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JP4883269B2 - 硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法 - Google Patents

硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、可撓性、耐溶剤性、密着性、耐候性、耐光性、耐熱性に優れたコーティング剤主剤として有用な硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法に関し、特に、各種の無機フィラーを配合して金属基材上に厚く塗布した場合でも、耐クラック性や耐ヒートショック性に優れた硬化被膜の形成が可能となる硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法に関する。
従来、シリコーンレジンは、3次元化したシロキサン結合を主骨格とするため、高硬度で耐候性、耐熱性、電気絶縁性に優れた被膜や成型物を形成でき、塗料、コーティング剤、成型物のバインダー等に使用されている。中でも、メチルシルセスキオキサン単位を主骨格とし、分子鎖末端にシラノール基やアルコキシシリル基等の架橋性基を有する硬化性ポリメチルシロキサン樹脂は、有機物質を分解する紫外線領域に吸収を持たず、光やオゾンによる劣化を受けず、高温で加熱した際の質量減少率も小さいため、とりわけ耐候性や耐光性、耐熱性が要求される用途においては非常に有用な材料である。
このような硬化性ポリメチルシロキサン樹脂は、一般的にメチルトリクロロシラン等のクロロシランや、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシランを適当な溶媒中で加水分解・縮合反応させることによって製造することができる。製造時の加水分解水量や反応温度、反応濃度、反応時間等の反応条件を制御することによって、得られる硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の分子量をコントロールすることが可能である。
低分子量の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂では、上記した末端架橋性基を多量に含有するため、硬化性に富んで硬い被膜を形成するが、硬化時の縮合反応における水やアルコールの生成量が多いことから、体積収縮率や硬化歪みが大きくなるために、硬化時や被膜形成後の温度変化によりクラックが発生しやすくなる。一方、高分子量の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂とすることによって硬化時の体積収縮率や硬化歪みを緩和することができるため、耐クラック性はある程度改善されるが、通常の方法では高分子量化過程での分子間縮合反応を制御することが困難であり、その結果ゲル化を引き起こす。そこで、このようなゲル化を回避するような様々な方法が提案されている。
メチルトリクロロシランを加水分解してポリメチルシルセスキオキサンを得る方法としては、アミン存在下でケトンとエーテルを溶媒に用いる方法(特許文献1:特開昭53−88099号公報)や、アルカリ金属カルボン酸塩と低級アルコールの存在下で炭化水素系溶媒を使用して加水分解する方法(特許文献2:特開平3−227321号公報)が提案されているが、原料のメチルトリクロロシランは揮発性が高く、また空気中の湿気で容易に加水分解を起こし、腐食性ガスである塩化水素を発生するなど取り扱いが困難であるという欠点を有する。また、含酸素有機溶媒と水の2層系を維持するような緩やかな撹拌条件下でメチルトリクロロシランを加水分解・縮合して、CH3SiO3/2単位とCH3Si(OH)O2/2単位との含有比率を特定の領域とした硬化性ポリメチルシルセスキオキサン(特許文献3:国際公開第97/07156号パンフレット)も提案されているが、2層系を維持するという操作性に難点があり、また数平均分子量が380〜2,000という低分子量体であることから、耐クラック性が不十分であった。
メチルトリアルコキシシランを原料とした方法では、アルカリ加水分解によるポリメチルシルセスキオキサンパウダーの製造方法(特許文献4:特開昭63−77940号公報)が提案されているが、このパウダーは溶剤に不溶性の粒状ゲルであり、被膜形成材料には不適である。環状ポリジメチルシロキサンとメチルトリアルコキシシランとをパーフルオロアルキルスルホン酸触媒の存在下で平衡化反応した後、加水分解する方法(特許文献5:特開平2−284958号公報)が提案されているが、残存アルコキシ基量が比較的多いため硬化収縮によるクラックが発生しやすいし、未反応環状ポリジメチルシロキサンの残存量をゼロとすることは困難なため、ハジキや接点トラブル等の問題を有している。
酸触媒の存在下、無溶剤でメチルトリアルコキシシランを加水分解した後、有機溶媒を添加してアルカリ触媒存在下で加熱縮合するラダー型ポリメチルシルセスキオキサンの製造方法(特許文献6:特開平5−125187号公報)では、得られる樹脂の数平均分子量が100,000以上と超高分子量体であるため、低濃度溶液とせざるを得ないなど取り扱い上の問題があり、また耐溶剤性や密着性も不十分である。一方、特定量の遊離塩酸を含有するメチルトリメトキシシランを非水溶性有機溶媒中で加水分解・縮合した後、食塩水を添加してスタティックミキサーを使用して洗浄する方法(特許文献7:特開平8−239477号公報)も提案されており、この方法によれば硬化性や耐溶剤性に優れる硬化性ポリメチルシロキサン樹脂を得ることができるが、実質的に重量平均分子量が1,000〜3,000の低分子量体であるため、やはり耐クラック性に劣るものであった。
