以下、本発明の実施例1であるカメラシステムについて、図1から図15を用いて説明する。
図1は、本実施例のカメラシステムの構成を示す概略図である。本実施例におけるカメラは、CCDセンサ又はCMOSセンサなどの撮像素子を用いた単板式のデジタルカラーカメラであり、撮像素子を連続的または単発的に駆動することで動画像又は静止画像を表わす画像信号を得ることができる。ここで、撮像素子は、各画素において、受光した光を電気信号に光電変換して、受光量に応じた電荷を蓄積し、この電荷を読み出すタイプのエリアセンサである。
図1において、101はカメラ本体、102は、撮影光学系103を有し、カメラ本体101に対して着脱可能なレンズ装置である。レンズ装置102は、マウント機構(不図示)を介してカメラ本体101に電気的及び機械的に接続される。ここで、焦点距離の異なるレンズ装置102を交換することによって、様々な画角の撮影画面を得ることができる。
レンズ装置102は、撮影光学系103に含まれるフォーカスレンズやズームレンズを光軸L1方向に移動させるための駆動機構(不図示)を有している。本実施例では、フォーカスレンズを光軸L1方向に移動させることによって、撮影光学系103の焦点調節を行うものであるが、これに限るものではない。例えば、フォーカスレンズを柔軟性のある透明弾性部材や液体レンズで構成し、この界面形状(屈折力)を変化させることで、焦点調節を行うこともできる。
106は、パッケージ124に収納された撮像素子である。撮像素子106の受光面側には、被写体光に含まれる高周波数成分が撮像素子106に到達しないように、撮影光学系103のカットオフ周波数を制限する光学ローパスフィルタ156が設けられている。また、撮影光学系103には、赤外線カットフィルタも形成されている。
撮像素子106を用いて撮像された被写体像は、ディスプレイユニット107で表示される。ディスプレイユニット107は、カメラの背面に取り付けられており、使用者は、ディスプレイユニット107に表示された画像を直接観察することができる。ディスプレイユニット107を、有機EL空間変調素子、液晶空間変調素子、微粒子の電気泳動を利用した空間変調素子などで構成すれば、消費電力を低減しつつ、薄型化することができる。
本実施例では、撮像素子106として、増幅型固体撮像素子の1つであるCMOSプロセスコンパチブルのセンサ(CMOSセンサ)を用いている。CMOSセンサでは、エリアセンサ部のMOSトランジスタと撮像素子駆動回路、AD変換回路、画像処理回路といった周辺回路を同一工程で形成することができる。このため、マスク枚数やプロセス工程を、CCDセンサと比べて大幅に削減することができる。また、CMOSセンサでは、任意の画素へのランダムアクセスが可能であり、ディスプレイ用に間引いた読み出しができる。これにより、高い表示レートでリアルタイムの表示を行うことができる。
111はハーフミラーであり、撮影光学系103からの光束(被写体光)のうち、一部の光束を反射させてファインダ光学系に導くとともに、他の光束を透過させる。105は、被写体像の予定結像面に配置されたフォーカシングスクリーンである。フォーカシングスクリーン105の位置と、撮像素子106の位置とは、光学的に共役な関係となっている。
112はペンタプリズムであり、撮影光学系103からの光束を複数回反射させることで、正立正像に変換する。109は、被写体像(光学像)を観察するための接眼レンズであり、実際には3つのレンズ(図3のレンズ109a、109b、109c)で構成されている。上述したフォーカシングスクリーン105、ペンタプリズム112、レンズ109によって、ファインダ光学系が構成される。
ハーフミラー111の屈折率は略1.5であり、厚さは0.5mmである。ハーフミラー111の背後には、サブミラー122が設けられており、ハーフミラー111を透過した光束のうち光軸に近い光束を焦点検出ユニット121に向けて反射させる。焦点検出ユニット121は、位相差検出方式による焦点検出を行う。
104は照明ユニットであり、被写体に対して照明光を照射する。照明ユニット104は、使用時にはカメラ本体101から突出し、不使用時にはカメラ本体101内に収納される。113はフォーカルプレンシャッタ(以下、シャッタという)であり、撮像素子106に入射する光量を制御する。シャッタ113は、複数枚の遮光羽根で構成される先幕および後幕を有している。
シャッタ113において、非撮影時には光通過口となるアパーチャを先幕又は後幕で覆うことで撮影光束を遮光しており、撮影時には先幕および後幕がスリットを形成しながら走行することで撮影光束を像面側に通過させる。119はメインスイッチであり、カメラ本体101を動作させるために操作される。
118はキャリブレーションスイッチであり、撮影者がキャリブレーションを実行するときに操作される。120はレリーズボタンであり、撮影準備動作(焦点調節動作や測光動作を含む)及び撮影動作の開始を指示するために操作される。123はファインダモード切換スイッチであり、光学ファインダモード(OVFモード)および電子ファインダモード(EVFモード)の設定を切り換えることができる。ここで、OVFモードでは、ファインダ光学系を介して物体像を観察することができ、EVFモードでは、ディスプレイユニット107を介して物体像を観察することができる。
なお、撮影モード切換スイッチ123は、スライド式のスイッチとなっている。そして、撮影モード切換スイッチ123を、OVFモード又はEVFモードに対応した位置に移動させると、この撮影モードが維持されるようになっている。180は情報表示ユニットであり、ファインダ光学系内において所定の情報(例えば、撮影情報)を表示させる。これにより、撮影者は、接眼レンズ109を覗くことで被写体像とともに所定の情報を観察することができる。
上述した構成において、ハーフミラー111およびサブミラー122は、後述するように第1の光路状態から第3の光路状態における3つの状態を選択的にとることができる。第1の光路状態(第1の状態)では、撮影光学系103からの光が、ファインダ光学系および焦点検出ユニット121に導かれる。第2の光路状態(第2の状態)では、撮影光学系103からの光が、撮像素子106および焦点検出ユニット121に導かれる。第3の光路状態(第3の状態)では、撮影光学系103からの光が、直接、撮像素子106に到達する。
具体的には、第1の光路状態では、ハーフミラー111およびサブミラー122が撮影光路内に斜設されている。そして、結像光学系103からの光が、ハーフミラー111で反射することによりファインダ光学系に導かれるとともに、ハーフミラー111を透過した光がサブミラー122で反射することにより焦点検出ユニット121に導かれる。これにより、第1の光路状態では、接眼レンズ109を介して物体像を観察することができるとともに、焦点検出ユニット121において焦点検出を行うことができる。
また、第2の光路状態では、ハーフミラー111だけが撮影光路中で斜設されたままとなっている。そして、撮影光学系103からの光が、ハーフミラー111で反射することにより焦点検出ユニット121に導かれるとともに、ハーフミラー111を透過した光が撮像素子106に到達可能となっている。なお、サブミラー122は、撮影光路から退避した状態となっている。
これにより、第2の光路状態では、撮像素子106の出力に基づいて撮影画像をディスプレイユニット107に表示させたり、撮影(連続撮影や動画撮影)を行ったりすることができるとともに、焦点検出ユニット121において焦点検出を行うことができる。
