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JP4737655B2 - 金属接着用介在フィルム - Google Patents

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JP4737655B2
JP4737655B2 JP2002150018A JP2002150018A JP4737655B2 JP 4737655 B2 JP4737655 B2 JP 4737655B2 JP 2002150018 A JP2002150018 A JP 2002150018A JP 2002150018 A JP2002150018 A JP 2002150018A JP 4737655 B2 JP4737655 B2 JP 4737655B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属からなる成形体や金属板同士を熱接着するフィルムであって、特に電池の外装体となる金属間を強固に安定して接着できる性能を有するとともに、優れた水蒸気バリアー性を有し、さらには抜き適性や寸法安定性といった加工適性に優れた金属接着用介在フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
前記電池としては、リチウムイオン一次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー電池等が挙げられる。これらの電池の外装体としては、一般的に20〜100μmの銅、アルミニウム、ニッケル、SUS、銅のニッケルメッキ等が用いられる。
例えば、図3(a)に示すように、集電体となる金属からなる下側の外装体10の上に打ち抜きされた金属接着用介在フィルムHFをヒートシールし、打ち抜きされた部分Pに電解液及びセパレーター(以下、電解液等)を収納し、上側の外装体10を蓋体としてヒートシールすることにより図3(c)にその断面が示されるような電池が形成される。金属接着用介在フィルムは、図4(a)に示すように、一般的には、耐熱性を有する樹脂層を芯層1とし、その両面に金属接着樹脂層3を形成した3層の層構成となっている。
また、別の方法は、図4(b)に示すように、2枚の外装体10の一面に打ち抜きした金属接着用介在フィルムHFをヒートシールしておき、空隙部に電解液等を収納してそれぞれの仮着された金属接着用介在フィルムHF同士を対面させて圧締状態として超音波シールすることによっても電池Bを形成することができる。
得られる電池Bの断面は、図4(c)に示すように、金属接着用介在フィルムHFは、片面は外装体10と、他の面は金属接着用介在フィルムHF同士の接着となる。
金属接着用介在フィルムHFの基本性能として、金属接着用介在フィルムHFそのものの水分バリア性、外装体を構成する金属に対する接着性はもちろん、金属接着用介在フィルムHFが積層体の場合には、積層体の各層間の接着強度の耐熱安定性、耐溶剤性などが求められる。
さらに、金属接着用介在フィルムHFは、電解液20、セパレーター30等の収納部の形成と、電池外形を形成するために、ドーナツ形、または四角形などの多角形あるいは変形の枠として打ち抜かれる為、抜き加工性がよく、打抜き後の寸法安定性が良い一定の剛性を有する金属接着用介在フィルムHFが望まれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、金属接着用介在フィルムHFとして、エチレンーメタクリル酸共重合体(以下、EMAA)、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリエチレン(以下、PEa)、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリプロピレン(以下、PPa)などの単体フィルムを用いることがあったが、これらの単体フィルムでは、フィルムとしての剛性が低いために、加工適性、打ち抜き適性や寸法安定性が悪かった。また、EMAA単体では、防湿性もやや劣るという問題もあった。
その剛性を補う対策として、2軸延伸ポリエステルフィルム(以下、PET)の両面にEMAA等からなる層を設けた積層フィルムが用いられる場合がある。
このタイプの積層セパレーターは、加工適性は優れているが、水蒸気バリアー性に劣るという問題があった。
本発明の目的は、金属に対して強固に接着することができ、各層間の接着強度が安定しており、優れた水蒸気バリアー性を有し、さらには加工適性に優れた金属接着用介在フィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の発明により解決することができる。すなわち、請求項1に記載した発明は、金属で構成される外装体同士の間に介在させるフィルムであって、
厚さが10から80μmの範囲のポリプロピレン層を芯層とし、その芯層の両面に厚さが10から80μmの範囲の中間接着樹脂層を介して厚さが10から80μmの範囲の金属接着樹脂層を有する金属接着用介在フィルムであって、前記ポリプロピレン層は両面がコロナ処理され、該コロナ処理面に接着促進剤層が塗布形成されてなるプロピレンとエチレンとの共重合体からなる延伸ポリプロピレン層であることを特徴とする金属接着用介在フィルムからなる。請求項2に記載した発明は、金属で構成される外装体同士の間に介在させるフィルムであって、厚さが10から80μmの範囲のポリプロピレン層を芯層とし、その芯層の両面に厚さが10から80μmの範囲の中間接着樹脂層を介して厚さが10から80μmの範囲の金属接着樹脂層を有する金属接着用介在フィルムであって、前記ポリプロピレン層は両面がコロナ処理され、該コロナ処理面に接着促進剤層が塗布形成されてなる、少なくともエチレンとα−オレフィンとの共重合体またはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を1wt%以上添加した延伸ポリプロピレン層であることを特徴とする金属接着用介在フィルムからなる。