そこで、本出願人は、これまでに分子鎖両末端にアルコキシ基を有するポリジメチルシロキサンとアルコキシシラン化合物との共加水分解・縮合物からなるシリコーン系ブロックポリマー(特許文献8:特開平3−275726号公報)、数平均分子量が500以上でシラノール基を5質量%以上含有し、3官能性シロキサン単位を30〜100モル%含有すると共にその内の30〜80モル%がシラノール基を1個有するRSi(OH)O2/2単位であるポリオルガノシロキサン樹脂(特許文献9:特開平9−71654号公報)、特定濃度の酸を含む水と低級アルコール中でメチルトリアルコキシシランを加水分解し、非水溶性有機溶媒と強酸を添加して縮合させた後、更にアルカリ性雰囲気下で重合することによるポリメチルシルセスキオキサンの製造方法(特許文献10:特開2001−354770号公報)などを提案してきたが、これらに関しても製造工程面や得られた硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の特性面で更なる改良が求められている。
また、シリコーンレジンからなる硬化被膜は、一般的に膜厚が厚くなるほど硬化歪みが増大して硬化時や使用環境におけるクラックが発生しやすくなり、特に無機フィラーを多量に配合したコーティング被膜の場合は、厚膜となりやすい上に、バインダーとしてのシリコーンレジンが硬化被膜中で連続相を形成しにくくなるため、よりクラックが発生しやすくなる。更には、金属のような膨張収縮率が大きい基材上に硬化被膜を形成した場合、急激な温度変化による基材の伸び縮みに被膜が追随できずにクラックや剥がれが発生することが問題となっており、いわゆる耐ヒートショック性の改善が求められているが、上記したような特許文献には、これらの問題点を解決する旨の記述はなかった。
特開昭53−88099号公報 特開平3−227321号公報 国際公開第97/07156号パンフレット 特開昭63−77940号公報 特開平2−284958号公報 特開平5−125187号公報 特開平8−239477号公報 特開平3−275726号公報 特開平9−71654号公報 特開2001−354770号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、複雑な工程を経ることなく簡便な操作で製造できて、保存安定性や硬化性に優れると共に、可撓性、耐溶剤性、密着性、耐候性、耐光性、耐熱性に優れた硬化被膜を得ることができ、特に、各種の無機フィラーを配合して金属基材上に厚く塗布した場合でも、耐クラック性や耐ヒートショック性に優れた硬化被膜の形成が可能となる硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、重量平均分子量と数平均分子量を特定の範囲とし、3官能性シロキサン単位と2官能性シロキサン単位とを特定の比率で含有すると共に、3官能性シロキサン単位中のいわゆるT2単位/T3単位のモル比を特定の領域とすることによって、硬化性に優れると共に、可撓性、耐溶剤性、密着性、耐候性、耐光性、耐熱性に優れ、急激な温度変化があってもクラックが発生しない硬化被膜を形成することができる硬化性ポリメチルシロキサン樹脂が得られることを見出した。
更に、上記した特性を有する硬化性ポリメチルシロキサン樹脂を得るためには、対応するアルコキシシラン原料の混合物を、有機溶媒中、特定量の酸及び水で加水分解した後に加熱重縮合する方法が最適であることを知見して、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、下記硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法を提供する。
〕 (1)CH3Si(OR’)3(ここで、R’は炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるメチルトリアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選択される有機ケイ素化合物(a)と、(CH32Si(OR’)2(R’は同上)で表されるジメチルジアルコキシシラン(b)とを(a)/(b)のモル比が65/35〜85/15となるように混合した混合物を、有機溶媒として炭素数1〜8の一価アルコール中、0.001〜0.1mmol/gの酸を含み、上記の有機ケイ素化合物とジメチルジアルコキシシランとの混合物中の全アルコキシ(OR’)基に対するモル比が0.55〜0.79である水と接触させて加水分解を行う工程、
(2)次いで、加熱下で熟成して重縮合を行う工程
を含むことを特徴とする重量平均分子量が10,000〜100,000であり、数平均分子量が2,500〜4,000の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂であって、CH 3 Si(OR) 2 1/2 単位、CH 3 Si(OR)O 2/2 単位、CH 3 SiO 3/2 単位、(CH 3 2 Si(OR)O 1/2 単位及び(CH 3 2 SiO 2/2 単位(ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す)からなり、CH 3 Si(OR) 2 1/2 単位、CH 3 Si(OR)O 2/2 単位、CH 3 SiO 3/2 単位の合計(A)と、(CH 3 2 Si(OR)O 1/2 単位、(CH 3 2 SiO 2/2 単位の合計(B)の含有比率(A)/(B)がモル比として65/35〜85/15であると共に、CH 3 Si(OR)O 2/2 単位/CH 3 SiO 3/2 単位のモル比が15/85〜30/70である硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法。
〕 CH3Si(OR’)3(ここで、R’は炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるメチルトリアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選択される有機ケイ素化合物が、メチルトリメトキシシランであることを特徴とする〔1〕記載の製造方法。
〕 酸が、塩酸であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の製造方法。
