JP4713847B2 - 分散補償方法,光伝送システムおよび光伝送装置 - Google Patents
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Description
図24(a)は光ファイバの分散特性の一例を示す図である。この図24(a)に示す分散量(一次分散量)Z1,Z2は、それぞれ、波長λが大きくなると増加し、また、分散スロープ(二次分散量)Z3は、波長λが大きくなると減少する。ここで、分散スロープDは分散量τの傾き(微分値)dτ/dλであって波長依存性を有する。これらの分散量τ,分散スロープDの各特性を表す曲線の傾きは、光ファイバのメーカ又は伝送路の環境等により異なる。
システムの設計は、「分散がどこでどの程度の大きさになるか」を把握するために、残留分散量(残留分散値)とペナルティとの関係を検討する。これは、発生するペナルティ値が、残留分散量の違いによって異なるからである。ここで、ペナルティとは、ビット誤り率(BER[Bit Error Rate]:ビットエラーレート)を劣化させる要因であり、分散のほかに、非線形光学効果,偏波,クロストーク等が要因である。さらに、ペナルティおよび残留分散は、いずれも、Q値を劣化させる要因である。このQ値の定義例は、信号光の振幅に重畳する振幅ノイズの影響を評価するための指標値であり、ペナルティと同様にBERにより表されることが多い。従って、例えば、いずれかのノードが信号光の受信時に同一SN比が得られた場合においても、ペナルティ値が異なるとBERも異なる。
図26は3R区間を説明するための図である。この図26に示す送信ターミナルノード501(Node 1)から送信されたWDM光は、複数のインライン増幅器(ILA[In Line Amplifier])50aにおいて増幅中継され、また、中継ノード502,OADM(Optical Add and Drop Multiplexer:アドドロップノード)503を介し、信号光再生ノード(REGenerator)504において、一旦OE変換(Optical to Electrical:光電気変換)される。ここで、信号光再生ノード504は、WDM光のタイミング調整,伝送品質を維持するために、WDM光の再生およびWDM光の波形歪みの除去等を行なう。電気信号は、信号光再生ノード504によって、再度、EO変換(Electrical to Optical:電気光変換)され、WDM光は、OADMノード505,中継ノード506,507をそれぞれ介して、受信ターミナルノード508に送信される。また、図26に示すパス#1〜#3は、それぞれ、WDM光の伝送区間(3R区間)を表す。パス#1は送信ターミナルノード501から信号光再生ノード504までの3R区間であり、パス#2は信号光再生ノード504から受信ターミナルノード508までの3R区間であり、そして、パス#3はノード503からOADMノード505までの3R区間である。従って、3種類のパス#1〜#3が、同一のWDM伝送路に重畳されて伝送されている。
図27は残留分散トレランス(残留分散トレランス値)の一例を示す図である。この図27に示す残留分散ターゲット曲線RD1は、残留分散トレランスの上限を表す曲線RD2と残留分散トレランスの下限を表す曲線RD3との範囲内になるように決定される。さらに、残留分散ターゲットは、3R距離(横軸)が大きくなると増大し、いずれの3R距離についても残留分散ターゲットが異なる。従って、パス毎に個別に分散補償設計を行なうパスベース設計においては、パス毎に3R距離が異なるので、パス毎に残留分散ターゲットが異なる。
伝送路としてのファイバの伝送特性は、上記の二次分散量(成分)を有するので、WDM伝送帯域全体の分散量を管理制御するために、二次分散の管理制御も必要である。長距離のWDM伝送は、累積した分散補償量のずれが大きくなるので、二次分散の管理制御は特に重要である。
従来から、この分散補償量の累積したずれの発生を抑制する方法として、高精度で補償可能な分散補償器を利用する方法と、WDM伝送帯域を複数の帯域に分割し各帯域についてそれぞれ異なる補償量を有する分散補償器で補償する方法と、スロープ補償器を利用する方法等の各種の方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献2記載の光分散補償回路は、群速度分散量の傾きである二次分散、またその波長による微分値である三次分散等、高次の分散による光信号の劣化を補償するものである。分波された波長毎に所望の総分散量になるように、波長ごとの分散量を補償して各波長の光信号を合波するものである。これにより、光ファイバの有する群速度の相違による総分散量を補償できるので、高次の分散による信号の劣化を抑止できる。
また、複数のパスが重畳している区間においては、それらの複数のパスが同一の分散補償量を受けるので、全パスについて最適な補償量を設定することができない。この結果、パスベースを用いた設計において分散補償できない場合は、各伝送区間において、全てのパスの補償量は、最も悪い伝送路条件のパスについての補償量を受ける。このため、条件の悪いパスについて信号光を再生する場合、それ以外の他のパスについても信号光が再生され、残留分散トレランス範囲に設定できず、信号光の再生数が多くなる。従って、高精度の分散補償器をネットワークに配置するだけの分散補償方法は、おのずと限界がある。
また、該分散補償ステップは、前記の各起点ノードにおける該波長多重光に多重される前の該単一波長光を該補償量決定ステップにて決定された分散補償量で該単一波長光を分散補償してもよい。
さらに、該分散補償ステップにおいて、前記の各起点ノードにおけるチャーピング量を変更することで設定される前記分散補償量により、該補償量決定ステップにて決定された分散補償量で該単一波長光が分散補償されてもよい。
ここで、該管理制御部は、前記の各起点ノードにおける該波長多重光に多重される前の該単一波長光を該演算部にて決定された分散補償量で該単一波長光を分散補償してもよい。
また、該管理制御部において、前記の各起点ノードにおけるチャーピング量を変更することで設定される前記分散補償量により、該演算部にて決定された分散補償量で該単一波長光が分散補償されてもよい。
また、本発明の光伝送装置は、複数の単一波長光が多重された波長多重光を伝送する光伝送システムに設けられた光伝送装置であって、1又は複数の単一波長光を該波長多重光に多重する多重部と、該多重部にて多重された該単一波長光についての分散量を補償する管理制御部と、をそなえ、該管理制御部が、該単一波長光を該波長多重光にアドする起点ノードと該波長多重光にアドされた該単一波長光をドロップして光電変換する終点ノードとの間に設定される複数の光パスのうち、伝送距離が最も長い1又は複数の光パスを優先区間に決定する一方、前記複数の光パスのうち該優先区間とは異なる1又は複数の光パスを非優先区間に決定する優先区間決定部と、該優先区間決定部にて決定された前記1又は複数の優先区間について当該優先区間に含まれる中継ノードへ入力される入力光の分散量と当該優先区間に含まれる該中継ノードから出力される出力光の分散量との変動特性を表す実分散マップを作成する一方、該優先区間決定部にて決定された前記1又は複数の非優先区間について当該非優先区間に含まれる中継ノードへ入力される入力光の分散量と当該非優先区間に含まれる該中継ノードから出力される出力光の分散量との変動特性を表す仮想分散マップを作成する集計部と、該実分散マップに基づいて該非優先区間のうち該優先区間と重畳する光パスを伝送する該波長多重光に多重されている該単一波長光に設定されるべき分散補償量と、該仮想分散マップに基づいて当該単一波長光に設定されるべき分散補償量とのずれに関する差分情報を算出し、当該差分情報に基づいて前記単一波長光についての残留分散値が所定の残留分散トレランス値の許容範囲内に収まるように、当該単一波長光についての分散補償量を決定する演算部と、をそなえ、該演算部にて決定された分散補償量で該単一波長光を分散補償し、該起点ノード,該終点ノード及び該波長多重光に含まれるチャネルを振り分けるハブノードのうちいずれかを少なくとも3つ有する伝送路において、前記所定の残留分散トレランス値の許容範囲を超えた前記残留分散値が、前記残留分散トレランス値の許容範囲内に収まるように、前記伝送路を伝送する各チャネルに対し個別に分散補償を行なうことを特徴としている。
ここで、該管理制御部は、前記の各起点ノードにおける該波長多重光に多重される前の該単一波長光を該演算部にて決定された分散補償量で該単一波長光を分散補償してもよい。
