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JP4887794B2 - 携帯電子機器 - Google Patents

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Description

この発明は、外部機器と電磁界信号を介して通信するRFID(Radio Frequency-Identification:電波方式認識)用の無線タグを搭載した携帯電話端末等の携帯電子機器に関するものである。
近年普及が広がっているRFID用の無線タグを搭載した携帯電話等の携帯電子機器においては、例えば特許文献1に示されているように無線タグのアンテナコイルが携帯電子機器内に配置されている。
ここで特許文献1に示されている携帯電話端末(以下、単に「携帯電話機」という。)の構成を図1・図2を基に説明する。
図1はその携帯電話機の正面図および側面図である。この例は、主筐体1と副筐体5とからなるいわゆるクラムシェル型の筐体を備えたものであり、主筐体1の内部には基板3を備えていて、主筐体1の裏面側に着脱自在の電池パック4を取り付けている。この電池パック4にはアンテナコイル2を配置している。
上記アンテナコイル2は基板(基板3とは別の基板)上に矩形の渦巻き状のパターンでアンテナコイルが印刷形成されている。また、その基板にはRFID用のICチップおよび共振用コンデンサが実装されていて、上記アンテナコイルと共振用コンデンサとによってコイルアンテナが構成されている。
特開2004−227046号公報
図2は、図1に示した携帯電話機をRFIDのリーダ・ライタにかざした状態での磁束の経路の例を示している。図中φはリーダ・ライタのアンテナからの磁束を示している。通常、図2(A)に示すように主筐体11側をリーダ・ライタ側のアンテナにかざす。
ところが、特許文献1に示されている構成では、基板の下側にアンテナコイルを実装した場合、図2(A)に示すようにその基板(プリント配線基板)や金属筐体によって磁束が遮られるため、アンテナコイル内を通過する磁束が少なくなる。そのため、RFIDの通信距離を必要距離だけ確保するためには、アンテナコイルの開口面積(上記渦巻き状パターンの開口面積)を広くとる必要があった。したがって実装面積が大きくなり、機器本体の設計の自由度が低くなるという問題があった。
また、図2(B)は副筐体15をリーダ・ライタ側、主筐体11をリーダ・ライタから遠い側にしてリーダ・ライタのアンテナにかざした状態を示している。このようにアンテナコイルの実装された面を上に向けると、リーダ・ライタからの磁束φが主筐体11、その内部の基板13および電池パック14によって遮られるため、アンテナコイル12を磁束が殆ど通過せず、RFIDとしての通信が不可能となる。
そこで、この発明の目的は、RFIDのリーダ・ライタ等の外部機器と通信する際に、同じ実装面積のアンテナコイルを用いるものに比較して通信距離を向上させた、または携帯電子機器の表裏面どちらを外部機器にかざしても通信が可能となるようにした、携帯電子機器を提供することにある。
前記課題を解決するためにこの発明の携帯電子機器は次のように構成する。
互いに対向する第1・第2の主面およびその第1・第2の主面を連結する側面を有する板状の筐体を備え、磁性体部材と該磁性体部材に巻回したコイル部材とからなるアンテナコイルを前記筐体内に設け、前記第1・第2の主面に対して交差する方向に磁束が通る向きで且つ前記側面に沿って前記アンテナコイルを配置した構成とする。
そして、前記アンテナコイルは前記筐体の互いに対向する側面に沿って少なくとも一対配置する
また、例えば互いに対向する平行な2組の側面を有する直方体形状の筐体を用い、そのいずれかの側面に平行な対称軸に対して線対称位置にアンテナコイルを配置する。
また、例えば平面形状が中心点に対して点対称形状をなす筐体を用い、その中心点に対して点対称位置に前記アンテナコイルを配置する。
また、例えば筐体を主筐体とそれに連結された副筐体とから構成し、主筐体側に前記アンテナコイルを配置し、副筐体側に前記アンテナコイルの磁束が通る向きで且つ副筐体内の側面に沿って磁性体部材を設ける。
この発明によれば、次のような効果を奏する。
筐体の互いに対向する第1・第2の主面に対して交差する方向に磁束が通る向きで且つその第1・第2の主面を連結する側面に沿ってアンテナコイルを配置したことによりRFIDのリーダ・ライタ等の外部機器との間で通信を行う際、筐体の側面を通る磁束が前記アンテナコイルと鎖交するので、筐体内に設けられている基板や電池パック等の磁気遮蔽物の影響を殆ど受けることがない。そのため、外部機器との通信距離を長く確保できる。また、単体の筐体を用いる場合に、アンテナコイルは筐体の第1・第2主面のうちいずれか一方に配置した場合のような表裏の区別がないので、外部機器に対して携帯電子機器の表裏のいずれの面をかざしても通信が可能となる。
