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JP4844235B2 - 液晶表示方法 - Google Patents

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Description

本発明は液晶表示方法に係り、特に入力映像信号による画像を、液晶表示素子を用いて表示する液晶表示方法に関する。
現在、液晶表示装置は軽量、安価などの特徴から、各種のディスプレイデバイスとして広く普及しているが、その応答特性の改善が重要な課題となっている。例えば、図12(A)に示すように、液晶表示装置の画面表示エリア1に、矩形形状の単一色相(単一階調)の画像2が停止している状態から、同図(B)に2aで示すように移動した場合、移動速度に比べて液晶表示パネルの応答特性が遅いと、同図(B)にSO、LOで示すように、移動方向と反対の方向に尾引きが発生する。
尾引きは、移動する画像2aの移動方向と反対方向の移動前の画像が全体的に残像する面状の尾引きSOと、画像2aの移動方向と反対方向の移動前の画像2の一部が強く残像する線状の尾引きLOとの2つに大きく分類される。後者の線状の尾引きLOは、移動する画像2aとその周囲領域の階調との階調差(輝度差)が大きい場合に、それらの境界において顕著に現れる。また、線状の尾引きLOは液晶表示素子を垂直方向に配向した液晶表示装置の場合に顕著に現れ、その抑制が課題となっている。
従来、尾引きを解決する方法として、液晶表示素子の構成材料、製造工程条件などによる方法がある。低電圧駆動できる液晶材料を使いセルギャップを狭くする、また液晶配向条件を変えるなどにより尾引きは抑制できる。ところが、この方法では他の画像表示特性、信頼性などにも影響があり、液晶表示素子に要求されるすべての特性を満たすことは困難である。
そこで、液晶表示素子の構成材料、生産工程条件は変えずに、画像信号に処理を加え、尾引きを抑制する液晶表示方法が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1記載の液晶表示方法では、少なくとも1垂直期間前の入力画像データと現垂直期間の入力画像データとの比較を行い、該比較結果から得られる強調変換パラメータに基づいて、入力画像データを強調データに変換した上で液晶表示パネルへ出力することにより尾引きの発生を抑制している。
特開2004−348151号公報
しかし、上記の従来の液晶表示方法は、図13(A)に示すように、液晶表示装置の画面表示エリア1に、矩形形状の画像2が停止している状態から、同図(B)に画像が2aで示すように移動した場合、面状の尾引きSOを抑制することはできるが、線状の尾引きLOに対してはその効果が不十分であるという課題がある。
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、液晶表示素子の構成材料や生産工程条件は変えずに映像信号に処理を加える方法で、線状尾引きの発生を十分に抑制する液晶表示方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、入力映像信号の画像を液晶表示素子により表示する液晶表示方法において、現在フレームの入力映像信号の画像内において周囲領域と所定値以上の階調差を有する第1の画像と、現在フレームよりも少なくとも1フレーム前の入力映像信号の画像内において第1の画像の移動前の画像である第2の画像との間の移動量及び移動方向と、液晶表示素子の温度を検出する第1のステップと、第1のステップで検出された移動量及び移動方向と、第2の画像の周囲領域との階調差に従い、第2の画像の境界部分のうち、第2の画像の移動方向と反対方向に液晶表示素子に発生する線状の残像である線状尾引きを発生させる境界部分に向かって、第2の画像内の所定の境界領域部分が、その周囲領域との階調差が徐々に小さくなるように、滑らかに階調を変化させる階調変換の画像処理を、少なくとも1フレーム前の入力映像信号の画像における第2の画像に施すと共に、第1のステップで検出された液晶表示素子の温度に従い、階調変換の画像処理を行う画像上での開始位置や画像上での領域幅を可変制御する第2のステップと、階調変換の画像処理が施された少なくとも1フレーム前の入力映像信号を、階調変換の画像処理が施されていない少なくとも1フレーム前の入力映像信号に替えて液晶表示素子へ出力する第3のステップとを含むことを特徴とする。