また、該管理制御部において、前記の各起点ノードにおけるチャーピング量を変更することで設定される前記分散補償量により、該演算部にて決定された分散補償量で該単一波長光が分散補償されてもよい。
また、本発明の分散補償方法によれば、例えばアドドロップノード等の光伝送装置の設置要求に対し、例えばリンクベースおよびパスベースの両方を組み合わせることができ、柔軟な設計が可能になるので、一層、効率的なネットワーク設計が可能となる。
さらに、本発明の光伝送システムによれば、各種類の光ファイバに対して行なう波長分散スロープごとの分散補償機能の設計と、回線距離に応じた分散補償の任意設定を行なうことにより、各回線の光ファイバの種類や回線距離に依存せずに、長距離光通信で利用する全波長帯の正確な波長分散補償を実現できる。
さらに、本発明の分散補償方法によれば、各回線の光ファイバの種類や回線距離に応じて分散補償を行なえ、設計効率が大幅に向上する。また、設計手法の点において、本発明の分散補償方法によれば、各ノード間の接続関係を示すリンクに基づいて分散補償器の位置,補償量等を決定し、これに加えてパスベースの設計手法が加えられるので一層適切な分散補償が可能となる。
(A)本発明の第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態に係るWDM伝送システム(システム)の構成図である。この図1に示すシステム100は、n(nは自然数を表す)波の単一波長光が多重されたWDM光を伝送するものであって、長距離隔てた地域間を接続して設けられている。また、このシステム100に接続されたネットワーク49a〜49dは、それぞれ、例えば大都市,地域に設けられ、例えばパケット等の電気信号を変換した信号光をシステム100に伝送する光アクセスネットワーク,IP(Internet Protocol)ネットワーク又はSONET/SDH(Synchronous Optical NETwork/Synchronous Digital Hierarchy:同期光通信網/同期ディジタルハイアラーキ)ネットワーク等である。
このシステム100は、送信ターミナルノード21と、受信ターミナルノード28と、インライン増幅器(インライン増幅装置)50と、中継ノード(中継装置又は中継増幅装置)22,26,27と、OADM(Optical Add and Drop Multiplexers)ノード(光アドドロップ装置)23,25と、REGノード(レグノード,3Rノード又は信号光再生ノード)24と、伝送路(光ファイバ)90とをそなえて構成されている。また、OADMノード23,25およびREGノード24は、受信したWDM光から1波以上の単一波長光を含む分岐光を出力するとともに1波以上の単一波長光を含む挿入光をWDM光に多重する光伝送装置として機能している。
システム100は、パスベースの分散補償量を計算するものである。このパスベースの分散補償とは、WDM光に含まれるn波の単波長光について波長単位で分散補償量を調整することを意味し、同一の伝送区間について伝送距離が異なる例えば3本のパス毎に分散補償量を調整する。
(1−2)伝送方向とパス
主信号光としてのWDM光の伝送方向は、送信ターミナルノード21から受信ターミナルノード28への方向とする。この逆方向に定義してもよい。さらに、波長多重数はnとし、相互に異なるn波の波長λ1〜λnの信号光(単一光)が波長多重されたWDM光が伝送する。そして、図1に示すm(mは自然数を表す。)本のパス#1〜#mは、それぞれ、情報データを含む単一光をWDM光にアドする起点ノードと、そのアドされたWDM光をドロップしてその単一光をOE変換する終点ノードとの間の経路を表しその詳細については後述する。以下の説明においても同様である。
システム100の入力側インターフェースは光である。ここで、ネットワーク49aは例えばパケット等の電気信号を転送するものとして構成することができ、この場合、光アクセス装置(図示省略)においてEO変換された信号光がシステム100に入力される。また、ネットワーク49aは例えばSONET/SDH等の光ネットワークとして構成することもでき、この場合、信号光の伝送速度を調整する機能を有するトランスポンダ(図示省略)が、システム100の入力側に設けられる。なお、ネットワーク49dも、ネットワーク49aと同様なので重複説明を省略する。
(1−4)伝送路90と伝送区間
伝送路90は、ノード1〜8およびインライン増幅器50等の間を接続する光ファイバであり、WDM光と、伝送制御に必要な情報を含む副信号光としてのOSC(Optical Service Channel)光とを伝送する。また、伝送路90は、各伝送方向について1本以上設けられ、例えば2本の伝送路90のそれぞれに主信号光およびOSC光を伝送する場合と、1本の伝送路90に伝送帯域が別個に割り当てられた主信号光およびOSC光をともに伝送する場合とのいずれかを用いることができる。この伝送路90は、伝送区間の環境,距離,経年変化および補償量等を考慮して適切な分散特性(一次分散特性および二次分散特性)を有するものが選択される。
(1−5)送信ターミナルノード21
図2は本発明の第1実施形態に係る送信ターミナルノード21および受信ターミナルノード28の概略的なブロック図である。この図2に示す送信ターミナルノード21は、ネットワーク49a側からのn波の信号光を波長多重したWDM光を送信するものであって、n個のレーザーダイオード(LD:Laser Diode)101と、n個の分散補償モジュール(DCM[Dispersion Compensating Module],分散補償器又は分散調整器)31と、多重部(MUX)52と、増幅器(AMP)36と、送信用分散補償器(DCT:Dispersion Compensator for Transmitting)40aと、モニタ光出力部59と、OSC光送受信部61と、管理制御部1wとをそなえて構成されている。
えばITU(International Telecommunication Union:国際電気通信連合)−グリッドと呼ばれる仕様に規定された複数の波長のうちのいずれかの波長を有する1波の励起光を出力する。n個のレーザーダイオード101からの励起光は、それぞれ、情報データ等を有する電気信号によって駆動(ドライブ又は変調)され、n波の信号光が出力されるようになっている。ここで、n個のレーザーダイオード101を各々レーザーダイオード#1〜#nと区別して表すと、各レーザーダイオード#1〜#nが出力する励起光波長は、他のレーザーダイオード#1〜#nが出力する励起光波長と相互に異なるように予め割り当てられている。レーザーダイオード#1〜#nは、各々波長の異なる複数の波長の励起光を例えば温度制御等を用いて出力できるチューナブルレーザーダイオードモジュールを用いることもできる。
(iii)そして、レーザーダイオード101と分散補償モジュール31とが協働することにより送信部(31,101)として機能しており、この送信部(31,101)は、ネットワーク49aからの情報データをフォーマット処理等し、フォーマット処理した電気信号を用いて駆動した信号光を分散補償する。
(iv)送信用分散補償器(DCT)40aは、増幅器36にて一括増幅されたWDM光の分散を補償するものである。この補償量は、予め設計時に決定された補償量又は管理制御部1wから出力された補償量情報(補償量データ)に基づいて送信用分散補償器40a自身が設定した補償量である。これにより、システム100は、稼働前および稼働後のいずれにおいても、自動的かつダイナミックな、適切な補償が可能となる。この送信用分散補償器40aの機能は、例えば負の波長分散を有するネガティブDCF等により実現される。なお、送信用分散補償器40aは、上記の分散補償モジュール31のような可変分散補償器を用いることもできる。
(viii)これにより、送信ターミナルノード21において、個のレーザーダイオード#1〜#nは、ネットワーク49aから入力された信号によって駆動され、駆動されたn波の信号光は、多重部52において多重され、多重されたWDM光は増幅器36において増幅される。そして、増幅されたWDM光は、送信用分散補償器40aを通過し、分散量が補償され、補償されたWDM光は増幅器36に戻ってから伝送路90に出力される。
