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JP4737384B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、飛び性能に優れたゴルフボールに関するものである。
ゴルフボールにおいて、打ち出されたボールが大きな飛距離を得るためには、ボール自体に備わる高反発性と、ボール表面に配置されたディンプルによる飛行時の空気抵抗の低減が重要であることはよく知られており、空気抵抗低減を目的として、ディンプルを可及的に高密度に且つ均等にボール表面に配列する方法が種々提案されている。
ここで、図11に示すように、通常、ゴルフボールGに用いられるディンプルsの形状は、平面視円形の窪みである。このような円形ディンプルsを高密度に配置しようとするため、例えば隣り合った2つのディンプルを区画する陸部tの幅を零近くまで小さくしたとしても、配置されたディンプルの3個又は4個に囲まれた部分には、一定の広さを有する三角形又は四角形状の一定の大きさを有する陸部が形成されたことになる。一方、ボール球面上には、ディンプルをできるだけ均等に配置することが不可欠であるため、円形ディンプルsの配置密度はある程度妥協する必要があった。
この様な背景のもとで、ディンプルを密度高く、均等に配置することを目的とし、直径が異なる2〜5種類のディンプルを、ボール球面を正8面体或いは正20面体に見立てて配置することが行われている。
しかしながら、円形ディンプルを用いる限り、球面の面積全体に対する総ディンプル面積の占有率は75%前後(又は陸部面積の占有率は25%前後)が実用上限度である。
一方、上記ディンプルとは異なり、滑らかな球面上に格子上に延びる突起(lattice members)を突設して六角形小区域に区分することにより陸部面を囲ったゴルフボールが米国特許第6,290,615号明細書によって提案されている。
しかし、格子状突起で区分された六角形小区域はボール中心と一致する中心を持った球面であり、ディンプルではないため空気抵抗低減の効果において不利である。
米国特許第6,290,615号明細書
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ディンプル効果による空気力学的性能を向上させて、ボールの飛距離増大を図ることができるゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、縁部によって区画されたディンプルであって、上記縁部が複数の縁部要素からなると共に、これら縁部要素を結合して形成した平面視非円形ディンプルをボール表面に設けられたディンプル中に具備することにより、空気力学的性能を向上させ、飛距離増大を実現したものである。
即ち、ゴルフボールの飛び特性には、ディンプルの表面占有率が大きく寄与し、その表面占有率が大きい程、空力性能が良い。本発明においては、ディンプルの縁部の形状に着目し、この縁部によって囲まれたディンプルをユニークな形状にしてボール表面に配置することにより、ディンプルの表面積占有率を増加させることができ、その結果、ボールの飛距離増大を実現したものである。
従って、本発明は、下記のゴルフボールを提供する。
〔1〕ボール表面に、多数のディンプル及び該ディンプルを区画する多数の縁部が形成されたゴルフボールにおいて、ボール表面全体に形成されるディンプルとして円形ディンプルと非円形ディンプルとを採用し、上記円形ディンプルの縁部が、複数の円弧状縁部要素を繋げることにより形成されると共に、上記非円形ディンプルの縁部が、曲線状縁部要素又は円弧状縁部要素と直線状縁部要素とを繋げることにより形成され、且つ各ディンプルの縁部は、その頂点がボールの最外周面と一致するように配置されることを特徴とするゴルフボール。
〔2〕上記非円形ディンプルの縁部の一部を構成する円弧状縁部要素と、上記円形ディンプルの縁部の一部を構成する円弧状縁部要素とが共有されてなる請求項1記載のゴルフボール。
〔3〕上記縁部の横断面形状が円弧状である請求項1又は2記載のゴルフボール。
本発明のゴルフボールによれば、ディンプル効果による空気力学的性能を向上させて、ボールの飛距離増大を図ることができる。
以下、本発明のゴルフボールについて、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明における第1実施例を示したゴルフボールの平面図であり、図2は図1の中央部分拡大図、図3は図2のA−A断面図、図4は本実施例のゴルフボールの写真である。
