>と設定するものとする。この部分のアルゴは、本発明の本質とは関係がないので種々の変更が可能であり、例えば一番評価値の高い極大値を合焦ポイントとするなどしてもよい。
ここで決定した合焦ポイントの焦点評価値のピーク形状(ピーク尖鋭度)を検定(評価)する(ステップS145)。検定方法としては、合焦ポイント前後のフォーカス位置と、合焦ポイントにおける評価値の差を3段階にて算出することで、合焦ポイント近辺の傾きを求める方法である。ここでは、傾きのX成分となる合焦ポイント前後のステップ数の差は同じである(等間隔でスキャンするシステムの場合)ので、実質的には、評価値の差を適当な数値で割ることで評価値差を3段階に丸めることとなる。算出する傾きは、片側のみでもよいし、両側で算出して平均するやり方でもよい(図12のピーク値形状概念図参照)。
本実施例6では、評価値範囲が、0から1200程度と仮定し、3段階に丸めるために、評価値の差を300程度で割って尖鋭度を算出しているが、この具体的数値自体に意味はなく、種々の変更が可能である。
〈1〉図12に示すピーク近傍傾き3(形状段階3)は、傾きが比較的急峻で、形状が尖鋭な場合を示しており、決定された合焦ポイント部分が突出して高いため合焦ポイント検出がしやすく、信頼性が比較的高いことを意味する。
〈2〉図12に示すピーク近傍傾き1(形状段階1)は傾きが比較的なだらかで、形状が幅広いことを示し、決定された合焦ポイントは、合焦位置選定としては問題がない(合焦閾値以上であるため合焦不能とする程低くはないが)が、合焦位置ピークが決めにくいため、価値が合焦閾値以下の部分となる可能性がある(信頼性が比較的低くなる可能性がある)ことを意味する。
〈3〉図12に示すピーク近傍傾き2(形状段階2)は、傾きが標準的であり、決定された合焦ポイントの検出信頼性が通常レベルであることを意味する。
本実施例6では、上記〈1〉〜〈3〉のどのレベルで有るかを判定した後、通常のフォーカスブラケット撮影のフォーカス間隔(2step)を自動的に設定変更(増減する)(ステップS146)。この設定変更は、メモリ12のフォーカスブラケット駆動幅設定メモリに予め記憶されている設定内容に基づいて行われる。
すなわち、信頼性がきわめて高い上記〈1〉(ピーク尖鋭度>3:第1の所定値)のような場合には、フォーカス間隔を小さく(1stepに)設定し、決定合焦ポイントのごく近傍前後のみの撮影とする。
逆に、信頼性が低い〈2〉(ピーク尖鋭度<1:第2の所定値)のような場合には、フォーカス間隔を通常より広く(3stepに)設定し、合焦できる確率をできるだけ増やす制御とする。
標準的な〈3〉のような場合には、通常通りのフォーカス間隔(2stepに)設定するものとする。
信頼性が高い場合の設定で、フォーカス間隔が細かいので前後の設定枚数のみの撮影で撮影意図を反映できるとは限らない場合(コントラストの高い人物撮影において手前の目にきちんと合焦させたい様な場合など)には、撮影枚数を同時に増やす構成(トータルの振り幅を一定とする)構成や、撮影枚数も同時に減らす構成(無駄な撮影はできるだけしない)構成としてもよい。逆に焦点評価値が低い場合には、同時に枚数を増やす構成(+10枚など)とし、さらに厳密に合焦できる確率を増やしても良い、撮影枚数は減らす(トータルの振り幅は一定とする)構成としてもよいし、それらの組み合わせ構成としても良い。フローチャートが煩雑になり説明も冗長となるため、あえてシンプルな構成(フォーカスブラケット撮影枚数は5枚で固定)にて説明している。
その後、所定のフォーカスブラケット枚を設定する(ステップS147)。ここでは、実施例5のように、標準枚数を5枚に設定するものとしている。なお、この部分は、カメラ構成(焦点距離やレンズ構成、レンズのF値や絞り値、必要とされるフォーカス精度など)により異なるが、5枚撮影に意味があるわけではなく、通常のフォーカスブラケットの撮影枚数をセットするという意味である。
次に、フォーカスブラケットの現在枚数カウンタに1をセットし(ステップS147)、決定された合焦ポイントにフォーカスレンズをセット(駆動)する(ステップS148)。
なお、図14のステップS148の後、レリーズが押し込んで全押しされた後(第2レリーズSW4がON処理された後)の動作は、図8をそのまま適用できるので、ここでの説明は省略する。
図14のレリーズ半押し動作の部分で述べたように、ここに設定したフォーカス間隔はあくまでも説明を簡略化するために、適当なフォーカス間隔にて説明しており、フォーカス間隔ステップ数自体に意味はない。また、所定撮影枚数もフローを簡略化するため少なめに設定してあり、信頼性の高い合焦ポイントの場合でも5枚以上の撮影を行えるように構成し、撮影者の意図する部分に完全にきちんとフォーカスを合わせるという新たなフォーカスブラケットモードの意図に合致するように構成しても良い。撮像素子読み出し速度や、画像処理速度の高速化などもこの構成の追い風となる。評価値とフォーカス間隔の設定段階数も3段階でなく多段階に構成しても良い。