インライン増幅器50は、WDM光の増幅と分散補償とを行なうものであって、インラインアンプ(ILA[In Line Amplifier])40bと、伝送路分散補償器(DCL[Dispersion Compensator for Lines])40cを有する。ここで、インラインアンプ40bは、WDM光を増幅するものである。また、伝送路分散補償器40cは、WDM光の全波長帯域を一括して分散補償するものであり、この機能は、WDM光の分散量を補償するDCF等の固定分散補償器を用いることもできる。
受信ターミナルノード28は、受信したWDM光をn波の信号光に分離し分離したn波の信号光をOE変換し、光アクセス装置等を介して電気信号又は分離した信号光を切り替えし、そして、トランスポンダ(図示省略)を介してネットワーク49d(図1)に転送するものであって、分離部(DEMUX)51と、n個のフォトダイオード111と、累積分散測定部60と、OSC光送受信部61とをそなえて構成されている。
図3は本発明の第1実施形態に係るOADMノード23,25の概略的なブロック図である。この図3に示すOADMノード23,25は、それぞれ、ネットワーク49b,49cからの信号光又はネットワーク49b,49cへの信号光のアドドロップとこのアドドロップにより伝送容量の制御とを行なうものである。
図1に示す中継ノード22,26,27は、それぞれ、受信光の増幅と、受信光について設計上の補償量による分散補償と、受信光の累積分散測定とを行なうものであって、OADMノード23,25と同様に、インライン増幅器50,分離部51,多重部52,累積分散測定部60をそなえて構成されている。
図4は本発明の第1実施形態に係るREGノード24の概略的なブロック図である。この図4に示すREGノード24は、WDM光から分離された単一光のタイミング調整と、WDM光に含まれる単一光のうちの特定波長を有する単一光の再生と、WDM光の波形歪みの除去との3種類の処理機能(以下、3R処理と称する。)を有し、信号光再生ノードとして機能するものである。このREGノード24は、受信光を3R処理することによって、3R区間を終端させるようになっている。
(1−11)3R区間
また、3R区間は、ブロードバンドデータを含むパケットをEO変換してn波(又はn波以下)の信号光を波長多重して出力するノード(ターミナルノード又は中継ノード)と、WDM光を分離し各単一光をOE変換してパケットを生成するノード(ターミナルノード又は中継ノード)との区間である。
累積分散量は、管理制御部1wにおいて実伝送路(実際の伝送路)90の分散マップを作成するために測定されるものである。この累積分散量の測定機能は、モニタ光出力部59と累積分散測定部60とが協働することにより実現される。
図5は本発明の第1実施形態に係る累積分散量の測定方法を説明するための図である。この図5に示すモニタ光出力部59は、n波の波長λ1〜λnのうちの所望の波長λk(kは2以上n以下の自然数を表す。)を有する1波の励起光を出力する波長可変レーザーダイオード59aと、モニタ用の所望の周波数を有する正弦波信号を出力する正弦波変調部59cと、波長λ0の励起光を出力する固定波長出力部59dと、波長可変レーザーダイオード59aから出力された波長λkの励起光を正弦波変調部59cから出力される正弦波信号によって変調した変調光を出力する光強度変調器59bと、固定波長出力部59dから出力された波長λ0の励起光を正弦波変調部59cから出力される正弦波信号によって変調した変調光を出力する光強度変調器59eと、光強度変調器59bから出力される変調光を多重部52の所望のチャネルポートに入力されるように切り替える光スイッチ59fとをそなえて構成されている。
なお、各ノード1〜8は、いずれも、主信号光の伝送方向と逆方向にも光伝送するので、モニタ光出力部59は受信ターミナルノード28に設けてもよい。
(2)本発明のパスベースの分散補償方法
本発明の分散補償方法は、管理制御部1wが、3R区間の伝送後のWDM光の波形を決定する4種類の要素(送信チャープ量,送信側の分散前置補償量,分散マップの特性,残留分散量)を制御することにより、パスベースの分散補償量を計算する。換言すれば、システム100は、WDM光に含まれるn波の単波長光について波長単位で分散補償量を調整するようになっており、3本のパス#1〜#3毎に分散補償量を調整する。そして、この分散補償量の調整のために、管理制御部1wは、各ノード1〜8との間において分散補償に関するデータをOSC光によって送受信することにより、補償量を決定し通知するようになっている。
まず、管理制御部1wは、例えば3本のパスの各伝送距離に基づいて3本のパス#1〜#3のうちの優先パス#1,#2を決定する(ステップS1)。ここで、管理制御部1wは非優先パス#3をも決定する。そして、管理者又は管理制御部1wは、パス#1,#2について一括分散増幅に関する補償量をインストールし(ステップS2)、各ノード1〜8はそれぞれ累積分散量(MD)を測定する(ステップS3)。例えばノード3〜5において測定された累積分散量MD3〜MD5(MDnと表示したもの)、OSC光を介してノード1に対して送信され、管理制御部1wが累積分散量MD3〜MD5を収集する。
なお、以下、REGノード24においてOEO変換されないパス#3もWDM光の伝送区間として説明する。また、パスの数は2本又は4本以上でもよく、1本の場合においても、本発明の分散補償方法を適用できる。さらに、パスのアド側およびパスのドロップ側の各ノード1〜8は、所望のノードを選択することもできる。
(3)WDM光の波形を決定する要素
上記の4種類の要素は、3R区間を伝送したWDM光の波形を決定する条件である。
チャープ(チャーピング)とは、レーザーダイオード101を高速に強度変調したときに光パルスの立ち上がり部分と立ち下がり部分とにおいて発生する光波長のシフト(光波長変動又は光波長変化)であり、チャープ量とは、送信側が付与する光波長の変動量(波長変動量,波長変化量)の値を意味し、具体的には、後述する式(7)によって表される送信チャープが用いられる。
分散前置補償とは、受信ターミナルノード28を除くいずれかのノード1〜7が、波長多重処理する前の単一光を分散補償することである。この分散前置補償によってWDM光の累積分散量の増大が抑制される。
(iii)分散マップ
分散マップは、例えば図24(a)に示すように、各中継ノード22,26,27における入力光の分散量と出力光の分散量との変動を表したものであり、また、伝送路90が複数の場合は、各伝送路90について個別に作成される。そして、各ノード1〜8に設けられた分散補償器(後述する固定分散補償器又は可変分散補償器)が、総補償量のうちの一部を補償してシステム100全体の分散補償が実現される。この分散マップの特性が相違することにより、伝送路90にて発生する分散および非線形光学効果等の発生の仕方が異なる。つまり、分散マップの特性に応じて、残留分散トレランスが変動する。
残留分散量が、上記の各要素で決定された許容残留分散トレランスの許容範囲に入っている場合にWDM光の高品質な伝送が可能となる。
(4)分散マップの特性,残留分散量を用いた分散補償方法
管理制御部1wは、例えば8台のノード1〜8間の伝送区間のうちの伝送距離が異なる複数のパスが重畳する伝送区間の実分散量と、伝送区間における分散管理データとに基づいて各分散補償手段の補償量を設定するものである。この補償量を設定するために、管理制御部1wは、分散マップを作成する。
この管理制御部1wの分散補償方法は、管理制御部1wが送信ターミナルノード21,受信ターミナルノード28,インライン増幅器50,中継ノード22,26,27,OADMノード23,25およびREGノード24のそれぞれに設けられた累積分散測定部60にて測定された各伝送区間の実分散量を集計し(集計ステップ)、システム100の設計時に用いた各伝送区間の分散量等を保持したデータベース1cに保持された分散量,伝送距離,補償量等の分散管理データを読み込み(読み込みステップ)、読み込みした分散管理データに基づいて各ノード1〜8が補償する補償量を計算し(計算ステップ)、計算して得た補償量を各ノード1〜8に通知し(補償量通知ステップ)、そして、各ノード1〜8がその通知された補償量でノード1〜8自身の補償量を設定するようになっている(補償量設定ステップ)。これにより、自動的かつダイナミックにシステム100の適切な分散補償が行なわれる。
図7は本発明の第1実施形態に係る管理制御部1wのブロック図である。この図7に示す管理制御部1wは、優先区間決定部1aと、ノード間分散量集計部1bと、データベース1cと、演算部1fと、可変DCM制御部1gとをそなえて構成されている。