本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂は、複雑な工程を経ることなく簡便な操作で製造でき、これを含む硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物は、保存安定性や硬化性に優れると共に、可撓性、耐溶剤性、密着性、耐候性、耐光性、耐熱性に優れた硬化被膜を得ることができるため、各種の塗料、コーティング剤、成型物のバインダー等として有用であり、特に、各種の無機フィラーを配合して厚く塗布した場合でも、耐クラック性や耐ヒートショック性に優れた硬化被膜の形成が可能であることから、金属のような環境温度に対する膨張収縮率が大きい基材に対する表面保護剤、機能性付与剤、コーティング剤として好適に使用することができる。
本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂は、重量平均分子量が10,000〜100,000且つ数平均分子量が2,500〜4,000で、3官能性シロキサン単位として、CH3Si(OR)21/2単位、CH3Si(OR)O2/2単位及びCH3SiO3/2単位を、2官能性シロキサン単位として、(CH32Si(OR)O1/2単位及び(CH32SiO2/2単位(ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す)からなるものであり、CH3Si(OR)21/2単位、CH3Si(OR)O2/2単位、CH3SiO3/2単位の合計(A)と、(CH32Si(OR)O1/2単位、(CH32SiO2/2単位の合計(B)の含有比率(A)/(B)がモル比として65/35〜85/15であると共に、CH3Si(OR)O2/2単位/CH3SiO3/2単位のモル比が15/85〜30/70であることを特徴とする。
ここで、各シロキサン単位中のRは、同一でも異なってもよい水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的には、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が例示されるが、硬化性の観点からは全R基中の50モル%以上が水素原子(すなわちOR基がシラノール基)であり、残りがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは全R基中の70モル%以上を水素原子とすることがよい。
硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の分子量は、重量平均分子量が10,000未満、あるいは数平均分子量が2,500未満では硬化被膜の可撓性が得られないし、逆に重量平均分子量が100,000を超えたり、数平均分子量が4,000を超えると硬化性が劣るようになるため、重量平均分子量が10,000〜100,000且つ数平均分子量が2,500〜4,000の範囲とすることが必要であり、好ましくは重量平均分子量が12,000〜50,000且つ数平均分子量が2,600〜3,500の範囲である。なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
また、本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂は、重量平均分子量/数平均分子量の比率、すなわち分子量分布の分散度が4以上、より好ましくは4〜30、特に好ましくは5〜15と広いものであることが好ましく、このように分子量分布の広い硬化性ポリメチルシロキサン樹脂とすることによって、その中に含まれる重合体中である程度低分子量の成分が硬化性や耐溶剤性の向上に寄与し、ある程度高分子量の成分が可撓性付与に寄与しているものと推定される。
3官能性シロキサン単位として含有するCH3Si(OR)21/2単位、CH3Si(OR)O2/2単位、CH3SiO3/2単位の合計(A)と、2官能性シロキサン単位として含有する(CH32Si(OR)O1/2単位、(CH32SiO2/2単位の合計(B)との比率は、2官能性シロキサン単位(B)の含有量が15モル%未満では十分な可撓性付与効果が得られないし、2官能性シロキサン単位(B)の含有量が35モル%を超えると硬化被膜の表面硬度が低下するばかりか、場合によっては表面タックのある被膜となってしまうため、モル比として(A)/(B)が65/35〜85/15の範囲とすることが必要であり、好ましくは70/30〜80/20の範囲とすることがよい。
更には、3官能性シロキサン単位中に含まれるCH3Si(OR)O2/2(T2)単位/CH3SiO3/2(T3)単位のモル比に関しても、CH3Si(OR)O2/2単位のモル比が15モル%未満では相対的に架橋性のSiOR基が減少して硬化性が劣るようになるし、CH3Si(OR)O2/2単位のモル比が30モル%を超えると硬化被膜の可撓性が低下するようになるため、モル比が15/85〜30/70の範囲とすることが必要であり、好ましくは17/83〜27/73の範囲とすることがよい。
本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法は、
(1)CH3Si(OR’)3(ここで、R’は炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるメチルトリアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選択される有機ケイ素化合物と、(CH32Si(OR’)2(R’は同上)で表されるジメチルジアルコキシシランとの混合物を、有機溶媒中、0.001〜0.1mmol/gの酸を含み、上記の有機ケイ素化合物とジメチルジアルコキシシランとの混合物中の全アルコキシ(OR’)基に対するモル比が0.55〜0.79である水と接触させて加水分解を行う工程、
(2)次いで、加熱下で熟成して重縮合を行う工程
を含むことを特徴とするものである。