本発明においては、図1に示されるように、ボール表面に多数のディンプルDが設けられており、縁部pは複数の縁部要素,具体的には、曲線状縁部要素q1及び直線状縁部要素q2からなると共に、これら縁部要素を結合して形成した平面視の形状で非円形であるディンプルD2が上記ディンプルDの中に含まれることを特徴とする。
この実施例において、ディンプルDは、平面視の形状で円形である円形ディンプルD1(以下、単に「円形ディンプル」という。)と、平面視の形状で非円形である非円形ディンプルD2(以下、単に「非円形ディンプル」という。)からなり、縁部を構成する縁部要素qに関しては、具体的には、図3に示した横断面図を参照することができる。即ち、ディンプルの縁部pの頂点を結んでなるボールGの最外周面Y(一点鎖線)からボール中心方向に向かって距離hの地点に上記外周面の延長線と同心に描いた基準線X(二点鎖線)の範囲内に上記縁部pは形成される。上記距離hは、0.01〜0.20mmの範囲内である。また、縁部pの横断面形状ついては、特に制限はないが、ボールGの内側に中心をもつ半径rの円弧、例えば、半径rが1mmである縁部pを形成し、左右両縁部からディンプルDの最深部へと連なる部分を、ボールの外側に中心を持った大きな円弧によってディンプルを形成した場合、上記縁部pの下端部、即ち基準線X(二点鎖線)の位置が変曲点となる。図1及び図2において、上記縁部pとして描かれている曲線状縁部要素q1及び直線状縁部要素q2は、図3に示した基準線Xの位置における縁部pの平面視上の輪郭を表わしたものである。上記縁部pの断面形状が円弧状の場合には、半径rは0.2〜2.0mmとすることが好ましく、特に0.5〜1.5mmであることが好ましい。
本発明において、ディンプルDを区画する縁部pにおいては、縁部全体の80%以上が実質上、同一の横断面形状の縁部からなることが好適である。
図3に示した例では、ディンプルDの部分は、最外周面Yとして示した一点鎖線上の縁部の頂点に始まり、ほぼ中央最深部に至るまでの凹部であり、該ディンプルの底部は凹形状か又は平坦な底形状である。ディンプルの縁部pから最深部までの深さdは、通常0.1mm以上、好ましくは0.15mm以上、上限としては、0.5mm以下、好ましくは0.35mm以下である。ディンプル深さdが0.1mm未満であると、ディンプルとしての効果が得られない場合があり、一方、0.5mmを超えると空気抵抗が生じてしまい飛距離に不利となる場合がある。
図1及び図2に示された三角形は、ボールを球面20面体とみなした時の1個のユニット三角形Tを示したものであり、ディンプルDの配置は、便宜上、このユニット三角形T及びその周辺部分についてのみ示されている。本発明においては、縁部pについては、本実施例のように、複数の縁部要素qからなり、かつ曲線状に延びる縁部要素q1を含むことが好ましい。本実施例においては、曲線状の縁部要素q1として円弧状の縁部要素を6個繋げて1の円形ディンプルD1を形成すると共に、3個の円形ディンプルD1に囲まれたスペースに、3個の曲線状又は円弧状の縁部要素q1と3個の直線状の縁部要素q2との組み合わせによって非円形ディンプルD2が形成されている。なお、これらのディンプルD1,D2の最深部の位置は、各ディンプルの中央部である。
円形ディンプルD1の配置について説明すると、ユニット三角形Tの中央部に1個の円形ディンプルD1が配置されると共に、同ユニット三角形の各頂点位置に、各々円形ディンプルD1,D1,D1が、該頂点の中心とディンプルの中心と一致するように配置されている。また、上記ユニット三角形Tの中央に位置する円形ディンプルと三角形の各頂点に中心を置く円形ディンプルとの間には、各々円形ディンプルD1,D1,D1が配置される。更には、ユニット三角形Tの各辺の中央位置に、ディンプルの中心を辺上に置くように円形ディンプルD1,D1,D1が夫々配置されている。そして、これら円形ディンプルD1相互間については直線状の縁部要素q2で繋ぐことによって3個の円形ディンプルD1によって囲まれたスペースに非円形ディンプルD2を形成している。
ディンプルの配置について、球面20面体に準拠して述べたが、これ以外にも、球面12面体、球面8面体などの配置も好適に採用することができる。
ボール表面に形成されたディンプルの総数は100個以上、好ましくは250個以上、上限値としては500個以下、好ましくは450個以下である。