(4−3)優先区間決定部1a
優先区間決定部1aは、例えば3本のパス#1〜#3が重畳している伝送区間について、パス#1〜#3の優先度を決定するものである。
また、ノード1〜8間の距離は、例えばデータベース1cに保持されており、優先区間決定部1aは、パス#1〜#3のうちの伝送距離が最も長いパス(例えばパス#1,#2)を、データベース1cに保持された伝送区間に関するデータに基づいて決定する。なお、管理者が手動入力するようにもできる。
(4−4)ノード間分散量集計部(集計部)1b
図9は本発明の第1実施形態に係る集計部の集計方法を説明するための図である。この図9に示すノード間分散量集計部1bは、1個以上の実分散量を集計するものであって、ノード8およびノード3〜5に設けられた累積分散測定部60にて測定された累積分散量(累積残留分散量)MD3〜MD5を、例えばOSC光を介して収集するものである。ノード間分散量集計部1bは、集計した各累積分散量をメモリ(図示省略)に保持する。保持された各累積分散量は、実分散マップの作成に用いられる。
(4−5)分散情報
この累積分散量MD3〜MD5について更に詳述する。
各ノード1〜8等が測定した実分散量に関する分散情報(分散情報データ)は、波長−分散特性を近似する例えばセルマイヤ多項式の5種類の係数であり、図10および図11(a)を参照して説明する。
(4−6)データベース1c
データベース1cは、分散管理データとして伝送区間における分散量と伝送区間における分散補償量とを保持するものであり、伝送路分散データ(伝送路分散量データ)を保持する伝送路分散データベース1dと、残留分散トレランスを保持する残留分散トレランスデータを保持する残留分散トレランスデータベース1eとをそなえて構成されている。これらの伝送路分散量および残留分散トレランスは、いずれも、シミュレーション等にて取得された伝送距離毎に発生するものが使用される。
を示す図であり、この図11(a)に示す係数A〜Eは、次の式(1)により表されるセルマイヤ多項式の係数A〜Eを表す。ここで、λ,*,eはそれぞれ波長,乗算,自然対数の底を表す。
また、分散量は、式(1)をλにより微分して得た式(2)で表される。
分散量=4*A*λ3+2*B*λ−2*D*λ-3−4*E*λ-5 …(2)
(ii)図11(b)は本発明の第1実施形態に係る残留分散トレランスデータベース1eの一例を示す図である。この図11(b)に示す残留分散トレランスデータベース1eは、区間数と、残留分散トレランスの上限値(RD tol max)と、下限値(RD tol min)とをそれぞれ対応付けて保持している。例えば、パス#3について1区間通過後の信号光の残留分散トレランスの上限,下限は、それぞれ、−779,77である。また、10区間通過後の場合の上限,下限は、それぞれ、−890,169であることが得られる。これらの残留分散トレランスを用いた演算は、後述する前置分散量等を計算するために用いられる。
演算部1fは、データベース1cに基づいてパス#3の仮想分散マップを作成し、また、各累積分散測定部60から収集された累積分散量MD3,MD5に基づいてパス#3の実分散マップを作成する。演算部1fは、伝送路分散データベース1dに基づいて、パス#3の仮想分散マップを作成する。演算部1fは、作成されたパス#3の仮想分散マップにおけるノード4の累積分散量をRD4v(RD4virtual)とし、また、ノード5の累積分散量をRD5vとする。次に、演算部1fは、ノード間分散量集計部1bにて集計されたノード3,5の累積分散量MD3,MD5に基づいて、パス#3におけるノード4の累積分散量RD4r(RD4real)を、式(3)により計算する。
演算部1fは、ノード4の分散補償モジュール31に設定する補償量DCM1を、式(4)により決定する。
DCM1=RD4v−RD4r …(4)
例えば、RD4v,RD4rをそれぞれ、−222,−122とすると、DCM1は−100となる。
なお、この演算は、インライン増幅器50における補償量が、パスにかかわらず、一定としている。例えば、インライン増幅器50が、伝送路90を100%補償することを前提としている。
RD5r=MD5−MD3+DCM1 …(5)
管理制御部1wは、式(1)により表される波長−分散特性曲線の逆特性曲線(横軸について反転した曲線)の係数を計算し、計算結果を各ノード1〜8に通知し、各ノード1〜8が逆特性曲線により表される量の補償量を分散補償器に設定することにより、自動的かつダイナミックに適切な分散補償が可能となる。
DCM2=RD5v−RD5r …(6)
このノード5の補償量DCM2は、可変DCM制御部1gによって、ノード5に対して通知され、ノード5は、ドロップしたパス#3に、分散を補償量DCM2で補償する。
このように、収集した累積分散量MD4から累積分散量MD3を減算してノード3,4間の分散量が取得され、また、ノード4,5間の分散量についても同様に取得される。これにより、パス#3の前半部分と後半部分とについての分散量が取得される。
図12は本発明の第1実施形態に係る可変DCM制御部1gの補償量の設定方法を説明するための図である。この図12に示す可変DCM制御部1gは、ノード間分散量集計部1bにて集計された実分散量とデータベース1cに保持された分散管理データとに基づいて、ノード4,5等を含むシステム100に設けられた各ノード1〜8又はインライン増幅器50等に対して分散補償モジュール31等の可変分散補償器の補償量を設定する設定部として機能している。演算部1fにて取得された分散量データをOSC光に出力し、これにより、各ノード1〜8は、適切な補償量が設定される。
(5)管理制御部1wにおける各要素についての制御例
次に、管理制御部1wが、送信チャープ量と、送信側の分散前置補償量とを用いて補償量を設定する方法について詳述する。
光波長は、立ち上がりおよび立ち下がりの各部分において長波長側および短波長側にそれぞれシフト(波長ずれ)し、波長がシフトした光パルスは光ファイバにおいて波形歪みを生じる。長距離伝送された信号光の最終的な波形は、チャープ量の相違に応じて大きく変化する。このため、システム100は、シフト方向とシフト量とを評価するために、屈折率と光の吸収量との各変化量の比を表すチャープパラメータ(チャープに関する値)αを用いてチャープ量を調整するようになっている。このチャープパラメータαは、光の位相φ,時間t,光の振幅sを用いて式(7)により表される。
ここで、Q=(1/2)*(1/s)*(ds/dt)である(*は乗算を表す)。屈折率が変化しない場合(α=0の場合)、チャープは生じないが、屈折率が変化する場合は、光の位相変化により波長が変化したようになりチャープが生じる。なお、チャープに関する値は、式(7)に表すチャープパラメータαそのものに限定されず、例えば式(7)に含まれる係数を変更したものや、式(7)を近似した式等を用いることができる。
このように、伝送路90の条件に合わせてチャープパラメータαの値を調整することによって、システム100全体の伝送条件を最適化することができる。
(5−2)送信側の分散前置補償量
分散前置補償とは、いずれかのノード1〜7が、波長多重処理する前に、単一光を分散補償することである。この分散前置補償が用いられる理由は、WDM光の累積分散量が増大し、受信ターミナルノード28よりも前段において、累積分散量が補償可能量を超えることを防止するためである。
図14(a)は本発明の第1実施形態に係る分散前置補償方法を説明するための図であり、この図14(a)に示すノード3の送信側に分散前置補償器として機能する分散補償モジュール(DCT:Dispersion Compensator for Transmitting)31が設けられている。この分散補償モジュールがパス#3について、分散マップを用いて決定された補償量で補償するのである。
図14(b)は本発明の第1実施形態に係る伝送距離と分散前置補償量との関係の一例を示す図であり、縦軸の残留分散トレランスが、横軸の伝送距離(例えば3R距離)が増大するにしたがって上昇する。曲線C1は残留分散トレランスの幅(範囲)の上端の変動特性を表すものである一方、曲線C3は残留分散トレランスの幅の下端の変動特性を表すものである。また、曲線C2は最適な分散量(RD opt)を実現するためのターゲット分散量(RD target)の変動特性を表すものである。曲線C1〜C3はそれぞれ各種の劣化要因およびチャネル間の影響等を受ける。伝送距離の各点において、いずれも、分散前置補償量が小さいとき(例えばDCT=−300:黒丸で表示されたもの)よりも、大きいとき(例えばDCT=−200:三角形で表示されたもの)のほうが、残留分散トレランス値〔残留分散トレランスの幅(範囲)〕が小さいことがわかる。