この発明では、現在のフレームの入力映像信号の画像内の第1の画像と、少なくとも1フレーム前の入力映像信号の画像内の第2の画像との間の移動量と移動方向と、第2の画像の周囲領域との階調差に従い、尾引きを除去又は軽減するための部分的な階調変換の画像処理(すなわち、グラデーション処理)を施された少なくとも1フレーム前の入力映像信号を液晶表示素子により表示することができる。また、液晶表示素子の温度を含めた特徴に応じて、尾引きを除去又は軽減するための部分的な階調変換の画像処理(すなわち、グラデーション処理)を施された入力映像信号を液晶表示素子により表示することができる。
また、上記の目的を達成するため、本発明は、上記の第2のステップが、階調変換の画像処理を行う画像上での開始位置や画像上での領域幅を、移動量及び/又は階調差に応じて可変制御することを特徴とする。この発明では、階調変換の画像処理を行う画像上での開始位置や画像上での領域幅を、移動量及び/又は階調差に応じて可変制御するようにしているため、検出した画像の移動量や周囲領域との階調差に応じて尾引きを除去又は軽減するための最適な階調変換処理ができる。
また、上記の目的を達成するため、本発明は、上記の第2のステップが、第2の画像内の尾引きが発生する境界部分に向かって、第2の画像内の所定の境界領域部分が、その周囲領域との階調差が徐々に小さくなるように、滑らかに階調を変化させる階調変換の画像処理を、少なくとも1フレーム前の入力映像信号の画像における第2の画像に施し、かつ、境界部分では階調変換の画像処理を行わず第2の画像の階調のまま残す画像処理を行うことを特徴とする。この発明では、尾引きを完全に除去するのではなく、上記境界部分では階調変換の画像処理を行わないことで上記境界部分に発生する尾引きの一部を利用した画像を表示できる。
また、上記の目的を達成するため、上記の第2のステップが、外部指示入力に基づいて、階調変換の変換特性を可変制御することを特徴とする。この発明では、ユーザの意図に応じた尾引きの除去又は軽減する画像処理による表示ができる。
本発明によれば、液晶表示素子により表示される画面上において移動する画像内の所定の境界領域部分が、周囲領域との階調差が徐々に小さくなるように、滑らかに階調を変化させる階調変換の画像処理(グラデーション処理)を施すようにしたため、急激な階調の段差を回避することで、強く残像する線状の尾引きを抑制することができる。
また、本発明によれば、階調変換の画像処理を行う画像上での領域幅や階調変換の画像上の開始位置を、画像の移動量及び/又は階調差に応じて可変制御するようにしているため、検出した画像の移動量や周囲領域との階調差に応じて尾引きを除去又は軽減するための最適な階調変換処理ができる。
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は本発明になる液晶表示方法の第1の実施の形態を適用した液晶表示装置のブロック図を示す。同図に示すように、この液晶表示装置は,所定の演算動作を行って入力映像信号に画像処理を施す演算部11と、入力映像信号を少なくとも1フレーム以上蓄積するフレームメモリ12と、演算部11の出力信号が供給される液晶駆動回路13と、液晶駆動回路13からの駆動信号により表示動作を行う液晶表示素子14より構成される。
フレームメモリ12は入力映像信号を毎フレーム蓄え、少なくとも1フレーム以上の複数フレームのデータを保存する。演算部11には、現在の映像信号(F)とフレームメモリ12に蓄えられている映像信号(F)以前のフレームの映像信号(Fn-1、Fn-2、、、)が入力される。演算部11は入力される現在の映像信号(F)とフレームメモリ12から入力される映像信号(Fn-1、Fn-2、、、)を用いて演算を行い、線状の尾引きが抑制されるようにフレームメモリ12の映像信号(Fn-1、Fn-2、、、)に画像処理を施して液晶駆動回路13に出力する。
ここで、図13(B)に示した線状の尾引きLOは、液晶表示素子の配向方向に起因しており、線状の尾引きLOが発生する場所が特定できることが知られている。また、液晶表示素子上で、周囲領域の階調と階調差(輝度差)のある画像2が図12(B)あるいは図13(B)に画像2aで示すように移動する際、線状の尾引きLOは面状の尾引きSOを発生させる画像境界(画像2aの移動方向に対して後ろ側の画像境界線)の両端(両角部)のいずれかのエッジに沿って、画像2aの移動方向と反対方向に発生する。また、線状の尾引きLOは、画像2aの移動速度が速くなるに従って、その尾引きの濃さと長さが増加することが知られている。