また、ボールの全体積に占めるディンプル空間の占有率に関し、図3を参照して説明すると、ボール表面にディンプルがないと仮定した仮想球の体積に対し、ボール外周面とディンプルの凹部によって囲まれたディンプルの空間の総和が占める比率(ディンプル空間占有率)は、通常1.1%以上、好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.25%以上、上限値としては1.6%以下、好ましくは1.55%以下、より好ましくは1.5%以下の範囲内に設定する。このディンプル空間占有率の上記範囲内での設定により、ドライバーなど飛距離を稼ぐクラブによりボールを打撃した際の打球の吹き上げ過ぎ、または打球が上がらずドロップすることを防ぐことができる。
図5は、参考例のゴルフボールを示す概略平面図であり、図6は、図5の一部拡大図、図7は本実施例のゴルフボールの写真である。
参考例のゴルフボールは、ディンプルを区画する縁部pとして、曲線状縁部要素q1と直線状縁部要素q2を含み、これら縁部要素によって各種の非円形多角形状のディンプルD3,D4,D5,D6等が多数個形成されたものである。
参考例におけるディンプルの配置については、第1実施例と同様、球面20面体に準拠して配置されている。図5中では、一点鎖線で示すようにユニット三角形T内に配置されたディンプルを中心にして示しただけであり、その他のディンプル態様は省略した。しかし、図7に示すゴルフボールの写真によってディンプルの全体的な配置態様を把握することができる。
ディンプルの配置をより詳細に述べると、ユニット三角形Tの各頂点の位置には、10個の曲線状の縁部要素q1及び5個の直線状の縁部要素q2によって略花びら状の非円形のディンプル群D6が形成されており、そのうち1/5の部分が1個のユニット三角形T内に含まれている。そして、ユニット三角形Tの各辺の中央部には、それぞれ4個の曲線状縁部要素q1により花びら状とは異なる形状の非円形ディンプルD4が形成されており、そのうち1/2の部分が1個のユニット三角形T内に含まれている。また、ユニット三角形Tの中心部には、3個の直線状縁部要素q2と6個の曲線状縁部要素p1により3個の非円形ディンプルD5が形成されている。更には、1個の三角形ユニットTの領域において、上述したディンプル群の領域以外には、3個の曲線状縁部要素q1,q1,q1によって囲まれた非円形ディンプルと、2個の曲線状縁部要素q1,q1と1個の直線状縁部要素q2によって囲まれた非円形ディンプルよりなるディンプル群が計12個形成されている。なお、上記曲線状縁部要素q1とは、平面視上の形状がやや湾曲した縁部要素のことである。
図8は、本発明の第2実施例を示すゴルフボールの写真図である。この実施例は、第1実施例と同様、円形ディンプルと非円形ディンプルとの組み合わせに基づいたものであり、比較的小さい直径からなる円形ディンプルを使用しており、非円形ディンプルが占める領域が第1実施例よりも広いものである。
また、図9は、本発明の第3実施例のゴルフボールの写真図である。この実施例のゴルフボールは、第2実施例と同様、円形ディンプルと非円形ディンプルとの組み合わせに基づいたものであり、円形ディンプル及び非円形ディンプルの大きさは、第1実施例と第2実施例のディンプルの大きさのほぼ中間に位置し、非円形ディンプルが占める領域については、第1実施例よりも広いが、第2実施例よりも狭い配置領域を示している。
本発明のゴルフボールは、ボール構造に関しては、特に制限されるものではないが、ワンピースゴルフボール、ツーピースゴルフボール、3層構造以上のマルチピースゴルフボール等のソリッドゴルフボールとしても、糸巻きゴルフボールとしてもよく、あらゆる種類のゴルフボールに適用可能である。特には、図10に示したように、弾性ソリッドコアとカバーとを具備し、それらの間に1層又は複数層の中間層を配置した多層構造を好適に採用することができる。なお、図10中、符号1が弾性コア、符号2が中間層、符号3がカバーである。
図10に示したゴルフボールGにおいては、弾性コア1はポリブタジエンを主材とし、ソリッドコアに98N(10kgf)の初期荷重を加え、その状態から1274N(130kgf)の荷重まで負荷したときの圧縮たわみ量は、特に制限されるものではないが、2.0mm以上、好ましくは2.5mm以上、上限値として4.5mm以下、好ましくは4.0mm以下の硬度、または硬さを有する。
また、カバー3の材料としては、公知の熱可塑性樹脂又は熱硬化性ポリウレタン樹脂を、中間層2としては、例えば、アイオノマー樹脂を好適に採用することができる。
上記カバーのショアD硬度としては、特に制限されるものではないが、スピン量と反発性の観点から、通常45以上、好ましくは50以上、上限値として75以下、好ましくは63以下である。
また、上記中間層のショアD硬度としては、特に制限されるものではないが、スピン量と反発性の観点から、通常45以上、好ましくは50以上、上限値として通常70以下、好ましくは60以下である。