請求項3に記載した発明は、金属で構成される外装体同士の間に介在させるフィルムであって、厚さが10から80μmの範囲のポリプロピレン層を芯層とし、その芯層の両面に厚さが10から80μmの範囲の中間接着樹脂層を介して厚さが10から80μmの範囲の金属接着樹脂層を有する金属接着用介在フィルムであって、前記ポリプロピレン層は両面がコロナ処理され、該コロナ処理面に接着促進剤層が塗布形成されてなる、少なくとも片面にエチレンとα−オレフィンとの共重合体またはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を1wt%以上添加した層を有する延伸ポリプロピレン層であることを特徴とする金属接着用介在フィルムからなる。請求項4に記載した発明は、金属で構成される外装体同士の間に介在させるフィルムであって、厚さが10から80μmの範囲のポリプロピレン層を芯層とし、その芯層の両面に厚さが10から80μmの範囲の中間接着樹脂層を介して厚さが10から80μmの範囲の金属接着樹脂層を有する金属接着用介在フィルムであって、前記ポリプロピレン層は両面がコロナ処理され、該コロナ処理面に接着促進剤層が塗布形成されてなる、少なくとも片面にポリエチレンとポリプロピレンのブレンド樹脂層を有する延伸ポリプロピレン層であることを特徴とする金属接着用介在フィルムからなる。請求項5に記載した発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の金属接着樹脂層が、エチレン−メタクリル酸共重合体であることを特徴とするものである。請求項6に記載した発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の金属接着樹脂層が、エチレン−アクリル酸共重合体であることを特徴とするものである。請求項7に記載した発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の中間接着樹脂層が、密度0.87〜0.93、Tm90〜125℃の範囲のエチレン−α・オレフィン共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とするものである。請求項8に記載した発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の中間接着樹脂層が、ポリエチレンとポリプロピレンのブレンド樹脂層であることを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、リチウム電池等の金属で構成される外装体同士の間に介在させる金属接着用介在フィルムを、ポリプロピレン層を芯層として、その芯層の少なくともその片面に金属接着層もしくは中間接着層と金属接着層とを設けるものであって、水蒸気バリア性、耐熱性、加工適性のよいものとしたものである。
【0006】
図1は、本発明の金属用熱接着フィルムの実施例を示す積層体の断面図である。
図2は、芯層が3層構成の場合の実施例を示す断面図である。図3は、電池の構造例を説明する概念図である。図4は、電池の別の構造例を説明する概念図である。図5は、電池の、さらに、別の構造例を説明する概念図である。
【0007】
本発明者らは、本発明の課題について、鋭意研究の結果、金属からなる2枚の外装体の間に介在させる金属接着用介在フィルムとして、厚さが10から80μmの範囲のポリプロピレン層を芯層とし、図1(a)に示すように、ポリプロピレン層を芯層1とし、その両面に金属接着樹脂層3を有する積層フィルム、または、図1(b)に示すように、芯層1と前記金属接着樹脂層3との間に、少なくとも中間接着樹脂層2を、それぞれ後述する樹脂材質およびラミネート方法を用いた積層フィルムとすることによって、課題を解決し得ることを見出し本発明を完成するに到った。
【0008】
本発明の金属接着用介在フィルムHFにおいて芯層1とするポリプロピレン層は単層であってもよいし、多層からなる構成でもよい。また、芯層1としてのポリプロピレン総の厚さは10μmないし80μmの範囲が適当で、その厚さが10μm未満では、製膜性が不安定で、ラミネート加工適性等に問題があり、また、その厚さが80μmを超えても、防湿性は低下し、むしろ、金属接着用介在フィルムHFとしての総厚みが増し電池等の薄型化に不利となる。
【0009】
前記芯層1を単層として形成するポリプロピレン樹脂としては、ホモタイプポリプロピレン、プロピレンとエチレンとの共重合体あるいは少なくともエチレンとα−オレフィンとの共重合体またはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を1wt%以上添加した樹脂等を用いることができる。芯層1として、ホモタイプのポリプロピレンを表面処理して、金属接着樹脂層3、あるいは中間接着樹脂層2押出ラミネートしてもよいが、芯層1と金属接着樹脂層3あるいは中間接着樹脂層2との間におけるラミネート強度がやや劣る傾向が認められた。実験の結果、芯層1をプロピレンとエチレンとの共重合体あるいは少なくともエチレンとα−オレフィンとの共重合体またはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を1wt%以上添加したホモタイプポリプロピレンとすることにより前記ラミネート強度が安定することを確認した。
【0010】
本発明の金属接着用介在フィルムHFにおいては、芯層1と金属接着樹脂層3あるいは中間接着樹脂層2とのラミネート強度を安定化させるために、前記ポリプロピレン層を多層構成の芯層1としてもよい。