また、このため、送信側が予め分散前置補償を行なうことにより、残留分散トレランスの最適値(RD opt)の近傍の残留分散トレランスの目標値(RD target)の範囲にすることができる。これにより、分散調整されたパス#3は、ノード3において、WDM光にアドされ、WDM光が伝送路90から伝送される。また、アドされた後、光ファイバにおける分散および非線形光学効果等の発生の仕方は異なる。つまり、分散前置補償量の大きさに応じて、残留分散トレランスが変動する。そして、分散前置補償量は、信号光波形を決定するので、パス#3についての良好な伝送が可能になる。
このように、本発明の分散補償方法は、各要素を管理制御することにより、各要素を管理制御し、また、補償量設定ステップが、次の(i)〜(iii)に示すように処理する。
また、管理制御部1wは、上記の(i)〜(iii)に対応する機能を有する。
(i)各3本のパスのうちのターゲット分散量の範囲外の分散量を有するパスについて、各ノード1〜8に設けられた分散補償モジュール31等が分散を補償することにより、分岐光又は挿入光の分散量を補償する機能。
(iii)3本のパスのうちのターゲット分散量の範囲外の分散量を有するパスについて、パスの起点側のノードがチャーピング量を変更することにより、分岐光又は挿入光の分散量を補償する機能。
また、本発明の分散補償方法によれば、光伝送装置(例えばアドドロップノード)の設置要求に対し、例えばリンクベースおよびパスベースの両方を組み合わせることができ、柔軟な設計が可能になるので、一層、効率的なネットワーク設計が可能となる。
このように、本システム100は、1以上の分散補償器が、個別チャンネルDCM,帯域DCM又は可変DCMを用いてパス毎の分散量を制御し、ダイナミックに補償量を変更できる。
以下、本発明のパスベースを用いた分散補償方法が有効な例について説明する。具体的には、図6を参照して説明したステップS1〜S8のそれぞれについて詳述する。また、各図面において上述したものと同一符号を有するものはそれらと同一のものを表す。
(S1)優先区間の決定
図15(a)は本発明の第1実施形態に係る優先区間を説明するための図であり、この図15(a)に示すシステム100のパス#1は、ノード1からの信号光がノード4において信号再生され、SN比(Signal Noise Ratio)の劣化が限界値に達する前に3R処理される。一方、パス#3は、信号光がノード3からアドされ、ノード5においてドロップされるので、ノード4におけるSN比は、未だ、限界に達していない。従って、ノード4の信号光再生部24aは、このパス#3についての処理を削除する。換言すれば、本発明の分散補償方法は、複数(例えば3本)のパス#1〜#nのうちの劣化していないパスだけを除去し、いわば虫食い状のパス#1〜#nを処理するのである。
なお、ノード4の信号光再生部24aは、システム100の稼働前において優先区間が決定されるまでの間は非動作状態にされるので、システム100の稼働前において、信号光再生部24aは設けられない。また、システム100の稼働後においても、障害発生又は保守点検等によって停止することがある。この場合、信号光再生部24aは、REGノード24の送受信部又は光パケット処理部等から削除又は除去されて、非接続状態にされており、受信されたWDM光についての3R処理機能が動作しないようになっている。
これにより、補償量決定ステップにて作成された
(S2)分散マップの作成
(i)システムインストール
図6のステップS2における補償量のインストールについて説明する。
WDM光に含まれる各波長の分散を等しく補償する。
図15(b)は本発明の第1実施形態に係る帯域一括分散補償器30を用いた分散マップの一例を示す図である。この図15(b)に示す横軸は送信ターミナルノード21からの距離を表す。これらの条件は、後述する他の図面においても同一である。例えば図15(b)のP1は帯域一括分散補償器30に入力される前の信号光の分散量であり、また、P2は帯域一括分散補償器30から出力された後の信号光の分散量を表しており、WDM光の分散量が帯域一括分散補償器30において一括して改善されている。そして、P4,P5における分散量Vは、システム100の設計時における残留分散ターゲットを表し、WDM光の分散量がこの残留分散ターゲットの近傍にある場合に高品質な伝送が可能になる。
このように、システム100において、伝送路90の分散情報に基づいて、帯域一括分散補償器30における補償量が決定される。これにより、優先区間であるパス#1,#2の各分散マップが決定される。
さらに、高次分散に起因する信号劣化と異なるパスの違いによる信号劣化を抑止でき長距離化が図れる。そして、各種類の光ファイバに対して行なう波長分散スロープごとの分散補償機能の設計と、回線距離に応じた分散補償の任意設定を行なうことにより、各回線の光ファイバの種類や回線距離に依存せずに、長距離光通信で利用する全波長帯の正確な波長分散補償を実現できる。
図16(a)は本発明の第1実施形態に係る仮想分散マップを作成する伝送区間を説明するための図であり、この図16(a)に示すパス#3とパス#1,#2とが重畳しているノード3,4間,ノード4,5間は、それぞれ、同一の分散補償量を受け、その詳細は後述する。ここで、「仮想」は、優先区間のパス#1,#2の各分散マップ作成を援用するためのものである。そして、非優先区間のパス#3の分散マップは、優先区間のパス#1,#2よりも先に作成される。
(S4)実分散マップと仮想分散マップとの差分量の計算
図17(a)は本発明の第1実施形態に係る分散マップの差分量を計算する差分量計算区間を説明するための図であり、図17(b)は本発明の第1実施形態に係る差分量計算区間の実分散マップおよび仮想分散マップの一例を示す図である。この図17(b)に示す円C1により囲まれた部分において、実線により表された分散量変動波形が実分散マップであり、波線により表された分散量変動波形が仮想分散マップである。そして、パス#1およびパス#2についての実分散マップと、仮想分散マップとが同一か否かについてチェックされる。この図17(a)に示す後半区間においては、パス#3の累積的な伝送距離はパス#2の伝送距離よりも長いので、パス#3はパス#2よりも分散により劣化する。
(S5)残留分散トレランスの計算
図18(a)は本発明の第1実施形態に係る残留分散トレランスの位置を参照するための図であり、図18(b)は本発明の第1実施形態に係る残留分散トレランスの一例を示す図である。この図18(b)に示すパス#3の分散量変動波形は、分散量方向(縦軸方向)に変動しながら徐々に下降(劣化)している。また、この分散量変動波形のノード5の位置に対応する部分の変動幅(RD:残留分散トレランス)が、パス#3の残留分散トレランスを表す。これにより、実分散マップを用いた残留分散量が残留分散トレランス値の許容範囲に入るか否かが判定される。
(S6)分散補償モジュールによる調整
図19(a)は本発明の第1実施形態に係る分散補償モジュールの設置位置の一例を示す図であって、この図19(a)に示すノード4,5に、それぞれ、分散補償モジュール31が設けられた状態が示されている。ここで、上記ステップS4,S5にて得られた分散マップの差分量と残留分散トレランスとに基づいて、各分散補償モジュール31の補償量が計算され、計算された補償量でパス#3の分散マップが補償される。この補償によって、差分量と残留分散トレランスとが補償される。なお、補償できない場合は、パス#3についてのパスベース設計はされずに終了する。
そして、パス#3を伝送する波長λ3の信号光は、分散補償モジュール31において分散補償され補償された波長λ3の信号光は、再度、合波されて、波長多重される。一方、波長λ3の信号光以外のものであって、ノード3にてドロップされる波長λkの信号光は、複数のREGノード24(例えば、REGノード24aなど)に入力され、各REGノード24において3R処理される。そして、3R処理後の波長λkの信号光は、分散調整された波長λ3の信号光と、再度、波長多重され、ノード5に対して送信される。
また、パスの本数は4本以上にすることもでき、上記の説明と同様に処理することによって、パスベースの設計が可能になる。
従って、本分散補償方法は、WDM光に起因する実分散量を補償してWDM光を伝送するシステム100におけるものである。
