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JP4853850B2 - 情報埋込み用筆記ペン装置及び埋込み情報読取システム - Google Patents

情報埋込み用筆記ペン装置及び埋込み情報読取システム Download PDF

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Description

本発明は、書いた文字、線などの筆跡に情報を埋込むペン装置及び埋込みの情報を読み取る情報読取システムに関する。
一般的に、鉛筆やペンを用いて紙やホワイトボードに文字(列)を書いている。最近では計算機とキーボードを使って電子的にデータを保存することも多いが、自由度の点では、「紙と鉛筆」には及ばないのが現状である。
紙と鉛筆との筆記については多くのペン構造があり、また最近、情報をコンピュータ化するものとしては電子ペン又はデジタルペンとして、そのコンピュータと連動させる使用の一例として、特許文献1、特許文献2及び特許文献3がある。これらはペンによる情報の紙面化またはデータ格納先への記載にあるといえる。
特開2004−164609号公報 特開2004−152269号公報 特開2005−31932号公報
この紙に書かれた文字の与える情報は、その文字の形状以外にはない。例えば、筆記者に関する情報とか、関連する情報へのリンクといった2次的な情報は含まれていない。それどころか、その文がどの文字種であるかを確定できるような1次的な情報もない。こうした紙に書いた文字を認識する際、人間や計算機はその形状から文字種を推定しているに過ぎない。だから読み間違いが起こる。サイン認証についても同様で、本人であるかどうかは、何らかのロジックにより推定するより他はない。
これらの文字種に異なった情報を与えることで文字と関連した情報読み取りを可能ならしめる方式を提供する。
本発明の第1の解決手段は、ペン型筆記具の先端を少なくとも2つのインクを供出するように設定し、そのひとつは色インクを供出し、他のひとつは情報データを埋め込むためのインク(以下情報インクという)を供出することを特徴とする情報埋込み用筆記ペン装置に関するもので、筆記後、この情報インクを別途の手段により読み取ることで、埋め込んだ情報を復元できる。
前記ペン型筆記具の先端を二重構造とし、それぞれからインクを供出するようにしたこと、更に、先端二重構造は先端より見て二重丸型を形成し、外円には情報インク、内円には色インクが供出されるようにして、使用者が従来のペンのように筆記できるようにしたものである。本発明はペンの構造にとらわれるものではなく、逆に内円に情報インク、外円に色インクが供出されてもよい。また、筆記具の先端が二重丸型を形成する必要もなく、二重の四角形や二重の三角形でもよく、更に内側が円形で外側が四角形など、内側と外側の形が異なっていてもよい。前記色インクは眼で見る情報源となる.一方,前記情報インクとして透明な不可視インクを用いることができ,情報インクは眼で見ることのない情報源となる。情報インクには、眼に見えるインクを使用することもできる。
前記情報インクのうち、間欠的に塗布することにより、筆記後、ストロークの時系列情報の復元に用いることができる情報をガイドインクと呼ぶ。ガイドインクは一定間隔または定められたパターンに従った間隔で塗布され、筆記後、前記色インクとガイドインクを別途の装置により読み取ることで、ストロークの時系列情報を復元できる。また、前記情報インクのうち、ストロークの時系列情報の復元に用いない情報インクおよび/またはストロークの時系列情報の復元以外にも用いることができる情報インクで、筆記時に埋め込んだ情報を保持する情報インクをデータインクと呼ぶ。本発明では前記色インクと前記ガイドインクを別途の装置により読み取ることで、ストロークの時系列情報を復元し、前記データインクから筆記時に埋め込んだ情報を復元する方法を示している。
また、前記色インクで記載することにより前記情報インクでバーコードのように製品情報を製品に付与することができる。更に、前記情報インクを署名信号としたりできる。