前記多層の芯層1としては、図1(b)に示すように、前記の各タイプの樹脂からなるポリプロピレン層(主層C0)の片面または両面にエチレンとα−オレフィンとの共重合体またはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を1wt%以上添加した層、あるいは、ポリエチレンとポリプロピレンのブレンド樹脂層(両面の場合、副層C1,C2)を設けてもよい。多層の芯層1としては、図2に示すように、主層C0の両面に副層C1,C2を形成した3層構成(C1/C0/C2)とすることが望ましい。副層のC1およびC2は、同一の樹脂そして同じ層厚みとすることによりフィルムが反り難く、寸法安定性が良好となるので好ましい。
前記副層としてエチレンとα−オレフィンとの共重合体またはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を1wt%以上添加した層、あるいは、ポリエチレンとポリプロピレンのブレンド樹脂層を設けることによって、芯層1に金属接着樹脂層3または中間接着樹脂層2を押出ラミネートする際のラミネート強度が安定する。
【0011】
芯層1を3層とする場合の層厚比は、
1/C0/C2を、1:2:1から1:8:1の範囲とすることが好ましい。
芯層1の総厚さは、単層、多層いずれの構成であつても10〜80μmの範囲、さらにより好ましくは30〜50μmの範囲である。
【0012】
本発明の金属接着用介在フィルムHFにおける芯層1は、Tダイ法、インフレーション法等の製膜法により得られる未延伸フィルムであってもよいが、前記製膜と同時二軸延伸するか、製膜後に別工程において延伸した延伸フィルムとすることが望ましい。延伸された芯層1を用いた金属接着用介在フィルムHFは、水蒸気バリア性が向上し、中間接着樹脂層2あるいは金属接着樹脂層3をラミネートする工程でのラミネート加工適性、積層された金属接着用介在フィルムHFの抜き加工適性がよく寸法安定性も良好である。
【0013】
本発明の金属接着用介在フィルムHFにおける金属接着樹脂層3としては、金属に対して電池等が必要とする強度での熱接着可能な樹脂であって、また、電池の使用時での条件、例えば、耐薬品性、耐温度性(耐熱、耐寒)等を満たす接着強度を維持するものが要求されるが、種々の条件による実験の結果、金属接着樹脂層3としては、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下、EMAA)樹脂やエチレン−アクリル酸共重合体(以下、EAA)が好適に用いられる。その厚さは、中間接着樹脂層2を導入しない場合は20〜80μm、好ましくは30〜60μm、中間接着樹脂層2を導入する場合は10〜50μm、より好ましくは15〜30μmである。
【0014】
また、本発明の金属接着用介在フィルムHFは、図1(b)に示すように、芯層1とその両面に中間接着層2を設け、それぞれの中間接着樹脂層2の外側に、さらに金属接着樹脂層3を設けた構成であってもよい。中間接着樹脂層2は、芯層1と金属接着樹脂層3との接着強度をさらに安定化させるもので、中間接着樹脂層2として用いる樹脂として具体的には、密度0.87〜0.93、Tm90〜125℃の範囲のエチレン−α・オレフィン共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレン、あるいは、ポリエチレンとポリプロピレンのブレンド樹脂とすることにより安定した接着強度を得ることができる。
前記エチレンーα・オレフィン共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンにおいて、エチレンと共重合されるα・オレフィンとしては、ヘキセン、プロピレン、ブテン、オクテン等があり、また、エチレンとプロピレンとブテンとの3成分共重合体であってもよい。前記のエチレンーα・オレフィン共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンとしては、オクテンをコモノマーとするC2−C8の直鎖状低密度ポリエチレンを用いた場合が、最も良好な接着強度が得られる。
中間接着樹脂層2の厚さは、10〜80μmの範囲、さらに好ましくは15〜30μmである。中間接着樹脂層2の厚さが10μm未満では、芯層とのラミネート強度が不安定となり、また、その厚さが80μmを超えると電池としての水蒸気バリア性は低下し、薄型化にも反する。
【0015】
また、本発明の金属接着用介在フィルムHFにおける中間接着樹脂層2は、ポリエチレンとポリプロピレンのブレンド樹脂層であってもよい。このブレンド樹脂におけるブレンド比(重量部)は、
ポリエチレン:ポリプロピレン=1:9〜9:1
好ましくは
ポリエチレン:ポリプロピレン=3:7〜7:3
の範囲とすることが望ましい。
【0016】
本発明の金属接着用介在フィルムHFを製造する際の、芯層1と金属接着樹脂層3、あるいは芯層1と中間接着樹脂層2、中間接着樹脂層2と金属接着樹脂層3とのラミネート方法としては、ドライラミネート、押出ラミネート、サンドイッチラミネート等方法を用いることができる。
特に芯層1に接着促進剤4をコーティングして金属接着樹脂3あるいは中間接着樹脂2等を溶融押出ラミネートすることによって、安定したラミネート強度を得ることができる。
本発明者らは、より安定した接着強度を得るために、ポリエチレンイミン系、イソシアネート系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の接着促進剤を使用して実験の結果、中でもポリエチレンイミン系の接着促進剤を用いた場合が最も強い接着強度が得らた。
また、ヒートシール工程にて加熱・加圧されることにより、前記ラミネート強度は大幅に向上されることが確認され、なかでもポリエチレンイミン系の接着促進剤を用いた場合に最も大きな向上が確認された。
【0017】