第3の光路状態では、ハーフミラー111およびサブミラー122が撮影光路から退避しており、撮影光学系103からの光が直接、撮像素子106に到達可能となっている。これにより、第3の光路状態では、撮像素子の106の出力に基づいて撮影画像をディスプレイユニット107に表示したり、撮影を行ったりすることができる。この撮影では、高精細な画像を生成することができ、撮影画像を拡大して大型プリントを行う場合等において好適である。
上述した3通りの光路状態を高速で切り換えるために、ハーフミラー111は透明樹脂で構成され、軽量化が図られている。また、ハーフミラー111の裏面には複屈折性をもつ高分子薄膜が貼り付けられている。このため、第2の光路状態において、撮影画像をディスプレイユニット107でモニタする場合や高速連続撮影を行う場合には、撮像素子106の全画素を用いて撮像しないことに対応して、さらに強いローパス効果を付与する。
なお、ハーフミラー111の表面に、可視光の波長よりも小さなピッチをもつ微細な角錐状の周期構造を樹脂によって形成し、いわゆるフォトニック結晶として作用させることもできる。これによって、空気と樹脂との屈折率差による光の表面反射を低減し、光の利用効率を高めることが可能である。そして、第2の光路状態において、ハーフミラー111の表裏面での光の多重反射によってゴーストが発生するのを防ぐことができる。
不図示の電磁モータとギア列からなるミラー駆動機構は、ハーフミラー111およびサブミラー122の位置を変化させることにより、光路状態を、上述した第1の光路状態、第2の光路状態および第3の光路状態で切り換える。
第2の光路状態における撮像では、後述するようにハーフミラー111およびサブミラー122が所定位置に保持されたままであり、ミラー駆動機構を作動させる必要がない。このため、画像信号処理を高速化させることで超高速連続撮影を行うことができる。また、ディスプレイユニット107に画像が表示されているときでも、焦点調節を行うことができる。
図2は、本実施例であるカメラシステムの電気的構成を示すブロック図である。このカメラシステムは、撮像系、画像処理系、記録再生系および制御系を有する。まず、物体像の撮像、記録に関する説明を行う。なお、図2において、図1で説明した部材と同じ部材については同一符号を付す。
撮像系は、撮影光学系103および撮像素子106を含み、画像処理系は、A/D変換器130、RGB画像処理回路131およびYC処理回路132を含む。また、記録再生系は、記録処理回路133および再生処理回路134を含み、制御系は、カメラシステム制御回路(制御回路)135、操作検出回路136および撮像素子駆動回路137を含む。
138は、外部のコンピュータ等に接続され、データの送受信を行うための規格化された接続端子である。上記の電気回路は、不図示の小型燃料電池によって駆動される。
撮像系は、被写体からの光を、撮影光学系103を介して撮像素子106の撮像面に結像する光学処理系である。そして、レンズ装置102内の絞り(光量調節ユニット)143と、必要に応じてシャッタ113における先幕および後幕の走行を調節し、適切な光量の被写体光を撮像素子106に露光する。
撮像素子106は、正方画素が長辺方向に3700個、短辺方向に2800個並べられ、合計約1000万個の画素数を有している。また、各画素にR(赤色)G(緑色)B(青色)のカラーフィルタを交互に配して4画素が1組となる、いわゆるベイヤー配列を形成している。
ベイヤー配列では、撮影者が画像を見たときに強く感じやすいGの画素をRやBの画素よりも多く配置することで、総合的な画像性能を上げている。一般に、この方式の撮像素子106を用いる画像処理では、輝度信号は主にGから生成し、色信号はR、G、Bから生成する。
撮像素子106から読み出された画像信号は、A/D変換器130を介して画像処理系に供給される。A/D変換器130は、露光した各画素の出力信号の振幅に応じて、例えば10ビットのデジタル信号に変換して出力する信号変換回路であり、以降の画像信号処理はデジタル処理にて実行される。
画像処理系は、R、G、Bのデジタル信号から所望の形式の画像信号を得る信号処理系であり、R、G、Bの色信号を輝度信号Yおよび色差信号(R−Y)、(B−Y)にて表されるYC信号などに変換する。RGB画像処理回路131は、A/D変換器130を介して撮像素子106から受けた3700×2800画素の画像信号を処理する信号処理回路であり、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路、補間演算による高解像度化を行う補間演算回路を有する。
YC処理回路132は、輝度信号Yおよび色差信号R−Y、B−Yを生成する信号処理回路である。YC処理回路132は、高域輝度信号YHを生成する高域輝度信号発生回路、低域輝度信号YLを生成する低域輝度信号発生回路、および色差信号R−Y、B−Yを生成する色差信号発生回路で構成されている。輝度信号Yは、高域輝度信号YHと低域輝度信号YLを合成することによって形成される。
記録再生系は、メモリ(記録媒体、不図示)への画像信号の出力と、ディスプレイユニット107への画像信号の出力とを行う処理系である。記録処理回路133は、メモリへの画像信号の書き込み処理および読み出し処理を行う。再生処理回路134は、メモリから読み出した画像信号を再生して、ディスプレイユニット107に出力する。
また、記録処理回路133は、静止画像および動画像を表すYC信号を所定の圧縮形式(例えば、JPEG形式)にて圧縮するとともに、圧縮データを読み出した際に圧縮データを伸張する圧縮伸張回路を有する。圧縮伸張回路は、信号処理のためのフレームメモリなどを含み、このフレームメモリに画像処理系からのYC信号をフレーム毎に蓄積して、それぞれ複数のブロック毎に読み出して圧縮符号化する。圧縮符号化は、例えば、ブロック毎の画像信号を2次元直交変換、正規化およびハフマン符号化することにより行われる。
再生処理回路134は、輝度信号Yおよび色差信号R−Y、B−Yをマトリックス変換して、例えばRGB信号に変換する回路である。再生処理回路134によって変換された信号は、ディスプレイユニット107に出力され、可視画像が表示(再生)される。再生処理回路134およびディスプレイユニット107は、Bluetoothなどの無線通信回線を介して接続することができる。このように構成すれば、カメラで撮像した画像を離れたところからモニタすることができる。
一方、制御系の一部である操作検出回路136は、レリーズボタン120やファインダモード切り換えスイッチ123等の操作を検出する。また、カメラシステム制御回路135は、操作検出回路136の検出信号に応じてハーフミラー111やサブミラー122を含むカメラ内の各部材の駆動を制御し、撮像の際のタイミング信号などを生成して出力する。
撮像素子駆動回路137は、カメラシステム制御回路135の制御の下に撮像素子106を駆動する駆動信号を生成する。情報表示回路142は、情報表示ユニット180の駆動を制御する。
制御系は、外部操作に応じて撮像系、画像処理系および記録再生系における各回路の駆動を制御する。例えば、制御系は、レリーズボタン120が押圧操作されたことを検出して、撮像素子106の駆動、RGB画像処理回路131の動作、記録処理回路133の圧縮処理などを制御する。また、制御系は、情報表示回路142によって光学ファインダ内に表示される情報における各セグメントの状態を制御する。
次に、焦点調節に関する説明を行う。カメラシステム制御回路135には、AF制御回路140およびレンズシステム制御回路141が接続されている。これらの制御回路140、141は、カメラシステム制御回路135を中心にして各々の処理に必要とするデータを相互に通信している。
