以下本発明を、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本発明の粘着型光学フィルムは、透明基材フィルム1の片面に、ディスコティック液晶層3を有し、ディスコティック液晶層3上には、下塗り層4を介して、粘着剤層5が設けられている。図1では、透明基材フィルム1とディスコティック液晶層3との間に配向膜2を設ける場合を例示しているが、配向膜2の代わりに、透明基材フィルム1の片面を、ラビング処理したものを用いることができる。
図2は、図1の粘着型光学フィルムにおいて、ディスコティック液晶層3が形成されない側の、透明基材フィルム1の片面には偏光子6、次いで、透明保護フィルム7が積層されているものを用いた場合である。図2では、透明基材フィルム1は、偏光子6の透明保護フィルムも兼ねている。
透明基材フィルムとしては、各種の透明材料を用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明基材フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
透明基材フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性などの点より1〜500μm程度である。特に、5〜200μmが好ましい。
また、透明基材フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。従って、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、透明基材フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)はほぼ解消することができる。厚み方向位相差(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
透明基材フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーやノルボルネン系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。
ディスコティック液晶層は、通常、重合性不飽和基を有するディスコティック液晶化合物の配向、硬化により形成される。ディスコティック液晶層は、光学補償層として有用であり、視野角、コントラスト、明るさ等を向上させうる。ディスコティック液晶層は、ディスコティック液晶化合物が傾斜配向しているものが好適である。ディスコティック液晶層の厚さは、通常、0.5〜10μm程度である。
ディスコティック液晶化合物とは、負の屈折率異方性(一軸性)を有するものであり、例えば、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されている、ベンゼン誘導体や、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどが挙げられ、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶と呼ばれるものが含まれる。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、本発明において、ディスコティック液晶化合物は、熱、光等で硬化反応する重合性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基等があげられる)を有するものが通常用いられる。なお、ディスコティック液晶層は、最終的にできた物が前記化合物である必要はなく、重合性不飽和基の反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。
またディスコティック液晶化合物は、種々のディスコティック液晶化合物、および他の低分子化合物やポリマーとの反応により、もはや液晶性を示さなくなったディスコティック液晶の反応生成物等のように、分子自身が光学的に負の一軸性を有する化合物全般を意味する。
ディスコティック液晶の配向処理には、透明基板フィルム表面をラビング処理したり、または配向膜を用いる。配向膜としては、無機物斜方蒸着膜、或いは特定の有機高分子膜をラビングした配向膜があげられる。アゾベンゼン誘導体からなるLB膜のように光により異性化を起こし、分子が方向性を持って均一に配列する薄膜などもある。有機配向膜としては、ポリイミド膜や、アルキル鎖変性系ポバール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、など疎水性表面を形成する有機高分子膜があげられる。その他、無機物斜方蒸着膜として、SiO斜方蒸着膜があげられる。
ディスコティック液晶化合物を、傾斜配向させる手段としては、例えば、透明基材フィルムに、配向膜を形成し、次いで、ディスコティック液晶化合物(重合性液晶化合物)を塗布し、傾斜配向状態にし、その後、紫外光等の光照射や熱により固定化する等の方法を用いることができる。また、他の配向基材上にディスコティック液晶を傾斜配向させた後、透明支持体上に光学的に透明な接着剤又は感圧性接着剤を利用して転写することにより形成することも可能である。
かかるディスコティック液晶層としては、特許文献1、2に記載のものが好適に用いられる。このようなディスコティック液晶の傾斜配向層をセルロース系高分子フィルム上に形成させたものとして富士写真フィルム社製のワイドビューフィルムがある。
下塗り層は、ポリマー類および酸化防止剤を含有する下塗り剤により形成される。前記ポリマー類の材料は粘着剤層とディスコティック液晶層のいずれにも良好な密着性を示し、凝集力に優れる皮膜を形成するものが望ましい。
前記ポリマー類としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、分子中にアミノ基を含むポリマー類があげられる。ポリマー類の使用形態は溶剤可溶型、水分散型、水溶解型のいずれでもよい。例えば、水溶性ポリウレタン、水溶性ポリエステル、水溶性ポリアミド等や水分散性樹脂(エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、(メタ)アクリル系エマルジョンなど)が挙げられる。また、水分散型は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド等の各種の樹脂を乳化剤を用いてエマルジョン化したものや、前記樹脂中に、水分散性親水基のアニオン基、カチオン基またはノニオン基を導入して自己乳化物としたもの等を用いることができる。またイオン高分子錯体を用いることができる。
かかるポリマー類は粘着剤層に、例えば、イソシアネート系化合物を含む場合には、イソシアネート系化合物と反応性を有する官能基を有するものが好ましい。前記ポリマー類としては、分子中にアミノ基を含むポリマー類が好ましい。特に、末端に1級アミノ基を有するものが好ましく用いられ、イソシアネート系化合物との反応により強固に密着する。末端に1級アミノ基を有するポリマーは、末端に1級アミノ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
