JP4857591B2 - 4層カーボンナノチューブの製造方法、4層カーボンナノチューブ含有組成物、電子放出材料および透明導電フィルム - Google Patents
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斉藤弥八、坂東俊治、カーボンナノチューブの基礎、株式会社コロナ社、p17、23、47 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)303(1999),117−124 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)360(2002),229−234 田中一義[編]、カーボンナノチューブ−ナノデバイスへの挑戦−、株式会社化学同人、p74−76
(1)透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本のカーボンナノチューブ中、40本以上が4層カーボンナノチューブであること。
(2)透過型電子顕微鏡で任意に選択した4層カーボンナノチューブ中の屈曲部間距離の平均が100 nm以上であること。
(3)共鳴ラマン散乱測定により、1560〜1600cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1310〜1350cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が10以上であること。
(4)元素分析による金属含有率が1重量%以下であること。
(1) 透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本のカーボンナノチューブ中、40本以上が4層カーボンナノチューブであること。
(2) 透過型電子顕微鏡で任意に選択した4層カーボンナノチューブ中の屈曲部間距離の平均が100nm以上であること。
(3) 共鳴ラマン散乱測定により、1560〜1600cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1310〜1350cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が10以上であること。
(4) 元素分析による金属含有率が1重量%以下であること。
直径が細いことで光透過の阻害が少なく、かつ、4層カーボンナノチューブは単層から3層カーボンナノチューブに比べて直径が太いため、金属的な電気伝導性を示すカーボンナノチューブの含有率が高く、導電性を求められる用途に有利である。
内径32mmの石英管内を真空引きし、875℃で10Pa以下になったことを確認後に、フェロセン800Pa、メタンを3500Pa、高純度アルゴンガス(高圧ガス工業製)との全圧が10000Paになるようにガスを調製し、20分間導入した。メタンの導入を止めた後に、アルゴンガスのみを5cc/分で30分供給し、温度を室温まで冷却し、4層カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
(MCM−41の合成)
セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB:アルドリッチ製)3.64gと、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAOH:アルドリッチ製)1.45gを35℃のイオン交換水28.8mlに加えた後に、ヒュームドシリカ(アルドリッチ製)2.4gを加え1時間撹拌した。20時間エージング後に、オートクレーブに移し、150℃で96時間、水熱合成した。水熱合成後に生成物をろ取、洗浄後に550℃で8時間焼成後に、800℃で1時間焼成した。
硝酸鉄・9水和物(関東化学社製)0.03gと硝酸コバルト・6水和物(関東化学社製)0.17gとをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、MCM−41を1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、MCM−41粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
内径32mmの石英管の中央部の石英ウール上に、上記で調製した固体触媒1.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を960℃に加熱した(昇温時間60分)。960℃に到達した後、反応管内を真空引きし、10Pa以下になったことを確認後に、エタノール蒸気を5000Pa、高純度アルゴンガス(高圧ガス工業製)との全圧が15000Paになるようにガスを調製し、20分間導入した。エタノール蒸気の導入を止めた後に、アルゴンガスのみを5cc/分で30分供給し、温度を室温まで冷却し、4層カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
上記のようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、図2のようにカーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、層数が4層のカーボンナノチューブが55%であった。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。4層カーボンナノチューブの外径は、平均は3.3nmであった。また、屈曲間距離の平均は、約750nmであった。末端部分の構造は、観察された4層カーボンナノチューブの90%以上が開放端であった。また、金属触媒の粒子径の80%以上が3.0から5.2nmであった。
上記のようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物を共鳴ラマン分光計(ホリバ ジョバンイボン製 INF−300)でレーザー波長630〜650cm−1で測定してG/D比を求めた結果、約17であり、Gバンドは分裂して観測された。
上記のようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物を、空気中400℃で30分間焼成した後に、トルエン50cc(和光純薬製)に加え、40分間超音波振動を加えた。次に、イオン交換水50ccを加え、10分間、激しく攪拌した。黒色のトルエン相と灰色の水相を分液漏斗で分け、トルエン相をろ過した。トルエン相はカーボンナノチューブを主成分とし、水相はMCM−41,触媒金属を主成分とすることを、SEMおよびEDX(オックスフォード社製ISIS)で確認した。トルエン相から回収されたカーボンナノチューブ組成物のEDX元素分析の結果、鉄の含有量は0.02%、コバルトの含有量は0.1%であった。
硝酸コバルト・6水和物(関東化学社製)0.17gをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、ゼオライト(東レ株式会社製、ボロシリケート)を1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、ゼオライト粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
硝酸ニッケル・6水和物(和光純薬社製)0.17gをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、α−アルミナ(和光純薬社製)を1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、α−アルミナ粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
硝酸鉄・9水和物(関東化学社製)0.3gをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、マグネシア(和光純薬社製)を1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、マグネシア粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
硝酸鉄・9水和物(関東化学社製)0.3gと塩化モリブデン(和光純薬社製)0.16gをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、チタニア(和光純薬社製)を1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、チタニア粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