また、前記アンテナコイルを筐体の互いに対向する側面に沿って少なくとも一対配置することによって、アンテナ感度のピーク位置を携帯電子機器の第1・第2の主面の中央部付近に位置させることができる。そのため、一般に最良の通信位置となるアンテナコイルの真下からずれた位置で外部機器と通信する場合のアンテナ感度の急激な低下を防止できる。したがって、外部機器に対して携帯電子機器をかざす面の面方向の通信可能範囲が広がる。
特に、前記対をなす複数のアンテナコイルを筐体の側面に平行な対称軸に対して線対称位置に配置することによって、その対称軸に対して直角方向の面方向のずれに対する感度の劣化が抑えられる。
また、前記対をなす複数のアンテナコイルを筐体の中心点に対して点対称位置に配置することによって、その対をなすアンテナコイル同士の間隔を大きく確保でき、上記面方向のずれに対する感度の劣化が抑えられる。
筐体が、前記アンテナコイルを備えた主筐体とそれに連結された副筐体とから構成する場合に、主筐体と副筐体とが重なった状態で、携帯電子機器の副筐体側を外部機器にかざしても、すなわちアンテナコイルが外部機器から遠ざかる方向にかざしても、より長い通信距離が確保できるので、携帯電子機器の利用形態に係わらず(利用形態が制約されることなく)外部機器との通信が可能となる。
《第1の実施形態》
第1の実施形態に係る携帯電子機器について図3・図4を基に説明する。
図3はこの第1の実施形態に係る携帯電子機器の構成を示す図であり、(A)は正面図、(B)は左側面図である。この携帯電話機の筐体は主筐体11と副筐体15とからなるいわゆるクラムシェル型の筐体であり、主筐体11の内部に基板(プリント配線基板)13と電池パック14を備えるとともに、アンテナコイル12を設けている。このアンテナコイル12は、第1主面S1・第2主面S2に対して垂直な側面S3に沿って、且つ第1主面S1・第2主面S2に対して垂直方向に磁束が通る向きにアンテナコイル12を配置している。
なお、本実施形態における「垂直」とは、90°およびその前後を含む角度を意味するものとする。
図3(C)は上記アンテナコイル12の構成を示す斜視図である。このアンテナコイル12は、直方体形状の(板状の)フェライト等の磁性体コア121と、それに対して巻回したコイル122とから構成している。このアンテナコイル12は、図3(A),(B)に示したように、主筐体11の側面に沿って、筐体内側壁面と基板13との隙間に挿入するために、磁性体コア121の厚み方向が主筐体11の側面S3方向を向くようにしている。また、第1主面S1・第2主面S2に対して垂直方向に磁束が通る向きに、磁性体コア121にコイル122を巻回している。
なお、本実施形態における「直方体形状」とは、略直方体形状を含むものとする。
図3(D)は上記アンテナコイルの設置可能な箇所を示す図である。上記アンテナコイル12は、主筐体11の第1主面S1・第2主面S2に対してほぼ垂直方向に磁束が通る向きで且つ主筐体11の側面に沿って配置すればよいので、図3(D)においてSAで示すハッチング部分、すなわち主筐体11内部の側壁面と基板13および電池パック14の側面との隙間に配置すればよい。
図4は、図3に示した携帯電話機をRFIDのリーダ・ライタにかざした状態での磁束の経路の例を示している。図中φはリーダ・ライタのアンテナからの磁束を示している。通常、図4(A)に示すように主筐体11側をリーダ・ライタ側のアンテナにかざす。
このように、筐体の互いに対向する第1・第2の主面に対してほぼ垂直方向に磁束が通る向きで且つその第1・第2の主面に対してほぼ垂直な側面に沿ってアンテナコイル12を配置したことにより、RFIDのリーダ・ライタのアンテナからの磁束がアンテナコイル12の磁性体コアを通過し、コイルのループに鎖交するので、筐体内に設けられている基板や電池パック等の磁気遮蔽物の影響を殆ど受けることがない。そのため、リーダ・ライタとの通信距離を長く確保できる。
また、図4(B)に示したように、リーダ・ライタに対して携帯電話機の副筐体15側の面をかざした場合でも、アンテナコイル12は主筐体11の側面に沿って配置しているので、副筐体15が磁気遮蔽物であったとしても、その影響を殆ど受けることなく、リーダ・ライタのアンテナからの磁束がアンテナコイル12の磁性体コアを通過し、コイルのループに鎖交する。その結果、通信が可能となる。