AF制御回路140は、撮影画面上の所定位置に設けられた焦点検出領域に対応する焦点検出用センサ167の信号出力を受けることにより焦点検出信号を生成し、撮影光学系103の合焦状態(デフォーカス量)を検出する。デフォーカス量が検出されると、このデフォーカス量を撮影光学系103内のフォーカスレンズの駆動量に変換し、カメラシステム制御回路135を介してレンズシステム制御回路141に送信する。
移動する物体に対しては、レリーズボタン120が操作されてから実際の撮影動作が開始されるまでのタイムラグを勘案して、適切なレンズ停止位置を予測した結果に基づいてフォーカスレンズの駆動量を指示する。また、被写体の輝度が低く、十分な焦点検出精度が得られない場合には、照明ユニット104又はカメラ本体101に設けられた不図示の白色LEDや蛍光管によって物体を照明する。ここで、被写体の輝度は、カメラ本体101内に設けられた輝度検出ユニット(不図示)によって検出することができる。
レンズシステム制御回路141は、カメラシステム制御回路135から送られたフォーカスレンズの駆動量を受信すると、レンズ装置102内の不図示の駆動機構によってフォーカスレンズを光軸L1方向に移動させるなどの動作を行い、焦点調節を行う。AF制御回路140において被写体にピントが合ったことが検出されると、この検出情報はカメラシステム制御回路135に伝えられる。このとき、レリーズボタン120が操作されていれば、上述したように撮像系、画像処理系、記録再生系により撮像制御が行われる。
絞り143は、レンズシステム制御回路141からの指令に応じて像面側に向かう被写体光の光量を調節する。なお、カメラシステム制御135とレンズシステム制御回路141は、レンズ装置102側のマウント部の電気接点(通信ユニット)144aおよびカメラ本体101側のマウント部の電気接点144bを介して通信が行えるように構成されている。
図3から図7は、本実施例であるカメラシステムの縦断面図である。なお、レンズ装置102については、この一部を示している。これらの図では、主にハーフミラー111およびサブミラー122の駆動機構(ミラー駆動機構)の動作を時系列で示している。なお、図1および図2で説明した部材と同じ部材については同一符号を付す。
図5を用いてミラー駆動機構の構成について説明する。図5は、カメラが上述した第1の光路状態にあるときの図を示している。
図5において、101はカメラ本体、102はレンズ装置、103aは撮影光学系を構成する複数のレンズのうち最も像面側に位置するレンズ、105はファインダ光学系のフォーカシングスクリーンである。164は焦点検出ユニット121における光束の取り込み窓となるコンデンサーレンズ、107はディスプレイユニットである。163は、ファインダ光学系の光路内に進退可能なアイピースシャッタ(遮光部材)である。この遮光部材は、接眼レンズ109a側からの光による撮像への影響を回避するための部材である。
可動型のハーフミラー111は、不図示のハーフミラー受け板に保持されている。このハーフミラー受け板にはピン173、174が設けられており、ハーフミラー111およびピン173、174はハーフミラー受け板を介して一体となって移動可能となっている。170はハーフミラー駆動レバー、171はハーフミラー支持アームである。ハーフミラー駆動レバー170は、回転軸170aに対して回転可能に支持されており、ハーフミラー支持アーム171は、回転軸171aに対して回転可能に支持されている。
ハーフミラー駆動レバー170は、不図示の動力伝達機構を介して駆動源に連結されており、駆動源からの駆動力を受けることにより回転軸170aを中心に回転することができる。また、ハーフミラー支持アーム171は、接続部171bを介してミラーボックスの対向する壁面側にある略同一形状の構造と接続されている。
ハーフミラー支持アーム171の先端に設けられた貫通孔171cには、不図示のハーフミラー受け板に設けられたピン173が摺動可能に係合している。これにより、ハーフミラー111は、ハーフミラー受け板を介して貫通孔171cを中心に回動可能となっている。また、ハーフミラー受け板のうちピン173とピン174の中間位置には、不図示のトーションバネによって矢印A方向の付勢力が付与されている。
第1の光路状態(図5)においては、ミラーストッパ(ストッパ部材)160、161が、撮影光路外であってハーフミラー111の移動軌跡内に進入した状態にある。この状態にあるとき、ハーフミラー111は、トーションバネによる矢印A方向の付勢力を受けることにより、ミラーストッパ160、161に当接して位置決めされる。これにより、ハーフミラー111は、撮影光路上に斜設された状態となる。
ここで、ピン173は、ハーフミラー駆動レバー170の第1カム面170bに当接しておらず、ピン174はハーフミラー駆動レバー170の第2カム面170cに当接していない。また、サブミラー122は回転軸125周りの回転が抑制された状態で、ハーフミラー111の背後に位置している。
上述した第1の光路状態において、撮影光学系103から射出した光束のうちハーフミラー111で反射した光束はファインダ光学系に導かれる。そして、ハーフミラー111を透過した光束は、ハーフミラー111の背後にあるサブミラー122で反射して焦点検出ユニット121に導かれる。
ミラーストッパ160、161がハーフミラー111の移動軌跡から退避したときや、ハーフミラー駆動レバー170が図5中時計回りに回転したときには、ピン173、174は、不図示のトーションバネによる矢印A方向の付勢力を受ける。これにより、ピン173は、ハーフミラー駆動レバー170の第1カム面170bに当接し、ピン174は、ハーフミラー駆動レバー170の第2カム面170cに当接する。
そして、ピン173、174はそれぞれ、ハーフミラー駆動レバー170の回転量に応じて、第1カム面170bおよび第2カム面170cに沿って移動する。これにより、ハーフミラー111の姿勢(光軸L1に対する傾き)が変化する。すなわち、ハーフミラー駆動レバー170の回転に連動してハーフミラー支持アーム171が回転する。そして、ハーフミラー駆動レバー170およびハーフミラー支持アーム171にピン173、174を介して連結しているハーフミラー受け板が作動し、ハーフミラー受け板とともにハーフミラー111が作動する。
図3から図7は、ハーフミラー111やサブミラー122の動作を示す図である。図3は、上述した第2の光路状態を示し、図4は、第1の光路状態から第2の光路状態への移行過程を示す。図6は、第1の光路状態から第3の光路状態への移行過程を示し、図7は上述した第3の光路状態を示す。
第1の光路状態(図5)にあるとき、ハーフミラー111およびサブミラー122は、上述したように撮像光学系103から射出された被写体光を、ファインダ光学系および焦点検出ユニット121に導くように作用する。また、第2の光路状態(図3)にあるときには、ハーフミラー111が撮像光学系103から射出した被写体光を、撮像素子106および焦点検出ユニット121に導くように作用する。第2の光路状態では、ディスプレイユニット107を用いて被写体像を観察しつつ、焦点検出ユニット121の焦点検出結果を用いた高速な焦点調節動作を行うことができる。さらに、第3の光路状態(図7)にあるときには、ハーフミラー111およびサブミラー122が撮影光路から退避する。
次に、焦点検出ユニット121と焦点検出のための信号処理について説明する。
図3から図7において、164はコンデンサーレンズ、165は反射ミラー、166は再結像レンズ、167は焦点検出用センサである。
撮影光学系103から射出し、ハーフミラー111(第2の光路状態のとき)又は、サブミラー122(第1の光路状態のとき)で反射した光束は、ミラーボックス下部のコンデンサーレンズ164に入射する。そして、反射ミラー165で偏向し、再結像レンズ166の作用によって焦点検出用センサ167上に物体の2次像を形成する。
