JP4852836B2 - 非水系二次電池の負極用電極板の製造方法 - Google Patents
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て自転と公転機能を有する二つのブレード(羽根)が一対となったプラネタリーミキサー部とプラネタリー部と同様に自転しながら公転するディゾルバー部を有している混合攪拌機であり、双腕式練合機ともいう。
これを本発明の構成要素に置き換えると、設備条件(羽根と攪拌容器との隙間など)が一定でz軸方向での流速変化が一定の場合、剪断力τは流体である混練物の粘度ηと、攪拌速度(羽根の周速)vとに比例することとなる。ここで第一工程における混練物はファニキュラー状態であり、通常の粘度計では粘度が測定できない。そこで剛性体を一定圧力で混練物に押し込み、その変位量を測ることで簡易的に粘度の代用値を求めた。具体的には各工程を経た後の混練物に対し、直径3mmの銅製の丸棒を10kgf/cm2の圧力で5秒間押し込み、その変位量の逆数(単位は1/m)を粘度ηの代用値として、混練時の攪拌羽根の周速に乗じることにより、当該工程の剪断力τの代用値を簡易的に求めた。
セパレータについては、リチウムイオン二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、ポリエチレン・ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の微多孔フィルムを、単一あるいは複合して用いるのが一般的でありまた態様として好ましい。このセパレータの厚みは特に限定されないが、10〜25μmであることが好ましい。
(実施例1)
まず、図1に示すフローチャートのように、負極を作製した。すなわち、初混練工程で(i)鉄の含有量が300ppmであり、粒径(d50)が23μm、比表面積が2.3m2/g、タップ密度が1.00g/m3である黒鉛を負極用活物質として100重量部、(ii)増粘剤として粘度(B型粘度計にて測定、25℃環境下、溶液の調整法は後に詳述)が1.4〜1.8Pa・sのカルボキシメチルセルロース(CMC)のナトリウム塩を固形分換算で1.2重量部、固形分比が62[%]となるように分散媒を加え双腕式練合機にて周速20m/秒で混練し一次混練物を得た。この混練物の粘度ηの代用値は765(1/m)、剪断力τの代用値は15300(1/秒)であった。
性体(SBR変性体固形分40重量%)を固形分換算で1重量部を加え双腕式練合機にて混練し、固形分比が50.6%の負極合材ペーストを作製した。この混練物の粘度ηおよび剪断力τの代用値は、希釈分散工程における混練物のそれとほぼ同等であった(以下の実施例および比較例についても同様)。
図1に示すフローチャートに従い、実施例1では鉄の含有量が300ppmである黒鉛を用いたところを、鉄の含有量が1000ppmである黒鉛を用い、初混練工程での固形分比を55%とした以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極電極板を作製した。なおここで一次混練物の粘度ηの代用値は260(1/m)で剪断力τの代用値は5200(1/秒)、希釈混練工程後の混練物の粘度ηの代用値は100(1/m)で剪断力τの代用値は6000(1/秒)であった。これを比較例1の負極電極板とする。
図1に示すフローチャートに従い、実施例1では第一工程で鉄の含有量が300ppmである黒鉛を用いたところを、鉄の含有量が1000ppmである黒鉛を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。なおここで一次混練物の粘度ηの代用値は376(1/m)で剪断力τの代用値は7520(1/秒)、希釈混練工程後の混練物の粘度ηの代用値は72(1/m)で剪断力τの代用値は4320(1/秒)であった。これを比較例2の負極板とする。
図1に示すフローチャートに従い、実施例1では初混練工程で固形分比が62[%]の混練物を得たところを、初混練工程で固形分比が55%の混練物を得た以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。なおここで一次混練物の粘度ηの代用値は285(1/m)で剪断力τの代用値は5700(1/秒)、希釈混練工程後の混練物の粘度ηの代用値は120(1/m)で剪断力τの代用値は7200(1/秒)であった。これを比較例3の負極電極板とする。
