JP4737535B2 - コンデンサマイクロホン - Google Patents
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Description
このコンデンサマイクロホンによると、バックプレートのダイヤフラムに向かう合う面がダイヤフラムの中央部に向かい合う部分に向かって凹んでいるため、ダイヤフラムとバックプレートの間の空間は中央部が広く端部近傍が狭くなっている。したがってこのコンデンサマイクロホンによると、ダイヤフラムの端部近傍においてダイヤフラムとバックプレートの距離が短くなっている。バックプレートとダイヤフラムによって構成されるコンデンサの容量はバックプレートとダイヤフラムの距離の二乗に反比例する。このため、ダイヤフラムがバックプレートに近いほどコンデンサの容量変化が増大する。したがって、このコンデンサマイクロホンによると、ダイヤフラムの端部近傍の変位がコンデンサの容量変化に与える影響が大きい。すなわち、このコンデンサマイクロホンは従来に比べて感度が高い。
また、上記目的を達成するためのコンデンサマイクロホンにおいて、前記バックプレートは、外周が前記保持部に結合している絶縁膜と、前記絶縁膜より表面積が小さくダイヤフラムの外周より内側の部分に向かい合っている導電膜とを有している。
このコンデンサマイクロホンによると、バックプレートの導電膜は絶縁膜より表面積が小さくダイヤフラムの外周より内側の部分と向かい合っている。すなわち、このコンデンサマイクロホンによると、バックプレートの導電膜がダイヤフラムの音波によって振動しない部分と向かい合っていないため、バックプレートとダイヤフラムによって構成されるコンデンサの寄生容量は低い。したがって、このコンデンサマイクロホンは従来に比べてさらに感度を高くすることができる。
このコンデンサマイクロホンは、半導体製造プロセスによって製造できるため小型化することができる。
この製造方法によると、ダイヤフラムの中央部において広くダイヤフラムの端部近傍において狭い空間をダイヤフラムとバックプレートの間に形成することができる。したがってこの製造方法によると感度の高いコンデンサマイクロホンを製造することができる。
この製造方法によると、湾曲した凹面をバックプレートに形成することができる。
この製造方法によると、犠牲膜の一部を残存させて保持部を形成するため、犠牲膜とは別の工程で保持部を構成する膜を形成する必要がない。したがって、この製造法によるとコンデンサマイクロホンの製造工程が簡素化される。
(参考例)
[構成]
図1(A)は、本発明の参考例としてのコンデンサマイクロホン1の構成を示す模式図である。コンデンサマイクロホン1は、図1(A)に破線で囲った本体と本体から音響信号を取り出すための検出回路とを備えている。
ダイヤフラム24は不純物がドープされた多結晶シリコン、チタンなどの導体の薄膜で構成され、コンデンサの電極を構成している。ダイヤフラム24は、単層の導体薄膜で構成されていてもよいし、少なくとも一層の導体の薄膜を含む複層で構成されていてもよい。ダイヤフラム24の外周は円形であり、保持部28に固定されている。このため、ダイヤフラム24はその中央部18の1点において振幅が最大になる。
バックプレート16と同じ導電膜30で構成されているパッド部12は、コンデンサマイクロホンが実装されている基板のグランドにリード線106を介して接続されている。ダイヤフラム24と同じ導電膜34で構成されているパッド部10は、リード線104を介して抵抗器100とコンデンサ112とに接続されている。コンデンサ112はリード線114を介してプリアンプ110の入力端に接続されている。抵抗器100は、リード線108を介してバイアス電源回路102の出力端に接続されている。抵抗器100としては抵抗値が大きなものを使用する。具体的には、抵抗器100はGΩオーダーの電気抵抗を有するものが望ましい。
音波がバックプレート16の貫通孔14を通過してダイヤフラム24に伝搬すると、ダイヤフラム24は音波によって振動する。ダイヤフラム24が振動すると、バックプレート16からダイヤフラム24までの距離が変化するため、ダイヤフラム24とバックプレート16とにより構成されているコンデンサの静電容量が変化する。
コンデンサマイクロホン1は、バックプレート16が中央部に向かって凹んでいるため、平坦なバックプレートを備える従来のコンデンサマイクロホンと比べて感度が向上している。以下、図2及び図3に基づいて詳細に説明する。
図4及び図5はコンデンサマイクロホン1の製造方法を示す断面図である。
はじめに図4(A)に示すように、基板38の上にエッチストッパ膜36、導電膜34及び絶縁膜32を順に堆積させる。具体的には例えば単結晶シリコンからなる基板38の上に、CVD法により二酸化シリコンを堆積させてエッチストッパ膜36を形成する。さらに、LPCVD法によってシリコンを堆積させ、不純物を高濃度のイオン注入によりシリコンにドープし、シリコンを活性化させることにより、多結晶シリコンからなる導電膜34を形成する。さらにCVD法により二酸化シリコンを堆積させて絶縁膜32を形成する。