本発明の金属接着用介在フィルムとなる積層体のラミネート方法は、芯層1の片面にポリエチレンイミン系の接着促進剤4をコートして中間接着樹脂層2となる接着樹脂と金属接着樹脂層3となる樹脂とを共押出ラミネートにより積層し、次に芯層1の他の面にも同様に、接着促進剤4をコートをして、接着樹脂と金属接着樹脂とを共押出ラミネートすることによって金属接着用介在フィルムHFとすることができる。
また、中間接着樹脂層2となる接着樹脂と金属接着樹脂層3となる樹脂とをインラインでそれぞれの押出機から押出ラミネートするタンデム方式を用いてもよい。
また、別の方法として、金属接着樹脂層となる樹脂を予め製膜しておき、芯層1の片面に接着促進剤4をコートをして中間接着樹脂層2となる接着樹脂を溶融押出して、前記製膜した金属接着樹脂層3をサンドイッチラミネートし、次に芯層1の他の面にも同様に接着促進剤4をコートをして、接着樹脂を溶融押出して、製膜された金属接着樹脂層3をサンドイッチラミネートして金属接着用介在フィルムHFとしてもよい。
安定したラミネート強度を得る為に、前記中間接着樹脂層あるいは金属接着層を押出しラミネートする際に、押出し樹脂の表面酸化を促進する処理を行ってもよい。酸化促進処理としては、オゾン処理が最も有効な手段であるが、オゾン吹き付け流量が多すぎると押出樹脂を冷却してしまい、却ってラミネート強度が低下する場合があるので、押出樹脂の種類、押出し温度、ライン速度、被着体等による違いを確認する必要がある。
【0018】
以上説明したようにして構成された金属接着用介在フィルムHFとしての総厚さは、80〜200μmの範囲が望ましい。金属接着用介在フィルムHFの総厚さが80μm未満の場合、必要な接着強度を得られないおそれがあり、また、その総厚さが200μmを超えると、端面からの水蒸気透過が大きくなるとともに、電池としての厚さが増して薄型化に反する。
【0019】
本発明の金属接着用介在フィルムを金属からなる2枚の外装体の間に介在させて、外装体を熱接着する場合、前述のように、ドーナツ形あるいは、四角またはその他の形状の枠抜きをダイセット抜きするが、前述したように、本発明の金属接着用介在フィルムHFの芯層1を延伸することによってフィルムとしての剛性および水蒸気バリア性が改善され、また、芯層1の両面に同一材質で同一厚みの金属接着樹脂層3、または中間接着樹脂層2と金属接着樹脂層3とを設けたことにより、カールの少ない、また、抜きのバリや抜き残り等のない作業が可能となり、生産性が著しく向上した。
【0020】
以上説明した本発明の金属接着用介在フィルムHFを用いて、集電体となる2枚の金属を接着する場合、図3(b)に示すように、下側の外装体10の上に打ち抜きされた金属接着用介在フィルムHFを介在させてヒートシールし、打ち抜きされた部分Pに電解液等を収納し、上側の外装体10を蓋体としてヒートシールすることにより電池Bとすることができる。
あるいは、図4(b)に示すように、上下の外装体にそれぞれ打ち抜きされた金属接着用介在フィルムHFをヒートシールし、打ち抜きされた部分Pに電解液等を収納し、上側の外装体10を蓋体として、金属接着用フィルム同士を対面させてヒートシールすることにより、同様に電池Bとすることができる。
また、金属接着用介在フィルム同士を対面させて超音波シールする場合には、超音波シールする側の金属接着樹脂層は、必ずしも必要ではなく、金属接着用介在フィルムHFを、芯層1と芯層1の片面に金属接着樹脂層3を形成した2層構成とし、超音波シールにおいては、芯層1同士の接着とすることもできる。この方法の場合の電池の構造および金属接着用介在フィルムの構成を、図5(b)および図5(c)に示す。
【0021】
従来技術による金属接着用介在フィルム、例えば、2軸延伸ポリエステルフィルム(PET)を芯層し、その両面に金属接着樹脂層として、エチレンーメタクリル酸共重合体(EMAA)を積層したEMAA/PET/EMAAからなる3層構成の金属接着用介在フィルムで構成された電池においては水分バリア性に問題があったが、本発明の金属接着用介在フィルムHFにおいては、芯層1を前述のように延伸ポリプロピレン層としたために、防湿性が著しく向上して電池の長期性能保持を可能とした。
【0022】
さらに、芯層1を中心としてその両面に金属接着樹脂層3を設けたり、芯層1と金属接着樹脂層3との間に中間接着樹脂層2を設けて、芯層1の両面を略同一の層構成としたことによって、打ち抜き工程等においてバリの発生あるいは抜き不良による繋がり等もなく生産性に優れ打抜き後の寸法安定性も向上した。
【0023】
【実施例】
本発明の金属接着用介在フィルムについて、実施例により説明する。
なお、以下の説明において、接着促進剤層、中間接着樹脂層、金属接着樹脂層を一括してシーラント層と表現することがある。
[実施例1]
基材層を、エチレンコンテンツが3%のランダム重合タイプのポリプロピレンからなり、両面がコロナ処理された2軸延伸フィルムとし、基材層の一方の面に、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し(接着促進剤の分子量7万、塗布量約10mmg/m2、実施例および比較例においてポリエチレンイミン系の接着促進剤を使用する場合、以下同じ)、次いで、中間接着層として、メタロセン系の触媒用いて重合したエチレン−オクテン共重合体からなる線状低密度ポリエチレンを(厚さ25μm)、金属接着層としてエチレンーメタクリル酸共重合体(以下、EMAA)を厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートし、基材層の他の面に、前記同様、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、中間接着層として、メタロセン系の触媒用いて重合したエチレン−オクテン共重合体からなる線状低密度ポリエチレンを(厚さ25μm)、金属接着層として、EMAAを厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートして得られた積層体を金属接着用介在フィルムの実施例1とした。