第2の解決手段は、前記情報埋込み用筆記ペン装置に基づき、前記情報インクによって埋め込まれた情報を、データ読み取り手段によって読み取ることを特徴とし、隠れた情報を素早く読み取り可能としたものである。更に、前記読み取り手段としては、ペンに連接するコンピュータを関連させてもよく、また、前記情報インクが不可視インクの場合,前記読み取り手段としては、情報インクを可視できるような補色ライトを使用して行うこととした。また、情報インクとしては異なった複数の色インクを用いて情報埋め込み量を増やすことを行うことができる。
本発明の情報埋め込み用ペン装置は、この筆記具により1次的情報(そこに書かれている文字のコード)や2次的情報を利用者が書いた文字に埋め込むことができ、文字の記載とともにこれらの情報をも記載文字の中に埋め込み、後で認識することができる。
図1は、本発明に用いる筆記用ペンを用いて記載するところの外観斜視図を示し、ペン1の先端2は右下円内に示すように、同心状の二重円に構成されその内円には通常の黒インク3を供出するように設定され、その外円には情報埋め込みのための透明(不可視)インク4が供出されるようになっている。ペンとしては、万年筆形でもよく、ボールペン形でもよい。図1の実施例では、図1左上円内に示すように、色インク3で記載された線状5に連接して情報インク4での間欠的スポット跡6にて埋め込みする。図1の実施例は通常可視できるものは、文字を記載した色インクだけであり、情報インクは眼には見えないものである。しかし、本発明はこれにとらわれるものではなく、情報インクが色インクと色が異なるものや、情報インクが色インクで書かれた筆記の太さを変化させるなど、筆記後、色インクと情報インクを区別できればよい。情報インクの塗布に際しては、インクジェットプリンタと同様の機構によりインクを噴霧するものとしてもよい。具体的には、ペン内部に情報インクタンクとそれに接したピエゾ素子(電圧によって体積が変化する素子)を具備し、電圧制御によりピエゾ素子を膨張させ,それによりインクタンクの圧力を増加させ、ペン先の外円部に配したノズルからインクを噴霧させる。この機構により、機械的な構造なしに、コンパクトな(すなわちペンに内蔵できる程度に小さな)インク噴霧装置を実現できる。
図2は、不可視インクの埋め込みパターンの実施例である。不可視インクは「データインク」21と「ガイドインク」22の2種類からなるものとし、両者はその半径の違いなどから区別できるものとする。ガイドインクは,一定時間間隔で塗布されるものであり、筆記順序復元に利用される。ガイドインク22の間にはデータインク21が塗布される場合と塗布されない場合がある。このデータインクの塗布の有無が、それぞれビット「1」、ビット「0」を表すこともできる。従って、筆記時にデータインクの塗布を制御することで、データ埋め込みを実現できる。
図3は、データの復元を示し、図1で記載された情報インク4によるスポット跡6による情報として、その位置及び間隔から情報を復元する。情報の読み取り手段としては、情報インク判読カメラ8或は別置の表示判定装置につなげる光学式読み取り機器にて実施する。同図に示すように、不可視インクについては、ブラックライトなど補色ライト7照射をして、いままで肉眼で捉えられなかった情報を見えるようにすることができる。
図4は、データ復元のステップを示した模式図である。(a)は、例「α」と記載された字体に情報インクが埋め込まれた例である。この「α」について、(b)に示すように、間欠的に埋め込まれたスポット跡6について曲率及び埋め込み前記ガイドインクの間隔から筆記順序復元によって情報が復元される。その後(c)に示すように、文字体におけるスポット跡を筆記順序に従って1次元系列にした後、ガイドインク間の前記データインクの有無を判定し、データの復号信号として捉える。
図5は、筆記順序復元におけるアルゴリズムの1例を示したものである。同図において、情報インクのうちデータインクは省略している。筆記順序復元の目標は、さまざまな可能性のある筆記順序のうち、一番尤もらしいものを選出することにある。この処理は、一番尤もなガイドインク順序を選出することに等しく、従って、ガイドインクを通過するコスト最小経路を求める問題に帰着する。選出の基本的な方針は以下のとおりである。(1)まず、色インク上で近傍にあるガイドインク間にリンクを張る。(2)次に各リンクにコスト(2点間の色インク線の曲率、距離などを利用して)を付与する(以上図5(a))。2ガイドインク間を結ぶ色インクが直線的であれば、それらは筆記上で連続した点である可能性が高いと考え、それらの間のリンクのコストを低く設定し、その2ガイドインクが連続しやすいようにする。逆に2ガイドインク間を結ぶ色インクが「く」の字型に変形している場合は、コストを高くする。(3)その後,この重み付きグラフ上において、最小のコストを持つ、N回の節点移動(長さNの経路)を探索することになる。ここでNは検出されたガイドインクの総数である。これは図5(b)のように、図5(a)のグラフをN段従属接続したグラフ上で、左から右へ1本の最小コスト経路を探索することに等しい。