なお、第1の実施形態においては、側面S3は第1主面S1・第2主面S2に対して垂直な側面とされたが、本発明はこれに限定されるものではない。側面S3は、第1主面S1・第2主面S2と連結されていればよく、例えば断面が半円形状や三角形状等、多角形状にされていてもよい。
《第2の実施形態》
次に、第2の実施形態に係る携帯電話機の構成について図5を基に説明する。
図5(A)は第2の実施形態に係る携帯電話機の正面図である。第1の実施形態と異なるのは、2つのアンテナコイル12A,12Bを主筐体11の互いに対向する側面S3,S4に沿って対をなすように配置している。且つ2つのアンテナコイル12A,12Bを図中1点鎖線で示す対称軸に対して線対称位置に配置している。
図5(B)は上記アンテナコイル12A,12Bの構成を示す斜視図である。この2つのアンテナコイル12A,12Bの構成は同一または特性が略同等のものであり、それぞれのアンテナコイルは第1の実施形態の場合と同様に、直方体形状の(板状の)フェライト等の磁性体コア121と、それに対して巻回したコイル122とから構成している。このアンテナコイル12A,12Bは、図5(A)に示したように、主筐体11の側面に沿って、筐体内側壁面と基板13との隙間に挿入するために、磁性体コア121の厚み方向が主筐体11の側面S3・S4方向を向くようにしている。また、第1主面S1・第2主面S2に対して垂直方向に磁束が通る向きに、磁性体コア121にコイル122を巻回している。
上記2つのアンテナコイル12A,12Bのコイルは直列に接続し、その直列回路に共振用コンデンサを並列に接続することによって1つのコイルアンテナを構成する。
この実施形態では2つのアンテナコイル12A,12Bを直列に接続したが、アンテナコイル12A,12Bは並列に接続してもよい。
なお、第1の実施形態においては、第1主面S1・第2主面S2に対して垂直方向が磁束の通る向きとなるように、磁性体コア121にコイル122を巻回したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1主面S1・第2主面S2に対して交差する方向が磁束の通る向きとなるように、磁性体コア121にコイル122が巻回されていればよい。
図5(C)は、携帯電話機をRFIDのリーダ・ライタにかざした状態での磁束の経路の例を示している。図中φはリーダ・ライタのアンテナからの磁束を示している。
2つのアンテナコイル12A,12Bは、筐体の互いに対向する第1・第2の主面に対してほぼ垂直方向に磁束が通る向きで且つその第1・第2の主面に対してほぼ垂直な側面に沿って配置しているので、RFIDのリーダ・ライタのアンテナからの磁束がアンテナコイル12A,12Bの磁性体コアを通過し、コイルのループに鎖交するので、筐体内に設けられている基板や電池パック等の磁気遮蔽物の影響を殆ど受けることがない。
しかも、このように2つのアンテナコイル12A,12Bのいずれの磁性体コアにも磁束φが通過するので、2つのアンテナコイル12A,12Bを結ぶ面方向(図における左右方向)の位置ずれに対する感度の低下が小さく、面方向のずれに対する感度の劣化が抑えられる。その分さらに距離方向の通信可能範囲が広がり、面方向・距離方向共に通信可能範囲が拡大することになる。
ここで、図5に示した構造のコイルアンテナと従来構造のコイルアンテナの通信距離を測定した結果を以下に示す。従来構造のアンテナコイルは板状磁性体板の周囲にコイルを巻回したものである。条件と結果は次のとおりである。
〈磁性体コアの寸法〉
〔図5(B)に示したアンテナコイル〕
T=0.5mm
W=20mm
H=6mm
〔従来構造のアンテナコイル〕
底面=45mm×70mm
高さ(厚み)=3mm
〈アンテナコイルの実装面積〉
〔図5に示したアンテナコイル〕
20mm×0.5mm×2個=20mm2
〔従来構造のアンテナコイル〕
45mm×70mm=3150mm2
〈通信可能最大距離〉
〔図5に示したアンテナコイルを用いたコイルアンテナ〕
124mm
〔従来構造のアンテナコイルを用いたコイルアンテナ〕
115mm
《第3の実施形態》
次に、第3の実施形態に係る携帯電話機の構成について図6を基に説明する。
図6はそれぞれ構成の異なる4つの携帯電話機の正面図である。各アンテナコイルは主筐体11の第1・第2の主面に対してほぼ垂直方向に磁束が通る向きで且つ主筐体11の側面に沿った位置に配置している。
図6(A)の例では主筐体11の中心点oに対してほぼ点対称の位置に対を成す2つのアンテナコイル12A,12Bを配置している。
