JP4849857B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
透明性を有するゴム強化スチレン系樹脂として、ポリスチレン、あるいはスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれた1種以上の樹脂と、スチレン−ブタジエンブロック共重合体とのブレンド系樹脂(特許文献2参照)が挙げられる。これらの樹脂に対してABS樹脂、AS樹脂、PMMA樹脂を混合して得られるブレンド系樹脂は、透明性、剛性、耐衝撃性、表面硬度の物性が優れていることが知られているが、低温雰囲気下に置くことにより白濁し、透明用途への採用が進んでいなかった。
1.ゴム状重合体の存在下に、アクリロニトリル、スチレンをグラフトしたグラフト共重合体(A)、アクリロニトリル15〜40重量%、スチレン60〜85重量%からなるアクリロニトリル−スチレン共重合体(B)、およびメタクリル酸メチル単量体80〜91重量%、アクリル酸メチル9〜20重量%からなるメタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重合体(C)からなる、3mm厚の全光線透過率70%以上で、かつ−30℃雰囲気下に24hr放置したときの透明性の保持率が70%以上である熱可塑性樹脂組成物成形品。
但し、該熱可塑性樹脂組成物は(A)+(B)+(C)=100重量%、かつ成分(C)30〜60重量%、
である。
本発明におけるグラフト共重合体(A)に用いられるゴム質重合体には特に制限はないが、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴムなどが使用できる。これらゴム質重合体の具体例としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体、エチレン−イソプレン共重合体およびエチレン−アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。これらのゴム質重合体のうちでは、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体およびアクリロニトリル−ブタジエン共重合体が、特に耐衝撃性の観点から好ましく用いられる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)に用いるシアン化ビニル系単量体には特に制限はなく、具体例としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、なかでもアクリロニトリルが好ましく用いられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。
ゴム状重合体の重量平均粒子径は、0.1〜0.5μmである。重量平均粒子径は耐衝撃性および切断性の改良効果の観点から0.1μm以上であり、また重量平均粒子径は成形品の透明性から0.5μm以下である。
ゴム状重合体に、芳香族ビニル系単量体としてスチレン、シアン化ビニル系単量体としてアクリロニトリルをグラフトした共重合体(A)は、ABSと称されることがある。
グラフト共重合体(A)中および、シアン化ビニル系共重合体(B)中のシアン化ビニル単量体の質量%は、15〜40重量%であることが望ましい。さらに好ましくは、17重量%〜25重量%である。透明性の点から15重量%以上であり、黄変の問題から40重量%以下である。
芳香族ビニルとしてスチレンを、シアン化ビニルとしてアクリロニトリルを用いて共重合したシアン化ビニル共重合体は、AS樹脂と称されることがある。
シアン化ビニル系共重合体(B)の製造方法としては特に制限はなく、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状懸濁重合法、乳化重合等の公知の方法が挙げられる。
本発明で使用されるアクリル系樹脂(C)は、メタクリル酸メチル単量体と、その他不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体を共重合させたものである。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられるが、なかでもアクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらのアクリル酸エステル単量体は単独または混合して使用することができる。
透明な組成物を得る事、低温で白化を避けるため、30重量%以上であり、衝撃強度の点から60重量%以下である。
本発明に用いる組成物を構成するグラフト共重合体(A)、シアン化ビニル系共重合体(B)およびアクリル系樹脂(C)重量比は、グラフト共重合体(A)10〜60重量%、シアン化ビニル系共重合体(B)0〜40重量%およびアクリル系樹脂(C)30〜60重量%、更にそれぞれ15〜50重量%、5〜30重量%および40〜55重量%であることが好ましい。グラフト共重合体(A)は耐衝撃性の点から10重量%以上である。
なお、グラフト重合体(A)のゴム状重合体を除いた成分、シアン化ビニル系共重合体(B)および不飽和カルボン酸アルキルエステル系共重合体(C)から構成されるマトリックスの屈折率と、グラフト重合体(A)に使用されるゴム状重合体の屈折率との差を0.03以下、より好ましくは0.02以下になるよう単量体の組成比を調製することが、透明性の観点から好ましい。このようなグラフト重合体(A)およびシアン化ビニル系共重合体(B)は複数種類用いてもよい。
さらに本発明の樹脂組成物には、透明性、剛性、耐衝撃性、切断性を損なわない範囲でホスファイト系、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系およびシアノアクリレート系の紫外線吸収剤および酸化防止剤、高級脂肪酸や酸エステル系および酸アミド系、さらに高級アルコールなどの滑剤および可塑剤、モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステラアマイドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有してもよい。
帯電防止処理剤としては、界面活性剤等をメタノール等の有機溶剤、または、水に溶解させた帯電防止処理剤を使用することができ、浸漬、噴霧等の手法を用いて塗布し、乾燥させる。或いは、上記熱可塑性樹脂組成物に練りこまれたものを使用しても良い。
(1)実施例および比較例に用いた原材料
ABS(グラフト共重合体):ポリブタジエンゴム30質量%、アクリロニトリル14質量%、スチレン56質量%からなるABS樹脂
AS (ビニル系共重合体):アクリロニトリル20質量%、スチレン80質量%からなるAS樹脂。
PMMA(アクリル系樹脂)
C1:(メタクリル酸メチル)90重量%、MA(アクリル酸メチル)10重量%
C2:(メタクリル酸メチル)86重量%、MA(アクリル酸メチル)14重量%
C3:(メタクリル酸メチル)97重量%、MA(アクリル酸メチル) 3重量%
実施例中の評価、各種測定は以下の通りである。
[全光線透過率]厚さ3mmの試験片を用いて、日本電飾工業社製1001DPで測定した。
[耐衝撃性]ISO−179に準じてノッチ付シャルピー衝撃強度を測定。単位:kJ/m2。
[低温白化性]東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いシリンダー設定温度250℃にて厚さの異なる試験片を作成し、―30℃雰囲気下に24h放置し、透明性の保持率を観察した。
透明性の保持率は以下の式により求めた。
保持率(%)=低温白化試験後の全光線透過率)/低温白化試験前の全光線透過率×100
○:透明性保持率70%以上100%未満
×:透明性保持率70%未満
上記各成分につき、表1に示された配合割合で混合し、東芝機械製TEM35B二軸押出機を用いて250℃で溶融し、混練ペレットを得た。また、得られたペレットを日本製鋼所製J−100EPI射出成形機、東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いシリンダー設定温度250℃にて各試験片を作成し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
表1から本発明で規定した範囲の組成物で成形した成形体は透明性、剛性、耐衝撃性に優れたものであることが分かる。
Claims (1)
- ゴム状重合体の存在下に、アクリロニトリル、スチレンをグラフトしたグラフト共重合体(A)、アクリロニトリル15〜40重量%、スチレン60〜85重量%からなるアクリロニトリル−スチレン共重合体(B)、およびメタクリル酸メチル単量体80〜91重量%、アクリル酸メチル9〜20重量%からなるメタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重合体(C)からなる、3mm厚の全光線透過率70%以上で、かつ−30℃雰囲気下に24hr放置したときの透明性の保持率が70%以上である熱可塑性樹脂組成物成形品。
但し、該熱可塑性樹脂組成物は(A)+(B)+(C)=100重量%、かつ成分(C)30〜60重量%。
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