この探索のアルゴリズムは、動的計画法に基づいて以下の通り:
(式1)
// 初期化
for n = 1…N (Nは検出されたガイドインクの総数)
for l=1…L (ここでLはリンクの総数)
G[n][l]=0; (Gは探索過程において途中までの累積コストを格納するワークエリア。すなわちG[n][l]には、n回のステップで第lリンクに到達するための最小コストが格納される。)
end;
end;
for l=1…L
G[1][l]=リンク l のコスト;
end;

// 漸化式計算(ダイナミックプログラミングの考え方に基づく)
// 図5(c) 参照
for n = 2 … N
for l=1…L
G[n][l] = リンク l のコスト + min_p (G[n-1][p] + Q(l,p));
// ここで、pはリンクlと節点(ガイドインク)を共有するリンク。
//
// Q(l,p)は、リンクlとpを連続させることに対するコスト。
// リンクlと p がほぼ同じ長さあれば低コスト、など。オプション。
B[n][l]= 上の漸化式で最小値を与えたp;
end;
end;

// 終了処理
// Link[1], Link[2], …., Link[N]が最小コストリンク。
// すなわち、最小コスト経路を表す。
Link[N] = min_l G[N][l] を与えるリンク l ;
for n=N … 2
l = BP[n][l];
Link[n-1]=l;
end;
図6は、本発明の他の実施例で、(a)はデータ埋め込みの高密度化の工夫を行ったものの概略図で、61はガイドインクであり、また、ペンの情報インクの供出口62を区画し、ここからのインク塗布をできるだけ細かくし、また色インクに連接するスポット点63を多くして情報の書き込みをより多くした。A部及びB部はそれぞれの部分を拡大して示している。(b)は、他の実施例におけるペン先端部の概略構造図であり、ペン先端65は黒色インク61を出し、その周辺では情報インク63用のノズル64が複数箇所設けられている。(c)は、情報インクの噴射パターンの単純な例を示す模式図であり、(b)図でのノズル64から情報インクが噴出される。情報インクのうち、データインクにはC(シアン)とM(マゼンダ)とし、ガイドインクにはY(イエロー)のそれぞれ不可視インクを利用して区別している。ここでは、異なった色の複数の情報インクを用いて、多くの情報量を埋め込むことができる。また、1つのデータインクで、1ビットデータを表現する。
同図では、C→0、M→1としている。ガイドインクは、Nビットのデータインク列(ここではN=4)の区切りとして噴射される、1〜3個の組からなり,それが1個→2個→3個→1個→2個・・・のように繰り返す。
上述のようにガイドインクの役割はストロークの筆記方向の表現である。すなわち,ガイドインクが1個→2個→3個となる方向は正しく,逆に3個→2個→1個となる方向は間違っていると判断できる。
情報インクとして、不可視インクを用いた場合、情報抽出には紫外線(ブラックライト)照射下で撮影・スキャンされた画像から、シアン、マゼンダ、イエローのインクドットを抽出する必要がある。情報インクは黒色インクによるストローク付近に存在することを利用して、紫外線照射による用紙内の漂白剤が青く蛍光することから閾値設定して感知することになる。
図6の噴射パターン型は、一定時間間隔でCMYのいずれか1つのインクを1点噴射する単純な例であるが、より高度な噴射パターンも可能である。例えば、CMYの組み合わせ(CM/CY/MY/CMY)を一度に噴射させ、それらに異なった意味を持たせることも可能である。また、噴射ノズルをCMYそれぞれに複数持たせることで、組み合わせをさらに複雑化することも考えられる。一方で、ハードウエアの制約や検出の困難さから、CMYのうち2色だけが利用可能な場合もある。その場合も噴射パターンを工夫することで対応できる。