図6(B)の例では、4つのアンテナコイル12A,12B,12C,12Dをそれぞれ配置している。ここで中心点oに対して点対称位置にそれぞれ対を成すアンテナコイル12A,12D、およびアンテナコイル12B,12Cを配置している。且つこの例では主筐体11の中心点oを通る長手方向に延びる中心軸に対して線対称位置にそれぞれ対を成すアンテナコイル12A,12B、およびアンテナコイル12C,12Dを配置している。さらに、この例では主筐体11の中心点oを通る短手方向に延びる中心軸に対して線対称位置にそれぞれ対を成すアンテナコイル12A,12C、およびアンテナコイル12B,12Dを配置している。
このような構成により、主筐体の第1・第2主面に平行な2次元の面方向の通信可能範囲が広がる。
図6(C)の例では、主筐体11の短辺をなす2つの側面に対を成すアンテナコイル12A,12Bを配置している。この2つのアンテナコイル12A,12Bは主筐体11の中心点oを中心とする点対称位置に配置していて、且つ中心点oを通る短手方向に延びる中心軸に対して線対称位置に配置している。
図6(D)に示す例では、2つのアンテナコイル12A,12Bを主筐体11の中心点oを中心とする点対称位置に配置していて、且つ中心点oを通る長手方向に延びる中心軸に対して線対称位置に配置している。また、2つのアンテナコイル12C,12Dを主筐体11の中心点oを中心とする点対称位置に配置していて、且つ中心点oを通る短手方向に延びる中心軸に対して線対称位置に配置している。
このような構成により、主筐体の第1・第2主面に平行な2次元の面方向の通信可能範囲が広がる。
《第4の実施形態》
次に、第4の実施形態に係る携帯電話機について図7を基に説明する。
図7はそれぞれ構成の異なる5つの携帯電話機について示している。これらはいずれも主筐体11と、それに対して開閉自在に連結した副筐体15とからなるいわゆるクラムシェルタイプの筐体を備えたものである。図7中の各図を区別する符号に「A」を付した図は正面図、「B」を付した図は主筐体11から副筐体15を開いた状態での左側面図、「C」を付した図は主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態での左側面図である。
図7(1A)(1B)(1C)で示す例では、主筐体11にアンテナコイル12を配置するとともに、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態でアンテナコイル12の磁束が通る向きで且つ副筐体15内の側面に沿って磁性体部材22を設けている。
図7(1C)に示すように、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態で、磁性体部材22がアンテナコイル12の延長された磁性体コアとして作用する位置に位置合わせされて配置されている。このような構成によって、主筐体11および副筐体15の厚み方向にアンテナコイル12および磁性体部材22を磁束が通過する。そのため、主筐体に対して副筐体15を閉じた状態において、通信すべき外部機器に対して主筐体11側、副筐体15側のいずれの面をかざしてもほぼ同様の感度で通信を行うことができる。
図7(2A)(2B)(2C)で示す例では、主筐体11に対をなす2つのアンテナコイル12A,12Bを設けるとともに、それに対応して副筐体15側に2つの磁性体部材22A,22Bを設けている。図7(2C)に示すように、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態で、磁性体部材22A,22Bがアンテナコイル12A,12Bの延長された磁性体コアとして作用する位置に位置合わせされて配置されている。このような構成によって、主筐体11および副筐体15の厚み方向に磁束がアンテナコイル12A,12Bおよび磁性体部材22A,22Bを通過する。そのため、主筐体に対して副筐体15を閉じた状態において、通信すべき外部機器に対して主筐体11側、副筐体15側のいずれの面をかざしてもほぼ同様の感度で通信を行うことができる。また、第2の実施形態の場合と同様に、外部機器にかざす面の面方向の通信可能範囲が広がる。
図7(3A)(3B)(3C)で示す例では、主筐体11の2つの短辺のうち一方にアンテナコイル12を設け、これに対応して副筐体15側に磁性体部材22を設けている。