分子中にアミノ基を含むポリマー類としては、ポリエチレンイミン系、ポリアリルアミン系、ポリビニルアミン系、ポリビニルピリジン系、ポリビニルピロリジン系、ジメチルアミノエチルアクリレート等の含アミノ基含有モノマーの重合体などをあげることができる。これらのなかでもポリエチレンイミン系が好ましい。ポリエチレンイミン系材料としては、ポリエチレンイミン構造を有しているものであればよく、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸エステルへのエチレンイミン付加物および/またはポリエチレンイミン付加物があげられる。特に、末端に1級アミノ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルである、ポリアクリル酸エステルへのエチレンイミン付加物および/またはポリエチレンイミン付加物が好適である。
ポリエチレンイミンは、特に制限されず、各種のものを使用できる。ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、特に制限されないが、通常、100〜100万程度である。例えば、ポリエチレンイミンの市販品の例としては、株式会社日本触媒社製のエポミンSPシリーズ(SP−003、SP006、SP012、SP018、SP103、SP110、SP200等)、エポミンP−1000等があげられる。これらのなかでも、エポミンP−1000が好適である。
ポリアクリル酸エステルへのエチレンイミン付加物および/またはポリエチレンイミン付加物のポリアクリル酸エステルは、後述のアクリル系粘着剤のベースポリマー(アクリル系ポリマー)を構成するアルキル(メタ)アクリレートおよびその共重合モノマーを常法に従ってエマルジョン重合することにより得られる。共重合モノマーとしては、エチレンイミン等を反応させるためにカルボキシル基等の官能基を有するモノマーが用いられる。カルボキシル基等の官能基を有するモノマーの使用割合は、反応させるエチレンイミン等の割合により適宜に調整する。また、共重合モノマーとしては、スチレン系モノマーを用いるのが好適である。また、アクリル酸エステル中のカルボキシル基等に、別途合成したポリエチレンイミンを反応させることにより、ポリエチレンイミンをグラフト化した付加物とすることもできる。例えば、市販品の例としては、株式会社日本触媒社製のポリメントNK−380、があげられる。
またアクリル系重合体エマルジョンのエチレンイミン付加物および/またはポリエチレンイミン付加物等を用いることができる。例えば、市販品の例としては、株式会社日本触媒社製のポリメントSK−1000、があげられる。
上記の他に、末端に1級アミノ基を有するポリマーとしては、ポリアクリル酸エステル中のカルボキシル基又は水酸基を過剰のジイソシアネートと反応させ、さらに過剰のジアミンと反応させて末端に1級アミノ基を導入したものが挙げられる。また、末端に1級アミノ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルは、前記(メタ)アクリル酸エステルと、末端に1級アミノ基を有するモノマーを共重合することにより得られる。末端に1級アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート及びアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
下塗り層が含有する酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、イオウ系およびアミン系の酸化防止剤があげられ、これらから選ばれるいずれか少なくとも1種を用いる。これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、単環フェノール化合物として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−メチルフェノール、2,6−ジイソプロピル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチル−4−n−プロピルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−n−オクチルフェノール、2−イソプロピル−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチル−6−t−オクチルフェノール、2−イソブチル−4−エチル−6−t−ヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−4−n−ブチル−6−イソプロピルフェノール、スチレン化混合クレゾール、DL−α−トコフェロール、ステアリルβ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどを、2環フェノール化合物として、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2,2´−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2´−ブチリデンビス(2−t−ブチル−4−メチルフェノール)、3,6−ジオキサオクタメチレンビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2´−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などを、3環フェノール化合物として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4−t−ブチル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどを、4環フェノール化合物として、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを、リン含有フェノール化合物として、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)ニッケルなどを挙げることができる。