焦点検出用センサ167には少なくとも2つの画素列が備えられている。2つの画素列の出力信号波形の間には、焦点検出領域上に撮影光学系103によって形成された物体像の結像状態に応じて、相対的に横シフトした状態が観測される。前ピン、後ピンでは出力信号波形のシフト方向が逆になり、相関演算などの手法を用いてこの位相差(シフト量)を、シフト方向を含めて検出するのが焦点検出(位相差検出方式)の原理である。
図8及び図9は、AF制御回路140に入力された焦点検出用センサ167の出力信号波形を表す図である。横軸は画素の並びを、縦軸は出力値を表している。図8は被写体像にピントが合っていない状態での出力信号波形を示し、図9は被写体像にピントが合った状態での出力信号波形を示す。
一般に、焦点検出のための光束は、絞り開放状態での結像光束と同じではなく、結像光束の一部を使用して焦点検出が行われる。すなわち、焦点検出には暗いFナンバーの光束が用いられる。また、機構の誤差を考慮すると、撮像素子106の位置と焦点検出用センサ167の位置が厳密な意味で光学的に共役とはいえない。この結果、被写体像にピントが合った状態であっても、2つの出力信号波形の間には僅かの初期位相差Δが残る(図9)。
これは、後述する電子画像表示のピントをシャープにするためのピント補正モードでの補正(図11のステップS207参照)とは異なるものである。初期位相差Δの存在自体は、これを2像の相関演算で検出された位相差から差し引けば真の位相差を知ることができるので、通常問題とはならない。
しかしながら、第1の光路状態におけるサブミラー122の反射面位置と、第2の光路状態におけるハーフミラー111の反射面位置が機構精度上完全には一致しないという問題があり、初期位相差Δも僅かに異なる。通常の部品加工精度では、およそ30μm程度は反射面がその法線方向にずれる可能性があり、この量を小さくしようとすると、部品加工のためのコストが極めて高くなる。
そこで、第1の光路状態と第2の光路状態とで初期位相差Δをそれぞれ設定しておき、光路状態に応じて初期位相差Δの値を変更する。例えば、第1の光路状態および第2の光路状態における初期位相差Δをカメラシステム制御回路135内に設けられたメモリ135aに格納しておく。そして、ミラー(ハーフミラー111およびサブミラー122)の位置を検出したり、ファインダモード(EVFモードおよびOVFモード)を検出したりすることで、第1の光路状態や第2の光路状態における初期位相差Δを読み出すことができる。
このように構成することによって、何れの光路状態の場合にも良好な精度で焦点検出を行うことが可能である。
このように、まず初期位相差の考え方を使って、1組の信号の同一性を判別することで合焦状態の検知を行うことができる。また、相関演算を用いた公知の手法、例えば、特公平05−088445号公報に開示されている手法を用いて位相差を検出することにより、デフォーカス量を求めることができる。得られたデフォーカス量を撮影光学系103のフォーカスレンズを駆動すべき量に換算すれば、自動焦点調節が可能である。
この方法では、フォーカスレンズを駆動すべき量があらかじめ分かるので、通常、フォーカスレンズの合焦位置への駆動はほぼ1回で済み、極めて高速な焦点調節が可能である。
次に、本実施例のカメラシステムにおける撮影シーケンスについて、図10を用いて説明する。
ステップS100では、メインスイッチ119が操作(ON状態)されるまで待機し、操作されることでステップS101に進む。ステップS101では、カメラ本体101内の各種電気回路に電流を供給(起動)する。ステップS200では、ファインダモード切換処理のサブルーチンを実行する。この処理内容については、後述する。
ステップS102では、ファインダモード切換スイッチ123の操作が行われたか否かを判別する。ファインダモード切換スイッチ123の操作を検出した場合には、ステップS200に戻り、ファインダモードの切換を実行する。一方、ファインダモード切換スイッチ123の操作を検出しない場合には、ステップS103に進む。
ステップS103では、リモート撮影モード又はセルフタイマー撮影モードが設定されているか否かを判別する。これらの撮影モードは、カメラ本体101に設けられた不図示の設定スイッチによって設定することができる。
ここで、リモート撮影モードとは、カメラ本体101とは別体のリモートコントロール装置の操作によって、カメラシステムにおいて撮影動作を行わせるモードである。そして、リモート撮影モードは、撮影者自身も被写体となる場合などに設定されることが多い。また、セルフタイマー撮影モードとは、撮影動作を開始させるための操作(例えば、レリーズボタン120の全押し操作)が行われてから所定時間経過後に、撮影動作を行わせるモードである。このセルフタイマー撮影モードも、撮影者自身が被写体となる場合などに設定されることが多い。
ステップS103において、リモート撮影モードやセルフタイマー撮影モードが設定されている場合には、ステップS104に進み、設定されていない場合には、ステップS105に進む。
ステップS104では、ファインダ光学系のアイピースシャッタ163を閉じ状態とする。ここで、リモート撮影モードやセルフタイマー撮影モードでは、撮影者がファインダ光学系の接眼レンズ109を覗かないため、外部からの光がファインダ光学系を介してカメラ本体101内に入射してしまうことがある。この場合において、ファインダ光学系からの逆入光が焦点検出ユニット121に到達した場合には、焦点検出の誤差が発生するおそれがあり、高精度の焦点検出を行うことができないおそれがある。そこで、ステップS104では、アイピースシャッタ163を閉じ状態とすることで、ファインダ光学系からの逆入光がカメラ本体101内に入射するのを防止するようにしている。
ステップS105では、キャリブレーションスイッチ118が操作(オン)されたか否かを判別する。ここで、キャリブレーションスイッチ118が操作されている場合には、ステップS700に進み、キャリブレーションモードのサブルーチンを実行する。このサブルーチンの内容については、後述する(図14)。一方、キャリブレーションスイッチ118が操作されていない場合には、ステップS106に進む。
ステップS106では、操作検出回路136の出力に基づいて、レリーズボタン120が半押し操作されたか否か(言い換えれば、SW1がオン状態であるか否か)を判別する。ここで、SW1がオン状態であれば、ステップS107に進み、オフ状態であれば、ステップS102に戻る。
ステップS107では、被写体輝度の測定(測光動作)が行われるとともに、焦点検出ユニット121において位相差検出方式による焦点検出動作が行われる。これらの検出結果は、カメラシステム制御回路135に送られ、露出値(シャッタ速度及び絞り値)及びデフォーカス量が演算される。ここで、焦点検出ユニット121の検出結果は、後述するように、EVFキャリブレーション(図15)で得られる補正量Δxを用いて補正された値である。
そして、演算されたデフォーカス量に基づいて、AF制御回路140及びレンズシステム制御回路141の制御により、撮影光学系のフォーカスレンズを駆動してピント合わせを行う。また、演算された絞り値に基づいて、絞り143を駆動して光通過口の開口面積を切り換える。なお、EVFモードに設定されている場合、言い換えれば、カメラ本体101が第2の光路状態(図3)にある場合には、撮像素子106の出力に基づいて、コントラスト検出方式による焦点検出を行うこともできる。
ステップS108では、操作検出回路136の出力に基づいて、レリーズボタン120が全押し操作されたか否か(言い換えれば、SW2がオン状態であるか否か)を判別する。ここで、SW2がオン状態であれば、ステップS109に進み、オフ状態であれば、ステップS106に戻る。