この場合、CH3Si(OR’)3で示されるメチルトリアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選択される有機ケイ素化合物(a)と、(CH32Si(OR’)2で示されるジメチルジアルコキシシラン(b)とは、(a)/(b)〔モル比〕が65/35〜85/15となるような混合比率とする。
第1工程の加水分解工程において、CH3Si(OR’)3で表されるメチルトリアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物中のR’は、同一でも異なってもよい炭素数1〜3のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択されるものである。このようなメチルトリアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン及びこれらの部分加水分解縮合物を挙げることができるが、本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法においては、経済性の観点から、更に上記したCH3Si(OR)O2/2単位/CH3SiO3/2単位の特定モル比にコントロールして優れた被膜特性を得るために、メチルトリメトキシシランを用いることが好ましい。
また、(CH32Si(OR’)2で表されるジメチルジアルコキシシラン中のR’も上記と同様であり、このようなジメチルジアルコキシシランの具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシランが例示されるが、本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法においては、経済性や加水分解反応性の観点から、ジメチルジメトキシシランを用いることが好ましい。
使用する有機溶媒としては、原料のアルコキシシラン類や生成する硬化性ポリメチルシロキサン樹脂を溶解するものであれば特に制限はなく、具体的には、極性有機溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類、ジエチルエーテル、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のエステル類、非極性有機溶媒として、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類を挙げることができるが、本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法における加水分解・重縮合工程では、経済性、特性面から極性有機溶媒として炭素数1〜8のアルコール類を使用することが好ましく、更にはイソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノールから選択されるアルコール類を使用することがより好ましい。また、これらの有機溶媒は単独で使用しても、2種類以上を混合使用してもよい。
有機溶媒の使用量は、特に制限はないが、一般的には加水分解・重縮合により生成する硬化性ポリメチルシロキサン樹脂固形分に対して20〜200質量%の範囲であり、好ましくは30〜100質量%の範囲である。
酸としては、加水分解能があればその種類に特に制限はなく、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸を挙げることができるが、本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法においては、経済性、加水分解能の観点から塩酸を使用することが好ましい。
加水分解・重縮合反応触媒としての酸は、加水分解水に溶解した状態で用いることが必要であり、その際の濃度が0.001mmol/g未満では加水分解・重縮合反応が進行しにくく、目標とする分子量に到達しないおそれがあり、濃度が0.1mmol/gを超えると反応速度が速くなりすぎて分子量のコントロールが困難となるばかりか、得られる硬化性ポリメチルシロキサン樹脂硬化被膜の可撓性が大幅に低下するため、0.001〜0.1mmol/gの範囲とすることが必要であり、好ましくは0.01〜0.08mmol/gの範囲とすることがよい。
加水分解工程における水の使用量は、上記したメチルトリアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選択される有機ケイ素化合物とジメチルジアルコキシシランとの混合物中の全アルコキシ(OR’)基に対するモル比が少ないと加水分解反応が完全に進行せず、アルコキシ基が過剰に残存したり、目標とする分子量に到達しないおそれがあり、多すぎる場合は、得られる硬化性ポリメチルシロキサン樹脂を前記したCH3Si(OR)O2/2単位/CH3SiO3/2単位の特定モル比にコントロールすることが困難となったり、保存安定性や被膜特性が低下することがあるし、生産効率にも悪影響を与えるため、上記モル比を0.55〜0.79の範囲とすることが必要であり、好ましくは0.60〜0.79の範囲とすることがよい。
なお、加水分解温度は、一般的に10℃〜還流温度、好ましくは室温〜50℃の範囲であり、加水分解時間は、通常、滴下時間〜滴下時間+10時間の範囲である。
本発明においては、第2工程として、加水分解物を加熱下で重縮合させる。重縮合工程は、加水分解工程と連続的に行えばよく、好ましくは60℃以上の加熱下、より好ましくは還流条件下で所定時間熟成させることによって、目標とする分子量に到達するまで高分子量化させる。熟成時間は、硬化性ポリメチルシロキサン樹脂における3官能シロキサン単位/2官能シロキサン単位のモル比や目標とする分子量、シロキサン濃度(有機溶剤配合量)、酸濃度や熟成温度等によって異なるが、一般的には2〜15時間の範囲であり、好ましくは4〜10時間かけて比較的ゆっくりと分子を生長させることがよく、このような条件で重縮合させることにより、製造工程中のミクロゲル発生を防止することも可能となる。また、加水分解工程において、メトキシシラン原料とメタノールより高沸点の有機溶媒を用いた際など、場合によって副生したメタノールを留去しながら上記熟成を行うことにより、重縮合反応を促進することも可能である。