[実施例2]
基材層をエチレンコンテンツが2%のブロック重合タイプのポリプロピレンからなる2軸延伸フィルムとする以外は、実施例1と同様に、基材層の両面に、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、中間接着層、金属接着層を形成して得られた積層体金属接着用介在フィルムの実施例2とした。
[実施例3]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレンにエチレン−ブテン共重合体樹脂を10重量%添加したブレンド樹脂からなる2軸延伸フィルムとする以外は、基材層の両面に、実施例1と同条件で、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、中間接着層、金属接着層を形成して得られた積層体金属接着用介在フィルムの実施例3とした。
[実施例4]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレンに低密度ポリエチレンを10重量%添加したブレンド樹脂からなる2軸延伸フィルムとする以外は、基材層の両面に、実施例1と同条件で、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、中間接着層、金属接着層を形成して得られた積層体金属接着用介在フィルムの実施例4とした。
[実施例5]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレンに低密度ポリエチレンを5重量%とエチレン−ブテン共重合体樹脂を5重量%添加したブレンド樹脂からなる2軸延伸フィルムとする以外は、基材層の両面に、実施例1と同条件で、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、中間接着層、金属接着層を形成して得られた積層体金属接着用介在フィルムの実施例5とした。
[実施例6]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレン(厚さ34μm)を芯層として、その両面にエチレンコンテンツ3%のランダムタイプのポリプロピレン層(厚さ各3μm)を形成した3層フィルムを2軸延伸したフィルム(厚さ40μm)とする以外は、基材層の両面に、実施例1と同条件で、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、中間接着層、金属接着層を形成して得られた積層体金属接着用介在フィルムの実施例6とした。
[実施例7]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレン(厚さ34μm)を芯層として、その両面にエチレン−ブテン共重合体樹脂層(厚さ各3μm)を形成した3層フィルムを2軸延伸したフィルム(厚さ40μm)とし、中間接着層の厚さを75μmとする以外は、基材層の両面に、実施例1と同条件で、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、中間接着層、金属接着層を形成して得られた積層体金属接着用介在フィルムの実施例7とした。
[実施例8]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレン(厚さ34μm)を芯層として、その両面にランダム重合タイプのポリプロピレンとエチレン−ブテン共重合体樹脂とを等量ブレンドした樹脂層(厚さ各3μm)を形成した3層フィルムを2軸延伸したフィルム(厚さ40μm)とし、中間接着樹脂層の厚さを15μmとし、金属接着層の厚さを75μmとする以外は、基材層の両面に、実施例1と同条件で、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、中間接着層、金属接着層を形成して得られた積層体金属接着用介在フィルムの実施例8とした。
[実施例9]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレン(厚さ34μm)を芯層として、その両面にエチレンコンテンツ3%のランダムタイプのポリプロピレン層(厚さ各3μm)を形成した3層フィルムを両面がコロナ処理された2軸延伸したフィルム(厚さ40μm)とし、基材層の一方の面に、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、次いで、中間接着層として、低密度ポリエチレン(厚さ25μm)、金属接着層として、エチレンーメタクリル酸共重合体(以下、EMAA)を厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートし、基材層の他の面に、前記同様、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、中間接着層として、低密度ポリエチレンを(厚さ25μm)、金属接着層として、EMAAを厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートして得られた積層体を金属接着用介在フィルムの実施例9とした。