以上の実施例により、AF合焦ポイントの信頼性に応じて自動的にフォーカスブラケット時のフォーカス間隔を増減することで、原理的に合様可能性(信頼性)が比較的高い場合にはフォーカス間隔を狭くしてよりシビアに合焦ポイント近傍の画像を取得し、合焦可能性(信頼性)が比較的低い場合にはフォーカス間隔を広くして、より合焦が得られる確率を増やすことができるインテリジェントな撮像装置の合焦機構とすることができる。
また、コスト面でも全て制御装置内での処理追加にて構成できるため、コストアップすることがなく、安価に構成することが可能である。
実施例6のフローチャートである図14では、事前に合焦ポイントや、合焦領域を指定する場合である(フォーカスブラケットを行うことは事前に設定されているものとする)。合焦ポイントや合焦領域事前指定方法は本発明の本質では無いため、ここでの詳細な説明は控えるが、一般的な方法としては、タッチパネルにより撮影予定範囲をモニタリングしている時に、合焦したい任意の所定領域や、所定被写体、エッジなどをタッチして指定する方式や、あらかじめ合焦が可能な領域をモニタに表示しておき、それをSW操作やメニュー操作により選択する方式などがある。また、顔認識などにて発見された複数の顔をモニタに表示し、合焦したい顔をSWやタッチパネルにより選択する方法などもある。将来的には、被写体領域をカメラにて自動分割し、領域表示した上で、合焦したい領域をSWやタッチパネルにて選択させる方式も考えられる。以上何れかの方法により、事前に合焦させたい領域が指定されているものとする。
まず、図15のフローチャートを説明する。フォーカスブラケットを行うことは事前に設定されているものとする。
レリーズが半押しされると(第1レリーズSW3がON処理されると)、モニタリングの停止処理(ステップS151)、AE(測光、測光演算など)処理(ステップS152)を行った後で、AF合焦ポイント検出のために、フォーカスレンズを所定ステップで動かし焦点評価値を取得するAF(スキャン処理)を実施する(ステップS153)。
ここで、ステップS153は、ステップS153a〜S153cからなる。ステップS152のAE処理の後、事前に焦点評価値取得領域が指定されているか否かを判断し(ステップS153a)、指定が有る場合(ステップS153a/YES)、指定領域のみに対して、AF(スキャン処理)を行い(ステップS153c)、指定が無い場合(ステップS153a/NO)、全領域に対してAF(スキャン処理)を行う(ステップS153b)。つまり、本実施例7では、通常の場合(実施例5、6の場合)と異なり、焦点評価値取得領域は、指定された領域のみでの単数または複数の評価値の取得となり、合焦ポイントもその中から決定される。
以降のステップS154〜S158までの動作は、図14のステップS144〜S148と同じであるので、ここでの説明は省略する。
また、図15のステップS158の後、レリーズが押し込んで全押しされた後(第2レリーズSW4がON処理された後)の動作は、図8をそのまま適用できるので、ここでの説明は省略する。
以上の実施例により、AF合焦ポイントの信頼性に応じて自動的にフォーカスブラケット時のフォーカス間隔を増減することで、原理的に合様可能性(信頼性)が比較的高い場合にはフォーカス間隔を狭くしてよりシビアに合焦ポイント近傍の画像を取得し、合焦可能性(信頼性)が比較的低い場合にはフォーカス間隔を広くして、より合焦が得られる確率を増やすことができるインテリジェントな撮像装置の合焦機構とすることができる。
また、コスト面でも全て制御装置内での処理追加にて構成できるため、コストアップすることがなく、安価に構成することが可能である。
なお、実施例7では、説明簡略化するためにフォーカス間隔を増減するタイプ(実施例6のタイプ)にて説明したが、実施例5との組み合わせ(撮影枚数を変更する実施例)との組み合わせ(この場合、図15のステップS154〜S158までの動作を、図13のステップS134〜S138と置き換え、図15のステップS158以降は、図8をそのまま適用する)や、それらの組み合わせでももちろん実施可能であり、事前に決めた合焦範囲内にてAFスキャンを行い、合焦ポイントの焦点評価値の大きさに応じて、フォーカスブラケットの撮影枚数や、フォーカス間隔を変更する点は同じである。
実施例8は、実施例5において、新たに設定された、撮影枚数やフォーカスブラケット間隔を表示手段(図1の表示装置7。例えば、LCDモニタ、有機EL、LED等)に表示する実施例である。
まず、図16のフローチャートを説明する。本実施例8においても、フォーカスブラケットを行うことは事前に設定されているものとする。
