JP4716433B2 - 無限軌道帯用履板の計測システムおよび計測方法 - Google Patents
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Description
なお、図10において、履板の溝12は、履帯が湾曲したときに、履板1と履帯の他の構成部品であるリンク(図示省略)が干渉しないようにするための逃げとして形成されている。
図11において、図10で示す面の裏側(図11における右側)には、主ラグと呼ばれる突起(符号13)と、副ラグと呼ばれる突起(符号14)が形成されている。主ラグ13の中央を通る直線C(図11において、2点鎖線で示す直線)が、履板1の設計基準であり、圧延工程における基準となる。
なお、図11において、符号13fは主ラグの先端面を示しており、符号14fは副ラグ14の先端面を示している。
ここで、測長ライン(測長工程)における係る処理は、自動化されている品質管理処理である。
ラインスキャンカメラを用いた計測について、その概要を図12で示す。
図12において、被測定物Mの寸法Wを計測する場合には、CCDイメージセンサ素子2S上に映像されている光の量と位置を求めることにより行う。
図12において、符号Yは被測定物の移動方向を示している。なお、図12中、符号4Sは測長の際に点灯する照明装置を示す。
これに対して、ラインスキャンカメラでは、センサ素子2Sが一列に並んでいるため、外乱光の影響を受け難く、暗室の必要性が低いという利点を有している。
図13は測長ラインを水平方向から見た状態、より詳しくは、図14の左方から右方を見た状態を示している。そして、図14は測長ラインを進行方向に向かって見た状態を示している。
なお、図13において、符号Lpは地面に平行なラインであるパスラインを示し、矢印Xは搬送方向を示している。
工場内は暗いので、写真撮影のためには照明装置9が必要である。また、明暗エッジ差を大きくして計測結果を安定させるために、照明装置9を用いている。
そのため、カメラ7、8を履板1の側方(横)に設け、履板1の反対側に照明装置9をセットして、圧延スケール等が落下しても悪影響が無い状態で、撮影を行っているのである。
カメラ7、8で履板1を撮影するに際しては、カメラ7、8と履板1との間にある程度の距離(2m程度:履板1から離隔した位置から撮影しなければ、履板1全体の写真が撮れない)が必要だからである。
これは、図13、図14で示すような計測システムでは、誤差が非常に大きくなってしまい、誤差の較正のために複雑な処理が必要となるので、演算装置として専用品を用いなければならないからである。そして、専用品の演算装置を用いるため、ラインスキャンカメラを用いて履板の測長を行う計測システムは、システム構築のためのコストが、高騰してしまうという問題を有している。
図15は、図14の一部を拡大して示している。
図15で示すように、図13、図14で示すような計測システムでは、カメラ7、8を履板1の横方向に位置させたため、履板1において全長(図10のL1)および溝位置(図10のL2)が計測される被計測領域11が、履板1の最上部となるように、履板1を立てるようにして、断面円柱状の上方搬送コンベア(第2のコンベア)60と、断面が鼓状の下方搬送コンベア(第1のコンベア)50により、履板1を搬送している。
そのような状態で履板1を搬送する結果、履板1の測長(全長L1および溝位置L2の計測)時における基準(計測の基準)は、履板1が断面鼓状の下方搬送コンベア50と接触する辺(長辺あるいは稜線)16となる。
そして、最も誤差あるいは公差が大きい個所16を計測の基準としているため、図13、図14で示すような計測システムでは、履板1の被計測領域11も設計基準Cに対して非常に大きな誤差(公差)を有した状態で、撮影されることになる。
したがって、そのような大きな誤差を補正するために、大変複雑な処理を行わなければならず、上述したように専用品のシステムを使用しなければならないのである。そのため、コスト高となってしまう。
係るシステムが図17および図18に示されている。
なお、第1のCCDカメラ70は、タイミングセンサを兼ねている。上記以外の構成については、図13、図14で説明したシステムと、ほぼ同様である。
そのため、図18で示すように、カメラ70、78、80および照明装置9を履板1の側方に設けても、さほどスペースを必要とはしない。
しかし、システム全体を暗室Nで覆うためには、大きなスペースが必要となる。
また、CCDカメラと光電センサとを有し、光電センサとCCDカメラの応答速度の違いにかかわらず、搬送材料の長さを高精度に測定する測定技術も提案されている(特許文献2参照)。
しかし、これ等の従来技術は、何れも、履板の全長や溝位置の計測(測長)に特有な上述した各種問題点を解消するものではない。