上記カバーの厚さ及び中間層の厚さは、特に制限されるものではないが、それぞれ、1.0〜1.5mm、1.0〜2.0mmとすることが好ましい。
なお、ボール重量、直径等のボール規格はゴルフ規則に従って適宜設定することができる。
以下、実施例と比較例とを示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例、比較例]
第1実施例(図1)、参考例I(図5)及び比較例1(図11)に示したディンプル配置を有するゴルフボールを用い、これらのゴルフボールの飛び特性に関する比較テストを行った。なお、第1実施例(図1)、参考例I(図5)及び比較例1(図11)のディンプルの配列方法は、いずれも球面20面体配列に基づくものである。
これら各例のゴルフボールの内部構造は、図10に示すように、コア1、カバー3及び1層の中間層2からなるスリーピース構造のボールGである。その詳細の下記のとおりである。
コア
ポリブタジエン(製品名BR01、JSR社製)を100重量部、アクリル酸亜鉛を25重量部、ジクミルパーオキサイド(製品名パークミルD、日本油脂社製)を0.8重量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(製品名パーヘキサ3M−40、日本油脂社製)を0.8重量部、老化防止剤(製品名ノクラックNS−6、大内新興化学工業社製)を0.2重量部、酸化亜鉛を25重量部、ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩を0.5重量部、ステアリン酸亜鉛を5重量部用いた。そして、これら成分からなるコア材料をコア用金型により加硫温度160℃、加硫時間20分の条件で加硫し、各例のソリッドコアを作成した。コアの硬度については、初期荷重10kgfから終荷重130kgfまで負荷したときの圧縮たわみ量(硬度10−130kgf)を測定したところ、3.5mmの測定値を得た。
中間層及びカバー
次いで、上記ソリッドコアをセットした金型内で中間層を射出成形し、次にコアを中間層で被覆した被覆体を同様にセットした金型内でカバーを射出成形した。中間層の材料は、ハイミラン1605(三井・デュポンポリケミカル社製のアイオノマー樹脂)、ダイナロンE6100P(日本合成ゴム社製のブロックコポリマーポリブタジエンの水素添加物)、ベヘニン酸(日本油脂社製)のブレンド物。また、カバーの材料は、パンデックスT8295(ディーアイシーバイエルポリマー社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー)、クロスネートEM−30(大日精化工業社製、イソシアネートマスターバッチ)のブレンド物である。
また、中間層とカバーのショアD硬度は、それぞれ56及び50であった。
ボール試験
得られたゴルフボールは飛距離の測定を行った。テストにあたっては、打撃マシンにドライバー(W#1)を装着し、打ち出し時において初速45m/s、打ち出し角10°となるように調整した。測定結果を表1に示した。
本発明の第1実施例を説明するゴルフボールの概略平面図である。 図1に示したボール表面の部分拡大図である。 図2のA−A断面である。 上記第1実施例のゴルフボールの写真である。 参考例を説明するゴルフボールの概略平面図である。 図5に示したボール表面の部分拡大図である。 上記参考例のゴルフボールの写真である。 本発明の第2実施例のゴルフボールの写真である。 本発明の第3実施例のゴルフボールの写真である。 ゴルフボールの内部構造を示す断面図である。 従来のゴルフボールの概略平面図である。

Claims (3)

  1. ボール表面に、多数のディンプル及び該ディンプルを区画する多数の縁部が形成されたゴルフボールにおいて、ボール表面全体に形成されるディンプルとして円形ディンプルと非円形ディンプルとを採用し、上記円形ディンプルの縁部が、複数の円弧状縁部要素を繋げることにより形成されると共に、上記非円形ディンプルの縁部が、曲線状縁部要素又は円弧状縁部要素と直線状縁部要素とを繋げることにより形成され、且つ各ディンプルの縁部は、その頂点がボールの最外周面と一致するように配置されることを特徴とするゴルフボール。
  2. 上記非円形ディンプルの縁部の一部を構成する円弧状縁部要素と、上記円形ディンプルの縁部の一部を構成する円弧状縁部要素とが共有されてなる請求項1記載のゴルフボール。
  3. 上記縁部の横断面形状が円弧状である請求項1又は2記載のゴルフボール。
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