レリーズが半押しされた後(第1レリーズSW3がON処理された後)の動作であるステップS161〜S168は、実施例5における図13のステップS131〜S138と同じであるので、ここでの説明は省略する。
ステップS168のセット後、新たに決定した撮影枚数とフォーカス間隔(ここでは規定間隔)をLCDモニタ上に表示する(ステップS169)。この表示により、ユーザに焦点評価値の信頼性や、今後の撮影動作枚数を予告することができ、カメラのホールディングなど(撮影枚数が増えればホールディング時間をあらかじめ長く予測し、しっかり構える必要がある)を改善することが可能であり、設定枚数や、フォーカス間隔に不満があれば撮影をやめることが可能となり、無駄な撮影を事前に防止することも可能となる。
また、図16のステップS169の後、レリーズが押し込んで全押しされた後(第2レリーズSW4がON処理された後)の動作は、図11をそのまま適用できるので、ここでの説明は省略する。
以上の実施例により、AF合焦ポイントの信頼性に応じて自動的に撮影枚数を増減することで、原理的に合様可能性(信頼性)が比較的高い場合には撮影枚数を削減して無駄な撮影を防止し、合焦可能性(信頼性)が比較的低い場合には撮影枚数を増やして、より合焦が得られる確率を増やすことができるインテリジェントな撮像装置の合焦機構とすることができる。
また、コスト面でも全て制御装置内での処理追加にて構成できるため、コストアップすることがなく、安価に構成することが可能である。
また、表示手段として、通常カメラに設けられているLCD、有機EL、LEDなどの各種モニタ手段を使用することでコストを追加することなく実現が可能である。
なお、上記実施例8の説明では、実施例5を元にして説明したが、実施例6や実施例7との組み合わせでももちろん実施が可能であるし、表示する項目も、設定枚数だけでも良いし、フォーカス間隔だけでも良いし、初期値から変更されたものだけでも良いし、他の項目と一緒に表示してもよい。また、撮影枚数が多い場合などに、第1レリーズSW3作業中に三脚の使用を呼びかけたり、第2レリーズSW4作業中にしっかりホールドする旨呼びかけたりする表示などを追加して行う構成としても良い。
また、上記実施例8の説明では、撮影枚数やフォーカスブラケットの間隔などを表示することにより、撮像装置のユーザに通知するものとしたが、音声発生手段等による音声発生により上記表示内容と同じ内容を通知するようにしてもよい。また、表示及び音声発生の両方で、上記内容を通知するようにしてもよい。
上記各実施例では、焦点評価値に応じて、撮影枚数やフォーカス間隔を変更する事例にて本発明を説明してきたが、焦点評価値と撮影距離に応じて、撮影枚数やフォーカス間隔を変更する実施例も考えられる。例えば、撮影距離が近い場合は、被写界深度が比較的浅い為フォーカス間隔を少し替えると大きく合焦が変化してしまう場合は、フォーカス間隔をより狭くして、撮影枚数は変化させない構成とすることを基本として、焦点評価値も加味してフォーカス間隔と撮影枚数を決める実施例とする。また撮影距離が遠い場合は、被写界深度が比較的深いためフォーカス間隔を広げて撮影枚数も増やすことを基本として、焦点評価値も加味して決定するなどが考えられる。また同様に撮影レンズの焦点距離や、絞り値を加味した構成も考えられる。
焦点距離が短い(広角レンズ)や絞り込んだ場合は、被写界深度が深いため、逆にフォーカス間隔を広くして、撮影枚数も増やすことを基本として、焦点評価値を加味して、撮影枚数やフォーカス間隔を設定し、焦点距離が長い場合や絞りを開けた場合はフォーカス間隔を狭くして、撮影枚数はそのままに設定することを基本として、焦点評価値を加味して撮影枚数やフォーカス間隔を加減し決定するなどの実施例も考えられる。さらにこれらの組み合わせの実施例も考えられるが、説明がきわめて複雑となるため、記述した実施例の組み合わせとして実施例とする。
また、変更するパラメータを撮影枚数やフォーカス間隔ではなく、絞り値または絞り値との組み合わせとすることも考えられる。すなわち、焦点評価値が大きい場合は、絞りはそのままにし、小さい場合は絞りを絞り込むなどの実施例と組み合わせても良いし。焦点評価値が高い場合は、絞りをあけてよりボケ味を際だたせる方向とし、フォーカス間隔を細かく設定し、撮影枚数も有る程度確保するような構成なども考えられる。
以上、本発明の各実施例について説明したが、上記各実施例の記載に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。すなわち、本発明は、合焦ポイントに決定した焦点評価値の大きさにより、撮影枚数、フォーカス間隔、絞り値などを変更することで、よりインテリジェントなフォーカスブラケット撮影を行うためのものであり、種々の変形実施が可能であり、コストは最小限で、省エネ、省資源にも貢献する。