このように、本システム100によれば、伝送路90としての各種類の光ファイバに対して行なう波長分散スロープごとの分散補償機能の設計と、回線距離に応じた分散補償の任意設定を行なうことにより、各回線の光ファイバの種類や回線距離に依存せずに、長距離光通信で利用する全波長帯の正確な波長分散補償を実現できる。また、きめ細かい分散補償が必要な長距離光通信システム構築において、回線設計における分散補償設計の簡易化、分散補償器の調達,在庫の圧縮、システム敷設時の導入作業および回線ルート変更時の設定作業の簡略化など、効率的な分散補償マネジメントが可能となる。
(B)本発明の第2実施形態の説明
本発明の分散補償方法は、ネットワーク形状にかかわらず適用可能である。
図20は本発明の第2実施形態に係るWDM伝送システムの構成図である。この図20に示すシステム100aは、WDM光を伝送するものであり、信号光の制御情報又はチャネルに含まれる送信先に基づいてWDM光に含まれるチャネルを振り分ける機能を有するハブノード29をそなえたハブ(HUB)ネットワークである。システム100aは、送信ターミナルノード21からハブノード29を介して受信ターミナルノード28にWDM光を伝送する第1の伝送路90と、このハブノード29から送受信ターミナルノード41に対してWDM光を伝送する第2の伝送路90と、送受信ターミナルノード41からハブノード29に対してWDM光を伝送する第3の伝送路90とをそなえて構成されている。すなわち、例えば4台のノード21,28,29,41が、それぞれ、ハブ型ネットワークに設けられて構成されている。また、システム100aの一例は、送信ターミナルノード21および受信ターミナルノード28間(Term−Term間)の基幹系WDM伝送システムに、他の基幹系WDM伝送システム又は光アクセス伝送システムが追加接続されたものである。
システム100aは、最長パスについて、所望のルールにしたがって、本来の帯域一括分散補償器30を選択する。
(ii)2番目に長いパス(例えばパス#2)について
システム100aは、ルールにしたがって、ノード1,3間の一括分散補償量を選択し、本来の選択方法である。また、ノード1,ハブノード29間について、システム100aは、(i)にて選択された一括分散補償量を、パス#1〜#6からなるパスの優先区間
の割り当て方法を説明する。
た一括分散補償量を仮確定する。
ノード1,ノード3間については、システム100aは、本来選択されるべき帯域一括分散補償器30と、実際に選択された帯域一括分散補償器30とのそれぞれの分散マップの同一性をチェックし、続いて、残留分散トレランスをチェックする。ここで、分散マップのチェック結果が非同一の場合、システム100aは、ノード1,分散補償ノードCN,ハブノード29について、個別チャネル用分散補償モジュールを配置し、分散マップの許容範囲に入るようにする。
システム100aは、ルールにしたがって、ノード3,1間の帯域一括分散補償器30を選択する(本来の帯域一括分散補償器30を選択する)。また、ノード3,ハブノード29間について、システム100aは、選択された帯域一括分散補償器30を仮確定し、ハブノード29,ノード3間について、(ii)にて選択された個別チャネル用分散補償
モジュールを仮確定する。
(iv)残りのパス(例えばパス#4,#6)について
システム100aは、ルールにしたがって、ノード3,2間の帯域一括分散補償器30を選択する(本来の帯域一括分散補償器30を選択する)。帯域一括分散補償器30は既に選択されているので、システム100aは、ルールにしたがって得た本来の帯域一括分散補償器30について、分散マップと残留分散トレランスとをチェックする。
そして、システム100aは、分散マップと残留分散トレランスとを再度チェックし、これらの分散マップと残留分散トレランスとを満たしているか否かを確認する。
(v)与えられた条件(個別帯域一括分散補償器30の可否)において、分散マップと残留分散トレランスとを満たしていない場合、システム100aは、そのパスにより伝送するチャネルを伝送不可にする。
また、効率的な分散補償マネジメントが可能となる。
次に、本発明の第2実施形態に係る分散補償方法について詳述する。
そして、第1の重畳区間において、優先区間がパス1である場合、パス#2の前半部分は、パス#1の前半部分と共用する区間であって、同一の分散補償を受けるので、パス#2の仮想分散マップと実分散マップとの間のずれが生じる。ハブノード29(ノード2)は、そのずれをハブノード29自身に設けた分散補償モジュールを用いて調整する。なお、ハブノード29におけるずれが大きくない場合は、ノード4の分散補償モジュールを用いて最終的な調整をすることができる。
また、本発明の第2実施形態に係るシステム100aは、送信チャープを用いることもできる。図20に示すノード4は、情報データを波長λ1〜λnのうちのいずれかの波長λkの信号光にEO変換するとともに、その変換された信号光に所望のチャープ量を付加して信号光のチャープ量を調整するものである。これにより、パス#3のチャープ量を調整することにより、パス#3の伝送が可能になる。
WDM伝送システム100aに設けられWDM光を伝送する例えばノード2〜4が、実分散量を測定し(測定ステップ)、WDM伝送システム100aのノード1に設けられた管理制御部1wが、測定ステップにて測定された実分散量と、各伝送区間の設計分散量とに基づいて、各伝送区間の補償量を計算し(計算ステップ)、管理制御部1wが、計算ステップにて計算した補償量をノード2〜4に通知し(補償量通知ステップ)、また、通知されたノード2〜4が、通知された補償量に基づいてノード2〜4の補償量を設定する(補償量設定ステップ)。このように、やはり、測定データがフィードバック制御されるようにし、これにより、分散補償をダイナミックかつ自動的にできる。
以下、本発明の第2実施形態に係るパスベースの分散補償方法について詳述する。ここで、優先区間はパス#1,#3とする。
システム100aは、最長パスについて、所望のルールにしたがって、本来の帯域一括分散補償器30を選択する。
(ii)2番目に長いパス(例えばパス#2)について
システム100aは、ルールにしたがって、ノード1,3間の一括分散補償量を選択し、本来の選択方法である。また、ノード1,ハブノード29間について、システム100aは、(i)にて選択された一括分散補償量を、パス#1〜#6からなるパスの優先区間
の割り当て方法を説明する。
た一括分散補償量を仮確定する。
ノード1,ノード3間については、システム100aは、本来選択されるべき帯域一括分散補償器30と、実際に選択された帯域一括分散補償器30とのそれぞれの分散マップの同一性をチェックし、続いて、残留分散トレランスをチェックする。ここで、分散マップのチェック結果が非同一の場合、システム100aは、ノード1,分散補償ノードCN,ハブノード29について、個別チャネル用分散補償モジュールを配置し、分散マップの許容範囲に入るようにする。
システム100aは、ルールにしたがって、ノード3,1間の帯域一括分散補償器30を選択する(本来の帯域一括分散補償器30を選択する)。また、ノード3,ハブノード29間について、システム100aは、選択された帯域一括分散補償器30を仮確定し、ハブノード29,ノード3間について、(ii)にて選択された個別チャネル用分散補償
モジュールを仮確定する。
そして、システム100aは、個別帯域一括分散補償器30を含めて残留分散トレランスをチェックし、残留分散トレランスの許容範囲に入るように、ノード3の受信用分散補償モジュールを調整し、過不足分については個別チャネル用分散補償モジュールを適用する。
システム100aは、ルールにしたがって、ノード3,2間の帯域一括分散補償器30を選択する(本来の帯域一括分散補償器30を選択する)。帯域一括分散補償器30は既に選択されているので、システム100aは、ルールにしたがって得た本来の帯域一括分散補償器30について、分散マップと残留分散トレランスとをチェックする。
そして、システム100aは、分散マップと残留分散トレランスとを再度チェックし、これらの分散マップと残留分散トレランスとを満たしているか否かを確認する。
(v)与えられた条件(個別帯域一括分散補償器30の可否)において、分散マップと残留分散トレランスとを満たしていない場合、システム100aは、そのパスにより伝送するチャネルを伝送不可にする。
(C)本発明の第3実施形態の説明