図7は、本発明の他の1実施例のデータ埋め込み事例を示す模式図であり、図7(a)は、筆記具によって記載する人の署名を埋め込むことにより、筆記者の保証を行うものであり、この場合は埋め込み内容は筆記内容とは異にし、筆記者の署名を実行することになる。図7(b)は、署名者の筆記時期の保証を行う。この場合、埋め込むデータについては、予め現時刻を2進符号化ないし多値符号化しておき、その符号化したデータを埋め込むこととする。
図8は、本発明の他の1実施例で他の機器と連動した模式図であり、図8(a)は店舗においてバーコードのように製品情報を製品に付与する方法を示している。すなわち,記載兼読み取りに関し、ペン筆記具と金銭レコーダ、コンピュータ機器との接続に係り、ペン書きしたものは、チェック(v)記号で印字しても、この印字に連接してデータが埋め込まれ、印字によるデータなどの金額、などは記録媒体に残すことができる。これにより、シール貼付などは不要である。図8(b)は、人間にも読めるように記載するとともに、埋め込みデータとしても残る方法であり、図8(a)でも、図8(b)でもどちらも同じ方法で埋め込みデータを記載できる。
図9は、本発明の他の1実施例としてデータ使用を示す模式図であり、パソコンなどにきた電子データとペン筆記具とにおいて関連できるキー情報データとして記録中に埋め込みデータとすることで、必要なときに埋め込みデータからのキーデータを探して、パソコンなどのデータを読むことができる。例えば、電子メールには,おのおの固有の「message−ID」が付されているが、このmessage−IDを2進データ化し、筆記に埋め込むことを考える。今、会議に関する電子メール(仮にmessage−ID=“2005・・・..192”とする)が届いたとする。メモ帳のその会議が開催される日付の箇所に「会議」と書き込む際、この“2005・・・..192”を埋め込んでおく。メモ帳上では「会議」としか読めないが、その詳細(例えば開始時刻、開催場所、議論内容)を知りたい場合、その筆記「会議」から“2005・・・..192”を読み出し、さらに計算機内からその“2005・・・..192”を持つ電子メールを検索することで、計算機上の画面に詳細が自動表示されることになる。
図10は、情報インクとして可視インクである通常のカラーインクを用いて、記載した模式的な事例を示す。101は、通常の黒インクで記載された文字跡であり、この線跡101に接して可視のカラーインクからなるガイドインク102と可視のカラーインクからなるデータインク103で構成され、シートスキャナプリンタ(図示せず)で複製できる。また、前記情報インクが前記色インクで書かれた筆記の太さを変化させることもできる。
更なる実施例としては、筆順復元による場合を次に挙げる。即ち、こうして情報インク位置がわかった後、それらを筆記順序に従って並べなおす必要がある。情報インクは黒インクの筆記に従って噴射されたものであるから、その並べなおしの問題は、黒インクによる手書きパターンの筆記順序を復元する問題と等価であるといえる。
もし完全な筆順復元が可能だったとしても、すべての情報インクが抽出できるわけではない。すなわち、2度書き部分や交点においては、2つのストロークに付随する情報インクが混在してしまい、正しい抽出は困難である。よって、筆順復元時に2度書き部を同定し、その部分の情報インクについては削除する必要がある.さらに削除した部分を補完する必要がある.この補完のためには、(1)埋め込みデータをあらかじめ誤り訂正符号により符号化した後にデータインクとして表現する、もしくは、(2)同じ情報を繰り返してストローク内に埋め込む、といった対処が必要となる。
筆記順序情報が失われた画像としての手書きパターンから、筆記順序を復元する技術は筆順復元(ストロークリカバリ)と呼ばれ、手書き文字認識の分野において検討されている。筆順復元の問題は,結果(画像)を見て入力(筆順)を推定するという逆問題であり、一般には困難である。そこで従来の筆順復元法の多くは、ヒューリスティクスを利用するなどの様々な工夫により問題を解き易くしている。例えば、こうした筆順復元法の一種として加藤らの手法(加藤美治、保原 信、「手書き文字の筆順復元」情報処理学会第56回全国大会、1P-4、1998、及び Y.Kato and M.Yasuhara「Recovery of drawing order from single-stroke handwriting images」IEEE Trans. Pat. Anal. Mach. Intell、 vol.22、 no.9、p.938-949、2000、以下、基本アルゴリズムと呼ぶ)がある。