[実施例10]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレン(厚さ34μm)を芯層として、その両面にエチレンコンテンツ3%のランダムタイプのポリプロピレン層(厚さ各3μm)を形成した3層フィルムを両面がコロナ処理された2軸延伸したフィルム(厚さ40μm)とし、基材層の一方の面に、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、次いで、中間接着層として、メタロセン系の触媒用いて重合したエチレン−ヘキセン共重合体からなる線状低密度ポリエチレンを(厚さ25μm)、金属接着層として、エチレンーメタクリル酸共重合体(以下、EMAA)を厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートし、基材層の他の面に、前記同様、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、中間接着層として、メタロセン系の触媒用いて重合したエチレン−ヘキセン共重合体からなる線状低密度ポリエチレンを(厚さ25μm)、金属接着層として、EMAAを厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートして得られた積層体を金属接着用介在フィルムの実施例10とした。
[実施例11]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレン(厚さ34μm)を芯層として、その両面にエチレンコンテンツ3%のランダムタイプのポリプロピレン層(厚さ各3μm)を形成した3層フィルムを両面がコロナ処理された2軸延伸したフィルム(厚さ40μm)とし、基材層の一方の面に、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、次いで、金属接着層として、EMAAを厚さ40μmとして押出しラミネートし、基材層の他の面に、前記同様、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、金属接着層として、EMAAを厚さ40μmとして押出しラミネートして得られた積層体を金属接着用介在フィルムの実施例11とした。
[実施例12]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレン(厚さ34μm)を芯層として、その両面にエチレンコンテンツ3%のランダムタイプのポリプロピレン層(厚さ各3μm)を形成した3層フィルムを両面がコロナ処理された2軸延伸したフィルム(厚さ40μm)とし、基材層の一方の面に、イソシアネート系の接着促進剤を塗布し、次いで、中間接着層として、エチレン−ブテン共重合体樹脂層(厚さ25μm)、金属接着層として、EMAAを厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートし、基材層の他の面に、前記同様、イソシアネート系の接着促進剤を塗布し、中間接着層として、エチレン−ブテン共重合体樹脂層(厚さ25μm)を、金属接着層として、EMAAを厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートして得られた積層体を金属接着用介在フィルムの実施例10とした。
【0024】
[比較例1]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレン(厚さ34μm)を芯層として、その両面にエチレンコンテンツ3%のランダムタイプのポリプロピレン層(厚さ各3μm)を形成した3層フィルムを2軸延伸したフィルム(厚さ40μm)とし、基材層の両面にコロナ処理を施さないで、基材層の一方の面に、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、次いで、中間接着層として、メタロセン系の触媒用いて重合したエチレン−オクテン共重合体からなる線状低密度ポリエチレンを(厚さ25μm)、金属接着層として、エチレンーメタクリル酸共重合体(以下、EMAA)を厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートし、基材層の他の面に、前記同様、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、中間接着層として、メタロセン系の触媒用いて重合したエチレン−オクテン共重合体からなる線状低密度ポリエチレンを(厚さ25μm)、金属接着層として、EMAAを厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートして得られた積層体を金属接着用介在フィルムの比較例1とした。
[比較例2]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレン(厚さ34μm)を芯層として、その両面にエチレンコンテンツ3%のランダムタイプのポリプロピレン層(厚さ各3μm)を形成した3層フィルムを2軸延伸したフィルム(厚さ40μm)とし、基材層の両面にコロナ処理を施さないで、基材層の一方の面に、中間接着層として、メタロセン系の触媒用いて重合したエチレン−オクテン共重合体からなる線状低密度ポリエチレンを(厚さ25μm)、金属接着層として、エチレンーメタクリル酸共重合体(以下、EMAA)を厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートし、基材層の他の面に、前記同様、中間接着層として、メタロセン系の触媒用いて重合したエチレン−オクテン共重合体からなる線状低密度ポリエチレンを(厚さ25μm)、金属接着層として、EMAAを厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートして得られた積層体を金属接着用介在フィルムの比較例2とした。
[比較例3]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレン(厚さ34μm)を芯層として、その両面にエチレンコンテンツ3%のランダムタイプのポリプロピレン層(厚さ各3μm)を形成した3層フィルムを2軸延伸したフィルム(厚さ40μm)とし、基材層の両面にコロナ処理を施し、基材層の一方の面に、中間接着層として、メタロセン系の触媒用いて重合したエチレン−オクテン共重合体からなる線状低密度ポリエチレンを(厚さ25μm)、金属接着層として、エチレンーメタクリル酸共重合体(以下、EMAA)を厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートし、基材層の他の面に、前記同様、中間接着層として、メタロセン系の触媒用いて重合したエチレン−オクテン共重合体からなる線状低密度ポリエチレンを(厚さ25μm)、金属接着層として、EMAAを厚さ15μmとしてタンデム方式でラミネートして得られた積層体を金属接着用介在フィルムの比較例3とした。