次に、図12(B)のような液晶表示素子条件、すなわち線状の尾引きLOが面状の尾引きSOの下端側に沿って、画像2aの移動方向と反対方向に発生する場合を例にとって、本実施の形態の動作について、図2乃至図5を参照して説明する。
図2は本発明方法の第1の実施の形態の動作説明用フローチャート、図4は液晶表示装置に入力される現在フレームの映像信号(Fn)の画像の表示例を示し、図3は現在フレームよりも1フレーム前の映像信号(Fn-1)の画像の表示例を示す。
この第1の実施の形態では、線状の尾引きLOが発生する画像を検出する方法として、従来の画像処理方法を用いる。用いられる画像処理としては、1フレームの映像信号の画像(画面表示エリア)内で周囲領域と階調差(輝度差)が大きい画像を検出する方法と、時間的に前後する複数のフレームの映像信号の画像から液晶表示画面上で移動する画像を検出する方法がある。
まず、演算部11は、現在フレームの入力映像信号の画像内の第1の画像と、フレームメモリ12から入力される現在フレームよりも少なくとも1フレーム前の入力映像信号の画像内の第2の画像とを検出する(図2のステップS1)。
ここで、本明細書における上記の第1の画像と第2の画像とは、画面内において周囲領域の階調と階調差(輝度差)が所定値以上大きい階調を持つ画像のことであり、ここでは、図3に示す1フレーム前の映像信号(Fn-1)に対して、周囲領域の階調と階調差が大きい階調をもつ画像b1n-1、b2n-1を上記第2の画像として検出し、同様に、図4に示す現在フレームの入力映像信号(Fn)に対しても、周囲領域の階調と階調差が大きい階調をもつ画像b1n、b2nを上記第1の画像として検出する。
次に、演算部11は、互いに1フレームの時間差を有する映像信号中から検出した画像b1n-1と画像b1n、及び画像b2n-1と画像b2nのそれぞれを比較して、それらの移動(移動量・移動方向)を検出する(図2のステップS2)。
続いて、演算部11は、検出した移動量が規定量(例えば、10画素)以上かどうか判定し(図2のステップS3)、規定量に満たない場合は処理を終了し、規定量以上の場合は、図3に示すような映像信号Fn-1の画像b1n-1、b2n-1に対して、図5に示すような映像信号Fn-1の画像b1'n-1、b2'n-1のように、線状の尾引きが発生する画像の境界部分(ここでは、画像の周囲領域との境界のうち、液晶表示素子の配向方向などの条件に起因して線状の尾引きが発生させる画像の下側端の境界線[エッジ線]Aや境界点[角部分/頂点]B)に向かって、画像(b1'n-1、b2'n-1)内の所定の境界領域部分がその画像の周囲領域の階調と略同じになるまで、画像本来の階調から滑らかに階調が変化するように(すなわち、周囲領域との階調差が徐々に小さくなるように)、図5の画像表示エリアにおける垂直方向にグラデーションをかける画像処理(階調変換の画像処理)を部分的に施す(図2のステップS4)。
なお、このグラデーションをかける画像処理の手法自体は公知の手法を適用する。ここで、グラデーション処理とは、ある画像に対して、ある階調レベルから別の階調レベルまで滑らかに階調レベルが変化するように画像処理(階調変換の画像処理)を施すものである。例えば、グラデーション処理前に[10,10,5,1,1]の階調レベルを有する画像(線)があるとすると、これをグラデーション処理すると、[10,7,5,3,1]の階調レベルに変換され、滑らかに階調レベルが変化するようになる。
演算部11において、上記のグラデーションをかける画像処理が施された映像信号は、図1の液晶駆動回路13を介して液晶表示素子14に供給されて画像表示される(図2のステップS5)。
従って、この第1の実施の形態では、液晶表示素子14により、図3に示すように、画面表示エリア内に表示される画像b1n-1と画像b2n-1の替わりに、線状の尾引きが発生する画像の境界部分に向かって、画像内の所定の境界領域部分がその画像の周囲領域の階調と略同じになるまで、画像本来の階調から滑らかに階調が変化するように、垂直方向にグラデーションがかけられた図5に示す画像b1'n-1、b2'n-1が画面表示エリア内に表示されるため、その後に画像がb1'n-1から図4に示す画像b1nへと移動し、かつ、b2'n-1から図4に示す画像b2nへと移動するように表示されても、線状の尾引きLOが発生する画像の境界部分である画像b1'n-1の右下端部分(角部分A1)や画像b2'n-1の下端部分(頂点B)では、画像b1'n-1、b2'n-1が周囲領域の階調と殆ど変わらないため、線状の尾引きLOの発生を抑制することができる。