しかし,そうした工夫があっても、依然として復元精度には本質的に限界がある。例えば、単純なパターン「―」でも、始端・終端が区別できない限り、筆記方向を完全に同定することはできない。このように筆順復元問題は黒インクだけでは解けないが、本発明では情報埋め込みペン特有の情報インクを積極的に活用することで解決を図る。具体的には、前述のガイドインクを利用することで、従来確定できなかった筆記方向を確定する。その具体的な方法については、次に述べる。なお,基本とする筆順復元法として前記文献以外のアルゴリズムも利用できるが、本発明では、動的計画法(DP)に基づく最適経路探索型の筆順復元法に対して、情報インクを援用している。
図11は筆順復元方法の基本アルゴリズムの概略図である。基本アルゴリズムでは、1画で書かれた手書きパターン(黒インクによるパターン)をまず細線化し、その後グラフ表現する。グラフ表現においては、ストロークの交点もしくは端点がグラフのノードになり、2つの交/端点間のストロークがエッジになる。1つのエッジには、2度書き部分が対応している可能性もある。ノードの次数としては、1,3,4が想定される。次数1のノードは端点であり、4は交点である。次数3のノードも交点であるが、2ストロークがX状に交差した際に生じる単純な交点(この次数は4)ではなく、多くの場合、2度書き部分の開始点もしくは終了点に対応する。なお、グラフ化の際、細線化の影響により、交点付近において近接したノードが多数発生する場合がある。これを排除するため、基本アルゴリズムでは近傍ノードのクラスタ化が推奨されている。このクラスタ化とは、具体的には、ある半径内に存在する複数ノードを一つにまとめる処理を示す。
次数1のノードのうちの2つを、それぞれ始端(書き始め)、終端(書き終わり)として選択する。この選択すべきノードは自明ではない。例えば“d”の頂点のように、始・終端でなくとも次数1のノードは存在しうる。また始・終端両者の区別も不可能である。加藤らの前記文献では、通り(Mは次数1のノード数)のすべての場合について,総当り的に以下の処理による筆順復元を試み、それらのうちで最も妥当な結果を(曲率変化の少なかったものを)選択することを推奨している。
完全な筆順復元のためには、2度書き部分に対応するエッジを検出する必要がある。2度書き部分はLDライン,SDライン,PDラインの3種類に大別される(図11参照)。(1)LDラインは始点と終点以外の次数1のノードと次数3のノードにはさまれた辺、(2)SDラインは自己ループのある次数3の節点と他の次数3の節点にはさまれた辺、(3)PDライン:ある次数3の節点と他の次数3の節点にはさまれる辺が2本あるときの短いほうの辺、として定義されている。これらいずれの2度書き部分も奇数次数のノードを手がかりとして検出できる。こうして検出されたエッジは、筆順復元の際に2回通るべきエッジである。したがって、次のBTAアルゴリズム(図12)を適用する前に、あらかじめ二重化しておく。
BTAとは、グラフ上のすべてのエッジを通る道、すなわち筆順復元結果を与えるアルゴリズムである。こうした道は必ず存在する。なぜなら、2度書き部エッジの2重化により、始・終端以外のノードはすべて偶数次数になっているためである。こうしたグラフは半オイラーグラフと呼ばれ、グラフのすべてのエッジを1度だけ通る道を持つことが知られている。BTAでは、始端から終端に到達するまで、偶数次数ノードでのエッジ選択を繰り返すことで、上述の道を見つける。そのエッジ選択の戦略は、図12(a)のように、今来たエッジを除くエッジ(次数4なら3つのエッジ)のうち、真ん中のエッジを採用するというものである。すなわち交差では直進するという戦略である。また、SDラインの自己ループに対応するエッジについては本質的に方向不定であるため、常に図12(b)の方向を採用する。他にPDラインについても固有の戦略があるが、ここでは略する。
基本アルゴリズムは、多くの場合において妥当な結果を与える。しかしながら、次のような問題点もある。
(1)交差直進戦略の限界(図13(a)):偶数次数のノードでは中央のエッジを選択するという戦略(図12(a))が、正しくない場合がある。