また、ピーク形状の検定方法は、本発明の本質部分ではなく、一例として述べてきたやり方(ピーク前後の傾きから求める方式)の他にも、逆に単位評価値あたりの、フォーカスレンズステップ幅から基準値を算出してもよいし、AFスキャン時のレンズステップデータまたはレンズステップデータから算出した概略撮影距離関連データと、評価値データとの関係式から演算で求める方式や、グラフプロットしてパターンマッチングで検定する方式、ピーク前後のベクトルデータから求める方式など、種々の方式を採用してもよい。
また、上述した各実施例における撮像装置における制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。なお、ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送したりし、コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
また、上記各実施例で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
以上の各実施例の説明から分かるように、本発明の撮像装置によれば、メインの効果(合焦部信頼性に応じた自動枚数設定、フォーカス間隔設定により煩雑な手順がなくブラケット撮影が行える)の他に、無駄な撮影防止や、撮影意図を外れた画像群を保存してしまうことがない。よって、省エネ、省資源の効果がある。
また、本発明の撮像装置によれば、設定結果を表示することで、カメラの自動設定結果に不満が有る場合は、レリーズ操作やモード設定をやり直すことができるため、前述の追加効果を更に強化することができる。
また、本発明の撮像装置によれば、操作性の観点でも、すべて自動的に判断し、設定、撮影、保存が行われるので撮影者の力量に関わらず、理論的裏付けに基づく撮影を自動的に行うことができる。
本発明は、撮像装置のフォーカス機構に適用できる。応用例として、撮像機能付き携帯機器のフォーカス機構に適用できる。
本発明の一実施形態である撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
本発明の一実施形態である撮像装置の全体動作を示すフローチャートである。
本発明の概念を説明するための図であり、被写体の状況と位置関係の例を示す図である。
本発明の概念を説明するための図であり、オートフォーカス合焦位置スキャン時の焦点評価値の変化曲線を示すグラフである。
本発明の実施例1に係り、レリーズが半押しされた後の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例1に係り、レリーズが全押しされた後の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例2に係り、レリーズが半押しされた後の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例2に係り、レリーズが全押しされた後の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例3に係り、レリーズが半押しされた後の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例4に係り、レリーズが半押しされた後の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例9に係り、レリーズが全押しされた後の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例5に係り、ピーク値の形状を示す概念図である。
本発明の実施例5に係り、レリーズが半押しされた後の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例6に係り、レリーズが半押しされた後の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例7に係り、レリーズが半押しされた後の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例8に係り、レリーズが半押しされた後の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1 制御装置(CPU)
2 測光センサ
3 第1レリーズSW
4 第2レリーズSW
5 フォーカス駆動装置
6 シャッタ駆動装置
7 表示装置
8 撮像素子(撮像光学系、電気的撮像手段)
9 記憶手段
10 演算手段
11 時間カウント手段(タイマ手段)
12 メモリ