そのため、本発明によれば、主ラグ(13)の側面(13s)と幅寄せガイド(6)とが接触している面の最下方の辺(稜線17)が計測の基準となる。
設計の基準(C)に対する誤差(公差)が極めて小さい個所(17)が計測の基準となっているので、本発明によれば、履板(1)の被計測領域(11)における計測の誤差も小さく、全長(L1)あるいは溝位置(L2)の寸法計測においても、計測値に包含される誤差が小さく、計測の精度が向上する。
図1は、本発明の実施形態に係る計測システムの全体的な構成を示している。
図1の計測システムでは、搬送コンベア(搬送・幅寄せ斜行用コンベア)5が地面に対して水平に配置されている。被搬送物(被測定物:履板)1の進行方向は、図1において矢印Zで示す方向であるが、搬送コンベア5を構成する各ローラー51は、搬送方向Zと直交する方向(図1の矢印Yと平行な方向)に対してわずかに傾斜するように配置されている。
図2で示すように、図示の実施形態では、履板1が寝た状態、すなわち主ラグ13が搬送コンベア(搬送・幅寄せ用斜行コンベア)5と接触した状態で搬送される。
より詳細に説明すると、搬送コンベア(搬送・幅寄せ用斜行コンベア)5を構成する複数のローラー51・・・は、図1において、履板1の進行方向に対してローラー51左端が前方にせり出すように若干の傾斜をつけて配置されている。そして、搬送コンベア5の図1において右端近傍には、幅寄せガイド6が設けられている。そして、幅寄せガイド6は、履板1の搬送方向Zと平行に延在するように配置されている。
ここで、搬送コンベア5の右端側には幅寄せガイド6が存在するので、詳細が図2で示されているように、履板1の主ラグ13の右測面13sが幅寄せガイド6に当接するので、図1において履板1は幅寄せガイド6よりも右側へは移動しない。
図2を参照して後述するように、図示の実施形態では、投光側21が上方、受光側22が下方に配置されている。
第2のセンサ2Bは、たとえば、履板1の溝位置(溝12の傾斜が開始する点)にレーザー光線の照射幅の中心が位置するように配置されている。
第3のセンサ2Cは、たとえば、履板1の後端位置にレーザー光線の照射幅の中心が位置するように配置されている。
なお、移動装置23B、23C自体は、公知・市販の機器をそのまま適用可能である。
このタイミングセンサ2Tは、レーザー光線をピンポイントで照射するように構成されており、照射されたレーザー光線を履板1が遮ったならば、計測開始を指示する信号(たとえばOFF信号)を発生する。そして、発生した計測開始を指示する信号は、センサ2A、2B、2Cによる計測開始のタイミング信号として用いられる。
図2において、搬送コンベア(搬送・幅寄せ斜行用コンベア)5が地面に対して水平に配置されている。
図2において、符号Lpは「パスライン」を示している。パスラインは搬送コンベア5の搬送経路であって、地表面と平行な面である。
図14、図15、図18で示すように、従来技術では履板1が立った状態で搬送される。特に図14、図15で詳細に示されているように、従来技術においては、主ラグ13が下方の鼓状の搬送ローラー50とは接触しない状態で搬送される。
なお、本明細書において、履板1が「寝た状態」とは、主ラグ13の端面13fが搬送ローラー51と接触する状態を意味している。
上述したように、センサ2において、投光側21が上方に配置され、受光側22が下方に配置されており、投光側21と受光側22とは、搬送される履板1と衝突してしまうことがないように、所定距離だけ離れて配置されている。
センサ投光側21からセンサ受光側22に照射されるレーザー光Rの光軸は、パスラインLpに平行でも垂直でもなく、パスラインLpに対して斜めに傾斜した方向に延びている。別の表現をすれば、センサ受光側22はセンサ投光側21と同一平面上に配置されているわけではなく、センサ受光側22がセンサ投光側21の鉛直方向真下に位置しているわけでもなく、両者は斜め方向に向かい合っている。
履板1が寝た状態で搬送されるため、履板1から剥離したスケールが、履板1下方に設けたセンサ受光側22に落下して、センサ受光側22がセンサ投光側21からのレーザー光を遮って、誤信号を発生させる恐れがある。
そのため、履板1の直下の領域であって、センサ受光側22が位置している領域(図2において、符号「λ」で示す領域)は極めて小さく、履板1から圧延スケール等が剥離してセンサ受光側22に落下することによる弊害は、ほとんど無視することができる。
すなわち、図示しない手段(たとえば、ロボット等)により搬送コンベア5上に載置された履板1は、図2の右方向へ移動して、主ラグ13の右測面13sが幅寄せガイド6に当接する。ここで、履板1は、搬送コンベア5によって右方向に付勢(幅寄せ)されながら搬送されるので、主ラグ13が幅寄せガイド6に当接した以降は、主ラグ13の右測面13sが幅寄せガイド6に当接している状態を維持しつつ、搬送ライン5を搬送される。