リン系酸化防止剤の具体例としては、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、テトラトリデシル−4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)−ジホスファイト、4,4´−イソプロピリデン−ジフェノールアルキルホスファイト(ただし、アルキルは炭素数12〜15程度)、4,4´−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化−4,4´−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオールジホスファイト、ヘキサトリデシル−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス[4,4´−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)]ホスファイト、トリス(1,3−ジステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル・4,4´−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト及びフェニルビスフェノール−A−ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジアルキルチオジプロピオネート及びアルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルを用いることが好ましい。ここで使用されるジアルキルチオジプロピオネートとしては、炭素数6〜20のアルキル基を有するジアルキルチオジプロピオネートが好ましく、またアルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルとしては、炭素数4〜20のアルキル基を有するアルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルが好ましい。この場合に多価アルコールエステルを構成する多価アルコールの例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなどを挙げることができる。このようなジアルキルチオジプロピオネートとしては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及びジステアリルチオジプロピオネートなどを挙げることができる。一方、アルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルとしては、例えば、グリセリントリブチルチオプロピオネート、グリセリントリオクチルチオプロピオネート、グリセリントリラウリルチオプロピオネート、グリセリントリステアリルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリブチルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリオクチルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリラウリルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリステアリルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラブチルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラオクチルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラステアリルチオプロピオネートなどを挙げることができる。
アミン系酸化防止剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンエタノールの重縮合物、N,N´,N´´,N´´´−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N´−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス−(1,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,1´−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β´,β´−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル]−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト[1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β´,β´−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル]−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N´−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ポリ[6−N−モルホリル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミド]、N,N´−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの縮合物、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミドなどを挙げることができる。
下塗り層は、ポリマー類および酸化防止剤を含有するが、通常、ポリマー類100重量部に対して、酸化防止剤0.01〜1000重量部を含有する。酸化防止剤の使用割合は、好ましくは0.1〜500重量部、さらに好ましくは1〜350重量部、さらに好ましくは10〜150重量部、さらに好ましくは50〜130重量部である。酸化防止剤の使用割合が0.01重量部未満では、表示均一性を満足できない場合がある。一方、1000重量部を超える場合には、投錨性や外観の点で好ましくない。
また下塗り層の形成にあたっては、アミノ基を含むポリマー類に加えて、アミノ基を含むポリマー類と反応する化合物を混合して架橋して、下塗り層の強度を向上させることができる。アミノ基を含むポリマー類と反応する化合物としては、エポキシ化合物等を例示できる。
下塗り層は、前記光学フィルムのディスコティック液晶層上に形成する。下塗り層の形成は、例えば、前記ポリマー類および酸化防止剤を含有する下塗り剤の溶液を、コーティング法、ディッピング法、スプレー法などの塗工法を用いて、塗布、乾燥し、下塗り層を形成させる。下塗り層の厚みとしては10〜5000nm程度、さらには50〜500nmの範囲にあることが好ましい。下塗り層の厚みが薄くなると、バルクとしての性質を有さず、十分な強度を示さなくなり、十分な密着性が得られない場合がある。また、厚すぎると光学特性の低下を招くおそれがある。なお、下塗り層の塗布量(固形分)は、1平方メートル当たり0.1〜5立方センチメートルであることが好ましい。さらには、0.1〜1立方センチメートル、さらには0.1〜0.5立方センチメートルとするのが好ましい。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤は、ベースポリマーとして、アルキル(メタ)アクリレート(a1)および芳香環構造を有する(メタ)アクリレート(a2)、および