図2に示すフローチャートに従い、実施例1では初混練工程で黒鉛100重量部にCMCを粉末状態で固形分換算で1.2重量部添加して固形分比が62[%]の混練物を得、希釈混練工程で分散媒のみを加えたところを、初混練工程で黒鉛100重量部にCMCの1重量%水溶液を固形分換算で0.58重量部加え、固形分比が63[%]の混練物を得(この混練物の粘度ηの代用値は625(1/m)で剪断力τの代用値は12500(1/秒))、希釈混練工程で残りのCMC水溶液を加えた(この混練物の粘度ηの代用値は100(1/m)で剪断力τの代用値は6000(1/秒))以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。これを参考例1の負極電極板とする。
(ペースト沈降性)
混練直後の負極合材ペーストを塩化ビニール製のチュウブ管(φ10、長さ100mm)に入れ、上下部をテープで塞ぎ、密閉する。これを2本用意する。下部から10mmの位置をカッターで切断後、その箇所のペーストの固形分率を測定する。混練直後と混練して7日後とで測定した差の結果を(表1)に示した。
(塗着重量バラツキ)
負極合材ペーストをダイコート方式により、10μm厚の銅箔に塗布乾燥する時に、βX線重量計により、幅方向および長手方向を含む2000mでの電極板中の塗着重量バラツキを測定した結果を(表1)に示す。
(90度剥離強度)
上記のように作製した負極板を用いて、集電体である銅箔と合剤部分とでの結着強度をJIS K6854に準拠して、90度剥離によって測定した。試料片の寸法は幅が12
.65mm、接着部分の長さが70mm〜80mmで行った。
(20℃ 500サイクル容量維持率)
封口後の完成電池について、定電流充電1400mA/4.1Vカット・定電流放電1400mA/3Vカットの慣らし充放電を2度行い、20℃環境で7日間保存した後、以下の充放電サイクルを500回繰り返した。
充電:定電流1400mA/4.2Vカットの後、定電圧4.2V保持/100mAカット
放電:定電流2000mA/3Vカット
このときの1サイクル目に対する500サイクル目の放電容量比を500サイクル容量維持率として(表2)中に示した。
(45℃ 300サイクル容量維持率)
封口後の完成電池について、定電流充電1400mA/4.1Vカット・定電流放電1400mA/3Vカットの慣らし充放電を2度行い、45℃環境で7日間保存した後、以下の充放電サイクルを300回繰り返した。
充電:定電流1400mA/4.2Vカットの後、定電圧4.2V保持/100mAカット
放電:定電流2000mA/3Vカット
このときの1サイクル目に対する300サイクル目の放電容量比を300サイクル容量維持率として(表2)中に示した。
(0.2C 初期放電容量)
封口後の完成電池について、定電流充電1400mA/4.1Vカット・定電流放電1400mA/3Vカットの慣らし充放電を2度行い、45℃環境で7日間保存した後、以下の充放電を行った。
充電:定電流1400mA/4.2Vカットの後、定電圧4.2V保持/100mAカット
放電:定電流400mA/3Vカット
このときの放電容量を0.2C初期放電容量として(表2)中に示した。
(実施例2〜5、比較例4)
図1に示すフローチャートに従い、実施例1において第一工程で黒鉛中の鉄の含有量が300ppmであったところを、600、500、100、50ppm、検出限界未満(N.D.)とした以外は、実施例1と全く同様の作成手順で負極を作成した。各々を比較例4、実施例2〜5の負極電極板とする。
(ペースト沈降性)
検討1と同様の方法にて評価した。
(塗着重量バラツキ)
検討1と同様の方法にて評価した。
(90度剥離強度)
検討1と同様の方法にて評価した。
(20℃ 500サイクル容量維持率)
検討1と同様の方法にて評価した。
(45℃ 500サイクル容量維持率)
検討1と同様の方法にて評価した。
(0.2C 初期放電容量)
検討1と同様の方法にて評価した。