所定時間の加熱熟成により硬化性ポリメチルシロキサン樹脂が目標分子量に到達したら、重縮合反応を停止させた後に酸を除去し、場合によって脱水、濾過等による不純物除去や、濃縮、有機溶媒希釈等による固形分調整などの精製工程を経て、本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂を含有する均一で透明な溶液が得られる。重縮合反応を停止させる方法としては、冷却による温度低下、有機溶媒の追加希釈によるシロキサン濃度低下、水の添加希釈による酸濃度低下等を挙げることができ、その方法は特に限定されないが、重縮合反応を速やかに停止させるためには上記したような複数の手段を併用することが好ましく、例えば、トルエン等の水と相溶しない有機溶媒と水を共に添加して、温度低下、シロキサン濃度低下、酸濃度低下を実現させた後、引き続いて有機層と水層を分離し、更に有機層を水洗して酸を除去することによって、保存安定性が良好な硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物を効率的に製造することができる。
ここで、本発明においては、上述した製造方法を採用し、特にCH3Si(OR’)3を炭素数1〜8の一価アルコール(ROH:Rは炭素数1〜8のアルキル基)の存在下に加水分解することにより、
CH3Si(OR)21/2単位 : T−1単位
CH3Si(OR)O2/2単位 : T−2単位
CH3SiO3/2単位 : T−3単位
が形成され、同様に(CH32Si(OR’)2を加水分解することにより、
(CH32Si(OR)O1/2単位 : D−1単位
(CH32SiO2/2単位 : D−2単位
が形成され、重量平均分子量及び数平均分子量、T単位(T−1単位、T−2単位、T−3単位)とD単位(D−1単位、D−2単位)のモル比、T−2単位〔CH3Si(OR)O2/2単位〕/T−3単位〔CH3SiO3/2単位〕のモル比が上述した値の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂を得ることができる。
本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物は、上記硬化性ポリメチルシロキサン樹脂と有機溶媒とを含有してなるものである。ここに含まれる有機溶媒としては、硬化性ポリメチルシロキサン樹脂を溶解するものであれば特に制限はなく、前述した各種のものを使用することができるが、製造工程で用いた有機溶媒を最終製品中に含有させることが効率的である。更には、前述したように、極性有機溶媒として炭素数1〜8のアルコール類を製造工程で使用して最終製品中に含有させることが、硬化性ポリメチルシロキサン樹脂中に存在する高反応性のシラノール基と水素結合を形成することによって製品保管中の縮合架橋反応を抑制し、硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物の保存安定性を向上させる効果があるため、より好ましい。また、硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物を基材に塗布して被膜を形成する際の乾燥性をコントロールするために、沸点や蒸発速度が異なる有機溶媒を併用することも可能であり、特に被膜表面の平滑性向上には、蒸発速度が異なる複数種類の有機溶媒を併用することが好ましい。
また、本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物は、いわゆる溶液型のコーティング剤としてそのまま使用してもよいが、上記したように該樹脂組成物はシラノール基の安定化が可能なため、適当な界面活性剤を用いて乳化することにより、いわゆる水系エマルション型コーティング剤として使用することも可能である。
該樹脂組成物中における硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の濃度は、使用目的に応じて任意に選択することができ、例えば60〜80質量%といった高濃度溶液で使用することも可能であるが、塗料、コーティング剤用途に適用する場合は、保存安定性や塗布工程における作業性等の観点から、20〜60質量%の範囲とすることが好ましい。
また、本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物は、良好な硬化性を有するため、無触媒で加熱硬化することも可能であるが、必要に応じて公知の硬化触媒を添加してもよい。このような硬化触媒としては、リン酸等の酸類;トリエタノールアミン等の有機アミン類;ジメチルアミンアセテート等の有機アミン塩;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩;炭酸水素ナトリウム等の有機酸のアルカリ(土類)金属塩;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノアルキルシラン化合物;オクチル酸亜鉛等のカルボン酸金属塩;ジオクチル錫ジラウレート等の有機錫化合物;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン酸エステル類;アセチルアセトンアルミニウム塩等の有機アルミニウム化合物などが例示されるが、硬化性、保存安定性や、可撓性、密着性等、硬化被膜の諸特性といった観点からは、有機錫化合物、チタン酸エステル類、有機アルミニウム化合物等の有機金属化合物を用いることが好ましい。
このような硬化触媒を添加する場合、その添加量は、硬化性ポリメチルシロキサン樹脂100質量部に対し、0.01〜10質量部の範囲とすることが好ましい。
更に、各種基材との密着性向上を目的として、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、(メタ)アクリル基、メルカプト基等を有するシランカップリング剤を配合したり、使用目的に応じて本発明の効果を妨げない範囲で、上記成分に加えて各種の顔料、染料、充填剤、接着性改良剤、レベリング性向上剤、無機及び有機の紫外線吸収剤、保存安定性改良剤、可塑剤、老化防止剤等を添加することは任意とされる。