WDM伝送システムのネットワーク形状は、リング型でも可能である。基本的な分散補償方法の考え方は、上記第1実施形態および第2実施形態の考え方と同一であり、各ノード1〜8で分散の調整を行ない、仮想分散マップに近づけて伝送させる。
なお、図23に示すもので上述したものと同一符号を有するものは同一のものを表す。
そして、第3実施形態においても、上記第1実施形態,第2実施形態にて説明した内容とほぼ同一の効果を得ることができる。
本発明は上述した実施態様およびその変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
分散マップは、表形式で表すこともできる。
(E)付記
(付記1) 波長多重光に起因する実分散量を補償して該波長多重光を伝送する光伝送システムにおける分散補償方法であって、
該光伝送システムに設けられ該波長多重光を伝送する1又は複数の光伝送装置が、該実分散量を測定する測定ステップと、
該光伝送システムに設けられた制御部が、該測定ステップにて測定された該実分散量と、各伝送区間の設計分散量とに基づいて、各伝送区間の補償量を計算する計算ステップと、
該制御部が、該計算ステップにて計算した該補償量を該1又は複数の光伝送装置に通知する補償量通知ステップと、
該1又は複数の光伝送装置が、通知された該補償量に基づいて該分散量を補償する補償量設定ステップとをそなえたことを特徴とする、分散補償方法。
該1又は複数の光伝送装置が、ターゲット分散量とずれが発生する光パスを特定する特定ステップと、
該1又は複数の光伝送装置のうちの受信側の光伝送装置が、該特定ステップにて特定された光パスについての該分散量を補償する受信側補償ステップとをそなえたことを特徴とする、付記1記載の分散補償方法。
該1又は複数の光伝送装置が、ターゲット分散量とずれが発生する光パスを特定する特定ステップと、
該1又は複数の光伝送装置のうちの送信側の光伝送装置が、該特定ステップにて特定された光パスについての前置分散補償量を変更する変更ステップと、
該1又は複数の光伝送装置のうちの送信側の光伝送装置が、該変更ステップにて変更された該前置分散補償量で分散量を補償する前置分散補償ステップとをそなえたことを特徴とする、付記1記載の分散補償方法。
該1又は複数の光伝送装置が、ターゲット分散量とずれが発生する光パスを特定する特定ステップと、
該1又は複数の光伝送装置のうちの送信側の光伝送装置が、光伝送装置自身の送信部のチャープに関する値を調整するチャープ処理ステップと、
該1又は複数の光伝送装置が、該チャープ処理ステップにて調整されたチャープに関する値に基づいて波長変動させた波長の出力光の分散量を補償する補償ステップとをそなえたことを特徴とする、付記1記載の分散補償方法。
該波長多重光を伝送する光伝送装置を含む伝送区間であって複数の光パスが重畳している伝送区間のうちの該複数の光パスの伝送距離のそれぞれに基づいて該複数の光パスのうちの1以上の優先区間を決定する優先区間決定ステップと、
該優先区間決定ステップにて決定された該1以上の優先区間について複数の光伝送装置のそれぞれにおける入力光の分散量と出力光の分散量との変動特性を表す実分散マップを作成する実分散マップ作成ステップと、
該優先区間決定ステップにて決定された非優先区間について入力光の分散量と出力光の分散量との変動特性を表す仮想分散マップを作成する仮想分散マップ作成ステップと、
該実分散マップ作成ステップにて作成された該実分散マップと、該仮想分散マップ作成ステップにて作成された該仮想分散マップとの各差分情報および各残留分散トレランス値に基づいて、該複数の光伝送装置のうちの所望の光伝送装置における補償量を決定する補償量決定ステップと、
該補償量決定ステップにて決定された補償量で該非優先区間の分散量を補償する非優先区間補償ステップとをそなえたことを特徴とする、分散補償方法。
該実分散マップ作成ステップにて作成された該実分散マップに基づく残留分散量が残留分散トレランス値の許容範囲に入るか否かを判定することにより該補償を決定することを特徴とする、付記5記載の分散補償方法。
(付記7) 波長多重光に起因する実分散量を補償して該波長多重光を伝送する光伝送システムであって、
該波長多重光から1又は複数の第1の単一波長光を分離する分離機能と、1又は複数の第2の単一波長光を該波長多重光に多重する多重機能とのうちの少なくとも一方を有する複数の光伝送装置と、
各光伝送装置にて分離された該第1の単一波長光についての第1の分散量と、各光伝送装置にて多重される該第2の単一波長光についての第2の分散量とのうちの少なくとも一方の分散量を補償する1又は複数の分散補償器と、
該複数の光伝送装置間の伝送区間のうちの伝送距離が異なる複数の光パスが重畳する伝送区間の実分散量と、伝送区間における分散管理データとに基づいて各分散補償器の補償量を設定する管理制御部とをそなえて構成されたことを特徴とする、光伝送システム。
該複数の光伝送装置にて測定された複数の実分散量を集計する集計部と、
該伝送区間に割り当てられた分散量を保持するデータベースと、
該集計部にて集計された該複数の実分散量と該データベースに保持された該分散量とに基づいて同一の伝送区間について伝送距離が異なる複数の光パス毎に該複数の分散補償器の補償量を演算する演算部とをそなえて構成されたことを特徴とする、付記7記載の光伝送システム。
複数の光パスのうちのターゲット分散量の範囲外の分散量を有する光パスについて、各光伝送装置に設けられた分散補償器が分散を補償することにより、分岐光又は挿入光の分散量を補償するように構成されたことを特徴とする、付記7記載の光伝送システム。
(付記10) 該管理制御部が、
複数の光パスのうちのターゲット分散量の範囲外の分散量を有する光パスについて、光パスの起点側の光伝送装置が前置分散補償量を変更することにより、分岐光又は挿入光の分散量を補償するように構成されたことを特徴とする、付記7記載の光伝送システム。
複数の光パスのうちのターゲット分散量の範囲外の分散量を有する光パスについて、光パスの起点側の光伝送装置がチャーピング量を変更することにより、分岐光又は挿入光の分散量を補償するように構成されたことを特徴とする、付記7記載の光伝送システム。
(付記12) 該管理制御部が、
複数の光パスが重畳している伝送区間について、複数の光パスのそれぞれの優先度を決定するように構成されたことを特徴とする、付記7記載の光伝送システム。
個別チャンネル分散補償器,帯域分散補償器又は可変分散補償器を用いて光パス毎の分散量を制御するように構成されたことを特徴とする、付記7記載の光伝送システム。
(付記14) 該複数の光伝送装置が、それぞれ、
ハブ型,リング型又はアドドロップ型の各ネットワーク形状になるように構成されたことを特徴とする、付記7記載の光伝送システム。
該波長多重光から1又は複数の第1の単一波長光を分離する分離部と、
該分離部にて分離された該第1の単一波長光についての分散量を補償する分散補償器と、
複数の光伝送装置間の伝送区間のうちの伝送距離が異なる複数の光パスが重畳する伝送区間の実分散量と、伝送区間における分散管理データとに基づいて各分散補償器の補償量を設定する管理制御部とをそなえて構成されたことを特徴とする、光伝送装置。
1又は複数の単一波長光を該波長多重光に多重する多重部と、
該多重部にて多重された該単一波長光についての分散量を補償する分散補償器と、
複数の光伝送装置間の伝送区間のうちの伝送距離が異なる複数の光パスが重畳する伝送区間の実分散量と、伝送区間における分散管理データとに基づいて各分散補償器の補償量を設定する管理制御部とをそなえて構成されたことを特徴とする、光伝送装置。
1w 管理制御部
1a 優先区間決定部
1b ノード間分散量集計部
1c データベース
1d 伝送路分散データベース
1e 残留分散トレランスデータベース
1f 演算部
1g 可変DCM制御部
20 チャープ調整部
21 送信ターミナルノード
22,26,27 中継ノード
23,25 アドドロップノード
24 REGノード
24a 信号光再生部
28 受信ターミナルノード
29 ハブノード
31 分散補償モジュール(送信部)
33 送受信ターミナルノード
36 増幅器
37 光カプラ
40a 送信用分散補償器(DCT)
40b インラインアンプ
40c 伝送路分散補償器(DCL)
40d DCR
40e,40f DCT
49a〜49d ネットワーク
50 インライン増幅器
51 分離部
52 多重部
59 モニタ光出力部
59a 波長可変レーザーダイオード
59c 正弦波変調部
59d 固定波長出力部
59b,59e 光強度変調器
59f 光スイッチ