なお、図5に示す表示例では、画像内の境界領域部分に対して一様にグラデーションをかけているが、図6(A)〜(D)のように、グラデーション開始位置(ST1,ST2)やグラデーション幅(W1,W2)を可変制御するようにしてもよい。
ここで、図6(A)〜(D)に示す表示例では、線状の尾引きを発生させる画像の下側端の境界線[エッジ線]のうち、少なくとも画像の移動方向の反対側の境界点[角部分]C1,C2,C3,C4を含む画像下側端の境界線[エッジ線]に向かって画像の周囲領域の階調と略同じになるまでグラデーションをかける画像処理が部分的に施されていれば、線状の尾引きの発生を抑制することができる。
このように、グラデーション開始位置やグラデーション幅を可変制御にすることで、映像信号に施す画像処理を最小限にすることができるので、線状の尾引きを抑制するための画像処理による見た目の不自然さを回避することができる。
また、前述したように、線状の尾引きLOは、画像の移動速度が速くなるにしたがって、その尾引きの濃さと長さが増加するため、画像の検出時に移動量を計算し、その値にしたがって演算部11において適切なグラデーション幅やグラデーション開始位置を決定する。また、画像と周囲領域の階調差もグラデーション幅やグラデーション開始位置を決定する1つの要素となる。
なお、図13の例では画像が水平方向に移動しているが、図14(A)、(B)のように、画像2が垂直方向に移動する場合も、線状の尾引きLOは画像2aの移動方向と反対方向に現れる。そのため、画像2(2a)の移動量だけでなく移動方向もグラデーションの開始位置やグラデーション幅を決定する重要な要素となる。
また、演算部11に、外部制御信号を入力させることによって、ユーザがグラデーション処理特性を指示(調整)することができる。例えば、OSD(オン・スクリーン・ディスプレイ)に線状の尾引きが発生する画像を表示させて、ユーザが尾引きの様子を見ながらインタラクティブにグラデーションの処理特性を設定することも可能である。
図7は、図1における演算部11の内部構成を示すブロック図である。図7において、第1の画像検出部21は、フレームメモリ12から現在フレームよりも少なくとも1フレーム前の入力映像信号Fn-1が入力される。この入力映像信号Fn-1の画像に対して、例えば、周囲領域と128(8ビットデータで、256階調表示の場合:1/255が1単位)以上の階調差を有する画像を検出する。そして、この第1の画像検出部21は、検出された画像の特徴(形や面積等)、検出された画像の周囲領域との階調差、及び入力映像信号Fn-1における検出画像の画像位置を出力する。
第2の画像検出部22は、現在フレームの入力映像信号Fn及び、第1の画像検出部21から出力された画像の特徴(形や面積等)と画像位置が入力される。この現在フレームの入力映像信号Fnの画像に対して、第1の画像検出部21で検出された画像と同じ画像を探して検出する。
ここで、現在フレームの入力映像信号Fの画像内において、第1の画像検出部21で検出された画像と同じ画像が存在する場合は、現在フレームの入力映像信号Fnにおける画像の画像位置を出力し、それが存在しない場合は第1の画像検出部21から入力した画像位置と同じ値を出力する。
移動量計算部23は、第2の画像検出部22及び第1の画像検出部21からそれぞれ出力された現在フレームの入力映像信号Fn及び1フレーム前の入力映像信号Fn-1における画像の画像位置を入力する。移動量計算部23は、これらの両画像位置から画像が、時間的に前後する2フレームの間で移動した移動量(画素数)として求める。具体的には、x方向(水平方向),y方向(垂直方向)の移動画素数から全体の移動量を計算し、求めた移動量を出力する。
グラデーション処理条件設定部24は、例えば、後述するように、ルックアップテーブル(LUT)で構成され、第1の画像検出部21から出力された階調差と、移動量計算部23から出力された移動量とがそれぞれ入力される。そして、グラデーション処理条件設定部24は、これらの入力に基づいて、LUTにより、グラデーション処理条件(グラデーション開始位置やグラデーション幅)を導き出して出力する。