図7(3C)に示すように、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態で、磁性体部材22がアンテナコイル12の延長された磁性体コアとして作用する位置に位置合わせされて配置されている。このような構成によって、主筐体11および副筐体15の厚み方向にアンテナコイル12および磁性体部材22を磁束が通過する。そのため、主筐体に対して副筐体15を閉じた状態において、通信すべき外部機器に対して主筐体11側、副筐体15側のいずれの面をかざしてもほぼ同様の感度で通信を行うことができる。
図7(4A)(4B)(4C)で示す例は、図7(1A)(1B)(1C)に示した構成と図7(3A)(3B)(3C)に示した構成を組み合わせたものである。また、図7(5A)(5B)(5C)で示す例は、図7(2A)(2B)(2C)に示した構成に図7(3A)(3B)(3C)に示した構成を組み合わせ、且つ主筐体11の残りの短辺にさらにアンテナコイル12Cを配置し、これに対応して副筐体15側に磁性体部材22Cを設けたものである。
このように主・副筐体の長辺と短辺のそれぞれにアンテナコイルおよび磁性体部材を配置してもよい。この構成により、主筐体の第1・第2主面に平行な2次元の面方向の通信可能範囲が広がる。
《第5の実施形態》
次に第5の実施形態に係る携帯電話機について図8を基に説明する。
図8はそれぞれ構成の異なる5つの携帯電話機について示している。これらはいずれも主筐体11と、それに対して直線摺動開閉自在に連結した副筐体15とからなるいわゆる直進スライドタイプの筐体を備えたものである。図8中の各図を区別する符号に「A」を付した図は正面図、「B」を付した図は主筐体11から副筐体15を開いた状態での左側面図である。
図8(1A)(1B)で示す例では、主筐体11の一方の長辺の側面に沿ってアンテナコイル12を配置するとともに、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態でアンテナコイル12の磁束が通る向きで且つ副筐体15内の側面に沿って磁性体部材22を設けている。
図8(1A)(1B)で示すように、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態で、磁性体部材22がアンテナコイル12の延長された磁性体コアとして作用する位置に位置合わせされて配置されている。このような構成によって、主筐体11および副筐体15の厚み方向に磁束がアンテナコイル12および磁性体部材22を通過する。そのため、主筐体に対して副筐体15を閉じた状態において、通信すべき外部機器に対して主筐体11側、副筐体15側のいずれの面をかざしてもほぼ同様の感度で通信を行うことができる。
図8(2A)(2B)で示す例は、主筐体11の2つの長辺の側面に沿ってアンテナコイル12A,12Bを配置するとともに、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態でアンテナコイル12の磁束が通る向きで且つ副筐体15内の側面に沿って磁性体部材22A,22Bを設けている。
図8(3A)(3B)で示す例は、主筐体11の2つの長辺の側面に沿ってアンテナコイル12A,12B、12C,12Dを配置するとともに、主筐体11に副筐体15を閉じた状態でアンテナコイル12A,12B、12C,12Dの磁束が通る向きで且つ副筐体15内の側面に沿って磁性体部材22A,22B,22C,22Dを設けている。
図8(4A)(4B)で示す例は、主筐体11の2つの短辺の側面に沿ってアンテナコイル12A,12Bを配置するとともに、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態でアンテナコイル12A,12Bの磁束が通る向きで且つ副筐体15内の側面に沿って磁性体部材22A,22Bを設けている。
図8(5A),(5B)で示す例は、主筐体の四辺にアンテナコイル12A,12B,12C,12Dを配置するとともに、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態でアンテナコイル12A,12B、12C,12Dの磁束が通る向きで且つ副筐体15内の側面に沿って磁性体部材22A,22B,22C,22Dを設けている。
このようにして、第4の実施形態の場合と同様に、主筐体に対して副筐体15を閉じた状態において、通信すべき外部機器に対して主筐体11側、副筐体15側のいずれの面をかざしてもほぼ同様の感度で通信を行うことができ、また外部機器にかざす面の面方向の通信可能範囲が広がる。
《第6の実施形態》
次に第6の実施形態に係る携帯電話機について図9を基に説明する。
図9はそれぞれ構成の異なる5つの携帯電話機について示している。これらはいずれも主筐体11と、それに対して回転摺動開閉自在に連結した副筐体15とからなるいわゆる回転スライドタイプの筐体を備えたものである。(A)〜(E)の各図はいずれも正面図である。