硝酸マンガン・6水和物(和光純薬社製)0.17gをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、活性炭(和光純薬社製)を1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、活性炭粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
硝酸ニッケル・6水和物(和光純薬社製)0.17gと硝酸コバルト・6水和物(和光純薬社製)0.17gをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、多孔質ステンレス鋼を3.0g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、ステンレス鋼粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
硝酸鉄・9水和物(関東化学社製)0.3gをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、マグネシア(和光純薬社製)を1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、マグネシア粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
硝酸鉄・9水和物(関東化学社製)0.03gと硝酸コバルト・6水和物(関東化学社製)0.17gとをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、ゼオライト(東レ株式会社製チタノシリケート)を1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、ゼオライト粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(4層カーボンナノチューブを含む組成物の電子放出特性)
実施例2で得られた4層カーボンナノチューブ組成物を1−プロパノールに分散し、直径10mmφのステンレス基板上にスプレー塗布した。該基板を、エミッションプロファイラ(東京カソード製)のチャンバー内に設置し、チャンバー内を10−7Paまで真空引きした。カーボンナノチューブを塗布した基板をカソードとし、アノードを対向して設置し、カソード/アノード間距離を100μmに設定した。両電極間に電圧を印加した結果、145V印加時にエミッションに起因する電流値が観察されはじめ、290V印加時に電流値が1000μA/cm2に達した。
(4層カーボンナノチューブを含む透明導電フィルム)
実施例2で得られた4層カーボンナノチューブ組成物10mgをイオン交換水に加え、次いでドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30mgを添加し、超音波振動を30分間加えたところ、黒色の懸濁液が得られた。これをPETフィルム(10cm2)に数滴滴下し、バーコーター(No.8)で塗布した。水を乾燥させた後、光透過率と表面抵抗を測定した。上記塗布操作を数回繰り返し、光透過率85%以上を維持したときの表面抵抗を測定した結果、560 Ω/□であった。
Claims (18)
- 炭素含有化合物を平均直径10nm以下の金属触媒と、600から1000℃の範囲で接触させる工程において、該工程を圧力20000 Pa以下、かつ炭素含有化合物の分圧として3000 Paより大きく10000 Pa以下の範囲で行うことにより、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本のカーボンナノチューブ中、40本以上が4層カーボンナノチューブであるカーボンナノチューブを製造することを特徴とする4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 金属触媒が担体に担持されていることを特徴とする請求項1記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 担体が、金属、酸化物、カーボンから選ばれる少なくとも一つである請求項2に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 酸化物が、ゼオライト、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシアから選ばれる少なくとも一つである請求項3に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 担体が、窒素吸着法による細孔分布測定で2〜10nmの領域に少なくとも一つ以上のピークを有する請求項2から4のいずれか1項に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 担体が、空気中800℃焼成前後のX線回折においてピーク強度の変化率が5%以下である請求項2から5のいずれか1項に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 金属触媒が鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、マンガンから選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 炭素含有化合物が、炭素数1から6の脂肪族炭化水素、および炭素数1から6のアルコールから選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 炭素含有化合物がブタノールである請求項1から8のいずれか1項に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 4層カーボンナノチューブが、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本の4層カーボンナノチューブ中、80本以上がその外径が2.5から5.7nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 4層カーボンナノチューブを合成する反応場に供給するガス中の水素濃度が100ppm以下であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 担体が基板の上に製膜されていることを特徴とする請求項2から11のいずれか1項に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 4層カーボンナノチューブが、実質的に基板から垂直方向に配向成長していることを特徴とする請求項12に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 炭素含有化合物と金属触媒を接触させる反応管において、反応管の上流側に設置した金属触媒で炭素含有化合物を改質し、反応管の下流側に設置した金属触媒で4層カーボンナノチューブを合成することを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 金属触媒の粒子直径の80%以上が3.0から5.2nmであることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の4層カーボンナノチューブの製造方法。
- 下記(1)〜(4)の要件を満たす4層カーボンナノチューブ含有組成物。
(1)透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本のカーボンナノチューブ中、40本以上が4層カーボンナノチューブであること。
(2)透過型電子顕微鏡で任意に選択した4層カーボンナノチューブ中の屈曲部間距離の平均が100 nm以上であること。
(3)共鳴ラマン散乱測定により、1560〜1600cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1310〜1350cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が10以上であること。
(4)元素分析による金属含有率が1重量%以下であること。 - 請求項16に記載の4層カーボンナノチューブ含有組成物を含むことを特徴とする電子放出材料。
- 請求項16に記載の4層カーボンナノチューブ含有組成物を含み、光透過率が85%以上、かつ表面抵抗が1000 Ω/□以下であることを特徴とする透明導電フィルム。
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