ステップS109では、ファインダ光学系のアイピースシャッタ163を閉じ状態とする。ステップS110では、ミラー駆動機構を駆動することにより、ハーフミラー111及びサブミラー122を第3の光路状態(図7)とする。ステップS111では、ステップS107で演算されたシャッタ速度に基づいてシャッタ113を動作させることで、撮像素子106への露光を行う。撮像素子106からの出力信号は、上述したように、画像処理系に入力される。
ステップS112では、撮像素子106から読み出された画像信号が、A/D変換器130を介してRGB画像処理回路131に送られ、ホワイトバランス処理、ガンマ補正、補間演算処理が施される。また、YC処理回路132において、YC処理が行われて画像処理が完了する。これらの画像処理により、高精彩な画像の取り込みが可能となる。
ステップS113では、画像処理後の画像を記録処理回路133に送り、所定の圧縮形式にて圧縮して記録する。ステップS114では、画像処理後の画像を再生処理回路134にも送り、ディスプレイユニット107に撮影画像を表示(プレビュー表示)させる。ステップS114の処理の後は、ステップS200に戻る。
次に、ファインダモードの切り換え動作について説明する。
カメラ内の電気回路が動作している間は、各操作スイッチの状態が操作検出回路136を介して検出され、ファインダモード切換スイッチ123が操作されたことを検出すると、ファインダモード(OVFモードおよびEVFモード)の切り換え動作が直ちに開始される(図10のステップS200)。
図11は、ファインダモードの切り換え動作を説明するためのフローチャートであり、以下、このフローに沿って説明する。
ステップS201において、現在のファインダモードが検知され、ファインダモード切換スイッチ123の操作によりOVFモードからEVFモードへ切り換えられたときには、ステップS202へ移行する。一方、ファインダモード切換スイッチ123の操作により、EVFモードからOVFモードへ切り換えられたときにはステップS220へ移行する。
まず、OVFモードからEVFモードに切り換えられた場合について説明する。
OVFモードにおいては、ハーフミラー111およびサブミラー122からなる光路分割系が第1の光路状態(図5)となっている。EVFモードでは、光学ファインダに物体光を導かないため、まず、ステップS202において、カメラシステム制御回路135は、不図示の駆動源を駆動することによりアイピースシャッタ163を閉じ動作させる。すなわち、アイピースシャッタ163を、レンズ109bおよびレンズ109c間におけるファインダ光路内に進入させる。
これは、EVFモードが設定されているときに接眼レンズ109を介して被写体像が見えなくなるのを、撮影者がカメラの故障と誤解しないようにするためである。また、光学ファインダからの逆入光が撮像素子106に入射することにより、ゴーストが発生するのを防ぐためである。
ステップS203では、情報表示ユニット180の駆動制御により光学ファインダ内の情報表示を非表示状態とする。これは、ステップS202において、すでにアイピースシャッタ163を閉じ状態としているため、光学ファインダ内に情報表示を行っても撮影者はこの表示を見ることができないからである。これにより、電力消費を軽減して電池の消耗を抑えることができる。
ステップS204では、ミラー駆動機構を動作させることにより、ハーフミラー111を第2の光路状態(図3)に移行させるのに備えて、サブミラー122をミラーボックスの下部に退避させる(図3)。
ステップS205では、ミラーストッパ160、161をハーフミラー111の移動軌跡上から退避させる。ミラーストッパ160、161が退避した後、ステップS206では、ミラー駆動機構によりハーフミラー駆動レバー170を反時計方向に回転させる。これにより、ハーフミラー111は、不図示のトーションバネによる矢印A方向の付勢力を受けることで、図4に示す状態を経て第2の光路状態(図3)となる。
ハーフミラー111が第2の光路状態にあるときには、撮影光学系103からの光束のうち一部の光束がハーフミラー111で反射して焦点検出ユニット121に導かれる。また、残りの光束は、ハーフミラー111を透過して撮像素子106側に向かう。
第2の光路状態では、ハーフミラー111が、トーションバネによる矢印A方向の付勢力を受けることにより、撮影光路外に配置されたミラーストッパ175、176に当接して位置決めされる。このとき、ピン173は、ハーフミラー駆動レバー170の第1カム面170bに当接しておらず、ピン174は、ハーフミラー駆動レバー170の第2カム面170cに当接していない。
ハーフミラー111の反射面の位置は、第1の光路状態においてサブミラー122の反射面があった位置と略等しくなっている。このように構成することで、サブミラー122(第1の光路状態)により焦点検出ユニット121に導かれる反射光と、ハーフミラー111(第2の光路状態)により焦点検出ユニット121に導かれる反射光とがずれるのを抑制することができる。これにより、焦点検出領域の位置がほとんど変化しないようにすることができる。
ここで、ハーフミラー111を透過した光束が撮像素子106上で結像されることで形成される被写体像のピント位置は、被写体光がハーフミラー111を透過しない場合のピント位置に比べて若干ずれることがある。このため、ステップS207では、ピント位置のずれを補正するために、ピント補正モードを起動する。
第1の光路状態において、焦点検出ユニット121は、ハーフミラー111およびサブミラー122が撮影光路から退避(第3の光路状態)したときに、物体像が撮像素子106上にシャープに結像するように焦点検出信号を出力している。
これに対して、第2の光路状態でピント補正モードがオン状態にあるときは、ハーフミラー111を透過して撮像素子106上に投影された被写体像がシャープに結像するように焦点検出ユニット121の焦点検出信号を補正する。これにより、第2の光路状態でピント補正モードが設定されている場合、第2の光路状態におけるフォーカスレンズの合焦位置は、焦点検出ユニット121の焦点検出信号を補正した分だけ、第3の光路状態におけるフォーカスレンズの合焦位置に対してずれる。
したがって、EVFモードが設定されている状態において、撮像動作の開始に応じて、第2の光路状態から第3の光路状態に切り換わるときには、これと同期してシャッタ113の先幕駆動機構をチャージ(シャッタ113を閉じ状態)する。また、ピント補正モードにより物体像のピント位置を補正した分だけフォーカスレンズを元の位置(第3の光路状態における合焦位置)に戻す。その後、シャッタ113を所定時間だけ開けて撮像素子106による撮像を行う。
このように構成することにより、第2の光路状態においてディスプレイユニット107に表示された画像に基づいてピントの状態を正確に確認した上で、第3の光路状態でピントの合った画像を撮像することができる。
ステップS208では、シャッタ113の先幕だけを走行させてバルブ露光状態にして撮像素子116に連続的に物体光を導き、ディスプレイユニット107上に画像を表示するための撮像を可能にする。
ステップS300では、EVFキャリブレーションを実行し、コントラスト検出方式の焦点検出結果を用いて、位相差検出方式の焦点検出結果を補正するための補正量を求める。このEVFキャリブレーションの具体的な内容については、後述する(図15)。本実施例では、EVFモードが設定される度に、位相差検出方式の焦点検出結果を補正するための補正量を求めるようにしている。これにより、経時変化に応じた補正量を求めることができ、この補正量を用いることによって位相差検出方式の検出誤差を抑制することができる。そして、位相差検出方式の検出精度を向上させることができる。