図9(A)に示す例では、主筐体11の一方の長辺の側面に沿ってアンテナコイル12を配置するとともに、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態でアンテナコイル12の磁束が通る向きで且つ副筐体15内の側面に沿って磁性体部材22を設けている。
図9(B)に示す例では、主筐体11の2つの長辺の側面に沿ってアンテナコイル12A,12Bを配置するとともに、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態でアンテナコイル12A,12Bの磁束が通る向きで且つ副筐体15内の側面に沿って磁性体部材22A,22Bを設けている。
図9(C)に示す例では、主筐体11の2つの長辺の側面に沿ってアンテナコイル12A,12B,12C,12Dを配置するとともに、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態でアンテナコイル12A,12B,12C,12Dの磁束が通る向きで且つ副筐体15内の側面に沿って磁性体部材22A,22B,22C,22Dを設けている。
図9(D)に示す例では、主筐体11の一方の短辺の側面に沿ってアンテナコイル12を配置するとともに、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態でアンテナコイル12の磁束が通る向きで且つ副筐体15内の側面に沿って磁性体部材22を設けている。
図9(E)に示す例では、主筐体11の四辺の側面に沿ってアンテナコイル12A,12B,12C,12Dを配置するとともに、主筐体11に対して副筐体15を閉じた状態でアンテナコイル12A,12B,12C,12Dの磁束が通る向きで且つ副筐体15内の側面に沿って磁性体部材22A,22B,22C,22Dを設けている。
このようにして、第4・第5の実施形態の場合と同様に、主筐体に対して副筐体15を閉じた状態において、通信すべき外部機器に対して主筐体11側、副筐体15側のいずれの面をかざしてもほぼ同様の感度で通信を行うことができ、また外部機器にかざす面の面方向の通信可能範囲が広がる。
なお、第4の実施形態〜第6の実施形態において示した磁性体部材22(22A〜22D)にはアンテナコイル12の磁性体コアに相当する部材を用いてもよい。
また、使用するアンテナコイル12の個数は第1の実施形態〜第6の実施形態で用いた個数に限定されず、所望の感度や通信可能範囲に応じて決めればよい。
《第7の実施形態》
図10・図11は、第7の実施形態に係る携帯電話機内部の主要部の構成を示す斜視図であり、特に主筐体内へのアンテナコイルの実装構造について示すものである。
アンテナコイル12は磁性体コア121とコイル122を備えている。磁性体コア121はT字型を成し、磁性体コア121の主要部から突出した部分に端子電極123,124を形成していて、コイル122の両端をその端子電極123,124に接合している。
一方、基板13は第1〜第6の実施形態で示した携帯電話機の主筐体11内部に設ける基板(プリント基板)であり、その基板13にはアンテナコイル12の主要部がはめ込まれる切り欠き部Cを形成していて、上記端子電極123,124が当接する位置に端子電極133,134を形成している。この基板13には他の電子部品と同様にしてアンテナコイル12をマウントし、アンテナコイル側の端子電極123,124を基板13側の端子電極133,134に接続する。
図11に示す例では、側面L字型の磁性体コア121にコイル122を巻回したアンテナコイル12を用いたものである。磁性体コア121の主要部から突出した部分には端子電極123,124を形成していて、コイル122の両端をその端子電極123,124に接合している。一方、基板13の端部には端子電極133,134を形成していて、アンテナコイル12の端子電極123,124を接合することによってこのアンテナコイル12を実装する。
次に、第8の実施形態に係る携帯電話機の主要部の構成を図12・図13を基に説明する。
第7の実施形態ではアンテナコイルの磁性体コアに設けた端子電極を基板上の端子電極に接合するようにしたが、この第8の実施形態では、アンテナコイルに端子板を設けて、それを介して基板に実装する。図12の(A)はアンテナコイル12と、それを実装する基板13の構成を示す斜視図、(B)はアンテナコイル12の実装状態での携帯電話機の断面図である。図12(A)に示すように、アンテナコイル12は、磁性体コア121に対して電極膜を形成し、その電極膜にL字型の端子板125,126を接合し、この端子板125,126または上記電極膜にコイル122の両端を接続している。