[比較例4]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレン(厚さ40μm)とし、基材層の両面にコロナ処理を施し、基材層の一方の面に、基材層の一方の面に、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、次いで、金属接着層として、EMAAを厚さ40μmとして押出しラミネートし、基材層の他の面に、前記同様ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、次いで、金属接着層として、EMAAを厚さ40μmとして押出しラミネートして得られた積層体を金属接着用介在フィルムの比較例4とした。
[比較例5]
基材層を、ホモタイプのポリプロピレン(厚さ34μm)を芯層として、その両面にエチレンコンテンツ3%のランダムタイプのポリプロピレン層(厚さ各3μm)を形成した3層フィルムを2軸延伸したフィルム(厚さ40μm)とし、基材層の両面にコロナ処理を施し、基材層の一方の面に、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、次いで、金属接着層として、マレイン酸変性された一般の線状低密度ポリエチレンを40μmの厚さに押出しラミネートし、基材層の他の面に、前記同様、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、次いで、金属接着層として、マレイン酸変性された一般の線状低密度ポリエチレンを40μmの厚さに押出しラミネートして得られた積層体を金属接着用介在フィルムの比較例5とした。
[比較例6]
基材層を、2軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ40μm)とし、基材層の両面にコロナ処理を施し、基材層の一方の面に、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、次いで、金属接着層として、EMAAを厚さ40μmとして押出しラミネートし、基材層の他の面に、前記同様ポリエチレンイミン系の接着促進剤を塗布し、次いで、金属接着層として、EMAAを厚さ40μmとして押出しラミネートして得られた積層体を金属接着用介在フィルムの比較例6とした。
[比較例7]
厚さ120μmのEMAAフィルムを金属接着用介在フィルムの比較例7とした。
[比較例8]
厚さ120μmのマレイン酸変性されたランダムタイプのポリプロピレンを金属接着用介在フィルムの比較例8とした。
<評価方法>
【0025】
(1)ラミネート強度(N/15mm)
中間接着層がある場合は、芯層と中間接着層との間のラミネート強度、中間接着層がない場合は、芯層と金属接着層との間のラミネート強度を速度50mm/分にて測定した。
(2)ラミ強度経時(N/15mm)
60℃で7日間保存後に、ラミネート強度を測定した。
(3)金属(Cu)シール強度
金属接着用介在フィルムを、IPAにて脱脂した2枚のCu箔(厚さ50μm)に挟み、温度140℃、面圧0.3MPa、3秒のヒートシール条件で熱接着した後のシール強度を測定した。
(4)耐電解液性
φ50mm厚さ50mmのCu円板に、外径50mm内径φ38mmのドーナツ状に打ち抜きした金属接着用介在フィルムをヒートシールし、下記の電解液0.13gを入れて同寸法のCu円板をヒートシールして封入後、40℃90%RHの環境で7日間保存した。電解液の漏れの有無を目視にて確認した。
電解液:1M LiPF6となるようにしたエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート(1:1:1)の混合液。
(5)水分バリア性
上記保存後の電解液の水分増加量をカールフィッシャー法にて測定した。
(6)抜き加工適性
上記ドーナツ形状の打ち抜き用ダイセット(雌型は0.03mmのクリアランス)にて、バリの発生しなくなる雄型押し込み量を確認した。
(7)寸法安定性
上記打ち抜きサンプルを各20枚作成し、それぞれ直交する2方向(流れ方向とこれに直交する方向)の外径を測定し、φ50mmからの最大誤差量を測定した。
<結果>
【0026】
評価の結果は表1に示す通りであった。
【表1】
Figure 0004737655
実施例1ないし実施例12においては、ラミネート強度は総じて良好であった。これにより、芯層としての構成は、実施例1ないし実施例12いずれの構成でも十分なラミネート強度を得る事ができることが確認できた。ただし、実施例8、実施例11においてはやや低いラミネート強度であり、実施例8は、中間接着層を薄くしたことによる押出しラミネート時の熱量不足、実施例11は中間接着層を導入しなかった事がそれぞれ原因と推測できる。比較例1ないし比較例6においては顕著に差が見られ、特に比較例1および比較例4では、不十分な強度であった。比較例1は基材にコロナ処理を施さなかったこと、比較例4は基材が比較的融点の高いホモタイプのポリプロピレンのみから構成されることが原因と推察される。また、基材に接着促進剤を塗布しなかった比較例2及び比較例3においては、加熱保存によりラミ強度の大きな低下が確認され、接着促進剤の耐熱性に対する有効性が確認された。金属シール強度は、ラミネート強度に問題のあった比較例1ないし比較例4を除いて評価を実施し、比較例5を除く全てにおいて、十分なシール強度が得られた。