(a1)成分および(a2)成分を除く、モノマー(a3)を、モノマー単位として含有するアクリル系ポリマーを含有する。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
アルキル(メタ)アクリレート(a1)のアルキル基の炭素数は1〜18程度、好ましくは炭素数1〜9であり、アルキル基は直鎖、分岐鎖のいずれでもよい。アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、などを挙げることができる。これらは単独でまたは組み合わせて使用することができる。これらアルキル基の平均炭素数は4〜12であるのが好ましい。
芳香環構造を有する(メタ)アクリレート(a2)の芳香環構造としては、ベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、ピロール環、フラン環等があげられる。芳香環構造を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ‐2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(4−メトキシ−1−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、チオフェニル(メタ)アクリレート、ピリジル(メタ)アクリレート、ピロリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ポリスチリル(メタ)アクリレート等があげられる。この理由は定かではないが、芳香環の分極率が高いことが理由の一つと考えられる。特に、フェノキシエチル(メタ)アクリレートや、フェノキシ‐2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェニル基を有する(メタ)アクリレートは、ベンゼン環とエーテル結合がつながっているために、より分野率が高くなるため好適である。
前記(a3)成分は、ベースポリマーを改質するために用いられる。前記(a3)成分は、1種または2種以上を用いることができる。前記(a3)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどがあげられる。
また、前記(a3)成分としては、窒素含有ビニルモノマーがあげられる。例えば、マレイミド;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマーなども改質目的のモノマー例としてあげられる。
さらに、前記(a3)成分としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリレート系モノマーなども使用することができる。
アクリル系ポリマーにおいて、アルキル(メタ)アクリレート(a1)、芳香環構造を有する(メタ)アクリレート(a2)およびモノマー(a3)の割合は、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレート(a1)を49.9〜84.9重量%、芳香環構造を有する(メタ)アクリレート(a2)を15〜50重量%、およびモノマー(a3)を、0.1〜5重量%の範囲で用いられる。
芳香環構造を有する(メタ)アクリレート(a2)は、20〜40重量%であるのが好ましく、さらには25〜35重量%であるのがより好ましい。前記(a2)成分の割合を、15重量%以上とすることは、表示均一性の点で好ましく、50重量%以下とすることで、表示均一性、耐久性を向上させることができる。
前記(a3)成分の割合は、0.5〜4.5重量%であるのが好ましく、さらには1〜4重量%であるのがより好ましい。前記(a3)成分の割合が、5重量%を超えると粘着剤としての柔軟性を損なうおそれがある点で好ましくない。一方、前記(a3)成分の割合が、0.1重量%未満では、ベースポリマーの極性が低くなるために耐久性が低下するため好ましくない。
前記(a3)成分としては、架橋点、特にイソシアネート架橋剤との架橋点になりうることから、ヒドロキシル基含有モノマーが好適に用いられる。ヒドロキシル基含有モノマー用いる場合、その割合は、0.1〜5重量%程度、好ましくは0.5〜4重量%、さらに好ましくは1〜3.5重量%である。また、接着性が良好である点から、カルボキシル基を含有するモノマー、特にアクリル酸が好適に用いられる。カルボキシル基を含有するモノマーを用いる場合、その割合は、0.1〜5重量%程度、好ましくは0.2〜3重量%、さらに好ましくは0.3〜2重量%である。また、なお、アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、(a2)成分および(a3)成分の残部になる。
前記アクリル系ポリマーの製造は、各種公知の手法により製造でき、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法を適宜選択できる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系の各種公知のものを使用できる。反応温度は通常50〜80℃程度、反応時間は1〜8時間とされる。また、前記製造法の中でも溶液重合法が好ましく、アクリル系ポリマーの溶媒としては一般に酢酸エチル、トルエン等が用いられる。溶液濃度は通常20〜80重量%程度とされる。またアクリル系ポリマーは、水系のエマルジョンとして得ることができる。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重量平均分子量(Mw)が140万〜250万であり、150万〜240万であるのが好ましく、さらには160万〜230万であるのが好ましい。重量平均分子量が、140万未満では、表示均一性、耐久性、ハンドリング性を満足できない。一方、重量平均分子量が250万を超える場合には、接着性が低下する点で好ましくない。また、アクリル系ポリマーは、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った値(Mw/Mn)、即ち、分散度が、3〜10である。前記分散度は、3.5〜8であるのが好ましく、さらに4〜7であるのが好ましい。前記範囲に分散度を制御することは、表示均一性を満足するうえで好ましい。なお、前記範囲に分散度を制御するには、アクリル系ポリマーを重合する際の濃度、開示剤種、その量及び重合温度を制御することで達成できる。モノマー濃度は高く、重合温度は低くする方が良い。具体的には開示剤として、アゾビスイソブチロニトリルやベンゾイルパーオキサイドを用いた場合は重合温度50〜60℃程度で8時間程度反応することで達成できる。重合温度が低すぎると、重合反応は開始せず、高すぎると、分散度が大きくなって表示均一性が悪化してしまう。また重合の途中で開始剤を再投入しても、分散度が大きくなって表示均一性は悪化する。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法の下記条件にて測定した。