本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物は、通常の塗布方法で基材表面に塗布した後、加熱硬化させることによって硬化被膜を形成することができる。塗布方法としては、刷毛塗り、スプレーコート、ディップコート、フローコート、ロールコート、スピンコート、カーテンコート、ナイフコート等の各種方法を選択することができる。また、硬化時の加熱温度や時間も、硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物の内容や用途などによって左右されるため、特に限定されるものではないが、通常は50〜250℃で10分間〜2時間、好ましくは100〜200℃で20〜60分間加熱することにより、硬化被膜が形成される。硬化被膜の膜厚に関しても特に制限はなく、一般的には0.1〜50μmの範囲とされるが、本発明の硬化被膜は可撓性に優れるため、場合により50μm以上の厚膜とすることも可能である。
ここで、用いる基材としては、プラスチック成形体、木材系製品、セラミックス、ガラス、金属、あるいはそれらの複合物等を挙げることができ、特に限定されるものではない。本発明の硬化被膜は、金属のような環境温度に対する膨張収縮率が大きい基材に適用しても、耐クラック性や耐ヒートショック性に優れるため、表面保護剤、機能性付与剤、コーティング剤として好適に使用することができる。
特に、各種の機能性付与を目的として、金属酸化物等の無機フィラーを多量に配合するようなコーティング剤組成物のバインダー成分に、本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂を適用した場合、従来のメチル系シリコーンレジンでは達成されなかった耐クラック性、耐ヒートショック性に優れる厚膜の形成が可能となる。具体的には、アルミニウム製基材上に、本発明の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の固形分100質量部に対し、無機フィラーとしてアルミナ粉100質量部を配合したコーティング剤組成物から形成した膜厚100〜150μmの硬化被膜は、−20〜60℃の冷熱サイクル1,000回によるヒートショック試験を行っても、クラックや剥がれ等の外観異常が認められず、信頼性、耐久性に優れた機能性コーティング被膜となり得る。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、各例で得られた硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の分析、及び硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物の硬化被膜の作製、特性評価は、以下に示した方法で実施した。
(1)硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により、ポリスチレン標準サンプルから作成した検量線を基準として求めた。
(2)硬化性ポリメチルシロキサン樹脂における、3官能シロキサン単位;CH3Si(OR)21/2単位、CH3Si(OR)O2/2単位、CH3SiO3/2単位の合計と、2官能シロキサン単位;(CH32Si(OR)O1/2単位、(CH32SiO2/2単位の合計のモル比(3官能シロキサン単位/2官能シロキサン単位)〔=X値〕と、3官能シロキサン単位中のCH3Si(OR)O2/2単位/CH3SiO3/2単位のモル比〔=Y値〕は、ケイ素核磁気共鳴スペクトル(29Si−NMR)分析により、各シロキサン単位に帰属されるシグナルの強度比から算出した。
(3)硬化被膜の作製、特性評価
硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物100質量部に、硬化触媒として、ケロープACS(ホープ製薬(株)製商品名;ジ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム)を0.2質量部添加混合した。これらのコーティング剤を、硬化時の被膜厚さが50μmとなるようにみがき鋼板上に塗布し、150℃で1時間加熱して硬化させた。得られた硬化被膜について、以下の特性評価を行った。
(i)被膜外観
被膜を目視及び指触によって観察し、異常の有無を判定した。
(ii)鉛筆硬度
JIS K 5600−5−4:引っかき硬度(鉛筆法)に準拠して評価した。
(iii)密着性
JIS K 5600−5−6:付着性(クロスカット法)に準拠して評価した。
(iv)耐屈曲性
JIS K 5600−5−1:耐屈曲性(円筒形マンドレル法)に準拠して測定し、2mmφで曲げた後の被膜外観を目視により観察し、以下の基準に従って判定した。
○:異常なし(割れや剥がれが全くない)
△:部分的に、割れや剥がれが発生
×:全面に、割れや剥がれが発生
(v)耐溶剤性(キシレンラビング)
キシレンを含浸させた脱脂綿で被膜表面を100往復擦った後の外観を目視により観察し、以下の基準に従って判定した。
○:異常なし(表面の白化や荒れが全くない)
△:表面の白化又は荒れが僅かに発生
×:表面の白化又は傷付きが著しい
(4)無機フィラーを高配合した厚膜の作製、耐ヒートショック性評価
硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物100質量部に、アルミナ粉として、DAW−10(電気化学工業(株)製商品名)を50質量部添加混合した(樹脂固形分/アルミナ粉質量比=100/100)。これらのコーティング剤を、硬化時の被膜厚さが120μmとなるようにアルミニウム板上に塗布し、180℃で1時間加熱して硬化させた。得られた硬化被膜について、−20〜60℃の冷熱サイクル1,000回によるヒートショック試験を行った後の外観を目視により観察し、以下の基準に従って判定した。