ステップS209では、ディスプレイユニット107の電源を投入する。ステップS210では、撮像素子106にて連続的に物体像を撮像し、ディスプレイユニット107上でリアルタイム表示を開始し、一連のファインダ切り換え処理を終了する。
EVFモード(第2の光路状態)では、撮影光学系103から射出された被写体光がハーフミラー111での屈折作用を受けるため、ディスプレイユニット107上にリアルタイム表示される被写体の電子画像は、第3の光路状態において実際に撮像される画像に比べて僅かに上下方向にずれる。
図12は、第2の光路状態でディスプレイユニット107上に表示される画像と、第3の光路状態で実際に撮影される画像とのズレを説明するための図である。図12において、190は、第2の光路状態で撮像される撮像範囲(太線の枠で囲まれた領域)を示す。すなわち、リアルタイム表示の際にディスプレイユニット107に出力可能な撮影画像の範囲を示す。191は、第3の光路状態で撮像される撮像範囲である。
撮像範囲190と撮像範囲191は上下方向にシフトした関係にある。この結果、ディスプレイユニット107には出力可能であるものの、第3の光路状態で撮像されない領域190a、すなわち、撮像範囲190のうち撮像範囲191と重ならない領域が存在する。
そこで、再生処理回路134は、図13に示すように図12の領域190aに相当する領域192を非表示状態とし、撮影範囲190全体をディスプレイユニット107で表示しないように処理する。これにより、ディスプレイユニット107には、撮像領域190のうち領域192を覗く領域が表示されることになる。これにより、EVFモードでディスプレイユニット107に表示されているにもかかわらず、実際には撮影されないという不具合を無くすことができる。
次に、ステップS201におけるファインダモードの判別により、EVFモードからOVFモードへ切り換えるためにステップS220へ移行した場合について説明する。
初期状態のEVFモードにおいては、ハーフミラー111とサブミラー122からなる光路分割系は第2の光路状態(図3)にあり、上述したようにディスプレイユニット107でリアルタイム表示が為されている。
ステップS220では、ディスプレイユニット107の電源をオフ状態にするとともに、撮像素子106による撮像を停止する。ステップS221では、シャッタ113の後幕を走行させてシャッタ113を閉じ状態とし、撮影に備えて先幕・後幕駆動機構をチャージする。
ステップS222では、ハーフミラー111の移動を可能にするために、ミラーストッパ160、161をハーフミラー111の移動軌跡から退避させる。ステップS223では、ハーフミラー駆動レバー170を図3中時計回りに回転させることにより、光路分割系であるハーフミラー111およびサブミラー122を図4の状態→図5の状態→図6の状態→図7の状態(第3の光路状態)となるように移動させる。
ハーフミラー駆動レバー170が時計方向に回転すると、ピン174は第2カム面170cに押し込まれて移動し、ピン173は第1カム面170bに押し込まれて移動する。これにより、ハーフミラー支持アーム171が回転軸171aを中心に時計方向に回転するとともに、ハーフミラー111がピン173を中心に時計方向に回転する。
ステップS224では、ミラーストッパ160、161をハーフミラー111の移動軌跡内に挿入させる。第3の光路状態までハーフミラー111を移動させてからミラーストッパ160、161を挿入するため、ミラーストッパ160、161の挿入に際してハーフミラー111と衝突することはない。そして、ハーフミラー111の位置を切り換える際(OVFモードおよびEVFモード間の切り換え)の機構的信頼性を高くすることができる。
なお、本実施例ではハーフミラー111を第3の光路状態まで移動させているが、ミラーストッパ160、161がハーフミラー111に衝突しなければよいため、ハーフミラー111を第3の光路状態に相当する位置の近傍まで移動させてもよい。
ステップS225では、ハーフミラー駆動レバー170を図7中反時計回りに回転させることにより、ハーフミラー111を第3の光路状態(図7)から図6の状態を経て第1の光路状態(図5)とする。このとき、ハーフミラー111は、ミラー駆動機構内の不図示のバネの付勢力を受けてミラーストッパ160、161に当接した状態となる。
ステップS226では、アイピースシャッタ163を開く。ステップS227では、操作検出回路136からの出力に基づいてマニュアル(M)フォーカスモードに設定されているか否かを判別する。ここで、マニュアルフォーカスモードであればステップS208に移行し、マニュアルフォーカスモードではなくオートフォーカスモードであれば、ステップ228に進む。
マニュアルフォーカスモードである場合には、焦点検出ユニット121を動作させる必要がなく、背景のボケ具合の把握が光学ファインダよりも電子画像表示の方が正確にできる。このため、ディスプレイユニット107でのリアルタイム表示を行うステップS208に移行する。
ステップS228では、焦点検出ユニット121に被写体光を導くようにサブミラー122を所定の位置にセットする。すなわち、ミラーボックスの下部に収納(図7)されているサブミラー122を、回転軸125を中心に回転させることにより、ハーフミラー111の背後に移動させる(図5)。
ステップS229では、情報表示ユニット180の駆動制御により所定の情報をファインダ内に点灯表示し、一連のファインダ切り換え処理を終了する。
次に、図14を用いて、キャリブレーションモード(図10のステップS700)について説明する。
ステップS701では、ファインダモードがEVFモードであるか否かを判別する。ここで、EVFモードが設定されている場合にはステップS300に進み、EVFモードが設定されていない場合にはステップS702に進む。
ステップS300では、EVFキャリブレーションを実行し、コントラスト検出方式の焦点検出結果を用いて、位相差検出方式の焦点検出結果を補正するための補正量を求める。このEVFキャリブレーションの具体的な内容については、後述する(図15)。本実施例では、キャリブレーションスイッチ118が操作されるたびに、位相差検出方式の焦点検出結果を補正するための補正量を求めるようにしている。これにより、経時変化に応じた補正量を求めることができ、この補正量を用いることによって位相差検出方式の検出誤差を抑制することができる。そして、位相差検出方式の検出精度を向上させることができる。
ステップS702では、ファインダ光学系のアイピースシャッタ163を閉じ状態とする。ステップS703では、ミラー駆動機構を動作させることにより、ハーフミラー111を第2の光路状態(図3)に移動させるのに備えて、サブミラー122をミラーボックス下部に退避させる(図3)。
ステップS704では、ミラーストッパ160、161をハーフミラー111の移動軌跡から退避させる。ミラーストッパ160、161が退避した後、ステップS705では、ミラー駆動機構によりハーフミラー駆動レバー170を反時計方向に回転させる。これにより、ハーフミラー111は、不図示のバネによる矢印A方向の付勢力を受けることで、図4に示す状態を経て第2の光路状態(図3)となる。この結果、被写体光が、ハーフミラー111で反射して、焦点検出ユニット121に導かれる状態となる。
ステップS706では、シャッタ113の先幕だけを走行させてバルブ露光状態にして撮像素子106に連続的に被写体光を導き、ディスプレイユニット107上に画像を表示するための撮像を可能にする。ステップS300では、後述するEVFキャリブレーションを実行する。