分析装置:東ソー製、HLC‐8120GPC。
カラム:東ソー製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL。
カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm 計90cm。
カラム温度:40℃。
流速:0.8ml/min。
注入量:100μl。
溶離液:テトラヒドロフラン。
検出器:示唆屈折計。
標準試料:ポリスチレン。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤は、ベースポリマーである前記アクリル系ポリマーに加えて、架橋剤を含有する。架橋剤により、光学フィルムとの密着性や耐久性を向上でき、また高温での信頼性や粘着剤自体の形状の保持を図ることができる。架橋剤としては、イソシアネート系、エポキシ系、過酸化物系、金属キレート系、オキサゾリン系などを適宜に使用可能である。これら架橋剤は1種を、または2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤としては、ヒドロキシル基と反応性を示す官能基を含有する架橋剤が好適であり、特に、イソシアネート系架橋剤が好適である。
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート化合物が用いられる。イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマー及びこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したアダクト系イソシアネート化合物;イソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどを付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートなどが挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールAエピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂があげられる。また、エポキシ系架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルトルイジン、及びN,N−ジグリシジルアニリンなどが挙げられる。
過酸化物系架橋剤としては、各種過酸化物が用いられる。過酸化物としては、ジ(2‐エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4‐t‐ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ‐sec‐ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t‐へキシルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ‐n‐オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3‐テトラメチルブチルパーオキシイソブチレート、1,1,3,3‐テトラメチルブチルパーオキシ2‐エチルヘキサノエート、ジ(4‐メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t‐ブチルパーオキシイソブチレート、などが挙げられる。これらのなかでも、特に架橋反応効率に優れる、ジ(4‐t‐ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジラウロイルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシドが好ましく用いられる。
架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.02〜3重量部である。架橋剤の使用割合が、10重量部を超えると架橋が進みすぎて接着性が低下するおそれがある点で好ましくない。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤は、シランカップリング剤を含有する。シランカップリング剤としては、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するシランカップリング剤;3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3‐トリエトキシシリル‐N‐(1,3‐ジメチルブチリデン)プロピルアミン、等のアミノ基含有シランカップリング剤;3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3‐イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤;3‐クロロプロピルトリメトキシシラン;アセトアセチル基含有トリメトキシシラン;p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノエチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノエチルトリメトキシシラン等の芳香環を有するシランカップリング剤などがあげられる。シランカップリング剤は、1種を単独で使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良い。シランカップリング剤は、耐久性を向上させるうえで好ましい。
前記シランカップリング剤のなかでも、分子内にアルコキシシリル基と芳香環構造を有するものが好適である。芳香環構造としては、前記同様のベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、ピロール環、フラン環等があげられる。前記アクリル系ポリマーは、モノマー単位として芳香環構造を有する(メタ)アクリレート(a2)を含有するが、芳香環構造を有するアクリル系ポリマーは、加湿試験において剥がれが易くなる傾向がある。芳香環構造を有するアクリル系ポリマーと芳香環構造を有するシランカップリング剤は、相溶性が高いため、シランカップリング剤として芳香環構造を有するシランカップリング剤を選択して用いることで、耐久性をより向上することができる。特に、芳香環構造を有するシランカップリング剤のなかでも、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノエチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノエチルトリメトキシシラン等の芳香環構造を有する、アミノ基含有シランカップリング剤が好ましく、特に、フェニルアミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤の配合量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜5重量部程度、好ましくは0.02〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部である。上記シランカップリング剤を上記範囲で用いることにより、より確実に凝集力や耐久性の向上したものとすることができるが、一方、0.01重量部未満では、耐久性に劣る場合があり、一方、5重量部を越えると、液晶セル等の光学部材への接着力が増大しすぎてしまう場合がある。