○:異常なし(クラックや剥がれが全くない)
△:部分的に、クラックや剥がれが発生
×:全面に、クラックや剥がれが発生
[実施例1]
撹拌装置、冷却コンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付けた容量5Lのフラスコに、メチルトリメトキシシラン1,090g(8モル)、ジメチルジメトキシシラン240g(2モル)、イソブタノール450gを仕込み、室温下でよく混合した後、内温が40℃以下となるように冷却しながら、0.03mmol/gの塩酸を含む水400g(アルコキシシラン原料中の全アルコキシ基に対するモル比=0.79)を1時間かけて滴下して加水分解を行った。引き続き、フラスコ内を加熱して内温約72℃の還流条件下で8時間熟成して重縮合を行った後、直ちにキシレン400gと10%硫酸ナトリウム水溶液1,500gを添加して撹拌しながら、更に内温40℃以下まで冷却して反応を停止させた。この反応液を静置して分離した水層を除去した後、5%硫酸ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層が中性になったことを確認した。この有機層を30mmHgの減圧下、80℃のオイルバス中で加熱して減圧共沸脱水を行い、濾過により不純物を取り除いた後に、イソブタノールで固形分調整を行って、不揮発分(105℃/3hr)が50質量%の無色透明な硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物(A)1,240gを得た。
[実施例2]
撹拌装置、冷却コンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付けた容量5Lのフラスコに、メチルトリメトキシシラン954g(7モル)、ジメチルジメトキシシラン361g(3モル)、イソブタノール450gを仕込み、室温下でよく混合した後、内温が40℃以下となるように冷却しながら、0.06mmol/gの塩酸を含む水316g(アルコキシシラン原料中の全アルコキシ基に対するモル比=0.65)を1時間かけて滴下して加水分解を行った。引き続き、フラスコ内を加熱して内温約72℃の還流条件下で5時間熟成して重縮合を行った後、直ちにキシレン400gと10%硫酸ナトリウム水溶液1,500gを添加して撹拌しながら、更に内温40℃以下まで冷却して反応を停止させた。この反応液を静置して分離した水層を除去した後、5%硫酸ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層が中性になったことを確認した。この有機層を30mmHgの減圧下、80℃のオイルバス中で加熱して減圧共沸脱水を行い、濾過により不純物を取り除いた後に、イソブタノールで固形分調整を行って、不揮発分(105℃/3hr)が50質量%の無色透明な硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物(B)1,280gを得た。
[比較例1]
撹拌装置、冷却コンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付けた容量5Lのフラスコに、KC−89S(信越化学工業(株)製商品名;メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物、平均4量体)1,017g(Si=10モル)とイソブタノール400gを仕込み、室温下でよく混合した後、内温が40℃以下となるように冷却しながら、0.01mmol/gの塩酸を含む水203g(アルコキシシラン原料中の全アルコキシ基に対するモル比=0.75)を1時間かけて滴下して加水分解を行った。引き続き、フラスコ内を加熱して内温約72℃の還流条件下で4時間熟成して重縮合を行った後、直ちにキシレン400gと10%硫酸ナトリウム水溶液1,500gを添加して撹拌しながら、更に内温40℃以下まで冷却して反応を停止させた。この反応液を静置して分離した水層を除去した後、5%硫酸ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層が中性になったことを確認した。この有機層を30mmHgの減圧下、80℃のオイルバス中で加熱して減圧共沸脱水を行い、濾過により不純物を取り除いた後に、イソブタノールで固形分調整を行って、不揮発分(105℃/3hr)が50質量%の無色透明な硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物(C)1,200gを得た。
[比較例2]
撹拌装置、冷却コンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付けた容量5Lのフラスコに、メチルトリメトキシシラン749g(5.5モル)、ジメチルジメトキシシラン541g(4.5モル)、イソブタノール450gを仕込み、室温下でよく混合した後、内温が40℃以下となるように冷却しながら、0.08mmol/gの塩酸を含む水368g(アルコキシシラン原料中の全アルコキシ基に対するモル比=0.8)を1時間かけて滴下して加水分解を行った。引き続き、フラスコ内を加熱して内温約72℃の還流条件下で12時間熟成して重縮合を行った後、直ちにキシレン400gと10%硫酸ナトリウム水溶液1,500gを添加して撹拌しながら、更に内温40℃以下まで冷却して反応を停止させた。この反応液を静置して分離した水層を除去した後、5%硫酸ナトリウム水溶液で4回洗浄し、有機層が中性になったことを確認した。この有機層を30mmHgの減圧下、80℃のオイルバス中で加熱して減圧共沸脱水を行い、濾過により不純物を取り除いた後に、イソブタノールで固形分調整を行って、不揮発分(105℃/3hr)が50質量%の無色微濁な硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物(D)1,200gを得た。
[比較例3]