図2において、位置17は「点」として示されているが、実際には、位置17は、図2の紙面と垂直な方向へ延在する「辺」となる。
図3において、センサ2の投光側21からレーザー光Rを計測対象である履板1の被計測領域11に照射している。そして、被計測領域11によってレーザー光Rが遮られることにより生じる影の部分と、レーザー光Rが遮られることなく照射される部分とを、センサ受光側22で受光して、好適に処理することにより、被計測領域11の矢印L方向の座標が特定される。
各センサ2A、2B、2Cの位置は予め定められているので、影の部分δの長さ寸法が求まれば、図4を参照して後述するように、その時点における全長寸法と、溝位置寸法を計算することができる。
測定範囲A(センサ投光側21でレーザー光Rを照射した範囲:定数)は一定(たとえば30mm)なので、δ(履板1により、照射された光が遮られた長さ)は、 δ=A−Bとなる。
なお、タイミングセンサ2TがONのタイミングは、履板1の前端(図3における左端)が、測定範囲A内に位置していればよい。
コントロールユニット3は、計測処理部31と演算処理部32と結果表示機33と製品寸法データ記憶部34と移動制御部35とによって構成されている。
製品寸法データ記憶部34には、製品ごとの全長データや溝位置データが記憶されており、必要に応じて移動制御部35にそのデータを送る。
移動制御部35は、測定物が変更される際には、変更される測定物のデータを製品寸法データ記憶部34から入手し、演算処理部32において、センサ2B、2Cの移動量を演算し、その演算した移動量情報によって、前記センサ移動装置23B、23Cを操作してセンサ2B、2Cを適正位置に移動させる。
先端側のセンサ2Aにおける測定範囲A1の先端(図4では右端)から、溝位置のセンサ2Bにおける測定範囲A2の先端(右端)までの長さは、履板1の溝位置の設計値L2に等しくなるように設定されている。
また、先端側のセンサ2Aにおける測定範囲A1の先端(右端)から、後端のセンサ2Cにおける測定範囲A3の先端(右端)までの長さは、履板1の全長の設計値L1に等しくなるように設定されている。
タイミングセンサ2Tが計測開始を指示する信号を発した瞬間に、溝位置センサ2Bの測定範囲A2において、測定物(製品履板)1の溝位置までの距離、あるいは、測定物(製品履板)1がレーザー光を遮っている領域は、受信側において、距離「b2」として認識される。
タイミングセンサ2Tが計測開始を指示する信号を発した瞬間に、後端側センサ2Cの測定範囲A3において、測定物(製品履板)1の後端までの距離、あるいは、測定物(製品履板)1がレーザー光を遮っている領域は、受信側において、距離「b3」として認識される。
製品全長の実寸法L11は
L11=L1−b1+b3
製品溝位置の実寸法L12は
L12=L2−b1+b2
となる。
なお、上述したように、L1は履板1の全長の設計値L1であり、L2は履板1の溝位置の設計値である。
また、レーザー光がセンサ受光側22で受光されたか否かを判定するに際しては、外乱光の影響を受け難いので、暗室を設ける必要もない。
さらに、図示の実施形態によれば、工場内が暗くてもレーザー光の照射および受光には何ら問題はなく、写真撮影を行う場合のように明暗エッジ差を大きくして計測結果を安定させる必要もないので、照明が不要となる。
図5で示すように、図示の実施形態では、搬送・幅寄せ用斜行コンベア5により、履板1は常時矢印Y方向に付勢されており、幅寄せガイド6に突き当てられる(押し付けられる)。その結果、図示の実施形態では、履板1における計測の基準が、主ラグ13の側面13sと幅寄せガイド6とが接触している面の最下方の辺17となる。なお、図5では、辺17は「点」として示される。
さらに、図示の実施形態では、設計基準(圧延の基準)に密接した個所17を計測基準にしており、計測結果に包含される誤差が非常に小さいので、計測結果の補正あるいは較正が容易である。そのため、複雑な専用ソフトによる処理の必要がなくなるのである。
図6で示すように、CCDイメージセンサによる計測では、たとえば、溝位置L2を決定する際に、符号Lrで示す直線上を計測してしまう。そのため、本来の溝位置L2に対して、CCDイメージセンサによる計測では、図6において、符号L2fで示す寸法を溝位置と認識してしまう傾向が存在する。そして、寸法L2fと寸法L2との差ΔAは、計測の誤差となる。
言い換えれば、ノギス等で実測するのは、図6におけるΔA(=L2f−L2)を求め、補正(較正)用の定数とするためである。
ΔA=L2f−L2 となる。
この誤差ΔAは、センサ2の出力から全長、溝位置を算出する際に、較正のために用いられる。
図7において、コントロールユニット3は、タイミングセンサ2Tからの信号によりレーザー光を照射し(ステップS1)、計測開始を指示する信号があったか否かを判断する(ステップS2)。