また、このグラデーション処理条件設定部24には、ユーザがグラデーション処理特性を指示するための外部制御信号が入力される。この外部制御信号により、LUT内部のデータを直接変更(調整)することができ、例えば、ユーザが設定できるOSDメニューの調整値を係数として、LUT内部データにその係数を乗算するなどが考えられる。
具体的には、画像の移動量と、周囲領域との階調差が大きい程、グラデーション面積が大きくなるようにする。但し、入力された移動量が10画素未満である場合にはグラデーション面積がゼロ[0](すなわち、グラデーションの画像処理をしない)となるような条件を出力する。
図8は、グラデーション処理条件設定部24を構成するルックアップテーブル(LUT)の一例を示す図である。同図において、階調差Gは、例えば、8ビットデータで、256階調表示の場合に、周囲領域との階調差が128以上の場合に、グラデーション処理を施すようにする。また、移動量Mは、例えば、移動が検出された画像の移動量が10画素以上の場合に、グラデーション処理を施すようにする。そして、階調差Gと移動量Mの組み合わせに応じて、LUTにおけるグラデーション開始位置(pxy)の値(アドレス)やグラデーション幅(hxy)の値(アドレス)に対応するデータがグラデーション処理条件として得られ、出力される。
グラデーション処理部25は、フレームの入力映像信号 n-1 及びグラデーション処理条件設定部24から出力されたグラデーション処理条件(グラデーション開始位置やグラデーション幅)が入力され、1フレーム前の入力映像信号Fn-1の画像において検出された画像に対してグラデーション処理を施す。このグラデーション処理は入力されたグラデーション処理条件に基づいて実施される。
具体的には、グラデーション処理を施す対象となる画像のグラデーション開始位置での階調から画像の周囲領域の階調へと階調が滑らかに変化するように、上記のグラデーション処理条件により設定されたグラデーション幅だけ階調変換処理が加えられ、このグラデーション処理が施された1フレーム前の入力映像信号F'n-1が出力される。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図9は本発明になる液晶表示方法の第2の実施の形態による画像表示例を示す。この第2の実施の形態は、図1のブロック図と同じ構成の液晶表示装置において、演算部11の演算動作を線状の尾引きを有効的に利用するように工夫することで、画像処理による見た目の不自然さを回避できるようにしたものである。
いま、入力される映像信号の画像として、図12(A)、(B)に示したように、画面内において周囲領域の階調と階調差(輝度差)が所定値以上大きい階調を持つ画像2が、画像2aで示すように水平方向に移動する場合について考える。
この第2の実施の形態では、上記の第1の実施の形態と同様のグラデーション処理を施すに際し、図9に示すように、線状の尾引きが発生する画像3の境界線部(画像3の下側端の境界線[エッジ線])に向かって、画像の境界部分付近がその画像の周囲領域の階調と略同じになるように画像本来の階調から滑らかに変化するようにグラデーションをかける画像処理を行うが、画像の一部は画像本来の階調のまま残す画像処理を行う。すなわち、グラデーション処理は画像3の下側の境界部分で、かつ、所定の幅W3の領域でのみ行われ、画像3の下端位置ではグラデーション処理は意図的に行わない。
これにより、例えば、図9に示すように、上記の画像処理が施された画像3が液晶表示素子14により構成された画面表示エリア1内を矢印方向に水平移動する場合、画像3中の周囲領域との境界部分においてグラデーション処理が施されている箇所G1では線状の尾引きが発生しないが、グラデーション処理が施されていない画像の周囲領域との境界部分となる画像3の下端位置の箇所G2では線状の尾引きL1が発生することとなる。
しかし、この第2の実施の形態によれば、この線状の尾引きL1が箇所G2から発生していることで、画像3が矩形の輪郭を有し、入力映像信号の本来の画像2(図12(A))に近似した画像に見えるという効果が得られる。