0.2C初期の放電容量において良好であることが判る(実施例1〜5)。一方、鉄の含有量が600ppm以上の場合、500サイクル後の容量維持率が低く、初期の放電容量も低い(比較例2および4)。上述したような不安定なペーストからなる負極板を用いた場合、負荷が局所的に大きくなるところが存在するため、負極活物質の層間に挿入しきれなかったリチウムイオンがリチウム金属として析出しやすい。また、結着材も均一に分散されていないことから、極板強度の値も小さく、充放電時の極板の膨張、収縮の際に集電体から合剤が剥がれやすくなる。そのため、サイクル特性及び初期の放電容量が低下したと推測できる。
(実施例6〜7、比較例5〜6)
図1に示すフローチャートに従い、実施例1ではCMCのナトリウム塩(第一工業製薬製セロゲン4H)を黒鉛100重量部あたり1.2重量部用いたところを、CMCのアンモニウム塩、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)を各々1.2重量部、1.2重量部、0.72重量部、0.72重量部(CMCのナトリウム塩と同等の体積)を用い、実施例1と同様の手順で負極を作製した。各々を実施例6、7、比較例5、6の負極電極板とする。
(90度剥離強度)
検討1と同様の方法にて評価した。
(20℃ 500サイクル容量維持率)
検討1と同様の方法にて評価した。
(45℃ 300サイクル容量維持率)
検討1と同様の方法にて評価した。
剤としてPEOやPVAを用いた場合、90度剥離強度の値は小さく、20℃および45℃での容量維持率も低かった(比較例5〜6)。このような負極板を用いた場合、結着材の極性基との結合が困難となり、結着材が均一に分散しないため、極板強度の値も小さく、充放電時の極板の膨張、収縮の際に集電体から合剤が剥がれやすくなる。そのため、サイクル特性及び初期の放電容量が低下したと推測できる。
(実施例8、比較例7)
図1に示すフローチャートに従い、実施例1では結着材としてSBR変性体(固形分40重量%)を用いたところを、ポリオレフィン系ディスパージョン(固形分40重量%)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とヘキサフルオロエチレンの共重合体の水酸化物(固形分60重量%)を用いた以外は、実施例1と全く同様の作製手順で負極を作製した。各々を実施例8、比較例7の負極電極板とする。
(90度剥離強度)
検討1と同様の方法にて評価した。
(20℃ 500サイクル容量維持率)
検討1と同様の方法にて評価した。
(45℃ 300サイクル容量維持率)
検討1と同様の方法にて評価した。
Claims (4)
- 黒鉛を主剤とする炭素材料、増粘剤、および結着材を混練分散することにより構成されるペーストを用いる非水系二次電池の負極用電極板の製造方法において、
前記黒鉛は鉄の含有量が500ppm以下であり、前記増粘剤はカルボキシル基を含む水溶性高分子であり、前記結着材は極性基を有する水分散性高分子であり、
負極塗膜形成用の前記ペーストの混練工程は、少なくとも前記黒鉛に前記増粘剤を粉末状態で添加し、前記分散媒と共に混練する初混練工程と、前記初混練工程の混練物を前記分散媒で希釈し混練する希釈混練工程と、前記希釈混練工程の混練物に前記結着材を添加し、混練することによりペーストを作成する仕上げ混練工程の3つの工程を含み、
初混練工程における混練の剪断力が、希釈混練工程および仕上げ混練工程における混練の剪断力の2.5倍以上であることを特徴とする非水系二次電池の負極用電極板の製造方法。 - 前記増粘剤はカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩および/またはアンモニウム塩であり、
その1%水溶液とした時の粘度が6〜18Pa・sであることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池の負極用電極板の製造方法。 - 前記増粘剤の添加量が前記活物質100重量部あたり0.5〜1.1重量部であることを特徴とする請求項2に記載の非水系二次電池の負極用電極板の製造方法。
- 前記結着材がアクリロニトリル単位を含むコアシェル型ゴム粒子系結着材であることを特徴とする、請求項1〜3に記載の非水系二次電池の負極用電極板の製造方法。
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