計測開始を指示する信号があれば(ステップS2がYES)、ステップS3に進み、計測開始を指示する信号が無ければ(ステップS2がNO)、ステップS1に戻り、ステップS2がNOのループを繰り返す。
そして、演算された全長L11および溝位置L12が許容範囲内にあるか否かを判定することにより、コントロールユニット3は履板1が合格品であるか不合格かを判断する(ステップS5)。不合格であれば、履板1を払出して(ステップS7)、制御を終える。
測定の被対象物である履板1が残っており、計測(測長)を続行するならば(ステップS6がNO)、ステップS1まで戻り、ステップS1以降の工程を繰り返す。全ての履板1について計測が終了したなら(ステップS6がYES)、計測を終了する。
図8は、3個のセンサ2A〜2Cと、タイミングセンサ2Tと、制御装置(コントロールユニット)300との関係をブロック図として示しており、図9では、制御装置300の構成を主として示している。
図8において、符号Rはレーザー光照射部21tから照射されたレーザー光を示す。
また、先端側のセンサ2A、溝位置のセンサ2B、後端側のセンサ2Cは、何れもデータラインLoによってコントロールユニット300と接続され、各センサ2A、2B、2からコントロールユニット300に測定物の全長L11および溝位置L12に関するデータが送られる。
タイミングセンサ信号判定回路310は、タイミングセンサ2Tの受光部21tからインターフェースF1を介して計測開始を指示する信号を受信し、計測開始を指示する信号が発信された旨をデータ要求信号発信回路320に発する。
各センサ2A、2B、2Cの受光側(図9では図示せず)は、測定(測長)した結果のデータをインターフェースF4経由で演算回路340に送る。
そのため、実測ブロックDnで、履板1の全長と溝位置とを、たとえばノギスを用いて実測し、実測した結果である実測データを、インターフェースF3経由で補正定数決定回路330に入力しておく。そして、補正定数決定回路330では、図6を用いて前述した誤差(図6における誤差Δ)に相当する補正定数(ΔA)が決定され、補正定数(ΔA)が前記演算回路340に送られる。
なお、メインフレーム380には、製品寸法データや閾値が記憶されている。
以上の制御および作動が自動制御によって行われる。
たとえば、図示の実施形態においては、履板の全長と溝位置とを計測しているが、センサの位置を適宜設定することにより、その他の長さの計測を行うことが可能である。
2・・・センサ
2T・・・タイミングセンサ
3・・・制御手段/コントロールユニット
5・・・搬送コンベア/搬送・幅寄せ用斜行コンベア
6・・・案内部材/幅寄せガイド
11・・・被計測領域
12・・・溝
13・・・主ラグ
13f・・・主ラグの先端面
13s・・・主ラグの側面
14・・・副ラグ
14f・・・副ラグの先端面
17・・・設計の基準
21・・・投光側
22・・・受光側
23B、23C・・・センサ移動装置
Claims (4)
- 無限軌道帯用履板の主ラグの先端面および副ラグの先端面が搬送コンベアに接触して搬送されるように構成されており、収束性の高い光を照射する投光側とその光を受光する受光側とが対となって搬送コンベア上に設けられており、前記履板が通過する際に前記履板の被計測領域により遮られる位置を投光側から照射される光の軸が経由するように設定されており、投光側と受光側とが斜めに向かい合って配置されており、受光側は履板の直下に位置していないことを特徴とする無限軌道帯用履板の計測システム。
- 前記搬送コンベアに沿って案内部材を設け、その搬送コンベアは無限軌道帯用履板を案内部材側へ付勢して、前記履板の主ラグが案内部材へ常に突き当てられるように構成されている請求項1の無限軌道帯用履板の計測システム。
- 請求項1、2の何れかの計測システムを用いた無限軌道帯用履板の計測方法において、搬送コンベアで搬送された前記履板が所定個所に到達した時にセンサの投光側から受光側に収束性の高い光を照射する工程と、収束性の高い光が受光された部分と前記履板の被計測領域により収束性の高い光が遮られた部分とをセンサの受光側で識別して、前記履板の被計測領域を計測し、以って、計測するべき寸法を決定する寸法決定工程とを有し、前記履板を搬送する際に、搬送コンベアに沿って設けられた案内部材側へ前記履板を付勢して、前記履板の主ラグを案内部材へ突き当てることを特徴とする無限軌道帯用履板の計測方法。
- 計測するべき無限軌道帯体用履板を別途計測し、その別途計測した結果と寸法決定工程の結果とから誤差を求め、求められた誤差を寸法決定工程における較正の際に使用する請求項3の無限軌道帯用履板の計測方法。
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