(2)部分的な筆記方向の不定性(図13(b)):SDラインの自己ループの筆記方向決定戦略(図12(b))が正しくない場合がある。
(3)全体的な筆記方向の不定性(図13(c)):始・終端を逆に間違っても筆順復元は可能であるが、全く逆の筆記方向が求まる。
PD−ラインについても、特殊な状況では、誤った結果を出力する可能性がある。最近、幾つかの改良が提案されているが、パターン「―」の例が端的に示すように、筆順復元問題の本質的な曖昧性を解消することはできない。
本発明では、情報インクを援用することで、前節の問題点を緩和する方法を提案する。まず問題(1)に対しては、偶数次数のノードに来たとき、現在のエッジにおける情報インクのパターン系列を観察し、それと連結可能なパターン系列を持つエッジを後続候補の中から選べばよい。問題(2)に対しては、自己ループ部分の筆記方向をその部分のガイドインクから判定すればよい。問題(3)も同様に各エッジにおける筆記方向をガイドインクから判別すればよい。このように、データ埋め込みペン特有の能力を利用して、筆順復元精度を向上できる。
筆順復元について、本発明を用いて実験をした。
本実験では、実際の紙の上の手書きパターンおよび情報インクではなく、タブレットを介して得られたオンラインパターンを元のデータとする。このオンラインパターンを画像化したものを、筆順復元アルゴリズムのテストデータとして利用した。元々オンラインパターンなので、筆順復元の正解データは既知とできる。
実験資料として、6名の筆記者による英語アルファベットの大・小文字全52文字種のデータ、計312パターンを利用した。上述のように筆記にはタブレットを用いた。大きさは文字種によって様々であるが、平均的には250×250画素程度であった。シミュレーション実験ということで、すべての情報インク位置を既知とした。具体的には、オンラインパターンの筆点に沿ってn画素間隔で1ドットのデータインクもしくはガイドインクが埋め込まれていると想定した。データインク,ガイドインクの埋め込みフォーマットは2.4.2の通りである。このときのデータ埋め込み量は、ストロークを構成する画素の数をNとすると、(12N)/(18n)bitである。例えば、N=750、n=10の場合、50bitの埋め込みが可能である。
前出の312パターンすべてに細線化を行ない、さらにグラフ表現した。本実験では画像化の際にストローク幅を1としたが、それでもストローク交差等の存在により、細線化の必要があった。9パターンについては、細線化ならびにクラスタ化の悪影響により、基本アルゴリズムでは想定されていない次数5のノードが発生したため、以下の実験ではこれらを除外した。したがって、以下では303個の手書きパターンを用いている。始・終端は既知として、筆順復元を行い、その結果を目視することで筆順復元成功率を求めた。情報インクを利用しない場合、すなわち基本アルゴリズムでは、303個のうち293(96.7%)の文字パターンの筆順復元に成功していた。一方、情報インクを援用した場合、成功率の向上が見られた。具体的には、筆順復元が成功したパターン数は、インク間隔n=3,5,7,9についてそれぞれ296(97.7%),296(97.7%),299(98.7%),298(98.3%)となった。このことから、情報インクを援用することの効果がわかる。
図14は、筆順復元結果例である。全7パターンのうち、左の4つは基本アルゴリズムでも成功したパターン、右の3つは本手法でのみ成功したパターンである。後者のうち最初のものは図13(b)に示した自己ループの筆記方向決定戦略の失敗を、残る2つは図13(a)に示した交差直進戦略の失敗を、それぞれ情報インクの利用で成功に転じた例である。なお今回は、基本アルゴリズムでも正解が得られやすい問題設定となっている。これは、(1)書き始め書き終わりを既知としており、全体的な筆記方向の不定性がない、(2)ストロークは基本的に太さ1であり、そのため2度書き部が少ない、また(3)1画パターンのみを対象としている、という理由による。これらを考慮すると、実際の問題においては、情報インクを援用する本手法の有用性はさらに増加する。
埋め込まれた情報は、復元された筆順に従って情報インクを読み取ることで抽出される。今回のシミュレーション実験において、情報抽出の失敗要因は、次の2種類に分類される。