さらには、本発明の粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤を適宜に使用することもできる。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層などとしても良い。
粘着剤層の形成は、前記下塗り層上に積層することにより行う。形成方法としては、特に制限されず、前記下塗り層上に粘着剤溶液を流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で塗布し乾燥する方法、粘着剤層を設けた離型シートにより転写する方法等があげられる。塗布法は、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などを採用できる。粘着剤溶液を塗布後、乾燥工程で溶剤や水を揮発することで所定の厚みの粘着剤層を得る。
粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般的には、1〜500μmであり、好ましくは1〜50μmである。さらには1〜40μmが好ましく、さらには5〜30μmが好ましく、特に10〜25μmが好ましい。1μmより薄いと耐久性が悪くなり、厚くなると発泡などによる浮きや剥がれが生じやすく外観不良となりやすい。
また、粘着剤層の形成は、UV硬化性の粘着剤シロップを離型シート上に塗布し、電子線やUV等の放射線を照射することで前記アクリル系ポリマーを含有する粘着剤層を形成できる。この際、粘着剤には、架橋剤を含有させていることから、高温での信頼性や粘着剤自体の形状の保持を図ることができる。
なお、粘着剤層の架橋は、前記乾燥工程やUV照射工程で行うことができる他、乾燥後に、加温状態や室温放置によるエージングにより、架橋が促進するような架橋形態も選択できる。
離型シートの構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体等があげられる。離型シートの表面には、粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの低接着性の剥離処理が施されていても良い。
なお、本発明の粘着型光学フィルムの光学フィルムや粘着剤層などの各層には、例えば、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
粘着型光学フィルムには、帯電防止性を付与するために、帯電防止剤を用いることもできる。帯電防止剤は、各層に含有させることができ、また、別途、帯電防止層を形成することができる。帯電防止剤としては、イオン性界面活性剤系;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリキノキサリン等の導電ポリマー系;酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム等の金属酸化物系などが挙げられるが、特に光学特性、外観、帯電防止効果、および帯電防止効果の熱時、加湿時での安定性という観点から、導電性ポリマー系が好ましく使用される。この中でも、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの水溶性導電性ポリマー、もしくは水分散性導電性ポリマーが特に好ましく使用される。これは、帯電防止層の形成材料として水溶性導電性ポリマーや水分散性導電性ポリマーを用いた場合、塗布工程に際して有機溶剤による光学フィルム基材の変質を抑える点で好ましい。
本発明の光学フィルムは、図2に示すように、ディスコティック液晶層3が形成されない側の、透明基材フィルム1の片面には偏光子6、次いで、透明保護フィルム7が積層されているものを用いることができる。
偏光子6は、接着剤を用いて、透明基材フィルム1に貼り合せられる。なお、図2では、透明基材フィルム1は、偏光子6の透明保護フィルムを兼ねているが、透明基材フィルム1には、偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有する偏光板を積層することもできる。
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。透明保護フィルムは、透明基材フィルムと同様の材料を用いることができる。また厚みについても同様である。
なお、透明基材フィルムと透明保護フィルムは、同じポリマー材料を用いても良く、異なるポリマー材料等を用いても良い。
前記偏光子と、透明基材フィルムおよび透明保護フィルムとは、通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。なお、偏光子と、透明基材フィルムおよび透明保護フィルムとの貼り合せにあたり、透明基材フィルムおよび透明保護フィルムには活性化処理を施すことができる。活性化処理は各種方法を採用でき、例えばケン化処理、コロナ処理、低圧UV処理、プラズマ処理等を採用できる。活性化処理は、透明基材フィルムが、特にトリアセチルセルロース、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィン系樹脂等の場合に有効である。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであっても良い。
また、前記偏光板を積層した光学フィルムの他に、本発明の粘着型光学フィルムに使用される光学フィルムとしては、液晶表示装置等の画像表示装置の形成に用いられ光学層を積層することができる。例えば反射板や反透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で光学フィルムとして用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
本発明の粘着型光学フィルムは液晶表示装置等の各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと粘着型光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による粘着型光学フィルムを用いる点を除いて特に限定は無く、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に粘着型光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。