なお、図9の例は、従来の尾引き抑制の手法も併用されているものとし、画像3の移動方向の後方に広がる面状の尾引きが抑制されている。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について図面と共に説明する。図10は本発明になる液晶表示方法の第3の実施の形態を適用した液晶表示装置のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。この第3の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態と比較すると、液晶表示素子14の温度をモニタリングして、その値を演算部11aにフィードバックする温度センサ15が追加されている。
この第3の実施の形態では、線状の尾引きLOは液晶表示素子14の温度に起因して、その様子が異なるため、図10に示す温度センサ15を用いて液晶表示素子14の温度を検出し、検出した液晶素子温度を演算部11aに入力することによって適切なグラデーション開始位置やグラデーション幅を決定する。
更に、この第3の実施の形態も演算部11aに外部制御信号を入力させることによって、ユーザがグラデーション処理特性を指示することができる。例えば、OSDに線状の尾引きが発生する画像を表示させて、ユーザが尾引きの様子を見ながらインタラクティブにグラデーション処理特性を設定することも可能である。
図11は、図10における演算部11aの内部構成を示すブロック図である。同図中、グラデーション処理条件設定部24a以外は、図7における同一構成部分に同一符号を付し、その説明を省略する。温度センサ15で検出した液晶素子温度がグラデーション処理条件設定部24aに入力される。グラデーション処理条件設定部24aは、入力からグラデーション処理条件(グラデーション開始位置やグラデーション幅)を導き出して出力するが、第1、第2の実施の形態に対して、更に、液晶表示素子14の検出温度に基づいて、適切なグラデーション開始位置やグラデーション幅を決定している。
なお、このように、液晶表示素子14の検出温度に基づく温度条件も考慮した際のグラデーション処理条件設定部24aを構成するLUTは、「階調差」、「移動量」、「温度」の3つの条件を入力とする3次元のLUTとして構成することで実現することができる。あるいは、図8に示すLUTのように、「階調差」、「移動量」の2つの条件を入力とする2次元LUTを、温度毎に複数個用意することで実現することもできる。
次に、本発明の第3の実施の形態の動作について説明する。いま、入力される映像信号の画像として、図12(A)、(B)に示したように、画面内において周囲領域の階調と階調差が所定値以上大きい階調を持つ画像2が、画像2aで示すように水平方向に移動する場合について考える。
この第3の実施の形態では、上記の第1、第2の実施の形態と同様のグラデーション処理を施すに際し、図9に示す第2の実施の形態と同様に、線状の尾引きが発生する画像3の境界部分(画像3の下側端の境界線[エッジ線])に向かって、画像の境界部分付近がその画像の周囲領域の階調と略同じになるように画像本来の階調から滑らかに変化するようにグラデーションをかける画像処理を行う。なお、図9と共に説明したような画像の一部は画像本来の階調のまま残すグラデーション処理を行うようにしてもよい。
また、この第3の実施の形態では、温度センサ15を用いて検出した液晶表示素子14の温度を演算部11に入力することによって、演算部11がグラデーション開始位置やグラデーション幅を液晶表示素子14の温度に応じて可変設定する。液晶表示素子14の応答速度は温度が低くなると遅くなるため、尾引きが発生し易くなるためである。
なお、本発明は以上の実施に限定されるものではなく、例えば1フレーム前、及び2フレーム前の入力映像信号と現在のフレームの入力映像信号とに基づいて、尾引きの発生の有無を検出するようにしても良い。
また、本発明は、例えば、演算部11による画像の移動量(動き量)が規定量以上の画像の検出、及びその画像に対するグラデーション処理を、コンピュータを用いたソフトウェア処理にて行わせるコンピュータプログラムも包含するものである。このコンピュータプログラムは、記録媒体から読み出されコンピュータに取り込まれるものでもよいし、ネットワークを介してコンピュータに配信されるものでもよい。