(1)2重書き部および交差部:筆記2回分の情報インクが混在するため、データを読み誤る。
(2)筆順復元の失敗:誤って逆の筆記方向が復元されると、その部分のデータを読み誤る。
第1の要因は不可避である。一方、第2の要因は筆順復元の精度を向上させることで、小さくできる。なお実際問題においては以上に加え、画像中のドット検出ミスも失敗要因になる。
図15に、情報インクがn画素間隔で噴射されたときの、情報抽出率を示す。ここで情報抽出成功率とは、全情報インクドットのうちで、上の2種類の失敗部分に含まれなかったものの割合である。この図から、94〜95%程度の情報インクが正しく抽出できることがわかる。また、情報インクを援用した本手法のほうが、基本アルゴリズムよりも情報抽出精度は高いと言える。
以上の如く、本発明は、特段の工夫をしていない通常の紙に情報データを埋め込むことができ、筆記後、埋め込んだ情報を復元できる。さらに情報抽出の際の中心的問題になる筆順復元について、情報が埋め込みされているという本手書きパターン特有の状況を利用することで、従来の黒インク単独の場合より、精度の高い筆順復元が可能であることを示した。また、本発明は情報埋め込みができるペン型筆記装置単独で使用することもできるが、ペン型筆記装置をコンピュータなどに接続して用い、コンピュータに記録されている電子メールや画像、動画などの情報と関連づけることにより、通常の紙に情報を埋め込むことや紙に書かれた情報とコンピュータに記録されている情報を関連づけることが可能である。このことは使用者の利便性を大幅に向上するため、産業上、利用性大である。
本発明による筆記ペンを用いてデータ埋め込みする模式図である。 本発明による埋め込みデータの埋め込み形態を示す一例である。 データ復元の模式図である。 データ復元のステップを示す模式図である。 データ復元における筆記順序復元アルゴリズムを示す。 本発明の他の1実施例のデータ埋め込み概略及び情報インクの噴射パターンを示す模式図である。 本発明の他の1実施例のデータ埋め込みを示す模式図である。 本発明の他の1実施例で他の機器と連動した模式図である。 本発明の他の1実施例としてデータ使用を示す模式図である。 本発明の1実施例、可視情報インクによる模式的事例である。 筆順復元方法の基本アルゴリズムの概略図である。 BTAアルゴリズムの戦略図である。 基本アルゴリズムの限界図である。 本発明における筆順復元の結果例を示す。 本発明における筆順復元の情報抽出率を示す。
符号の説明
1 ペン
2 ペン先端
3 色インク
4 情報インク
5 線状
6 スポット跡
7 補色ライト
8 判読カメラ
21 データインク
22 ガイドインク
61 ブラックインク
62 情報インク供出口
63 情報インク
64 情報インク用ノズル
65 ペン先端部

Claims (5)

  1. ペン型筆記具の先端に、筆記時に色インクを供出するペン先と、筆記時に第1のノズルからガイドインクを一定間隔または定められたパターンで噴霧させると共に、筆記時であって、この第1のノズルからガイドインクが噴霧されていない間に、第2のノズルからデータインクを埋め込むべき情報に応じて噴霧させたり噴霧させないようにするインク噴霧装置とを備えたことを特徴とする情報埋込み用筆記ペン装置。
  2. 前記ガイドインクとデータインクがブラックライトの照射によって可視化できる透明なインクであることを特徴とする請求項1に記載の情報埋込み用筆記ペン装置。
  3. 前記ガイドインクとデータインクが色インクとは異なる色のインクであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報埋込み用筆記ペン装置。
  4. 前記インク噴霧装置の第2のノズルが複数存在し、ブラックライトの照射によって異なる色に可視化できる透明なインクからなる複数のデータインクを各ノズルから噴出させるものであることを特徴とする請求項2に記載の情報埋込み用筆記ペン装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の情報埋込み用筆記ペン装置に基づき、前記ガイドインクとデータインクとによって埋め込まれた情報を、データ読み取り手段によって読み取ることを特徴とする埋込み情報読取システム
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