一方、基板13の周辺部の所定位置には端子電極133,134を形成していて、この端子電極133,134に対してアンテナコイル12の端子板125,126を接合することによってアンテナコイル12を実装する。
また、図12(B)に示すように、主筐体11の内部にはアンテナコイル保持部111,112を設けている。主筐体11は図における上下面の2つに分離可能であり、上下の筐体部分を組み合わせることによって、アンテナコイル保持部111,112でアンテナコイル12の上下端を保持した状態でこの主筐体11内部にアンテナコイル12を収納する。
図13は別のアンテナコイルの構成を示す斜視図である。(A)の例では、図12に示したものと同様に、磁性体コア121の主要部からT字型に突出した部分に端子電極123,124を形成するとともに、この端子電極123,124に端子板125,126を接合している。また(B)に示す例では、磁性体コア121の両側部の端部に電極膜を形成し、端子板125,126をその電極膜に接合することによって取り付けている。いずれの構造でも、図12に示したものと同様に、基板13の端子電極133,134に端子板125,126を接合することによって実装可能である。
特許文献1に示されている携帯電話機の構成を示す図である。 同携帯電話機をRFIDのリーダ・ライタにかざした状態での磁束の経路の例を示す図である。 第1の実施形態に係る携帯電話機の構成を示す図である。 同携帯電話機をRFIDのリーダ・ライタにかざした状態での磁束の経路の例を示す図である。 第2の実施形態に係る携帯電話機の構成およびRFIDのリーダ・ライタにかざした状態での磁束の経路の例を示す図である。 第3の実施形態に係る携帯電話機の構成を示す図である。 第4の実施形態に係る携帯電話機の構成を示す図である。 第5の実施形態に係る携帯電話機の構成を示す図である。 第6の実施形態に係る携帯電話機の構成を示す図である。 第7の実施形態に係る携帯電話機のアンテナコイルの実装構造を示す図である。 第7の実施形態に係る携帯電話機の他のアンテナコイルの実装構造を示す図である。 第8の実施形態に係る携帯電話機のアンテナコイルの実装構造を示す図である。 第8の実施形態に係る携帯電話機の他のアンテナコイルの構造を示す図である。
符号の説明
11−主筐体
12−アンテナコイル
13−基板
14−電池パック
15−副筐体
22−磁性体部材
111,112−アンテナコイル保持部
121−磁性体コア
122−コイル
123,124−端子電極
125,126−端子板
133,134−端子電極
S1−第1主面
S2−第2主面
S3〜S6−側面
SA−側部
C−切り欠き部

Claims (5)

  1. 互いに対向する第1・第2の主面およびその第1・第2の主面を連結する側面を有する板状の筐体を備え、磁性体部材と該磁性体部材に巻回したコイル部材とからなるアンテナコイルを前記筐体内に設けた携帯電子機器において、
    前記アンテナコイルを、前記第1・第2の主面に対して交差する方向に磁束が通る向きで且つ前記筐体の互いに対向する側面に沿って少なくとも一対配置したことを特徴とする携帯電子機器。
  2. 前記筐体は、互いに対向する平行な2組の側面を有する直方体形状を成し、いずれかの側面に平行な対称軸に対して線対称位置に前記アンテナコイルを配置した請求項に記載の携帯電子機器。
  3. 前記筐体は、平面形状が中心点に対して点対称形状を成し、前記中心点に対して点対称位置に前記アンテナコイルを配置した請求項2に記載の携帯電子機器。
  4. 前記筐体を主筐体とし、互いに対向する第1・第2の主面およびその第1・第2の主面を連結する側面を有する板状の副筐体を前記主筐体に対して直線摺動自在にまたは回転摺動自在に連結し、主筐体に対して副筐体を閉じた状態で前記アンテナコイルの磁束が通る向きで且つ副筐体内の前記側面に沿って磁性体部材を設けた、請求項1〜のうちいずれか1項に記載の携帯電子機器。
  5. 前記筐体を主筐体とし、互いに対向する第1・第2の主面およびその第1・第2の主面を連結する側面を有する板状の副筐体を前記主筐体に対して、該主筐体とともにクラムシェル構造を構成するように副筐体を連結し、主筐体に対して副筐体を閉じた状態で前記アンテナコイルの磁束が通る向きで且つ副筐体内の前記側面に沿って磁性体部材を設けた、請求項1〜のうちいずれか1項に記載の携帯電子機器。
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