次に図4(C)に示すように、レジストを再融解した後に再硬化させることによって絶縁膜32の部分領域上にマスク57を形成する。再融解前の円柱形のレジスト56の底面の半径は、レジスト56を再溶融し再硬化させた後に形成されるマスク57の底面の半径とほぼ一致する。マスク57の表面の曲率半径は、レジスト56の高さ(厚さ)でほぼ決まる。したがって、バックプレート16のダイヤフラム24に向かい合う面の球面状の凹部の形状は、再融解前のレジスト56の底面の半径及び高さによって制御できる。
次に図5(B)に示すように、導電膜30及び絶縁膜32をエッチングして導電膜30及び絶縁膜32の外形を完成させる。
次に図5(C)に示すように、基板38の一部をDeepRIE法によって除去し、バックキャビティ25の一部を形成する。
[構成]
図6(A)は、本発明の実施例としてのコンデンサマイクロホン2の構成を示す模式図である。コンデンサマイクロホン2は、図1(A)に示す本体と、参考例としてのコンデンサマイクロホン1と実質的に同一の検出回路とを備えている。
コンデンサマイクロホン2の本体は、バックプレートがコンデンサマイクロホン1と異なる。コンデンサマイクロホン2の本体の各構成要素は、バックプレート216を除きコンデンサマイクロホン1の対応する構成要素と実質的に同一である。
コンデンサマイクロホン2では、バックプレート216の導電膜216bがダイヤフラム24の保持部28に保持されている外周と向かい合っていないため、ダイヤフラム24とバックプレート216とによって構成されるコンデンサの音波によって変化しない実質的な寄生容量は小さい。またコンデンサマイクロホン2では、導電膜230及び導電膜34の保持部28を構成している部分が絶縁膜32を介して向かい合っていないため、保持部28における寄生容量は小さい。このようにコンデンサマイクロホン2の寄生容量を低減することにより、コンデンサマイクロホン2の感度を高めることができる。
図7はコンデンサマイクロホン2の製造方法を示す断面図である。
はじめに図7(A)に示すように、参考例としてのコンデンサマイクロホン1の製造方法と同様にして、基板38上にエッチストッパ膜36、導電膜34、絶縁膜32及び導電膜230を順に形成する。
導電膜230の一部を除去する。具体的には例えば、上述のように導電膜230をパターニングする。
次に図7(C)に示すように、絶縁膜32及び導電膜230の表面上に絶縁膜231を堆積させる。
次に図7(E)に示すように、参考例としてのコンデンサマイクロホン1の製造方法と同様にして、基板38の一部を除去することによりバックキャビティ25の一部を形成する。そして、絶縁膜32の導電膜230が堆積している部分よりも外側の部分が残存するように、エッチストッパ膜36及び絶縁膜32の一部を除去することにより、保持部28とバックプレート216とダイヤフラム24との間の空間26とバックキャビティ25の残部とを形成する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。例えば、バックプレート16は、ダイヤフラム24に向かい合う面22が、図8(A)に示すように全体として球面状に凹んでいてもよい。
Claims (6)
- 音波によって振動するダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムに向かい合う面が前記ダイヤフラムの中央部に向かい合う部分に向かって凹んでいるバックプレートと、
前記バックプレートから離間させた状態で前記ダイヤフラムを保持している保持部と、
を備え、
前記バックプレートは、外周が前記保持部に結合している絶縁膜と、前記絶縁膜より表面積が小さく前記ダイヤフラムの外周より内側の部分に向かい合っている導電膜とを有する、
ことを特徴とするコンデンサマイクロホン。 - 前記保持部は、前記ダイヤフラムの振幅が前記中央部に対応する点に向かって増大するように前記ダイヤフラムを保持し、
前記バックプレートは、前記ダイヤフラムに向かい合う面が前記ダイヤフラムの前記中央部に向かい合う部分に向かって球面状に凹んでいる、
請求項1に記載のコンデンサマイクロホン。 - 前記保持部は、前記ダイヤフラムの振幅が前記中央部に対応する線に向かって増大するように前記ダイヤフラムを保持し、
前記バックプレートは、前記ダイヤフラムに向かい合う面が前記ダイヤフラムの中央部に向かい合う部分に向かって円筒面状に凹んでいる、
請求項1に記載のコンデンサマイクロホン。 - 前記バックプレートは、前記ダイヤフラムに向かい合う面が前記ダイヤフラムの中央部に向かい合う部分に向かって階段状に凹んでいる、
請求項1に記載のコンデンサマイクロホン。 - 前記バックプレートは、前記ダイヤフラムに向かい合う面の近端部が平坦である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンデンサマイクロホン。 - 前記ダイヤフラム、前記バックプレート及び前記保持部は堆積膜からなる、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンデンサマイクロホン。
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