60 累積分散測定部
60a,60b,111 フォトダイオード(光検出器)
60c 位相比較器
61 OSC光送受信部
101 レーザーダイオード(送信部)
200 送信処理部
Claims (10)
- 波長多重光に起因する実分散量を補償して該波長多重光を伝送する光伝送システムにおける分散補償方法であって、
単一波長光を該波長多重光にアドする起点ノードと該波長多重光にアドされた該単一波長光をドロップして光電変換する終点ノードとの間に設定される複数の光パスのうち、伝送距離が最も長い1又は複数の光パスを優先区間に決定する一方、前記複数の光パスのうち該優先区間とは異なる1又は複数の光パスを非優先区間に決定する優先区間決定ステップと、
該優先区間決定ステップにて決定された前記1又は複数の優先区間について当該優先区間に含まれる中継ノードへ入力される入力光の分散量と当該優先区間に含まれる該中継ノードから出力される出力光の分散量との変動特性を表す実分散マップを作成する実分散マップ作成ステップと、
該優先区間決定ステップにて決定された前記1又は複数の非優先区間について当該非優先区間に含まれる中継ノードへ入力される入力光の分散量と当該非優先区間に含まれる該中継ノードから出力される出力光の分散量との変動特性を表す仮想分散マップを作成する仮想分散マップ作成ステップと、
該実分散マップ作成ステップにて作成された該実分散マップに基づいて該非優先区間のうち該優先区間と重畳する光パスを伝送する該波長多重光に多重されている該単一波長光に設定されるべき分散補償量と、該仮想分散マップ作成ステップにて作成された該仮想分散マップに基づいて当該単一波長光に設定されるべき分散補償量とのずれに関する差分情報を算出し、当該差分情報に基づいて前記単一波長光についての残留分散値が所定の残留分散トレランス値の許容範囲内に収まるように、当該単一波長光についての分散補償量を決定する補償量決定ステップと、
該補償量決定ステップにて決定された分散補償量で該単一波長光を分散補償する分散補償ステップと、
該起点ノード,該終点ノード及び該波長多重光に含まれるチャネルを振り分けるハブノードのうちいずれかを少なくとも3つ有する伝送路において、前記所定の残留分散トレランス値の許容範囲を超えた前記残留分散値が、前記残留分散トレランス値の許容範囲内に収まるように、前記伝送路を伝送する各チャネルに対し個別に分散補償を行なう個別分散補償ステップとをそなえたことを特徴とする、分散補償方法。 - 該分散補償ステップが、
前記の各起点ノードにおける該波長多重光に多重される前の該単一波長光を該補償量決定ステップにて決定された分散補償量で該単一波長光を分散補償する、
ことを特徴とする、請求項1記載の分散補償方法。 - 該分散補償ステップにおいて、
前記の各起点ノードにおけるチャーピング量を変更することで設定される前記分散補償量により、該補償量決定ステップにて決定された分散補償量で該単一波長光が分散補償される、
ことを特徴とする、請求項1記載の分散補償方法。 - 複数の単一波長光が多重された波長多重光を伝送する光伝送システムであって、
単一波長光を該波長多重光にアドする起点ノードと該波長多重光にアドされた該単一波長光をドロップして光電変換する終点ノードとの間に設定される複数の光パスのうち、伝送距離が最も長い1又は複数の光パスを優先区間に決定する一方、前記複数の光パスのうち該優先区間とは異なる1又は複数の光パスを非優先区間に決定する優先区間決定部と、
該優先区間決定部にて決定された前記1又は複数の優先区間について当該優先区間に含まれる中継ノードへ入力される入力光の分散量と当該優先区間に含まれる該中継ノードから出力される出力光の分散量との変動特性を表す実分散マップを作成する一方、該優先区間決定部にて決定された前記1又は複数の非優先区間について当該非優先区間に含まれる中継ノードへ入力される入力光の分散量と当該非優先区間に含まれる該中継ノードから出力される出力光の分散量との変動特性を表す仮想分散マップを作成する集計部と、
該実分散マップに基づいて該非優先区間のうち該優先区間と重畳する光パスを伝送する該波長多重光に多重されている該単一波長光に設定されるべき分散補償量と、該仮想分散マップに基づいて当該単一波長光に設定されるべき分散補償量とのずれに関する差分情報を算出し、当該差分情報に基づいて前記単一波長光についての残留分散値が所定の残留分散トレランス値の許容範囲内に収まるように、当該単一波長光についての分散補償量を決定する演算部と、
該演算部にて決定された分散補償量で該単一波長光を分散補償する管理制御部と、
該起点ノード,該終点ノード及び該波長多重光に含まれるチャネルを振り分けるハブノードのうちいずれかを少なくとも3つ有する伝送路において、前記所定の残留分散トレランス値の許容範囲を超えた前記残留分散値が、前記残留分散トレランス値の許容範囲内に収まるように、前記伝送路を伝送する各チャネルに対し個別に分散補償を行なう個別分散補償部とをそなえて構成されたことを特徴とする、光伝送システム。 - 該管理制御部が、
前記の各起点ノードにおける該波長多重光に多重される前の該単一波長光を該演算部にて決定された分散補償量で該単一波長光を分散補償する、
ことを特徴とする、請求項4記載の光伝送システム。 - 該管理制御部において、
前記の各起点ノードにおけるチャーピング量を変更することで設定される前記分散補償量により、該演算部にて決定された分散補償量で該単一波長光が分散補償される、
ことを特徴とする、請求項4記載の光伝送システム。 - 該光伝送システムが、
ハブ型,リング型又はアドドロップ型の各ネットワーク形状を有することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の光伝送システム。 - 複数の単一波長光が多重された波長多重光を伝送する光伝送システムに設けられた光伝送装置であって、
1又は複数の単一波長光を該波長多重光に多重する多重部と、
該多重部にて多重される該単一波長光についての分散量を補償する管理制御部と、をそなえ、
該管理制御部が、
該単一波長光を該波長多重光にアドする起点ノードと該波長多重光にアドされた該単一波長光をドロップして光電変換する終点ノードとの間に設定される複数の光パスのうち、伝送距離が最も長い1又は複数の光パスを優先区間に決定する一方、前記複数の光パスのうち該優先区間とは異なる1又は複数の光パスを非優先区間に決定する優先区間決定部と、
該優先区間決定部にて決定された前記1又は複数の優先区間について当該優先区間に含まれる中継ノードへ入力される入力光の分散量と当該優先区間に含まれる該中継ノードから出力される出力光の分散量との変動特性を表す実分散マップを作成する一方、該優先区間決定部にて決定された前記1又は複数の非優先区間について当該非優先区間に含まれる中継ノードへ入力される入力光の分散量と当該非優先区間に含まれる該中継ノードから出力される出力光の分散量との変動特性を表す仮想分散マップを作成する集計部と、
該実分散マップに基づいて該非優先区間のうち該優先区間と重畳する光パスを伝送する該波長多重光に多重されている該単一波長光に設定されるべき分散補償量と、該仮想分散マップに基づいて当該単一波長光に設定されるべき分散補償量とのずれに関する差分情報を算出し、当該差分情報に基づいて前記単一波長光についての残留分散値が所定の残留分散トレランス値の許容範囲内に収まるように、当該単一波長光についての分散補償量を決定する演算部と、をそなえ、
該演算部にて決定された分散補償量で該単一波長光を分散補償し、
該起点ノード,該終点ノード及び該波長多重光に含まれるチャネルを振り分けるハブノードのうちいずれかを少なくとも3つ有する伝送路において、前記所定の残留分散トレランス値の許容範囲を超えた前記残留分散値が、前記残留分散トレランス値の許容範囲内に収まるように、前記伝送路を伝送する各チャネルに対し個別に分散補償を行なう、ことを特徴とする、光伝送装置。 - 該管理制御部が、
前記の各起点ノードにおける該波長多重光に多重される前の該単一波長光を該演算部にて決定された分散補償量で該単一波長光を分散補償する、
ことを特徴とする、請求項8記載の光伝送装置。 - 該管理制御部において、
前記の各起点ノードにおけるチャーピング量を変更することで設定される前記分散補償量により、該演算部にて決定された分散補償量で該単一波長光が分散補償される、
ことを特徴とする、請求項8記載の光伝送装置。
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