ステップS707では、シャッタ113の後幕を走行させてシャッタ113を閉じ状態とし、撮影に備えて先幕・後幕駆動機構をチャージする。ステップS708では、ハーフミラー111の移動を可能にするために、ミラーストッパ160、161をハーフミラー111の移動軌跡から退避させる。
ステップS709では、ハーフミラー駆動レバー170を図3中時計回りに回転させることにより、光路分割系であるハーフミラー111及びサブミラー122を、図4の状態→図5の状態→図6の状態→図7の状態(第3の光路状態)となるように移動させる。
ステップS710では、ミラーストッパ160、161を、ハーフミラー111の移動軌跡内に挿入させる。第3の光路状態までハーフミラー111を移動させてからミラーストッパ160、161を挿入するため、ミラーストッパ160、161の挿入に際してハーフミラー111と衝突することはない。そして、ハーフミラー111の位置を切り換える際(OVFモード及びEVFモード間の切り換え)の機械的信頼性を向上させることができる。
ステップS711では、ハーフミラー駆動レバー170を図7中反時計回りに回転させることにより、ハーフミラー111を第3の光路状態(図7)から図6の状態を経て、第1の光路状態(図5)とする。このとき、ハーフミラー111は、ミラー駆動機構内の不図示のバネの付勢力を受けてミラーストッパ160、161に当接した状態となる。
ステップS712では、ファインダ光学系のアイピースシャッタ163を開き状態とする。ステップS713では、焦点検出ユニット121に被写体光が導かれるように、サブミラー122を所定位置(図5に示す位置)に移動させる。
図14で説明したように、本実施例では、EVFモードが設定されていない場合でも、キャリブレーションスイッチ118を操作するだけで、自動的にEVFキャリブレーションが実行される。すなわち、EVFモード及びOVFモードのいずれかが設定されているかに拘わらず、キャリブレーションスイッチ118を操作するだけで、自動的にEVFキャリブレーションを実行させることができる。このため、OVFモードに設定されている場合において、EVFキャリブレーションを実行させるために、ファインダモード切換スイッチ123の操作によって、EVFモードに切り換える必要がない。
次に、図15を用いて、EVFキャリブレーション(図11及び図14のステップS300)のサブルーチンについて説明する。
ステップS301では、焦点検出ユニット121を用いて位相差検出方式による焦点検出を行う。ステップS302では、ステップS301で得られた焦点検出結果に基づいて、撮影光学系103のフォーカスレンズを光軸方向に駆動する。具体的には、焦点検出結果におけるずれの方向に、所定量(デフォーカス量に対応した量)だけフォーカスレンズを移動させる。これにより、フォーカスレンズは、位相差検出方式において合焦状態と判断される位置で停止することになる。
ステップS303では、フォーカスレンズの位置を示すレンズ繰り出し段数nに、初期値「1」を代入する。ステップS304において、カメラシステム制御回路135は、AF制御回路140に制御信号を出力することにより、焦点検出用センサ167による焦点検出動作を開始させる。そして、ステップS305において、カメラシステム制御回路135は、撮像素子駆動回路137を介して撮像素子106の駆動を制御することにより、撮像面における被写体像のコントラスト値Cnを取得する。具体的には、撮像素子106の撮像面のうち、焦点検出領域に対応する撮像領域のコントラスト値Cnを取得する。
ここで、上述したように、撮像素子106に到達する光束は、ハーフミラー111での屈折作用を受けるため、ハーフミラー111を透過せずに撮像素子106に到達する光束の結像位置に対して上下方向にずれてしまう。このため、本実施例では、コントラスト検出方式の焦点検出に用いられる撮像領域は、上記ずれを考慮した位置に設定している。これにより、ハーフミラー111の透過光を用いてコントラスト検出方式の焦点検出を行う場合にも、撮像素子106上での焦点検出領域が焦点検出用センサ167での焦点検出領域に対してずれることがない。すなわち、これらの焦点検出領域を光学的に共役な位置関係に維持することができる。
また、本実施例では、撮像素子106を用いて、高速フレームレートで撮像を行うことで、コントラスト値Cnを取得する。高速フレームレートを実現するために、撮像素子106では間引いた読み出しを行っている。ここで、本実施例では、撮像素子106として、任意の画素へのランダムアクセスが可能であるCMOSセンサを用いているため、コントラスト取得用の間引いた読み出しを行うことができる。
ステップS304における位相差検出方式では、被写体光のうちハーフミラー111で反射した成分を用いて焦点検出を行っている。また、ステップS305におけるコントラスト検出方式では、被写体光のうちハーフミラー111を透過した成分を用いて焦点検出を行っている。すなわち、ステップS304及びステップS305では、同一の被写体からの光を用いて焦点検出を行っていることになる。
また、ステップS304及びステップS305の各処理を略同じタイミングで行うことで、同一の被写体に対して略同一のタイミングで焦点検出を行うことができる。これにより、略同一のタイミングにおいて、同一の被写体に対する2つの焦点検出結果を得ることができる。
ステップS306において、カメラシステム制御回路135は、レンズシステム制御回路141を介して撮影光学系103のフォーカスレンズを駆動する。具体的には、1ステップ分だけフォーカスレンズを光軸方向一方向に移動させる。ここで、フォーカスレンズの駆動時における1ステップは、許容錯乱円径(δ)と撮影光学系103のFナンバー(F)の定数倍とする。許容錯乱円とは、撮像面上において一定のボケを仮定し、ボケがこれよりも小さければ人間の目にはピンぼけと感じず、合焦していると感じるボケ量のことである。フォーカスレンズをステップ駆動した後でも、撮影光学系103の焦点調節状態が許容錯乱円よりも小さいボケ量を示すために、通常はFδ/2のステップでフォーカスレンズを駆動する。
ステップS307では、再び焦点検出用センサ167を駆動することにより、位相差検出方式による焦点検出を行う。ステップS308では、撮像素子106を駆動することにより、コントラスト値Cnを取得する。このステップS307、S308においても、フォーカスレンズを駆動した後における同一の被写体に対して、略同一のタイミングにて焦点検出を行っている。
ステップS309では、ステップS305で得られたコントラスト値CnとステップS308で得られたコントラスト値Cn+1とを比較して、コントラスト値のピークが発生したか否かを判別する。ここで、ピーク値が発生したか否かの判別方法としては、幾つかの方法がある。例えば、今回取得時のコントラスト値が前回取得時のコントラスト値を下回ったら、今回取得時のコントラスト値をピーク値と決定する方法がある。また、過去取得時のコントラスト値の最大値を連続して3回下回ったらピーク値を越えたものと判別する方法もある。さらに、過去取得時のコントラスト値の最大値に対して所定値以上下回った場合に、ピーク値を越えたものと判別する方法もある。なお、本発明は、これらの方法に限定されるものではない。
ステップS309においてピーク値が発生していないと判別した場合には、ステップS312において、フォーカスレンズの位置を示すレンズ繰り出し段数「n」をインクリメントして、ステップ306に戻る。そして、ピーク値が発生したと判別されるまで、ステップS306〜ステップS309、ステップS312の処理を繰り返し行う。すなわち、ステップS306〜ステップS309、ステップS312の処理では、コントラスト検出方式において、撮影光学系103が合焦状態であるか否かの判別を行っている。一方、ステップS309において、ピーク値が発生したと判別した場合には、ステップS310に進む。