比較例5が比較的低い値となったのは、金属接着層に、他の実施例、比較例と比べて融点の低いマレイン酸変性されたポリエチレンを使用した為と推察される。耐電解液性は、ラミネート強度に問題のあった比較例1ないし比較例4においてのみ漏れの発生が確認された。また、比較的金属シール強度の低かった比較例5においても、洩れは確認されなかった。水分バリア性は、実施例においては、実施例7および実施例8を除いて十分なバリア性を示している。実施例7および実施例8がやや水分透過量が大きいのは、それぞれ中間樹脂層、金属接着樹脂層を他の実施例と比較してその厚みを増したことにより断面からの水分侵入量が大きくなっためと推定される。また、比較例において、比較例6のみが特に水分透過が大きかった。これは、基材層に水分バリアー性の劣る2軸延伸ポリエステルフィルム(PET)を使用した為と推察される。機械適性は、実施例においてはすべて安定した結果を示した。比較例においては、EMAA、PEaの単体フィルムを使用した比較例および比較例においては、バリの発生、抜き寸法の誤差いずれの機械適性も悪く、生産効率、品質の両面において好ましくない結果であった。
【0027】
【発明の効果】
本発明の金属接着用介在フィルムは、芯層を延伸ポリプロピレン層とすることにより、水分バリア性に優れると共に、抜き工程等における加工適性が向上した。また、ポリエチレンイミン系の接着促進剤を使用し、さらには中間接着層を設けることで、電解液封入や加熱経時保存において安定した密封性を維持する積層体とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属用熱接着フィルムの実施例を示す積層体の断面図である。
【図2】芯層が3層構成の場合の実施例を示す断面図である
【図3】電池の構造例を説明する概念図である。
【図4】電池の別の構造例を説明する概念図である。
【図5】電池の、さらに、別の構造例を説明する概念図である。
【符号の説明】
B 電池
HF 金属接着用介在フィルム
P 充填部
1 芯層
0:主層
1, 2 :副層
2 中間接着樹脂層
3 金属接着樹脂層
4 アンカーコート層
10 外装体
20 電解液
30 セパレーター

Claims (8)

  1. 金属で構成される外装体同士の間に介在させるフィルムであって、厚さが10から80μmの範囲のポリプロピレン層を芯層とし、その芯層の両面に厚さが10から80μmの範囲の中間接着樹脂層を介して厚さが10から80μmの範囲の金属接着樹脂層を有する金属接着用介在フィルムであって、前記ポリプロピレン層は両面がコロナ処理され、該コロナ処理面に接着促進剤層が塗布形成されてなる、プロピレンとエチレンとの共重合体からなる延伸ポリプロピレン層であることを特徴とする金属接着用介在フィルム。
  2. 金属で構成される外装体同士の間に介在させるフィルムであって、厚さが10から80μmの範囲のポリプロピレン層を芯層とし、その芯層の両面に厚さが10から80μmの範囲の中間接着樹脂層を介して厚さが10から80μmの範囲の金属接着樹脂層を有する金属接着用介在フィルムであって、前記ポリプロピレン層は両面がコロナ処理され、該コロナ処理面に接着促進剤層が塗布形成されてなる、少なくともエチレンとα−オレフィンとの共重合体またはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を1wt%以上添加した延伸ポリプロピレン層であることを特徴とする金属接着用介在フィルム。
  3. 金属で構成される外装体同士の間に介在させるフィルムであって、厚さが10から80μmの範囲のポリプロピレン層を芯層とし、その芯層の両面に厚さが10から80μmの範囲の中間接着樹脂層を介して厚さが10から80μmの範囲の金属接着樹脂層を有する金属接着用介在フィルムであって、前記ポリプロピレン層は両面がコロナ処理され、該コロナ処理面に接着促進剤層が塗布形成されてなる、少なくとも片面にエチレンとα−オレフィンとの共重合体またはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を1wt%以上添加した層を有する延伸ポリプロピレン層であることを特徴とする金属接着用介在フィルム。
  4. 金属で構成される外装体同士の間に介在させるフィルムであって、厚さが10から80μmの範囲のポリプロピレン層を芯層とし、その芯層の両面に厚さが10から80μmの範囲の中間接着樹脂層を介して厚さが10から80μmの範囲の金属接着樹脂層を有する金属接着用介在フィルムであって、前記ポリプロピレン層は両面がコロナ処理され、該コロナ処理面に接着促進剤層が塗布形成されてなる、少なくとも片面にポリエチレンとポリプロピレンのブレンド樹脂層を有する延伸ポリプロピレン層であることを特徴とする金属接着用介在フィルム。
  5. 前記金属接着樹脂層が、エチレン−メタクリル酸共重合体であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載した金属接着用介在フィルム。
  6. 前記金属接着樹脂層が、エチレン−アクリル酸共重合体であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載した金属接着用介在フィルム。
  7. 前記中間接着樹脂層が、密度0.87〜0.93、Tm90〜125℃の範囲のエチレン−α・オレフィン共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載した金属接着用介在フィルム。
  8. 前記中間接着樹脂層が、ポリエチレンとポリプロピレンのブレンド樹脂層であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載した金属接着用介在フィルム。
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