本発明の液晶表示方法の第1の実施の形態を適用した液晶表示装置のブロック図である。 本発明方法の第1の実施の形態の動作説明用フローチャートである。 図1の入力映像信号Fn-1フレームの表示例を示す図である。 図1の入力映像信号Fnフレームの表示例を示す図である。 本発明による画像処理を入力映像信号Fn-1フレームに施した後の液晶表示素子における映像信号Fnフレームの表示例を示す図である。 本発明による画像処理におけるグラデーションの各種のパターン例を示す図である。 図1に示す本発明の第1の実施の形態を適用した液晶表示装置における演算部の内部構成の一例を示すブロック図である。 図7に示す演算部中のグラデーション処理条件設定部を構成するLUTの一例を示す図である。 本発明の第2、第3の実施の形態の画像処理によるグラデーションのパターン例と線状尾引きの関係を示す図である。 本発明の液晶表示方法の第3の実施の形態を適用した液晶表示装置のブロック図である。 図10に示す本発明の第3の実施の形態を適用した液晶表示装置における演算部の内部構成の一例を示すブロック図である。 従来の液晶表示装置における尾引きの一例を示す図である。 従来の液晶表示装置による尾引き改善方法を説明する図である。 従来の液晶表示装置における尾引きの一例を示す図である。
符号の説明
1 画面表示エリア
2、2a、3 画像
11、11a 演算部
12 フレームメモリ
13 液晶駆動回路
14 液晶表示装置
15 温度センサ
21 第1の画像検出部
22 第2の画像検出部
23 移動量計算部
24、24a グラデーション処理条件設定部
25 グラデーション処理部
SO 面状に広がる尾引き例
LO、L1 線状に伸びる尾引き例

Claims (6)

  1. 入力映像信号の画像を液晶表示素子により表示する液晶表示方法において、
    現在フレームの入力映像信号の画像内において周囲領域と所定値以上の階調差を有する第1の画像と、前記現在フレームよりも少なくとも1フレーム前の入力映像信号の画像内において前記第1の画像の移動前の画像である第2の画像との間の移動量及び移動方向と、前記液晶表示素子の温度を検出する第1のステップと、
    前記第1のステップで検出された前記移動量及び移動方向と、前記第2の画像の周囲領域との階調差に従い、前記第2の画像の境界部分のうち、前記第2の画像の移動方向と反対方向に前記液晶表示素子に発生する線状の残像である線状尾引きを発生させる境界部分に向かって、前記第2の画像内の所定の境界領域部分が、その周囲領域との階調差が徐々に小さくなるように、滑らかに階調を変化させる階調変換の画像処理を、前記少なくとも1フレーム前の入力映像信号の画像における前記第2の画像に施すと共に、前記第1のステップで検出された前記液晶表示素子の温度に従い、前記階調変換の画像処理を行う画像上での開始位置や画像上での領域幅を可変制御する第2のステップと、
    前記階調変換の画像処理が施された前記少なくとも1フレーム前の入力映像信号を、前記階調変換の画像処理が施されていない前記少なくとも1フレーム前の入力映像信号に替えて前記液晶表示素子へ出力する第3のステップと
    を含むことを特徴とする液晶表示方法。
  2. 前記第2のステップは、前記階調変換の画像処理を行う画像上での開始位置や画像上での領域幅を、前記移動量及び/又は前記階調差に応じて可変制御することを特徴とする請求項記載の液晶表示方法。
  3. 前記第2のステップは、前記第2の画像内の前記尾引きが発生する境界部分に向かって、前記第2の画像内の所定の境界領域部分が、その周囲領域との階調差が徐々に小さくなるように、滑らかに階調を変化させる階調変換の画像処理を、前記少なくとも1フレーム前の入力映像信号の画像における前記第2の画像に施し、かつ、前記境界部分では前記階調変換の画像処理を行わず前記第2の画像の階調のまま残す画像処理を行うことを特徴とする請求項記載の液晶表示方法。
  4. 前記第2のステップは、外部指示入力に基づいて、前記階調変換の変換特性を可変制御することを特徴とする請求項記載の液晶表示方法。
  5. 前記線状尾引きを発生させる境界部分は、前記液晶表示素子に発生する面状の残像である面状尾引きを発生させる境界線の両端部分のいずれか一方であること特徴とする請求項記載の液晶表示方法。
  6. 前記線状尾引きを発生させる境界部分は、多角形状の前記第2の画像における角部分のうち、少なくとも角部分の移動方向の反対方向に前記線状尾引きを発生させる角部分(頂点)であること特徴とする請求項記載の液晶表示方法。
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