ステップS310では、第2の光路状態及び第3の光路状態の各状態において、撮像素子106に到達するまでの光路長の差を補正する。第2の光路状態(図3)では、被写体光がハーフミラー111を透過して撮像素子106に到達するため、第3の光路状態(図7)における被写体光の光路長とは異なる。そこで、ステップS310では、コントラスト方式検出方式で得られた検出結果(コントラスト値Cn、Cn+1)に対して、上記光路長の差の分だけ補正を行う。
ステップS311では、位相差検出方式による焦点検出結果と、コントラスト検出方式による焦点検出結果との差である補正量Δxを算出する。この補正量Δxは、後述するように、位相差検出方式で合焦状態と判別されるフォーカスレンズの位置と、コントラスト検出方式で合焦状態と判別されるフォーカスレンズの位置との差を示す。そして、補正量Δxは、位相差検出方式による焦点検出結果を補正するために用いられる。
図16を用いて、補正量Δxの算出方法について説明する。図16(A)において、横軸は、レンズ繰り出し段数nに対応したフォーカスレンズの位置を示し、縦軸は、撮像素子106から得られるコントラスト値Cnを示す。また、図16(B)において、横軸は、レンズ繰り出し段数nに対応したフォーカスレンズの位置を示し、縦軸は、位相差検出方式による検出結果(焦点検出用センサ167における一対の被写体像の位相差Pn)を示す。
図16(A)に示すコントラスト値が得られた場合には、ステップS309において、レンズ繰り出し段数nが「4」であるときに、コントラスト値がピーク値に達したものと判別される。すなわち、コントラスト検出方式においては、コントラスト値C4において、撮影光学系103が合焦状態になっているものと判別される。一方、位相差検出方式においては、図16(B)に示す複数の位相差Pn(n=1〜7)を結ぶ直線が、横軸(位相差がゼロ)と交わる点において、撮影光学系103が合焦状態になっているものと判別される。
ここで、図15のステップS302では、ステップS301での位相差検出方式による検出結果に基づいて、フォーカスレンズを合焦位置(位相差P1に対応した位置)まで移動させている。しかし、図16に示すように、位相差検出方式による合焦位置(位相差P1近傍の位置)と、コントラスト検出方式による合焦位置(コントラスト値C4に対応した位置)とは、Δxの分だけずれていることがある。
この差Δxが存在する理由としては、主に、ミラーの駆動機構におけるメカ的誤差等がある。例えば、経時変化等によって、第2の光路状態(図3)におけるハーフミラー111の撮影光軸L1に対する傾き角度が変化してしまうと、ハーフミラー111で反射した光の焦点検出ユニット121に対する入射角度が変化してしまう。この場合には、焦点検出ユニット121における焦点検出結果に誤差が生じてしまう。そして、図16に示すように、位相差検出方式による合焦位置がコントラスト検出方式による合焦位置に対してΔxの分だけずれてしまう。
ここで、本実施例では、撮像素子106を用いたコントラスト検出方式による焦点検出結果を用いて、焦点検出ユニット121を用いた位相差検出方式による焦点検出結果を補正している。すなわち、補正量Δxを算出し、この補正量Δxに基づいて、位相差検出方式による焦点検出結果を補正している。これにより、位相差検出方式による焦点検出結果の誤差を抑制することができる。
また、本実施例では、ハーフミラー111を第2の光路状態(図3)とすることで、同一の被写体からの光を焦点検出ユニット121及び撮像素子106に同時に導くようにしている。そして、焦点検出ユニット121を用いた位相差検出方式による焦点検出と、撮像素子106を用いたコントラスト検出方式による焦点検出とを、略同一のタイミングで行うようにしている。この場合には、略同一のタイミングにおける同一の被写体に対して、位相差検出方式及びコントラスト検出方式による焦点検出を行うことができ、これら焦点検出結果の整合性を図ることができる。
ここで、特許文献2のように、互いに異なるタイミングにおいて、位相差検出方式及びコントラスト検出方式による焦点検出を行うと、これらの焦点検出結果は同一の被写体に対するものではないことがある。この場合において、コントラスト検出方式による焦点検出結果に基づいて、位相差検出方式による焦点検出結果を補正しても、位相差検出方式による焦点検出結果の精度を確保することができない。
本実施例では、上述したように、略同一のタイミングにおける同一の被写体に対して、2つの焦点検出結果を得ることができるため、位相差検出方式による焦点検出結果の精度を向上させることができる。ここで、本実施例における2つの焦点検出結果の差(補正量Δx)は、ハーフミラー111の位置ずれに起因したものであり、互いに異なるタイミングで行われる焦点検出動作に起因するものではない。そして、補正量Δxに基づいて位相差検出方式による焦点検出結果を補正すれば、ハーフミラー111の位置ずれに起因した焦点検出結果の誤差を正確に補正することができる。
ステップS313では、ステップS311で算出した補正量Δxを、カメラシステム制
御回路135内のメモリ135aに格納する。この補正量Δxは、図15に示すEVFキ
ャリブレーションが実行されるたびに算出され、メモリ135aに蓄積されていく。
ここで、図15に示すEVFキャリブレーションを実行する場合において、焦点検出用センサ167や撮像素子106に偶然ゴミ等が付着していたために、誤った焦点検出結果が得られるおそれがある。この場合には、補正量Δxも誤った値となってしまう。そこで、本実施例では、上述したように、EVFキャリブレーションが実行されるたびに、補正量Δxを算出し、これらの補正量Δxをメモリ135aに蓄積させることで、誤った補正量Δxが用いられるのを防止することができる。すなわち、メモリ135a内に、他の補正量Δxと明らかに異なる補正量Δxが存在する場合には、この補正量Δxを用いるのを禁止して他の補正量Δxを用いることで、位相差検出方式による焦点検出結果の補正精度を向上させることができる。
なお、メモリ135aに格納された複数の補正量Δxのうち、明らかに誤った値である補正量Δxが含まれている場合には、この補正量Δxをメモリ135aから削除しておくこともできる。例えば、他の補正量Δxに比べて所定量以上異なる補正量Δxが含まれている場合には、この補正量Δxを削除することができる。
ここで、本実施例では、図10のステップS107において、焦点検出ユニット121を用いて位相差検出方式による焦点検出を行うが、この検出結果に対して、メモリ135aに格納された補正量Δxを用いて補正する。
本実施例のカメラシステムによれば、EVFキャリブレーションで得られた補正量Δxを用いて、位相差検出方式による焦点検出結果を補正することで、この焦点検出結果の精度を向上させることができる。しかも、EVFキャリブレーションが実行されるたびに補正量Δxが算出されるため、最新の補正量Δxを用いて、位相差検出方式による焦点検出結果を補正することができる。すなわち、経時変化等によって補正量Δxが変化する場合であっても、最新の補正量Δxを用いることで、経時変化に対応することができる。そして、位相差検出方式による焦点検出結果を高精度のままで維持することができる。
また、本実施例では、高度な微細化技術を要する複雑な撮像素子を用いる必要が無いため、コストアップを抑制することができる。さらに、撮像に用いられる画素列と焦点検出に用いられる画素列が混在することもないため、被写体像の一部を補間処理によって求めなくてもよく、高品位な撮影画像を得ることができる。