撹拌装置、冷却コンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付けた容量5Lのフラスコに、メチルトリメトキシシラン1,090g(8モル)、ジメチルジメトキシシラン240g(2モル)、イソブタノール450gを仕込み、室温下でよく混合した後、内温が40℃以下となるように冷却しながら、0.2mmol/gの塩酸を含む水555g(アルコキシシラン原料中の全アルコキシ基に対するモル比=1.1)を1時間かけて滴下して加水分解を行った。引き続き、フラスコ内を加熱して内温約72℃の還流条件下で3時間熟成して重縮合を行った後、直ちにキシレン450gと10%硫酸ナトリウム水溶液1,500gを添加して撹拌しながら、更に内温40℃以下まで冷却して反応を停止させたが、この時点で反応液中には不溶化したミクロゲルが生成していた。この反応液を静置して分離した水層を除去した後、5%硫酸ナトリウム水溶液で5回洗浄し、有機層が中性になったことを確認した。この有機層を30mmHgの減圧下、80℃のオイルバス中で加熱して減圧共沸脱水を行い、濾過により不純物を取り除いた後に、イソブタノールで固形分調整を行って、不揮発分(105℃/3hr)が50質量%の無色微濁な硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物(E)980gを得た。
[比較例4]
撹拌装置、冷却コンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付けた容量5Lのフラスコに、メチルトリメトキシシラン1,090g(8モル)、ジメチルジメトキシシラン240g(2モル)、イソブタノール450gを仕込み、室温下でよく混合した後、内温が40℃以下となるように冷却しながら、0.0008mmol/gの塩酸を含む水252g(アルコキシシラン原料中の全アルコキシ基に対するモル比=0.5)を1時間かけて滴下して加水分解を行った。引き続き、フラスコ内を加熱して内温約72℃の還流条件下で8時間熟成して重縮合を行った後、直ちにキシレン400gと10%硫酸ナトリウム水溶液1,500gを添加して撹拌しながら、更に内温40℃以下まで冷却して反応を停止させた。この反応液を静置して分離した水層を除去した後、5%硫酸ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層が中性になったことを確認した。この有機層を30mmHgの減圧下、80℃のオイルバス中で加熱して減圧共沸脱水を行い、濾過により不純物を取り除いた後に、イソブタノールで固形分調整を行って、不揮発分(105℃/3hr)が50質量%の無色透明な硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物(F)1,260gを得た。
実施例1,2及び比較例1〜4で得られた硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物(A)〜(F)の分析結果、硬化被膜の特性評価結果及びアルミナ粉を高配合した厚膜の耐ヒートショック性評価結果を表1に示す。
Figure 0004883269
また、実施例1,2で得られた硬化性ポリメチルシロキサン樹脂組成物(A),(B)を、40℃で2ヶ月間保存した後にGPC測定を行った結果、分子量の増加率は10%以内であり、保存安定性にも優れていることが確認された。

Claims (3)

  1. (1)CH3Si(OR’)3(ここで、R’は炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるメチルトリアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選択される有機ケイ素化合物(a)と、(CH32Si(OR’)2(R’は同上)で表されるジメチルジアルコキシシラン(b)とを(a)/(b)のモル比が65/35〜85/15となるように混合した混合物を、有機溶媒として炭素数1〜8の一価アルコール中、0.001〜0.1mmol/gの酸を含み、上記の有機ケイ素化合物とジメチルジアルコキシシランとの混合物中の全アルコキシ(OR’)基に対するモル比が0.55〜0.79である水と接触させて加水分解を行う工程、
    (2)次いで、加熱下で熟成して重縮合を行う工程
    を含むことを特徴とする重量平均分子量が10,000〜100,000であり、数平均分子量が2,500〜4,000の硬化性ポリメチルシロキサン樹脂であって、CH 3 Si(OR) 2 1/2 単位、CH 3 Si(OR)O 2/2 単位、CH 3 SiO 3/2 単位、(CH 3 2 Si(OR)O 1/2 単位及び(CH 3 2 SiO 2/2 単位(ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す)からなり、CH 3 Si(OR) 2 1/2 単位、CH 3 Si(OR)O 2/2 単位、CH 3 SiO 3/2 単位の合計(A)と、(CH 3 2 Si(OR)O 1/2 単位、(CH 3 2 SiO 2/2 単位の合計(B)の含有比率(A)/(B)がモル比として65/35〜85/15であると共に、CH 3 Si(OR)O 2/2 単位/CH 3 SiO 3/2 単位のモル比が15/85〜30/70である硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法。
  2. CH3Si(OR’)3(ここで、R’は炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるメチルトリアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選択される有機ケイ素化合物が、メチルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項記載の製造方法。
  3. 酸が、塩酸であることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
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